| 【発明の名称】 |
鋼板の残留応力除去あるいは低減のための熱処理方法及び装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】水谷 泰 【住所又は居所】君津市君津1番地 新日本製鐵株式会社君津製鐵所内
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| 【要約】 |
【課題】本発明の目的は、鋼板の材質変化量と製造の効率に対する制約を同時に満足する熱処理温度及び時間の決定方法、さらには、それらを算出する演算装置を備えた熱処理装置を提供することにある。
【解決手段】鋼板の残留応力を除去あるいは低減するための熱処理方法において、保定する温度域が250〜550℃であり、鋼板の強度、ミクロ組織、及び許容残留応力に基づき、鋼板の材質変化量と製造の効率に対する要求を同時に満足する最適な保定温度あるいは保定時間を算出し、当該温度及び時間で熱処理を行うことを特徴とする熱処理方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 鋼板の残留応力を除去あるいは低減するための熱処理方法において、保定する温度域が250〜550℃であり、鋼板の強度、ミクロ組織、及び許容残留応力に基づき、鋼板の材質変化量と製造の効率に対する要求を同時に満足する最適な保定温度あるいは保定時間を算出し、当該温度及び時間で熱処理を行うことを特徴とする熱処理方法。 【請求項2】 (1)式あるいは(2)式に基づき前記最適な保定温度あるいは保定時間を算出することを特徴とする請求項1記載の熱処理方法。 t=exp[(C1/T)×(1 - σR/σ0)2+C2] …(1)t;最適保定時間T;保定温度(K) C1,C2;定数σ0;当該鋼板の絶対零度における降伏応力σR;当該鋼板の(T−273)℃における目標残留応力あるいは、T=C1(1 - σR/σ0)2/(ln t - C2) …(2)T;最適保定温度(K) t;保定時間C1,C2;定数σ0;当該鋼板の絶対零度における降伏応力σR;当該鋼板の(T−273)℃における目標残留応力【請求項3】 鋼板の残留応力を除去あるいは低減するための熱処理を行う熱処理装置において、鋼板の強度、ミクロ組織、及び許容残留応力に基づき、鋼板の材質変化量と製造の効率に対する要求を同時に満足する最適な保定温度あるいは保定時間を算出する演算装置を備え、250〜550℃の温度域での保定が可能であること特徴とする熱処理装置。 【請求項4】 (1)式あるいは(2)式に基づき前記最適な保定温度あるいは保定時間を算出することを特徴とする請求項3記載の熱処理装置。 t=exp[(C1/T)×(1 - σR/σ0)2+C2] …(1)t;最適保定時間T;保定温度(K) C1,C2;定数σ0;当該鋼板における絶対零度における降伏応力σR;当該鋼板における(T−273)℃における目標残留応力あるいは、T=C1(1 - σR/σ0)2/(ln t - C2) …(2)T;必要熱処理温度(K) t;熱処理時間C1,C2;定数σ0;絶対零度における降伏応力σR;(T−273)℃における目標残留応力 |
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、鋼板の製造過程での鋼板温度分布の不均一に起因して不可避的に発生する鋼板の残留応力を除去あるいは低減するための熱処理方法において、鋼板の材質変化量と製造の効率に対する要求をともに満足する熱処理方法に関する。 【0002】 【従来の技術】鋼板の製造において、製造過程の鋼板温度分布の不均一に起因して不可避的に発生する残留応力の除去あるいは低減は切断後の形状確保の観点から極めて重要な課題である。 【0003】残留応力を除去あるいは低減する方法として、レベラーによる繰り返し曲げ伸ばしあるいは熱処理を施すことが考えられ、例えば、特開平01−52017号公報、特開平08−90067号公報、特開平09−78145号公報、特開平11−169939号公報などが発明されている。 【0004】残留応力除去あるいは低減の手段としてレベラーを用いる場合の問題は、鋼板の先尾端に繰り返し曲げ伸ばしの不感帯が不可避的に生じ、その部位の残留応力をできない点と、冷間加工により鋼板が加工硬化し脆化が避けられない点である。 【0005】残留応力除去あるいは低減の手段として熱処理を施す場合の問題は、高温での保定中に加工熱処理等により造り込んだ鋼板の材質が不可避的に影響を受け変質する点、これを回避するために熱処理温度を下げると残留応力の除去あるいは低減に要する時間が長大となり効率的な製造が困難となる点である。 【0006】しかしながら、特開平01−52017号公報、特開平08−90067号公報、特開平09−78145号公報、特開平11−169939号公報では、これらの問題を解決する有効な手段については示されていない。 【0007】すなわち、鋼板の製造過程での鋼板温度分布の不均一に起因して不可避的に発生する残留応力を、鋼板の先尾端部への局部的な残留を回避し、鋼板の材質変化量と製造の効率に対する要求を同時に達成して、除去あるいは低減することは困難であった。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】したがって、鋼板の残留応力を除去あるいは低減するための熱処理方法において、鋼板の材質変化量と製造の効率に対する制約を同時に満足する熱処理温度及び時間の決定方法、さらには、それらを算出する演算装置を備えた熱処理装置の開発が望まれていた。 【0009】本発明の目的は、鋼板の材質変化量と製造の効率に対する制約を同時に満足する熱処理温度及び時間の決定方法、さらには、それらを算出する演算装置を備えた熱処理装置を提供することにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】鋼鈑の残留応力除去あるいは低減には高温での熱処理が有効である。しかし、熱処理温度が高すぎると鋼鈑の材質に重大な劣化あるいは変質を生じる。逆に、熱処理温度が低すぎると実際の製造において経済性を著しく損なわない時間範囲内に残留応力を効率的に除去あるいは低減することはできない。高温での熱処理において、材質に影響を及ぼす冶金的な因子及び残留応力を支配する降伏現象、転位の移動を同時に考慮することにより、鋼板の材質変化量と製造の効率に対する要求をともに満足する熱処理温度及び時間を算出する方法を見出し、本発明に至った。本発明は前述の課題を克服するために、250〜550℃の温度域での長時間保定が可能な熱処理装置を使用し、転位論に基づき歪速度の温度依存性を考慮して導出したモデルを用いて高温域における残留応力の時間変化を予測して、許容残留応力を達成するのに要する時間を算出するとともに、冶金的因子を考慮して鋼鈑の材質の時間変化を予測し、許容される材質変化量を与える熱処理温度及び時間範囲を決定し、鋼板の材質変化量と製造の効率に対する要求を同時に満足する最適な熱処理温度及び時間を算出して目的を達成したもので、その要旨は以下に示す通りである。 【0011】鋼板は鋳造後、再加熱、圧延、熱間矯正、剪断さらに必要に応じて加速冷却等の工程を経て、寸法、材質の造り込みを行い製造される。これら製造過程での鋼板温度分布の不均一に起因して、鋼鈑には残留応力が不可避的に発生する。 【0012】したがって、鋼鈑の残留応力の除去あるいは低減を目的として行う熱処理はこれら工程を通過後、すなわち、寸法、材質の造り込みを完了後に行う。 【0013】熱処理は、バーナーを有する燃焼方式あるいは通電方式あるいは誘導加熱方式にて行い、250〜550℃の温度範囲で240時間以内の長時間保定が可能な機能を有する。 【0014】熱処理を行うに先立ち、中温域(250〜550℃)の各温度における鋼鈑の材質への影響及び残留応力の時間変化をΔT刻みにて予測した結果に基づき、最適な熱処理温度及び時間を決定する。 【0015】熱力学的平衡によって決定される炭化物の分解温度、フェライトの粗粒化を抑制する微細析出物の効果及び微細析出物の粗粒化を考慮して、鋼鈑の材質への影響を予測する。すなわち、熱処理温度及び時間の関数として、フェライトの粒径および微細析出物粒径を予測する。さらに、これらに応じて決定される鋼鈑の強度及び靭性の変化を熱処理温度及び時間の関数として予測する。次に、転位論に基づいて、本発明において導出した歪速度の温度依存性を考慮した式を用いて、残留応力の時間変化を予測する。 【0016】上記の予測計算に基づき、各熱処理温度における鋼板の材質変化及び切断後の形状から許容される残留応力を同時に満足する熱処理温度及び時間範囲を決定する。 【0017】上記により決定された熱処理温度及び時間範囲内で、経済性、納期、他製造工程上の制約を満足する最長の時間と一致する温度を決定する。以上により決定された熱処理温度及び時間は、鋼鈑の材質、残留応力、製造上の諸条件を全て満足する最適な熱処理条件である。 【0018】即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。 [1]鋼板の残留応力を除去あるいは低減するための熱処理方法において、保定する温度域が250〜550℃であり、鋼板の強度、ミクロ組織、及び許容残留応力に基づき、鋼板の材質変化量と製造の効率に対する要求を同時に満足する最適な保定温度あるいは保定時間を算出し、当該温度及び時間で熱処理を行うことを特徴とする熱処理方法。 [2](1)式あるいは(2)式に基づき前記最適な保定温度あるいは保定時間を算出することを特徴とする請求項1記載の熱処理方法。 t=exp[(C1/T)×(1 - σR/σ0)2+C2] …(1)ここで、t;最適保定時間、T;保定温度(K)、C1,C2;定数、σ0;当該鋼板の絶対零度における降伏応力、σR;当該鋼板の(T−273)℃における目標残留応力あるいは、T=C1(1 - σR/σ0)2/(ln t - C2) …(2)ここで、T;最適保定温度(K)、t;保定時間、C1,C2;定数、σ0;当該鋼板の絶対零度における降伏応力、σR;当該鋼板の(T−273)℃における目標残留応力【0019】[3]鋼板の残留応力を除去あるいは低減するための熱処理を行う熱処理装置において、鋼板の強度、ミクロ組織、及び許容残留応力に基づき、鋼板の材質変化量と製造の効率に対する要求を同時に満足する最適な保定温度あるいは保定時間を算出する演算装置を備え、250〜550℃の温度域での保定が可能であること特徴とする熱処理装置。 [4](1)式あるいは(2)式に基づき前記最適な保定温度あるいは保定時間を算出することを特徴とする請求項3記載の熱処理装置。 t=exp[(C1/T)×(1 - σR/σ0)2+C2] …(1)ここで、t;最適保定時間、T;保定温度(K)、C1,C2;定数、σ0;当該鋼板における絶対零度における降伏応力、σR;当該鋼板における(T−273)℃における目標残留応力あるいは、T=C1(1 - σR/σ0)2/(ln t - C2) …(2)ここで、T;必要熱処理温度(K)、t;熱処理時間、C1,C2;定数、σ0;絶対零度における降伏応力、σR;(T−273)℃における目標残留応力【0020】 【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明する。 【0021】鋼板の材質への影響を予測する方法について、以下に詳細を説明する。 【0022】熱処理温度は、熱力学的平衡によって決定される炭化物の分解温度以下でなければならない。炭素鋼で主要な炭化物はセメンタイトであり、セメンタイトの分解開始温度はAc1点で定義される。Ac1点は実用鋼で550℃〜900℃の範囲にあることから、熱処理温度は550℃以下でなければならない。また、熱処理温度が低すぎると保定時間が長時間となり、操業に支障をきたすので現実的には、熱処理温度は250℃以上とする。 【0023】熱処理温度は加工熱処理等によって前工程にて微細に造り込まれたフェライトが熱処理時間内で粗粒化しない温度範囲でなければならない。 【0024】フェライトの粒径は粒界移動の駆動力と微細分散析出粒子による粒界の移動を抑制する力すなわちピン止め力とが熱力学的に平衡する条件にて決定される。 【0025】微細分散析出粒子による粗粒化抑制効果は次式にて表される。 R~ = (4/3)(r~/f) …(3)ここで、R~:母相粒径、r~:分散粒子径、f:分散粒子分率である。 【0026】上式より、分散粒子の分率は、熱力学的平衡により添加成分により決定されるから、ピン止め力は分散粒子の径により決定される。 【0027】したがって、熱処理温度はフェライト粒のピン止めあるいは析出強化を目的とした微細分散析出物が熱処理時間内に粗粒化しない温度範囲でなければならない。 【0028】以下に、微細分散粒子径を予測する方法について述べる。 【0029】微細分散粒子の球相当粒径は次式により決定される。 r3-r03=4/9×K(t-t0) …(4)ここで、r:時刻tにおける粒半径、r0:時刻t0における粒半径、K:粗粒化係数である。 【0030】粗粒化係数は次式により決定される。 K=(2γVβm/RT)K' …(5)ここで、K':修正粗粒化係数、γ:界面エネルギー、Vβm:析出相βモル体積、R:気体定数、T:絶対温度である。 【0031】修正粗粒化係数は次式により決定される。 1/K'=Σ(1/KM) …(6)ここで、Mは析出相に含まれる置換型元素、KM:元素Mの粗粒化係数である。 【0032】元素Mの粗粒化係数は次式により決定される。 KM=DαM/[(kM-kFe)(kM-1)XαM] …(7)ここで、ki:元素iの分配係数、DαM:母相α中置換型元素拡散係数、Xαi:母相α中元素iモル濃度、Xβi:析出相β中元素iモル濃度である。 【0033】元素iの分配係数は次式により決定される。 ki=Xβi /Xαi …(8)【0034】これらの数式で用いる物理的特性値は公知の文献より得ることができる。以上の数式を用いて、250〜550℃の範囲で長時間保定した場合のフェライトの粒径及び微細分散粒子径を予測する。 【0035】次に、フェライトの粒径及び微細分散粒子径と材質の関係式について説明する。 【0036】フェライトの粒径と材料の強度の関係はホールペッチ式として知られる次式により決定される。 σy=σ0+kyd-1/2 …(9)ここで、σ0:降伏応力、d:フェライト粒径直径、σ0及びky:フェライト粒径に依存しない係数。 【0037】フェライトの粒径と材料の靭性(延性脆性遷移温度)の関係も同様に次式に示すホールペッチ型の関係式により決定される。 VTRS=T0+kTd-1/2 …(10)ここで、VTRS:延性脆性遷移温度、d:フェライト粒径直径、T0及びkT:フェライト粒径に依存しない係数。 【0038】微細分散粒子径と材料の強度の関係は次式にて表される。 τP=αG(fr/b)1/2 …(11)ここで、τP:微細分散粒子析出強化による強度上昇代、G:剛性率、f:微細分散粒子体積分率、r:微細分散粒子平均半径、b:バーガーズベクトル、α:フェライト粒径に依存しない係数。 【0039】続いて、鋼板の残留応力を除去あるいは低減するのに要する時間を予測する方法について以下に詳細を説明する。 【0040】本発明者は、熱処理後の残留応力及び所望の残留応力を所定の熱処理温度にて達成するに要する時間を予測する式を導出した。その導出方法の詳細を以下に説明する。 【0041】転位論に基づき、材料中の歪速度γdotはγdot=ρbv0exp(-Q/KT) …(12)と表される。また、Qは材料の強度(硬度)に依存する。 【0042】組織の異方性が十分に小さい場合、歪速度の異方性を無視できることから、絶対温度Tにおいて歪の移動によって板厚Hの鋼板である一定の残留応力変化に要する最大の時間tは、t=H/(2γdot) …(13)と表される。 【0043】(12)式を(13)式に代入し両辺の自然対数をとって整理すると、ln t = ln[H/(2ρbv0)] + Q/(KT) …(14)【0044】温度と降伏応力の関係は一般に次式にて表される。 (σ*T/σ*0)n = 1 - C(KT)1/2 …(15)ここで、σ*T:絶対温度Tにおける降伏応力温度依存成分、σ*0:絶対温度0Kにおける降伏応力温度依存成分、K:ボルツマン定数、T:絶対温度、C:定数である。 【0045】残留応力はある温度における降伏応力とほぼ同等と考えられるから、常温(25℃)における降伏応力及び高温(T[K])における残留応力の温度依存成分をそれぞれσ*Y、σ*Rとすると、簡単のためn=1として(15)式より、(1-σ*R/σ*0)/(1-σ*Y/σ*0)=(T/298)1/2 …(16)となる。 【0046】整理すると、σ*R=-(T/298)1/2(σ*0-σ*Y)+σ*0 …(17)【0047】さらに、温度T、絶対零度、常温(25℃)での降伏応力をそれぞれσR、σ0、σYとすると、σ*0-σ*R=σ0-σRσ*0-σ*Y = σ0-σY …(18)であるから、温度Tにて十分に長い時間熱処理後の残留応力を次式により算出される。 σR=-(T/298)1/2(σ0-σY)+σ0 …(19)ここで、σR:温度Tにおける残留応力、σ0:絶対零度における降伏応力、σY:常温(25℃)における降伏応力である。 【0048】絶対零度における降伏応力としてσ0は表1に示す値、常温(25℃)における降伏応力σYとして表1に示す値あるいは機械試験実績値を用いる。 【0049】 【表1】
【0050】(15)式及びQ〜KTであることから、n=1として、Q〜KT=C'(1-σ*R/σ*0)2≒C'(1-σR/σ0)2 …(20)【0051】(14)式に代入して整理すると、ln t = ln[H/(2ρbv0)]+(C"/T)(1-σR/σ0)2 …(21)【0052】厳密には転位密度(ρ)は温度の関数であるが、これを一定と仮定し、またb及びv0は鋼種に対して一定であることを考慮し、さらに板厚の効果を無視すると、上式はC1、C2を定数として、ln t = (C1/T)(1-σR/σ0)2+C2 …(22)【0053】すなわち、t=exp[(C1/T)×(1-σR/σ0)2+C2] …(1)となる。当式より、表1の絶対零度における各降伏応力σ0について、温度T−273℃において残留応力をσRまで低減するのに必要な時間tが決定される。 【0054】あるいは、T=C1(1-σR/σ0)2/(ln t - C2) …(2)となる。当式より、表1の絶対零度における各降伏応力σ0について、時間tにて残留応力をσRまで低減するのに必要な温度T−273℃が決定される。 【0055】上式中の係数C1及びC2は実験により表2に示すように求められた。 【0056】 【表2】
【0057】 【実施例】熱処理温度及び時間の関数として、490MPa級、590MPa級、780MPa級の各鋼種について、熱処理保定温度別に鋼鈑の強度(YS)の時間変化を予測した結果の例を図1〜3に示す。 【0058】490MPa級、590MPa級、780MPa級の各鋼種について、残留応力別の熱処理保定温度と保定必要時間の関係を算出した結果の例を図4〜6に示す。 【0059】これより、通常の製造において、保定可能時間の上限である24時間にて残留応力50MPaとするために必要な熱処理保定温度は、各鋼種490MPa、590MPa、780MPaについて、それぞれ440℃、460℃、470℃と計算された。 【0060】490MPa、590MPa、780MPaの各鋼種について、本発明法によって決定した最適な熱処理温度にて残留応力低減処理を施した後の材質及び残留応力を調査し、全て残留応力は所定の値以下となることを確認した。一方、材質の変化は微小であった。 【0061】 【発明の効果】本発明により、中温域(250〜550℃)での長時間保定が可能な熱処理装置を使用し、歪速度の温度依存性を考慮して各温度における残留応力の時間変化を予測するとともに、冶金的因子を考慮して決定される鋼板の材質への影響を予測し、許容される残留応力を達成するに要する時間すなわち製造の効率と鋼板の材質への影響を同時に許容範囲とする最適な熱処理温度を算出することことで、鋼板の材質への影響を最小限に抑制するとともに、鋼板の製造過程での鋼板温度分布の不均一に起因して不可避的に発生する鋼板の残留応力の除去あるいは低減を実際の製造に許容される範囲で高効率に行うことが可能となった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006655 【氏名又は名称】新日本製鐵株式会社 【住所又は居所】東京都千代田区大手町2丁目6番3号
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| 【出願日】 |
平成14年5月21日(2002.5.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100107892 【弁理士】 【氏名又は名称】内藤 俊太 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−342634(P2003−342634A) |
| 【公開日】 |
平成15年12月3日(2003.12.3) |
| 【出願番号】 |
特願2002−145847(P2002−145847) |
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