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【発明の名称】 ポリ乳酸複合材料及び成形体
【発明者】 【氏名】岡本 浩孝
【住所又は居所】愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番地の1 株式会社豊田中央研究所内

【氏名】中野 充
【住所又は居所】愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番地の1 株式会社豊田中央研究所内

【氏名】臼杵 有光
【住所又は居所】愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番地の1 株式会社豊田中央研究所内

【氏名】竹内 久人
【住所又は居所】愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番地の1 株式会社豊田中央研究所内

【要約】 【課題】結晶化速度が十分に速く、耐熱性、成形性及び離型性に優れたポリ乳酸複合材料を提供すること。

【解決手段】ポリ乳酸と、アミド基を有する低分子化合物と、有機オニウム塩で有機化された層状粘土鉱物とを含有することを特徴とするポリ乳酸複合材料
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポリ乳酸と、アミド基を有する低分子化合物と、有機オニウム塩で有機化された層状粘土鉱物とを含有するポリ乳酸複合材料。
【請求項2】 前記低分子化合物の分子量が1,000以下である請求項1に記載のポリ乳酸複合材料。
【請求項3】 前記低分子化合物が、ヒドロキシアミド及び/又はビスアミドである請求項1又は2に記載のポリ乳酸複合材料。
【請求項4】 前記有機オニウム塩が水酸基を有する請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のポリ乳酸複合材料。
【請求項5】 請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載のポリ乳酸複合材料を成形して得られる成形体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリ乳酸複合材料及びそれを用いた成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリ乳酸は、微生物や酵素の働きにより分解する性質、いわゆる生分解性を示し、その分解生成物は人体に無害な乳酸と二酸化炭素と水になることから、医療用材料や汎用樹脂の代替物として注目されている。
【0003】ポリ乳酸は結晶性樹脂であるが、その結晶化速度は遅く、実際には非晶性樹脂に近い挙動を示す。すなわち、ガラス転移温度付近で急激に且つ極度に軟化するため(通常、弾性率1/100未満)、耐熱性、成形性、離型性などの点で十分な特性を得ることができない。
【0004】そこで、かかる問題点を改善すべく、ポリ乳酸の結晶化速度を向上させるための様々な方法が提案されている。例えば特開平9−277991号公報には、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステルに脂肪族カルボン酸アミドなどの透明核剤を添加することによって、透明性及び結晶性を併有する成形体が得られることが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特開平9−277991号公報記載の方法の場合、脂肪族カルボン酸アミドなどの添加による結晶化速度の向上は認められるもののその効果は十分ではなく、このため十分な結晶化度を有する成形体を得るためには成形後に熱処理する必要がある。また、結晶化度が低いため、例えば射出成形の際に金型内での結晶固化が不十分となりやすく、その結果、十分な離型性が得られず、さらには離型時に成形体が変形しやすくなるなどの欠点がある。
【0006】一方、特開2000−256087号公報には、ポリ乳酸等の乳酸系ポリエステルと膨潤性無機フィラーとを含む皮膜材料を用いて肥料の溶出速度を制御した徐放性肥料が開示されているが、かかる皮膜材料であっても耐熱性、成形性、離型性の点では不十分である。
【0007】本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、結晶化速度が十分に速く、耐熱性、成形性及び離型性に優れたポリ乳酸複合材料及びそれを用いた成形体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、アミド基を有する低分子化合物と有機オニウム塩で有機化された層状粘土鉱物との双方をポリ乳酸に添加した場合に、当該低分子化合物又は層状粘土鉱物の一方のみを添加した場合に比べて結晶化速度が飛躍的に向上することを見出し、耐熱性、成形性及び離型性に優れる本発明のポリ乳酸複合材料を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明のポリ乳酸複合材料は、ポリ乳酸と、アミド基を有する低分子化合物と、有機オニウム塩で有機化された層状粘土鉱物とを含有するものである。
【0010】また、本発明の成形体は、上記本発明のポリ乳酸複合材料を用いて得られるものである。
【0011】本発明では、アミド基を有する低分子化合物及び有機オニウム塩で有機化された層状粘土鉱物のそれぞれとポリ乳酸との間の高い化学的親和性により、当該低分子化合物又は層状粘土鉱物の近傍に存在するポリ乳酸が溶融状態から冷却されると速やかに結晶状態となって多数の結晶核を生成する。また、層状粘土鉱物とアミド基を有する低分子化合物との共存により、当該結晶核の周囲にポリ乳酸分子が速やかに凝集して結晶成長が促進されるという可塑剤的作用も得られる。従って、結晶核の生成及び結晶成長の促進における当該低分子化合物と層状粘土鉱物との相乗効果により、ポリ乳酸の結晶化速度が十分に高められるので、耐熱性、成形性、離型性に優れたポリ乳酸複合材料が実現される。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0013】本発明にかかるポリ乳酸は、下記一般式(1):【化1】

(式中、nは整数を表す)で表される繰り返し単位を有するポリマーである。当該ポリ乳酸の平均分子量は特に制限されないが、好ましくは10,000以上であり、より好ましくは50,000以上であり、さらに好ましくは100,000以上である。ポリ乳酸の平均分子量が前記下限値未満であると、強度、弾性率等の機械物性が不十分となる傾向にある。また、ポリ乳酸の平均分子量は、成形時の流動性の点から400,000以下であることが好ましい。
【0014】ポリ乳酸の重合方法は特に制限されず、D−乳酸、L−乳酸の直接重合でもよく、乳酸の環状2量体であるD−ラクチド、L−ラクチド、meso−ラクチドの開環重合であってもよい。また、ポリ乳酸が上記D−体原料とL−体原料との共重合体である場合、D−体原料又はL−体原料のうちの一方の含有割合が90mol%以上であることが好ましく、98mol%以上であることがより好ましく、99mol%以上であることがさらに好ましい。D−体又はL−体のうちの双方が90mol%未満であると、立体規則性の低下により結晶化が阻害され、本発明により得られる効果が十分に発現しない傾向にある。
【0015】このようにして得られるポリ乳酸は光学異性を示すが、当該ポリ乳酸はD−体、L−体、DL−体のいずれであってもよい。また、構成成分の主体がD−体であるポリ乳酸と、構成成分の主体がL−体であるポリ乳酸とが任意の割合でブレンドされたものを用いてもよい。
【0016】さらに、本発明にかかるポリ乳酸においては、乳酸又はラクチドに加えて、グリコリド、カプロラクトン等の他の重合性単量体を更に重合させて共重合体としてもよい。また、当該他の重合性単量体の単独重合により得られるポリマーをポリ乳酸とブレンドしてもよい。なお、当該他の重合性単量体に由来する重合鎖がポリマー全量に占める割合は、モノマー換算で50mol%以下であることが好ましい。
【0017】本発明においては、アミド基を有する低分子化合物と有機オニウム塩で有機化された層状粘土鉱物とが上記のポリ乳酸中に分散される。これにより、ポリ乳酸の結晶核の生成及び結晶成長の促進における相乗効果が得られ、ポリ乳酸の結晶化速度を十分に向上することができる。
【0018】アミド基を有する低分子化合物としては、脂肪族モノカルボン酸アミド、N−置換脂肪族モノカルボン酸アミド、脂肪族ビスカルボン酸アミド、N−置換脂肪族カルボン酸ビスアミド、N−置換尿素類などの脂肪族カルボン酸アミドや、芳香族カルボン酸アミド、あるいは水酸基をさらに有するヒドロキシアミドなどが挙げられ、これらの化合物が有するアミド基は1個でも2個以上でもよい。これらの中でも、ビスアミドは結晶化速度をより向上させることができる点で好ましく、また、ヒドロキシアミドはポリ乳酸中での安定性に優れ、耐熱性をさらに高めることができる点で好ましい。さらに、ビスヒドロキシアミドは、ビスアミド及びヒドロキシアミドを用いた場合に得られるそれぞれの効果を同時に得ることができる点で特に好ましい。
【0019】アミド基を有する低分子化合物の具体例としては、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、リシノール酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、乳酸アミド、N−オレイルパルミチン酸アミド、N−オレイルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチロールベヘニン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスベヘニン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、メチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ブチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘニン酸アミド、m−キシリレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’−ジステアリルセバシン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミド、N,N’−ジステアリルテレフタル酸アミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸モノエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ポリオキシエチレンオレイン酸アミド、N−ブチル−N’−ステアリル尿素、N−プロピル−N’−ステアリル尿素、N−ステアリル−N’−ステアリル尿素、N−フェニル−N’−ステアリル尿素、キシレンビスステアリル尿素、トルイレンビスステアリル尿素、ヘキサメチレンビスステアリル尿素、ジフェニルメタンビスステアリル尿素、ジフェニルメタンビスラウリル尿素などを例示することができる。これらの中でも、乳酸アミド、エチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、メチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、m−キシリレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸モノエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ポリオキシエチレンオレイン酸アミドが特に好ましい。
【0020】また、アミド基を有する低分子化合物の分子量は、好ましくは1,000以下であり、より好ましくは100〜900である。当該低分子化合物の分子量が1,000を超えると、ポリ乳酸との相容性が低下して、分散性が低下したり成形体からブリードアウトしたりする傾向にある。
【0021】また、アミド基を有する低分子化合物の融点は、好ましくは20〜230℃である。当該低分子化合物の融点が20℃未満であると成形体からブリードアウトして成形体の外観が損なわれる傾向にあり、他方、230℃を超えると一般的な成形加工条件では溶融させにくいため、成形加工性が低下する傾向にある。
【0022】本発明のポリ乳酸複合材料において、アミド基を有する低分子化合物の含有量は、ポリ乳酸100重量部に対して0.01〜20重量部であることが好ましく、0.1〜10重量部であることがより好ましい。アミド基を有する低分子化合物の含有量が前記下限値未満であると、剛性及び結晶化速度の向上の程度が不十分となる傾向にあり、他方、前記上限値を超える場合には、可塑剤的作用が過剰に強く発現するようになるため、剛性が低下する恐れがある。
【0023】また、本発明にかかる層状粘土鉱物としては特に制限されないが、具体的には、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト族;カオリナイト、ハロサイト等のカオリナイト族;ジオクタヘドラルバーミキュライト、トリオクタヘドラルバーミキュライト等のバーミキュライト族;テニオライト、テトラシリシックマイカ、マスコバイト、イライト、セリサイト、フロゴバイト、バイオタイト等のマイカ等が挙げられる。これらの層状粘土鉱物は、天然鉱物であってもよく、水熱合成、溶融法、固相法等による合成鉱物であってもよい。また、本発明では、上記の層状粘土鉱物のうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、層状粘土鉱物の陽イオン交換容量は30〜300meq/100gであることが好ましい。
【0024】また、有機オニウム塩は、層状粘土鉱物を有機化してその層間距離を広げるものであり、これによりポリ乳酸、アミド基を有する低分子化合物及び層状粘土鉱物の分散均一性を高めることができる。なお、本発明において有機化とは、有機物を層状粘土鉱物の層間及び/又は表面に物理的、化学的方法(好ましくは化学的方法)により吸着及び/又は結合させることを意味する。
【0025】かかる有機オニウム塩としては、具体的には、有機アンモニウム塩、有機ホスホニウム塩、有機ピリジニウム塩、有機スルホニウム塩等が挙げられる。例えば本発明で用いられる有機アンモニウム塩はNR4+-[4個のRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又はアルキル基を表し、X-はカウンターイオンを表す]で表される。ここで、有機オニウム塩の炭素数(4個のRの炭素数の総和)は6以上であることが好ましい。当該有機オニウム塩の炭素数が6未満であると、層状粘土鉱物の層間距離が十分に広げられず、層状粘土鉱物をポリ乳酸中に均一に分散することが困難となる傾向にある。また、Rがアルキル基の場合、当該アルキル基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては水酸基が好ましい。さらに、X-で表されるカウンターイオンとしては、例えばCl-、Br-などのハロゲンイオンが挙げられる。
【0026】NR4+で表される有機アンモニウムイオンの特に好ましい例として、下記一般式(2)又は(3)で表されるものを挙げることができ、これらは1種を単独で用いてもよく、両者を併用してもよい。
【化2】

[式中、R1、R2及びR3は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又はアルキル基を表し、lは6〜22の整数を表す。]
【化3】

[式中、R4及びR5は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又はアルキル基を表し、R4とR5との合計の炭素数は6以上であり、m及びnは同一でも異なっていてもよく、1〜20の整数を表す。]
【0027】上記一般式(2)中、R1、R2又はR3は水素原子又はアルキル基を表す。かかるアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基)、直鎖又は分岐鎖状のペンチル基、直鎖又は分岐鎖状のヘキシル基、直鎖又は分岐鎖状のヘプチル基、直鎖又は分岐鎖状のオクチル基、直鎖又は分岐鎖状のノニル基、直鎖又は分岐鎖状のデシル基、直鎖又は分岐鎖状のウンデシル基、直鎖又は分岐鎖状のドデシル基、直鎖又は分岐鎖状のトリデシル基、直鎖又は分岐鎖状のテトラデシル基、直鎖又は分岐鎖状のペンタデシル基、直鎖又は分岐鎖状のオクタデシル基等が挙げられるが、当該アルキル基の炭素数は1〜4であることが好ましい。アルキル基の炭素数が前記上限値を超えると有機オニウム塩の合成が困難となる傾向にある。
【0028】また、上記一般式(2)中、lはメチレン基(−CH2−)の重合度を表し、6〜22、好ましくは8〜18の整数である。lが6未満の場合、層状粘土鉱物の層間距離が十分に広がらず、ポリ乳酸、アミド基を有する低分子化合物及び層状粘土鉱物の分散均一性が低下する傾向にある。他方、lが22を越えると、有機オニウム塩の合成が困難となる傾向にある。
【0029】また、上記一般式(3)中、R4及びR5は水素原子又はアルキル基を表す。かかるアルキル基としては、一般式(2)中のR1、R2及びR3の説明において例示されたアルキル基が挙げられる。
【0030】一般式(3)中のR4及びR5は同一でも異なっていてもよいが、それらの合計の炭素数は、6以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましい。R4とR5との合計の炭素数が6未満であると、層状粘土鉱物の層間距離が十分に広がらず、ポリ乳酸、アミド基を有する低分子化合物及び層状粘土鉱物の分散均一性が低下する傾向にある。例えばR4が水素原子でR5がドデシル基である化合物、R4がメチル基でR5がオクタデシル基である化合物、R4及びR5がオクタデシル基である化合物は、上記の条件を満たす化合物として好ましく用いられる。
【0031】また、上記一般式(3)中、m及びnはオキシエチレン基(−CH2CH2O−)の重合度を表し、1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5の整数であり、特に好ましくは1である。m又はnが20を越えると、層状粘土鉱物の親水性が過剰に高くなり、調整が困難となる傾向にある。なお、m及びnは同一でも異なっていてもよい。
【0032】また、本発明では、上記一般式(2)又は(3)中のN(窒素原子)がP(リン原子)で置換された有機ホスホニウム塩を用いることもできる。
【0033】本発明では、水酸基を有する有機オニウム塩と水酸基を有さない有機オニウム塩とを併用することも可能であるが、この場合、水酸基を有する有機オニウム塩の配合割合は、有機オニウム塩全量を基準として5mol%以上であることが好ましく、10mol%以上であることがより好ましく、15mol%以上であることが更に好ましい。水酸基を有する有機オニウム塩の配合割合が5mol%未満であると、ポリ乳酸又はその重合性単量体(乳酸、ラクチド)との親和性が不十分となり、これらが層状化合物の層間に安定的に保持されにくくなる傾向にある。
【0034】また、有機オニウム塩の含有量は、層状粘土鉱物100重量部に対して10〜150重量部であることが好ましく、20〜100重量部であることがより好ましい。当該有機オニウム塩の含有量が前記下限値未満であると、層状粘土鉱物の層間距離が十分に広げられず、ポリ乳酸、アミド基を有する低分子化合物及び層状粘土鉱物の分散均一性が低下する傾向にあり、他方、前記上限値を超える場合には物理吸着によって導入される有機オニウム塩の量が増加してポリ乳酸複合材料の物性が損なわれる(例えば可塑化)傾向にある。
【0035】また、有機オニウム塩で有機化された層状粘土鉱物の層間距離は、各層の重心間の平均距離を基準として2.9nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましい。層状化合物の層間距離が2.9nm未満であると、ポリ乳酸、アミド基を有する低分子化合物及び層状粘土鉱物の分散均一性が低下し、結晶化促進効果が低下する傾向にある。
【0036】本発明のポリ乳酸複合材料において、ポリ乳酸と有機化された層状粘土鉱物との含有比率は、前者100重量部に対して後者が好ましくは0.01〜20重量部であり、より好ましくは0.05〜10重量部である。層状粘土鉱物の含有量が前記下限値未満であると、剛性及び結晶化速度の向上の程度が不十分となる傾向にあり、他方、前記上限値を超える場合には、ポリ乳酸が脆化し、衝撃強度が著しく低下する恐れがある。
【0037】なお、本発明のポリ乳酸複合材料においては、その効果を阻害しない範囲で、各種無機又は有機充填剤(特に好ましくはタルク、シリカ、炭酸カルシウムなど)、酸化防止剤、光安定剤、体熱・耐温安定剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤等の添加剤を添加してもよい。
【0038】次に、本発明のポリ乳酸複合材料の製造方法について説明する。
【0039】本発明にかかる第1の製造方法は、有機オニウム塩で層状粘土鉱物を有機化する有機化工程と、有機化工程で得られる層状粘土鉱物とポリ乳酸とアミド基を有する低分子化合物とを溶融混練する溶融混練工程とを含むものである。これにより、ポリ乳酸、アミド基を有する低分子化合物及び有機オニウム塩で有機化された層状粘土鉱物が十分に均一に混合されるので、耐熱性、成形性及び離型性に優れた本発明のポリ乳酸複合材料を容易に且つ確実に得ることができる。
【0040】有機化工程は、例えば本出願人により特許第2627194号公報に開示されている方法により行うことができる。すなわち、層状粘土鉱物中の無機イオンを、有機オニウム塩から生じる有機オニウムイオン(例えば有機アンモニウム塩においては有機アンモニウムイオン)によりイオン交換することによって、層状粘土鉱物の有機化を行うことができる。
【0041】より具体的には、例えば有機アンモニウム塩を用いる場合には、次のような方法により有機化を行うことができる。すなわち、塊状の層状粘土鉱物を用いる場合は、先ずこれをボールミル等により粉砕し粉体化する。次いで、ミキサー等を用いてこの粉体を水中に分散させ層状粘土鉱物の水分散物を得る。これとは別に、水酸基を有する有機アミン及び塩酸等の酸を水に加えて、水酸基を有する有機アンモニウム塩の水溶液を調整する。この水溶液を上記層状粘土鉱物の水分散物に加え混同することにより、層状粘土鉱物中の無機イオンが有機アンモニウム塩から生じた有機アンモニウムイオンによりイオン交換される。この混合物から水を除去することにより有機化された層状粘土鉱物を得ることができる。
【0042】有機アンモニウム塩や層状粘土鉱物の分散媒体としては、水以外にもメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール及びこれらの混合物、並びにこれらと水との混合物を使用することができる。
【0043】次に、溶融混練工程において、有機化工程で得られる層状粘土鉱物とポリ乳酸とを溶融混練することによって、本発明のポリ乳酸複合材料が得られる。
【0044】混練工程における温度は特に制限されないが、好ましくは150〜250℃である。当該温度が前記下限値未満であると、ポリ乳酸の溶融が不十分となり、アミド基を有する低分子化合物及び有機化された層状粘土鉱物がポリ乳酸中に均一に分散しにくくなる傾向にある。また、当該温度が前記上限値を超えると、ポリ乳酸の分子量が低下してポリ乳酸複合材料の物性が損なわれる(例えば脆化)傾向にある。
【0045】また、混練工程の際には、本出願人により国際公開WO99/50340号公報に開示されている方法に準じて行うことが好ましい。すなわち、高樹脂換算圧力、高総せん断量、高せん断エネルギーを加えることが可能なスクリューを備える二軸混練機を用い、樹脂換算圧力の平均値が5×104Pa以上、最大値が1×105Pa、総せん断量が105〜107、総せん断エネルギーが1010〜1014Paの条件下で、有機化された層状粘土鉱物とポリ乳酸とアミド基を有する低分子化合物とを溶融混練することによって、これらの分散均一性を十分に高めることができる。
【0046】このようにして得られるポリ乳酸複合材料は、ポリ乳酸、アミド基を有する低分子化合物及び有機化された層状粘土鉱物の分散均一性が十分に高いものであるが、有機オニウム塩として水酸基を有するものを用いると、溶融混練工程において当該水酸基とポリ乳酸の末端カルボキシル基とが反応して、ポリ乳酸が層状粘土鉱物の層間により安定的に保持されるので、耐熱性、成形性及び離型性をより高めることができる。
【0047】また、本発明にかかる第2の製造方法は、有機オニウム塩で層状粘土鉱物を有機化する有機化工程と、有機化工程で得られる層状粘土鉱物と、L−乳酸、D−乳酸、L−ラクチド、D−ラクチド及びmeso−ラクチドからなる群より選ばれる少なくとも1種の重合性単量体と、アミド基を有する低分子化合物とを混合し、当該重合性単量体を重合させてポリ乳酸を生成させる重合工程とを含むものである。これにより、生成したポリ乳酸中にアミド基を有する低分子化合物及び有機オニウム塩で有機化された層状粘土鉱物が十分に均一に分散するので、耐熱性、成形性及び離型性に優れた本発明のポリ乳酸複合材料を容易に且つ確実に得ることができる。
【0048】第2の製造方法にかかる有機化工程は、上記した第1の製造方法にかかかる有機化工程と同様にして行うことができる。
【0049】次に、重合工程において、有機化工程で得られる層状粘土鉱物と、L−乳酸、D−乳酸、L−ラクチド及びD−ラクチドからなる群より選ばれる少なくとも1種の重合性単量体とを混合し、重合性単量体を重合させることによって、ポリ乳酸が生成する。ここで、L−乳酸及び/又はD−乳酸を用いる場合にはこれらの直接重縮合によりポリ乳酸が生成し、他方、L−ラクチド及び/又はD−ラクチドを用いる場合にはこれらの開環重合によりポリ乳酸が生成する。
【0050】重合工程は、所定の触媒を用いて行ってもよく、無触媒下で行ってもよい。触媒としては、具体的には、オクチル酸スズ、塩化スズ、塩化亜鉛、酸化鉛、炭酸鉛、塩化チタン、アルコキシチタン、酸化ゲルマニウム、酸化ジルコニウムなどが挙げられ、その使用量は重合性単量体100重量部に対して0.001〜1重量部であることが好ましい。また、重合工程における反応温度は100〜200℃であることが好ましい。
【0051】なお、重合性単量体の重合は、通常、系中に含まれる水酸基を反応点として開始するが、有機オニウム塩が水酸基を有する場合には、重合工程において当該水酸基を反応点として重合性単量体の重合が開始するので、耐熱性、成形性及び離型性をより高めることができる。
【0052】次に、本発明の成形体について説明する。
【0053】本発明の成形体は、前述の通り、本発明のポリ乳酸複合材料を用いて得られるものである。本発明の成形体の形状、厚みなどは特に制限されず、射出成形品、押出成形品、圧縮成形品、ブロー成形品、シート、フィルム、糸、ファブリックなどのいずれでもよい。より具体的には、バンパー、ラジエーターグリル、サイドモール、ガーニッシュ、ホイールカバー、エアロパーツ、インストルメントパネル、ドアトリム、シートファブリック、ドアハンドル、フロアマットなどの自動車部品、家電製品のハウジング、製品包装用フィルム、防水シート、各種容器、ボトルなどが挙げられる。また、本発明の成形体をシートとして使用する場合には、紙又は他のポリマーシートと積層し、多層構造の積層体として使用してもよい。
【0054】また、本発明の成形体を製造するに際し、その成形方法は特に制限されず、射出成形、押出成形、ブロー成形、インフレーション成形、異形押出成形、射出ブロー成形、真空圧空成形、紡糸などのいずれにも好適に使用することができる。また、成形時に樹脂材料の溶融物を金型内に充填し、金型内でそのまま結晶化させる方法(金型内結晶化法)の場合、従来の樹脂材料では生産性や操作性が悪く、さらには結晶化が不十分となって目的の成形体が得られないことがあるが、本発明のポリ乳酸複合材料を用いることによって成形体の製造を効率よく且つ確実に行うことができる。
【0055】
【実施例】以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0056】[実施例1]
(層状粘土鉱物の有機化)ナトリウム型モンモリロナイト(クニミネ工業製クニピアF、陽イオン交換容量:115meq/100g)100gを80℃の水5,000mlに分散させ、一方、ジヒドロキシエチルメチルステアリルアンモニウムブロミド59.2gを80℃の水2000mlに溶解させた後、両者を混合してモンモリロナイトの有機化を行った。得られた有機化モンモリロナイト(以下、C18(OH)2−Mtという)を80℃の水で3回洗浄し、凍結乾燥した後、これを粉砕した。灼残法により求めたC18(OH)2−Mtの無機分の残量は63%であった。
【0057】(層状粘土鉱物とポリ乳酸とアミド基を有する低分子化合物との混練)スクリューを備える二軸押出機(日本製鋼所製TEX30α)を用い、ポリ乳酸樹脂(島津製作所製ラクティ#5400)に、C18(OH)2−Mtを無機分換算値で3重量%、エチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミドを1重量%それぞれ添加した混合物を、スクリュー回転数300rpm、樹脂温度200℃、樹脂供給速度5kg/hで溶融混練して目的の樹脂複合材料を得た。得られた樹脂複合材料をストランド状に押し出した後、水で急冷し、ストランドカッターでペレットとした。
【0058】(弾性率の温度依存性の評価)射出成形機(日精樹脂工業社製PS40E2ASE及びFS75型)を用い、金型温度及び冷却時間を40℃、60s(成形条件1)又は100℃、120s(成形条件2)の2通りに変えて角柱状試験片(80mm×10mm×4mm)を射出成形した。この試験片の中央部から試験片(40mm×4mm×2mm)を切り出し、動的粘弾性測定装置(アイ・ティー計測製DVA−220)を用いて貯蔵弾性率の温度依存性を測定した。この測定における測定温度範囲は0〜150℃、昇温速度は4℃/min、測定周波数は10Hzとし、引張モードで測定した。また、データの取り込み間隔は2℃毎に行った。
【0059】得られた測定データから、ガラス転移温度(Tg)以上で貯蔵弾性率(E’)が最小となる温度T1、Tg以上でE’が最大となる温度T2、並びにE’が0.5GPa以下となる最低温度T3を求めた。その結果を表1に示す。なお、成形条件2では、E’が温度と共に単調減少したためT1、T2の測定値が得られなかった。
【0060】(射出成形性の評価)また、弾性率の温度依存性評価において、金型温度100℃、冷却時間120sの条件で作製した試験片について、以下の基準:A:成形性、離型性がよい。試験片の結晶固化が十分で、反り、ひけがない試験片を取り出すことができる。
B:成形性、離型性が悪い。試験片の結晶固化が不十分で、反り、ひけがある、脱型時に金型に粘着が粘着して試験片が多少変形する、表面が荒れるなどの現象が認められる。
C:成形性、離型性が非常に悪い。試験片は軟化したままで、形状を維持した試験片を取り出すことが困難である。
に従って成形性及び金型離型性を評価した。得られた結果を表1に示す。
【0061】(過重たわみ温度の評価)上記試験片のうち、金型温度100℃、冷却時間120sの場合に得られた試験片を用い、JIS K7191に規定される方法(フラットワイズ法)に従って、過重1.80MPa又は0.45MPaの2条件で過重たわみ温度を評価した。得られた結果を表1に示す。
【0062】(分散性の評価)上記のペレットをミクロトームで切り出して超薄切片を作製した。この切片について、透過型電子顕微鏡(日本電子製Joel−200CX)を用いて粘土層の分散状態を観察し、以下の基準:A:分散状態が非常によい。粘土層がほぼ単層ごとに微分酸している。
B:分散状態がよい。粘土層は50%以上凝集しているが、層間距離は2.9nm以上である。
C:分散状態が悪い。ほとんどが数十層以上の層が凝集した状態であり、且つ層間距離は2.9nm未満である。
に従って分散性を評価した。得られた結果を表1に示す。
【0063】(DSCによる結晶化速度及び吸熱量の測定)上記のペレットを用い、180℃の熱プレスで厚さ約0.5mmのシートを作製した。このシートから5〜10mgの試料を採取してアルミニウム製パンに挟み、熱示唆分析装置(パーキンエルマー社製DSC7)を用いて結晶化速度及び結晶化に伴う吸熱量を測定した。なお、これらの測定は等温結晶化モードで行った。すなわち、試料を溶融した状態からある温度(本実施例の場合は100℃)まで急冷し、その温度で保持すると結晶化に伴う吸熱ピークが現れるが、定温に保持してからピークが現れるまでの時間から結晶化速度、ピーク面積から結晶化に伴う吸熱量をそれぞれ求めた。また、測定は窒素雰囲気下で行い、測定の際には以下のステップ1〜4:ステップ1:昇温速度50℃/minで30℃から200℃まで昇温ステップ2:200℃で5minの定温保持ステップ3:降温速度100℃で200℃から100℃まで降温ステップ4:100℃で結晶化が終了するまで定温保持(最大30分)
の順で温度を変化させた(ステップ4が実際の等温結晶化測定に相当する)。
【0064】上記の測定における時間と熱流量との相関を図1、得られた測定値を表1にそれぞれ示す。なお、図1中、熱流量の減少量が結晶化に伴う吸熱量に相当する。また、表1中、結晶化に伴う吸熱量が大きいほど結晶化度が高いことを意味する。
【0065】[実施例2]ジヒドロキシエチルメチルステアリルアンモニウムブロミドの代わりにジヒドロキシエチルメチルアルキルアンモニウムブロミド(アルキル基が牛脂組成(テトラデシル/ヘキサデシル/オクタデシル=5:30:65)である混合物)を用いたこと以外は実施例1と同様にして有機化された層状粘土鉱物(R(OH)2−Mt)を得た。
【0066】次に、C18(OH)2−Mtの代わりにR(OH)2−Mtを用いたこと、並びにエチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミドの代わりにヘキサメチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミドを用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸複合材料を作製し、射出成形性、過重たわみ温度及び分散性の評価並びに結晶化速度及び吸熱量の測定を行った。得られた結果を表1に示す。なお、射出成形性の評価における成形条件2では、E’が温度と共に単調減少したためT1、T2の測定値が得られなかった。
【0067】[実施例3]ジヒドロキシエチルメチルステアリルアンモニウムブロミドの代わりにドデシルアンモニウムブロミドを用いたこと以外は実施例1と同様にして、有機化された層状粘土鉱物(C12−Mt)を得た。
【0068】次に、C18(OH)2−Mtの代わりにC12−Mtを用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸複合材料を作製し、射出成形性、過重たわみ温度及び分散性の評価並びに結晶化速度及び吸熱量の測定を行った。得られた結果を表1に示す。なお、射出成形性の評価における成形条件2では、E’が温度と共に単調減少したためT1、T2の測定値が得られなかった。
【0069】[実施例4]モンモリロナイトの代わりに膨潤性マイカを用いたこと以外は実施例3と同様にして、有機化された層状粘土鉱物(C12−Mica)を得た。
【0070】次に、C12−Mtの代わりにC12−Micaを用いたこと以外は実施例3と同様にしてポリ乳酸複合材料を作製し、射出成形性、過重たわみ温度及び分散性の評価並びに結晶化速度及び吸熱量の測定を行った。得られた結果を表1に示す。なお、射出成形性の評価における成形条件2では、E’が温度と共に単調減少したためT1、T2の測定値が得られなかった。
【0071】[実施例5]ジヒドロキシエチルメチルステアリルアンモニウムブロミドの代わりにステアリルアンモニウムクロリドを用いたこと以外は実施例1と同様にして、有機化された層状粘土鉱物(C18−Mt)を得た。
【0072】次に、C18(OH)2−Mtの代わりにC18−Mtを用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸複合材料を作製し、射出成形性、過重たわみ温度及び分散性の評価並びに結晶化速度及び吸熱量の測定を行った。得られた結果を表1に示す。なお、射出成形性の評価における成形条件2では、E’が温度と共に単調減少したためT1、T2の測定値が得られなかった。
【0073】[比較例1]ポリ乳酸をアミド基を有する低分子化合物又は有機化された層状粘土鉱物と混練することなくそのまま用いて、射出成形性、過重たわみ温度及び分散性の評価並びに結晶化速度及び吸熱量の測定を行った。得られた結果を表1に示す。また、結晶化速度及び吸熱量の測定における時間と熱流量との相関を図1に示す。なお、射出成形性の評価における成形条件2及び過重たわみ温度の評価では、試験片が作製できなかったため測定値が得られなかった。また、結晶化速度及び吸熱量の測定では、測定範囲内で結晶化のピークが観測できなかったため測定値が得られなかった。また、便宜上、図1中の比較例1のデータはベースラインを上方にシフトして示している(比較例2、3についても同様である)。
【0074】[比較例2]ポリ乳酸にC18(OH)2−Mtのみを添加したこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸複合材料を作製し、射出成形性、過重たわみ温度及び分散性の評価並びに結晶化速度及び吸熱量の測定を行った。得られた結果を表1に示す。また、結晶化速度及び吸熱量の測定における時間と熱流量との相関を図1に示す。
【0075】[比較例3]ポリ乳酸にエチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミドのみを添加したこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸複合材料を作製し、射出成形性、過重たわみ温度及び分散性の評価並びに結晶化速度及び吸熱量の測定を行った。得られた結果を表1に示す。また、結晶化速度及び吸熱量の測定における時間と熱流量との相関を図1に示す。なお、射出成形性の評価における成形条件2及び過重たわみ温度の評価では、試験片が作製できなかったため測定値が得られなかった。
【0076】[比較例4]ナトリウム型モンモリロナイトを有機化せずにそのまま用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸複合材料を作製し、射出成形性、過重たわみ温度及び分散性の評価並びに結晶化速度及び吸熱量の測定を行った。得られた結果を表1に示す。
【表1】

【0077】表1に示したように、実施例1〜5のポリ乳酸複合材料においては、有機化された層状粘土鉱物がポリ乳酸中に十分に均一に分散していた。また、これらのポリ乳酸複合材料は、結晶化速度が速く、金型内で結晶化させた場合には優れた成形性及び金型離型性を示し、熱変形温度も高いものであった。さらに、DSCの結果からも、これらのポリ乳酸複合材料の結晶化速度が速く、結晶化が十分に進行していることが確認された。
【0078】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、アミド基を有する低分子化合物と有機オニウム塩で有機化された層状粘土鉱物との相乗効果によって、ポリ乳酸の結晶化速度が十分に高められるので、耐熱性、並びに成形体の製造時における成形性及び離型性を高水準で達成することができる。
【出願人】 【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
【住所又は居所】愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番地の1
【出願日】 平成14年2月4日(2002.2.4)
【代理人】 【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹 (外3名)
【公開番号】 特開2003−226801(P2003−226801A)
【公開日】 平成15年8月15日(2003.8.15)
【出願番号】 特願2002−27171(P2002−27171)