トップ :: C 化学 冶金 :: C09 染料;ペイント;つや出し剤;天然樹脂;接着剤;他に分類されない組成物;他に分類されない材料の応用




【発明の名称】 被覆用組成物及び被膜
【発明者】 【氏名】田村 孝一
【住所又は居所】神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関西ペイント株式会社内

【氏名】木長 義昌
【住所又は居所】神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関西ペイント株式会社内

【要約】 【課題】静電気に伴う塗装作業性、及び塗膜性能に優れたの光ファイバー用の被覆用組成物、及び被膜を開発すること。

【解決手段】エチレングリコール鎖を有するアクリレートモノマー(A)、光重合開始剤(a)、及び吸収波長領域が光重合開始剤(a)と異なる光重合開始剤(b)の2種以上の光重合開始剤を含有することを特徴とする被覆用組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エチレングリコール鎖を有するアクリレートモノマー(A)、光重合開始剤(a)、及び吸収波長領域が光重合開始剤(a)と異なる光重合開始剤(b)の2種以上の光重合開始剤を含有することを特徴とする被覆用組成物。
【請求項2】 被覆用組成物を構成する、エチレングリコール鎖を有するアクリレートモノマー(A)、及びその他モノマー又はオリゴマーの固形分合計に対して、エチレングリコール鎖を有するアクリレートモノマー(A)が5〜15重量%含有することを特徴とする請求項1に記載の被覆用組成物。
【請求項3】 被覆用組成物を構成するモノマー又はオリゴマーの固形分合計に対して、光重合重合開始剤を0.1〜7重量%含有することを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の被覆用組成物。
【請求項4】 請求項1乃至3項のいずれか1項に記載の光ファイバーの被覆用組成物により形成された被膜の飽和帯電圧が0.2〜0.7kVの範囲、かつ60℃温水浸漬試験における重量変化割合(%)が、浸漬前の重量に対して3重量%未満であることを特徴とする被膜。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、飽和帯電圧を低く押さえることで、光ファイバーの生産性が向上し、かつ耐水性に優れ伝送ロスの少ない光ファイバー用の被覆用組成物、及び被膜に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】 光ファイバー用に用いられているガラスファイバーは脆く損傷し易いため保護、補強等のため紫外線(UV)硬化による樹脂組成物を用いて、プライマリー被膜、セカンダリー被膜、着色被膜などが施されている。
【0003】近年、光ファイバーの生産性を高めるために被膜の塗装後の巻き取り速度が高速になってきており、光ファイバーと空気の摩擦が大きくなることから光ファイバーの心線に静電気が蓄積されてしまう場合がある。
【0004】生産工程上、この静電気による光ファイバー心線が静電反発を起こすと心線をボビンに巻き取る際の巻き崩れや、また着色被膜の上に補強や保護の為に(バインド)テープが巻かれるが、心線が整列せず、その生産性が困難になるなどの問題点が生じてきた。
【0005】このため着色被膜を施した心線上に静電気を蓄積させにくくすることが求められており、光ファイバー心線の生産ラインにおいては除電装置などが用いられているものの静電気の除去には十分な効果は得られず、光ファイバーの生産において被膜の帯電性、即ち、飽和帯電圧(注1)を低下させることが求められていた。
【0006】上記対策として、被膜組成物中に水酸基(−OH)やカルボキシル基(−COOH)などの極性基を有するアクリレートオリゴマー、又はアクリレートモノマーを配合することが考えられるが、高湿度下又は水中に光ファイバー心線が晒されるとプライマリー被覆層とセカンダリー被覆層との間、又はセカンダリー被覆層と着色被膜との間に吸湿による異常なふくれが発生し、これにより光ファイバーにストレスがかかり、そのために極端に伝送ロスが増大することがあった。即ち、従来の技術では帯電性と耐水性の両立が困難であった。そこで心線の帯電性が低く、かつ耐水性が良好な被膜用組成物、及び被膜が求められていた。(注1)飽和帯電圧:飽和帯電圧は、シシド社製スタティックオネストメーターにより測定される被膜の電荷分布の定常状態を表す特数であり、一般的に高いと電荷を蓄積しであり、低いと電荷を蓄積しにくいことを表す。
【0007】
【課題を解決するための手段】 本発明者らは、上記した問題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、被膜組成物中にエチレングリコール鎖を有するアクリレートモノマー(A)を含有することによって0.2〜0.7kVの範囲に飽和帯電圧を低下させ、かつ光重合開始剤(a)と吸収波長領域の異なる光重合開始剤(b)の少なくとも2種以上の光重合重合開始剤を含有することによって、60℃温水浸漬試験後の重量変化が、浸漬前の重量に対して3重量%未満に押さえ耐水性の向上を図ることができ、本発明を完成するに至った。
【0008】即ち、本発明は、1.エチレングリコール鎖を有するアクリレートモノマー(A)、光重合開始剤(a)、及び吸収波長領域が光重合開始剤(a)と異なる光重合開始剤(b)の2種以上の光重合開始剤を含有することを特徴とする被覆用組成物、2.被覆用組成物を構成する、エチレングリコール鎖を有するアクリレートモノマー(A)、及びその他モノマー又はオリゴマーの固形分合計に対して、エチレングリコール鎖を有するアクリレートモノマー(A)が5〜15重量%含有することを特徴とする1項に記載の被覆用組成物、3.被覆用組成物を構成するモノマー又はオリゴマーの固形分合計に対して、光重合重合開始剤を0.1〜7重量%含有することを特徴とする1項又は2項のいずれか1項に記載の被覆用組成物、4.1項乃至3項のいずれか1項に記載の光ファイバーの被覆用組成物により形成された被膜の飽和帯電圧が0.2〜0.7kVの範囲、かつ60℃温水浸漬試験における重量変化割合(%)が、浸漬前の重量に対して3重量%未満であることを特徴とする被膜、に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明する。光ファイバー用の硬化樹脂に関する発明としては、従来から多く知られており、例えば、特開平7−237939号公報、特開平7−18042号公報、特開平5−70183号公報などが挙げられる。
【0010】本発明の光ファイバーの被覆用組成物は、エチレングリコール鎖を有するアクリレートモノマー(A)、光重合開始剤(a)、及び吸収波長領域が光重合開始剤(a)と異なる光重合開始剤(b)の2種類以上の光重合重合開始剤、必要に応じて顔料、その他のモノマー又はオリゴマー、添加剤などを配合し、被塗物に紫外線を照射することによって硬化した被膜を得ることができるものであり、エチレングリコール鎖を有するアクリレートモノマー(A)が飽和帯電圧を低下させ光ファイバーの生産性を向上させ、かつ光重合開始剤(a)、及び吸収波長領域が光重合開始剤(a)と異なる光重合開始剤(b)の2種類以上の光重合重合開始剤により被膜の架橋密度をアップによる耐水性向上によって伝送ロスを少なくしたことは、発明者が鋭意検討して見出したことである。
【0011】以下、配合内容について説明する。
エチレングリコール鎖を有するアクリレートモノマー(A):エチレングリコール鎖 −(CH−CHO)−を有するアクリレートモノマー(A)は、以下の一般式で表される。
CH=CRCOOC2mO−(CH−CHO)(Rは、H、CH,Rは、CH、C、−C2mOOC(R)C=CHを表し、nは整数、mは1〜30の整数を表す。)
具体的な例として、モノメタクリレート系及びモノアクリレート系として、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコール、メタクリレートフェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート。
【0012】ジメタクリレート系及びジアクリレート系として、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート等。市販品として、新中村化学工業株式会社製のNKエステルシリーズなどが挙げられる。
【0013】エチレングリコール鎖を有するアクリレートモノマー(A)の含有量は、被膜用組成物中を構成する、エチレングリコール鎖を有するアクリレートモノマー(A)、その他モノマー、又はオリゴマーの固形分合計に対して5〜15重量%含有することが好ましい。
【0014】エチレングリコール鎖を有するアクリレートモノマー(A)が5重量%未満であると飽和帯電圧の低下に効果がなく光ファイバーの生産性が低下する。また15重量%を越えると被膜の耐水性が低下し伝送ロスが大きくなる。
【0015】光重合開始剤:被覆用組成物中における光重合開始剤は、光重合開始剤(a)、及び吸収波長領域が光重合開始剤(a)と異なる光重合開始剤(b)の2種以上の光重合開始剤を含有することを特徴としている。そのことによって被膜の表層部から深層部まで硬化することができ、顔料を含有した着色被膜の硬化向上には、吸収波長が長い光重合開始剤が被膜の深層部までの硬化に有効である。
【0016】光重合重合開始剤として、例えば、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3(ピル−1−イル)フェニル)チタニウム、ビスアシルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾインアルキルエーテルが挙げられる。
【0017】他に、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1−(4−イソプロピルフィニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)、P−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、P−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、ベンジル、ベンゾイル、アセトフェノン、ベンゾフェノン。
【0018】他に、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、ジベンゾスベロン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、4,4’−ジクロルベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカーボニル)ベンゾフェノン、ベンザルアセトン、ビアセチル、α,α−ジクロル−4−フェノキシアセトフェノン、2−エチルアンスラキノン。
【0019】他に、n−ブチルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、テトラメチルチウラムスルフィド、アゾビスイソブチルニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチルベンゾイルフォーメート、2,2−ジエトキシアセトフェノン、アシロキシムエステル、塩素化アセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、アシルホスフィンオキサイド、イソブチルチオキサントン、4−N,N’−ジメチルアセトフェノン、アセトフェノンジエチルケタール、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン。
【0020】他に、フェニルグリオキシル酸メチル、O−ベンゾイル安息香酸メチル,P−ジメチルアミノ安息香酸メチル、2,2’−ビス(O−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、10−ブチル−2−クロロアクリドン、カンファーキノン、3−ケトクマリン、アンスラキノン、α−ナフチル、アセナフセン、P,P’−ジメトキシベンジル、P,P’−ジクロロベンジル、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシホスフィンオキサイド、α−クロルアンスラキノン、2−tert−ブチルアンスラキノン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイドが挙げられる。
【0021】市販品としてはイルガキュア184、500、651、819、907、CGI369、CG24−61(以上、チバガイギー社製)、LucirineLR8728、Initiator654(以上、BASF社製)、Darocure1116、1173(以上、メルク社製)、ユベクリルP36(UCB社製)等を挙げることができる。これらの光重合開始剤は、吸収波長領域が重ならないよう、かつ照射する光源に適した光重合開始剤(a)及び光重合開始剤(b)の2種以上混合して使用することが好ましい。
【0022】さらに、これらの光重合開始剤による光重合反応を促進させるために、光増感促進剤を光重合開始剤と併用してもよく、例えば、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4'−ジエチルアミノベンゾフェノン等の3級アミン系、トリフェニルホスフィン等のアルキルホスフィン系、β−チオジグリコール等のチオエーテル系の光増感促進剤等が挙げられる。これらの光増感促進剤はそれぞれ単独、又は2種以上を混合して使用できる。 配合量は、被膜用組成物の固形分に対して0.1〜7重量%の範囲が好ましい。被覆用組成物には、顔料、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートやその他のモノマーやオリゴマーを配合することができる。
【0023】顔料は、カーボンブラック、二酸化チタン、亜鉛華などの着色顔料、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク等の体質顔料、γ−Fe、γ−Feとγ−Feの混晶、CrO、コバルトフェライト、コバルト被着酸化鉄、バリウムフェライト、Fe−Co、Fe−Co−Ni等の磁性粉、MIO、ジンククロメート、ストロンチウムクロメート、トリポリリン酸アルミニウム、亜鉛、アルミナ、ガラス、マイカなどの無機顔料が例示できる。これらは各種表面改質や複合顔料化が施されていてもよい。アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、染付レーキ顔料など、ガラス繊維、カーボン繊維、金属繊維などのフィラーも使用できる。
【0024】その他のモノマーやオリゴマーとしては、必要に応じて、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどのが挙げられる。
【0025】ウレタン(メタ)アクリレートとしては、ポリオールとポリイソシアネート反応物に対して、さらにヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを反応させた反応物等が挙げられる。
【0026】ここで、ポリオールとしては、低分子量ポリオール、ポリエチレングリコール及びポリエステルポリオール等があり、低分子量ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール及び3−メチル−1,5−ペンタンジオール等が挙げられ、ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等が挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、これら低分子量ポリオール又は/及びポリエーテルポリオールと、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等の二塩基酸又はその無水物等の酸成分との反応物が挙げられる。
【0027】ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート等が挙げられる。ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ポリエステルアクリレートは、ポリエステル(メタ)アクリレートモノマーとしては、ポリエステルポリオールと(メタ)アクリル酸との脱水縮合物が挙げられる。
【0028】ポリエステル(メタ)アクリレートは、ポリエステルポリオールと(メタ)アクリル酸との脱水縮合物が挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール及びトリメチロールプロパン等の低分子量ポリオール、並びにこれらのアルキレンオキシド付加物等のポリオールと、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等の二塩基酸又はその無水物等の酸成分とからの反応物等が挙げられる。
【0029】エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシアクリレートは、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸を付加反応させたもので、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ(メタ)アクリレート、フェノール又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ(メタ)アクリレート及びポリエーテルのジグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0030】他に、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート又はそのアルキレンオキシド変成体等が挙げられる。
【0031】添加剤としては、酸化防止剤、着色剤、光安定剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、保存安定剤、可塑剤、溶剤、フェラー、老化防止剤、濡れ性改良剤などの添加剤を配合することもできる。被膜用組成物の塗装は、アプリケーター、スプレー、刷毛、ロールコーター、スピンコーターなどに挙げられた方法などを用いることができる。
【0032】上記の被膜用組成物の硬化は、紫外線の照射により行うことができ、照射源としては、水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアーク、メタルハライドランプ、太陽光などを1種以上用いることができる。光源の照射条件は特に制限されないが、含有した光重合開始剤に適合した光源により100〜1000J/mの範囲の照射強度で硬化することができる。
【0033】かかる被覆用組成物により形成された被膜の飽和帯電圧を0.2〜0.7kVの範囲で、60℃温水浸漬試験後の塗膜重量増加が塗膜浸漬前の重量に対して3重量%未満とすることによって、静電気の発生を押さえることができ生産性の向上や、耐水性が向上したことによる伝送ロスの増加が少なくなった。
【0034】飽和帯電圧を0.2〜0.7kVの範囲に調整するには、エチレングリコール鎖を有するアクリレートモノマー(A)、光重合開始剤(a)、及び吸収波長領域が光重合開始剤(a)と異なる光重合開始剤(b)の2種以上の光重合開始剤の配合量、及び/又は光重合開始剤(a)と光重合開始剤(b)の比率で調整することができる。
【0035】ここで被覆塗膜の飽和帯電圧を0.2kV未満にすることは、現状の生産性を考慮すると不可能であり、また被覆塗膜の飽和帯電圧が0.7kVを越えると被膜同志が反発を起こし光ファイバーの生産性に問題を生じる。
【0036】かつ60℃温水浸漬試験後の塗膜重量変化が塗膜浸漬前の重量に対して3重量%を越えると、着色を施した心線が高湿度の環境下で膨潤し、伝送ロスの増加が大きく製品としては問題である。
【0037】
【発明の効果】 被膜組成物中にエチレングリコール鎖を有するアクリレートモノマー(A)、及び光重合開始剤(a)と光重合開始剤(a)と吸収波長領域が重ならない光重合開始剤(b)の少なくとも2種類以上の光重合重合開始剤(B)を含有することによって、飽和帯電圧を低下させ、耐水性の向上に効果があることがわかった。そのことの理由として、エチレングリコール鎖が親水性があるために静電気の発生が押さえられ、また吸収波長領域の違う光重合開始剤を2種以上配合することによって被膜の架橋密度が高まり耐水性が向上したものと推測される。
【0038】
【実施例】 以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明はこれによって限定されるものではない。尚、「部」及び「%」は「重量部」及び「重量%」を示す。
【0039】オリゴマーNo.1の製造例無水フタル酸666部、イソフタル酸747部、エチレングリコール310部、及びネオペンチルグリコール520部を反応容器に入れ、縮合水を留去しながら約1時間かけて160℃まで加熱し、更に、3時間かけて縮合水を留去しながら220℃まで加熱し、その温度で1時間保持した。その後、キシレンを少量加えて共沸下で縮合水を留去しながら随時酸価を測定して、酸価が1.0になったところで反応を終了し、樹脂固形分100%の水酸基含有ポリエステル樹脂を得た。
【0040】次に、以下の混合物をフラスコに入れ、空気を吹き込みながら攪拌し80℃まで加熱した。80℃で6時間保持した後、冷却し、アクリロイル基を含有したポリエステル樹脂のオリゴマーNo.1を得た 上記、水酸基含有ポリエステル樹脂 1000部 4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート 182部 3フッ化ホウ素ジエチルエーテル 5部 ハイドロキノンモノメチルエーテル 1部 トルエン 507部。
【0041】オリゴマーNo.2の製造例グリシジルメタクリレート80部、スチレン20部、及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート2部からなる混合液を窒素ガス雰囲気下、115℃に保った酢酸イソブチル62.5部中に3時間を要して滴下した。滴下後、30分間115℃に保った後、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.5部及び酢酸イソブチル5部からなる混合液を30分を要して滴下し、グリシジル基を有する溶液を得た。次に上記溶液に酢酸イソブチル27部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部及びテトラエチルアンモニウムブロマイド1部を加え、空気を吹き込みながらアクリル酸35.5部を110℃で1時間かけて滴下し、更に8時間その温度を保持して反応させ、不飽和樹脂溶液を得た。更に空気を吹き込みながらこの溶液に、酢酸イソブチル62部を加えて75℃に保ったところで、テトラヒドロキシフタル酸無水物38.5部を加え2時間保持することによりオリゴマーNo.2を得た。
【0042】実施例1NKエステルAMP−10G(新中村化学工業株式会社製、商品名、フェノキシジエチレングリコールアクリレート)10部、上記製造例にて得られたオリゴマーNo.1 40部、上記製造例にて得られたオリゴマーNo.2 10部、アロニックスM−211B(東亜合成株式会社製、商品名、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート)30部、アロニックスM9050(東亜合成株式会社製、商品名、ポリエステルアクリレート)10部を4口フラスコに入れ、空気を吹き込みながら80℃まで加熱しながら30分攪拌した。得られた混合液に、光重合開始剤(a)としてイルガキュア819(チバガイギー株式会社製、商品名)を2部、光重合開始剤(b)としてイルガキュア907(チバガイギー株式会社製、商品名)を4部、添加剤としてX−22−164B(信越化学工業株式会社製、商品名、変性シリコンオイル)3部配合し、50℃に保持して20分攪拌し、その後常温に冷却して被膜用組成物No.1を得た。
【0043】比較例1〜5表1のような配合内容で、実施例1と同様の操作にて比較例1〜5の被膜用組成物No.2〜No.6を得た。
【0044】
【表1】

試験評価用被膜の作成材質、及び「工程1」〜「工程3」を組み合わせて試験評価用の被膜を作成した。
材質種:ポリエステル合成紙、ガラス板、光ファイバー材工程1:セカンダリー被覆材の塗布セカンダリー被膜材を膜厚50μmになるように塗布し、2000ppm酸素含有の窒素雰囲気下でエネルギー線量1000J/mで硬化させる。
工程2:被膜組成物No.1〜No.6(着色被覆材の塗布)
被膜組成物No.1〜No.6をスピンコーターにて膜厚10μmとなるように塗布し、大気中でエネルギー線量5000J/mで硬化させた。
工程3:テープ被覆材の塗布テープ被覆材をスピンコーターにて膜厚50μmとなるように塗布し、大気中でエネルギー線量5000J/mで硬化させる。試験評価は、下記の試験方法に基づいて20℃において行った結果を表2に示す。
【0045】
【表2】

(注2)テープ被膜ピール強度(N/m):材質としてポリエステル合成紙上に、「工程2」及び「工程3」で被膜を作成する。このようにして得られた被膜を1cm幅の短冊状に切断し、オートグラフ(島津製作所製)にてロードセルの荷重1kg重で、テープ層と被膜組成物No.1〜No.6の被膜との間をピールさせた。
(注3)セカンダリー被膜ピール強度(N/m):材質としてガラス板上に、「工程1」〜「工程3」で被膜を作成する。このようにして得られた被膜をガラス板から剥がし、1cm幅の短冊状に切断してオートグラフ(島津製作所製)用いロードセルの荷重1kg重で、セカンダリー被膜層と被膜組成物No.1〜No.6の被膜との間をピールさせた。
(注4)単心分離性:材質として光ファイバー材に、「工程1」〜「工程3」で被膜を作成する。このようにして作成した被膜を手作業にて剥がして評価を行った○は、色ハガレがなく良好△は、部分的に色ハガレがある×は、全面に色ハガレがある色ハガレ(テープ被覆層を剥離した時に、着色被膜層がテープ被膜層について剥がれる凝集剥がれを起こすこと。)
(注5)耐水性(60℃溶出率):材質としてガラス板上に、「工程2」で被膜を作成する。これらの被膜をガラス板から剥がして50℃雰囲気中に24時間放置させ時の放置後の被膜重量(W)とする。次に60℃温水中に被膜を24時間浸漬させ、浸漬後、きれいに水滴を拭き取った後の重量(W)を測定する。更に浸漬後被膜を50℃の雰囲気中で24時間乾燥し重量(W)を測定し、以下の式により算出した。
60℃溶出率=(((W)−(W))/(W))×100 (%)
(注6)耐水性(伝送ロス):材質としてガラス板上に、「工程2」で被膜を作成する。これらの被膜をガラス板から剥がして60℃の温水中に14日浸漬し、伝送ロスの増加を調べた。
○は、伝送ロスの増加がみられないか、製品として問題ないレベルである。×は、伝送ロスの増加がみられ、製品としては使用できない。
(注7)飽和帯電圧:材質としてガラス板上に、「工程2」で被膜を作成する。これらの被膜をガラス板から剥がして(注1)に示された測定機を用いて行った。 (注8)帯電性(心線整列度):材質として光ファイバー材に、「工程1」〜「工程3」で被膜を作成する。
○は、図1のように心線が整列しているもの。×は、図2のように心線が乱れているもの。
【出願人】 【識別番号】000001409
【氏名又は名称】関西ペイント株式会社
【住所又は居所】兵庫県尼崎市神崎町33番1号
【出願日】 平成13年9月27日(2001.9.27)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−96336(P2003−96336A)
【公開日】 平成15年4月3日(2003.4.3)
【出願番号】 特願2001−295771(P2001−295771)