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【発明の名称】 摺動部材用樹脂組成物および摺動部材
【発明者】 【氏名】平井 一夫
【住所又は居所】神奈川県藤沢市桐原町8番地 オイレス工業株式会社藤沢事業場内

【要約】 【課題】アルミニウム合金などの軟質金属を摺動相手材として使用した場合において、とくに優れた摩擦摩耗特性を発揮する摺動部材用樹脂組成物および摺動部材を提供することにある。

【解決手段】ポリエチレン樹脂0.5〜30重量%と炭化水素系ワックス1〜15重量%と燐酸塩0.1〜5重量%とフェノキシ樹脂3〜25重量%と残部ポリアミド樹脂からなる摺動部材用樹脂組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポリエチレン樹脂0.5〜30重量%と炭化水素系ワックス1〜15重量%と燐酸塩0.1〜5重量%とフェノキシ樹脂3〜25重量%と残部ポリアミド樹脂からなることを特徴とする摺動部材用樹脂組成物。
【請求項2】 ポリエチレン樹脂はポリアミド樹脂とのポリマーアロイからなる請求項1に記載の摺動部材用樹脂組成物。
【請求項3】 ポリエチレン樹脂とポリアミド樹脂とのポリマーアロイは、ポリエチレン樹脂20〜80重量%とポリアミド樹脂80〜20重量%とからなる請求項2に記載の摺動部材用樹脂組成物。
【請求項4】 炭化水素系ワックスは、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックスから選択される請求項1から3のいずれか一項に記載の摺動部材用樹脂組成物。
【請求項5】 燐酸塩は、燐酸三リチウム、燐酸水素リチウム、ピロ燐酸リチウム、燐酸三カルシウム、ピロ燐酸カルシウム、燐酸水素カルシウムおよびハイドロキシアパタイトから選択される請求項1から4のいずれか一項に記載の摺動部材用樹脂組成物。
【請求項6】 請求項1から5のいずれかに記載の摺動部材用樹脂組成物を成形してなることを特徴とする摺動部材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、摺動部材用樹脂組成物に関し、詳しくは、アルミニウム合金などの軟質金属を摺動相手材として使用した場合において、とくに優れた摩擦摩耗特性を発揮する摺動部材用樹脂組成物および摺動部材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂などの熱可塑性合成樹脂は、機械的強度、耐摩耗性に優れるため、軸受、歯車などの機械要素として広く使用されている。しかしながら、これらの合成樹脂は樹脂単独では充分な摩擦摩耗特性が得られないため、樹脂に黒鉛、二硫化モリブデン、四ふっ化エチレン樹脂などの固体潤滑剤、鉱油やロウなどの潤滑油剤を含有したり、ポリエチレン樹脂などの低摩擦性を有する他の合成樹脂の配合が不可欠である。
【0003】例えば、ポリエチレン樹脂を配合した樹脂組成物として、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエステル樹脂およびポリカーボネート樹脂から選ばれる熱可塑性樹脂70〜98重量%と、超高分子量ポリエチレン樹脂粉末2〜30重量%とを溶融混練してなる熱可塑性樹脂組成物が知られている(特公昭63−65232号公報)。
【0004】一方、合成樹脂製摺動部材に限らず、軸受などの摺動部材においては、相手材(例えば軸)の材質、表面性状なども優れた摩擦摩耗特性を得るためには重要な要素となる。近年の複写機などOA機器の発達にともない、軽量化が要求される機械装置、機器類においては、摺動相手材としてアルミニウム合金の使用が不可欠とされており、アルミニウム合金を相手材とした場合においても、良好な摩擦摩耗特性が要求される。
【0005】上述した特公昭63−65232号公報に開示された熱可塑性樹脂組成物からなる摺動部材は、アルミニウム合金を相手材とする摺動においては、摩擦係数が高く、摩耗量も大きいという問題があり、上記の要求を満たしているとは言い難いものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の実情に鑑みなされたもので、その目的は、アルミニウム合金などの軟質金属を相手材とする場合において、優れた摩擦摩耗特性を発揮する摺動部材用樹脂組成物および摺動部材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を達成するべく鋭意研究を重ねた結果、ポリアミド樹脂を主成分とし、これに一定割合のポリエチレン樹脂、炭化水素系ワックス、燐酸塩およびフェノキシ樹脂を配合した樹脂組成物からなる摺動部材が、上記目的を達成し得るとの知見を得た。
【0008】本発明は上記知見に基づき完成されたものであり、その第一の要旨は、ポリエチレン樹脂0.5〜30重量%と炭化水素系ワックス1〜15重量%と燐酸塩0.1〜5重量%とフェノキシ樹脂3〜25重量%と残部ポリアミド樹脂からなる摺動部材用樹脂組成物に存する。
【0009】本発明の第二の要旨は、上記の摺動部材用樹脂組成物を成形してなる摺動部材に存する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を説明する。先ず、摺動部材用樹脂組成物について説明する。本発明においては、主成分としてポリアミド樹脂を使用し、配合成分としてポリエチレン樹脂、炭化水素系ワックス、燐酸塩およびフェノキシ樹脂を使用する。
【0011】主成分をなすポリアミド樹脂は、脂肪族ポリアミド樹脂であり、具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12等が挙げられる。
【0012】ポリエチレン樹脂としては、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂が挙げられる。また、超高分子量ポリエチレン樹脂、超高分子量ポリエチレン成分と低分子量ポリエチレン成分とからなる高分子量ポリエチレン樹脂も使用できる。
【0013】また、エチレンと少量の他のα−オレフィン、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等との共重合体も使用できる。さらに、前記エチレン単独重合体または共重合体が、不飽和カルボン酸、その誘導体またはビニル系重合体などにより変性されたポリエチレン樹脂も使用できる。変性ポリエチレン樹脂は、ポリアミド樹脂との親和性を向上させる。
【0014】上記の不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、エンドシス−ビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸(ナジック酸)等が挙げられる。また、不飽和カルボン酸の誘導体としては、塩化マレニル、マレイミド、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、グリシジルメタクリレート、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエート等が挙げられる。これらの不飽和カルボン酸またはその誘導体は、単独でまたは組合わせて使用される。とくに、不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物が好ましく、マレイン酸、ナジック酸またはこれらの酸無水物がより好ましい。
【0015】ポリエチレン樹脂をカルボン酸またはその誘導体で変性する方法としては、不飽和カルボン酸またはその誘導体から選ばれるグラフトモノマーをポリエチレン樹脂にグラフト重合する方法が挙げられる。グラフト重合する方法としては、従来公知の方法が採用できる。例えば、ポリエチレン樹脂を溶融し、グラフトモノマーを添加してグラフト重合する方法あるいはポリエチレン樹脂を溶媒に溶解し、グラフトモノマーを添加してグラフト重合する方法である。このとき、ラジカル開始剤を併用するのが好ましい。グラフトモノマーの添加割合としては、ポリエチレン樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部が好ましい。
【0016】ビニル系重合体としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−スチレン共重合体などが挙げられる。
【0017】ポリエチレン樹脂をビニル系重合体で変性する方法としては、ポリエチレン樹脂の懸濁水溶液に、スチレン等のビニル単量体、ベンゾイルペルオキシド等のラジカル重合開始剤およびt−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート等の有機過酸化物含有ビニルモノマーからなる溶液を添加して、ラジカル重合開始剤、有機過酸化物含有ビニルモノマーおよびビニル単量体をポリエチレン樹脂に含浸させた後、ポリエチレン樹脂中でビニル単量体と有機過酸化物含有ビニルモノマーとを重合して有機ペルオキシド基含有ビニル系重合体を生成し、得られた樹脂組成物を、または、この樹脂組成物にポリエチレン樹脂を加えたものを溶融混練することによって、ビニル系重合体がグラフトしたポリエチレン樹脂を得る方法が挙げられる。ビニル系重合体で変性されたポリエチレン樹脂中のビニル系重合体の含有割合は、10〜60重量%が好ましい。
【0018】上記のようなビニル系共重合体がグラフトしたポリエチレン樹脂の市販品としては、日本油脂製の「モディパー(商品名)」が挙げられる。
【0019】主成分をなすポリアミド樹脂に、上記ポリエチレン樹脂を配合することにより、前述した炭化水素系ワックスの配合量を増加させることが可能となるとともに成形性を向上させる。また、摺動部材の摩擦係数を低下させ、相手材に対するアタック性を緩和し、かつなじみ性を向上させる。ポリエチレン樹脂の配合量は通常0.5〜30重量%、好ましくは5〜25重量%、さらに好ましくは10〜20重量%である。ポリエチレン樹脂の配合量が0.5重量%未満の場合は、上記した効果が発揮されず、また配合量が30重量%を超える場合は、耐摩耗性を低下させるとともに摺動部材としての強度を低下させる。
【0020】本発明で使用する炭化水素系ワックスとしては、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックスを使用することができる。
【0021】これらの炭化水素系ワックスは、摺動部材の低摩擦性に寄与するとともに相手材の損傷を著しく低減させるものである。炭化水素系ワックスの配合量は通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%、さらに好ましくは5〜7重量%である。炭化水素系ワックスの配合量が1重量%未満の場合は、低摩擦性に充分寄与せず、また配合量が15重量%を超えると摺動部材としての強度を低下させるばかりでなく、前記したポリエチレン樹脂の効果を減殺させる。
【0022】本発明で使用する燐酸塩としては、第三燐酸金属塩、第二燐酸金属塩、ピロ燐酸金属塩、亜燐酸金属塩、メタ燐酸金属塩などの金属燐酸塩およびそれらの混合物が挙げられる。この中でも、第三燐酸金属塩、第二燐酸金属塩およびピロ燐酸金属塩が好ましい。金属としてはアルカリ金属、アルカリ土類金属および遷移金属が使用され、中でもアルカリ金属およびアルカリ土類金属が好ましく、とくにリチウム、カルシウム、マグネシウムおよびバリウムが好ましい。
【0023】具体的には、燐酸三リチウム(LiPO)、燐酸水素リチウム(LiHPO)、ピロ燐酸リチウム(Li)、燐酸三カルシウム〔Ca(PO〕、ピロ燐酸カルシウム(Ca)および燐酸水素カルシウム〔CaHPO(・2HO)〕が燐酸塩として最も好ましいものである。
【0024】燐酸塩はそれ自体、黒鉛、二硫化モリブデンのような潤滑性を示す物質ではないが、上述した主成分をなすポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂および炭化水素系ワックスに配合されることにより、相手材との摺動において相手材の表面にこれらの潤滑被膜の造膜性を助長する効果を発揮する。この燐酸塩による効果は、乾燥摩擦潤滑下で使用される摺動部材に必要とされる要件である。燐酸塩は、上述した主成分をなすポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂および炭化水素系ワックスに対し少量の配合量、例えば、0.1重量%の配合量で前記した潤滑被膜の造膜性を助長する効果が現れはじめ、5重量%の配合量まで当該造膜性の効果は維持される。しかし、配合量が5重量%を超えると、相手材の表面への潤滑被膜の造膜量が多くなりすぎ、却って耐摩耗性を低下させる。したがって、燐酸塩の配合量は、0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜3重量%である。
【0025】本発明で使用するフェノキシ樹脂は、ビスフェノールAとエピクロールヒドリンの縮合によって得られる線状ポリマーで、次の構造式を有している。
【0026】
【化1】

【0027】このフェノキシ樹脂は、上記ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、炭化水素系ワックスおよび燐酸塩に所定の割合で配合されることにより、摺動部材の耐摩耗性を向上させる。そして、その配合量は3〜25重量%、好ましくは5〜20重量%が適当である。このフェノキシ樹脂の配合量が3重量%未満では、摺動部材の耐摩耗性の向上に充分な効果が得られず、また25重量%を超えて配合すると、相手材との摺動において相手材表面を損傷させる虞があるのと、摺動部材としての機械的強度を低下させる。
【0028】本発明では低摩擦性のさらなる向上を目的として、上述したポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、炭化水素系ワックス、燐酸塩およびフェノキシ樹脂からなる組成物に対し、潤滑油、固体潤滑剤、高級脂肪酸などの潤滑油剤を配合することができる。潤滑油としては、エンジン油、マシン油などの鉱油、ヒマシ油などの植物油、エステル油、シリコーン油などの合成油を、また固体潤滑剤としては、黒鉛、窒化ホウ素、四ふっ化エチレン樹脂などを、高級脂肪酸としては、おおむね炭素数が14以上の飽和脂肪酸、例えばミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、モンタン酸など、そしておおむね炭素数が18以上の不飽和脂肪酸、例えばオクタデカン酸、パリナリン酸などを挙げることができる。これら潤滑油剤の配合量としては、1〜10重量%である。
【0029】上述した成分組成からなる樹脂組成物において、ポリエチレン樹脂はポリアミド樹脂とのポリマーアロイの形態が好ましい。このポリマーアロイとしては、ポリエチレン樹脂20〜80重量%とポリアミド樹脂80〜20重量%からなる。
【0030】本発明の摺動部材用樹脂組成物は、定法に従い、上述の各成分の所定量をヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、ボールミル、タンブラーミキサー等の混合機によって混合することによって得られる。また、上記のポリマーアロイは各成分を所定の割合で溶融混練して得ることができる。
【0031】つぎに、本発明の摺動部材について説明する。本発明の摺動部材は、前述の摺動部材用樹脂組成物を成形して得られる。摺動部材用樹脂組成物の成形は、直接に射出成形機または押出成形機により成形する方法、摺動部材用樹脂組成物から得られたペレットを射出成形機または押出成形機により成形する方法のいずれであってもよい。
【0032】本発明の摺動部材は、アルミニウム合金などの軟質金属を摺動相手材とした場合において、とくに摩擦摩耗特性に優れ、事務・情報機器、電装機器、家電機器などのすべり軸受、すべり軸受装置、シール材などの摺動接触する摺動部材として使用される。
【0033】以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。実施例および比較例で使用したポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂およびフェノキシ樹脂を下記表1に示す。
【0034】
【表1】<ポリアミド樹脂>A−1:ナイロン6〔宇部興産社製「宇部ナイロンP1011F(商品名)」〕
A−2:ナイロン66〔東レ社製「アミランCM3001N(商品名)」〕
<ポリエチレン樹脂>B−1:無水マレイン酸をグラフトさせた変性ポリエチレン樹脂〔三井化学社製高分子量ポリエチレン樹脂「リュブマーL5000(商品名)」100重量部、無水マレイン酸1重量部、ベンゾイルペルオキシド0.1重量部を混合し、押出機で溶融混練して得た。〕
B−2:高密度ポリエチレン樹脂〔三井化学社製「ハイゼックス2100JP(商品名)」〕
B−3:低密度ポリエチレン樹脂にポリスチレンをグラフトさせた変性ポリエチレン樹脂(低密度ポリエチレン70重量%/ポリスチレン30重量%)〔日本油脂社製「モディパーA1100(商品名)」〕
<フェノキシ樹脂>東都化成社製「フェノトートYP−50P(商品名)」
【0035】実施例1〜3ポリアミド樹脂(A−1)64〜79重量%、変性ポリエチレン樹脂(B−1)10重量%、炭化水素系ワックスとしてポリエチレンワックス5重量%、燐酸塩として燐酸三リチウム1重量%およびフェノキシ樹脂■5重量%、■10重量%、■20重量%を混合して3種類の混合物を作製した後、この3種類の混合物をそれぞれ押出機で溶融混練して3種類のペレットを作製した。次いで、この3種類のペレットをそれぞれ射出成形機のホッパーに投入し、成形して内径10mm、外径14mm、長さ10mmの3種類の円筒状試験片(摺動部材)を作製した。
【0036】実施例4〜6ポリアミド樹脂(A−2)64〜79重量%、変性ポリエチレン樹脂(B−1)10重量%、炭化水素系ワックスとしてパラフィンワックス5重量%、燐酸塩としてピロ燐酸カルシウム1重量%およびフェノキシ樹脂■5重量%、■10重量%、■20重量%を混合して3種類の混合物を作製した後、この3種類の混合物をそれぞれ押出機で溶融混練して3種類のペレットを作製した。次いで、この3種類のペレットをそれぞれ射出成形機のホッパーに投入し、成形して内径10mm、外径14mm、長さ10mmの3種類の円筒状試験片(摺動部材)を作製した。
【0037】実施例7〜8ポリアミド樹脂(A−1)69重量%、変性ポリエチレン樹脂(B−1)10重量%、炭化水素系ワックスとしてポリエチレンワックス5重量%、燐酸塩として燐酸三リチウム1重量%、フェノキシ樹脂10重量%および潤滑油剤として■四ふっ化エチレン樹脂〔ダイキン工業社製「ルブロンL−5(商品名)」〕5重量%、■モンタン酸5重量%、を混合して2種類の混合物を作製した後、この2種類の混合物をそれぞれ押出機で溶融混練して2種類のペレットを作製した。次いで、この2種類のペレットをそれぞれ射出成形機のホッパーに投入し、成形して内径10mm、外径14mm、長さ10mmの3種類の円筒状試験片(摺動部材)を作製した。
【0038】実施例9ポリアミド樹脂(A−1)80重量部および変性ポリエチレン樹脂(B−1)20重量部を押出機で溶融混練して、ポリアミド樹脂80重量%、ポリエチレン樹脂20重量%からなるペレットを作製した(以下「ポリマーアロイA」という。)。次いで、ポリアミド樹脂(A−1)37重量%、得られたポリマーアロイ50重量%、炭化水素系ワックスとしてポリエチレンワックス7重量%、燐酸塩として燐酸三リチウム1重量%およびフェノキシ樹脂5重量%を混合して混合物を作製した後、この混合物を押出機で溶融混練し、ポリアミド樹脂77重量%、ポリエチレン樹脂10重量%、ポリエチレンワックス7重量%、燐酸三リチウム1重量%およびフェノキシ樹脂5重量%からなるペレットを作製した。次いで、このペレットを射出成形機のホッパーに投入し、成形して内径10mm、外径14mm、長さ10mmの円筒状試験片(摺動部材)を作製した。
【0039】実施例10ポリアミド樹脂(A−1)粉末32重量%、ポリマーアロイA50重量%、炭化水素系ワックスとしてポリエチレンワックス7重量%、燐酸塩として燐酸三リチウム1重量%およびフェノキシ樹脂10重量%を混合して混合物を作製した後、この混合物を押出機で溶融混練し、ポリアミド樹脂72重量%、ポリエチレン樹脂10重量%、ポリエチレンワックス7重量%、燐酸三リチウム1重量%およびフェノキシ樹脂10重量%からなるペレットを作製した。次いで、このペレットを射出成形機のホッパーに投入し、成形して内径10mm、外径14mm、長さ10mmの円筒状試験片(摺動部材)を作製した。
【0040】実施例11ポリアミド樹脂(A−1)22重量%、ポリマーアロイA50重量%、炭化水素系ワックスとしてポリエチレンワックス7重量%、燐酸塩として燐酸三リチウム1重量%およびフェノキシ樹脂20重量%を混合して混合物を作製した後、この混合物を押出機で溶融混練し、ポリアミド樹脂62重量%、ポリエチレン樹脂10重量%、ポリエチレンワックス7重量%、燐酸三リチウム1重量%およびフェノキシ樹脂20重量%からなるペレットを作製した。次いで、このペレットを射出成形機のホッパーに投入し、成形して内径10mm、外径14mm、長さ10mmの円筒状試験片(摺動部材)を作製した。
【0041】実施例12ポリアミド樹脂(A−2)79重量%、ポリエチレン樹脂(B−2)5重量%、炭化水素系ワックスとしてパラフィンワックス5重量%、燐酸塩として燐酸三リチウム1重量%およびフェノキシ樹脂10重量%を混合して混合物を作製した後、この混合物を押出機で溶融混練してペレットを作製した。次いで、このペレットを射出成形機のホッパーに投入し、成形して内径10mm、外径14mm、長さ10mmの円筒状試験片(摺動部材)を作製した。
【0042】実施例13ポリアミド樹脂(A−1)72重量%、変性ポリエチレン樹脂(B−3)10重量%、炭化水素系ワックスとしてマイクロクリスタリンワックス7重量%、燐酸塩として燐酸三リチウム1重量%およびフェノキシ樹脂10重量%を混合して混合物を作製した後、この混合物を押出機で溶融混練してペレットを作製した。次いで、このペレットを射出成形機のホッパーに投入し、成形して内径10mm、外径14mm、長さ10mmの円筒状試験片(摺動部材)を作製した。
【0043】実施例14ポリアミド樹脂(A−1)32重量%、ポリマーアロイA50重量%、炭化水素系ワックスとしてマイクロクリスタリンワックス7重量%、燐酸塩として燐酸三リチウム1重量%、フェノキシ樹脂5重量%および潤滑油剤としてモンタン酸5重量%、を混合して混合物を作製した後、この混合物を押出機で溶融混練し、ポリアミド樹脂72重量%、ポリエチレン樹脂10重量%、マイクロクリスタリンワックス7重量%、燐酸三リチウム1重量%、フェノキシ樹脂5重量%およびモンタン酸5重量%からなるペレット、をそれぞれ作製した。次いで、これらのペレットをそれぞれ射出成形機のホッパーに投入し、成形して内径10mm、外径14mm、長さ10mmの円筒状試験片(摺動部材)を作製した。
【0044】比較例1ポリマーアロイAを成形して内径内径10mm、外径14mm、長さ10mmの円筒状試験片(摺動部材)を作製した。
【0045】比較例2ポリアミド樹脂(A−1)粉末95重量%、ポリエチレンワックス5重量%を混合して混合物を作製した後、この混合物を押出機で溶融混練してペレットを作製した。次いで、このペレットを射出成形機のホッパーに投入し、成形して内径10mm、外径14mm、長さ10mmの円筒状試験片(摺動部材)を作製した。
【0046】上述した実施例1〜14および比較例1〜2で作製した円筒状試験片について、表2に示す試験条件でジャーナル試験を行なった。その試験結果を表3〜8に示す。摩擦係数については、試験開始から安定時に移行した段階での摩擦係数を示し、摩耗量については、試験終了後の円筒状試験片(摺動部材)の寸法変化量で示した。また、試験後の相手材表面の損傷度の評価を、損傷が認められないものを○印にて、損傷が認められるものを×印にて表示した。
【0047】
【表2】<ジャーナル試験>すべり速度 20m/min荷重 5kgf相手材 アルミニウム合金(A5052)
試験時間 24hr潤滑 無潤滑(以下余白)
【0048】
【表3】

(以下余白)
【0049】
【表4】

(以下余白)
【0050】
【表5】

(以下余白)
【0051】
【表6】

(以下余白)
【0052】
【表7】

(以下余白)
【0053】
【表8】

【0054】以上の結果から、本発明のポリエチレン樹脂と炭化水素系ワックスと燐酸塩とフェノキシ樹脂と残部ポリアミド樹脂からなる樹脂組成物を成形してなる摺動部材はいずれも良好な摩擦摩耗特性を示した。また、試験後の相手材表面には何らの損傷も認められなかった。一方、比較例1の樹脂組成物を成形してなる摺動部材は、摩擦係数が高く、摩耗量も多く、摩擦摩耗特性に劣るものであり、相手材表面に引掻き傷のような損傷(摩耗痕)が認められ、本発明の目的を達成するものではなかった。さらに、比較例2の樹脂組成物を成形してなる摺動部材は、相手材との摺動において、相手材表面に損傷等を与えることなく低い摩擦係数を示したが、摩耗量が多く本発明の目的を達成するものではなかった。
【0055】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、アルミニウム合金などの軟質金属を相手材とした場合において、優れた摩擦摩耗特性を発揮する摺動部材用樹脂組成物および摺動部材が提供される。
【出願人】 【識別番号】000103644
【氏名又は名称】オイレス工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区芝大門1丁目3番2号
【出願日】 平成14年2月4日(2002.2.4)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−226808(P2003−226808A)
【公開日】 平成15年8月15日(2003.8.15)
【出願番号】 特願2002−26919(P2002−26919)