| 【発明の名称】 |
高純度金属および合金の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】香月 淳一
【氏名】山内 隆
【氏名】安彦 兼次
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 真空誘導溶解炉において、塩基性耐火材製のるつぼに原料を装入し高真空下で原料が溶解しない温度まで加熱、保持した後、溶解炉内を速やかにArガス雰囲気として原料を溶解し、その後、鋳造することを特徴とする高純度金属および合金の製造方法。 【請求項2】 溶解炉内をArガス雰囲気とするために用いるArガスとして、N2ガス含有量が0.001体積%以下、露点が−40℃以下の高純度乾燥Arガスを用いる請求項1に記載の高純度金属および合金の製造方法。 【請求項3】 溶解炉内をArガス雰囲気とするために用いるArガスとして、N2ガス含有量が0.0002体積%以下、露点が−60℃以下の高純度ガスを用いる請求項1に記載の高純度金属および合金の製造方法。 【請求項4】 真空溶解炉内を10-3Torr以下の高真空度で原料を加熱する請求項1〜3のいずれか1に記載の高純度金属および合金の製造方法。 【請求項5】 塩基性耐火材が90質量%以上のCaOを含むものである請求項1〜4のいずれか1に記載の高純度金属および合金の製造方法。 【請求項6】 鉄、炭素鋼、合金鋼、フェロアロイを予備精錬し、精錬後のメタル中のC,SおよびNの含有量の合計が0.03質量%以下の原料を用いる請求項1〜5のいずれか1に記載の高純度金属および合金の製造方法。 【請求項7】 原料を溶解した後、高純度フラックスを用いて脱硫、脱酸を行う請求項1〜6のいずれか1に記載の高純度金属および合金の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、精錬条件を調整してC,N,O,Sなどの不純物含有量の少ない高純度合金を製造する方法に関する。 【0002】 【従来の技術】材料に含まれる不純物元素であるC,N,O,S等は合金の加工性、靭性、耐食性等を低下させている。また、製造工程において歩留まりを低下させたりして、材料の特性を最大限に発揮できないという問題を起こしている。特にCrを多く含む合金は不純物の影響が顕著である。そのため、これらの不純物を低減させる方法が種々検討されている。その一つの方法として真空誘導溶解炉(VIM)を用いて高真空下で溶解・精錬する方法が知られている。しかしながら、Cr含有量が高い材料を溶解−精錬−鋳造する場合、溶解炉タンク内の真空炉が重要になる。すなわち、高い真空度が得られる装置を用いないと、タンクのわずかな隙間から空気が漏れ、侵入してメタル内にNやOがピックアップされてしまう。特にCr含有量が多い合金では、Crとの相互作用のため、N,Oがピックアップされ易くなる。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】高い真空度を得るためには機密性の高いタンクを用いて溶解する必要がある。さらに高真空を常に維持するために炉の管理に大変手間がかかると言う難点を抱えている。そのようにして達成した高真空下でも、極くわずかなエアリークがあるため、Cr含有合金では溶解時にN、O含有量を著しく低く維持することは困難であった。本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、るつぼや溶解前の固相状態の原料中のC,N,Oを極力除去し、溶解時に高真空を意識することなく、NやOのピックアップを防ぎ、高純度の金属および合金を溶製する方法を提供することを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明の高純度合金の製造方法は、その目的を達成するため、真空誘導溶解炉において、塩基性耐火材製のるつぼに原料を装入し高真空下で原料が溶解しない温度まで加熱、保持してるつぼおよび原料に付着する水分および吸着物を気化除去した後、O,Nの吸収速度が大きくなる溶融状態になる前に溶解炉内を速やかにArガス雰囲気として原料を溶解してエアリークを抑え、その後、鋳造することを特徴とする。溶解炉内をArガス雰囲気とするために用いるArガスとして、N2ガス含有量が0.001体積%以下、露点が−40℃以下の高純度ガス、さらには、N2ガス含有量が0.0002体積%以下、露点が−60℃以下の高純度ガスを用いることが好ましい。また、真空溶解炉内を10-3Torr以下の高真空度で原料を加熱することが好ましい。塩基性耐火材として、90質量%以上のCaOを含むものを使用することが好ましく、被溶解原料として、鉄,炭素鋼,合金鋼,フェロアロイを予備精錬し、精錬後のメタル中のC,SおよびNの含有量の合計が0.03質量%以下の原料を用いることが好ましい。さらに、原料を溶解した後、高純度フラックスを用いて脱硫、脱酸を行うことが好ましい。 【0005】 【実施の態様】対象となる合金は、Fe―Cr系,Fe−Cr−Ni系,Fe−Ni系,Ni−Cr系,Ni−Ti系などがあり、各合金系には、Co,Mo,Nb,Ti,V,W,B,Cu,Al,Si,Mn,Zr,REM,Ca,Mg,Agなどを含んだものでも良い。また、純Fe,純Niなどの純金属であっても良い。高純度合金とは、不純物であるC,N,O,S含有量の合計が0.020質量%以下の材料であり、Pも低濃度であるものが好ましい。 【0006】真空溶解炉としては真空誘導溶解炉(VIM)を用いる。るつぼ内の内張りである塩基性耐火材はCaO,MgOなどの塩基性酸化物を主成分とするものである。るつぼは予め焼成したものでも、炉内でスタンプしたものでも、あるいはレンガで内張りされたものでも良い。より高純度の材料を溶製する場合、精錬時にるつぼ中の不純物成分が溶湯中にピックアップされることがあるため、90質量%以上の純度のカルシアるつぼを用いると不純物の混入は最小限に抑えることができる。 【0007】CaO耐火材製のるつぼは合金中のSやOを効果的に低減させるために、CaOクリンカーを予め焼成したCaOるつぼあるいはCaOクリンカーをスタンプしたるつぼを用いる。また、焼成したCaOるつぼはバインダーからのCによって汚染されていることが多いため、より高純度の材料を溶解する場合、前もって洗い溶解を行い、Cなどの汚染物を除去するとよい。さらに、CaOるつぼは吸湿しやすいのでベーキングにより溶解前に付着水分、吸着物の除去を十分に行うことが好ましい。 【0008】被溶解原料としては極力不純物含有量が少ないものを用いることが好ましい。より経済的に合金を溶製する場合は、真空溶解炉で溶解する前に安価な鉄、炭素鋼、ステンレスなどの高合金鋼、CrやNiを含むフェロアロイを用いて予備精錬した原料を使用すると良い。具体的には電気炉や精錬容器内で減圧下、Arガスなどの不活性ガス雰囲気下、あるいは大気下で予備精錬することによって脱C,脱S,脱Nを実施し、C,N,Sの含有量を合計0.03質量%以下としたものを原料にすることが好ましい。さらに、本発明の真空溶解炉の溶解時に、高塩基性のフラックス、例えばCaOを多く含有するフラックスを用いる精錬工程を付加すれば、脱O,脱Sがより効果的に達成できる。 【0009】本発明では、原料,るつぼに付着した水分等を十分に気化除去するための加熱処理、すなわち、原料が溶解しない温度までの高真空下でのベーキング処理を行う。真空度は10-3Torr以下にすることが好ましいが、高真空にするほど、付着水分等が除去できるのでより好ましくは1×10-4Torr以下とする。また、ベーキング処理時間の目安は原料、るつぼ等の付着水分が十分に除去でき、真空度が安定した時点までとすることが好ましい。高真空に保つのは、O,N等の吸収速度が遅い固体状態までとし、吸収速度が大きくなる溶融状態では雰囲気をドライなArガス雰囲気としてエアリークを抑えた方がO,Nのピックアップを防げるため、原料が溶融を始める前にArガスを導入する必要がある。 【0010】Arガス導入の際は、その直前に真空引きを停止するためエアリーク等による真空度低下が起こり易いので、それを避けるため可能な限り速やかにArガスを導入する。Arガス気圧は0.5atm以上で良いが、大気からの真空タンク内へのN2の侵入を防止するためには、1atmないしは1atmを若干上回る圧力に加圧することが好ましい。Arガスは炉内に封じても良いが、溶解中、流し続けても良い。 【0011】Arガスとしては高純度のものを使用することが好ましい。特に、N2含有量が0.001体積%以下で、露点が−40℃以下の乾燥ガスを用いることが好ましい。また、CrのようなN,Oを吸収し易い成分の含有量が高い材料を溶解する場合は、より一層高純度なArガスを用いることが好ましい。具体的にはN2含有量が0.0002体積%以下で、露点が−60℃以下の高純度乾燥Arガスを用いることが好ましい。さらに、ガス配管の中の水分や配管の接続部からのN2の混入もあり得るので溶解の際は前もって高純度乾燥Arガスで洗浄を十分に行うことが好ましい。さらに、使用するArガスをボンベに充填する場合、ボンベ内の水分をベーキングによって十分除去し、真空炉内への導入管内も溶解前に十分に高純度乾燥Arガスで洗浄しておくことが好ましい。 【0012】Arガス雰囲気下で溶解原料が溶け落ち、溶湯温度が目標温度に達した後、脱酸剤を添加して脱酸精錬を行うことが好ましい。脱酸剤としては、Si,Al,Mn,Ti,Zr,希土類元素などの脱酸元素のうち1種もしくは2種以上を組み合わせて用いる。脱酸、脱硫を強化する場合は、高塩基度フラックスを溶湯に添加して、脱酸、脱硫精錬を行うことが好ましい。高塩基度フラックス中のCaOとSiO2の質量比(CaO/SiO2)は1.5以上、さらには2.0以上にすることが好ましい。 【0013】上記のように真空溶解炉で合金を溶解する際、塩基性耐火材製のるつぼに装入した原料を、高真空下でその原料が溶解しない温度まで加熱・保持することで、原料およびるつぼに付着している水分や吸着物を除去し、その後炉内を速やかにArガス雰囲気に変えて原料を溶解することにより、NやOのピックアップを防ぐことができる。また、Arガス雰囲気にするArガスとして高純度の乾燥Arガスを使用することにより、雰囲気ガスからのNやOのピックアップを防ぐことができる。さらに、塩基性耐火材製るつぼとして純度が90質量%以上のCaOからなるものを使用し、高塩基度のフラックスを使用して脱酸、脱硫をも行うことでS、Oをさらに低減させることができる。具体的には[C]+[N]+[S]+[O]を0.020質量%以下にまで低減させた金属および合金を製造することができる。なお、[X]はX成分の濃度を示す。 【0014】 【実施例】100kgVIMを用いて、80kgのFe−Cr合金,Fe−Cr−Ni合金,Fe−Ni合金,Ni−Cr合金,Ni−Ti合金を溶解鋳造した。るつぼには、CaOクリンカーを予め焼成した95質量%の純度のCaOるつぼを使用した。さらに、Cなどの汚染物を除去するために、前もってFeで洗い溶解を行った。さらに、CaOるつぼはベーキングによって溶解前の付着水分、吸着物の除去を十分に行った。溶解原料としては、試験No.2,3,4、6,7,8,9,10は電解Fe,電解Crや電解Niを用いた。また試験No.1および5では真空溶解炉で溶解する前に、鉄,炭素鋼,ステンレス鋼,フェロニッケルやフェロクロムを用いてVIMで予備精錬により脱C,脱S,脱Nを実施し、[C],[N],[S]の合計を0.013〜0.028質量%とした原料を用いた。 【0015】原料とるつぼに付着した水分等を気化除去するために、1×10-4Torrの真空下で500〜1000℃で約3何時間ベーキングして原料、るつぼなどの水分を十分に気化除去した後、3,000NL/minの流量でArガスの導入を行った。溶解炉タンク内へのArガス導入は約10minで完了した。Arガスをタンク内に導入した後、Arガス気圧は1atmとし、Arガスは溶解中、流し続けた。Arガスとしては、N2含有量が0.0005体積%で、露点が−50℃の乾燥ガスを用いたが、試験No.9では、Cr含有量が60質量%と特に高い含有量なので、ArガスからのN、Oのピックアップを極力抑えるためにN2含有量が0.0001体積%で、露点が−70℃の高純度乾燥ガスを用いた。加えてガス配管の中の水分や配管の接続部からのN2の混入を避けるために、前もって高純度乾燥Arガスで洗浄を十分に行った。さらに、使用するボンベ内の水分をベーキングによって十分除去し、真空炉内への導入管内も高純度乾燥Arガスで洗浄した。 【0016】Arガス雰囲気中で原料を溶解し、目標温度に達した後、脱酸剤Alを必要量添加し、脱酸精錬した。その後、Arガス雰囲気下で溶湯を鋳型に鋳造し、鋳塊を得た。また、予備精錬を行った試験No.1ならびに5では、CaOとSiO2の質量比(CaO/SiO2)を2.5にした高塩基度フラックスを20g/kg−metal添加し、脱硫と脱酸を行った。本発明条件で得られた合金鋳塊の化学成分を表1に示す。 【0017】比較例として、酸性耐火物であるSiO2を焼成したるつぼを用い、1×10-4Torrの真空下で原料が溶解しない温度まで加熱して、るつぼおよび原料に付着した水分を気化除去した後、溶解時のArガスを導入した場合(試験No.11)、中性耐火物であるAl2O3を焼成したるつぼを用い、その他の条件はNo.10と同様の場合(試験No.12)、CaOるつぼを用いて溶解時にArガスを導入せずに1×10-4Torrの真空下で原料を溶解し、鋳造した場合(試験No.13〜16)を、本発明と比較して表1に併せて示した。なお、本発明では高純度合金は[C]+[N]+[S]+[O]≦0.020質量%を満足したものとする。比較例として、CaOるつぼを用いて溶解炉タンク内を真空にせずにArガスを導入しタンク内を1気圧とした。その後、Ar雰囲気下で原料を溶解し、鋳造した(試験番号16)。 【0018】
【0019】上記表1からもわかるように、本発明条件で製造した試験No.1〜9では、[C]+[N]+[S]+[O]が0.020質量%の高純度合金が得られている。これに対し、酸性耐火物や中性耐火物で製造されたるつぼやを使用したり、Arガスを導入せずに真空下で溶解した場合や、タンク内を真空にせずにArガスを導入し、Arガス雰囲気下で溶解した場合、C,N,S,Oを十分に除去できず、所望の高純度合金は得られなかった。 【0020】 【発明の効果】以上に説明したように、塩基性耐火物製のるつぼを使用し、溶解前に高真空下で原料が溶解しない温度間で加熱、保持してるつぼおよび原料に付着する水分および吸着物を気化除去した後、大気からのO,Nのピックアップを防止するために溶解炉内を速やかにArガス雰囲気として原料を溶解した後、鋳造することにより、合金中のC,N,S,O含有量が極めて少ない高純度金属および合金を低コストで製造することができた。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004581 【氏名又は名称】日新製鋼株式会社
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| 【出願日】 |
平成13年9月14日(2001.9.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100092392 【弁理士】 【氏名又は名称】小倉 亘 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−89825(P2003−89825A) |
| 【公開日】 |
平成15年3月28日(2003.3.28) |
| 【出願番号】 |
特願2001−279866(P2001−279866) |
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