トップ :: C 化学 冶金 :: C11 動物性または植物性油,脂肪,脂肪性物質またはろう;それに由来する脂肪酸;洗浄剤;ろうそく




【発明の名称】 洗浄溶剤とポリ塩化ビフェニール入り電気機器の洗浄方法
【発明者】 【氏名】小野寺 功
【住所又は居所】富山県滑川市法花寺233番地 北陸電機製造株式会社内

【氏名】高橋 優
【住所又は居所】東京都千代田区大手町2丁目2番1号 日本曹達株式会社内

【氏名】荒川 徹
【住所又は居所】東京都千代田区大手町2丁目2番1号 日本曹達株式会社内

【要約】 【課題】ポリ塩化ビフェニールを含有する電気機器を安全且つ低コストで洗浄し、ポリ塩化ビフェニール除外を行う溶剤と洗浄方法を提供する。

【解決手段】ポリ塩化ビフェニール入り電気機器を洗浄し、ポリ塩化ビフェニール除外を行う洗浄溶剤において、引火点が130℃以上の石油留分由来の直鎖型炭化水素類と芳香族炭化水素類混合の鉱物油、または100ppm以下のポリ塩化ビフェニール含有鉱物油であることを特徴とする洗浄溶剤と、多数の電気機器内に、連続的且つ複数回にわたって、前記鉱物油を注入、ポリ塩化ビフェニール溶出、抜き取りを行う洗浄方法において、電気機器に一度注入して抜き取ったポリ塩化ビフェニール低濃度含有鉱物油を、他のポリ塩化ビフェニールを高濃度で含む電気機器に注入して抜き取り、ポリ塩化ビフェニール除外を順次行うことを特徴とするポリ塩化ビフェニール入り電気機器の洗浄方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポリ塩化ビフェニール入り電気機器を洗浄し、ポリ塩化ビフェニール除外を行う洗浄溶剤において、直鎖型炭化水素類と芳香族炭化水素類の混合物である石油留分由来の鉱物油であることを特徴とする洗浄溶剤。
【請求項2】 前記鉱物油は、引火点が130℃以上の炭化水素類からなることを特徴とする請求項1記載の洗浄溶剤。
【請求項3】 前記鉱物油は、100ppm以下のポリ塩化ビフェニールを含有していることを特徴とする請求項1または2記載の洗浄溶剤。
【請求項4】 請求項1,2または3記載の洗浄溶剤を、ポリ塩化ビフェニール入り電気機器内に入れて、ポリ塩化ビフェニールを溶出させ、抜き取ることによって、ポリ塩化ビフェニール除外を行うことを特徴とするポリ塩化ビフェニール入り電気機器の洗浄方法。
【請求項5】 請求項4記載の洗浄方法により、多数の電気機器内に、連続的且つ複数回にわたって、前記鉱物油を注入、ポリ塩化ビフェニール溶出、抜き取りを行う洗浄方法において、電気機器に一度注入して抜き取ったポリ塩化ビフェニール低濃度含有鉱物油を、他のポリ塩化ビフェニールを高濃度で含有する電気機器に注入して抜き取り、ポリ塩化ビフェニール除外を順次行うことを特徴とするポリ塩化ビフェニール入り電気機器の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリ塩化ビフェニール(以下、PCBと略す)入り電気機器を洗浄する溶剤と洗浄方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、PCB絶縁油を吸引して抜き取り、この抜き取られたPCB絶縁油は、種々の方法、例えば、脱塩素化反応等で無害化処理されている。
【0003】一方、PCB入り電気機器の除外処理の第一段階として、電気機器本体からPCB絶縁油を吸引して抜き取った後、構成内部品を分解しなければならないが、人体及び環境への危険がないよう、開放前にPCB濃度を下げる必要がある。洗浄溶剤を用いて希釈させることを予備洗浄または粗洗浄と呼ぶが、このための溶剤として、炭化水素系溶剤や有機塩素化合物系溶剤が使われてきた。炭化水素系溶剤は高価であり、大量消費するには回収装置が必要となり、PCB汚染機器が増加してしまう問題点がある。また、現在用いられている炭化水素系溶剤は、C12〜C14の単一成分に近いものであって、引火点も70〜80℃であり、効果的な洗浄温度では引火点に近づいてしまうために、防爆構造を要するなど、高価な設備を必要とする問題点がある。更に、この溶剤は、洗浄対象の構成材の一部を成しているシリコーンゴムのパッキン・ガスケットを冒し、洗浄時に漏洩等が生じる懸念がある。また、有機塩素化合物系溶剤は、人体毒性、地球環境汚染が問題となっており、使用禁止、制限される傾向にある。これらの洗浄溶剤は洗浄性能が高いものの、その蒸気圧、引火点、発火点の低さから、有害ガスが発生してそれを吸引したり、引火、爆発、火災などの危険性があり、この対策が必要であるなど取り扱いが難しく、またコストも高くつくという問題点があった。
【0004】一方で、低濃度PCB含有絶縁油(以下、低濃度油と略す)は、国内で大量に存在しており、脱塩素化法等の無害化処理でPCBの殆ど存在しない絶縁油(以下、処理済油と略す)になり、燃料油に供される。そこで、本発明者らは炭化水素系溶剤や有機塩素化合物系溶剤の問題点を解消し、PCB入り電気機器を、低コストで効果的にPCB除外する溶剤として、未使用絶縁油のみならず、処理済油や低濃度油も有効利用することを発明するに至ったものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、安全且つ低コストでPCB入り電気機器のPCB除外処理を行うことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のうち請求項1記載の発明による洗浄溶剤は、PCB入り電気機器を洗浄し、PCB除外を行う洗浄溶剤において、直鎖型炭化水素類と芳香族炭化水素類の混合物である石油留分由来の鉱物油であることを特徴とする。このように構成すれば、安全且つ低コストでPCB除外を行うことができる。直鎖型炭化水素類と芳香族炭化水素類の炭素数は18〜45程度で粘性が低いことが望ましい。電気機器とは、例えば、変圧器、コンデンサーが挙げられる。また、この鉱物油は、例えば、具体的には変圧器絶縁油が挙げられる。
【0007】本発明のうち請求項2記載の発明による洗浄溶剤は、引火点が130℃以上の炭化水素類からなる鉱物油であることを特徴とする。このように構成すれば、引火や爆発、火災の危険もなく、加温によってPCBを早く溶出することができる。
【0008】請求項1又は2記載の発明による洗浄溶剤には、PCBを効果的に溶出させる観点から、PCBを含んでいない方が望ましいが、請求項3記載の発明のように、100ppm以下のPCBを含有する絶縁油(低濃度油)であっても、ほぼ同等のPCB溶出効果が得られる。このように構成すれば、PCB濃度100ppm以下の低濃度油にPCBを溶出させて除外し、PCBを高い濃度で含んだ絶縁油を、金属ナトリウム分解法などでPCB濃度を下げることによって、PCB濃度が0.5ppm以下となった処理済油を、さらに再利用して、変圧器やコンデンサーを洗浄し、PCB除外を行うことができる。従って、絶縁油の再利用の観点から、資源の有効利用を図ることができる。
【0009】本発明に用いる洗浄溶剤としては、PCB低濃度の鉱物油が望ましく、引火点が130℃以上の、JIS C-2320 1種1、2、3または4号、2種1号電気絶縁油が挙げられる。低濃度油とは、PCBの濃度が100ppm以下のものを指す。
【0010】本発明のうち請求項4記載の発明による洗浄方法は、請求項1,2または3記載の洗浄溶剤を、PCB入り電気機器内に入れて、PCBを溶出させ、抜き取ることによって、PCB除外を行うことを特徴とする。このように構成すれば、絶縁油、低濃度油を有効利用して、低コストで洗浄することができる。
【0011】変圧器やコンデンサーの基本的な予備洗浄方法の一例を次に説明する。本発明の洗浄溶剤を用いた洗浄方法は、これに限定されない。まず、PCB入り電気機器からPCBを含む絶縁油を抜き取る。次に、抜き取ったPCB含有絶縁油の代わりに、低濃度油を注入する。そして、加温、撹拌、超音波印加、強制循環、加震などの各種手法により、電気機器内部のPCBを、低濃度油に溶出させる。そして、PCBが溶出した絶縁油を抜き取る。次に、新たに低濃度油を注入する。これらの作業を繰り返してPCBを除外し、安全に後処理できるまで行う。
【0012】これにより、電気機器に収納されていたPCBは安全処理できる程度の濃度まで低下する。PCBが溶出したPCB含有絶縁油は、金属ナトリウム分解法等によって、PCB濃度0.5ppm以下に無害化され、PCB濃度0.5ppm以下の処理済油は、再度電気機器のPCB低減のための洗浄溶剤として用いることができる。
【0013】本発明のうち請求項5記載の発明による洗浄方法は、請求項4記載の洗浄方法により、多数の電気機器内に、連続的且つ複数回にわたって、前記鉱物油を注入、PCB溶出、抜き取りを行う洗浄方法において、電気機器に一度注入して抜き取ったPCB低濃度含有鉱物油を、他のPCBを高濃度で含む電気機器に注入して抜き取り、PCB除外を順次行うことを特徴とする。このように構成すれば、鉱物油をさらに有効利用し、多くの電気機器のPCB除外を効率的に行うことができる。
【0014】連続的に、多数の電気機器のPCB除外を行う方法としては、例えば、1台目の電気機器の2回目の抜き取り鉱物油を2台目の電気機器の1回目の注入油とし、1台目の電気機器の3回目の抜き取り鉱物油を2台目の電気機器の2回目の注入油とし、2台目の電気機器の2回目の抜き取り鉱物油を3台目の電気機器の1回目の注入油として、これを繰り返し、全ての電気機器の1回目の抜き取り鉱物油は無害化処理する方法が挙げられる。このようにすることで、抜き取り鉱物油を、より洗浄回数の少ない電気機器に、順送りに使用すれば、処理する鉱物油は1回目に抜き取ったものだけとなるため、効率的である。また、抜き取った鉱物油を有効に利用でき、保管、無害化処理の無駄を省くことができる。
【0015】このようにして、低濃度油を電気機器の除外処理に用いることにより、高価な炭化水素系溶剤や有機塩素化合物系溶剤を用いることなく、低コストで処理することができる。また、これらの炭化水素系溶剤や有機塩素化合物系溶剤にPCBを溶出させた後、PCBを無害化する作業よりも、絶縁油からPCBを無害化する作業の方が、はるかに容易である。また、炭化水素系溶剤を使用すると、トランス構造材との不適合による問題点があるが、絶縁油を使用することで不適合は解消され、且つ引火性の低減と相俟って安全に作業することができる。
【0016】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0017】実施例1PCB入り変圧器、コンデンサーからPCBを含む絶縁油を抜き取った。次に、抜き取ったPCB含有絶縁油の代わりに、PCB非含有のJIS C-2320 1種2号電気絶縁油を注入した。そして、加温、撹拌することにより、変圧器、コンデンサー内部のPCBを、JIS C-2320 1種2号電気絶縁油に溶出させた。そして、PCBが溶出したJIS C-2320 1種2号電気絶縁油を抜き取った。次に、処理済油を注入した。これらの作業を繰り返し、安全に後処理できるまで行って、変圧器、コンデンサーを安全作業濃度までPCBを低減させた。
【0018】実施例2PCB入り変圧器、コンデンサーからPCBを含む絶縁油を抜き取った。次に、抜き取ったPCB含有絶縁油の代わりに、PCB100ppmを含有するJIS C-23202種1号電気絶縁油を注入した。そして、超音波印加、強制循環、加震することにより、変圧器、コンデンサー内部のPCBを、JIS C-2320 2種1号電気絶縁油に溶出させた。そして、PCBが溶出したJIS C-2320 2種1号電気絶縁油を抜き取った。次に、処理済油を注入した。これらの作業を繰り返し、安全に後処理できるまで行って、変圧器、コンデンサーを安全作業濃度までPCBを低減させた。
【0019】実施例3PCB入り変圧器、コンデンサーからPCBを含む絶縁油を抜き取った。次に、抜き取ったPCB含有絶縁油の代わりに、PCB80ppmを含有するJIS C-23201種4号変圧器絶縁油を注入した。そして、超音波印加、強制循環することにより、変圧器、コンデンサー内部のPCBを、JIS C-2320 1種4号変圧器絶縁油に溶出させた。そして、PCBが溶出したJIS C-2320 1種4号変圧器絶縁油を抜き取った。次に、処理済油を注入した。これらの作業を繰り返し、安全に後処理できるまで行って、変圧器、コンデンサーを安全作業濃度までPCBを低減させた。
【0020】
【発明の効果】本発明のうち請求項1記載の発明による洗浄溶剤によれば、PCB含有電気機器を、安全且つ低コストでPCB除外することができる。
【0021】本発明のうち請求項2記載の発明による洗浄溶剤によれば、引火や爆発、火災の危険もなく、加温によってPCBを早く溶出することができる。従って、防爆構造などの高価な設備を要せず、PCB除外することができる。
【0022】本発明のうち請求項3記載の発明による洗浄溶剤によれば、PCBで低濃度汚染された絶縁油、例えば柱上トランス汚染油や脱塩素反応で処理された処理済油を電気機器の予備洗浄溶剤として使用でき、有効な資源活用ができる。
【0023】本発明のうち請求項4記載の発明による洗浄方法によれば、PCB含有電気機器を、安全且つ低コストでPCB除外することができる。
【0024】本発明のうち請求項5記載の発明による洗浄方法によれば、絶縁油をさらに一層有効活用し、多数のPCB含有電気機器を効率的にPCB除外することができる。
【出願人】 【識別番号】592228712
【氏名又は名称】北陸電機製造株式会社
【住所又は居所】富山県滑川市法花寺233番地
【識別番号】000004307
【氏名又は名称】日本曹達株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区大手町2丁目2番1号
【出願日】 平成14年1月31日(2002.1.31)
【代理人】 【識別番号】100090206
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 信道
【公開番号】 特開2003−221597(P2003−221597A)
【公開日】 平成15年8月8日(2003.8.8)
【出願番号】 特願2002−23378(P2002−23378)