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【発明の名称】 |
耐食性を有する電磁波シールド用めっき鋼板 |
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【氏名】渡邉 啓一 【住所又は居所】大阪府堺市石津西町5番地 日新製鋼株式会社技術研究所内 【氏名】長尾 雅央 【住所又は居所】大阪府堺市石津西町5番地 日新製鋼株式会社技術研究所内 【氏名】岩水 義治 【住所又は居所】大阪府堺市石津西町5番地 日新製鋼株式会社技術研究所内 【氏名】和泉 圭二 【住所又は居所】大阪府堺市石津西町5番地 日新製鋼株式会社技術研究所内 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下地鋼板の両面に、第1層として0.05μm以上の膜厚のNiめっき層と、第2層として両面に0.2μm以上の膜厚のCuめっき層と、第3層として両面にベンゾトリアゾールによる化成処理膜と、さらに第4層として両面もしくは片面に3μm以下の膜厚の樹脂被覆層が順次形成されていることを特徴とする耐食性を有する電磁波シールド用めっき鋼板。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、電磁波シールド特性を有するとともに、耐食性をも兼ね備えた鋼板に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、情報、OA、通信、家電などの広い分野で電磁波の利用が急速に進行し、それに伴って電磁波障害の問題が顕在化している。この背景としては、激増する電気・電子機器類から発生する不要な電磁波が著しく増加しており、一方でこれらの機器自身が外部からの電磁波に敏感に反応するようになってきており、誤動作を生じやすくなっている。電磁波障害の問題に関しては、機器側の対策として、不要な電磁波を外部に放出しない、あるいは到来してきた電磁波を機器手前で遮断し、不要電磁波で誤作動を起こさせないなどの、いわゆる電磁波対策が求められるようになってきた。電磁波対策に用いられる材料の一つに電磁波シールド材がある。 【0003】従来より、オーディオ機器,通信機器,映像機器などには電磁波シールド材としてCuめっき鋼板が使用されている。このCuめっき鋼板は、基材が鋼板であるため強度に優れ、またCu層が優れた電磁波シールド特性を発揮している。しかしながら、Cu層は変色しやすいため、Cuめっき鋼板は長時間にわたり美観を保つことは困難である。また電磁波シールド材は種々の形状に加工されて使用されるが、めっき鋼板のままでは潤滑性が十分でないため加工性が良くない。このため、Cuめっき層上に耐食性の向上と潤滑性付与を目的としてクリアー塗膜を設けることが提案されている(特開平7−221488号公報)。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】Cuめっき鋼板の表面に設けた潤滑性を有するクリアー塗膜は絶縁性を持つものでもある。このため、クリアー塗膜を形成したCuめっき鋼板は、本来有している電磁波シールド特性が低下している。本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、Cuめっき鋼板の有する電磁波シールド特性を確保しつつ、さらに、耐食性をも高めためっき鋼板を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明の耐食性を有する電磁波シールド用めっき鋼板は、その目的を達成するため、下地鋼板の両面に、第1層として0.05μm以上の膜厚のNiめっき層と、第2層として両面に0.2μm以上の膜厚のCuめっき層と、第3層として両面にベンゾトリアゾールによる化成処理膜と、さらに第4層として両面もしくは片面に3μm以下の膜厚の樹脂被覆層が順次形成されていることを特徴とする。 【0006】 【作用】電磁波は電界成分および磁界成分から構成され、そのどちらかをシールドすることで、電磁波自身のシールドが可能になる。一般に、電界成分に関しては導電性が大きい金属ほどシールド性に優れ、磁界成分に関しては、透磁率が高い金属ほどシールド性に優れるといわれている。各種金属の透磁率を比較すると、Fe>Ni>Co≫Al>Cu>Pb>Agの順である。一方導電率に関しては、Ag>Cu>Au>Al>Zn>Ni>Fe>Sn>Pbの順になっている。このことから、電磁波シールド特性に優れていると考えられる金属種としては、透磁率が大きいFe,Niと、導電率が大きいAg、Cu、Auが挙げられる。しかしながら、コスト的な面を考慮するとNiとCuの層を積層させて設けることで電磁波シールド特性を高めることができると考えられる。 【0007】そして、本発明では、鋼板上に設けた導電性金属被覆層であるCuめっき層の他に透磁性金属被覆層であるNiめっき層をも形成することにより、またその界面を形成することにより積層めっき鋼板が優れた電磁波シールド特性を発揮することを確認した。鋼板上に透磁性金属被覆層であるNiめっき層と導電性金属被覆層であるCuめっき層を積層させることで電磁波シールド特性が向上する理由は定かではない。金属層を積層させた鋼板では、表層の被覆金属中に進入した一部の電磁波は、その下の被覆金属層との界面に到達すると、その界面で再び反射されることとなり、さらに減衰されると考えられる。 【0008】さらに本発明では、鋼板上に導電性金属被覆層と透磁性金属被覆層とを積層させているが、前述したように電磁波は電界成分および磁界成分から構成され、そのどちらかをシールドすることで電磁波自身のシールドが可能になる。例えば導電性金属被覆層に進入してきた電磁波は、次の透磁性金属被覆層との界面に到達すると、それまでとは異なった進入態様を採らざるを得ず、そのために進入し難くなって、反射量が多くなり、減衰割合は大きくなると考えられる。したがって、Niめっき層とCuめっき層のように電磁波シールド態様の異なる被覆層を積層すると、電磁波の反射・減衰割合は大きくなり、電磁波シールド特性はより向上すると考えられる。 【0009】電磁波シールド材を実際に加工して使用しようとするとき、従来技術の説明の項に記載したように、耐食性と潤滑性が必要である。本発明では、第3層としてベンゾトリアゾールによる化成処理膜と、さらに第4層として両面もしくは片面に3μm以下の塗装膜厚の樹脂被覆層を順次形成したことで、耐食性と潤滑性を確保した。 【0010】 【実施の態様】鋼板:下地鋼板としては、ごく一般的な冷延鋼板で十分である。下地鋼板の組成が電磁波シールド特性に及ぼす影響は軽微なものなので、使用目的に応じて成分調整したものを用いればよい。板厚にも特に制限はないが、機器の軽量化などを考慮すれば0.3mm程度の厚さのものを用いればよい。めっきする前の処理は、Niめっきの方法に応じて公知の処理を施したもので十分である。 【0011】第1層:第1層としてNiめっき層を形成する際、このNiめっき層は第2層のCuめっき層の密着性確保と電磁波シールド特性の向上の作用を担う。Niめっきするにあたって、密着性を良くするためには基材表面は粗面化しておくことが好ましい。第2層として被覆するCuめっき層の密着性確保のためだけであれば、例えば、めっき浴としてピロ燐酸銅などでストライクめっきを施せばよいが、この場合、多重反射が得られず電磁波シールド特性の向上は期待できない。 【0012】Cuめっき層の下層にNiめっき層を施すことにより、進入してくる電磁波に対して電磁波シールド態様の異なる金属層の界面が増えることになり、めっき層内部で多重反射が得られ、この効果により電磁波シールド特性が向上する。Niめっき層の膜厚は0.05μm以上にする。めっき膜厚がこれよりも薄いと電磁波シールド特性の向上効果はほとんどない。Niめっきは電気めっきにより施されることが好ましいが、めっき浴は特に限定されるものでなく、通常用いられている塩化物浴などで十分である。 【0013】第2層:第2層としてのCuめっき層の膜厚は、必要とされる電磁波シールド特性により異なるが少なくとも0.2μm以上とする。めっき膜厚が0.2μmに満たないとピンホールなどのめっき欠陥が生じやすくなり、これによりめっき自身の電磁波シールド特性が劣化し、全体の電磁波シールド特性の低下を招く。また、耐食性の低下も著しくなる。電磁波シールド特性はめっき膜厚が厚くなるほど増大するが、生産性,コストなどを考慮すると、第1層および第2層の合計膜厚で20μm以下にすることが好ましい。 【0014】第3層:第3層としてはベンゾトリアゾールによる化成処理を行う。通常、Cuめっき鋼板には表面処理としてベンゾトリアゾール(BTA)処理が施されている。この処理はCuめっき鋼板の変色防止策として行われているものであるが、BTAのアミノ基がめっき層のCuと反応し、錯体を形成して、Cuめっき表面に強固なほぼ単分子厚さの皮膜を形成する。この皮膜の表面はアミノ基がキレート反応することにより、フェニル基がリッチな状態にあり、撥水性すなわち親油性を示す。親油性表面は樹脂被覆に用いる塗料との親和性に富んでおり、第4層として形成する樹脂被覆層の被覆前に特別な前処理を必要とせず、密着性を確保することができる。このため、第2層としてCuめっき層を設けた場合には、BTA処理は樹脂被覆前に必須となる。 【0015】第4層:第4層には、耐食性および潤滑性確保のために樹脂被覆層を形成する。樹脂被覆層の膜厚が厚くなるにつれ、耐食性は向上するが、電磁波シールド特性は低下するので、その膜厚は3μm以下にする。樹脂被覆層の膜厚が3μm以下であれば、Cuめっき層の他に設けたNiめっき層による電磁波シールド特性の向上効果により、樹脂被覆層の形成による電磁波シールド特性の低下を補うことができる。設ける樹脂被覆層の種類は特に制限されない。通常にプレコート鋼板の製造に用いられている塗料であれば適用可能である。また、電磁波シールド特性を阻害しない範囲で、体質顔料,着色顔料あるいはさらに潤滑性を得るために、ワックス成分などの添加も可能である。樹脂被覆層の形成方法も公知の方法で行えばよく、ロールコート,スプレーコートなどで塗布後、焼き付け、乾燥を行えばよい。 【0016】 【実施例】厚さ0.3mmの下地鋼板上に、電気めっき法によりNiめっきおよびCuめっきを施した。Niめっき条件およびCuめっき条件を表1に示す通りである。その後、液温55℃のBTA溶液(2g/l)に10秒浸漬後、水洗、乾燥を行った。さらにその後、エポキシ樹脂を焼き付け乾燥後に所定膜厚になるようにバーコーターで塗装後、到達鋼板温度215℃になるようにオーブンで焼付け乾燥して、表2に示す各被覆膜を有するめっき鋼板を製造した。 【0017】
【0018】
【0019】これら各種めっき鋼板について、KEC法(関西電子振興センター法)で電磁波シールド特性を測定するとともに、JIS C0024で規定される塩水噴霧試験(厳しさ1)およびゴバン目エリクセン押し出しセロファンテープ剥離試験を行って、塗膜の密着性を評価した。その結果を表3に示す。 【0020】
【0021】上記結果からわかるように、本発明で規定した被覆層を順次形成しためっき鋼板は、塩水噴霧試験においても赤錆発生は認められず、耐食性は向上している。しかも加工してもめっき層および樹脂被覆層が剥離するようなことはなかった。これに対して、樹脂被覆層を形成しなかった比較例の1,2の試料では、樹脂皮膜の影響による電磁波シールド特性の低下は見られなかったが、耐食性が低下していた。Niめっき層を形成しなかった比較例3,4の試料では、耐食性や塗膜密着性の点での問題点はなかったが、樹脂被覆に起因した電磁波シールド特性の低下が見られた。さらに、BTA処理を行わず、すなわち、めっき層表面に化成処理膜を形成しないまま樹脂被覆を行った比較例5の試料では、樹脂塗膜の密着性が低かったためか、加工の際に塗膜の剥離が起こっていた。 【0022】 【発明の効果】以上に説明したように、本発明は、Cuめっき層の他にNiめっき層をも形成することにより、BTA処理膜,樹脂塗装膜の作用と相俟って、単なるCuめっき鋼板と同等のめっき膜厚の形成で、同等の電磁波シールド特性を確保しつつ、さらに耐食性を著しく向上させた電磁波シールド用めっき鋼板を得ることができた。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004581 【氏名又は名称】日新製鋼株式会社 【住所又は居所】東京都千代田区丸の内3丁目4番1号
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| 【出願日】 |
平成14年3月29日(2002.3.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100092392 【弁理士】 【氏名又は名称】小倉 亘 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−293192(P2003−293192A) |
| 【公開日】 |
平成15年10月15日(2003.10.15) |
| 【出願番号】 |
特願2002−96578(P2002−96578) |
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