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【発明の名称】 無電解金めっき液
【発明者】 【氏名】加藤 勝
【住所又は居所】埼玉県草加市稲荷1−7−1 関東化学株式会社中央研究所内

【氏名】岩井 良太
【住所又は居所】埼玉県草加市稲荷1−7−1 関東化学株式会社中央研究所内

【要約】 【課題】密着性が良好でかつ有孔度の低い均一な金皮膜を一工程で形成することのできる無電解金めっき液を提供する。

【解決手段】置換反応による金の析出量が15μg/cm以上となる無電解金めっき液であって、金によって酸化される還元剤と、該還元剤と同種又は異種の、下地金属によって酸化される還元剤とを含む、前記無電解金めっき液。。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 置換反応による金の析出量が15μg/cm以上となる無電解金めっき液であって、金によって酸化される還元剤と、該還元剤と同種又は異種の、下地金属によって酸化される還元剤とを含む、前記無電解金めっき液。
【請求項2】 下地金属に対し直接金めっきするための、請求項1に記載の無電解金めっき液。
【請求項3】 下地金属によって酸化される還元剤の作用によって析出する金の膜厚が総膜厚の10〜70%となる、請求項1又は2に記載の無電解金めっき液。
【請求項4】 シアン化合物を含まない、請求項1〜3のいずれかに記載の無電解金めっき液。
【請求項5】 下地金属が、ニッケル、パラジウム、白金、銀、コバルトおよびこれらの合金からなる群から選択される1種または2種以上の金属である、請求項1〜4のいずれかに記載の無電解金めっき液。
【請求項6】 金塩、錯化剤、pH緩衝剤、pH調整剤、安定剤、および反応促進剤からなる群から選択される1種または2種以上をさらに含む、請求項1〜5のいずれかに記載の無電解金めっき液。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリント配線基板等の電子工業部品に金めっき皮膜を形成する場合に使用される無電解金めっき液に関する。
【0002】
【従来の技術】プリント基板は、基板上および/又は基板内部に金属回路パターンを有し、その回路は銅等の電気的な抵抗の低い金属が用いられ、更に銅回路の酸化、腐食防止用および/又は金とのマイグレーション防止用のニッケルあるいはニッケル合金のバリアメタル層が設けられ、更にニッケルの酸化および接点信頼性の確保やはんだ濡れ性の向上などを目的として金皮膜を形成する。このような回路を形成する場合には銅パターン形成以降にニッケルあるいはニッケル合金のめっきを行い、更に電気金めっきを行うか、置換金めっきの後に自己触媒金めっきを行うかあるいはニッケル以降に厚付置換金めっきを行うのが従来の方法である。
【0003】プリント基板の外部に露出した銅部分(外部との接続、部品を搭載するための端子部分、スルーホール等)の処理方法としては、まずめっきを行なう部分の銅配線に脱脂、エッチング等の前処理を加えた後、パラジウム触媒化処理が行われ、無電解ニッケルめっきが行われバリアメタル層を形成する。バリアメタル層として使用される金属としてはニッケルやニッケル合金のほかに、パラジウム、白金、銀、コバルトおよびこれらの合金を使用することができる。また、熱処理によるニッケルの拡散を防ぐ目的でニッケル層の上にパラジウム層を形成する技術について報告されている(K. Hasegawa et al, Proceeding of the 1997IEMT/IMC,230(1997))。これらのニッケル、パラジウム、白金、銀、コバルトおよびこれらの合金が、次に行われる金めっきの下地金属となる。下地金属層の形成後、さらに金皮膜で覆い、完成された回路にする。一般に金皮膜は回路の腐食防止および/または接点として利用するものであるから、有孔度の高い皮膜は好ましくなく、隙間の少ない表面が要求される。
【0004】金めっき工程ではこれまで主に1)置換金めっきあるいはフラッシュ金等の薄付け金めっきを行った後に、自己触媒型無電解金めっきにより厚膜化をはかる2段階の工程を含む方法、2)厚付け置換金めっきにより厚膜を作成する一段階の工程で行う方法、3)電気金めっきによる皮膜形成、が行われている。1)の置換金めっきとは、被めっき面の下地金属と金イオンおよび/または金イオン錯体との電気的な置換反応による金析出のことであり、自己触媒金めっきとは金を触媒とする還元剤による金析出のことである。1)の例として特開2001−185836等があり、この場合、金の成膜工程が二つになるため単純には工程数増加によるコスト増加等の問題が生じやすい。2)の厚付け置換金めっきの場合は、一工程で可能であるが置換反応の特性から下地金属表面に酸化膜を生成しやすく有孔度も高くなりやすい。3)の電気金めっき場合は、一般に微細部に均一な皮膜を形成できず、複雑な回路になると電気的導通をとるのが困難となり実用的には本法は適用できないといった短所が存在する。特に置換金めっきの場合、金めっき後の表面にニッケルが拡散しやすいため、ボンディング性能の低下等の不具合を発生しやすくなる(表面実装技術 vol.5(11),52(1995))。
【0005】さらに、下地金属を触媒とする還元剤による下地触媒(表面触媒)金めっきによる方法があるが(C. D. Iacovangeloらの米国特許4863766)、下地金属表面に金を被覆するものであるため、一旦金が被覆されるとそれ以上、金の厚膜化を図ることができず、さらに、シアン化合物を含むものであった。シアン化合物は、保管及び管理の問題や各種処理時の安全性の問題に加え、廃液処理費用がかさむという問題もある。このため、これまでもシアン化合物を含有しない無電解金めっき液の開発が望まれてきた。また、金、ニッケル、パラジウム等に対し触媒作用を有する、ヒドラジン系およびボロンベースの還元剤を2種組み合わせた還元剤を用いて、金およびニッケル上に直接金めっきを行うことのできる金めっき液があるが(J.Electrochem.Soc.,Vol.138,No.4(1991)976〜982、米国特許4979988)、いわゆる自己触媒および下地金属触媒作用による金めっきであって、かかる金めっき液においては、置換反応金めっきによる特定の膜厚の膜が形成されず、密着性の優れたものが得られるとはいえない。さらに、この金めっき液はシアン化合物を含むものである。
【0006】
【発明が解決すべき課題】従って、本発明の課題は、前記従来のそれぞれの無電解めっき液のもつ問題点を解消し、密着性が良好でかつ有孔度の低い均一な金皮膜を一工程で形成することのできる無電解金めっき液を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねる中で、金および下地金属によって酸化される還元剤を含む無電解金めっき液において置換反応金めっきと下地触媒金めっき、自己触媒金めっきとを適宜に生起せしめることのできる無電解金めっき液であれば、上記課題を解決できることを見出し本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、置換反応による金の析出量が15μg/cm以上となる無電解金めっき液であって、金によって酸化される還元剤と、該還元剤と同種又は異種の、下地金属によって酸化される還元剤とを含む、前記無電解金めっき液に関する。また、本発明は、下地金属に対し直接金めっきするための、前記無電解金めっき液に関する。さらに、本発明は、下地金属によって酸化される還元剤の作用によって析出する金の膜厚が総膜厚の10〜70%となる、前記無電解金めっき液に関する。また、本発明は、シアン化合物を含まない、前記無電解金めっき液に関する。さらに、本発明は、下地金属が、ニッケル、パラジウム、白金、銀、コバルトおよびこれらの合金からなる群から選択される1種または2種以上の金属である、前記無電解金めっき液に関する。また、本発明は、金塩、錯化剤、pH緩衝剤、pH調整剤、安定剤、および反応促進剤からなる群から選択される1種または2種以上をさらに含む、前記無電解金めっき液に関する。
【0009】本発明の無電解金めっき液は、無電解金めっきであるため、微細部への均一な皮膜形成が可能であり、かつ厚付け置換金めっきより有孔度が低く、一工程で0.2μm以上の金皮膜を形成することが可能である。これは、本発明の無電解金めっき液においては、置換反応による金めっき、下地金属および金に対する触媒作用による金めっきが同時又は逐時に起こることによる。例えば、本発明の無電解金めっきを用いると、まず置換反応により下地金属との強固に結合した金めっきを形成し、その後下地金属に対する触媒作用により、下地金属を侵食することなく下地上に均一で密着性が良好な金が直接被覆され、さらに金に対する触媒作用による金めっきにより、厚膜化を図ることができる。さらに、本発明の無電解金めっき液は、下地金属および金に対する触媒作用を有しながらも、シアン化合物を必ずしも必要とすることなく、安定して使用することができる。また、置換金めっきによる金の反応を制御することにより、金の析出量を適宜調節することができ、従来の置換金めっきで起こる下地への侵食作用を制御することもできる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明の無電解金めっき液を詳細に説明する。金源、錯化剤、pH緩衝剤、pH調整剤、還元剤、安定剤等を含む無電解金めっき液を用いて下地金属の被覆を行う。下地金属としては、具体的には、ニッケル、パラジウム、白金、銀、コバルトおよびこれらの合金が挙げられる。本発明の無電解金めっき液は、置換反応による金の析出量が、15μg/cm以上となるよう調整されたものであり、金皮膜の下地金属に対する密着性を考慮すると、25μg/cm以上が好ましく、さらに、40μg/cm以上が好ましい。液の調整は、後述のように用いる還元剤およびその添加量、さらに錯化剤、安定剤および反応促進剤を適宜選択し、置換反応と下地触媒金めっき、自己触媒金めっきとを適宜に生起せしめるよう調整することにより得ることができる。下地金属触媒作用によって析出する金の膜厚が、均一な膜および膜の密着性を考慮して、好ましくは総膜厚の10〜70%、さらに20〜60%となるよう調整するのが好ましい。
【0011】本発明に用いられる金源としては、具体的には、亜硫酸金塩や塩化金酸塩等のシアンを含まない可溶性金塩及び/又はその溶液が挙げられる。シアンを含まない金源を用いることが、安全性および廃液処理の問題を考慮すると好ましい。しかし、シアンを含まない組成とする場合、シアン以外の金錯体はいずれも錯安定度定数がシアン錯体より小さく不安定であり、強い還元剤を用いると浴分解を起こすため、適度な還元作用を持った還元剤の選択が重要となる。また、還元剤の作用はpHや温度に大きく影響されるため、好適なpH緩衝剤を選択するべきである。更に、浴分解を抑制するための安定剤として、金属表面への吸着作用を持った化合物や、金属イオンマスキング用の錯化剤等を適宜選択して用いることにより、自己触媒作用による金めっきを安定して効果的に行うことができる。金源として、例えば亜硫酸金ナトリウムを用いる場合には、その濃度範囲は、析出皮膜の物性を考慮すると、金濃度で換算して、0.001〜0.5Mが好ましく、さらに好ましくは0.005〜0.1Mである。
【0012】錯化剤としては、具体的には、亜硫酸塩、チオ硫酸塩等の一価あるいは三価の金イオンと錯体形成可能な化合物等が挙げられる。錯化剤として、例えば亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムを用いる場合には、その濃度範囲は、それぞれ0.05〜2.0M、0〜1.0Mが好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.8M、0.04〜0.2Mで、その好適組成比は1:0.1〜1の範囲である。錯化剤の濃度は金の濃度に依存するが、金イオンに対する安定性および浴の安定性、溶解度、浴の粘度等を考慮して、適宜調整して用いる。特にチオ硫酸は、その還元作用から、析出速度は速くなるものの同時に浴の不安定化も引き起こし、更に密着性も低下することになり、多く用いた場合には、デメリットの方が多くなる。
【0013】pH緩衝剤としては、例えば、リン酸塩、四ホウ酸塩、ホウ酸塩等が挙げられる。pH緩衝剤として、リン酸水素二ナトリウム、四ホウ酸を用いた場合には、その濃度範囲はそれぞれ0.02〜1.0M、0.001〜0.12Mが好ましく、さらに好ましくは0.04〜0.50M、0.01〜0.1Mである。これらを混合、あるいは単独で用いるわけであるが、使用するpHにより緩衝作用が異なることに注意しなければならない。具体的には、pH8〜10付近で用いる場合、リン酸緩衝液は、四ホウ酸と比べpHが安定せず、リン酸と四ホウ酸の混合あるいは四ホウ酸単独での組成が好ましく、pH7付近の場合は逆にリン酸緩衝液の方が安定であるためそちらを優先して使用する。また下地金属種により皮膜の酸化を引き起こし、めっき外観を著しく悪化させる場合もあるため、使用時にはこの点にも注意を払うべきである。
【0014】pH調整剤としては、例えば、硫酸、塩酸、リン酸等の各種酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物塩および制限付きでNROH(R:水素またはアルキル)等のアミン類等を使用することができる。pH調整剤として、例えばリン酸緩衝液を用いる場合は、リン酸と水酸化ナトリウムあるいは水酸化カリウムにより行うのが好ましい。pHは、組成に合わせて5〜11の範囲が好ましく、さらに好ましくは、6.5〜9.5である。
【0015】下地金属および金によって酸化される還元剤としては、一般的な還元剤を用いることができる。例えば錯化剤としても使用している亜硫酸、チオ硫酸の他に、ヒドロキシルアミンおよびその塩類又はその誘導体、ヒドラジン、ジメチルアミンボラン等のアミンボラン化合物、水素化ホウ素ナトリウム等の水素化ホウ素化合物、ブドウ糖等の糖類、次亜リン酸塩類を単独あるいは混合したもの等が挙げられる。その他、Nernstの式により、金イオンあるいは金錯体より金を還元析出させることが可能と判断される化合物であれば、いずれを用いてもよいが、他の浴構成成分に対する反応性および浴の安定性等を考慮して使用する。金及び下地金属両方に対し作用する還元剤を用いることもできるが、pH、温度、錯化剤等の条件により、金及び下地金属のそれぞれに対する作用が異なることもあるため、その場合には2種以上の還元剤を適宜用いる。例えばヒドラジン、次亜リン酸ナトリウム、ヒドロキシルアミン塩酸塩などは高pH条件では下地金属(Niの場合)及び金どちらでも還元剤として働くが、低pHではNi上でのみ還元剤として作用し、金上では作用しない。また、これら還元剤の中にはヒドラジンのように、人体に有害な作用を及ぼし得るものもあるため、使用の際には目的や使用環境、下地金属の種類等に合わせて選択する必要がある。還元剤として、例えば、ヒドロキシルアミン塩酸塩を用いた場合には、その濃度範囲は1.0M以下が好ましく、さらに好ましくは0.005〜0.3Mである。還元剤の量は、促進剤や安定剤にもよるが、少ない場合には、めっき反応は進むが、この場合置換反応の比率が高くなり、下地への侵食による問題が発生しやすくなる。また、多い場合には、めっき反応は進行するが、この場合触媒作用が強くなり、浴の不安定化を招くことなるため、量を適宜調整して用いる。
【0016】その他安定剤および/又は自己触媒反応抑制剤として、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)や2−メルカプトベンゾイミダゾール(MBI)、メルカプト酢酸のような−SH構造を含む化合物を使用できるが、これらは還元剤や他の組成物との組み合わせにより反応し、浴の不安定化を引き起こすものもあるため、選択には注意が必要である。その他に1,10−フェナントロリンや2,2’−ビピリジル、あるいはクペロンやシトシンといった窒素原子を含む環状化合物のうち水に可溶なものも使用できるが、中には極端に金の成膜を抑制するものもあるため、使用時にはその添加量の制御が必要となる。安定剤としてMBTあるいはMBIを用いた場合には、その濃度範囲は50ppm以下が好ましく、更に好ましくは20ppm以下である。
【0017】本発明に用いられる反応促進剤としては、一般に錯化剤として用いられるエチレンジアミン四酢酸(EDTA)やエチレンジアミン(En)、ニトリロ三酢酸(NTA)やイミノ二酢酸(IDA)の塩、グリシン等のアミノ酸類、あるいは酒石酸、リンゴ酸、クエン酸等のオキソカルボン酸類の添加が可能であるが、これらは置換反応も促進するため皮膜物性の低下や下地への侵食が問題となり得るので使用時には添加量の制御が必要になる。促進剤としてグリシンを用いた場合には、その濃度範囲は、例えば、0.5M以下が好ましく、更に好ましくは0.2M以下である。ただしこれら促進剤は置換反応も同時に促進するため、還元剤や安定剤の作用により添加量を調整しなければならない。また、使用温度は、還元剤にもよるが、30〜90℃で使用可能であり、更に好ましくは40〜70℃の範囲である。
【0018】その他添加剤としては適切な濃度範囲の結晶粒形調整剤や光沢剤等が使用可能である。また、これ以外にも前記の条件を満たす組成であれば使用可能となる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の無電解金めっき液について、実施例および比較例によって更に詳しく説明するが、これらは本発明を何ら限定するものでない。本発明の無電解金めっき液によって得られた金皮膜の膜厚、置換反応率(=置換反応による膜厚/総膜厚)、密着性、の評価を行った。膜厚測定はSII製蛍光X線膜厚計にて行い、置換反応率はめっき操作にて浴中に溶出したNi量から換算した。密着性はJIS H8504 「めっきの密着性試験方法」に基づきテープテストにて評価を行った。また、有孔度はゼラチン定電位法(F.V.Bedetti and R.V.Chiarenzelli,plating 53,305,1966)により実施した。めっき試片には銅板を用い、これに以下の手順でNi合金めっきを行い試験に用いた。
【0020】銅板前処理脱脂(奥野製薬工業製 アシッドクリン115) 60℃ 5min→エッチング(過硫酸ナトリウム 150g/L、98%硫酸 2mL/L) 1min→98%硫酸 10mL/L溶液浸漬 30sec→30%塩酸 10mL/L溶液浸漬 30sec→Pd触媒化(奥野製薬工業製 ICPアクセラ) 30sec→無電解Ni−Pめっき(奥野製薬工業製ICPニコロンGM、P含量 6〜8%、約5μm)→0.5mol/L 次亜リン酸溶液浸漬→金めっき処理【0021】実施例1前記の手順で銅板上に奥野製薬工業製ICPニコロンGMにてNi−P皮膜を作成した後、表1.No.1の液にて無電解金めっきを行った。60℃ 撹拌条件で1hr浸漬した結果、0.04μmの明黄色半光沢金皮膜が得られた。得られた皮膜はテープテストでも剥離せず密着性良好であり細孔はほとんど認められなかった。Ni溶出量から換算した置換反応率は27%であった。Auワイヤーボンディング強度も10gf以上と良好であった。
【0022】実施例2前記の手順で銅板上に奥野製薬工業製ICPニコロンGMにてNi−P皮膜を作成した後、表1.No.2の液にて無電解金めっきを行った。60℃ 撹拌条件で1hr浸漬した結果、0.68μmの明黄色半光沢金皮膜が得られた。得られた皮膜はテープテストでも剥離せず密着性良好であり細孔は全く認められなかった。Ni溶出量から換算した置換反応率は1%であった。
【0023】実施例3前記の手順で銅板上に奥野製薬工業製ICPニコロンGMにてNi−P皮膜を作成した後、表1.No.3の液にて無電解金めっきを行った。60℃ 撹拌条件で1hr浸漬した結果、0.08μmの明黄色半光沢金皮膜が得られた。得られた皮膜はテープテストでも密着性良好であり細孔はほとんど認められなかった。Ni溶出量から換算した置換反応率は15%であった。
【0024】実施例4前記の手順で銅板にPd触媒化までの前処理を行い、次いで無電解Ni−B皮膜を3μm形成した後、表1.No.4の液にて無電解金めっきを行った。60℃ 撹拌条件で1hr浸漬した結果、0.14μmの明黄色半光沢金皮膜が得られた。得られた皮膜はテープテストでも密着性良好であり細孔はほとんど認められなかった。Ni溶出量から換算した置換反応率は9%であった。Ni−P皮膜上にも同No.4の液でめっきを行い評価したがほぼ同様の結果であった。
【0025】実施例5前記の手順で銅板上に奥野製薬工業製ICPニコロンGMにてNi−P皮膜を作成した後、表1.No.5の液にて無電解金めっきを行った。60℃ 撹拌条件で1hr浸漬した結果、0.41μmの明黄色半光沢金皮膜が得られた。得られた皮膜はテープテストでも密着性良好であり細孔はほとんど認められなかった。Ni溶出量から換算した置換反応率は3%であった。
【0026】実施例6前記の手順で銅板上に奥野製薬工業製ICPニコロンGMにてNi−P皮膜を作成した後、表1.No.6の液にて無電解金めっきを行った。60℃ 撹拌条件で1hr浸漬した結果、0.09μmの明黄色半光沢金皮膜が得られた。得られた皮膜はテープテストでも密着性良好であった。Ni溶出量から換算した置換反応率は22%であった。
【0027】実施例7前記の手順で銅板上に奥野製薬工業製ICPニコロンGMにてNi−P皮膜を作成した後、表1.No.7の液にて無電解金めっきを行った。60℃ 撹拌条件で1hr浸漬した結果、0.40μmの明黄色半光沢金皮膜が得られた。得られた皮膜はテープテストでも密着性良好であり、比較例2の置換金めっきが析出面全面に細孔が認められたのに対し、本実施例ではこれより細孔は極端に少なくなっていた。Ni溶出量から換算した置換反応率は68%であった。
【0028】実施例8前記の手順で銅板にPd触媒化までの前処理を行い、次いで無電解Ni−B皮膜を3μm形成した後、表1.No.8の液にて無電解金めっきを行った。60℃ 撹拌条件で1hr浸漬した結果、0.15μmの明黄色半光沢金皮膜が得られた。得られた皮膜はテープテストでも密着性良好であり細孔はほとんど認められなかった。Ni溶出量から換算した置換反応率は37%であった。
【0029】実施例9前記の手順で銅板上に奥野製薬工業製ICPニコロンGMにてNi−P皮膜を作成した後、表1.No.9の液にて無電解金めっきを行った。60℃ 撹拌条件で1hr浸漬した結果、1.41μmの明黄色半光沢金皮膜が得られた。得られた皮膜はテープテストでも密着性良好であり、比較例2の置換金めっきが析出面全面に細孔が認められたのに対し、本実施例ではこれより細孔は極端に少なくなっていた。Ni溶出量から換算した置換反応率は31%であった。
【0030】実施例10前記の手順で銅板上に奥野製薬工業製ICPニコロンGMにてNi−P皮膜を作成した後、表1.No.10の液にて無電解金めっきを行った。60℃ 撹拌条件で1hr浸漬した結果、0.21μmの明黄色半光沢金皮膜が得られた。得られた皮膜はテープテストでも密着性良好であり、比較例2の置換金めっきが析出面全面に細孔が認められたのに対し、本実施例ではこれより細孔は極端に少なくなっていた。Ni溶出量から換算した置換反応率は7%であった。
【0031】実施例11前記の手順で銅板上に奥野製薬工業製ICPニコロンGMにてNi−P皮膜を作成した後、表1.No.11の液にて無電解金めっきを行った。60℃ 撹拌条件で1hr浸漬した結果、0.21μmの明黄色半光沢金皮膜が得られた。得られた皮膜はテープテストでも密着性良好であり細孔はほとんど無かった。Ni溶出量から換算した置換反応率は5%であった。
【0032】実施例12Ni板上に表1.No.12の液にて無電解金めっきを行った。60℃ 撹拌条件で1hr浸漬した結果、0.47μmの明黄色半光沢金皮膜が得られた。得られた皮膜はテープテストでも密着性良好であり細孔はほとんど無かった。Ni溶出量から換算した置換反応率は3%であった。
【0033】実施例13前記の手順で銅板上に奥野製薬工業製ICPニコロンGMにてNi−P皮膜を作成した後、表1.No.13の液にて無電解金めっきを行った。60℃ 撹拌条件で1hr浸漬した結果、0.35μmの明黄色半光沢金皮膜が得られた。得られた皮膜はテープテストでも密着性良好であり、比較例2の置換金めっきが析出面全面に細孔が認められたのに対し、本実施例ではこれより細孔は極端に少なくなっていた。Ni溶出量から換算した置換反応率は70%であった。
【0034】実施例14前記の手順で銅板上に奥野製薬工業製ICPニコロンGMにてNi−P皮膜を作成した後、表1.No.14の液にて無電解金めっきを行った。60℃ 撹拌条件で1hr浸漬した結果、1.19μmの明黄色半光沢金皮膜が得られた。得られた皮膜はテープテストでも密着性良好であり、比較例2の置換金めっきが析出面全面に細孔が認められたのに対し、本実施例ではこれより細孔は極端に少なくなっていた。Ni溶出量から換算した置換反応率は23%であった。
【0035】実施例15総膜厚を下地触媒、置換、自己触媒の3作用により得られる膜厚の合計とした時、置換反応率(=置換反応による膜厚/総膜厚)は各種の添加剤により制御される。前記の手順で銅板上に奥野製薬工業製ICPニコロンGMにてNi−P皮膜を作成した後、ヒドロキシルアミン塩酸塩の濃度を逐次変更した、表1.No.15の液にて置換反応率を変化させた結果を図1に示す。結果、ヒドロキシルアミン塩酸塩の添加量増加に伴い、置換反応率が減少した。0.001mol/L以下では80%以上、0.05mol/L以上では10%以下であり、広範囲にわたって制御可能であった。
【0036】実施例16実施例15と同様に置換反応率の制御例を示す。前記の手順で銅板上に奥野製薬工業製ICPニコロンGMにてNi−P皮膜を作成した後、MBIの濃度を逐次変更した、表1.No.16の液にて置換反応率を変化させた結果を図2に示す。結果、MBIの添加量増加に伴い、置換反応率が上昇した。MBI無添加時の置換反応率は10%以下であるのに対し、10ppm添加時は40%程度となった。
【0037】実施例17前記の手順で銅板上に奥野製薬工業製ICPニコロンGMにてNi−P皮膜を作成した後、表1.No.17の液にて無電解金めっきを行った。60℃ 撹拌条件で1hr浸漬した結果、0.12μmの明黄色半光沢金皮膜が得られた。得られた皮膜はテープテストでも密着性良好であった。Ni溶出量から換算した置換反応率は23%であり、同組成浴に金板を浸漬して得られた膜厚0.05μmから換算した自己触媒反応率は42%であった。更にこれらから下地触媒反応率を換算したところ35%であった。
【0038】実施例18前記の手順で銅板上に奥野製薬工業製ICPニコロンGMにてNi−P皮膜を作成した後、表1.No.18の液にて無電解金めっきを行った。60℃ 撹拌条件で1hr浸漬した結果、0.13μmの明黄色半光沢金皮膜が得られた。得られた皮膜はテープテストでも密着性良好であった。Ni溶出量から換算した置換反応率は18%であり、同組成浴に金板を浸漬して得られた膜厚0.02μmから換算した自己触媒反応率は15%であった。更にこれらから下地触媒反応率を換算したところ67%であった。
【0039】実施例19前記の手順で銅板上に奥野製薬工業製ICPニコロンGMにてNi−P皮膜を作成した後、表1.No.19の液にて無電解金めっきを行った。60℃ 撹拌条件で1hr浸漬した結果、0.07μmの明黄色半光沢金皮膜が得られた。得られた皮膜はテープテストでも密着性良好であった。Ni溶出量から換算した置換反応率は31%であり、同組成浴に金板を浸漬して得られた膜厚0.03μmから換算した自己触媒反応率は42%であった。更にこれらから下地触媒反応率を換算したところ28%であった。
【0040】比較例1比較として前記の手順で銅板上に奥野製薬工業製ICPニコロンGMにてNi−Pめっき皮膜を作成した後、特許第3148427号で公知である以下の組成の無電解自己触媒金めっきにて直接金めっき処理を行った。通常自己触媒金めっきは置換金の後に行われるものであり、本浴も置換金後の処理であれば良好な厚付け金皮膜が得られるものである。組成中のEMBTとは6−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾールのことである。
塩化金酸ナトリウム 2g/L as Au亜硫酸ナトリウム 12.5g/Lチオ硫酸ナトリウム 25g/Lリン酸水素二ナトリウム 9g/Lリン酸二水素ナトリウム 3g/LL−アスコルビン酸ナトリウム 40g/LEMBT 2ppmpH 7.0浴温 60℃60℃ 撹拌条件で1hr浸漬した結果、0.84μmの明黄色半光沢の金皮膜が得られた。得られた皮膜をテープテストにて評価したところ、全面剥離し密着性が全く得られなかった。これにより下地Ni−P上に直接めっきした場合であっても、良好な密着性の得られる本発明の無電解金めっき液の有効性を確認した。
【0041】比較例2前記の手順で銅板上に奥野製薬工業製ICPニコロンGMにてNi−Pめっき皮膜を作成した後、公知である以下の組成の置換金めっきにて処理を行った。本浴は置換金後に適切な自己触媒金めっき処理を行えば良好な金皮膜が得られるものである。
亜硫酸金ナトリウム 10g/L as Au亜硫酸ナトリウム 68g/Lクエン酸 26g/LpH 7.0浴温 85℃85℃ 撹拌条件で1hr浸漬した結果、0.05μmの明黄色光沢金皮膜が得られた。得られた皮膜はテープテストでも密着性良好であったが多数の細孔が認められた。これにより下地Ni−P上にめっきしても細孔がほとんど認められない皮膜が得られる本発明の無電解金めっき液の有効性を確認した。
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】
【表3】

【0045】
【発明の効果】以上のように、本発明の無電解金めっき液は、下地金属上に従来の金めっきによる金皮膜と比較して、細孔の少なく、かつ密着性が良好な金皮膜を一工程で形成することができる。
【出願人】 【識別番号】591045677
【氏名又は名称】関東化学株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋本町3丁目2番8号
【出願日】 平成14年1月30日(2002.1.30)
【代理人】 【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
【公開番号】 特開2003−221674(P2003−221674A)
【公開日】 平成15年8月8日(2003.8.8)
【出願番号】 特願2002−21028(P2002−21028)