| 【発明の名称】 |
電気ニッケルめっき液 |
| 【発明者】 |
【氏名】近藤 誠 【住所又は居所】埼玉県さいたま市吉野町2丁目269番地4 日本リーロナール株式会社技術研究所内
【氏名】榎本 治樹 【住所又は居所】埼玉県さいたま市吉野町2丁目269番地4 日本リーロナール株式会社技術研究所内
【氏名】嶋津 元矢 【住所又は居所】埼玉県さいたま市吉野町2丁目269番地4 日本リーロナール株式会社技術研究所内
|
| 【要約】 |
【課題】セラミック部分を浸食することなく、めっきされる部分にのみ効率よくニッケルめっきを施すことができるニッケルめっき液の提供。
【解決手段】a)ニッケルイオン、およびb)アミノポリカルボン酸、ポリカルボン酸、およびポリホスホン酸からなる群から選択される少なくとも2種のキレート剤を含み、pHが4−9の範囲であり、ニッケルイオンと塩素イオンとの比(Ni/Cl)が1以下である電気ニッケルめっき液。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 a)ニッケルイオン、およびb)アミノポリカルボン酸、ポリカルボン酸、およびポリホスホン酸からなる群から選択される少なくとも2種のキレート剤を含み、pHが4−9の範囲であり、ニッケルイオンと塩素イオンとの比(Ni/Cl)が1以下である電気ニッケルめっき液。 【請求項2】 キレート剤が、イミノジ酢酸、クエン酸、アミノトリメチレンホスホン酸からなる群から選択される少なくとも2種の化合物である、請求項1記載のめっき液。 【請求項3】 請求項1または2記載のめっき液で、セラミック複合材をめっきする方法。 【請求項4】 請求項1または2記載のめっき液で、セラミック複合材をめっきして得られた物品。
|
【発明の詳細な説明】【0001】本発明はニッケルめっきに関し、より詳細にはセラミック複合材に対して好適に使用されるニッケルめっき液、このめっき液を用いるめっき方法、および得られる製品に関する。 【0002】ニッケルめっきは、スズめっき、はんだめっき、金めっきなどの下地めっきとして電子工業の分野で広く利用されている。このような用途で使用するニッケルめっきは浴は、ワット浴、全塩化物浴、スルファミン酸浴、ホウフッ化酸浴等の強酸性のめっき液が広く用いられている。セラミックを複合化したチップ抵抗、チップコンデンサーなどの電子部品においても、スズめっき、はんだめっきの下地ニッケルとしてワット浴あるいはスルファミン酸浴が広く利用されている。近年、電子工業の分野では遷移金属系酸化物を含有するセラミックを複合化した新しい部品が多く開発され、広く利用されている。しかしながら、遷移金属系酸化物を含有するセラミックを複合化した特殊な電子部品では、これら強酸性のニッケルめっき浴を用いると、そのセラミック部分がめっき液に浸食されるという問題があった。このため、酸性のめっき液に浸食されやすい部分の浸食を少なくする試みがなされ、各種めっき液が報告されている。しかし、それらはいずれも析出効率が低く、作業性が低下するという問題があった。またセラミックを素材とした電子部品の電極のみめっきを施す必要がある場合でも、その電極部分のみだけでなく、その周辺のセラミック部分にまで析出が広がり、その部品の特性を阻害するという問題があった。 【0003】本発明は上記の課題を解決し、従来からのセラミックを複合化した電子部品およびフェライトなどの遷移金属系酸化物を含有するセラミック部分を浸食することなく、めっきされる部分にのみ効率よくニッケルめっきを施すことができるニッケルめっき液、該ニッケルめっき液を使用しためっき方法、およびかかるめっき方法に得られる物品、特にはチップ抵抗、チップコンデンサーなどの電子部品を提供することを目的とする。 【0004】本発明は、a)ニッケルイオン、およびb)アミノポリカルボン酸、ポリカルボン酸、およびポリホスホン酸からなる群から選択される少なくとも2種のキレート剤を含み、pHが4−9の範囲であり、ニッケルイオンと塩素イオンとの比(Ni/Cl)が1以下である電気ニッケルめっき液を提供する。ニッケルイオン濃度は、好ましくは1−100g/L、より好ましくは10−50g/L、最も好ましくは10−30g/Lである。ニッケルイオン濃度が低すぎる場合には、被めっき品の高電流密度部分でのヤケ状の析出となりやすく、ニッケルイオン濃度が高すぎる場合には、めっき液中の安定性が低下し、水酸化物として不溶性化合物を生成することとなる。本発明においては、ニッケルイオンと塩素イオンとの比(Ni/Cl)が1以下である。これはニッケルイオン源の主成分が塩化ニッケルであることを意味する。好ましくはニッケルイオンと塩素イオンとの比は0.5よりも小さく、より好ましくはニッケル源として塩化ニッケルのみが使用される。 【0005】本発明においては、キレート剤としてアミノポリカルボン酸、ポリカルボン酸、ポリホスホン酸からなる群から選択される少なくとも2種の化合物が使用される。アミノポリカルボン酸としては、たとえばエチルイミノ−N,N−ジ酢酸、グリシン、イミノジ酢酸、ヒドロキシエチル・エチレンジアミン三酢酸、ニトリロトリ酢酸、EDTA、トリエチレンジアミンテトラ酢酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、ベータ−アラニンN,N−ジ酢酸、およびトリカルバリル酸などがあげられる。ポリカルボン酸としては、たとえばマロン酸、マレイン酸、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、りんご酸、酒石酸などがあげられる。ポリホスホン酸としては、たとえばアミノトリメチレンホスホン酸、ヒドロキシエチリデンジホスホン酸、およびエチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸などがあげられる。好ましくはポリホスホン酸はアミノポリホスホン酸である。 【0006】キレート剤は、アミノポリカルボン酸、ポリカルボン酸、ポリホスホン酸からなる群から選択される少なくとも2種の化合物である。最も好ましくはキレート剤は、イミノジ酢酸、クエン酸、アミノトリメチレンホスホン酸からなる群から選択される少なくとも2種の化合物である。キレート剤の量は、合計で好ましくは0.01−3モル/Lであり、より好ましくは0.1−0.5モル/Lである。また、2種のキレート剤の比率は任意であり、使用するニッケルの量、ニッケルイオン源などの条件に基づいて、適宜決定できる。 【0007】本発明にかかるめっき液は4−9のpHを有する。このpH領域において効率の高い良好なめっき性が得られ、セラミックなどの素材についても浸食を効果的に抑制することができる。また有機添加剤を添加することなく緻密でバリヤー効果の高い析出被膜を得ることができる。pHは任意の酸またはアルカリにより調整することができる。任意の酸および塩基を使用することができ、無機酸、有機酸、無機塩基、および有機塩基のいずれも使用することができる。酸としては、たとえば硫酸、塩酸、スルファミン酸等の他、酢酸およびクエン酸などのキレート剤として使用される酸を使用することもできる。アルカリとしては、たとえば水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムなどの他、塩基性炭酸ニッケルなどを使用することもできる。また、作業条件によりpHが変動しやすい場合には、ホウ酸などのpH緩衝成分を使用することもできる。本発明のめっき液は、さらに光沢剤および界面活性剤などの公知の添加剤を含むことができる。 【0008】本発明は上記のめっき液を使用しためっき方法も提供する。めっき条件としては、公知の条件を用いることができる。また被めっき物は何ら限定される者ではなく、任意の物質にめっきをすることができる。好ましくは本発明のめっき方法においては、セラミック複合部品であるチップ抵抗、チップコンデンサーなどの電子部品が好適にめっきされる。陽極としては、ニッケル金属が通常使用されるが、場合によっては白金めっきしたチタン板などの不溶性電極も使用できる。浴温度は通常10−80℃であり、好ましくは30−65℃である。陰極電流密度は0.02−10A/dm2とするのが好ましい。めっき時間は要求される膜厚により変化するが、通常は10−120分程度である。めっき条件とその効果は公知であり、所望の性能に応じて当業者の適宜決定できる事項である。 【0009】本発明のめっき液は静止およびバレルのどちらでも使用できる。必要に応じて空気撹拌、カソード揺動、ポンプなどによるめっき液の流動の方法で撹拌することもできる。本発明にかかるめっき方法により、素材を浸食することなく、セラミック複合部品にニッケルめっきを行うことできる。 【0010】以下に本発明の実施例を記載するが、かかる記載はあくまでも例示にすぎず、本発明の範囲を何ら制限するものではない。 実施例実施例1塩化ニッケル6水和物 100g/Lアミノトリメチレンホスホン酸 100g/Lクエン酸 50g/LpH(NaOHで調整) 9.0実施例2塩化ニッケル6水和物 100g/Lアミノトリメチレンホスホン酸 100g/Lクエン酸 50g/LpH(NaOHで調整) 7.0実施例3塩化ニッケル6水和物 100g/Lアミノトリメチレンホスホン酸 100g/Lクエン酸 50g/LpH(NaOHで調整) 5.0実施例4塩化ニッケル6水和物 100g/Lイミノジ酢酸 50g/Lクエン酸 20g/LpH(NaOHで調整) 7.0実施例5塩化ニッケル6水和物 100g/Lアミノトリメチレンホスホン酸 100g/Lイミノジ酢酸 50g/LpH(NaOHで調整) 7.0実施例6塩化ニッケル6水和物 100g/Lアミノトリメチレンホスホン酸 100g/Lクエン酸 50g/Lホウ酸 50g/LpH(NaOHで調整) 5.0【0011】比較例1硫酸ニッケル6水和物 350g/L塩化ニッケル6水和物 45g/Lホウ酸 50g/LpH 4.2比較例2塩化ニッケル6水和物 100g/Lクエン酸 100g/LpH 5.0比較例3塩化ニッケル6水和物 100g/Lアミノトリメチレンホスホン酸 100g/LpH 5.0比較例4塩化ニッケル6水和物 100g/Lイミノジ酢酸 100g/LpH 5.0比較例5硫酸ニッケル6水和物 350g/L塩化ニッケル6水和物 45g/Lホウ酸 50g/LpH 6.0【0012】上記の各めっき液を使用し、以下のめっき条件においてめっきを行った。 めっき部品 セラミック製チップ部品めっき法 バレルめっき液温 50℃陰極電流密度 0.05−0.2A/dm2実験結果を以下の表に示す。 【0013】 【表1】
【0014】実施例で得られた皮膜はいずれも均一な無光沢または微光沢外観を有していた。これらのめっき皮膜の膜厚はクロスセクションによる断面観察により測定した。実験結果から、本発明のめっき液を使用すると、セラミック部分を浸食することなく、めっきされる部分にのみ効率よくニッケルめっきを施すことができることが示される。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】591138566 【氏名又は名称】日本リーロナール株式会社 【住所又は居所】東京都千代田区三番町6番地3
|
| 【出願日】 |
平成13年12月28日(2001.12.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100073139 【弁理士】 【氏名又は名称】千田 稔 (外2名)
|
| 【公開番号】 |
特開2003−193285(P2003−193285A) |
| 【公開日】 |
平成15年7月9日(2003.7.9) |
| 【出願番号】 |
特願2001−399729(P2001−399729) |
|