| 【発明の名称】 |
半導体チップの接着方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】中川 泰忠 【住所又は居所】神奈川県横浜市磯子区新磯子町33番地 株式会社東芝生産技術センター内
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| 【要約】 |
【課題】熱硬化性樹脂の温度履歴設定により基板から発生したガスによる熱硬化性樹脂への気泡の残留を防止するとともに、加熱終了時に所定の値以上の硬化反応率を確保して基板に対する半導体チップの接着信頼性を向上でき、かつ前記温度履歴設定を簡便に行うことが可能な半導体チップの接着方法を提供する。
【解決手段】基板と半導体チップとの間に熱硬化性樹脂層を介在し、この熱硬化性樹脂層を加圧・加熱する際、特定の温度履歴に基づいて加熱して硬化させることにより前記基板に前記半導体チップを接着する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基板と半導体チップとの間に熱硬化性樹脂層を介在し、この熱硬化性樹脂層を加圧・加熱して硬化させることにより前記基板に前記半導体チップを接着する方法において、前記熱硬化性樹脂の硬化反応率cを下記数1に示す式(1)〜(3)で、前記熱硬化性樹脂の加熱時の粘度ηを下記数2に示す式(6),(7)で、それぞれ定義し,下記数3に示す式(8)の目的関数fを設定して,多変数目的関数の最小点探索手法でfを最小化することにより下記数3に示す式(9)の変数ベクトルxを決定して温度履歴パラメータq1,q2,q3を求め、これらの温度履歴パラメータq1,q2,q3を下記数4に示す式(10)に代入することにより前記熱硬化性樹脂の加圧・加熱時の温度履歴Thisを設定することを特徴とする半導体チップの接着方法。 【数1】
【数2】
【数3】
【数4】
【請求項2】 前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1記載の半導体チップの接着方法。 【請求項3】 前記熱硬化性樹脂層の加熱は、前記温度履歴に基づいて温度制御がなされる加圧・加熱部材を用いて行なわれることを特徴とする請求項1または2記載の半導体チップの接着方法。 【請求項4】 前記熱硬化性樹脂層には、バンプが埋設されていることを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の半導体チップの接着方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は,半導体チップの接着方法に関し、詳しくは接着剤である熱硬化性樹脂を加熱・加圧する際の温度履歴を改良した半導体チップの接着方法に係わる。 【0002】 【従来の技術】例えば、回路基板にベアチップのような半導体チップを実装する際、実装部品の面積と高さを低減するために、前記ベアチップを基板に熱硬化性樹脂を用いてで接着する方法が採用されている。 【0003】このようなベアチップの接着工程では、回路基板とベアチップの間に熱硬化性樹脂層を介在させ、このベアチップ上から温度制御した加圧・加熱部材を押し当て、前記熱硬化性樹脂を加熱して硬化させる。回路基板とベアチップを接着する熱硬化性樹脂としては、一般に耐熱性に優れたエポキシ樹脂が用いられ、前記回路基板上にペーストやフィルムの状態で供給される。前記加圧・加熱部材は、金属やセラミックスから作られ、任意の温度履歴を以って熱硬化性樹脂層に与えられる。 【0004】前述した加圧・加熱部材による前記熱硬化性樹脂層の加圧・加熱において、熱硬化性樹脂の粘度は加熱温度上昇とともに低下するものの、加熱により硬化反応が進行すると、粘度が上昇する。このとき、基板から発生したガスが熱硬化性樹脂樹脂に取り込まれて、気泡(ボイド)が発生する。一方,加熱完了時において硬化反応が不十分になる場合がある。このような熱硬化された熱硬化性樹脂樹脂層中への気泡の残留および不十分な硬化反応は、回路基板へのベアチップの接着信頼性を低下させる。 【0005】そこで、従来では加熱開始から一定の時間、熱硬化性樹脂が流動できる一定の値以下の粘度に抑え、加熱完了時に熱硬化性樹脂の硬化反応率を一定の値まで到達させるように前記加圧・加熱部材による温度履歴を設定していた。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の加圧・加熱部材による温度履歴の設定は試行錯誤的になされていたため、組成の異なる熱硬化性樹脂に変更する場合、前記温度履歴の設定に煩雑な作業が必要になる。使用している熱硬化性樹脂の硬化時間を短縮化する場合でも、同様に前記温度履歴の設定に煩雑な作業が必要になる。 【0007】したがって、従来では温度履歴の設定の変更毎に煩雑な作業が必要になる。 【0008】本発明は、熱硬化性樹脂の温度履歴設定により基板から発生したガスによる熱硬化性樹脂への気泡の残留を防止するとともに、加熱終了時に所定の値以上の硬化反応率を確保して基板に対する半導体チップの接着信頼性を向上でき、かつ前記温度履歴の設定を簡便に行うことが可能な半導体チップの接着方法を提供しようとするものである。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明に係る半導体チップの接着方法は、基板と半導体チップとの間に熱硬化性樹脂層を介在し、この熱硬化性樹脂層を加圧・加熱して硬化させることにより前記基板に前記半導体チップを接着する方法において、前記熱硬化性樹脂の硬化反応率cを下記数5に示す式(1)〜(3)で、前記熱硬化性樹脂の加熱時の粘度ηを下記数6に示す式(6),(7)で、それぞれ定義し,下記数7に示す式(8)の目的関数fを設定して,多変数目的関数の最小点探索手法でfを最小化することにより下記数7に示す式(9)の変数ベクトルxを決定して温度履歴パラメータq1,q2,q3を求め、これらの温度履歴パラメータq1,q2,q3を下記数8に示す式(10)に代入することにより前記熱硬化性樹脂の加圧・加熱時の温度履歴Thisを設定することを特徴とするものである。 【0010】 【数5】
【0011】 【数6】
【0012】 【数7】
【0013】 【数8】
【0014】 【発明の実施の形態】以下、本発明を図面を参照して詳細に説明する。 【0015】図1は、半導体チップの接着工程を示す断面図である。 【0016】まず、図1に示すように基板1とベアチップのような半導体チップ2との間に熱硬化性樹脂層3を介在する。つづいて、加圧・加熱部材4を前記半導体チップ2に当接させ、前記基板1側に向けて一定の圧力で加圧しながら、加熱して前記熱硬化性樹脂層3を硬化させることにより前記基板1に前記半導体チップ2を接着する。 【0017】前記基板としては、例えば回路基板が用いられる。 【0018】前記熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂を挙げることができる。 【0019】前記熱硬化性樹脂層としては、例えば熱硬化性樹脂ペーストの塗布膜、熱硬化性樹脂のフィルムを用いることができる。 【0020】なお、前記熱硬化性樹脂層には必要に応じて図1に示すようにバンプ5が埋設され、前記基板(回路基板)1の配線に半導体チップ2がバンプ5を通して接続される。 【0021】前述した加圧・加熱部材は、以下の手法で求めた温度履歴に基づいて温度制御がなされ、前記熱硬化性樹脂層の加熱を遂行する。 【0022】1)前記熱硬化性樹脂の硬化反応率cを下記数9に示す式(1)〜(3)で、前記熱硬化性樹脂の加熱時の粘度ηを下記数10に示す式(6),(7)で、それぞれ定義する。 【0023】 【数9】
【0024】 【数10】
【0025】2)下記数11に示す式(8)の目的関数fを設定して,多変数目的関数の最小点探索手法でfを最小化することにより下記数11に示す式(9)の変数ベクトルxを決定して温度履歴パラメータq1,q2,q3を求る。 【0026】 【数11】
【0027】なお、前記式(8)において時間t1、この時間t1での粘度設定値η1、時間t2、およびこの時間t2での硬化反応率設定値c2は、基板の材料、性状および熱硬化性樹脂の性状に応じて半導体チップの最適接着設計を達成するために決められ、したがってそれらの値は任意である。 【0028】3)前記温度履歴パラメータq1,q2,q3を下記数12に示す式(10)に代入することにより時間t1およびt2における熱硬化性樹脂の加圧・加熱時の温度履歴Thisを求める。 【0029】 【数12】
【0030】4)時間t1における温度履歴Thisを前記式(7)のT(熱硬化樹脂の熱硬化反応過程での時間tにおける温度)に代入し、式(6)から粘度η(Pa・s)、つまりη(t1)を求める。 【0031】また、時間t2における温度履歴Thisを前記式(2)、(3)のT(熱硬化樹脂の熱硬化反応過程での時間tにおける絶対温度)に代入し、式(1)から硬化反応率c、つまりc(t2)を求める。 【0032】次いで、求めた粘度η(t1)および硬化反応率c(t2)を前記式(8)に代入し,多変数目的関数の最小点探索手法でfを最小化することにより前記式(9)の変数ベクトルxを決定して温度履歴パラメータq1,q2,q3を求る。この温度履歴パラメータq1,q2,q3を前記式(10)に代入することにより時間t1およびt2における熱硬化性樹脂の加圧・加熱時の温度履歴Thisを求める。 【0033】5)前記項目4)の計算を繰り返すアルゴリズムにより最終の温度履歴パラメータq1,q2,q3を求め、この温度履歴パラメータq1,q2,q3を前記式(10)に代入することにより熱硬化性樹脂の加圧・加熱時の温度履歴Thisを設定する。 【0034】なお、前記粘度を求める式(6)、(7)は、下記数13に示すCastro-Macosco式である式(11)に代替可能である。 【0035】 【数13】
【0036】前記目的関数の式(8)は、下記数14に示す一般化した式(12)に代替可能である。 【0037】 【数14】
【0038】前記温度履歴の式(10)は、下記数15に示す式(13)に代替可能である。 【0039】 【数15】
【0040】以上説明したように本発明の実施形態よれば基板と半導体チップとの間に介在した熱硬化性樹脂層を加圧・加熱して硬化させる際、前記アルゴリズムにより求めた温度履歴Thisに基づいて加熱することによって、硬化過程で熱硬化性樹脂の粘度を最適化して基板から発生したガスによる気泡を熱硬化性樹脂の流動により基板と半導体チップの間から逃散させて熱硬化性樹脂への気泡の残留を防止できる。また、加熱終了時に熱硬化性樹脂の硬化反応率を所定の値以上に達成させることができる。その結果、基板に熱硬化性樹脂を介して半導体チップを信頼性の高い接着を実現できる。 【0041】また、前記温度履歴の設定操作を簡便に行うことができるため、組成の異なる熱硬化性樹脂への変更や、使用している熱硬化性樹脂の硬化時間の短縮化等の設計変更を容易に遂行することができる。 【0042】 【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。 【0043】熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用い、前記式(8)の目的関数fにおいて,t1を20s,η1を108Pa・s,t2を180s,c2を0.95と設定した。このような設定の下で前述したアルゴリズム(修正Powell法)に従って前記式(8)のfを最小化することにより、前記式(9)の変数ベクトルxを決定して下記表1に示す前記エポキシ樹脂における温度履歴のパラメータq1,q2,q3を求めた。 【0044】 【表1】
【0045】求めた温度履歴のパラメータq1,q2,q3および適切な時間tを前記式(10)に代入することにより、図2に示すエポキシ樹脂の加圧・加熱時の温度履歴(温度プロファイル)を設定した。なお、温度履歴Thisの設定に際し、初期温度T0を20℃とした。 【0046】得られた温度履歴に基づいて前述した図1に示す加圧・加熱部材4の温度制御を行って、基板1とベアチップ2との間に介在させたエポキシ樹脂層(熱硬化性樹脂層)3を硬化させた。このときの硬化反応率変化を図3に、粘度変化を図4にそれぞれ示す。 【0047】図3から明らかなように最適化した温度履歴で基板1とベアチップ2との間に介在させたエポキシ樹脂層(熱硬化性樹脂層)3を硬化させることによって、95%と高い硬化反応率を達成できることがわかる。このため、基板1に対するベアチップ2の高い接着信頼性を確保できた。 【0048】また、図4から明らかなように最適化した温度履歴で基板1とベアチップ2との間に介在させたエポキシ樹脂層(熱硬化性樹脂層)3を硬化させることによって、20sでの粘度を108Pa・s以下に抑えて適切に流動性させることができるため、エポキシ樹脂層中のボイドを速やかに逃散させることができた。 【0049】 【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、熱硬化性樹脂の温度履歴設定により基板から発生したガスによる熱硬化性樹脂への気泡の残留を防止できるとともに、加熱終了時に所定の値以上の硬化反応率を確保して基板に対する半導体チップの接着信頼性を向上でき、かつ前記温度履歴の設定を簡便に行うことができ、ひいては組成の異なる熱硬化性樹脂への変更や、使用している熱硬化性樹脂の硬化時間の短縮化等の設計変更を容易に遂行することが可能な半導体チップの接着方法を提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003078 【氏名又は名称】株式会社東芝 【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目1番1号
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| 【出願日】 |
平成14年2月4日(2002.2.4) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100058479 【弁理士】 【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外6名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−226847(P2003−226847A) |
| 【公開日】 |
平成15年8月15日(2003.8.15) |
| 【出願番号】 |
特願2002−27121(P2002−27121) |
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