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【発明の名称】 植物の半矮性化に関与するsd1遺伝子、並びにその利用
【発明者】 【氏名】立木 美保

【氏名】松岡 信

【氏名】芦苅 基行

【要約】 【課題】植物の半矮性化に関与するsd1遺伝子、および該遺伝子を利用した植物の半矮性化方法の提供を課題とする。

【解決手段】本発明者らは、sd1遺伝子がC20酸化酵素遺伝子であると想到し、アラビドプシスのC20酸化酵素遺伝子のイネカウンターパートの単離および同定を行った。その結果、イネsd1遺伝子は新規なC20酸化酵素からコードされる遺伝子であることが判明した。さらなる検討の結果、この遺伝子の変異が、植物の半矮性化を導くことが明らかになった。植物のsd1遺伝子の利用によって、有用農作物および鑑賞用植物等の植物の高収量化や矮性化による美的価値の付加、さらに、マーカー選抜による高収量化や矮性化した植物の効率的育種等が可能になるものと大いに期待される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 植物の半矮性化のために用いる、以下(a)〜(c)のいずれかに記載のDNA。
(a)植物のsd1遺伝子の転写産物と相補的なアンチセンスRNAをコードするDNA(b)植物のsd1遺伝子の転写産物を特異的に開裂するリボザイム活性を有するRNAをコードするDNA(c)植物のsd1遺伝子の発現を、共抑制効果により阻害するRNAをコードするDNA【請求項2】 植物のsd1遺伝子がイネのsd1遺伝子である、請求項1に記載のDNA。
【請求項3】 請求項1または2に記載のDNAを含むベクター。
【請求項4】 請求項1または2に記載のDNAを発現可能に保持する形質転換植物細胞。
【請求項5】 植物がイネである請求項4に記載の形質転換植物細胞。
【請求項6】 請求項4または5に記載の形質転換植物細胞を含む形質転換植物体。
【請求項7】 請求項6に記載の形質転換植物体の子孫またはクローンである、形質転換植物体。
【請求項8】 植物がイネである請求項6または7に記載の形質転換植物体。
【請求項9】 請求項6〜8のいずれかに記載の形質転換植物体の繁殖材料。
【請求項10】 請求項6〜8のいずれかに記載の形質転換植物体の製造方法であって、請求項1または2に記載のDNAを植物細胞に導入し、該植物細胞から植物体を再生させる工程を含む方法。
【請求項11】 植物体の細胞内における、内因性のsd1遺伝子の発現を抑制することを特徴とする、植物を半矮性化させる方法。
【請求項12】 請求項1または2に記載のDNAを植物に導入することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】 植物がイネである請求項10〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】 イネのsd1タンパク質をコードするDNA。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物の半矮性化遺伝子の単離および同定、並びに該遺伝子を利用した植物の半矮性化に関する。
【0002】
【従来の技術】1956年に台湾において、半矮性の在来品種-低脚烏尖 (Dee-geo-woo-gen)と耐病性の菜園種(Tsai-yuang-chung)との交雑から育成された台中在来1号(Taichung Native 1)は従来インド型品種に見られない高収量性を示した。また、1960年代後半、フィリピンの国際イネ研究所(IRRI)において、同じく半矮性の低脚烏尖とインドネシアの良質米で長稈の(Peta)との交雑によって育成された半矮性品種「IR8」はミラクルライスと呼ばれ、単位面積当りの収量を画期的に向上させ、またその普及によってアジアでの食糧危機を救い「緑の革命」(Green revolution)をもたらした。この台中在来1号とIR8の両者の高収量性に寄与したのが、低脚烏尖に由来する半矮性遺伝子のsd1遺伝子である。しかしこれまでに、sd1遺伝子の大まかな染色体座乗位置が決定されているにすぎなかった。(Maeda et. al., Breeding science 47: 317-320, 1997)
【0003】一般的に、植物、特にイネを含む有用農作物の収量を増加させるためには、多肥条件下(より多くの窒素を与える条件下)で栽培する必要があるが、この場合、草丈が高くなることで、台風などの発生により倒れ易くなり、結果的に収量が減少する。そこで、植物を矮性化させ、多肥条件下で栽培する方法が考えられる。この点、sd1遺伝子は、既に知られている矮性遺伝子のd1、d61(Ashikari M. et. al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 96: 10284-10289, 1999; Yamamuro C.et. al., Plant Cell, 12: 1591-1605, 2000)がもたらす形質とは異なり、草丈を若干矮性化させるだけで、分げつ数の低下、子実の矮性化及び着粒数の減少をもたらさず、多肥条件下において、倒伏性を向上させ、また草型を改善する。この倒伏性の向上は、より多肥条件下での栽培を可能とし、また草型の改善によって、物質生産能力、および同化産物の子実への配分率が高まる。現在までに、この性質を利用して、世界で最も作付け面積の大きいIR64をはじめ、多くのイネ品種では戻し交配を通じてsd1遺伝子がもたらす形質を組込み、新品種の育成が行われてきた。
【0004】一方、近年の爆発的な人口増加に伴い、穀物需要も現在よりさらに50%の増収が必要とされており、様々な作物の高収量性品種の育成は急務である。このため、様々な植物、特にイネ育種を含む有用農作物の収量増加に関し、多肥条件下において安定的な収量増加をもたらすsd1遺伝子を利用することが考えられる。しかしながら、イネを含めた植物のsd1遺伝子の単離および同定がなされたという報告は皆無であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、植物の半矮性化に関与するsd1遺伝子を提供することにある。また、該遺伝子を利用した植物の半矮性化方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】植物ホルモンの1つジベレリン(GA)は発芽、茎葉伸長、花芽形成など多くの生長過程に関与している。GAの生合成経路は詳細に研究され、その合成を触媒する酵素遺伝子についても、アラビドプシス、イネ、トウモロコシ、カボチャ等からいくつかの遺伝子が単離されている(Hedden and Kamiya, Annu. Rev. PlantPhysiol. Plant Mol. Biol. 48: 431-460, 1997)。GAの合成に関与する遺伝子や情報伝達に関与する遺伝子に異常が生じた場合、植物はGAをその生長に利用出来ず矮性化する。実際、これまでに矮性突然変異体の原因がGAの合成遺伝子や情報伝達遺伝子の欠失であることが多数報告されている(Hedden and Kamiya, Annu. Rev. Plant Physiol. Plant Mol. Biol. 48: 431-460, 1997)。そこで、本発明者らは、GAがイネの半矮性化に関与している可能性を考え、sd1変異体である低脚烏尖にGAを投与し、GAの反応性を調べた。その結果、GAの投与によって低脚烏尖の茎葉伸長が見られた。一方、GAの生合成遺伝子の1つC20酸化酵素はGA生合成経路において、GA53 - GA44 - GA19 - GA20及び、GA12 - GA15 - GA24 - GA9の段階を触媒する。これまでに、C20酸化酵素はカボチャ及びアラビドプシス、イネで単離されており(Lange et. al., PNAS. 91: 8552-8556, 1994、Phillipset. al., Plant physiol. 108: 1049-1057, 1995、Xu et. al., PNAS. 92: 6640-6644, 1995、Toyomasu et. al., Physiol. Plant. 99: 111-118,1997)、アラビドプシスではC20酸化酵素遺伝子がゲノム中に少なくとも3つ存在する事が報告されている(Phillips et. al., Plant physiol. 108: 1049-1057, 1995)。
【0007】以上の知見から、本発明者らは、sd1遺伝子がGA生合成遺伝子、特に、植物ゲノムに重複して存在するC20酸化酵素遺伝子であると想到した。もし、そうであるなら、イネsd1遺伝子は劇的な草型の矮性化をもたらさないことが説明できる。そこで、まず、アラビドプシスのC20酸化酵素遺伝子のイネカウンターパートの単離および同定を試みた。
【0008】その結果、新規のイネGA C20酸化酵素遺伝子を単離し、同定することに成功した。さらに、該遺伝子の染色体座乗位置がイネのsd1座乗位置に近接しているか否か、また、イネの半矮性品種において、該遺伝子が変異しているか否かを検討した。その結果、該遺伝子の染色体座乗位置が、イネのsd1座乗位置に極めて近い位置に存在すること、また、低脚烏尖を含む数種のsd1変異体及びその野生型における該GAC20酸化酵素遺伝子の塩基配列を決定し比較したところ、sd1変異体では、いずれも、該遺伝子に変異が生じていることを見出した。従って、イネsd1遺伝子は新規なC20酸化酵素からコードされる遺伝子と同一であることが初めて明らかになった。このことは、植物のsd1遺伝子(C20酸化酵素遺伝子)の変異が、植物の半矮性化を導くことを示している。
【0009】植物のsd1遺伝子は、マーカー選抜による効率的育種に利用できる。従来の交雑育種を用いてsd1遺伝子を付与した品種を作成する場合、例えば、日本で最も栽培されているコシヒカリにsd1遺伝子を付与したい場合、コシヒカリにsd1遺伝子をもつIR64等を交雑してF1を作成後、sd1遺伝子以外の染色体が全てコシヒカリに置換するまでコシヒカリに戻し交配を行う必要があった。sd1遺伝子の単離は、sd1遺伝子を分子マーカーに使うことで、コシヒカリ染色体にsd1遺伝子のみが置換した個体を効率的に選抜することができるため、育種に要する多大な時間と労力を短縮する事ができる。また、植物のsd1遺伝子の利用によって、アンチセンスやRNAi法等の分子生物学的手法を用いた形質転換植物体の作出が可能になり、コムギ、オオムギ、トウモロコシ等の穀類、野菜、および果樹等の有用農作物の高収量化、さらには観葉植物等の鑑賞用植物の矮性化による美的価値の付与等がなされ、新たな品種が作出されるものと大いに期待される。
【0010】即ち、本発明は、植物の半矮性化遺伝子の単離および同定、並びに該遺伝子を利用した植物の半矮性化に関し、より具体的には、〔1〕 植物の半矮性化のために用いる、以下(a)〜(c)のいずれかに記載のDNA、(a)植物のsd1遺伝子の転写産物と相補的なアンチセンスRNAをコードするDNA(b)植物のsd1遺伝子の転写産物を特異的に開裂するリボザイム活性を有するRNAをコードするDNA(c)植物のsd1遺伝子の発現を、共抑制効果により阻害するRNAをコードするDNA〔2〕 植物のsd1遺伝子がイネのsd1遺伝子である、〔1〕に記載のDNA、〔3〕 〔1〕または〔2〕に記載のDNAを含むベクター、〔4〕 〔1〕または〔2〕に記載のDNAを発現可能に保持する形質転換植物細胞、〔5〕 植物がイネである〔4〕に記載の形質転換植物細胞、〔6〕 〔4〕または〔5〕に記載の形質転換植物細胞を含む形質転換植物体、〔7〕 〔6〕に記載の形質転換植物体の子孫またはクローンである、形質転換植物体、〔8〕 植物がイネである〔6〕または〔7〕に記載の形質転換植物体、〔9〕 〔6〕〜〔8〕のいずれかに記載の形質転換植物体の繁殖材料、〔10〕 〔6〕〜〔8〕のいずれかに記載の形質転換植物体の製造方法であって、〔1〕または〔2〕に記載のDNAを植物細胞に導入し、該植物細胞から植物体を再生させる工程を含む方法、〔11〕 植物体の細胞内における、内因性のsd1遺伝子の発現を抑制することを特徴とする、植物を半矮性化させる方法、〔12〕 〔1〕または〔2〕に記載のDNAを植物に導入することを特徴とする、〔11〕に記載の方法、〔13〕 植物がイネである〔10〕〜〔12〕のいずれかに記載の方法、〔14〕 イネのsd1タンパク質をコードするDNA、を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明によって、植物のsd1遺伝子の変異が植物の半矮性化を導くことが明らかになった。従って、植物のsd1遺伝子発現を抑制することで、多肥条件下において、高い収量が安定的に得られる半矮性化品種の作出が可能となった。
【0012】本発明における「植物の半矮性化」とは、植物の草丈を若干矮性化させるだけで、分げつ数の低下、子実の矮性化及び着粒数の減少をもたらさないことを意味する。この半矮性化によって、多肥条件下における倒伏性が向上し、また草型が改善される。その結果、安定的に収量が得られるようになる。
【0013】本発明において、「植物のsd1遺伝子」とは、植物のC20酸化酵素をコードする遺伝子を意味する。「植物のsd1遺伝子」には、イネのsd1遺伝子(配列番号:3、および配列番号:4をコードするDNA)、アラビドプシスのsd1遺伝子(Phillips et. al., Plant physiol. 108: 1049-1057, 1995)、および他の植物由来のsd1遺伝子が含まれる。
【0014】未知の、「植物のsd1遺伝子」の同定方法としては、ハイブリダイゼーション技術(Southern et. al., Journal of Molecular Biology 98: 503, 1975)やポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術(Saiki et. al., Science 230: 1350-1354, 1985、Saiki et. al., Science 239: 487-491, 1988)を利用して行うことができる。即ち、当業者であれば、例えばイネのsd1遺伝子の塩基配列(配列番号:3、および配列番号:4をコードするDNA)もしくはその一部をプローブとして、またsd1遺伝子の塩基配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドをプライマーとして、他の所望の植物からsd1遺伝子と高い相同性を有するDNAを単離し、その配列を決定することができる。
【0015】このようなDNAを単離するためには、通常ストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーション反応を行なう。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件としては、6M尿素、 0.4%SDS、0.5xSSCの条件またはこれと同等のストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件を例示できる。よりストリンジェンシーの高い条件、例えば、6M尿素、0.4%SDS、0.1xSSCの条件を用れば、より相同性の高いDNAの単離を期待することができる。単離したDNAの配列の決定は、公知の方法で行うことができる。
【0016】単離されたDNAが、sd1タンパク質をコードするDNAであるかは、通常、配列の相同性から判定する。配列の相同性は、BLASTn(核酸レベル)やBLASTx(アミノ酸レベル)のプログラム(Altschul et al. J. Mol. Biol.215:403-410, 1990)を利用して決定することができる。該プログラムは、Karlin and AltschulによるアルゴリズムBLAST(Proc. Natl. Acad. Sei. USA 87:2264-2268, 1990、Proc. Natl. Acad. Sei. USA 90:5873-5877, 1993)に基づいている。BLASTNによって塩基配列を解析する場合には、パラメーターは例えばscore = 100、wordlength =12とする。また、BLASTXによってアミノ酸配列を解析する場合には、パラメーターは例えばscore = 50、wordlength = 3とする。また、Gapped BLASTプログラムを用いて、アミノ酸配列を解析する場合は、Altschulら(Nucleic. Acids. Res.25:3389-3402, 1997)に記載されているように行うことができる。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合には、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。これらの解析方法の具体的な手法は公知である(http://www.ncbi.nlm.nih.gov.)。
【0017】本発明において、sd1遺伝子の発現を抑制して半矮性化形質を導入する植物としては、特に制限はなく、半矮性化させたい所望の植物を用いることができるが、有用農作物や鑑賞用植物が好適である。有用農作物としては、例えばイネ、トウモロコシ、コムギ、オオムギ等の単子葉植物や、ナタネ、ダイズ、ワタ、トマト、ジャガイモ等の双子葉植物が挙げられる。また、観賞用植物としては、例えばキク、バラ、カーネーション、シクラメン等の花卉植物が挙げられる。
【0018】本発明の方法において半矮性化した植物を作製する場合には、sd1遺伝子の発現を抑制するためのDNAを適当なベクターに挿入して、これを植物細胞に導入し、これにより得られた形質転換植物細胞を再生させる。「sd1遺伝子の発現を抑制」には、遺伝子の転写の抑制およびタンパク質への翻訳の抑制が含まれる。また、DNAの発現の完全な停止のみならず発現の減少も含まれる。
【0019】植物における特定の内在性遺伝子の発現を抑制する方法としては、アンチセンス技術を利用する方法が当業者に最もよく利用されている。植物細胞におけるアンチセンス効果は、エッカーらが一時的遺伝子発現法を用いて、電気穿孔法で導入したアンチセンスRNAが植物においてアンチセンス効果を発揮することで初めて実証した(Ecker and Davis, Proc.Natl.Acad.USA 83: 5372,1986)。その後、タバコやペチュニアにおいても、アンチセンスRNAの発現によって標的遺伝子の発現を低下させる例が報告されており(Krol et. al., Nature 333: 866,1988)、現在では植物における遺伝子発現を抑制させる手段として確立している。アンチセンス核酸が標的遺伝子の発現を抑制する作用としては、以下のような複数の要因が存在する。すなわち、三重鎖形成による転写開始阻害、RNAポリメラーゼによって局部的に開状ループ構造がつくられた部位とのハイブリッド形成による転写抑制、合成の進みつつあるRNAとのハイブリッド形成による転写阻害、イントロンとエキソンとの接合点でのハイブリッド形成によるスプライシング抑制、スプライソソーム形成部位とのハイブリッド形成によるスプライシング抑制、mRNAとのハイブリッド形成による核から細胞質への移行抑制、キャッピング部位やポリ(A)付加部位とのハイブリッド形成によるスプライシング抑制、翻訳開始因子結合部位とのハイブリッド形成による翻訳開始抑制、開始コドン近傍のリボソーム結合部位とのハイブリッド形成による翻訳抑制、mRNAの翻訳領域やポリソーム結合部位とのハイブリッド形成によるペプチド鎖の伸長阻止、および核酸とタンパク質との相互作用部位とのハイブリッド形成による遺伝子発現抑制などである。これらは、転写、スプライシング、または翻訳の過程を阻害して、標的遺伝子の発現を抑制する(平島および井上「新生化学実験講座2 核酸IV 遺伝子の複製と発現」,日本生化学会編,東京化学同人,pp.319-347,1993)。
【0020】本発明で用いられるアンチセンス配列は、上記のいずれの作用で標的遺伝子の発現を抑制してもよい。一つの態様としては、遺伝子のmRNAの5'端近傍の非翻訳領域に相補的なアンチセンス配列を設計すれば、遺伝子の翻訳阻害に効果的であろう。しかし、コード領域もしくは3'側の非翻訳領域に相補的な配列も使用し得る。このように、遺伝子の翻訳領域だけでなく非翻訳領域の配列のアンチセンス配列を含むDNAも、本発明で利用されるアンチセンスDNAに含まれる。使用されるアンチセンスDNAは、適当なプロモーターの下流に連結され、好ましくは3'側に転写終結シグナルを含む配列が連結される。
【0021】アンチセンスDNAは、例えば、配列番号:3に記載のDNAの配列情報を基にホスホロチオネート法(Stein, Nucleic. Acids. Res. 16: 3209-3221,1988)などにより調製することが可能である。調製されたDNAは、公知の方法で、所望の植物へ形質転換できる。アンチセンスDNAの配列は、形質転換する植物が持つ内在性遺伝子またはその一部と相補的な配列であることが好ましいが、遺伝子の発現を有効に阻害できる限り、完全に相補的でなくてもよい。転写されたRNAは、標的とする遺伝子の転写産物に対して好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の相補性を有する。アンチセンス配列を用いて、効果的に標的遺伝子の発現を阻害するには、アンチセンスDNA の長さは、少なくとも15塩基以上であり、好ましくは100塩基以上であり、さらに好ましくは500塩基以上である。通常、用いられるアンチセンスDNAの長さは5kbよりも短く、好ましくは2.5kbよりも短い。
【0022】内在性遺伝子の発現の抑制は、リボザイムをコードするDNAを利用して行うことも可能である。リボザイムとは触媒活性を有するRNA分子のことをいう。リボザイムには種々の活性を有するものがあるが、中でもRNAを切断する酵素としてのリボザイムの研究により、RNAの部位特異的な切断を目的とするリボザイムの設計が可能となった。リボザイムには、グループIイントロン型や、RNasePに含まれるM1RNAのように400ヌクレオチド以上の大きさのものもあるが、ハンマーヘッド型やヘアピン型と呼ばれる40ヌクレオチド程度の活性ドメインを有するものもある(小泉誠および大塚栄子,タンパク質核酸酵素,35:2191,1990)。
【0023】例えば、ハンマーヘッド型リボザイムの自己切断ドメインは、G13U14C15のC15の3'側を切断するが、活性にはU14が9位のAと塩基対を形成することが重要とされ、15位の塩基はCの他にAまたはUでも切断されることが示されている(Koizumiet. al., FEBS Lett. 228: 225,1988)。リボザイムの基質結合部を標的部位近傍のRNA 配列と相補的になるように設計すれば、標的RNA中のUC、UUまたはUAという配列を認識する制限酵素的なRNA切断リボザイムを作出することが可能である(Koizumi et. al., FEBS Lett. 239: 285,1988、小泉誠および大塚栄子,タンパク質核酸酵素,35: 2191,1990、Koizumi et. al., Nucleic. Acids. Res. 17:7059,1989)。
【0024】また、ヘアピン型リボザイムも、本発明の目的のために有用である。ヘアピン型リボザイムは、例えばタバコリングスポットウイルスのサテライトRNAのマイナス鎖に見出される(Buzayan, Nature 323: 349,1986)。このリボザイムも、標的特異的なRNA切断を起こすように設計できることが示されている(Kikuchi andSasaki, Nucleic Acids Res. 19:6751,1992, 菊池洋,化学と生物 30:112,1992)。
【0025】標的を切断できるよう設計されたリボザイムは、植物細胞中で転写されるようにカリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーターなどのプロモーターおよび転写終結配列に連結される。しかし、その際、転写されたRNAの5'末端や3'末端に余分な配列が付加されていると、リボザイムの活性が失われてしまうことがある。このようなとき、転写されたリボザイムを含むRNAからリボザイム部分だけを正確に切り出すために、リボザイム部分の5'側や3'側に、トリミングを行うためのシスに働く別のトリミングリボザイムを配置させることも可能である(Tairaet. al., Protein Eng. 3: 733,1990、Dzianott and Bujarski, Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86: 4823,1989、Grosshans and Cech, Nucleic. Acids. Res. 19: 3875, 1991、Taira et. al., Nucleic. Acids. Res. 19: 5125,1991)。また、このような構成単位をタンデムに並べ、標的遺伝子内の複数の部位を切断できるようにして、より効果を高めることもできる(Yuyama et. al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 186: 1271,1992)。このようなリボザイムを用いて本発明で標的となる遺伝子の転写産物を特異的に切断し、該遺伝子の発現を抑制することができる。
【0026】内在性遺伝子の発現の抑制は、さらに、標的遺伝子配列と同一もしくは類似した配列を有するDNAの形質転換によってもたらされる共抑制によっても達成されうる。「共抑制」とは、植物に標的内在性遺伝子と同一若しくは類似した配列を有する遺伝子を形質転換により導入すると、導入する外来遺伝子および標的内在性遺伝子の両方の発現が抑制される現象のことをいう。共抑制の機構の詳細は明らかではないが、植物においてはしばしば観察される(Curr.Biol. 7: R793,1997、Curr.Biol. 6: 810,1996)。例えば、sd1遺伝子が共抑制された植物体を得るためには、sd1遺伝子若しくはこれと類似した配列を有するDNAを発現できるように作製したベクターDNAを目的の植物へ形質転換し、得られた植物体からsd1変異体の形質を有する植物、即ち半矮性化した植物を選択すればよい。共抑制に用いる遺伝子は、標的遺伝子と完全に同一である必要はないが、少なくとも70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上(例えば、95%以上)の配列の同一性を有する。
【0027】さらに、本発明における内在性遺伝子の発現の抑制は、標的遺伝子のドミナントネガティブの形質を有する遺伝子を植物へ形質転換することによっても達成することができる。ドミナントネガティブの形質を有する遺伝子とは、該遺伝子を発現させることによって、植物体が本来持つ内在性の野生型遺伝子の活性を消失もしくは低下させる機能を有する遺伝子のことをいう。
【0028】また本発明は、上記の内在性遺伝子の発現の抑制に用いるDNAを含むベクター、該DNAを発現可能に保持する形質転換植物細胞、該形質転換植物細胞を含む形質転換植物体、該形質転換植物体の子孫またはクローンである形質転換植物体、該形質転換植物体の繁殖材料を提供する。
【0029】さらに、本発明は、上記の形質転換植物体の製造方法であって、内在性遺伝子の発現の抑制に用いるDNAを植物細胞に導入し、該植物細胞から植物体を再生させる工程を含む方法に関する。
【0030】本発明のDNAの植物細胞への導入は、当業者においては、公知の方法、例えばアグロバクテリウム法、電気穿孔法(エレクトロポーレーション法)、パーティクルガン法により実施することができる。
【0031】上記アグロバクテリウム法を用いる場合、例えばNagelらの方法(Microbiol.Lett. 67: 325,1990)が用いられる。この方法によれば、組み換えベクターをアグロバクテリウム細菌中に形質転換して、次いで形質転換されたアグロバクテリウムを、リーフディスク法等の公知の方法により植物細胞に導入する。上記ベクターは、例えば植物体に導入した後、本発明のDNAが植物体中で発現するように、発現プロモーターを含む。一般に、該プロモーターの下流には本発明のDNAが位置し、さらに該DNAの下流にはターミネーターが位置する。この目的に用いられる組み換えベクターは、植物への導入方法、または植物の種類に応じて、当業者によって適宜選択される。上記プロモーターとして、例えばカリフラワーモザイクウイルス由来のCaMV35S、トウモロコシのユビキチンプロモーター(特開平2-79983号公報)等を挙げることができる。
【0032】また、上記ターミネーターは、カリフラワーモザイクウイルス由来のターミネーター、あるいはノパリン合成酵素遺伝子由来のターミネーター等を例示することができるが、植物体中で機能するプロモーターやターミネーターであれば、これらに限定されない。
【0033】また、本発明のDNAを導入する植物は、外植片であってもよく、これらの植物から培養細胞を調製し、得られた培養細胞に導入してもよい。本発明の「植物細胞」は、例えば葉、根、茎、花および種子中の胚盤等の植物の細胞、カルス、懸濁培養細胞等が挙げられる。
【0034】また、本発明のDNAの導入により形質転換した植物細胞を効率的に選択するために、上記組み換えベクターは、適当な選抜マーカー遺伝子を含む、もしくは選抜マーカー遺伝子を含むプラスミドベクターと共に植物細胞へ導入するのが好ましい。この目的に使用する選抜マーカー遺伝子は、例えば、抗生物質ハイグロマイシンに耐性であるハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子、カナマイシンまたはゲンタマイシンに耐性であるネオマイシンホスホトランスフェラーゼ、および除草剤ホスフィノスリシンに耐性であるアセチルトランスフェラーゼ遺伝子等が挙げられる。
【0035】組み換えベクターを導入した植物細胞は、導入された選抜マーカー遺伝子の種類に従って適当な選抜用薬剤を含む公知の選抜用培地に置床し培養する。これにより形質転換された植物培養細胞を得ることができる。
【0036】次いで、本発明のDNAを導入した形質転換細胞から植物体を再生する。植物体の再生は植物細胞の種類に応じて当業者に公知の方法で行うことが可能である(Toki et. al., Plant Physiol. 100: 1503-1507, 1995)。例えば、イネにおいては、形質転換植物体を作出する手法については、ポリエチレングリコールによりプロトプラストへ遺伝子導入し、植物体(インド型イネ品種が適している)を再生させる方法(Datta et. al., In Gene Transfer To Plants (Potrykus I and Spangenberg Eds.) pp66-74, 1995)、電気パルスによりプロトプラストへ遺伝子導入し、植物体(日本型イネ品種が適している)を再生させる方法(Toki et. al., Plant Physiol. 100: 1503-1507, 1992)、パーティクルガン法により細胞へ遺伝子を直接導入し、植物体を再生させる方法(Christou et. al., Bio/technology, 9: 957-962, 1991)およびアグロバクテリウムを介して遺伝子を導入し、植物体を再生させる方法(Hiei et. al., Plant J. 6: 271-282, 1994)など、いくつかの技術が既に確立し、本願発明の技術分野において広く用いられている。本発明においては、これらの方法を好適に用いることができる。
【0037】形質転換細胞から再生させた植物体は、次いで順化用培地で培養する。その後、順化した再生植物体を、通常の栽培条件で栽培すると、半矮性化した植物体が得られ、成熟して結実して種子を得ることができる。
【0038】なお、このように再生され、かつ栽培した形質転換植物体中の導入された外来DNAの存在は、公知のPCR法やサザンハイブリダイゼーション法によって、または植物体中のDNAの塩基配列を解析することによって確認することができる。
【0039】この場合、形質転換植物体からのDNAの抽出は、公知のJ.Sambrookらの方法(Molecular Cloning、第2版、Cold SpringHarbor laboratory Press,1989)に準じて実施することができる。
【0040】再生させた植物体中に存在する本発明のDNAよりなる外来遺伝子を、PCR法を用いて解析する場合には、上記のように再生植物体から抽出したDNAを鋳型として増幅反応を行う。また、本発明のDNA、あるいは本発明により改変されたDNAの塩基配列に従って適当に選択された塩基配列をもつ合成したオリゴヌクレオチドをプライマーとして用い、これらを混合させた反応液中おいて増幅反応を行うこともできる。増幅反応においては、DNAの変性、アニーリング、伸張反応を数十回繰り返すと、本発明のDNA配列を含むDNA断片の増幅生成物を得ることができる。増幅生成物を含む反応液を例えばアガロース電気泳動にかけると、増幅された各種のDNA断片が分画されて、そのDNA断片が本発明のDNAに対応することを確認することが可能である。
【0041】一旦、染色体内に本発明のDNAが導入された形質転換植物体が得られれば、該植物体から有性生殖または無性生殖により子孫を得ることが可能である。また、該植物体やその子孫あるいはクローンから繁殖材料(例えば、種子、果実、切穂、塊茎、塊根、株、カルス、プロトプラスト等)を得て、それらを基に該植物体を量産することも可能である。本発明には、本発明のDNAが導入された植物細胞、該細胞を含む植物体、該植物体の子孫およびクローン、並びに該植物体、その子孫、およびクローンの繁殖材料が含まれる。
【0042】本発明においては、上記の如く、植物のsd1遺伝子の発現を抑制することで、植物を半矮性化することができる。本発明の方法で作製した植物は、例えば有用農作物では高い収量が安定的に得られ、鑑賞用植物では新たな美的価値が付加されることが大いに期待される。
【0043】さらに、本発明は、イネのsd1タンパク質をコードするDNAを提供する。該DNAは、植物の生長の促進、特に、茎葉伸長の上昇に用いることが考えられる。イネのsd1タンパク質をコードするDNAを用いた植物の形質転換体の作製は、上記した方法により行うことができる。即ち、上記したベクターに該DNAを挿入し、該ベクターを植物細胞に導入し、該植物細胞から植物体を再生させることにより行うことができる。さらに、本発明のイネのsd1タンパク質をコードするDNAの配列を基に、植物のsd1遺伝子の発現を抑制するために用いる、アンチセンスRNAをコードするDNA、リボザイム活性を有するRNAをコードするDNA、さらに共抑制効果を有するRNAをコードするDNA等を作製することも可能である。作製されたDNAは、植物の半矮性化を導くDNAとして使用できる。
【0044】本発明における「イネのsd1タンパク質」には、配列番号:4に記載のタンパク質だけでなく、該タンパク質と機能的に同等なイネ由来のタンパク質も含まれる。このようなタンパク質としては、人工的に作製されたもの、および、イネに内在するもの等が挙げられる。ここで「機能的に同等」とは、対象となるタンパク質がGA合成活性や植物に導入した場合に茎葉伸長活性を有することを指す。このようなタンパク質には、例えば、配列番号:4に記載のタンパク質の変異体、ホモログ、バリアントなどが含まれる。
【0045】イネのsd1タンパク質と機能的に同等なタンパク質は、例えば、当業者に周知のタンパク質中のアミノ酸配列に変異を導入する方法(例えば、部位特異的変異誘発法(Ausubel et. al., Current Protocols in MolecularBiology edit. Publish. Jhon Wily & Sons Section 8: 1-8.5, 1987)を用いることで作製することができる。また、自然界におけるアミノ酸の変異により生じたイネの内在のタンパク質は、配列番号:3に記載のDNAに基づいて、ハイブリダイゼーション技術、あるいは 遺伝子増幅技術(PCR)等によって単離することが可能である。
【0046】本発明においては、イネのsd1タンパク質と同等の機能を有する限り、そのアミノ酸配列(配列番号:4)に、1もしくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入および/もしくは付加等が生じているタンパク質が含まれる。タンパク質における変異数としては、典型的には、30アミノ酸以内であり、好ましくは10アミノ酸以内であり、さらに好ましくは5アミノ酸以内(例えば、3アミノ酸以内)が例示できるが、その変異数や変異部位は、タンパク質の機能が保持される限り制限はない。置換されるアミノ酸は、タンパク質の機能の保持の観点から、置換前のアミノ酸と似た性質を有するアミノ酸であることが好ましい。例えば、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Met、Phe、Trpは、共に非極性アミノ酸に分類されるため、互いに似た性質を有すると考えられる。また、非荷電性としては、Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn、Glnが挙げられる。また、酸性アミノ酸としては、AspおよびGluが、塩基性アミノ酸としては、Lys、Arg、Hisが挙げられる。
【0047】また、本発明において、イネのsd1タンパク質をコードするDNAとしては、上記のタンパク質をコードしうるものであれば、その形態に特に制限はなく、cDNAの他、ゲノムDNA、化学合成DNAなども含まれる。また、イネのsd1タンパク質をコードしうる限り、遺伝暗号の縮重に基づく任意の塩基配列を有するDNAが含まれる。本発明のイネのsd1タンパク質をコードするDNAは、上記のように、配列番号:3に記載のDNA配列もしくはその一部をプローブとしたハイブリダイゼーション法やこれらDNA配列の情報に基づき設計したプライマーを用いた遺伝子増幅法(PCR)等の常法により単離することが可能である。これらプローブやプライマ−は、本発明のイネのsd1タンパク質をコードするDNAを基に、当業者であれば周知の技術によって容易に作製することができる。
【0048】
【実施例】以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
[実施例1]アラビドプシスのC20酸化酵素遺伝子の配列を基に、プライマーOsC20U(5'- ccgctcgccgagaagcgccg -3'/配列番号:1)および OsC20L(5'- atgaaggtgtcgccgatgtt -3'/配列番号:2)を設計した。イネ日本晴ゲノムDNAを鋳型としてPCR反応を行い、イネGAC20酸化酵素遺伝子の単離を試みた。その結果、618 bpの増幅産物が得られ、その増幅産物の塩基配列を決定した。その結果、新規のイネGAC20酸化酵素遺伝子であることが判った。GAC20は、2-oxoglutarate dependent dioxygenase (2-ODD)ファミリーに属するが、機能的に不可欠な2-oxoglutaleteと結合するドメイン(NYYPXCXXP)を保存している。また、鉄イオンを結合する3つのヒスチジン残基やGAのバインドに関与する可能性が示唆されているLPWKETドメインも保存されている。Arabidopsis C20酸化酵素遺伝子とは50%の相同性を示す。
【0049】[実施例2]この新規なGAC20酸化酵素遺伝子の染色体座乗位置を、BIL(1998; TAG 96: 997-1003、Mapping quantitative trait loci controlling seed dormancy and heading date in rice, Oryza sativa L., using backcross inbred lines.)を用いた連鎖解析を行った結果、イネ第1染色体約(155cM)に座乗していることが判明した。この座乗位置はsd1座乗位置に極めて近く、イネC20酸化酵素がsd1遺伝子である可能性が強く示唆された。
【0050】[実施例3]野生型の日本晴よりゲノミッライブラリーを調製し、プラークハイブリダイゼーション法を用いてGAC20酸化酵素遺伝子を含むゲノムクローンを単離後、C20酸化酵素遺伝子の全塩基配列を決定した(配列番号:3)。また、推定されるアミノ酸配列を配列番号:4に示す。
【0051】[実施例4]sd1変異体の低脚烏尖及びその野生型の烏尖におけるGAC20酸化酵素遺伝子の塩基配列を決定し比較したところ、低脚烏尖では、第1エキソンから第2エキソンにかけて386bpの塩基配列の欠失が見られた。他のsd1変異体のについても同様にGAC20酸化酵素遺伝子の塩基配列を決定した。その結果、sd1変異体カルロース76では、第2エキソン中の1塩基シトシンがチミンに変化しており、アミノ酸レベルではロイシンからフェニルアラニンに変化していた。同じくsd1変異体レイメイでは、第3エキソン中の1塩基グアニンがシトシンに変化しアミノ酸レベルではアスパラギン酸がヒスチジンに変化していた(図1)。
【0052】
【発明の効果】本発明者らによって、植物のsd1遺伝子および該遺伝子の利用方法が提供された。植物のsd1遺伝子の利用によって、有用農作物および鑑賞用植物等の植物の高収量化や矮性化による美的価値の付加、さらに、マーカー選抜による高収量化や矮性化した植物の効率的育種等が可能になるものと大いに期待される。
【0053】
【配列表】
SEQUENCE LISTING <110> Honda Motor Co., Ltd.<120> sd1 gene involved in semidwarfing of plants, and use thereof<130> H3-A0101<140><141><160> 4 <170> PatentIn Ver. 2.0<210> 1<211> 20<212> DNA<213> Artificial Sequence<220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially Synthesized Primer Sequence<400> 1ccgctcgccg agaagcgccg 20 <210> 2<211> 20<212> DNA<213> Artificial Sequence<220> <223> Description of Artificial Sequence:Artificially Synthesized Primer Sequence<400> 2atgaaggtgt cgccgatgtt 20 <210> 3<211> 5575<212> DNA<213> Oryza sativa<400> 3gtatatttac tagttaacga catcatgtat taaaaatcgg aggaggtata gaagtatgtt 60 ctcctttctt gtaaacatag gttgatctgt atatttgttt ttgtcttatt ttgttttttc 120 attgatctca ccattaaaca ggtggcctcc aaaaatgcat gcagccatgt atcttcccag 180 tccatgaaat taatcttgaa ttattataaa ttaaaaacat attaggattt gatatatgaa 240 aggtataatg gtagcagatc tatcatagaa aacctataac acgtagatga ccgagtagag 300 aaaaaagata tacccaacat aatcaagtac cttgttaatt agtaagaagt aagaaamcca 360 tataaataca agcatttggg tgaagctaga atgggaacta tattaccatg tatcccatac 420 atatctatta cgcacttaat acctgaatta ttcgtgtaac gaagaacatg ctttggtaaa 480 aaataaaata tttggaccgt ataccatgcg gttatcgcag ttatcacgtg cggtaatatt 540 ctcagttttt caaaccgcgg tataacttgc aataaccgcg tggttttcgc ggtaaccacc 600 aaaccgtggg gctgtggtaa ccccacctaa aacgatttgg taaaccctag tcagagctag 660 cttgatcgtg gctccgccct ctgcatctcc tcatggtcac aagatcaatt tagaacctct 720 tataagctgt tgaaccatca gtactacagt cccaagatta acatattttt taaaatatca 780 aaattgctca tgatgaattg attaccgttc atgtgcctgt atggtgcatg ggtggtatag 840 tgcaccgtga cctgtactgt gctagatgtt ccttccaacc ttagtacttc acgaaaagga 900 gaggaaccat ttccctgtca ccttcctgca acatggtcag gcataaacca aacacgatcg 960 aagcgaatcg gcgataccac acaatagccg cgcgtcgcaa acaacaattc cgcggctagc 1020 tacttccgac ctccgaaact actgcgagcc caagtgggta cggttttagt gcaaataggg 1080 taagtcttgt ttacatcata tcggtttcat tttggtacac gaatggagaa gaaatgaaag 1140 agatcgaaaa aaggaagagc tcgctgtgta tctgtctcgt aacagccccg gtgttacacg 1200 tgctctaaga gagattaatt aaatcgataa gctaccagag gtttagtttt ccacgtgtta 1260 attagattgg aaagcgagag aaattaaaaa tagcgagtaa aaatagagat aaccttattg 1320 ctattttgtt ttttttccag caacaaactt atctttcagg ctagtttagg cgatcgctta 1380 gattccgcat cgtccttttc actatttttt ttctgtcagt gacaatgtga aaatttattg 1440 gacagacgac tagcttgtgg tactagctag gaaattccct atcctcgata tgaacaactt 1500 actcaactca gtagagtagc aaatgcccaa gaaagcccga gtcaatctat ttggaaatcc 1560 aatctatttt ctcgtattcg tgtgggaaat caagctatac tagttgaaat tcaccggaag 1620 aaatgcacgg cacttcaata taccaaaatt gcaaaggaga atcattcgat taacagtgga 1680 attcaaccaa gaaatgaaaa ggtatatata ggaaatgcac tccaaccacc aaccaataag 1740 tgattccggg caatcaattc tatccgcgag ttgtgggtct gttcagattc attatattag 1800 aacgcgtcac gtaatggatg gagtattata caacaccatt ggttttgcca ctagtgttaa 1860 ctctaataca tgggggttag ttttaccttt aaacttggtc taaaaggatg gacatatggc 1920 aatgcaattg catgggggtc attgattcga ccatcatgtc tgtccagtgg caaccccctc 1980 cctcatcccc tgtggtgggc cccccacggc gctcgtcttc tcccctgtta caaatacccc 2040 accctcctgc ccagacagct cgccctgcac 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Pro Val Val Ala Asp Tyr Phe Ser Ser 165 170 175 Thr Leu Gly Pro Asp Phe Ala Pro Met Gly Arg Val Tyr Gln Lys Tyr 180 185 190 Cys Glu Glu Met Lys Glu Leu Ser Leu Thr Ile Met Glu Leu Leu Glu 195 200 205 Leu Ser Leu Gly Val Glu Arg Gly Tyr Tyr Arg Glu Phe Phe Ala Asp 210 215 220 Ser Ser Ser Ile Met Arg Cys Asn Tyr Tyr Pro Pro Cys Pro Glu Pro 225 230 235 240Glu Arg Thr Leu Gly Thr Gly Pro His Cys Asp Pro Thr Ala Leu Thr 245 250 255 Ile Leu Leu Gln Asp Asp Val Gly Gly Leu Glu Val Leu Val Asp Gly 260 265 270 Glu Trp Arg Pro Val Ser Pro Val Pro Gly Ala Met Val Ile Asn Ile 275 280 285 Gly Asp Thr Phe Met Ala Leu Ser Asn Gly Arg Tyr Lys Ser Cys Leu 290 295 300 His Arg Ala Val Val Asn Gln Arg Arg Glu Arg Arg Ser Leu Ala Phe 305 310 315 320Phe Leu Cys Pro Arg Glu Asp Arg Val Val Arg Pro Pro Pro Ser Ala 325 330 335 Ala Thr Pro Gln His Tyr Pro Asp Phe Thr Trp Ala Asp Leu Met Arg 340 345 350 Phe Thr Gln Arg His Tyr Arg Ala Asp Thr Arg Thr Leu Asp Ala Phe 355 360 365 Thr Arg Trp Leu Ala Pro Pro Ala Ala Asp Ala Ala Ala Thr Ala Gln 370 375 380 Val Glu Ala Ala Ser 385
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成13年6月19日(2001.6.19)
【代理人】 【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志 (外1名)
【公開番号】 特開2003−260(P2003−260A)
【公開日】 平成15年1月7日(2003.1.7)
【出願番号】 特願2001−185128(P2001−185128)