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【発明の名称】 鉄鋼添加剤
【発明者】 【氏名】行木 正信
【住所又は居所】福岡県大牟田市新開町1 電気化学工業株式会社大牟田工場内

【氏名】大峯 弘師
【住所又は居所】福岡県大牟田市新開町1 電気化学工業株式会社大牟田工場内

【氏名】紀 元徳
【住所又は居所】福岡県大牟田市新開町1 電気化学工業株式会社大牟田工場内

【要約】 【課題】高脱硫性能、高耐消化性かつ耐火物の溶損が少ないバランスに優れた鉄鋼添加剤を提供する。

【解決手段】CaO成分70〜96質量%と、CaF22〜28質量%と、SiO2、MgO及びAl23から選ばれた酸化物成分の一種類以上2〜28質量%とを含む粒子群からなり、CaO成分の一部又は全部がCaO粒子であり、しかも粒子表面の少なくとも一部に、CaF2と、SiO2、MgO及びAl23から選ばれた一種又は二種以上の酸化物とが融着されてなることを特徴とする鉄鋼添加剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 CaO成分70〜96質量%と、CaF22〜28質量%と、SiO2、MgO及びAl23から選ばれた酸化物成分の一種類以上2〜28質量%とを含む粒子群からなり、CaO成分の一部又は全部がCaO粒子であり、しかも粒子表面の少なくとも一部に、CaF2と、SiO2、MgO及びAl23から選ばれた一種又は二種以上の酸化物とが融着されてなることを特徴とする鉄鋼添加剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶鋼脱硫剤として好適な鉄鋼添加剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、溶鋼脱硫剤の一品種として生石灰系のものがある。このものは、単独では脱硫性能が劣るのでそれを改善するためCaF2等の成分と併用されている。それでも高脱硫処理を行うには、生石灰系溶鋼脱硫剤に限らたことではないが、多量に添加する必要があり、スラグの発生量が多くなることが問題である。また、耐消化性が小さいので、大気中のH2O、CO2や溶鋼中のH、Cを取り込んだCaF2等の成分が、耐火物を溶損させる問題もある。この問題を解消するため、生石灰とCaF2の焼成物(特開昭56−108818号公報)や、これに更にMgO成分を混合したもの(特開昭62−196317号公報)が提案されているが、まだ不十分である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記に鑑み、高脱硫性能、高耐消化性かつ耐火物の溶損が少ないバランスに優れた鉄鋼添加剤を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、CaO成分70〜96質量%と、CaF22〜28質量%と、SiO2、MgO及びAl23から選ばれた酸化物成分の一種類以上2〜28質量%とを含む粒子群からなり、CaO成分の一部又は全部がCaO粒子であり、しかも粒子表面の少なくとも一部に、CaF2と、SiO2、MgO及びAl23から選ばれた一種又は二種以上の酸化物とが融着されてなることを特徴とする鉄鋼添加剤である。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、更に詳しく本発明について説明する。
【0006】本発明の鉄鋼添加剤の第1の条件は、CaO成分と、CaF2と、SiO2、MgO及びAl23から選ばれた一種又は二種以上の酸化物成分(以下、「SiO2等酸化物」という。)を含む粒子群からなり、CaO成分の一部又は全部がCaO粒子からなっていることである。CaO粒子の割合は、全CaO成分の60%以上、特に80%以上、更には90%以上であることが好ましい。CaO粒子の含有率に比例して脱硫率が高まる。CaO成分の一部がCaO粒子である場合の残部のCaO成分は、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム等である。CaF2は、蛍石、氷晶石、ダイアスポア等であり、SiO2等酸化物は、アルミナ、マグネシア、シリカ(溶融シリカ、合成シリカ等)、粘土、珪石、珪砂、焼成アルミナ、電融アルミナ、ボーキサイト等である。鉄鋼添加剤の粒度は、50mm以下、特に10mm以下であることが好ましい。
【0007】第2の条件は、CaO成分70〜96質量%、CaF22〜28質量%、SiO2等酸化物2〜28質量%である。CaO成分が70質量%未満であると高脱硫率を達成することができず、96質量%超であると耐消化性が低下する。好ましくは80〜96質量%である。また、CaF2が2質量%未満であると、溶融性が低下して高脱硫率を達成することができず、28質量%超であると耐消化性が低下し、耐火物の溶損が激しくなる。好ましくは2〜18質量%である。一方、SiO2等酸化物が2質量%未満であると耐消化性が低下し、耐火物の溶損が激しくなり、28質量%超であると、相対的にCaO成分又はCaF2が少なくなるため、高脱硫率を達成することができない。好ましくは2〜18質量%である。
【0008】第3の条件は、鉄鋼添加剤を構成している粒子群の少なくとも一部又は全部が、その表面の少なくとも一部に、CaF2とSiO2等酸化物とが融着されていることである。このような融着物がないと、脱硫性能と耐消化性がいずれも向上せず、また耐火物の溶損も少なくならない。好ましくは、全構成粒子の50%以上がこれらの化合物で融着されていることであり、その融着率は、粒子表面積に対する融着物の被覆率で表示して、70%以上、特に80%以上であることが好ましい。
【0009】本発明において、全CaO成分中のCaO粒子の割合は、式、{(全CaO)−(炭酸カルシウム+水酸化カルシウム)}×100/全CaO、により算出された値として定義される。また、融着率は、鉄鋼添加剤粒子一個の断面中央部付近の任意に選んだ10箇所をFE−SEM/EDS(日本電子社製、電界放射型走査電子顕微鏡)により、0.5mm×0.5mmの視野を200倍に拡大し、画像処理してその平均値を求め、これを任意に選んだ200個の粒子について測定し、その平均値として定義される。
【0010】本発明の鉄鋼添加剤は、所定成分となるように原料を混合し、ロータリーキルン、電気炉等で1300℃以上の温度で焼成又は溶融することによって製造することができる。 【0011】
【実施例】以下、実施例、比較例をあげて、更に具体的に本発明を説明する。
【0012】実施例1〜9、比較例1〜8【0013】酸化カルシウム(純度99質量%、粒度1mm下)、蛍石(純度98質量%、粒度1mm下)、電融アルミナ(純度99質量%、粒度1mm下)、珪石(純度99質量%、粒度1mm下)、酸化マグネシウム(純度99質量%、粒度1mm下)を表1で示す割合で種々混合し、1450℃、1時間焼成した後、1〜3mmに整粒し、種々の鉄鋼添加剤を製造した。ただし、比較例6〜8は、原料の単なる混合物であり、焼成は行われていないものである。
【0014】上記で製造された鉄鋼添加剤について、蛍光X線分析法による化学成分と、上記に従う全CaO中のCaO粒子の割合及び融着率とを測定した後、以下に従い、脱硫率、耐火物の溶損深さ、耐消化性を測定した。それらの結果を表1に示す。
【0015】(1)脱硫率アルゴンガス雰囲気下、溶鋼(市販品、SS41、溶鋼温度1600℃)に0.5質量%の鉄鋼添加剤を投入し、5分間精錬処理を行い、式、(鋼から除去された硫黄の質量)×100/(脱硫処理前の鋼中の硫黄質量)、に従って脱硫率(%)を測定した。なお、処理前の鋼中の硫黄濃度は300〜350ppmであり、鋼中の硫黄濃度は高周波燃焼/赤外吸収法で測定した。
(2)耐火物の溶損深さ2質量%の鉄鋼添加剤の投入された上記溶鋼中に、アルミナ−シリカ質レンガ(Al2384質量%、SiO213質量%、並型)を30分間浸漬した後、断面の溶損深さ(mm)を測定した。
(3)耐消化性30℃、湿度80%の大気雰囲気の恒温恒湿室において、鉄鋼添加剤10gをポリエチレン製袋に入れ、1週間放置後、カールフィッシャー法により、鉄鋼添加剤中の増加含水率(質量%)を、式、(試験前後の含水率差)×100/試験前の含水率、により測定した。
【0016】
【表1】

【0017】
【発明の効果】本発明によれば、高脱硫性能、高耐消化性かつ耐火物の溶損が少ないバランスに優れた鉄鋼添加剤が提供される。本発明の鉄鋼添加剤は、溶鋼脱硫剤はもとより、脱リン剤、非鉄酸化物介在物除去剤としても使用することができる。
【出願人】 【識別番号】000003296
【氏名又は名称】電気化学工業株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区有楽町1丁目4番1号
【出願日】 平成14年4月10日(2002.4.10)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−301214(P2003−301214A)
【公開日】 平成15年10月24日(2003.10.24)
【出願番号】 特願2002−107576(P2002−107576)