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【発明の名称】 水性粘着剤組成物及び粘着剤塗工物
【発明者】 【氏名】福本 昌一
【住所又は居所】東京都中央区京橋二丁目3番13号 東洋インキ製造株式会社内

【氏名】塩沢 公英
【住所又は居所】東京都中央区京橋二丁目3番13号 東洋インキ製造株式会社内

【要約】 【課題】本発明は、これら従来の水性アクリル系共重合体を含有する水性粘着剤の持つ欠点を克服し、溶剤型アクリル系共重合体以上の耐水性と同等のその他諸粘着物性を有する水性粘着剤組成物を提供することを目的とする。

【解決手段】反応性界面活性剤の存在下に乳化重合してなる水酸基含有アクリル共重合体エマルション(A)と、炭酸ジルコニルアンモニウム(B)とを含有することを特徴とする水性粘着剤組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)80〜99.8重量%、重合性不飽和カルボン酸(b)0.1〜10重量%、アルコール性水酸基を具有し、上記(a)、(b)と共重合可能なビニルモノマー(c)0.1〜10重量%を含有するモノマー100重量部を、上記(a)〜(c)と共重合可能なエチレン性不飽和基を具有する反応性界面活性剤(d)0.1〜10重量部の存在下に、水媒体中で乳化重合して得られるアクリル共重合体エマルション(A)と、炭酸ジルコニルアンモニウム(B)とを含有することを特徴とする水性粘着剤組成物。
【請求項2】 アクリル共重合体エマルション(A)の固形分100重量部に対して、炭酸ジルコニルアンモニウム(B)を0.1〜5.0重量部含有することを特徴とする請求項1記載の水性粘着剤組成物。
【請求項3】 アクリル共重合体エマルション(A)のゲル分率が20%〜50%であり、該エマルション中の分散粒子の平均粒子径が60〜300nmであることを特徴とする請求項1又は2記載の水性粘着剤組成物。
【請求項4】 請求項1ないし3いずれか記載の水性粘着剤組成物を用いてなる粘着剤塗工物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アクリル共重合体エマルションと炭酸ジルコニルアンモニウムとを含有する水性粘着剤組成物及び該粘着剤組成物を用いてなる粘着剤塗工物に関する。詳しくはポリエチレンテレフタレート(以下、PETともいう)、ポリオレフィン、塩ビ等のプラスチックフィルムを支持体とするた粘着剤塗工物であって、更に詳しくは耐水性、被着体への粘着力、裁断性、保持力の良好な粘着剤塗工物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、プラスチックフィルムを支持体とする粘着塗工物の場合、粘着剤としては溶剤型アクリル共重合体が用いられてきた。しかし、環境問題の要請から溶剤型から水性アクリル共重合体への転換が図られてはいるが、耐水性、被着体への粘着力、裁断性、保持力などの要求を十分に充たすものは無かった。
【0003】例えば、水性アクリル共重合体を得るに際し反応性乳化剤を用いると、粘着塗工物の耐水性が向上するが、溶剤型と比較しうる程には各種被着体に対し十分な粘着力、保持力、裁断性を持つものは得られていない。これは、下記の理由による。溶剤型の粘着剤を用いてなる粘着塗工物は、一般に液体クロマトグラフィで計測できる程度の分子量(200万〜300万以下)のアクリル共重合体中の反応性官能基を架橋剤で架橋させ、粘着剤層を形成する。
【0004】一方、水性粘着剤の場合は、比較的分子量の低いアクリル共重合体が分散媒である水に分散しているエマルションを支持体や剥離性シートに塗工した後、分散媒である水を揮散させ、粘着剤層を形成する。しかし、このような水性粘着剤の場合、水が揮散する程度の低温でアクリル共重合体と架橋し、十分な粘着特性を発現し得る組成が存在しなかった。例えば、水性粘着剤に分野における低温架橋可能な組み合わせとしては、ジケトンとヒドラジド、カルボン酸とエチレンイミン、カルボン酸とオキサゾリン、カルボン酸とカルボジイミド、カルボン酸とエポキシ基等の組み合わせが挙げられる。しかし、これらの組み合わせは、粘着物性と裁断性とのバランスが悪かったり、プラスチックフィルムを支持体とする粘着剤塗工物としては粘着剤層の透明性の点で難があったり、粘着剤層が熱の影響を受け黄変したり、また粘着剤の経時安定性の点で難がある。
【0005】尚、「裁断性が良い」とは、例えば粘着剤塗工物の原反等を切る際に、粘着剤層が刃に付着し難いことをいう。即ち、一般に各種粘着剤塗工物は、広幅かつ長尺の塗工物、いわゆる原反をまず製造し、次いでこれを所望の幅や長さに切る。さらにラベルやシールと称される小さな切片の場合、必要とする切片の周囲に切り込みを入れたり、周辺部分を剥離性シートから切り取ってしまうこともある。このような加工の際に粘着剤層が刃に付着し難いことが要求される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の難点故に、耐水性のみならず粘着物性全てにわたって水性タイプの粘着剤のレベルアップが望まれていた。本発明は、これら従来の水性アクリル系共重合体を含有する水性粘着剤の持つ欠点を克服し、溶剤型アクリル系共重合体以上の耐水性と同等のその他諸粘着物性を有する水性粘着剤組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、第1の発明は、炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)80〜99.8重量%、重合性不飽和カルボン酸(b)0.1〜10重量%、及びアルコール性水酸基を具有し、上記(a)、(b)と共重合可能なビニルモノマー(c)0.1〜10重量%からなるモノマー100重量部を、上記(a)〜(c)と共重合可能なエチレン性不飽和基を具有する反応性界面活性剤(d)0.1〜10重量部の存在下に、水媒体中で乳化重合して得られるアクリル共重合体エマルション(A)と、炭酸ジルコニルアンモニウム(B)とを含有することを特徴とする水性粘着剤組成物であり、【0008】第2の発明は、アクリル共重合体エマルション(A)の固形分100重量部に対して、炭酸ジルコニルアンモニウム(B)を0.1〜5.0重量部含有することを特徴とする第1の発明に記載の水性粘着剤組成物であり、第3の発明は、アクリル共重合体エマルション(A)のゲル分率が20%〜50%であり、該エマルション中の分散粒子の平均粒子径が60〜300nmであることを特徴とする第1又は第2の発明に記載の水性粘着剤組成物である。
【0009】さらに第4の発明は、第1ないし第3の発明いずれかに記載の水性粘着剤組成物を用いてなる粘着剤塗工物である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に用いるアクリル共重合体エマルション(A)について説明する。アクリル共重合体エマルション(A)は、炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)80〜99.8重量%、重合性不飽和カルボン酸(b)0.1〜10重量%、及びアルコール性水酸基を具有し、上記(a)、(b)と共重合可能なビニルモノマー(c)0.1〜10重量%からなるモノマー100重量部を、上記(a)〜(c)と共重合可能なエチレン性不飽和基を具有する反応性界面活性剤(d)0.1〜10重量部の存在下に、水媒体中で乳化重合して得られるものである。尚、本発明でいうアクリル共重合体は、メタクリル酸アルキルエステルの共重合体をも含むものである。
【0011】アルキル基の炭素数が1〜14個の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)は、アクリル共重合体の主成分となるものであり、アルキル基の炭素数が4〜12個の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。アルキル基の炭素数が1〜14個の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)としては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸iso−プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸iso−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル等の直鎖または分岐脂肪族アルコールのアクリル酸エステル及び対応するメタクリル酸エステルが挙げられる。これらは2種以上使用することができる。アクリル共重合体を構成する際使用される全モノマー100重量%中に、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)を50〜99.8重量%含有する。
【0012】アクリル共重合体を得る際に使用される重合性不飽和カルボン酸(b)としては、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸が挙げられ、これらは2種以上使用することができる。アクリル共重合体を構成する際使用される全モノマー100重量%中に、全単量体100重量%中に重合性不飽和カルボン酸(b)を0.1〜10重量%含有することが重要である。
【0013】アクリル共重合体を得る際に使用されるアルコール性水酸基を具有し、上記(a)及び(b)と共重合可能なビニル単量体(c)について説明する。ビニル単量体(c)に由来するアルコール性水酸基は、後述する炭酸ジルコニルアンモニウム(B)と反応する機能を担う。アルコール性水酸基を有するビニル単量体(c)としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシルプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシルブチルが挙げられ、2種以上使用することができる。アクリル共重合体を構成する際使用される全モノマー100重量%中に、全単量体100重量%中にアルコール性水酸基を有するビニル単量体(c)を0.1〜10重量%含有することが重要である。
【0014】アクリル共重合体エマルション(A)を得る際には、上記(a)〜(c)以外にもその他の共重合可能なビニルモノマーを使用することができる。例えば、ポリエチレングリコールアクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、モノ−(2−ヒドロキシルエチル−α−クロロアクリレート)アシッドホスフェート、ビニルブロックトイソシアネート等、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチルアミノエチルアクリレート、N−トリブチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルピロリドン、ビニルエステル、ビニルピリジン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ブタジエン、クロロプレン等を使用することができる。これらその他のモノマーは、2種以上使用することができる。尚、ここでいうその他のモノマーは後述する反応性界面活性剤(d)以外のものを言う。これらその他のモノマーは、全モノマー100重量%中に0〜5重量%の範囲で使用することが好ましい。
【0015】本発明において使用されるアクリル共重合体エマルション(A)を得る際には上記(a)〜(c)と共重合可能なエチレン性不飽和基を具有する反応性界面活性剤(d)を全モノマー100重量部に対して、0.1〜10重量部を用いることが重要であり、0.1〜5.0重量部用いることが好ましく、0.5〜2.0重量部用いることがより好ましい。
【0016】反応性界面活性剤(d)のうちアニオン系界面活性剤としては、ノニルフェニル骨格の旭電化工業(株)製「アデカリアソープSE−10N」、第一工業製薬(株)製「アクアロンHS−10、HS−20」等、長鎖アルキル骨格の第一工業製薬(株)製「アクアロンKH−05、KH−10」、旭電化工業(株)製「アデカリアソープSR−10N」等、燐酸エステル骨格の日本化薬(株)製「KAYARAD」等が挙げられる。このようなアニオン系界面活性剤量は、使用する界面活性剤成分100重量%中に50〜100重量%であることが好ましい。
【0017】反応性界面活性剤(d)のうちノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンフェニルエーテル類、ソルビタン高級脂肪酸エステル類、グリセリン高級脂肪酸エステル類の分子末端あるいは中間部に不飽和二重結合を具有し、上記した(a)〜(c)及びその他のモノマーと共重合し得るものに限られる。例えば、旭電化工業(株)製「アデカリアソープNE−10」、第一工業製薬(株)製「アクアロンRN−10、RN−20、RN−50」、日本乳化剤(株)製「アントックスNA−16」等が挙げられる。
【0018】アクリル共重合体エマルション(A)を得る際には、さらに補助的に、耐水白化を妨げない程度の非反応性界面活性剤の添加も可能である。例えば、非反応性界面活性剤としては、日本乳化剤(株)製の「ニューコールSFシリーズ」、「ニューコール2360」、「RA−9314」、「RA−9607」等が挙げられる。このような非反応性界面活性剤は、反応性界面活性剤を主とする界面活性剤の総量100重量%中に0〜50重量%であることが好ましい。
【0019】本発明において使用されるアクリル共重合体エマルション(A)は、反応性界面活性剤(d)の存在下に、上記(a)〜(c)等を乳化重合してなるものである。重合反応を開始するに当たっては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩またはアゾビス系カチオン塩または水酸基付加物等の水溶性の熱分解型過重合開始剤を用いる。
【0020】またレドックス開始剤を用いることができる。レドックス開始剤としては、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物とロンガリット、メタ重亜硫酸ナトリウムなどの還元剤との組み合わせ、または過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムとロンガリット、チオ硫酸ナトリウムなどの組み合わせ、過酸化水素水とアスコルビン酸の組み合わせ等が用いられる。
【0021】さらに乳化重合するに際しては、得られるアクリル共重合体の分子量や分子量分布を制御するために各種連鎖移動剤を使用することができる。連鎖移動剤としてが、メルカプタン系、チオグリコール系、βメルカプトプロピオン酸系のアルキルエステルを使用することができる。使用量は、モノマー全量100重量部に対して0.01〜0.2重量部が好ましく、0.05〜0.1重量部がより好ましい。
【0022】得られるアクリル共重合体エマルション(A)のゲル分率は、20%〜50%でありことが好ましい。また粘着剤塗工物の耐水性を考慮すると分散粒子の平均粒子径が60〜300nmであることが好ましく、80〜250nmであることがより好ましい。また、得られるアクリル共重合体エマルション(A)は、BL型粘度計6000rpm、#4ローター、1分計測したときの粘度が、1000〜10000mPa・sであることが好ましく、2000〜5000mPa・sであることがより好ましい。 またpHは径時保存安定性、作業環境性の観点から4〜9であることが好ましく、7.0〜8.5であることがより好ましい。
【0023】本発明の粘着剤組成物は、上記のアクリル共重合体エマルション(A)に下記の構造を持つ炭酸ジルコニルアンモニウム(B)を配合してなるものである。
(NH42ZrO(CO32炭酸ジルコニルアンモニウム(B)は、水中で加水分解し、下記構造を呈するものと考えられる。
(NH42Zr(CO32(OH)2そして、生じた水酸基が、アクリル共重合体のエマルション(A)中のアルコール性水酸基を有するモノマー(c)由来のアルコール性水酸基と以下のように反応し、架橋構造を形成するものと考えられる。
【0024】
【化1】

【0025】このような炭酸ジルコニルアンモニウム(B)としては、第一稀元素化学工業(株)製のジルコゾールAC−7が例示される。
【0026】アクリル共重合体中のアルコール性水酸基と炭酸ジルコニルアンモニウムの水酸基との反応を利用する本発明の水性粘着剤組成物は、ジケトンとヒドラジド、カルボン酸とエチレンイミン、カルボン酸とオキサゾリン、カルボン酸とカルボジイミド、カルボン酸とエポキシ基等の反応を利用する従来の粘着剤よりも、粘着物性と裁断性のバランス、フィルム支持体用粘着剤としての透明性、熱経時後の黄変性、粘着剤の経時安定性等の点においてより優れている。また、エチレンイミンやオキサゾリンを使用する場合には毒性の点でも難があるのに対し、本発明の場合そのような懸念も無い。
【0027】本発明の水性粘着剤組成物は、上記アクリル共重合体エマルション(A)の固形分100重量部に対して、炭酸ジルコニルアンモニウム(B)を0.1〜5.0重量部含有することが好ましく、0.15〜3.0重量部含有することがより好ましい。
【0028】本発明の粘着剤組成物は、さらに粘着性付与剤を含有する事も出来る。例えば、ロジン樹脂、フェノール樹脂、ポリテルペン、アセチレン樹脂、石油系炭化水素樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、合成ゴム、天然ゴム等を粘着性付与剤として粘着剤組成中に含有しても良い。
【0029】更には、本発明の粘着剤組成物の処方構成上、必要に応じて種々の添加剤を含有することができる。例えば、濡れ剤(はじき防止の界面活性剤等)、消泡剤、中和剤、可塑剤、増粘剤、充填剤、着色剤、防腐剤、防黴剤、溶剤等が挙げられる。
【0030】次に本発明の粘着剤塗工物について説明する。本発明の粘着剤塗工物は、種々のシート状支持体の少なくとも一方の面に上記粘着剤組成物から形成される粘着剤層が積層されてなるものであり、粘着剤層の他方の面は剥離性シートに被覆された状態で提供することができる。
【0031】本発明の粘着剤塗工物は、例えば以下のようにして得られる。剥離性シート上に粘着剤組成物をコンマコータ、リバースコータ、スロットダイコータ、リップコータ等で塗工し、乾燥した後、粘着剤層の上にシート状支持体を積層することにより得ることができる。用いられるシート状支持体としては、PET、ポリプロピレン等のポリオレフィン、塩化ビニル等のプラスチックフィルムが挙げられる。また、粘着剤塗工物の粘着剤層は、乾燥重量で5〜50g/m2であることが好ましく、15〜25g/m2であることがより好ましい。得られた粘着剤塗工物は、フィルム・ラミネート用、ラベル用、テープ用、建材用及び包装材料用粘着シートとして使用され、水滴のかかる場所など耐水性を必要とする場所での使用においても有効な粘着性を保持し、汎用粘着剤シートとしても有用なものである。
【0032】
【実施例】本発明を実施例に基づいて説明する。 例中「部」は「重量部」、「%」は「重量%」である。
【0033】[実施例1]アクリル酸ブチル48部、アクリル酸2エチルヘキシル48部、アクリル酸2部、アクリル酸ヒドロキシエチル2部、これら全モノマー100部に対してチオグリコール酸オクチル0.06部、反応性アンモニア中和型アニオン性乳化剤として第一工業製薬社製アクアロンKH−10を2.0部(固形分)、イオン交換水28.5部(エマルション固形分が75%になるように)を添加し、乳化して滴下ロートに仕込んだ。
【0034】攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた重合槽に、イオン交換水80部及びアクアロンKH−10を固形分で0.12部仕込み、窒素ガスで飽和させて攪拌し、80℃に加熱し、5%過硫酸アンモニウム水溶液を固形分で0.075部添加した。次いで、予め乳化した上記滴下ロートのエマルションの滴下を開始し、これと並行して5%過硫酸アンモニウム水溶液を固形分で0.225部、3時間かけて滴下した。反応温度を80℃に保ったまま滴下終了30分後、10%過硫酸アンモニウム水溶液を固形分で0.04部を30分おきに2回に分けて添加した。さらに攪拌しながら80℃で2時間熟成した後、冷却してアンモニアで中和しアクリル共重合体エマルションを取り出した。該エマルションの不揮発分は45%、平均粒子径は150nm、ゲル分率は38%であった。
【0035】不揮発分は、上記アクリル共重合体エマルションを電気オーブンで150℃−30分乾燥し、乾燥前後の重量から求めた。また、平均粒子径の測定は、日機装(株)製マイクロトラックで行った。ゲル分率は、上記アクリル共重合体エマルションを50μPETフィルムに乾燥膜厚が15〜20μになるように塗工、乾燥した後、10cm×3cmの大きさに切り、12cm×5cmの寸法の200メッシュのステンレス網に貼付し、酢酸エチルの環留中に6時間浸漬し、浸漬の前後の粘着剤層の重量から求めた。
【0036】上記で得たアクリル共重合体エマルションに対して濡れ剤、防腐剤を加え、更にアンモニア水でpHを8.5に調整後、アクリル共重合体共重合体の固形分100部に対して、第一稀元素化学工業(株)製のジルコゾールAC−7(不揮発分13%)を固形分換算で1部添加した。さらに増粘剤で3000mPa・s(BL型粘度計、#4ロータ・60rpmにて測定)に増粘し、粘着剤を得た。
【0037】該粘着剤をコンマコータで市販の離型紙に乾燥膜厚20g/m2となるように塗工速度約4m毎分で塗工し、ボディーオーブン中を90℃−35秒間通過させ分散媒を除去した後に、25μPETフィルムをラミネートして巻き取り、粘着剤塗工物を得た。これを23℃−50%の恒温室で9kg/(20cm×30cm)の荷重下に48時間放置した。
【0038】<耐水性試験>上記粘着塗工物の剥離紙を剥がし、粘着剤層にアルミ蒸着PETのアルミ面を積層(ラミネート)し、PET/粘着剤層/アルミ蒸着PETからなる積層物を得た。次いで該積層物を60℃温水中に24時間浸漬し、取り出した後すぐにPET側からL値(反射)を分光測色計(スガ試験機(株)製)により計測した。
【0039】<HAZE(曇価)>上記粘着塗工物の剥離紙を剥がし、粘着剤層をガラス板に貼着後、分光測色計(スガ試験機(株)製)により計測した。
【0040】<接着力試験>上記粘着塗工物の剥離紙を剥がし、粘着剤層を研磨したステンレス板またはポリエチレン板に、貼着し、2kgロールで1往復した後、24時間後の180℃剥離試験で計測した。
【0041】<保持力試験>10cm×25mmの上記粘着塗工物の剥離紙を剥がし、粘着剤層を研磨したステンレス板に25mm×25mmの面積で貼付し2kgロールで1往復した後、40℃雰囲気で1kgの荷重をかけて最大7万秒放置し、落下するまでの時間または貼付位置のずれの距離を計測した。
【0042】<ボールタック>「JIS Z 0237 傾斜式ボールタック」に準拠して試験した。
【0043】<裁断性>上記粘着塗工物を10cm×10cmの大きさに切り、20枚重ねでカッターで切り落とし、刃に粘着剤の付着する様子を観察した。
【0044】<加熱黄変性>上記粘着塗工物の剥離紙を剥がし、粘着剤層をガラス板に貼着後、120℃−48時間暴露前後のY値を分光測色計(スガ試験機(株)製)により求め、その差を求めた。
【0045】[実施例2]実施例1においてアクリル共重合体エマルションを得る際に、滴下用のモノマーエマルション中に、モノマー100重量部に対して2.0重量部含有させておいた重合用界面活性剤「アクアロンKH−10」を1.5重量部とし、非反応性界面活性剤ニューコール1860」(日本乳化剤(株)製)を0.5重量部併用した。得られたアクリル共重合体エマルションの固形分100部に対して、ジルコゾールAC−7(不揮発分13%)を固形分換算で2部添加した以外は実施例1と同様にして粘着剤を得、評価した。
【0046】[実施例3]アクリル共重合体エマルション固形分100部に対して、ジルコゾールAC―7(不揮発分13%)を固形分換算で5部添加した以外は実施例1と同様にして粘着剤を得、評価した。
【0047】[実施例4]イオン交換水80重量部に対しアクアロンKH−10を0.12部添加する代わりに、イオン交換水80重量部に対しアクアロンKH−10を0.06部添した以外は実施例1と同様にして粘着剤を得、評価した。
【0048】[比較例1]ジルコゾールAC―7を添加しない以外は実施例1と同様にして粘着剤を得、評価した。
【0049】[比較例2]アクリル酸ヒドロキシエチル2部の代わりにダイアセトンアクリルアミド2部用いて重合を行い、アクリル共重合体エマルションを得、該アクリル共重合体エマルション固形分100部に対して6%アジピン酸ジヒドラジド水溶液を1部添加した以外は実施例1と同様にして粘着剤を得、評価した。
【0050】[比較例3]滴下用のモノマーエマルション中の反応性界面活性剤「アクアロンKH−10」の代わりに、非反応性界面活性剤「RA−9614」(日本乳化剤(株)製)を用い、重合槽には反応性界面活性剤「アクアロンKH−10」を入れなかった以外は実施例1と同様にして粘着剤を得、評価した。
【0051】[参考例]粘着剤組成物として溶剤型の東洋インキ製造(株)製BPS−5160を用いた以外は実施例1と同様にして粘着剤を得、評価した。
【0052】
【表1】

【0053】実施例1〜4は、水性粘着剤組成物の比較例1〜3及び溶剤型粘着剤組成物の参考例に比して、各被着体への接着力の低下が無く、耐水白化、裁断性、加熱経時黄変性等何れも良好な結果を得た。
【0054】
【発明の効果】本発明により、溶剤型粘着剤組成物と同様以上の粘着物性、耐水白化、裁断性、加熱経時黄変性の良好な水性粘着剤組成物を使用することにより、広範囲な用途のフィルム基材の粘着剤ラベルシートを提供するものである。
【出願人】 【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキ製造株式会社
【住所又は居所】東京都中央区京橋2丁目3番13号
【出願日】 平成14年4月17日(2002.4.17)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−306656(P2003−306656A)
【公開日】 平成15年10月31日(2003.10.31)
【出願番号】 特願2002−115303(P2002−115303)