トップ :: C 化学 冶金 :: C08 有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物




【発明の名称】 難燃性繊維補強重合体組成物
【発明者】 【氏名】西原 一
【住所又は居所】神奈川県川崎市川崎区夜光1丁目3番1号 旭化成株式会社内

【氏名】佐久間 稔治
【住所又は居所】神奈川県川崎市川崎区夜光1丁目3番1号 旭化成株式会社内

【要約】 【課題】卓越した衝撃強度と剛性等の機械的強度と押出安定性に優れた難燃性繊維補強重合体組成物の提供。

【解決手段】(A)重合体、(B)平均粒子径が1nm以上で1000nm未満である無機化合物、及び(C)平均繊維直径が0.01〜1000μmであり、アスペクト比(長さ/直径)が2〜10,000である繊維とからなる難燃性繊維補強重合体組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)重合体、(B)平均粒子径が1nm以上で1000nm未満である無機化合物、及び(C)平均繊維直径が0.01〜1000μmであり、アスペクト比(長さ/直径)が2〜10000である繊維とからなる難燃性繊維補強重合体組成物。
【請求項2】 (B)が、珪素含有化合物、および芳香族基を含有する化合物または重合体から選ばれる1種以上の化合物で表面被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の難燃性繊維補強重合体組成物。
【請求項3】 (A)が芳香族系熱可塑性重合体である請求項1または2に記載の難燃性繊維補強重合体組成物。
【請求項4】 (A)が芳香族ポリカーボネートである請求項3に記載の難燃性繊維補強重合体組成物。
【請求項5】 (B)がポリオルガノシロキサンで表面被覆されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性繊維補強重合体組成物。
【請求項6】 (B)が金属酸化物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の難燃性繊維補強重合体組成物。
【請求項7】 (B)が酸化珪素及び/または酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の難燃性繊維補強重合体組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は難燃性繊維補強重合体組成物に関する。更に詳しくは、卓越した衝撃強度と剛性等の機械的強度と押出安定性に優れた難燃性繊維補強重合体組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性重合体等の重合体は、成形性に優れることに加え、耐衝撃性、可とう性に優れていることから、自動車用材料、電気材料、住宅材料を始めとする多岐の分野で使用されている。近年かかる分野で材料の機械的強度、特に剛性を改良するために無機系フィラーを添加することが行なわれているが、高度の機械的強度を付与するためには、多量の無機系フィラーを添加する必要があるために、重合体の脆化または流動性の低下を招くという問題があった。
【0003】この問題に対しては、本発明者は特定の繊維を配合することにより、異方性が発現し、機械的強度が著しく向上することを見出した。一方、日本ゴム協会誌第69巻、第9号、P.615(1996)に熱可塑性エラストマーの短繊維補強について開示されている。しかしながら、上記公報の繊維補強エラストマーは、衝撃強度に優れるものの、剛性と難燃性が十分でないために、優れた難燃性、機械的強度及び押出安定性を有する繊維補強難燃性重合体組成物の開発が求められている。
【0004】この問題に対しては、シリカとポリジオルガノシロキサンからなる平均粒子径1〜1000μmのシリコーンポリマーパウダーを含んだ樹脂組成物(米国特許5,391,594)、熱可塑性樹脂にシリコーン及び無機物との混合物が添加された難燃性樹脂組成物(特開平11−140329号公報)、ポリジオルガノシロキサンガムとシリカからなる平均粒度が1〜1000μmのシリコーンゴム粉末とポリフェニレンエーテルとの樹脂組成物(特開平5−230362号公報)、ポリフェニレンエーテルと液体ポリジオルガノシロキサンと充填剤とからなる難燃性ポリフェニレンエーテル組成物(特開平5−262977号公報)、ポリフェニレンエーテル、形状異方性フィラー、リン酸エステル系難燃剤、及びポリジオルガノシロキサンとシリカからなるシリコーンポリマー粉末からなる熱可塑性樹脂組成物(特開平10−46025号公報)が開示されている。しかしながら、上記公報において用いられている無機系化合物の粒子径は大きいために難燃性と機械的強度が劣り、実用的使用に耐えうる難燃性重合体組成物が求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような現状に鑑み、上記のような問題点のない、即ち優れた機械的強度、難燃性、及び押出安定性(品質安定性)を有する難燃性繊維補強重合体組成物を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は機械的強度に優れた難燃性重合体組成物を鋭意検討した結果、特定の繊維を用いることにより、驚くべきことに難燃性、機械的強度及び押出安定性が飛躍的に向上することを見出し、本発明を完成した。即ち本発明は、(A)重合体、(B)平均粒子径が1nm以上で1000nm未満である無機化合物、及び(C)平均繊維直径が0.01〜1000μmであり、アスペクト比(長さ/直径)が2〜10,000である繊維とからなる難燃性繊維補強重合体組成物、とりわけ(B)が、珪素含有化合物、および芳香族基を含有する化合物または重合体から選ばれる1種以上の化合物で表面被覆されていることを特徴とする難燃性繊維補強重合体組成物を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明に関して詳しく述べる。本発明の組成物は、(A)重合体、(B)特定の無機化合物、及び(C)特定の繊維とからなる難燃性繊維補強重合体組成物である。ここで、(B)の無機化合物の平均粒子径は、平均1次粒子径で定義され、通常の方法により測定することができる。(B)の平均粒子径が1以上で1000nm未満であることが必須であり、好ましくは1〜900nm、さらに好ましくは1〜700nm、最も好ましくは1〜500nmであり、極めて好ましくは1〜100nmである。上記要件を満足することにより、(A)重合体中で(B)の分散性が向上する。そして、(B)が、珪素含有化合物、芳香族基を含有する化合物、または重合体から選ばれる1種以上の化合物で表面被覆されている場合には、(A)中での(B)の分散性が飛躍的に改良される結果、機械的強度、難燃性、及び押出安定性が向上することを見出した。
【0008】次いで、(C)平均繊維直径が0.01〜1000μmであり、アスペクト比(長さ/直径)が2〜10,000である繊維を含有することにより、押出安定性を保持しつつ、難燃性と機械的強度、特に衝撃強度と剛性が向上することを見出し、本発明を完成した。以下に本発明の各成分について詳細に説明する。本発明における上記(A)成分は、ゴム状重合体、熱可塑性樹脂、または熱硬化性樹脂等の重合体であるが、その中でも熱可塑性樹脂が好ましい。
【0009】本発明において(A)の中のでも最も好ましい重合体である熱可塑性樹脂は、例えば、ポリ芳香族ビニル系、ポリカーボネート系、ポリフェニレンエーテル系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリフェニレンスルフィド系、ポリメタクリレート系等の単独もしくは二種以上を混合したものを使用することができる。特にポリ芳香族ビニル系、ポリカーボネート系、ポリフェニレンエーテル系の熱可塑性重合体が極めて好ましい。また(A)の組み合わせとして、芳香族ポリカーボネートと芳香族ビニル系重合体、または芳香族ビニル系重合体とポリフェニレンエーテル、あるいは芳香族ポリカーボネート、芳香族ビニル系重合体、及びポリフェニレンエーテルが最も好ましい。
【0010】本発明において(A)成分として使用する芳香族ポリカーボネートは、芳香族ホモポリカーボネートと芳香族コポリカーボネートより選ぶことができる。製造方法としては、2官能フェノール系化合物に苛性アルカリ及び溶剤の存在下でホスゲンを吹き込むホスゲン法、あるいは、例えば、二官能フェノール系化合物と炭酸ジエチルとを触媒の存在下でエステル交換させるエステル交換法を挙げることができる。該芳香族ポリカーボネートは粘度平均分子量が1万〜10万の範囲が好適である。ここで、上記2官能フェノール系化合物は、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジフェニル)ブタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジプロピルフェニル)プロパン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−フェニル−1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等であり、特に2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕が好ましい。本発明において、2官能フェノール系化合物は、単独で用いてもよいし、あるいはそれらを併用してもよい。
【0011】本発明における上記(A)成分の芳香族ビニル系重合体は、ゴム変性芳香族ビニル系樹脂、ゴム非変性芳香族ビニル系樹脂、および香族ビニル系熱可塑性エラストマーから選ばれる一種以上の芳香族ビニル系重合体である。上記ゴム変性芳香族ビニル系樹脂は、芳香族ビニル系樹脂のマトリックス及びその中に分散したゴム粒子よりなり、該芳香族ビニル系樹脂は、ゴム状重合体の存在下に芳香族ビニル単量体、及び所望ならばこれと共重合可能なビニル単量体を加えて、単量体(又はその混合物)を公知の塊状重合法、塊状懸濁重合法、溶液重合法、または乳化重合法により、ゴム状重合体にグラフト重合することにより得ることができる。
【0012】このような重合体の例としては、耐衝撃性ポリスチレン、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体)、AES樹脂(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体)等が挙げられる。ここで、前記ゴム状重合体は、ガラス転移温度(Tg)が−30℃以下であることが必要であり、−30℃を越えると耐衝撃性が低下する。
【0013】このようなゴム状重合体の例としては、ポリブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)等のジエン系ゴム、及び上記ジエンゴムを水素添加した飽和ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム、及びエチレン−プロピレン−ジエンモノマー三元共重合体(EPDM)等を挙げることができ、特にジエン系ゴムが好ましい。
【0014】上記のゴム状重合体の存在下に重合させるグラフト重合可能な単量体混合物中の必須成分の芳香族ビニル単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン等であり、スチレンが最も好ましいが、スチレンを主体に上記他の芳香族ビニル単量体を共重合してもよい。また、(A)の中のゴム変性芳香族ビニル系樹脂の成分として必要に応じて、芳香族ビニル単量体に共重合可能な単量体成分を一種以上導入することができる。耐油性を高める必要のある場合は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル単量体を用いることができる。
【0015】そして、ブレンド時の溶融粘度を低下させる必要のある場合は、炭素数が1〜8のアルキル基からなるアクリル酸エステルを用いることができる。また更に、樹脂組成物の耐熱性を更に高める必要のある場合は、α−メチルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、N−置換マレイミド等の単量体を共重合してもよい。単量体混合物中に占める上記ビニル芳香族単量体と共重合可能なビニル単量体の含量は0〜40重量%である。
【0016】ゴム変性芳香族ビニル系樹脂におけるゴム状重合体は、好ましくは5〜80重量%、特に好ましくは10〜50重量%、グラフト重合可能な単量体混合物は、好ましくは95〜20重量%、更に好ましくは90〜50重量%の範囲にある。この範囲内では、目的とする樹脂組成物の耐衝撃性と剛性のバランスが向上する。更には、スチレン系重合体のゴム粒子径は、0.1〜5.0μmが好ましく、特に0.2〜3.0μmが好適である。上記範囲内では、特に耐衝撃性が向上する。
【0017】ゴム変性芳香族ビニル系樹脂の分子量の尺度である樹脂部分の還元粘度ηsp/c(0.5g/dl、30℃測定:マトリックス樹脂がポリスチレンの場合はトルエン溶液、マトリックス樹脂が不飽和ニトリル−芳香族ビニル共重合体の場合はメチルエチルケトン)は、0.30〜0.80dl/gの範囲にあることが好ましく、0.40〜0.60dl/gの範囲にあることがより好ましい。ゴム変性スチレン系樹脂の還元粘度ηsp/cに関する上記要件を満たすための手段としては、重合開始剤量、重合温度、連鎖移動剤量の調整等を挙げることができる。
【0018】ゴム変性芳香族ビニル系樹脂の製造方法としては、特に、ゴム状重合体、単量体(又は単量体混合物)、及び重合溶媒よりなる均一な重合原液を撹はん機付き連続多段式塊状重合反応機に供給し、連続的に重合、脱揮する塊状重合法が好ましい。塊状重合法によりゴム変性スチレン重合体を製造する場合、還元粘度ηsp/cの制御は、重合温度、開始剤種と量、溶剤、及び連鎖移動剤量により行なうことができる。又、単量体混合物を用いる場合、共重合組成の制御は、仕込み単量体組成により行なうことができる。そして、ゴム粒子径の制御は、撹はん回転数で行なうことができる。即ち、小粒子化は回転数を上げ、大粒子化は回転数を下げることにより達成できる。
【0019】本発明において用いられる(A)としての芳香族ビニル系熱可塑性エラストマ−は、芳香族ビニル単位と共役ジエン単位からなるブロック共重合体、または上記共役ジエン単位部分が部分的に水素添加されたブたブロック共重合体である。上記ブロック共重合体を構成する芳香族ビニル単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、2,4,5−トリブロモスチレン等であり、スチレンが最も好ましいが、スチレンを主体に上記他の芳香族ビニル単量体を共重合してもよい。
【0020】また、上記ブロック共重合体を構成する共役ジエン単量体は、1,3−ブタジエン、イソプレン等を挙げることができる。そして、ブロック共重合体のブロック構造は、芳香族ビニル単位からなる重合体ブロックをSで表示し、共役ジエン及び/またはその部分的に水素添加された単位からなる重合体ブロックをBで表示する場合、SB、S(BS)n 、(但し、nは1〜3の整数)、S(BSB)n 、(但し、nは1〜2の整数)のリニア−ブロック共重合体や、(SB)n X(但し、nは3〜6の整数。Xは四塩化ケイ素、四塩化スズ、ポリエポキシ化合物等のカップリング剤残基。)で表示される、B部分を結合中心とする星状(スタ−)ブロック共重合体であることが好ましい。なかでもSBの2型、SBSの3型、SBSBの4型のリニア−ブロック共重合体が好ましい。
【0021】本発明において(A)成分の一つのポリフェニレンエーテルは、主鎖に芳香環を有し、それらがエーテル結合で結合された単独重合体及び/又は共重合体であり、具体的には、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体等が好ましく、中でもポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)が好ましい。かかるポリフェニレンエ−テルの製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、米国特許第3,306,874号明細書記載の方法による第一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒として用い、例えば2,6キシレノールを酸化重合することにより容易に製造でき、そのほかにも米国特許第3,306,875号明細書、米国特許第3,257,357号明細書、米国特許3,257,358号明細書、及び特公昭52−17880号公報、特開昭50−51197号公報に記載された方法で容易に製造できる。
【0022】本発明にて用いる上記ポリフェニレンエ−テルの還元粘度ηsp/c(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)は、0.20〜0.70dl/gの範囲にあることが好ましく、0.30〜0.60dl/gの範囲にあることがより好ましい。ポリフェニレンエ−テルの還元粘度ηsp/cに関する上記要件を満たすための手段としては、前記ポリフェニレンエ−テルの製造の際の触媒量の調整などを挙げることができる。
【0023】本発明における(B)無機化合物は、本発明の平均粒子径の要件を満足しておれば特に制限されない。例えば、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化セシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化マンガン、酸化モリブデン、モリブデン酸カルシウム亜鉛、モリブデン酸亜鉛、リン酸亜鉛、酸化ホルミウム、コバルトブルー(CoO・Al2O3)等の金属酸化物またはAl2O3/MgO等の複合酸化物、鉄、珪素、タングステン、マンガン、ニッケル、白金等の金属、炭素、グラファイト等の非金属、炭化珪素、炭化ホウ素、炭化ジルコニウム等の炭化金属が挙げられ、中でも金属酸化物が好ましく、特に酸化珪素、酸化アルミニウムが好ましい。
【0024】(B)の中で好ましい金属酸化物は、液相法または気相法で製造されるが、分散性の点で気相法が好ましく、米国特許5460701(対応日本特許公開2000−24493号公報)等に開示されている。このような金属酸化物は例えば米国ナノフェーズテクノロジー社が超微粒子ナノテックとして販売している。また米国Sherwin-Williams社のモリブデン酸金属塩も好適に用いることができる。
【0025】(B)の化合物の中でも酸化珪素が極めて好ましい。酸化珪素は合成シリカとも言われ、大別すると、湿式法と乾式法の2通りの合成法がある。前者は、ケイ酸ソーダと鉱酸との反応により合成されるもの、アルコキシシランの加水分解によるもの等がある。後者には、ハロゲン化ケイ素の酸水素炎中での高温加水分解により合成されるもの等がある。このような合成シリカは非晶質であることが好ましい。
【0026】(B)の非晶質シリカは、水とアルカリ金属シリケートの混合物に60−90℃で酸を添加することにより製造される。水及び/またはシリケートは別々に加熱してもよいし、同時に混合して加熱してもよい。アルカリ金属シリケートは、メタまたはジシリケートのアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩等であり、特に制限されない。また反応媒体として硫酸ナトリウム等の電解質を用いることが好ましい。
【0027】前記好ましいもう一つの合成シリカとして、ヒュームドシリカと称される、親水性または疎水性ヒュームドシリカが挙げられ、特に疎水性ヒュームドシリカが好ましい。このようなヒュームドシリカは特開2000−86227号公報に記載の方法により製造され、4塩化珪素と水素、酸素、水を用いて、高温加水分解する乾式法により製造することができる。例えば、揮発性珪素化合物を原料とし、これを可燃ガス及び酸素を含有する混合ガスと共にバーナーに供給して燃焼させた火炎中で1000〜2100℃の高温で加熱分解することにより得られる。原料となる揮発性珪素化合物としては、例えば揮発性のハロゲン化珪素化合物が好ましく、SiH4,SiCl4,CH3SiCl3,CH3SiHCl2,HSiCl3,(CH3)2SiCl2,(CH3)3SiCl,(CH3)2SiH2,(CH3)3SiH,アルコキシシラン類等が挙げられる。また可燃ガス及び酸素を含有する混合ガスは、水を生成させうるものが好ましく、可燃ガスとして水素やメタン、ブタン等が適当であり、酸素含有ガスとして酸素、空気等が用いられる。
【0028】揮発性珪素化合物と混合ガスの量比は、揮発性珪素化合物のモル当量を1モル当量として、酸素及び可燃性ガスである水素を含む混合ガス中の酸素のモル当量2.5〜3.5、及び水素のモル当量を1.5〜3.5の範囲に調整する。尚、ここで酸素と水素についてのモル当量とは、各原料化合物(揮発性珪素化合物)と反応する化学量論的な当量を指している。また、メタン等の炭化水素燃料を用いる場合は、水素換算のモル当量を指す。シリカの平均粒子径を小さくするには、揮発性珪素化合物1モルに対して、水素、酸素を過剰量用いることにより、反応混合物中の固体(シリカ)/気体(酸素、水素)の比を小さくし、これにより固体粒子間の衝突を少なくして溶融による粒子成長を抑制することにより達成することができる。
【0029】前記好ましい更にもう一つの合成シリカは、上述の気相法で製造された米国ナノフェーズテクノロジー社が製造した合成シリカである。そして、前記好ましい合成シリカの一つは、米国Hybrid Plastics社が製造しているPolyhedral Oligomeric Silsesquioxane(POSS)であり、有機−無機ハイブリッド法により製造されている。(B)化合物の表面処理方法については、特に制限されないが、無機系化合物と反応、または相互作用可能な官能基を有する表面処理剤を用いることが好ましい。例えば、(B)は、珪素含有化合物、および芳香族基含有化合物または重合体、とりわけ芳香族基と珪素を含有した化合物または重合体から選ばれる1種以上の化合物で表面被覆される。
【0030】例えば、(B)として最も好ましい合成シリカの場合、シリカのシラノール基と反応可能な官能基を有する重合体またはシランカップリング剤等でシリカを表面処理し、結合を形成する方法を挙げることができる。上記シリカのシラノール基と反応可能な官能基を有する重合体は、(A)として規定されたゴム状重合体、熱可塑性樹脂、または熱硬化性樹脂等の重合体に官能基が結合した重合体であり、重合体自体は特に制限されないが、例えば(A)と同一、または相容、または相互作用を有する重合体が好ましい。シラノール基と反応可能な官能基として、エポキシ基、水酸基、イソシアネート基、マレイン酸エステル等のエステル基、アミノ基、カルボン酸基、マレイン酸基等が挙げられる。好ましい表面処理剤の一つは、(A)としてスチレン系重合体を用いる場合は、エポキシ変性スチレン系重合体である。
【0031】前記シリカのシラノール基と反応可能なもう一つの表面処理剤として、シランカップリング剤等が挙げられる。それを用いた処理、例えば、ジメチルジクロロシラン処理、ヘキサメチルジシラザン処理、オクチルシラン処理、メタクリロキシシラン処理、アミノシラン、ヘキサメチルジシラザン処理、及びジメチルシリコーンオイル処理、ジフェニルジクロロシラン処理、メチルフェニルジクロロシラン処理、ヘキサフェニルジシラザン処理、フェニルアルキルシラン処理、フェニルメタクリロキシシラン処理、フェニルアミノシラン処理、及びフェニル基含有シリコーンオイル処理したものが好適に用いることができる。中でもジメチルシリコーンオイル処理、メチルフェニルシリコーン処理等のジオルガノシリコーン処理、またはジメチルジクロロシラン処理等のジアルキルジハロシラン処理、ジフェニルシリコーンオイル処理、メチルフェニルシリコーン処理等の芳香族基含有オルガノシリコーン処理、またはジフェニルジクロロシラン処理、フェニルアルキルジクロロシランシラン処理等の芳香族基含有ジハロシラン処理が最も好ましい。
【0032】表面処理は、例えば、特開平9−310027、同9−59533、同6−87609号公報に記載された方法で行い、ヘンシェルミキサー等の攪拌装置を備えた容器に、シリカを入れ、攪拌しながら各種表面処理剤を添加し、望ましくはスプレーにより散布して均一に混合することにより行なうことができる。重合体による表面処理を行う場合は、シリカの存在下にスチレン等の重合性単量体をラジカル開始剤または光増感剤と共に、熱処理または光照射してシリカ表面をポリスチレン等の重合体で被覆する。具体的な方法は、Y.Shirai,Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry,vol.39,2157-2163(2001);N.Tsubokawa,同上,vol.30,2241-2246(1992)に開示されている。
【0033】前記米国Hybrid Plastics社が製造しているPOSSには、低分子化合物または重合体で表面被覆された合成シリカを含んでおり、例えば、アルコール、フェノール、アミン、クロロシラン、エポキシ、エステル、フルオロアルキル、ハライド、イソシアネート、メタクリレート、アクリレート、シリコーン、ニトリル、ノルボルレニル、オレフィン、フォスフィン、シラン、チオール、ポリスチレン等の各種重合体で表面被覆されている。
【0034】(B)の量は、(A)100重量部に対して、0.001〜200重量部であり、好ましくは0.01〜100重量部、より好ましくは0.1〜50重量部、更に好ましくは0.1〜20重量部、最も好ましくは1〜10重量部である。本発明において(C)として使用する繊維は、板状のフィラーを含めた異方性を有するフィラーをも含む広義の繊維であり、特に制限されない。(C)の平均繊維直径が0.01〜1000μmであり、好ましくは0.1〜500μm、更に好ましくは1〜100μm、最も好ましくは5〜50μmであり、またアスペクト比(長さ/直径)が2〜10,000であり、好ましくは50〜500、更に好ましくは50〜300、最も好ましくは100〜200である。
【0035】平均繊維直径が0.01μm未満では、補強効果が小さく、機械的強度が劣り、一方、1000μmを越えると、分散性が低下し、同様に機械的強度が低下する。また、アスペクト比(長さ/直径)は2未満では、異方性が不足し難燃性向上効果及び補強効果が小さく、一方それが10,000を越えると混練時に切断されて補強効果を失う。上記(C)は、綿、絹、羊毛、麻等の天然繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、アセテート、プロミックス等の半合成繊維、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、アラミド、ポリオレフィン、炭素、ビニル等の合成繊維、ガラス、石綿等の無機繊維、または金属繊維等の繊維、あるいは板状のタルク、カオリンまたは粘度化合物等のフィラーである。
【0036】本発明において、(C)として、特にアラミド繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ガラス繊維が好ましい。上記アラミド繊維は、イソフタルアミド、またはポリパラフェニレンテレフタルアミドをアミド系極性溶媒または硫酸に溶解し、湿式または乾式法で溶液紡糸することにより製造することができる。前記ポリアクリロニトリル繊維は、ジメチルホルムアミド等の溶媒に重合体を溶解し、400°Cの空気流中に乾式紡糸する乾式紡糸、または硝酸等の溶媒に重合体を溶解し水中に湿式紡糸する湿式紡糸法により製造される。
【0037】また、(C)を無水マレイン酸、またはシランカップリング処理剤等で表面処理を行なうことにより、繊維補強効果を更に促進される。(C)の量は、(A)100重量部に対して、0.1〜200重量部であり、好ましくは1〜150重量部、より好ましくは10〜100重量部、更に好ましくは20〜100重量部、最も好ましくは30〜70重量部である。本発明において、必要に応じて(B)以外の難燃剤(D)を配合することができ、硫黄系、リン系、窒素系、無機系難燃剤、あるいはハロゲン系難燃剤である。
【0038】上記(D)としての硫黄系難燃剤は、例えば、トリクロロベンゼンスルフォン酸カリウム、パーフルオロブタンスルフォン酸カリウム、ジフェニルスルフォン−3−スルフォン酸カリウム等の有機スルフォン酸金属塩、芳香族スルフォンイミド金属塩、あるいはスチレン系重合体、ポリフェニレンエーテル等の芳香族基含有重合体の芳香環に、スルフォン酸金属塩、硫酸金属塩、リン酸金属塩、ホウ酸金属塩、あるいは上記酸のアンモニウム塩、フォスフォニウム塩等が結合した、ポリスチレンスルフォン酸アルカリ金属塩等の硫黄系難燃剤である。このような硫黄系難燃剤は、特に重合体としてポリカーボネートの場合には、燃焼時に脱炭酸反応を促進して難燃性を向上させる。更にポリスチレンスルフォン酸アルカリ金属塩では、自らスルフォン酸金属塩が燃焼時に架橋点となり、炭化被膜形成に大きく寄与する。
【0039】前記(D)としてのリン系難燃剤は、有機リン系、赤リン系、無機リン系難燃剤が挙げられる。上記有機リン系難燃剤の例としては、ホスフィン、ホスフィンオキシド、ビホスフィン、ホスホニウム塩、ホスフィン酸塩、リン酸エステル、亜リン酸エステル等である。より具体的には、トリフェニルフォスフェート、メチルネオベンチルフォスファイト、ヘンタエリスリトールジエチルジフォスファイト、メチルネオペンチルフォスフォネート、フェニルネオペンチルフォスフェート、ペンタエリスリトールジフェニルジフォスフェート、ジシクロペンチルハイポジフォスフェート、ジネオペンチルハイポフォスファイト、フェニルピロカテコールフォスファイト、エチルピロカテコールフォスフェート、ジピロカテコールハイポジフォスフェートである。
【0040】ここで、特に有機リン化合物として、芳香族系リン酸エステル単量体、芳香族系リン酸エステル縮合体が好ましい。前記(D)において、リン系難燃剤の一つの赤リンは、一般の赤リンの他に、その表面をあらかじめ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、および水酸化チタンより選ばれる金属水酸化物の被膜で被覆処理されたもの、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、および水酸化チタンより選ばれる金属水酸化物及び熱硬化性樹脂よりなる被膜で被覆処理されたもの、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンより選ばれる金属水酸化物の被膜の上に熱硬化性樹脂の被膜で二重に被覆処理されたものなどである。
【0041】前記(D)において、リン系難燃剤の一つの無機リン系難燃剤は、ポリリン酸アンモニウムまたはそれと窒素化合物との複合難燃剤、または、フォスファゼン系化合物であり、特に芳香族基を有する、リン原子と窒素原子が二重結合で結ばれた構造を有する化合物であることが好ましく、例えば環状フォスファゼンまたは直鎖状フォスファゼンが挙げられる。フォスファゼンの中でも、芳香族ポリカーボネートとの相溶性の観点から、置換基としてフェニル基、クレジル基、キシリル基、ビスフェニル基等の芳香族基を含有する。具体的には、フェノキシプロポキシフォスファゼン、ジフェノキシフォスファゼン、フェノキシアミノフォスファゼン、フェノキシフルオロアルキルフォスファゼン等であり、これらのフォスファゼン化合物はクロロフォスファゼンをアルコール類またはフェノール類で置換することにより製造される。
【0042】前記(D)としての窒素系難燃剤は、トリアジン骨格含有化合物が代表的であり、リン系難燃剤の難燃助剤として一層の難燃性を向上させるための成分である。その具体例としては、メラミン、メラム、メレム、メロン(600°C以上でメレム3分子から3分子の脱アンモニアによる生成物)、メラミンシアヌレ−ト、リン酸メラミン、サクシノグアナミン、アジポグアナミン、メチルグルタログアナミン、メラミン樹脂、BTレジン を挙げることができるが、低揮発性の観点から特にメラミンシアヌレ−トが好ましい。
【0043】そして、前記(D)としての無機系難燃剤は、シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化ジルコニウム、酸化スズの水和物等の無機金属化合物の水和物、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化ニッケル、酸化銅、酸化タングステン等の金属酸化物、アルミニウム、鉄、チタン、マンガン、亜鉛、モリブデン、コバルト、ビスマス、クロム、ニッケル、銅、タングステン、スズ、アンチモン等の金属粉、そしてホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等が挙げられる。これらは、1種でも2種以上を併用してもよい。この中で特に、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、およびハイドロタルサイトからなる群から選ばれたものが難燃効果が良く、経済的にも有利である。
【0044】本発明において(D)は、(A)100重量部に対して、0.001〜100重量部が好ましく、更に好ましくは0.1〜50重量部、最も好ましくは1〜20重量部で使用される。本発明において、必要に応じて、脂肪族炭化水素、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪族アルコ−ル、金属石鹸、オルガノシロキサン系ワックス、ポリオレフィンワックス、およびポリカプロラクトンから選ばれる一種または二種以上の離型剤または流動性向上剤としての加工助剤を配合することができる。
【0045】上記加工助剤の量は、(A)100重量部に対して、好ましくは0.01〜20重量部、更に好ましくは、0.5〜10重量部、最も好ましくは、1〜5重量部である。本発明において、耐光性が要求される場合には、必要に応じて、紫外線吸収剤、ヒンダ−ドアミン系光安定剤、酸化防止剤、活性種捕捉剤、遮光剤、金属不活性剤、または消光剤から選ばれる一種または二種以上の耐光性改良剤を配合することができる。
【0046】耐光性改良剤の量は、(A)100重量部に対して、好ましくは0.05〜20重量部、更に好ましくは、0.1〜10重量部、最も好ましくは、1〜5重量部である。こうして得られた好適な重合体組成物は任意の成形方法で各種成型品の製造が可能である。射出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダー成形、発泡成形等が好ましく用いられる。
【0047】以下、本発明を実施例、比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、これら実施例および比較例において、各種物性の評価に用いた試験法は以下の通りである。
(1)繊維の平均直径、アスペクト比電子顕微鏡により繊維の数平均粒子直径を求め、一方光学顕微鏡により繊維の平均長さを求め、長さ/直径の比からアスペクト比を算出した。即ち、各繊維の断面を円と仮定し、長径と短径の算術平均を各粒子の平均直径とする。そして、100個の粒子の平均直径の算術平均により数平均粒子直径を求めた。上記繊維の平均長さも数平均繊維長さとして同様に求めた。
【0048】(2)難燃性UL−94に準拠したVB(Vertical Burning)法により、以下の基準で自己消火性の評価を行った。(1/8インチ厚み試験片)
◎ 20秒未満内に自己消火○ 20〜40秒以内に自己消火△ 40秒以上で自己消火× 全焼【0049】(3)アイゾット衝撃強度ASTM−D256に準拠した方法で測定した。(23℃、Vノッチ付き1/4インチ厚み試験片)
(4)押出安定性(品質の安定性)
溶融押出機を用い、樹脂組成物を10時間連続溶融押出しを行い、1時間毎に得られた組成物のアイゾット衝撃強度を測定し、その平均強度に対する変化率(%)から連続生産性(品質の安定性)を評価した。
【0050】(5)曲げ弾性率JIS K6758に準拠した方法で23℃にて測定した。実施例、比較例で用いる各成分は以下のものを用いた。
(イ)重合体以下のように括弧内に略記した。ビスフェノールA型ポリカーボネート(PC)、ナイロン6(PA6)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ゴム変性ポリスチレン(HIPS)、ABS樹脂(ABS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−ブタジエン共重合体(SB)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−オクテン共重合体(EO)、EO−PP架橋体(TPV)
但し、上記TPVはEO/PP=50/50(重量比)に有機過酸化物とトリアリルイソシアヌレートを用いて二軸押出機で動的に架橋された熱可塑性ポリプロピレンである。
【0051】(ロ)無機化合物特開2000−86227号公報に記載された方法で、4塩化ケイ素の酸水素炎中での高温加水分解により合成し、平均粒子径の異なったシリカを製造した。具体的には、4塩化珪素1.0モル当量を、60℃に予熱した酸素と水素との混合ガス(酸素2.69モル当量、水素1.60モル当量)と共にバーナーに供給し、燃焼(1600℃)させて微粒子状のシリカを製造した。平均粒子径の制御は、4塩化珪素1.0モル当量に対する酸素と水素のモル当量比を変更することにより行った。
【0052】またシリカ以外の金属酸化物は、米国特許5460701(対応日本特許公開2000−24493号公報)に開示されている気相法によって製造した。次いで、各種表面処理剤で表面を被覆した。表面処理方法は、例えば、特開平9−310027、同9−59533、同6−87609号公報に記載された方法で行い、例えば、上記シリカを密閉型ヘンシェルミキサーに入れ、容器内を窒素ガスで置換した後に、攪拌しながら各種処理剤をシリカ100重量部に対して20重量部噴霧混合した。その後、250℃で30分加熱攪拌を続け、室温まで冷却して表面処理シリカを製造した。ジメチルシリコーンで表面被覆する場合には、ポリエーテル変性ジメチルシリコーン(信越化学工業社製、商品名:KF618)を用いた。同様にジメチルジクロロシラン処理、ヘキサメチルジシラザン処理、メタクリロキシシラン処理、ジフェニルジクロロシラン処理、メチルフェニルジクロロシラン処理を行った。また重合体で表面被覆する場合は、重合性単量体を、Y.Shirai,Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry,vol.39,2157-2163(2001);N.Tsubokawa,同上,vol.30,2241-2246(1992)に開示されている方法でグラフト重合を行うことにより行った。その他の表面被覆については、米国Hybrid Plastics社が製造しているPolyhedral Oligomeric Silsesquioxane(POSS)を用いた。表1〜8に上記各種無機化合物を記載した。
【0053】(ハ)繊維(1)ガラス繊維(GF)
シリカガラスを溶融紡糸して製造する際に、平均繊維直径は紡口の大きさで制御し、アスペクト比(長さ/直径)は切断速度で制御した。
(2)炭素繊維(CF)
ポリアクリロニトリルを溶融紡糸して製造する際に、平均繊維直径は紡口の大きさで制御し、アスペクト比(長さ/直径)は切断速度で制御した。
【0054】(ニ)難燃剤(1)有機スルフォン酸金属塩大日本インキ化学工業(株)製、パーフルオロブタンスルフォン酸カリウム(SFと称する)
(2)ビスフェノールA ビス(ジフェニルホスフェート)
大八化学工業(株)製、[商品名 CR741(P1と称する)]
(3)1,3−フェニレン ビス(ジフェニルホスフェート)
大八化学工業(株)製、レゾルシン由来の芳香族縮合リン酸エステル[商品名CR733S(P2と称する)]
(4)1,3−フェニレン ビス(ジキシリルホスフェート)
大八化学工業(株)製、[商品名 PX200(P3と称する)]
(5)赤リン燐化学工業(株)製、[商品名 ノーバエクセル(P4と称する)]
(6)ポリリン酸アンモニウムチッソ(株)製、[商品名 テラージュ(P5と称する)]
(7)フェノキシフォスファゼン(P6と称する)
(8)水酸化マグネシウム協和化学工業(株)製、商品名 キスマ(MOHと称する)
(9)メラミンシアヌレート日産化学工業(株)製、[商品名 MC610(M1と称する)]
(10)ポリテトラフルオロエチレンダイキン工業(株)製、(PTFEと称する)
【0055】
【実施例1〜82、および比較例1〜8】ヘンシェルミキサーで、表1〜8に記載の組成物を混合し、引き続きバレル中央部に注入口を有した二軸押出機(40mmφ、L/D=47)を用いて、240℃の温度条件で10時間連続溶融押出を行った。スクリューとしては注入口の前後に混練部を有した2条スクリューを用いた。このようにして得られた組成物からシリンダー設定温度250℃、金型温度80℃にて射出成形により成形体を作製し、評価を行った。その結果を表1〜8に記載した。
【0056】
【表1】

【0057】
【表2】

【0058】
【表3】

【0059】
【表4】

【0060】
【表5】

【0061】
【表6】

【0062】
【表7】

【0063】
【表8】

【0064】
【発明の効果】本発明の難燃性繊維補強重合体組成物は、卓越した衝撃強度と剛性等の機械的強度と押出安定性に優れている。本発明の組成物は、VTR、分電盤、テレビ、オ−ディオプレ−ヤ−、コンデンサ、家庭用コンセント、ラジカセ、ビデオカセット、ビデオディスクプレイヤ−、エアコンディショナ−、加湿機、電気温風機械等の家電ハウジング、シャ−シまたは部品、CD−ROMのメインフレ−ム(メカシャ−シ)、プリンタ−、ファックス、PPC、CRT、ワ−プロ複写機、電子式金銭登録機、オフィスコンピュ−タ−システム、フロッピ−(登録商標)ディスクドライブ、キ−ボ−ド、タイプ、ECR、電卓、トナ−カ−トリッジ、電話等のOA機器ハウジング、シャ−シまたは部品、コネクタ、コイルボビン、スイッチ、リレ−、リレ−ソケット、LED、バリコン、ACアダプタ−、FBT高圧ボビン、FBTケ−ス、IFTコイルボビン、ジャック、ボリュウムシャフト、モ−タ−部品等の電子・電気材料、そして、インスツルメントパネル、ラジエ−タ−グリル、クラスタ−、スピ−カ−グリル、ル−バ−、コンソ−ルボックス、デフロスタ−ガ−ニッシュ、オ−ナメント、ヒュ−ズボックス、リレ−ケ−ス、コネクタシフトテ−プ等の自動車材料等に好適であり、これら産業界に果たす役割は大きい。
【出願人】 【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区堂島浜1丁目2番6号
【出願日】 平成14年2月6日(2002.2.6)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−226816(P2003−226816A)
【公開日】 平成15年8月15日(2003.8.15)
【出願番号】 特願2002−29933(P2002−29933)