| 【発明の名称】 |
高周波誘導加熱における加熱深さ調整方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】沢津橋 精一 【住所又は居所】東京都千代田区丸の内3丁目3番1号 電気興業株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】1つの高周波加熱コイルに、低い周波数と高い周波数の2周波の高周波加熱電力を同時に供給して、被加熱体の表面からの加熱深さを任意に調整する。
【解決手段】本発明の方法は、被加熱体2を高周波誘導加熱する際に、前記被加熱体2の表面からの加熱深さを調整する方法である。前記被加熱体2に使用される1つの高周波加熱コイル3に、低い周波数と高い周波数との2周波の高周波加熱電力を同時に供給して、前記被加熱体2を高周波誘導加熱するとともに、一方の周波数の高周波電力と他方の周波数の高周波電力との配分を、任意の配分比又は配分比率に変え、又は前記2周波のそれぞれの高周波電力による加熱時間をそれぞれ独立して任意に変えることにより、前記被加熱体2の表面からの加熱深さを任意に、又は連続的に調整する方法である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被加熱体を高周波誘導加熱するに際し、前記被加熱体の表面からの加熱深さを調整する方法において、前記被加熱体に使用されるひとつの高周波加熱コイルに、低い周波数と高い周波数との2周波の高周波加熱電力を同時に供給して前記被加熱体を高周波誘導加熱するとともに、一方の周波数の高周波電力と他方の周波数の高周波電力との配分を、任意の配分比に変えることにより、前記被加熱体の表面からの加熱深さを任意に、又は連続的に調整することを特徴とする高周波誘導加熱における加熱深さ調整方法。 【請求項2】 被加熱体を高周波誘導加熱するに際し、前記被加熱体の表面からの加熱深さを調整する方法において、前記被加熱体に使用されるひとつの高周波加熱コイルに、低い周波数と高い周波数との2周波の高周波加熱電力を同時に供給して前記被加熱体を高周波誘導加熱するとともに、前記2周波のそれぞれの高周波電力による加熱時間をそれぞれ独立して任意に変えることにより、前記被加熱体の表面からの加熱深さを任意に、又は連続的に調整することを特徴とする高周波誘導加熱における加熱深さ調整方法。 【請求項3】 被加熱体を高周波誘導加熱するに際し、前記被加熱体の表面からの加熱深さを調整する方法において、前記被加熱体に使用されるひとつの高周波加熱コイルに、低い周波数と高い周波数との2周波の高周波加熱電力を同時に供給して前記被加熱体を高周波誘導加熱するとともに、一方の周波数の高周波電力と他方の周波数の高周波電力との配分を、任意の配分比に変え、かつ前記2周波のそれぞれの高周波電力による加熱時間をそれぞれ独立して任意に変えることにより、前記被加熱体の表面からの加熱深さを任意に、又は連続的に調整することを特徴とする高周波誘導加熱における加熱深さ調整方法。 【請求項4】 前記2周波のうち、前記低い周波数が0.5kHz〜50kHz未満であり、前記高い周波数が50kHz〜800kHzであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の高周波誘導加熱における加熱深さ調整方法。 【請求項5】 前記方法に使用される装置が、前記被加熱体に使用されるひとつの高周波加熱ゴイルに、低い周波数と高い周波数の2周波の高周波電力のうち、いずれか一方の周波数の高周波電力により前記被加熱体を高周波誘導加熱中、任意の時間、他方の周波数の高周波電力を前記一方の周波数の高周波電力と同時に供給して、前記被加熱体を加熱できる装置であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の高周波誘導加熱における加熱深さ調整方法。 【請求項6】 被加熱体を高周波誘導加熱するに際し、前記被加熱体の表面からの加熱深さを調整する方法において、前記被加熱体に使用されるひとつの高周波加熱コイルに、低い周波数と高い周波数とを含む3周波以上の高周波加熱電力を同時に供給して前記被加熱体を高周波誘導加熱するとともに、前記3周波以上のそれぞれの周波数の高周波電力の配分を、任意の配分比に変えることにより、前記被加熱体の表面からの加熱深さを任意に、又は連続的に調整することを特徴とする高周波誘導加熱における加熱深さ調整方法。 【請求項7】 被加熱体を高周波誘導加熱するに際し、前記被加熱体の表面からの加熱深さを調整する方法において、前記被加熱体に使用されるひとつの高周波加熱コイルに、低い周波数と高い周波数とを含む3周波以上の高周波加熱電力を同時に供給して前記被加熱体を高周波誘導加熱するとともに、前記3周波以上のそれぞれの周波数の高周波電力による加熱時間をそれぞれ独立して任意に変えることにより、前記被加熱体の表面からの加熱深さを任意に、又は連続的に調整することを特徴とする高周波誘導加熱における加熱深さ調整方法。 【請求項8】 被加熱体を高周波誘導加熱するに際し、前記被加熱体の表面からの加熱深さを調整する方法において、前記被加熱体に使用されるひとつの高周波加熱コイルに、低い周波数と高い周波数とを含む3周波以上の高周波加熱電力を同時に供給して前記被加熱体を高周波誘導加熱するとともに、前記3周波以上のそれぞれの周波数の高周波電力の配分を、任意の配分比に変え、かつ前記3周波以上のそれぞれの周波数の高周波電力による加熱時間をそれぞれ独立して任意に変えることにより、前記被加熱体の表面からの加熱深さを任意に、又は連続的に調整することを特徴とする高周波誘導加熱における加熱深さ調整方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、金属材からなる被加熱体を高周波誘導加熱するとき、前記被加熱体の表面からの加熱深さを任意に、又は連続的に調整する方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、この種の高周波誘導加熱における加熱深さの調整方法にあっては、1台の高周波加熱コイルにひとつの周波数の高周波電力を供給する誘導加熱方法であるが、前記被加熱体の表面から、ある加熱深さを得るためには、その加熱深さに相当する高周波電流浸透深さとなる周波数を選定する必要があった。図8は、鋼材のオーステナイト領域における、周波数と高周波電流浸透深さ(以下、単に浸透深さという)の関係を示す。 【0003】図8において、例えば、必要とする加熱深さが7.0mmの場合は、浸透深さが7.0mm程度の周波数として5kHzを、必要とする加熱深さが3.5mmの場合は、浸透深さが3.5mm程度の周波数として20kHzを、また必要とする加熱深さが1.5mmの場合は、125kHzを、さらに必要とする加熱深さが1.0mmの場合は、浸透深さが1.0mm程度の周波数として200kHzを選定することになる。このため、必要な加熱深さに応じて専用の高周波発振機を用意するか、1台で複数の周波数を切り替えて出力可能な高周波発振機を使用し、必要な加熱深さに応じた周波数を選択する方法が通例である。 【0004】また、加熱深さを深くする場合には、加熱時間を延長し、被加熱体内での熱伝導を利用する方法をとる場合もある。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来の技術では、1台の高周波発振機で複数の周波数を切り替えて出力させる場合、多くても3種類の周波数が限度であり、得られる加熱深さが段階的になるという問題点がある。 【0006】又は、必要な加熱深さの範囲が広い場合(例えぱ、7.0mmから1.0mm)は、前記必要な加熱深さの範囲に対応する周波数帯がかけ離れてしまい(例えば、5kHzから200kHz)、1台の高周波発振機で周波数を切り替える構造をとることが困難で、それぞれの周波数に対して専用の発振機が必要になるが、発振機の台数分、その設置スペースが必要となり現実的ではない。 【0007】また、必要な加熱深さに対して浸透深さの小さい(浅い)高い周波数で加熱時間を延ばして加熱した場合、加熱深さを得ることができても、前記被加熱体に流れる高周波誘導電流は、該被加熱体の表面に集中するため表面近傍は過熱されてしまうという問題点もある。 【0008】他方、必要な加熱深さに対して浸透深さの大きい(深い)低い周波数で加熱時問を短縮して加熱した場合は、被加熱領域が充分に昇温されず、例えば、焼入の場合は必要硬さが得られないという問題点が生ずる。 【0009】本発明はかかる点を鑑みなされたもので、その目的は前記問題点を解消し、使用されるひとつの高周波加熱コイルに供給する、低い周波数と高い周波数との2周波の高周波加熱電力を同時に供給し、又は供給しながら、被加熱体の表面からの加熱深さを任意に、又は連続的に、かつ容易に調整することができる高周波誘導加熱における加熱深さ調整方法を提案することにある。 【0010】本発明の他の目的は、高周波電源設備のコストを低減するとともに、その設置スペースが小さくできる高周波誘導加熱における加熱深さ調整方法を提案することにある。 【0011】 【課題を解決するための手段】前記目的を達成するための本発明の構成は、被加熱体を高周波誘導加熱するに際し、前記被加熱体の表面からの加熱深さを調整する方法において、次のようである。 【0012】前記被加熱体に使用されるひとつの高周波加熱コイルに、低い周波数と高い周波数との2周波の高周波加熱電力を同時に供給して前記被加熱体を高周波誘導加熱するとともに、一方の周波数の高周波電力と他方の周波数の高周波電力との配分を、任意の配分比又は配分比率に変えることにより、前記被加熱体の表面からの加熱深さを任意に、又は連続的に調整する方法である。 【0013】前記被加熱体に使用されるひとつの高周波加熱コイルに、低い周波数と高い周波数との2周波の高周波加熱電力を同時に供給して前記被加熱体を高周波誘導加熱するとともに、前記2周波のそれぞれの高周波電力による加熱時間をそれぞれ独立して任意に変えることにより、前記被加熱体の表面からの加熱深さを任意に、又は連続的に調整する方法である。 【0014】前記被加熱体に使用されるひとつの高周波加熱コイルに、低い周波数と高い周波数との2周波の高周波加熱電力を同時に供給して前記被加熱体を高周波誘導加熱するとともに、一方の周波数の高周波電力と他方の周波数の高周波電力との配分を、任意の配分比又は配分比率に変え、かつ前記2周波のそれぞれの高周波電力による加熱時間をそれぞれ独立して任意に変えることにより、前記被加熱体の表面からの加熱深さを任意に、又は連続的に調整する方法である。 【0015】前記2周波のうち、前記低い周波数が0.5kHz〜50kHz未満であり、前記高い周波数が50kHz〜800kHzである方法である。 【0016】前記方法に使用される装置が、前記被加熱体に使用されるひとつの高周波加熱ゴイルに、低い周波数と高い周波数の2周波の高周波電力のうち、いずれか一方の周波数の高周波電力により前記被加熱体を高周波誘導加熱中、任意の時間、他方の周波数の高周波電力を前記一方の周波数の高周波電力と同時に供給して、前記被加熱体を加熱できる装置である方法である。 【0017】前記被加熱体に使用されるひとつの高周波加熱コイルに、低い周波数と高い周波数とを含む3周波以上の高周波加熱電力を同時に供給して前記被加熱体を高周波誘導加熱するとともに、前記3周波以上のそれぞれの周波数の高周波電力の配分を、任意の配分比又は配分比率に変えることにより、前記被加熱体の表面からの加熱深さを任意に、又は連続的に調整する方法である。 【0018】前記被加熱体に使用されるひとつの高周波加熱コイルに、低い周波数と高い周波数とを含む3周波以上の高周波加熱電力を同時に供給して前記被加熱体を高周波誘導加熱するとともに、前記3周波以上のそれぞれの周波数の高周波電力による加熱時間をそれぞれ独立して任意に変えることにより、前記被加熱体の表面からの加熱深さを任意に、又は連続的に調整する方法である。 【0019】前記被加熱体に使用されるひとつの高周波加熱コイルに、低い周波数と高い周波数とを含む3周波以上の高周波加熱電力を同時に供給して前記被加熱体を高周波誘導加熱するとともに、前記3周波以上のそれぞれの周波数の高周波電力の配分を、任意の配分比又は配分比率に変え、かつ前記3周波以上のそれぞれの周波数の高周波電力による加熱時間をそれぞれ独立して任意に変えることにより、前記被加熱体の表面からの加熱深さを任意に、又は連続的に調整する方法である。 【0020】本発明の高周波誘導加熱における加熱深さ調整方法は、以上のように構成されているので、前記2周波の低い周波数の高周波電力と高い周波数の高周波電力の配分を、任意の配分比に変えたり、又は前記2周波のそれぞれの高周波電力による加熱時間をそれぞれ独立して任意に変えたり、また、本方法に使用される2周波による高周波加熱装置装置(本出願人により、既に特願2001−161820号にて提案)により、前記2周波のうち、低い周波数の加熱電力と高い周波数の加熱電力のうち、いずれか一方の周波数の加熱電力により前記被加熱体を高周波加熱中、任意の時間、他方の周波数の加熱電力を前記一方の周波数の加熱電力と同時に供給、又は前記一方の周波数の加熱電力に重畳して、前記被加熱体を高周波誘導加熱を行うことにより、前記被加熱体表面からの加熱深さを任意に、又は連続的に調整することができる。 【0021】また、前記被加熱体表面からの加熱深さは、前記高い周波数の高周波電流浸透深さと加熱時間の長さに応じた熱伝導分の深さの和と、前記低い周波数の高周波電流浸透深さと加熱時間の長さに応じた熱伝導分との深さの和との範囲内で任意に、又は連続的に変化させ、調整することができる。 【0022】本発明の加熱深さ調整方法は前述のとおりであるので、高周波誘導加熱を利用する広範な分野に採用可能で、応用の範囲が広い。特に、前記2周波のうち高い周波数の加熱電力と低い周波数の加熱電力との配分や、前記2周波の加熱電力のそれぞれの加熱時間を適宜調整することで、加熱深さを連続的に変化させ、又は調整できるので、加熱部分の過熱又は温度不足を伴うことなく、必要とする加熱深さを加熱することができる。また、高周波電源として、2周波共用の加熱用高周波発振機が1台ですむため、設備コストを低く抑えることができ、設置スペースも前記発振機1台分ですむというメリットがある。 【0023】 【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。図1は、本発明の高周波誘導加熱における加熱深さ調整方法の一実施の形態を示す図で、前記加熱深さ調整方法の実施に用いられる高周波誘導加熱装置の説明構成図である。 【0024】図1において、前記加熱深さ調整方法を行うために使用される高周波誘導加熱装置1は、金属材、例えば鋼系材からなる円柱形状の被加熱体2に装着されるひとつの高周波加熱ゴイル3に対して、2周波高周波電源としての2周波発振機4から2周波の高周波加熱電力を供給する。そして前記被加熱体2の外周部をある所定の焼入温度まで加熱した直後に、図示しない冷却液噴射部から、加熱された前記外周面に向けて冷却液、例えば冷却水を噴射して、前記外周部の高周波焼入を行う。 【0025】前記2周波発振機4は、低い周波数、例えば5.5kHzの高周波加熱電力を出力する第1の高周波電源部11と、前記第1の高周波電源部11から高周波電力を出力調整するとともに、該高周波電力を出力する加熱時間を任意に制御する(オン、オフする)制御部12と、高い周波数、例えば200kHzの高周波加熱電力を出力する第2の高周波電源部12と、前記第2の高周波電源部12から高周波電力を出力調整するとともに、該高周波電力を出力する加熱時間を任意に制御する(オン、オフする)制御部22とからなっている。 【0026】そして、前記被加熱体2に装着される前記高周波加熱ゴイル3に対して、前記2周波発振機4の前記第1の高周波電源部11から出力される前記低いの周波数の高周波電力と、前記第2の高周波電源部21から出力される前記高いの周波数の高周波電力との配分を、それぞれの前記制御部12,22により任意の配分比又は配分比率(加熱に要する全体高周波電力の、例えば%による配分)に変えたり、又は、前記2周波のそれぞれの高周波電力による加熱時間を、それぞれの前記制御部21,22により、それぞれ独立して任意に変えることにより、前記被加熱体2の表面からの加熱深さを任意に調整したり、又は連続的に調整することができる。 【0027】また、前記高周波加熱ゴイル3に対して、前記2周波発振機4から出力される前記低いの周波数の高周波電力と前記高いの周波数の高周波電力との配分を、それぞれの前記制御部21,22により任意の配分比又は配分比率に変えるとともに、前記2周波のそれぞれの高周波電力による加熱時間を、それぞれの前記制御部21,22により、それぞれ独立して任意に変えることにより、前記被加熱体1の表面からの加熱深さを任意に調整したり、又は連続的に調整することもできる。 【0028】以下に具体例を示す。前記2周波発振機4より低い周波数5.5kHzの加熱用高周波電力の出力と、高い周波数200kHzの加熱用高周波電力の出力とのそれぞれ配分された出力と、前記それぞれの周波数における加熱時間とを、前記それぞれの制御部21,22により、適宜調整して前記高周波加熱コイル3に供給し、前記被加熱体2を焼入温度まで加熱する。その直後に該被加熱体2を冷却水により冷却して、焼入を施工し、該被加熱体2の表面からの硬化層深さを加熱深さとした。このとき、鋼材からなる前記被加熱体2の表面からの加熱深さとして、約1.0mm〜約7.0mmが得られた。 【0029】本具体例において、前記被加熱体2と前記2周波発振機4は、下記のとおりである。 金属製被加熱体…材質:S45C焼準品 寸法:直径φ76mm×高さ50mm 2周波発振機 …出力:80kW 周波数:5.5kHz 200kHz【0030】図2は、低い周波数5.5kHzの加熱出力を80kW(100%)、高い周波数200kHzの加熱出力を0kW(0%)の配分とし、7.70秒間加熱したときの焼入硬化層を示す。この時の硬化層深さは6.8mmである。 【0031】図3は、低い周波数5.5kHzの加熱出力を40kW(50%)、高い周波数200kHzの加熱出力を40kW(50%)の配分とし、同時に5.60秒間加熱したときの焼入硬化層を示す。この時の硬化層深さは3.9mmである。 【0032】図4は、低い周波数5.5kHzの加熱出力を0kW(0%)、高い周波数200kHzの加熱出力を80kW(100%)の配分とし、1.98秒間加熱したときの焼入硬化層を示す。この時の硬化層深さは1.2mmである。 【0033】図5は、図2から図4の結果をグラフ化したものである。図8の周波数と高周波電流浸透深さの関係を示す図と比較すると、本発明による加熱深さ調整方法によれぱ、周波数5.5kHzから200kHzの範囲の電流浸透深さ、すなわち前記金属製被加熱体2の表面からの加熱深さを連続的に任意に調整可能であることが確認できる。 【0034】図6は、図5において、加熱時間を7.00秒に一定にして、図2〜図4の場合と同様に、前記低い周波数5.5kHzの加熱出力と高い周波数200kHzの加熱出力の配分のみを変化させて、同時に加熱した場合における、前記金属製被加熱体2の表面からの加熱深さの変化を示す図である。このように、2周波のそれぞれの加熱高周波出力の配分による加熱深さ調整方法によれぱ、周波数5.5kHzから200kHzの範囲の電流浸透深さ、すなわち前記金属製被加熱体2の表面からの加熱深さを連続的に任意に調整可能であることが確認できる。 【0035】以上の実施の形態の2周波としては、前記低い周波数が0.5kHz〜50kHz未満であり、前記高い周波数が、50kHz〜800kHzであるが、特に、前記高い周波数では、50kHz〜400kHzが好ましく、さらには、50kHz〜300kHzが最も好ましい。 【0036】なお、前記実施の形態では、前記被加熱体2に使用されるひとつの高周波加熱コイル3に、低い周波数と高い周波数との2周波の高周波加熱電力を同時に供給する場合を示したが、前記2周波に限らずに、必要により、前記低い周波数と高い周波数に含めて、3、又は4,又は5以上の周波の高周波加熱電力を同時に供給可能であるため、前記3、又は4,又は5以上の周波にも適用される。この場合、前記被加熱体2を高周波加熱する高周波発振機4として、3以上の複数の周波の高周波電力を出力できる発振機を使用するか、又は前記高周波発振機4に併設して、他の1又は2周波の高周波電力を出力できる発振機を所要台数使用ればよい。 【0037】次いで、前記高周波誘導加熱における加熱深さ調整方法に使用される2周波高周波電源としての2周波発振機4の一例について、説明する。(この装置については、本出願人により既に特願2001−161820号にて提案されている。) 図7は、前記2周波発振機4の回路図を含む構成図を示す。 【0038】図7において、前記高周波誘導加熱装置1は、前記被加熱体2を、ひとつの高周波加熱コイル3を使用して、前記2周波発振機4から出力される、周波数の異なる2周波、例えば、5.5kHzと200kHzの高周波電力により高周波誘導加熱する装置である。 【0039】前記2周波発振機4は、前記2周波のうち、前記5.5kHzの低い周波数の加熱電力を出力する第1の高周波電源部11と、該第1の高周波電源部11の出力端子間に並列に接続される共振コンデンサC1と、前記第1の高周波電源部11からの出力を、前記高周波加熱コイル3に供給するための第1の変成器T1と、前記200kHzの高い周波数の加熱電力を出力する第2の高周波電源部21と、該第2の高周波電源部21からの出力を、直列に接続される共振コンデンサC2を介して、前記高周波加熱コイル3に供給するための第2の変成器T2と、前記第1、及び第2の高周波電源部11,21内にそれぞれ設けられ、前記電源部11,21の出力の配分をそれぞれ調整するとともに、それぞれの加熱時間を制御する(オン、オフする)制御部12,22とからなる。 【0040】また、前記第1の変成器T1と前記高周波加熱コイル3との間に、前記第2の変成器T2の2次巻線が直列に接続されるように、接続されるとともに、該第1の変成器T1の2次側には、前記第2の高周波電源部21からの高周波成分をバイパスするための高周波バイパスコンデンサC3が、並列に接続されている。 【0041】図7の回路の主たる機能は、低い周波数の前記第1の高周波電源部11からの電力を、高い周波数の前記第2の高周波電源部21へ漏洩するのを防ぎながら、前記高周波加熱コイル3に加熱電力を供給するとともに、高い周波数の前記第2の高周波電源部21がらの電力を、低い周波数の前記第1の高周波電源部11へ漏洩するのを防ぎながら、前記高周波加熱コイル3に加熱電力を供給することにある。 【0042】前記共振コンデンサC1は、前記第1の高周波電源部11の出力端子間に並列に接続され、前記第1の変成器T1、前記高周波加熱コイル3及び被加熱体2を含めたインダクタンス成分と共振する静電容量値が選ぱれる。 【0043】前記共振コンデンサC2は、前記第2の高周波電源部21の出力側から直列に接続され、前記第2の変成器T2、前記高周波加熱コイル3及び前記被加熱体2を含めたインダクタンス成分と共振する静電容量値が選ぱれる。 【0044】前記高周波バイパスコンデンサC3は、高い周波数の前記第2の高周波電源部21からの高周波電流成分を、低い周波数の前記第1の高周波電源部11の前記共振コンデンサC1に流さないようにバイパスさせるもので、該共振コンデンサC1の周波数特性が、高い周波数で損失が大きい場合に取り付ける。 【0045】次に前記高周波加熱装置1の作用を説明する。前記第1、又は第2の高周波電源部11,21のうち、いずれか一方の前記高周波電源部11(又は21、以下、この段落番号中の記載は、括弧内同順)からの加熱電力により、前記高周波加熱コイル3を介して、前記被加熱体2を高周波加熱中、任意の時間、他方の前記高周波電源部21(又は11)からの加熱電力が、他方の前記制御部22(又は12)により、前記一方の高周波電源部11(又は21)から出力される加熱電力と同時に供給し、又は前記一方の高周波電源部11(又は21)から出力される加熱電力に重畳して、該高周波加熱コイル3を介して、前記被加熱体2を高周波加熱するのである。 【0046】以上、本発明の一実施の形態について述べたが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。 【0047】 【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明の高周波誘導加熱における加熱深さ調整方法によれば、被加熱体に使用されるひとつの高周波加熱コイルに、低い周波数と高い周波数との2周波の高周波加熱電力を同時に供給して前記被加熱体を高周波誘導加熱するとともに、一方の周波数の高周波電力と他方の周波数の高周波電力との配分を、任意の配分比に変えることにより、前記被加熱体の表面からの加熱深さを任意に、又は連続的に調整するので、使用される1台の高周波加熱コイルに供給する、低い周波数と高い周波数との2周波の高周波加熱電力を同時に供給し、又は供給しながら、被加熱体の表面からの加熱深さを広範にわたり、任意に、又は連続的に、かつ容易に調整することができるとともに、過熱又は温度不足を伴うことなく、必要加熱深さに加熱することができ作業性をよくすることができるという優れた効果を奏する。 【0048】また、本発明によれば、高周波誘導加熱用の高周波電源設備としての高周波発振機が1台ですむため、そのコストを低減できるとともに、その設置スペースも小さくできる。このため、産業上有益でな方法という優れた効果もあるということができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000217653 【氏名又は名称】電気興業株式会社 【住所又は居所】東京都千代田区丸の内3丁目3番1号
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| 【出願日】 |
平成14年5月29日(2002.5.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100099623 【弁理士】 【氏名又は名称】奥山 尚一 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−342633(P2003−342633A) |
| 【公開日】 |
平成15年12月3日(2003.12.3) |
| 【出願番号】 |
特願2002−154973(P2002−154973) |
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