| 【発明の名称】 |
鱗片状シリカ粒子を含有する硬化性組成物の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】日下 良 【住所又は居所】千葉県市原市五井海岸10番地 旭硝子株式会社内
【氏名】松原 俊哉 【住所又は居所】千葉県市原市五井海岸10番地 旭硝子株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】本発明は、鱗片状シリカ粒子と、高分子物質とを含有する硬化性組成物を、長期間保管する場合において、鱗片状シリカ粒子の沈澱を防止する。
【解決手段】薄片状シリカの1次粒子が積層した形態の鱗片状シリカ粒子を0.1〜10質量%含有するスラリと、高分子物質を20質量%以上含有する水性エマルジョンとを混合する硬化性組成物の製造方法を提供する。この硬化性組成物は、フロアーポリッシュ用途に好適である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】薄片状シリカの1次粒子が積層した形態の鱗片状シリカ粒子を0.1〜10質量%含有するスラリと、高分子物質を20質量%以上含有する水性エマルジョンとを混合する硬化性組成物の製造方法。 【請求項2】前記鱗片状シリカ粒子が、薄片状シリカの1次粒子が互いに面間が平行的に配向し複数枚重なった鱗片状シリカ粒子である請求項1記載の硬化性組成物の製造方法。 【請求項3】前記薄片状シリカの1次粒子が、層状ポリケイ酸である請求項1または2に記載の硬化性組成物の製造方法。 【請求項4】前記薄片状シリカの1次粒子が、X線回折分析での主ピークが、シリカ−Xまたはシリカ−Yに該当するシリカである請求項1〜3のいずれか一つに記載の硬化性組成物の製造方法。 【請求項5】前記硬化性組成物が、フロアーポリッシュ用途である請求項1〜4のいずれか一つに記載の硬化性組成物の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、鱗片状シリカ粒子を含有する硬化性組成物の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】特開2001−163613には、薄片状シリカの1次粒子が互いに面間が平行的に配向し複数枚重なって形成される鱗片状シリカ粒子から実質的になり、互いに独立に存在する積層構造の粒子形態を有する鱗片状シリカ粒子及び塗膜形成性の有機高分子物質を含有する水性の硬化性組成物が開示されている。この硬化性組成物は、粒子結着剤(バインダー)、建物や構築物の外装用あるいは内装用塗料・コーティング剤、熱的機能(耐熱、断熱、防火・難燃など)を有する塗料・コーティング剤、光学的機能(紫外線遮蔽、光選択吸収、発光・蛍光など)を有する塗料・コーティテング剤、電気・磁気的機能(電気絶縁、導電性、帯電防止、電波吸収、電磁波遮蔽など)を有する塗料・コーティング剤、吸着機能(水分の吸着・脱着、ガスの吸着・脱着、薄層クロマトグラフィーなど)を有する塗料・コーティング剤及び吸着剤粒子の粒子結着剤(バインダー)、触媒機能(光触媒など)を有する塗料・コーティング剤及び触媒粒子の粒子結着剤(バインダー)、対生物機能(抗菌、防黴、船底防汚、水産栄養、細胞培養など)を有する塗料・コーティング剤、芳香、消臭機能を有する塗料・コーティング剤などの種々の用途に有用なものである。しかし、特開2001−163613で開示された硬化性組成物は、貯蔵安定性は、満足できる水準のものではなかった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】上記の硬化性組成物を、ビルや橋梁等の構造物の外壁の塗装用組成物や、スーパーマーケット、百貨店、ホテル等の商業施設の床用のフロアーポリッシュ用組成物として使用する場合には、通常当該硬化性組成物は、業務用として100〜200Lというドラム缶程度の容器に充填され倉庫で保管されたり、船便で輸送されたりする。その間に、組成物中の鱗片状シリカ凝集体粒子が容器底部に沈澱した場合には、再度容器を揺り動かして粒子を再分散させなければならないという不具合が生じていた。本発明は、鱗片状シリカ粒子及び高分子物質を含有する高い保存安定性を有する水性の硬化組成物の製造方法を提供することを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明は、薄片状シリカの1次粒子が積層した形態の鱗片状シリカ粒子を0.1〜10質量%含有するスラリと、高分子物質を20質量%以上含有する水性エマルジョンとを混合する硬化性組成物の製造方法である。 【0005】本発明では、高い分散性と、高い保存安定性を有する硬化性組成物を得るためには、薄片状シリカの1次粒子が積層した形態の鱗片状シリカ粒子を含有するスラリ(以下、単にスラリという)と、高分子物質を含有する水性エマルジョン(以下、単にエマルジョンという)とを混合する際に、スラリ中の鱗片状シリカ粒子の濃度を0.1〜10質量%にする必要がある。スラリ中の鱗片状シリカの濃度が0.1質量%より低いと、得られる硬化性組成物の濃度が低いものとなりコーティング剤、接着剤などとして不適当である。10質量%より大きいと、鱗片状シリカ粒子が凝集したままの状態であるおそれがあるため、スラリとエマルジョンとを混合した際、均一に分散されず、硬化性組成物の高い保存安定性が発現せず好ましくない。スラリ濃度は、1〜7質量%が好ましく、特に2〜4.5質量%が好ましい。スラリの分散媒は、水が好ましい。 【0006】本発明では、スラリとエマルジョンとを混合する際の、エマルジョン中の高分子物質の濃度は20質量%以上であることが必要である。20質量%より低いと、スラリと混合して得られる硬化性組成物中の高分子物質濃度が低くなりすぎ、実際にフロアーポリッシュ液として床面に塗布されたとき等に乾燥時間が長くなるので好ましくない。また、塗膜層が薄くなり重ね塗りの回数が多くなる等、作業性が低下するので好ましくない。25質量%以上が好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。 【0007】 【発明の実施の形態】(鱗片状シリカの凝集体粒子の生成)本発明で使用する鱗片状シリカ粒子は、次のようにして製造した鱗片状シリカ凝集体粒子を解砕、分散化して製造するのが好ましい。鱗片状シリカ凝集体粒子は、個々の鱗片状シリカ粒子が凝集して不規則に重なり合って形成される間隙を有する鱗片状シリカが凝集した粒子である。 【0008】具体的には、出発原料シリカをアルカリ金属塩の存在下に水熱処理し、薄片状シリカの1次粒子が互いに面間が平行的に配向し複数枚重なった鱗片状シリカ粒子が凝集して不規則に重なり合って形成される間隙を有する鱗片状シリカ凝集粒子を形成するのが好ましい。本発明において、出発原料であるシリカの形態としては、シリカゾル、シリカヒドロゲル又は含水ケイ酸等が挙げられる。以下に、上記シリカを使用した場合の各例について示す。 【0009】(a)シリカゾルを出発物質とする場合は、シリカ及びアルカリ金属を特定量含むシリカゾルを使用することが好ましい。シリカゾルとしては、シリカ/アルカリ金属モル比(SiO2/Me2O、ここでMeは、Li、Na又はK等のアルカリ金属を示す。以下、同じ。)が1.0〜3.4であるケイ酸アルカリ金属水溶液を、イオン交換樹脂法又は電気透析法等によって脱アルカリしたシリカゾルが好適に使用される。なお、ケイ酸アルカリ金属水溶液としては、例えば、水ガラスを適宜水で希釈したもの等が好ましい。 【0010】シリカゾルのシリカ/アルカリ金属モル比(SiO2/Me2O)は、3.5〜20の範囲が好ましく、4.5〜18の範囲が特に好ましい。また、シリカゾル中のSiO2濃度は、2〜20質量%が好ましく、3〜15質量%が特に好ましい。 【0011】シリカゾル中のシリカの平均粒子径は1〜100nmが好ましい。平均粒子径が100nm超であると、シリカゾルの安定性が低下するので好ましくない。シリカゾルの中でも活性ケイ酸と称される平均粒子径1〜20nm以下のものが特に好ましい。 【0012】以上のようにして、シリカゾルを出発原料とし、これをオートクレーブ等の加熱圧力容器中で加熱して水熱処理を行い、本発明における鱗片状シリカ凝集体粒子を生成する。オートクレーブとしては、特にその形式を限定するものではないが、少なくとも加熱手段と撹拌手段、及び好ましくは、温度測定手段を備えたものであればよい。なお、シリカゾルを水熱処理するため、オートクレーブに仕込むに先立って、さらに蒸留水やイオン交換水等の精製水を加えることにより、シリカ濃度を所望の範囲に調整することもできる。 【0013】水熱処理は、反応速度を大きく、かつ、結晶化の進行を小さくするため、温度150〜250℃の範囲で行われることが好ましく、温度170〜220℃の範囲で行われることが特に好ましい。また、水熱処理の時間は、水熱処理の温度や種晶の添加の有無等により変わりうるが、通常、3〜50時間が好ましく、3〜40時間が特に好ましく、5〜25時間が最も好ましい。 【0014】なお、水熱処理を効率よく進め、処理時間を短くするためには、その添加は必須ではないが、原料シリカゾルの仕込み量に対して0.001〜1質量%程度の種晶を添加するとより好ましい。種晶としては、シリカ−Xやシリカ−Y等をそのまま、又は適宜粉砕して使用することができる。 【0015】水熱処理終了後、生成物をオートクレーブより取り出し、濾過、水洗する。水洗処理後の粒子は、10質量%の水スラリとした際に、pH5〜9であることが好ましく、pH6〜8であることが特に好ましい。 【0016】(b)出発物質として、シリカヒドロゲルを使用する場合は、鱗片状シリカ凝集体粒子であるシリカ−X、シリカ−Y等をより低温度・短時間反応で、クオーツ等の結晶を生成させることなく、しかも収率高く製造することができる。シリカヒドロゲルは、粒子状シリカヒドロゲルが好ましく、その粒子形状は、球状でも不定型粒状でもよく、また、その造粒方法は適宜選択できる。 【0017】例えば、球状のシリカヒドロゲルの場合では、シリカヒドロゾルを石油類その他の媒体中で、球形状に固化せしめて生成することもできるが、ケイ酸アルカリ金属水溶液と鉱酸水溶液を混合して、シリカゾルを短時間で生成させると同時に、気体媒体中に放出し、気体中でゲル化させる方法により製造されることが好ましい。 【0018】すなわち、ケイ酸アルカリ金属水溶液と鉱酸水溶液とを、放出口を備えた容器内に別個の導入口から導入して瞬間的に均一混合し、SiO2濃度換算で130g/L以上、pH7〜9であるシリカゾルを生成せしめ、これを、上記放出口から、空気等の気体媒体中に放出させ、空中でゲル化させるのである。これに水を張った熟成槽に落下せしめて数分〜数十分熟成させ、酸を添加・水洗して球状のシリカヒドロゲルとする。 【0019】当該シリカヒドロゲルは、粒径がよく揃った平均粒子径2〜10mm程度の透明で弾力性を有する球状粒子であり、SiO2に対して重量比で約4倍もの水を含有している場合もあり、シリカヒドロゲル中のSiO2濃度は、15〜75質量%が好ましい。 【0020】このようなシリカヒドロゲルを出発原料とし、上記シリカゾルを使用する場合と同様にして、オートクレーブ等の加熱圧力容器中で加熱して水熱処理を行い、本発明における鱗片状シリカ凝集体粒子を生成させる。なお、球状シリカヒドロゲルをそのまま使用してもよいが、粉砕又は粗粉砕して、粒径0.1〜6mm程度としてもよい。 【0021】シリカヒドロゲルを水熱処理するために、オートクレーブに仕込む場合、蒸留水やイオン交換水のごとき精製水を加えることにより、シリカヒドロゲル濃度を所望の範囲に調整できる。オートクレーブ内の処理液中の総シリカ濃度は、撹拌効率、結晶成長速度、収率等を考慮して選択されるが、通常、全仕込み原料基準でSiO2として1〜30質量%が好ましく、10〜20質量%が特に好ましい。ここで、処理液中の総シリカ濃度とは、系内の総シリカ濃度を意味し、シリカヒドロゲル中のシリカのみでなく、アルカリ金属塩としてケイ酸ナトリウム等を使用した場合は、ケイ酸ナトリウム等により系に持ち込まれるシリカをも加えた値である。 【0022】水熱処理においては、シリカヒドロゲルにアルカリ金属塩を共存させ、処理液のpHをアルカリ側に調節し、シリカ溶解度を適度に大きくし、所謂Ostwaldの熟成に基づく晶析速度を高め、シリカヒドロゲルのシリカ−X等への変換を促進させることできる。 【0023】ここでアルカリ金属塩とは、水酸化アルカリ金属、ケイ酸アルカリ金属又は炭酸アルカリ金属等を意味する。アルカリ金属としては、Li、Na又はKが好ましい。系のpHとしては、pH7以上が好ましく、pH8〜13が特に好ましく、pH9〜12.5が最も好ましい。 【0024】アルカリ金属とシリカとの合計量に対する好ましいアルカリ金属の量を、シリカ/アルカリ金属モル比(SiO2/Me2O)で表示すれば、4〜15の範囲であり、7〜13の範囲が特に好ましい。 【0025】水熱処理は、150〜220℃の温度範囲で行われることが好ましく、160〜200℃が特に好ましく、170〜195℃が最も好ましい。また、必要な水熱処理の時間は、水熱処理の温度や種晶の添加の有無等により変わりうるが、通常、3〜50時間が好ましく、5〜40時間が特に好ましく、5〜25時間程度がさらに好ましく、5〜12時間程度が最も好ましい。 【0026】なお、水熱処理を効率よく進め、処理時間を短くするためには、その添加は必須ではないが、原料シリカヒドロゲルの仕込み量に対して、0.001〜1質量%程度の種晶を添加することがより好ましい。種晶としては、シリカゾルを使用する方法と同じく、シリカ−Xやシリカ−Y等をそのまま、又は、適宜粉砕して使用することが好ましい。 【0027】水熱処理終了後、シリカゾルを使用する方法と同じく、水熱処理生成物をオートクレーブより取り出し、濾過、水洗してpHを調製する。 【0028】(c)含水ケイ酸を出発原料として使用する場合、シリカゾルと同様の方法で本発明における鱗片状シリカ凝集体粒子を合成することができる。 【0029】(鱗片状シリカ凝集体粒子の様子)以上のごとくして、シリカゾルやシリカヒドロゲル又は含水ケイ酸を水熱処理して得られる水熱処理生成物のケーキを、濾過・水洗した状態の粒子を、走査型電子顕微鏡(以下「SEM」と略記する。)を使用して観察すると、個々の鱗片状シリカ粒子が凝集して不規則に重なり合って形成される間隙を有する鱗片状シリカが凝集した粒子を形成していることが識別できる。 【0030】しかし、後述のとおり、SEMでは、極薄片粒子である1次粒子は識別できず、極薄片粒子である1次粒子が、面間が平行的に配向して複数枚重なった鱗片状シリカ粒子だけが識別できる。 【0031】一方、透過型電子顕微鏡(以下「TEM」と略記する。)を使用して観察すると、電子線が一部透過するような極薄片粒子である1次粒子が識別できる。この薄片状シリカ2次粒子が本発明の鱗片状シリカ粒子であり、当該薄片状シリカ1次粒子が互いに面間が平行的に複数重なったもので形成されていることが識別できる。 【0032】なお、鱗片状シリカ粒子から、その構成単位である薄片状シリカの1次粒子を1枚ずつ剥離し、単離することはきわめて困難である。すなわち、薄片状シリカの1次粒子の層状の重なりにおいて、各層間の結合は極めて強固であって完全に融合一体化しており、従って本発明の鱗片状シリカ粒子は、もはやそれ以上薄片状シリカの1次粒子に解砕することは困難である。鱗片状シリカ粒子の微粉末において、薄片状シリカの1次粒子の厚みは1〜10nm程度と極めて薄い。また、鱗片状シリカ粒子は、この薄片状シリカの1次粒子が、平行的に、規則的に積層している部分が多いが、部分的に積層が不規則なことにより間隙幅1〜100nm程度の間隙の存在が認められる。 【0033】(鱗片状シリカ凝集体粒子の解砕・分散化)本発明においては、鱗片状シリカ粒子がさらに凝集した鱗片状シリカ凝集体粒子を、湿式で解砕・分散化するのが好ましい。これにより、鱗片状シリカ粒子を得ることができる。 【0034】湿式解砕するための装置としては、粉砕媒体を使用して機械的に高速撹拌する方式の湿式ビーズミル、湿式ボールミル、薄膜旋回型高速ミキサー等の湿式粉砕装置(解砕装置)等が挙げられる。特に、湿式ビーズミルに直径0.2〜1mmのアルミナ又はジルコニア等の媒体ビーズを使用すると、鱗片状シリカ粒子の基本的な積層構造を極力粉砕・破壊しないように、解砕・分散化することができるため好ましい。 【0035】また、湿式粉砕する鱗片状シリカ凝集体のケーキは、蒸留水やイオン交換水等の精製水等で希釈し、適当なスラリ濃度にして湿式粉砕装置に供給する。スラリ濃度は0.1〜50質量%が好ましい。解砕効率や粘度上昇による作業効率を考慮すると0.1〜30質量%が特に好ましい。 【0036】(鱗片状シリカ粒子)鱗片状シリカ粒子は、薄片状シリカの1次粒子が互いに面間が平行的に配向し複数枚重なって形成される鱗片状シリカ粒子であり、互いに独立に存在する積層構造の粒子形態であるのが好ましい。 【0037】鱗片状シリカ粒子の平均粒子径は、特に限定するものではないが、通常10〜5000nmが好ましく、100〜2000nmが特に好ましい。 【0038】本発明においては、薄片状シリカの1次粒子としては、いわゆる層状ポリケイ酸が最も好ましい。ここで、層状ポリケイ酸とは、基本構成単位がSiO4四面体だけからなるシリケート層構造のポリケイ酸をいう。層状ポリケイ酸又はその塩とは、例えばシリカ−X、シリカ−Y、ケニアアイト、マガディアイト、マカタイト、アイラアイト、カネマイト、オクトシリケート等であり、例えば層状ポリケイ酸塩を酸処理することによりケイ酸塩中のアルカリ金属等が水素イオンでイオン交換されたH型のものも含まれる。 【0039】鱗片状シリカ粒子のX線回折のスペクトルとしては、米国のASTM(American Society for Testing and Materials)に登録されているカード(以下、単にASTMカードと称する。)番号16−0380に該当する2θ=4.9°、26.0°、及び28.3°の主ピークを特徴とするシリカ−X又はASTMカード番号31−1233に該当する2θ=5.6°、25.8°及び28.3°の主ピークを特徴とするシリカ−Yからなるシリカである。 【0040】本発明においては、アルカリ金属塩型の層状ポリケイ酸塩とH型の層状ポリケイ酸塩の両者を使用できるが、両者を比較した場合には、アルカリ金属塩型の層状ポリケイ酸塩は、pHが高アルカリ性であり、H型層状ポリケイ酸はpHが中性に近いので、H型層状ポリケイ酸が特に好ましい。 【0041】H型層状ポリケイ酸としては、硫酸、塩酸、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム水溶液等を滴定液として使用する滴定法で測定された酸性度(SiO21モル当たりに対して、滴定しうるH+イオンのミリモルで表示)が0.01〜70ミリモルH+/モルSiO2程度のものが好ましく、0.01〜50ミリモルH+/モルSiO2が特に好ましく、0.01〜20ミリモルH+/モルSiO2程度のものが最も好ましい。 【0042】一方、層状ポリケイ酸塩中に残存するナトリウムは、SiO2換算の層状ポリケイ酸塩の質量に対して、1〜27000ppm程度が好ましく、1〜20000ppm程度が特に好ましく、1〜8000ppm程度が最も好ましい。 【0043】本発明では、鱗片状シリカを含有するスラリに、水性エマルション状態の高分子物質を配合して、高い保存安定性を有する硬化性組成物を製造する。 【0044】本発明で用いられる水性エマルション状態の高分子物質とは、塗膜形成性の高分子物質の水性エマルションであれば、特に限定されるものではない。高分子物質の中でも、有機高分子物質が好ましい。有機高分子物質としては、塗料、コーティング剤等に使用されるアクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、スチレン樹脂系、シリコーン樹脂系、フッ素樹脂系、酢酸ビニル樹脂系、塩化ビニル樹脂系及びポリエステル樹脂系からなる群から選ばれる少なくとも1種の単独重合体又は共重合体、又は、それらの2種以上が混合若しくは複合したものが好ましい。 【0045】水溶性エマルション状態の高分子物質としては、いずれの粒径のものでも使用できるが、平均粒径1〜1000nmが好ましく、平均粒径10〜300nmが特に好ましい。 【0046】鱗片状シリカを含有するスラリと水性エマルション状態の高分子物質とを混合することにより、鱗片状シリカが凝集した鱗片状シリカ凝集体粒子を実質的に含まない薄片状シリカの1次粒子が互いに面間が平行的に配向して複数枚重なった鱗片状シリカ粒子が、高分散した保存安定性の高い硬化性組成物とする。 【0047】混合方法としては、タービン式撹拌機、高速せん断式撹拌機等のいずれの方法でも行うことができる。混合時の液温は、温度10〜80℃が好ましい。液温が高すぎると、水分蒸発による濃度変化が起きるため好ましくなく、低すぎると粘度等に変化が起きるため好ましくない。 【0048】硬化性組成物中の鱗片状シリカ及び高分子物質の固形分換算の比率としては、これらの合計量に対し、鱗片状シリカが1〜80質量%が好ましく、5〜30質量%が特に好ましい。鱗片状シリカの固形分の比率が1%より少さいと、形成される塗膜に期待する効果、すなわち、耐水性、耐酸性、耐アルカリ性、耐候性、高硬度、又は、基体との強い密着性等を発現しにくくなるので好ましくない。また、鱗片状シリカの固形分の量が上記量より多いと、混合液の粘度が上昇し、塗膜生成時の作業負担が大きくなり、実用的でないことから好ましくない。 【0049】 【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明する。また、合成例に、シリカヒドロゲルを出発原料とする鱗片状シリカ凝集体粒子の製造方法を示す。 【0050】[合成例1] (ヒドロゲルを出発原料とするシリカ3次凝集体粒子の製造)出発原料のシリカヒドロゲルは、ケイ酸ナトリウムをアルカリ源として次のようにして調整した。SiO2/Na2O=3.0(モル比)、SiO2 濃度21.0質量%であるケイ酸ナトリウム水溶液2000ml/minで、放出口を備えた容器内に導入して、この容器の別の導入口から硫酸濃度20.0質量%の硫酸水溶液を供給し、瞬間的に均一混合して、放出口から空中に放出される液のpHが7.5〜8になるように2液の流量比を調整し、均一混合されたシリカゾル液を放出口から連続的に空気中に放出させた。放出された液は、空気中で球形液滴となり、放物線を描いて約1秒間滞空する間に空中でゲル化した。落下地点には、水を張った熟成槽を置いておき、ここに落下せしめて熟成させた。 【0051】熟成後、pHを6に調整し、さらに充分水洗して、シリカヒドロゲルを得た。得られたシリカヒドロゲル粒子は、粒子形状が球形であり、平均粒子径が6mmであった。このシリカヒドロゲル粒子中のSiO2質量に対する水の質量比率は、4.55倍であり、シリカヒドロゲル粒子中の残存ナトリウムは、110ppmであった。 【0052】上記シリカヒドロゲル粒子を、ダブルロールクラッシャーを用いて平均粒子径2.5mmに粗粉砕して、水熱処理工程に用い、鱗片状シリカ凝集体粒子の形成に使用した。 【0053】得られたシリカヒドロゲルを、容量5Lのオートクレーブ(電気加熱式、アンカー型撹拌羽根付き)に、系内の総SiO2 /Na2 Oモル比が12.7となるように、上記粒径2.5mmのシリカヒドロゲル(SiO220.00質量%)2374g及びJIS3号ケイ酸ソーダ(SiO228.75質量%)555gを仕込み、これに水道水を1072gを加え、210rpmで撹拌しながら185℃で9時間水熱処理を行った。系内の総シリカ濃度は、SiO2として15.9質量%であった。スラリ中の鱗片状シリカ凝集体粒子の平均粒子径は4.0μmであった。 【0054】水熱処理後のスラリを、濾布式竪型遠心分離機(東興機械社製、商品名TU−18型)を用いて濾過水洗を行い、有姿含水率70.0質量%(固形分濃度30.0質量%)のシリカの湿ケーキ2000gを得た。なお、本実施例の平均粒子径はレーザー回折/散乱式粒度測定装置(日機装社製、商品名マイクロトラック9320HRA(X100))で測定した。 【0055】生成粒子の形態をTEMで観察したところ、薄片状シリカの1次粒子が互いに面間が平行的に配向し、複数枚重なって鱗片状シリカ粒子が形成されていることが観察された。 【0056】[例1(実施例)]合成例1で得られた湿ケーキ2000gに水道水を加えてリパルプし、さらに水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH調整し、鱗片状シリカ凝集粒子を含有するスラリ(固形分15質量%、pH8.5)4000gを得た。次に、得られたスラリを媒体撹拌ビーズミル(シンマルエンタープライゼズ社製、商品名ダイノーミルKDL−PILOT A型(ベッセル容量1.4L、直径0.5mmジルコニアビーズ70%充填))を用いて、シャフト回転数3400rpm、流量10L/hで1回通すことにより、シリカ凝集体粒子の解砕・分散化を行った。この操作を合計5回繰り返し、鱗片状シリカ粒子を含有するスラリを得た。解砕・分散化後のスラリ中の鱗片状シリカ粒子の平均粒子径は1.1μmであった。 【0057】得られたスラリの一部を水道水で固形分濃度が2.84質量%になるように希釈混合し、鱗片状シリカ粒子を含有するスラリ500gを得た。混合はホモミキサー(8000rpm)で1分間行った。 【0058】前記鱗片状シリカ粒子を含有するスラリ500gに、フロアーポリッシュ用アクリル樹脂系水性エマルジョン(ジェイ・エス・ピー社製、商品名ACHIEVE、樹脂固形分濃度27.0質量%、pH8.5)1000gを添加して、撹拌羽根付きの撹拌槽で撹拌して、硬化性組成物を得た。 【0059】得られた硬化性組成物中の樹脂濃度は18.0質量%、鱗片状シリカ粒子の濃度は0.9質量%であり、固形分換算比率は、樹脂:鱗片状シリカ粒子=95.0:5.0であった。この硬化性組成物の加温貯蔵安定性を、JIS K5400で規定する加温保存安定性の評価方法に準拠して、容器内での状態を観察した。35℃、90日間、静置保存して液の状態を観察したところ、容器底部にシリカの沈降堆積は全く認められなかった。 【0060】次に、ガラス板(ソーダライムガラス、70mm×150mm×2mm厚)を用意し、バーコーター塗り法(JIS K5400)で、#120バーコーター(江藤器械社製)を使って、ガラス板に当該スラリを塗布し、室温で24時間乾燥し試験片とした。塗布量は、固形分換算で20g/m2 であった。得られた塗膜の評価を、JIS K5400に準拠した鉛筆硬度及び碁盤目剥離試験並びに透明性について行い、結果を表1に示した。塗膜の透明性は、ヘイズメータ(日本電色工業社製、商品名NPH−2000型)で測定したヘイズ値を用いて示した。また、塗膜の外観は、平滑でありヒビ割れなどは認められなかった。 【0061】 【表1】
【0062】表1より、塗膜の鉛筆引っかき値(硬度)、碁盤目剥離性評価点数(密着性)は保存後に劣化しておらず、保存前後において塗膜の成膜性に変化の無いことが分かる。また、ヘイズ値が低下していないことから、鱗片状シリカの積層構造の粒子形態は破壊されておらず、当該粒子は塗膜中で配向していることが分かる。 【0063】本実施例の硬化性組成物は、フロアーポリッシュ用途であるため、さらに加温保存安定性試験を行った。当該硬化性組成物スラリを、JIS K3920で規定するフロアーポリッシュ試験方法の貯蔵安定性の促進条件による貯蔵安定性試験(45℃、30日間静置)について試験した。スラリは、容器底部にシリカの沈降堆積は認められなかった。 【0064】[例2(実施例)]例1で得られた解砕・分散処理をした鱗片状シリカ粒子を含有するスラリの一部を、水道水で固形分濃度が2.50質量%になるように希釈混合し、鱗片状シリカ粒子を含有するスラリ613gを得た。 【0065】得られたスラリ613gに、フロアーポリッシュ用アクリル樹脂系水性エマルジョン(ジェイ・エス・ピー社製、商品名PRIMODUAL、樹脂固形分濃度29.1質量%、pH8.5)1000gを添加して、撹拌羽根付きの撹拌槽で撹拌して、硬化性組成物を得た。 【0066】得られた硬化性組成物の樹脂濃度は18.0質量%、鱗片状シリカ粒子濃度は0.9質量%であり、固形分換算比率は、樹脂:鱗片状シリカ粒子=95.0:5.0であった。例1と同様に、JIS K3920に規定する方法で、硬化性組成物の加温貯蔵安定性を観察した。容器底部にシリカの沈降堆積は全く認められなかった。 【0067】[例3(実施例)]例1で得られた解砕・分散処理をした鱗片状シリカ粒子を含有するスラリーの一部を、水道水で固形分濃度が4.25質量%になるように希釈混合し、鱗片状シリカ粒子を含有するスラリ889gを得た。 【0068】得られたスラリ889gに、フロアーポリッシュ用アクリル樹脂系水性エマルジョン(ジェイ・エス・ピー社製、商品名COMFORT、樹脂固形分濃度34.0質量%、pH8.5)1000gを添加して、撹拌羽根付きの撹拌槽で撹拌して、硬化性組成物を得た。 【0069】得られた硬化性組成物中の樹脂濃度は18.0質量%、鱗片状シリカ粒子濃度は2.0質量%であり、固形分換算比率は、樹脂:鱗片状シリカ粒子=90.0:10.0であった。例1と同様に、JIS K3920に規定する方法で、硬化性組成物の加温貯蔵安定性を測定した。容器底部にシリカの沈降堆積は全く認められなかった。 【0070】[例4(比較例)]例1で得られた鱗片状シリカ粒子を含有するスラリ(固形分濃度15.0質量%)63gに、フロアーポリッシュ用アクリル樹脂系水性エマルジョン(ジェイ・エス・ピー社製、商品名ACHIEVE、固形分濃度18.0質量%、pH8.5)1000gを添加して、撹拌羽根付きの撹拌槽で撹拌して、硬化性組成物を得た。 【0071】得られた硬化組成物樹脂濃度は16.9質量%、鱗片状シリカ粒子の濃度は0.9%であり、固形分換算濃度比率は、樹脂:鱗片状シリカ粒子=95.0:5.0であった。例1と同様に、この硬化性組成物の加温貯蔵安定性を、JISK3920に規定する方法で、硬化性組成物の貯蔵安定性を観察したところ、いずれも容器底部にシリカの沈降堆積が顕著に認められた。 【0072】 【発明の効果】本発明により、高い保存安定性(耐沈降分離性)を有する鱗片状シリカ粒子及び高分子物質を含有する水性の硬化性組成物が得られる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000044 【氏名又は名称】旭硝子株式会社 【住所又は居所】東京都千代田区有楽町一丁目12番1号
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| 【出願日】 |
平成14年2月5日(2002.2.5) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−226814(P2003−226814A) |
| 【公開日】 |
平成15年8月15日(2003.8.15) |
| 【出願番号】 |
特願2002−28089(P2002−28089) |
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