| 【発明の名称】 |
鉄鋼ダストからの亜鉛の回収方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】田邊 秋宏 【住所又は居所】愛媛県新居浜市磯浦町17−5住友金属鉱山株式会社新居浜研究所内
【氏名】紀井 伸之 【住所又は居所】愛媛県新居浜市磯浦町17−5住友金属鉱山株式会社新居浜研究所内
【氏名】岡田 修二 【住所又は居所】愛媛県新居浜市磯浦町17−5住友金属鉱山株式会社新居浜研究所内
【氏名】金坂 淳 【住所又は居所】愛媛県新居浜市磯浦町17−5住友金属鉱山株式会社新居浜研究所内
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| 【要約】 |
【課題】鉄鋼ダストの還元焙焼操業において、還元焙焼温度を通常の温度以上に高くすることなく亜鉛の揮発率を向上する方法を提供する。
【解決手段】亜鉛を含有する鉄鋼ダストに炭素質還元剤を添加して還元焙焼し、亜鉛を揮発回収する操業において、前記炭素質還元剤の量に対して、1.0重量%以上のNa2CO3を炭素質還元剤とともに添加する。前記手段を用いることにより、亜鉛の揮発率を向上させ、還元ペレット中に残留する亜鉛を低減させることを特徴とする鉄鋼ダストからの亜鉛の回収方法である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 亜鉛を含有する鉄鋼ダストに炭素質還元剤を添加して還元焙焼し、亜鉛を揮発させ酸化亜鉛として回収する操業において、前記炭素質還元剤の量に対して、1.0重量%以上のNa2CO3を炭素質還元剤とともに添加し、還元焙焼することを特徴とする鉄鋼ダストからの亜鉛の回収方法。 【請求項2】 炭素質還元剤の量に対して、20重量%以上のNa2CO3を炭素質還元剤とともに添加することにより、残渣として残る還元ペレット中の亜鉛を1重量%以下とすることを特徴とする請求項1記載の鉄鋼ダストからの亜鉛の回収方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、鉄スクラップなどを電気炉などの製鋼炉で処理する際に発生する亜鉛を含有する鉄鋼ダストを炭素質還元剤によって還元焙焼することにより亜鉛を揮発回収する操業において、亜鉛の揮発率を向上させる鉄鋼ダストからの亜鉛の回収方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】電気炉などの製鋼炉から発生する鉄鋼ダストは、鉄分以外に多量の亜鉛とその他少量の有価金属を含有している。そのため、資源リサイクルの対象として、鉄鋼ダストから主に亜鉛を回収することが行われている。 【0003】この亜鉛の回収法としては、ロータリーキルンによる還元焙焼法を採用するのが一般的である。この還元焙焼法においては、鉄鋼ダストは必要に応じて予め適当な大きさのペレットに成形され、石炭またはコークス等の炭素質還元剤とともにロータリーキルンに連続的に装入される。キルン内は最高温度が1100〜1200℃になるように加熱されており、そこで鉄鋼ダストは還元焙焼され、揮発した金属亜鉛蒸気はキルン内で再酸化されて粉体状酸化亜鉛となる。 【0004】粉体状酸化亜鉛は、排ガスとともに集塵機に導入され、粗酸化亜鉛として回収される。回収された粗酸化亜鉛の多くはその後、亜鉛製錬所に送られ亜鉛地金となる。一方揮発せずにキルン中に残った残渣は、還元鉄ペレットとしてキルン排出端より回収される。 【0005】このような還元焙焼法における亜鉛の揮発率は、通常80〜90%であるが、亜鉛の揮発率をさらに向上させる方法の一つに、還元焙焼温度を高くする方法がある。しかし、高収率を得るために1300℃などという温度まで高くすると、還元焙焼による反応生成物が軟化・溶融してロータリーキルン内壁に付着し、操業時間の経過とともに付着物が内壁においてリング状に成長し増大することがある。その結果、この付着物により、鉄鋼ダストなどの原料がキルン内を移動する際の障害物となり、遂には操業の停止に至ってしまうという欠点がある。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記鉄鋼ダストの還元焙焼操業において、還元焙焼温度を通常の温度以上に高くすることなく、亜鉛の揮発率を向上させる方法を提供することを課題とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明は、亜鉛を含有する鉄鋼ダストに炭素質還元剤を添加して還元焙焼し、亜鉛を揮発回収する操業において、前記炭素質還元剤の量に対して、1.0重量%以上の炭酸ナトリウム(Na2CO3)を炭素質還元剤とともに添加し、還元焙焼することを特徴とする鉄鋼ダスト還元焙焼操業における亜鉛揮発率向上方法である。 【0008】また、炭素質還元剤の量に対して、20重量%以上のNa2CO3を炭素質還元剤とともに添加することにより、残渣として残る還元ペレット中の亜鉛を1重量%以下とし、鉄鋼原料として再利用するのに好適な還元ペレットを得る鉄鋼ダストからの亜鉛の回収方法である。 【0009】 【発明の実施の形態】鉄鋼ダスト中において、亜鉛は酸化亜鉛(ZnO)の形態で存在する。この酸化亜鉛が還元焙焼操業過程においてどのような反応に与って金属亜鉛蒸気となるかを説明する。 【0010】まず、石炭あるいはコークス等の炭素質還元剤は、鉄鋼ダスト中に存在する酸化亜鉛より還元されやすい酸化鉄などの成分と反応して、二酸化炭素(CO2)を生成する。つぎにこのCO2は、炭素質還元剤と反応して一酸化炭素(CO)を生成する。この反応をブードア反応といい、反応を式で表すと、C+CO2=2COとなる。鉄鋼ダスト中のZnOは、主にこのCOによって還元され金属亜鉛蒸気となると考えらている。 【0011】本発明において、還元焙焼時に添加することとしたNa2CO3は、焙焼時に炭素質還元剤とともに存在することにより、ロータリーキルン内部においてブードワ反応を促進させる触媒作用のあることが本発明者の研究により明らかとなった。したがって、ブードワ反応が進行するにつれて、COガスの発生量が増加するために、ZnOの還元揮発量を増加させることができる。 【0012】本発明におけるNa2CO3の添加量であるが、これは添加される炭素質還元剤の量に対して1.0重量%以上添加しなければブードワ反応の促進効果は小さく、亜鉛の揮発率向上はあまり期待できない。一方、Na2CO3の添加量は増やせば増やすほど亜鉛の揮発率は向上するので、添加量の上限値は設けないが、約20重量%も添加すれば亜鉛の揮発率は100%近くなるので、それ以上にNa2CO3を増やす必要はない。 【0013】 【実施例】表1にダストA、Bとして示した二種類の成分の異なる鉄鋼ダスト(異なる2つの鉄鋼メーカーで発生したもの)について、実験室的規模の還元焙焼試験を実施し、亜鉛揮発率におよぼす石灰分添加の効果を調査した。ダストAは、亜鉛量が比較的多いダストであり、ダストBは、標準的な亜鉛量のダストである。 【0014】試験に供した鉄鋼ダストの量は各々1kgとした。なお鉄鋼ダストは試験炉である回転焙焼炉に装入する前にペレタイザーで粒度3.3〜5.6mmのペレットとした。 【0015】 【表1】
【0016】炭素質還元剤は、粒度1.0〜2.0mmのコークス塊を使用し、装入量は鉄鋼ダスト量に対し20重量%とした。Na2Co3は、粉末の試薬を使用し、添加量は、コークス量に対し、0、1.0、7.0、20重量%の4水準とした。 【0017】上記した鉄鋼ダストペレット、コークス、Na2Co3を水平式回転焙焼炉に装入し、1100℃で1時間焙焼した。1100℃という設定温度は実機のキルン操業における温度よりやや低めの温度である。 【0018】焙焼中の焙焼炉内の雰囲気は、常時窒素85%、二酸化炭素15%に保つこととした。焙焼終了後焙焼炉内に残渣として残った還元ペレットを取り出し、還元ペレット中に残留している亜鉛量を分析した。その残留亜鉛量と装入原料中の亜鉛量の比から亜鉛揮発率を求めた。その結果を表2に示す。 【0019】 【表2】
【0020】表2に示すとおり、炭素質還元剤であるコークスに加えてNa2CO3を添加すると、亜鉛量の多いダストA、標準的な亜鉛量であるダストBともに、亜鉛揮発率は上昇し、また、亜鉛揮発率はNa2CO3の添加量を多するほど高くなる結果が得られた。 【0021】一方、亜鉛量の多いダストAは、標準的な亜鉛量のダストBより、亜鉛揮発率が低くなる傾向があるが、Na2CO3を20%添加した場合には、焙焼試験温度は実機の操業の場合より低めに設定したにもかかわらず、このダストAの場合でも亜鉛の揮発率は、99%を達成できた。 【0022】本実験結果より、亜鉛含有量が違う2種類の鉄鋼ダストの還元焙焼試験で次のことが得られた。コークスのみでは亜鉛揮発量が70%に満たない亜鉛含有量の多い鉄鋼ダストであっても、Na2CO3をわずか1.0重量%添加することで、劇的に亜鉛揮発量は上昇し、20重量%添加によりほぼ100%の亜鉛回収率を達成できる。当然ながら、亜鉛含有量が少ない鉄鋼ダストであってもこの効果は明らかである。 【0023】これらの試験により、鉄鋼ダストの還元焙焼反応の触媒としてNa2CO3を装入コークス重量に対して経済的に最適な重量を添加することにより、亜鉛の回収率を大きく向上させることができる。かつ、Na2CO3を20重量%添加した場合には、還元鉄ペレット中の亜鉛品位を1%以下にすることが可能であることが示され、これは、還元鉄ペレットを製鉄原料として利用するために、非常に有用な技術である。 【0024】本発明によれば、従来の還元焙焼法に比べて、Na2CO3の触媒作用によって、Znの回収率を大幅に増加させることができる。また、これにともない還元鉄ペレットに残る亜鉛量も減少し、その含有量を1%以下にまで抑えられる。このことは還元鉄ペレットを製鉄原料として再利用する資源リサイクリングの観点からも好適である。 【0025】 【発明の効果】本発明によれば、低温での還元焙焼によって、亜鉛の回収率を向上させることが可能であり、ロータリーキルンの延命化と、エネルギーコストの低減化が、可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000183303 【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社 【住所又は居所】東京都港区新橋5丁目11番3号
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| 【出願日】 |
平成14年4月12日(2002.4.12) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−301226(P2003−301226A) |
| 【公開日】 |
平成15年10月24日(2003.10.24) |
| 【出願番号】 |
特願2002−110219(P2002−110219) |
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