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【発明の名称】 伸線性に優れた高強度鋼線材およびその製造方法
【発明者】 【氏名】白神 哲夫
【住所又は居所】東京都中央区新川2丁目12番8号 エヌケーケー条鋼株式会社内
【氏名】菊地 克彦
【住所又は居所】東京都中央区新川2丁目12番8号 エヌケーケー条鋼株式会社内
【氏名】冨田 邦和
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内
【氏名】船川 義正
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内
【氏名】塩崎 毅
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内
【課題】本発明は伸線性に優れた高強度鋼線材およびその製造方法に関する。

【解決手段】粒径:10nm未満の微細析出物が分散析出したフェライト単相組織を有し、質量%で、C≦0.10%、Si≦0.3%、Mn≦2%、Ti:0.03〜0.20%、Mo:0.05〜0.6%、且つTi/Mo:0.2〜2.0、更にNb≦0.08%、V≦0.15%、W≦1.5%、Ni≦2%、Cr≦2%の一種または二種以上、0.5≦(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)+(Nb/93)+(V/51)+(W/192)}≦1.5 残部Fe及び不可避的不純物よりなる線材。上記組成の鋼を1100℃以上で加熱後、仕上げ圧延温度800℃以上で圧延し、その後の冷却において、550〜700℃を0.5℃/sec以下で冷却する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 フェライト単相組織を有し、フェライト相中に粒径10nm未満の微細析出物が分散析出していることを特徴とする伸線性に優れた高強度鋼線材。
【請求項2】 質量%で、C≦0.1%、Si≦0.3%、Mn≦2%、Ti:0.03〜0.20%、Mo:0.05〜0.6%、残部Fe及び不可避的不純物よりなる請求項1記載の伸線性に優れた高強度鋼線材。
【請求項3】 鋼組成として更に式(1)を満足することを特徴とする請求項2記載の伸線性に優れた高強度鋼線材。
0.5≦(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)}≦1.5(1)
但し、各元素は含有量(質量%)とする。
【請求項4】 微細析出物がTiとMoの炭化物からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の伸線性に優れた高強度鋼線材。
【請求項5】 鋼組成として、更に質量%で、Nb≦0.08%、V≦0.15%、W≦1.5%の一種または二種以上を含有する請求項2記載の伸線性に優れた高強度鋼線材。
【請求項6】 鋼組成として更に式(2)を満足することを特徴とする請求項5記載の伸線性に優れた高強度鋼線材。
0.5≦(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)+(Nb/93)
+(V/51)+(W/184)}≦1.5 (2)
但し、各元素は含有量(質量%)とし、含有しないものは0とする。
【請求項7】 微細析出物が、TiとMoとNb,V,Wの内の少なくとも一種とを含む炭化物であることを特徴とする請求項5、6のいずれか一つに記載の伸線性に優れた高強度鋼線材。
【請求項8】 請求項1〜7のいずれかひとつに記載の高強度鋼線材を伸線加工することを特徴とする引張強度2000MPa以上の高強度鋼線。
【請求項9】 請求項2、3、5、6のいずれか一つに記載の組成を有する鋼を1100℃以上で加熱後、仕上げ圧延温度800℃以上で圧延し、その後の冷却において、700〜550℃を0.5℃/sec以下の冷却速度で冷却することを特徴とする伸線性に優れた高強度鋼線材の製造方法。
【請求項10】 請求項2、3、5、6のいずれか一つに記載の組成を有する鋼を1100℃以上に加熱後、仕上げ圧延温度800℃以上で圧延し、その後の冷却において、700〜550℃を0.5℃/sec以下で冷却した線材を伸線加工することを特徴とする高強度鋼線の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は橋梁用のワイヤーロープ、PC鋼線、ばね、スチールコード等に使用される高強度鋼線材およびその製造方法に関し、特に伸縮加工性に優れたφ16mm以下ものに関する。
【0002】
【従来の技術】橋梁用のワイヤーロープ、PC鋼線、ばね、スチールコード、高強度鋼線材はJISG3502(ピアノ線材)やJISG3506(硬鋼線材)などの高炭素鋼を、パテンテイング処理(オンライン,オフライン)後、伸線冷間加工−熱処理−仕上げ伸線加工し、製造されている。
【0003】高炭素鋼線材を加工硬化や合金元素の添加によるパーライトラメラ−間隔の調整により強化した場合、延性が低下するため、伸線中の断線低減や製品の撚り加工時の断線低減が課題となっている。
【0004】断線防止の方法として、特開昭49−123923号公報、特開昭52−12611号公報には炭窒化物によりγ粒を微細化し延性を向上させる方法、特公平7−11060号公報には中心偏析におけるMnの偏析ピークを軽減させることが提案されている。
【0005】また、特開平1−215928号公報には亜鉛メッキ鋼線のメッキ処理時、延性を向上させるため、メッキ前にブルーイング処理をすることが記載されている。尚、亜鉛メッキ鋼線のメッキ処理時の強度低下防止のため、Siを添加することがしられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これらに記載の伸線後の鋼線の延性(引張試験時の絞り)は50%未満に過ぎず、更に伸線を高強度化するには不充分であり、また、亜鉛メッキ鋼線のメッキ処理時の強度低下防止のためSiを添加すると伸線性が低下し、製品コストも上昇する。
【0007】そこで本発明では、伸線後の強度が2000MPa以上、絞り60%以上の伸線性に優れたφ16mm以下の高強度鋼線の素材(高強度鋼線材)およびその製造条件を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、伸線鋼材の延性を損なわず強度を向上させる方法について、鋼の組織、組成の観点から鋭意検討を行い、低炭素鋼をフェライト単相組織とし伸線加工時の延性を向上させ、加工後の該加工による硬化と微細析出物による析出硬化を利用した場合、伸線性を損なわず高強度鋼線材が得られることを見出した。
【0009】本発明は以上の知見を基に更に検討を加えてなされたものであり、すなわち、本発明は、1.フェライト単相組織を有し、フェライト相中に粒径10nm未満の微細析出物が分散析出していることを特徴とする伸線性に優れた高強度鋼線材。
【0010】2.質量%で、C≦0.1%、Si≦0.3%、Mn≦2%、Ti:0.03〜0.20%、Mo:0.05〜0.6%、残部Fe及び不可避的不純物よりなる1記載の伸線性に優れた高強度鋼線材。
【0011】3.鋼組成として更に式(1)を満足することを特徴とする2記載の伸線性に優れた高強度鋼線材。
0.5≦(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)}≦1.5(1)
但し、各元素は含有量(質量%)とする。
【0012】4.微細析出物がTiとMoの炭化物からなることを特徴とする1乃至3のいずれか一つに記載の伸線性に優れた高強度鋼線材。
【0013】5.鋼組成として、更に質量%で、Nb≦0.08%、V≦0.15%、W≦1.5%の一種または二種以上を含有する2記載の伸線性に優れた高強度鋼線材。
【0014】6.鋼組成として更に式(2)を満足することを特徴とする5記載の伸線性に優れた高強度鋼線材。
0.5≦(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)+(Nb/93)
+(V/51)+(W/184)}≦1.5 (2)
但し、各元素は含有量(質量%)とし、含有しないものは0とする。
【0015】7.微細析出物が、TiとMoとNb,V,Wの内の少なくとも一種とを含む炭化物であることを特徴とする5、6のいずれか一つに記載の伸線性に優れた高強度鋼線材。
【0016】8.1〜7のいずれかひとつに記載の高強度鋼線材を伸線加工することを特徴とする引張強度2000MPa以上の高強度鋼線。
【0017】9.2、3、5、6のいずれか一つに記載の組成を有する鋼を1100℃以上で加熱後、仕上げ圧延温度800℃以上で圧延し、その後の冷却において、700〜550℃を0.5℃/sec以下の冷却速度で冷却することを特徴とする伸線性に優れた高強度鋼線材の製造方法。
【0018】10.2、3、5、6のいずれか一つに記載の組成を有する鋼を1100℃以上に加熱後、仕上げ圧延温度800℃以上で圧延し、その後の冷却において、700〜550℃を0.5℃/sec以下で冷却した線材を伸線加工することを特徴とする高強度鋼線の製造方法。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明鋼線材のミクロ組織、成分組成および製造条件について以下に詳細に説明する。
【0020】1.ミクロ組織本発明に係る高強度鋼線材は伸線加工後、所望の強度の鋼線が得られるようミクロ組織をフェライト単相組織で且つ粒径10nm未満の微細析出物を含む組織に規定する。
【0021】伸線前の組織をフェライト単相組織とし、該組織中に微細析出物を分散析出させた場合、伸線性を損なわず、伸線加工後、所望の強度が得られる。
【0022】本発明においてフェライト単相組織とは、断面組織観察(200倍の光学顕微鏡組織観察)でフェライト面積率95%以上とし、好ましくは98%以上とする。
【0023】本発明では微細析出物は粒径10nm未満とする。析出物の粒径が10nm以上の場合、伸線加工による加工硬化によってもPC鋼線等高強度鋼線として必要な引張強さが得られない。
【0024】微細析出物の粒径は小さいほど強度向上に有効で、望ましくは5nm,更に望ましくは3nm以下とし、そのような微細析出物としてTi、Moを複合含有した炭化物、またそれらに更にNb,V,Wの一種または二種以上を含む炭化物が好ましい。
【0025】これらの微細析出物の分布形態は特に規定しないが、母相中に均一分散(分散析出)することが望ましい。
【0026】また、本発明において、微細析出物の大きさは、全析出物の90%以上で満足すれば、伸線加工後目的とする引張強さが得られる。但し、10nm以上の大きさの析出物は析出物形成元素を消費し、強度に悪影響をあたえるため、50nm以下とすることが好ましい。
【0027】上述した析出物とは別に少量のFe炭化物を含有しても本発明の効果は損なわれないが、平均粒径が1μm以上のFe炭化物を多量に含むと靭性を阻害するため、本発明においては含有されるFe炭化物の大きさ上限は1μm、含有率は全体の1%以下とすることが望ましい。
【0028】本発明における微細析出物の全析出物に占める割合は、次の方法で決定できる。まず電子顕微鏡試料を、ツインジェット法を用いた電解研磨法で作成し、加速電圧200kVで観察する。
【0029】その際、微細析出物が母相に対して計測可能なコントラストになるように母相の結晶方位を制御し、析出物の数え落としを最低限にするために焦点を正焦点からずらしたデフォーカス法で観察を行う。
【0030】また、析出物粒子の計測を行った領域の試料の厚さは電子エネルギー損失分光法を用いて、弾性散乱ピークと非弾性散乱ピーク強度を測定することで評価する。
【0031】この方法により、粒子数の計測と試料厚さの計測を同じ領域について実行することができる。粒子数および粒子径の測定は試料の0.5×0.5μmの領域4箇所について行い、1μm2当たりに分布する析出物を粒径ごとの個数として算出する。
【0032】この値と試料厚さから、析出物の1μm3当たりに分布する粒子径ごとの個数を算出し、径が10nm未満の析出物について、測定した全析出物に占める割合を算出する。
【0033】2.成分組成本発明鋼は上述したミクロ組織で目的とする性能が得られるが、以下の成分組成が好ましい。
【0034】CCは強度確保のため添加する。0.1%超えて含有すると微細析出物が粗大化し、強度が低下するため0.1%以下とすることが好ましい。
【0035】SiSiは強度確保ため添加する。0.3%を超えると伸線時の変形抵抗が高く、断線がしやすくなるため、0.3%以下とする。
【0036】MnMnは強度向上に有効なため添加するが、2%を超えると冷間加工性を劣化させるので2%以下とする。
【0037】TiTiはMoとともにTi−Mo系炭化物の析出物を微細に析出させ、強度を向上させるため添加する。0.03%未満では析出物量が少なく所望の強度が得られないため0.03%以上とし、一方、0.20%を超えて添加すると析出物が粗大化し、断線が生じるため0.03〜0.20%とする。
【0038】MoMoはTiとともにTi−Mo系炭化物の析出物を微細に析出させ、強度を向上させるため添加する。所望の引張強度を確保するため0.05%以上とし、一方、0.6%を超えて添加するとベイナイト等の低温変態相を形成し、微細析出物による析出強化が不足し、強度が低下するため0.05〜0.6%とする。Moは拡散速度が遅く、Tiとともに析出する場合、析出物の成長速度が低下し、微細な析出物が得られる。
【0039】
(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)}
本パラメータは、析出物の大きさに影響を与えるもので、0.5以上、1.5以下、好ましくは0.7以上1.2以下とした場合、粒径10nm未満の微細析出物の形成が容易となる。
【0040】微細なTi−Mo系炭化物では、炭化物中のTi,Moは原子比で2.0≧Ti/Mo≧0.2、更に微細な場合は1.5≧Ti/Mo≧0.7であることが観察された。
【0041】更に、特性を向上させる場合、Nb,V,Wの一種または二種以上を添加することが好ましい。
【0042】NbNbはTiとともに微細析出物を形成して強度上昇に寄与する。また組織を微細化し、結晶粒の整粒により延性を向上させる。0.08%を超えると析出物が粗大化するとともに、結晶粒が過度に微細化し、延性が低下するため0.08%以下とする。
【0043】VVはTiと微細析出物を形成するが、0.15%を超えると析出物が粗大化するようになるため、0.15%以下とする。
【0044】WWはTiと微細析出物を形成するが、1.5%を超えると析出物が粗大化するようになるため、1.5%以下とする。
【0045】これらの元素の添加においては、C,Ti,Mo,Nb,V,Wの原子比を規定することが炭化物の微細化に有効で(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)+(Nb/93)+(V/51)+(W/184)}を0.5以上、1.5以下、好ましくは0.7以上1.2以下とした場合、粒径10nm未満の微細析出物の形成が容易となる。
【0046】また、微細なTi−Mo−(Nb,V,W)系炭化物では、炭化物中の各元素は原子比で2.0≧(Ti+Nb+V)/(Mo+W)≧0.2、更に微細な炭化物では1.5≧(Ti+Nb+V)/(Mo+W)≧0.7であることが観察された。
【0047】また、本発明鋼では上記添加元素以外の残部はFe及び不可避不純物とするが、脱酸剤としてAlを0.1%以下添加することができる。また、強度、延性を向上させる場合、Ni,Crの一種または二種をNi≦2%、Cr≦2%の範囲で添加しても構わない。伸線性を更に向上させる場合には、不可避不純物であるP,NをP≦0.040%、N≦0.0080%に規制することが望ましい。
【0048】尚、これらの元素の含有量や添加の有無により本発明の効果が損なわれることはない。
【0049】3.製造条件図1は本発明に係る熱間鍛造部品の概略製造工程図でS1は線材製造工程、S2は搬送工程、S3は製品仕上げ過程を示す。線材製造工程(S1)で鋼塊を熱間圧延しφ16mm以下の線材とし、製品仕上げ過程(S3)で該線材を所定の寸法に伸線加工により鋼線とし、必要に応じてメッキ処理し、橋梁用ワイヤーロープ、PC鋼線、スチールコードなど所望の製品とする。以下に望ましい製造工程について詳細に説明する。
【0050】圧延加熱温度圧延加熱温度は1100℃以上とする。本発明では、圧延終了後の冷却中に微細析出物を析出させるため、熱間圧延時に溶解時から残存する炭化物を固溶させる。
【0051】圧延加熱温度を1100℃未満とした場合、溶解時から残存するTi−Mo系炭化物等が固溶しないため1100℃以上とする。
【0052】圧延仕上げ温度圧延仕上げ温度は800℃未満では圧延荷重が高く真円度が劣化するため800℃以上とする。
【0053】冷却速度圧延後の冷却速度の調整により、伸線加工前に微細析出物を析出させ、該析出による析出強化と伸線加工後の加工硬化により、所望の強度の製品とする。微細析出物の析出温度範囲の700〜550℃を、微細析出物が得られる限界冷却速度(0.5℃/sec)以下で冷却する。尚、冷却速度の規定は圧延後、線材が通過する巻き取り、搬送、集束のいずれかの工程において満足すれば良く、特にその工程は規定しない。図2に巻き取り以降の設備配置の一例を示す。
【0054】
【実施例】[実施例1]表1に示す種々の組成の鋼(No.1〜19)を用い、伸線性、線材の強度に及ぼす成分組成の影響について調査した。表中No.1〜11は本発明例(開発例)、No.12〜18は比較例、No.19は従来例を示す。
【0055】供試鋼を150kg真空溶解炉にて溶製し、1100℃以上で加熱後、仕上げ温度:950℃で圧延し線材とした後、巻取り温度:880℃で巻取り、冷却速度0.1℃/secで室温まで冷却した。
【0056】得られた線材は酸洗し、潤滑剤で皮膜処理を行った後、各ダイスでの減面率が平均25%のパススケジュールでφ2mmまで1次伸線し、更にφ0.5mmまで湿式伸線をおこなった。本工程において熱処理は実施しなかった。
【0057】圧延まま、1次伸線後および湿式伸線後に引張試験、捻回試験を行った。引張試験では引張強度、絞りを求めた。
【0058】捻回試験は線径の100倍の長さの部分を30rpmで断線するまで捻り、断線までの回転数と縦割れの発生状況を観察した。2次伸線後、0.4mmφの引張試験での絞りは測定困難のため、延性は捻回値のみ求めた。
【0059】組織観察は断面を光学顕微鏡で観察するとともに、析出物を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、その組成をエネルギー分散型X線分光装置(EDX)により求めた。
【0060】表2に試験結果を示す。本発明例(開発例)No.1〜11は伸線中の断線もなく、伸線後、所望の強度、延性が得られている。
【0061】一方、比較例のNo.12〜18、従来例のNo.19は微細析出物が得られなかった。No.12はCが上限を超え本発明範囲外で圧延後の組織がフェライト+パーライトとなり、延性が低く、伸線中に断線が多発し、捻回試験での縦われも顕著に観察された。
【0062】No.13はTi,Moが、No.14はMoが、No.15はTiが本発明範囲外で析出強化量が不足し、伸線後所望の強度が得られなかった。No.15はWが本発明範囲外であり伸線中の断線、捻回値が低く冷間加工性に劣る。
【0063】No.16はMo,Ti,Vが本発明範囲外で伸線性が悪く断線が頻発し、強度が低い。No.17はSiが本発明範囲外で高く、伸線中の断線が顕著で、またTiが本発明範囲外で低く析出強化が不足し強度が低い。
【0064】No.18はMoが本発明範囲外で高く伸線中に断線、捻回試験時に縦割れが観察された。No.19は従来鋼(SWRH82クラス)で、延性不足で1次伸線でも断線が頻発し、2次伸線加工を実施できなかった。
【0065】
【表1】

【0066】
【表2】

【0067】[実施例2]表3に、表1中、No.3の組成の鋼を用い、圧延後の引張強度(伸線加工前の引張強度)におよぼす製造条件の影響を調査した結果、表4に更に伸線加工後480℃で30秒の浸漬により亜鉛めっきを施した結果を示す。
【0068】表中、No.20はNo.3の組成の鋼で圧延加熱温度を本発明範囲外で低くし、No.21はNo.3の組成の鋼で仕上げ温度、冷却速度を本発明範囲外としたものである。
【0069】本発明鋼であるNo.3は、圧延後1000MPaを超える引張強度が得られたが、No.20,21はいずれの鋼も析出強化が不充分で十分な強度が得られなかった。
【0070】また、480℃×30秒に浸漬される亜鉛めっき後も本発明鋼では強度低下はほとんど観察されなかった。これは、圧延後得られる微細析出物が高温でも安定なためであり、本発明の特徴のひとつである。
【0071】
【表3】

【0072】
【表4】

【0073】
【発明の効果】本発明によれば、伸線性に優れ且つ高強度な鋼線材およびその製造方法が得られ、産業上極めて有用である。
【出願人】 【識別番号】399009642
【氏名又は名称】エヌケーケー条鋼株式会社
【住所又は居所】東京都中央区新川2丁目12番8号
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区内幸町二丁目2番3号
【出願日】 平成14年4月26日(2002.4.26)
【代理人】 【識別番号】100083839
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 泰男
【公開番号】 特開2003−321742(P2003−321742A)
【公開日】 平成15年11月14日(2003.11.14)
【出願番号】 特願2002−125406(P2002−125406)