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【発明の名称】 |
アルミダイカスト製吸放熱部品 |
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【氏名】冨士田 義夫 【住所又は居所】愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会社豊田自動織機内 【氏名】平井 秀敏 【住所又は居所】愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会社豊田自動織機内 【氏名】岡本 好司 【住所又は居所】愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会社豊田自動織機内 【氏名】記伊 雅之 【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内 【氏名】大西 謙一 【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内 |
【課題】より吸熱性又は放熱性に優れたアルミダイカスト製吸放熱部品を提供する。
【解決手段】ダイカストにより鋳造されたアルミニウム合金からなり、放熱性が要求されるインバータケース1において、アルミニウム合金はSiの含有量が9.6質量%未満である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】ダイカストにより鋳造されたアルミニウム合金からなり、吸熱性又は放熱性が要求されるアルミダイカスト製吸放熱部品において、前記アルミニウム合金はSiの含有量が9.6質量%未満であることを特徴とするアルミダイカスト製吸放熱部品。 【請求項2】アルミニウム合金はSiの含有量が5.5質量%未満であることを特徴とする請求項1記載のアルミダイカスト製吸放熱部品。 【請求項3】アルミニウム合金はSiの含有量が2.5質量%以上であることを特徴とする請求項1又は2記載のアルミダイカスト製吸放熱部品。 【請求項4】アルミニウム合金は0.05質量%以上のFeを含むことを特徴とする請求項1、2又は3記載のアルミダイカスト製吸放熱部品。 【請求項5】アルミニウム合金は0.2質量%以下でMgを含むことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のアルミダイカスト製吸放熱部品。 【請求項6】アルミニウム合金はCuを実質的に含まないことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載のアルミダイカスト製吸放熱部品。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はアルミダイカスト製吸放熱部品に関する。このアルミダイカスト製吸放熱部品は、電気自動車やハイブリッド車等のインバータケース等に用いて好適である。 【0002】 【従来の技術】現在のハイブリッド車では、高電圧のバッテリとともにインバータ及びDC/DCコンバータが用いられており、バッテリで得られた電力がコンバータにより降圧され、これが補機類に供給されたり、インバータにより交流に変換されて走行用モータを駆動するようになっている。この間、インバータやコンバータを構成する内部の電子部品には大電流が流れるため、それらは高温になりやすく、インバータの外郭を構成するインバータケースやコンバータの外郭を構成するコンバータケースには、これら電子部品を冷却すべく、高い放熱性が要求される。このため、それらインバータケース等は、軽量性と、多くの放熱フィンを有する必要性とから、アルミニウム合金をダイカストにより鋳造することにより製造されていた。 【0003】かかるインバータケース等、吸熱性又は放熱性が要求される従来のアルミダイカスト製吸放熱部品を構成するアルミニウム合金は、機械的性質や鋳造性の観点から、自動車部品等のダイカスト材としてよく用いられるADC12(JIS5302)であった。 【0004】このADC12は、規格上、Siが9.6〜12.0質量%、Cuが1.5〜3.5質量%、Mgが0.3質量%以下、Znが1.0質量%以下、Feが1.3質量%以下、Mnが0.5質量%以下、Niが0.5質量%以下、Snが0.2質量%以下及びAlが残部の組成を有している。 【0005】また、ADC12は、文献上、引張試験による引張強さが320N/mm2、引張試験による耐力が170N/mm2、引張試験による伸びが1%、せん断強さが210N/mm2、疲れ強さが140N/mm2、擬弾性係数が70.6kN/mm2、導電率が23%IACS、熱伝導率が96W/(m・K)、20〜100°Cにおける熱膨張係数が20.5×10-6/K、比重が2.70、凝固温度範囲が液相で580°C、固相で515°Cである。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかし、さらに吸熱性又は放熱性に優れたアルミダイカスト製吸放熱部品が求められている。 【0007】この点、特開昭64−42549号公報や特開平2−122548号公報に記載されているように、半導体素子のヒートシンク等に用いられるSiを非常に多く含有するアルミニウム合金をそのアルミダイカスト製吸放熱部品に採用することも考えられる。 【0008】しかしながら、これらのアルミニウム合金は熱伝導率が低く、かつそれらの技術ではそれらのアルミニウム合金を鍛造することによりヒートシンク等を製造していた実績があるにすぎないことから、多くの吸熱又は放熱フィンを有する必要性のあるインバータケース等のアルミダイカスト製吸放熱部品にそれらの技術をそのまま採用することはできない。 【0009】本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、より吸熱性又は放熱性に優れたアルミダイカスト製吸放熱部品を提供することを解決すべき課題としている。 【0010】 【課題を解決するための手段】発明者らは、上記課題解決のために鋭意研究を行い、ADC12中のSiの含有量を減少させていくことにより、より吸熱性又は放熱性に優れたアルミダイカスト製吸放熱部品が得られることを発見し、本発明を完成させるに至った。 【0011】すなわち、本発明のアルミダイカスト製吸放熱部品は、ダイカストにより鋳造されたアルミニウム合金からなり、吸熱性又は放熱性が要求されるアルミダイカスト製吸放熱部品において、前記アルミニウム合金はSiの含有量が9.6質量%未満であることを特徴とする。 【0012】発明者らの試験結果によれば、Siの含有量が9.6質量%未満のアルミニウム合金の熱伝導率はADC12のそれより高くなる。 【0013】したがって、本発明のアルミダイカスト製吸放熱部品はさらに優れた吸熱性又は放熱性を発揮することができる。 【0014】なお、Siの含有量が9.6〜12.0質量%のADC12の熱伝導率は、文献上96W/(m・K)であったが、発明者らの試験結果によれば、130W/(m・K)であった。このため、この明細書においては、後述するように、発明者らの試験結果によって評価を行なうこととする。 【0015】アルミニウム合金はSiの含有量が5.5質量%未満であることがより好ましい。発明者らの試験結果によれば、Siの含有量が5.5質量%未満のアルミニウム合金の熱伝導率は170W/(m・K)を超える。このため、こうして得られるアルミダイカスト製吸放熱部品は確実に優れた吸熱性又は放熱性を発揮することができる。 【0016】アルミニウム合金はSiの含有量が2.5質量%以上であることが好ましい。発明者らの試験結果によれば、Siの含有量が少ないアルミニウム合金程、熱伝導率は高くなり、99.99〜100質量%のアルミニウム(Al)の熱伝導率は247W/(m・K)である。しかし、アルミニウム合金中のSiを減量させることは、こうして熱伝導性の点では良好な結果をもたらすものの、溶湯の湯回りを示す流動性(ダイカスト性)、凝固時の引け性及びアルミダイカスト製吸放熱部品の強度の点では好ましくない結果をもたらす。アルミダイカスト製吸放熱部品は、上述のように、高い吸熱性又は放熱性が要求されることから、多くの吸熱フィンや放熱フィンを有する必要性が高いため、ダイカスト性や引け性が重要な要素となるとともに、実用的な引張強さが重要な要素となる。Siの含有量が2.5質量%未満のアルミニウム合金では、それらダイカスト性及び引け性が十分でないとともに、実用的な引張強さ150N/mm2が得られない。なお、アルミニウム合金中のSiを減量させることは、アルミダイカスト製吸放熱部品の耐焼付き性、耐食性及び切削性にさほどの影響を与えない。 【0017】アルミニウム合金は0.05質量%以上のFeを含むことが好ましい。発明者らの試験結果によれば、Feの含有量が少ないアルミニウム合金程、Si以上に熱伝導率は高くなる。しかし、アルミニウム合金中のFeを減量させることは、こうして熱伝導性の点では良好な結果をもたらすものの、耐焼付き性の点では好ましくない結果をもたらす。従って、アルミニウム合金を低コストで量産するため、アルミニウム合金は0.05質量%以上のFeが含まれていることが好ましい。なお、アルミニウム合金中のFeを減量させることは、ダイカスト性、引け性、強度、耐食性及び切削性にさほどの影響を与えない。 【0018】アルミニウム合金は0.2質量%以下でMgを含むことが好ましい。発明者らの試験結果によれば、アルミニウム合金中のMgを減量させれば、熱伝導率、ダイカスト性及び引け性の点では良好な結果をもたらす。しかし、アルミニウム合金中のMgを減量させることは、強度及び耐食性の点では好ましくない結果をもたらす。0.2質量%以下でMgを含まないアルミニウム合金では、実用的な強度及び耐食性が得られない。これはMgの固溶体強化作用が低下したためと考えられる。なお、アルミニウム合金中のMgを減量させることは、耐焼付き性及び切削性にさほどの影響を与えない。 【0019】アルミニウム合金はCuを実質的に含まないことが好ましい。発明者らの試験結果によれば、Cuの含有量が少ないアルミニウム合金程、Si以上に熱伝導率は高くなるからである。また、アルミニウム合金中のCuを減量させることは、ダイカスト性の点で良好な結果をもたらすからである。なお、アルミニウム合金中のCuを減量させることは、強度、耐食性及び切削性の点では好ましくない結果をもたらすが、これらはアルミダイカスト製吸放熱部品としてさほどの影響を生じない。また、アルミニウム合金中のCuを減量させることは、引け性及び耐焼付き性にさほどの影響を与えない。 【0020】 【発明の実施の形態】(試験)Si等の含有量を種々異ならせたアルミニウム合金の特性について試験を行なう。 【0021】(1)本試験では導電率(%IACS)を測定することにより熱伝導率(W/(m・K))を推定しているため、初めに、JIS金属データブックに記載されている導電率及び熱伝導率と、実際に測定した導電率及び熱伝導率とを図1に示す。図中、■がJISデータであり、◆が実測値である。 【0022】図1より、導電率をx、熱伝導率をyとした場合、JISデータではy=3.510x+14.38の関係があり、実測値ではy=3.091x+51.23の関係があることがわかる。このようにJISデータと実測値とで関係式に相違があるのは、JISデータではSiの含有量にも幅があることと、測定機器にもバラツキがあり得ることとによるものと思われる。このため、発明者らはADC12の熱伝導率を実測値の130W/(m・K)と評価した。 【0023】(2)Siを2.0〜4.5質量%の範囲で変化させ、Alが残部とした組成のSi−Al合金を用意する。また、Siを2.5〜5.5質量%の範囲で変化させ、Mgが0.2質量%、Alが残部とした組成のSi−Mg−Al合金を用意する。 【0024】これらアルミニウム合金におけるSiの含有量(質量%)と熱伝導率との関係を求めた。結果を図2に示す。図中、◆がSi−Al合金であり、■がSi−Mg−Al合金である。 【0025】図2より、Siの含有量が少なくなれば、アルミニウム合金の熱伝導率が大きくなることがわかる。このため、Siの含有量が9.6質量%未満のアルミニウム合金であれば、熱伝導率がADC12のそれより高くなることがわかる。 【0026】また、Siの含有量が5.5質量%未満のアルミニウム合金であれば、熱伝導率は優れた吸熱性又は放熱性の期待できる170W/(m・K)を超えることがわかる。このため、アルミニウム合金はSiの含有量が5.5質量%未満であることがより好ましいことがわかる。 【0027】さらに、アルミニウム合金中のMgを減量させれば、アルミニウム合金は熱伝導率の点で良好な結果をもたらすことがわかる。また、アルミニウム合金中のMgを減量させれば、ダイカスト性及び引け性の点でも良好な結果をもたらした。 【0028】(3)Siを1.8〜5.5質量%の範囲で変化させるとともに、Feを0.05〜0.95質量%の範囲で変化させ、Alが残部とした組成のSi−Fe−Al合金を用意する。また、Siを1.8〜5.5質量%の範囲で変化させ、Mgが0.2質量%、Alが残部とした組成のSi−Mg−Al合金を用意する。 【0029】これらアルミニウム合金におけるSiの含有量とFeの含有量とMgの添加の有無における熱伝導率との関係を求めた。結果を図3に示す。図中、◆がSi−Al合金であり、■がSi−Mg−Al合金である。また、図中の数字が熱伝導率である。また、ハッチングの範囲はダイカスト性及び凝固時の引け性が悪いことを示す。 【0030】図3より、アルミニウム合金はSiの含有量が5.5質量%未満であれば、熱伝導率は優れた吸熱性又は放熱性の期待できる170W/(m・K)を超えることがわかる。また、Feの含有量が少ないアルミニウム合金程、Si以上に熱伝導率は高くなることがわかる。さらに、アルミニウム合金中のSiを減量させることは、熱伝導性の点では良好な結果をもたらすものの、ダイカスト性及び引け性の点では好ましくない結果をもたらすこともわかる。そして、Siの含有量が2.5質量%未満のアルミニウム合金では、ダイカスト性及び引け性が十分でない。なお、アルミニウム合金中のFeを減量させることは、ダイカスト性及び引け性にさほどの影響を与えない。 【0031】(4)(3)と同一のアルミニウム合金について、Siの含有量とFeの含有量とHv硬度との関係を求めた。結果を図4に示す。図中の数字がHv硬度である。なお、ADC12のHv硬度は90である。また、ハッチングの範囲はダイカスト性及び凝固時の引け性が悪いことを示す。 【0032】図4より、アルミニウム合金中のSiを減量させることは、強度の点では好ましくない結果をもたらすことがわかる。なお、アルミニウム合金中のSiを減量させることは、耐焼付き性、耐食性及び切削性にさほどの影響を与えない。また、アルミニウム合金中のFeを減量させることは、耐焼付き性の点では好ましくない結果をもたらすことがわかる。0.05質量%以下でFeを含まないアルミニウム合金では、耐焼付き性が極端に低下してしまう。なお、アルミニウム合金中のFeを減量させることは、強度、耐食性及び切削性にさほどの影響を与えない。 【0033】(5)Siを1.50質量%、Alが残部とした組成のSi−Al合金(B−11)と、Siを2.80質量%、Mgが0.2質量%、Alが残部とした組成のSi−Mg−Al合金(B−5)と、Siを3.40質量%、Mgが0.2質量%、Alが残部とした組成のSi−Mg−Al合金(A−2)と、Siを3.50質量%、Alが残部とした組成のSi−Al合金(A−9、B−9)との各溶湯を用意する。これらの溶湯で舟型又はダイカストにより幅4cm、厚さ3cm、長さ27cmの試料を鋳造する。A−2及びA−9のアルミニウム合金の溶湯では舟型を採用し、B−5、B−9及びB−11のアルミニウム合金の溶湯ではダイカストを採用した。 【0034】これらのアルミニウム合金におけるSiの含有量と引張強さ(MPa)との関係を求めた。結果を図5に示す。図中、■がB−11のアルミニウム合金であり、▲がB−5のアルミニウム合金であり、◆がA−2のアルミニウム合金であり、★がA−9のアルミニウム合金であり、☆がB−9のアルミニウム合金である。Aは舟型試験片を意味し、Bはダイカスト製品を意味する。 【0035】図5より、Siの含有量が2.5質量%未満のアルミニウム合金では、実用的な引張強さ150N/mm2が得られないことがわかる。また、アルミニウム合金中にMgを添加すれば、強度の点で好ましいことがわかる。0.2質量%でMgを含むアルミニウム合金では、実用的な引張強さ150N/mm2が得られる。 【0036】また、Cuの含有量が少ないアルミニウム合金程、Si以上に熱伝導率は高くなり、アルミニウム合金中のCuを減量させることは、ダイカスト性の点で良好な結果をもたらすことから、アルミニウム合金はCuを実質的に含まないことが好ましい。 【0037】(実施形態)次に、本発明のアルミダイカスト製吸放熱部品をハイブリッド車のインバータケースに具体化した実施形態を図面を参照しつつ説明する。 【0038】図6に示す実施形態のインバータケース1は、Siを3.40質量%、Mgが0.2質量%、Alが残部とした組成のSi−Mg−Al合金をダイカストにより鋳造することにより製造した。 【0039】得られたインバータケース1は、熱伝導率が174W/(m・K)であり、引張強さが150N/mm2であった。また、このインバータケース1は、多くの放熱フィン1aを有するにもかかわらず、優れたダイカスト性及び引け性を有していた。なお、このインバータケース1の耐焼付き性、耐食性及び切削性に問題はなかった。 【0040】ハイブリッド車において、得られたインバータケース1は、図7に示すように、下方のコンバータケース2上に固定され、各放熱フィン1aがコンバータケース2に当接される。各放熱フィン1a及びコンバータケース2により、冷却水路が形成される。そして、インバータケース1内にはシリコングリス3、銅製の放熱板4及び樹脂製の絶縁体5を介して電子部品としてのパワー素子(IGBT)6が固定される。こうして、このインバータケース1はさらに優れた放熱性を発揮する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003218 【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機 【住所又は居所】愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社 【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
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| 【出願日】 |
平成13年9月18日(2001.9.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100109069 【弁理士】 【氏名又は名称】中村 敬
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| 【公開番号】 |
特開2003−89838(P2003−89838A) |
| 【公開日】 |
平成15年3月28日(2003.3.28) |
| 【出願番号】 |
特願2001−283142(P2001−283142) |
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