| 【発明の名称】 |
熱可塑性樹脂成形物品 |
| 【発明者】 |
【氏名】芳野 泰之
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| 【要約】 |
【課題】表面実装時の加熱炉(リフロー炉)内の高温条件下でも優れた耐熱性を有する熱可塑性樹脂成形物品を提供する。
【解決手段】少なくとも成分(A)と成分(B)からなる組成物を用いてなり、成分(A)が融点又はガラス転移点が220℃以上である少なくとも1種の熱可塑性樹脂であり、成分(B)がホウ酸金属塩であり、該組成物がはんだ付けされる基体の表面温度が220℃以上となる条件下で、該基体にはんだ付けされたことを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも成分(A)と成分(B)からなる組成物を用いてなる熱可塑性樹脂成形物品であり、成分(A)が融点又はガラス転移点が220℃以上である少なくとも1種の熱可塑性樹脂であり、成分(B)がホウ酸金属塩であり、該組成物がはんだ付けされる基体の表面温度が220℃以上となる条件下で、該基体にはんだ付けされたことを特徴とする熱可塑性樹脂成形物品。 【請求項2】 少なくとも成分(A)と成分(B)からなる組成物を用いてなる熱可塑性樹脂成形物品であり、成分(A)が融点又はガラス転移点が220℃以上である少なくとも1種の熱可塑性樹脂であり、成分(B)がホウ酸金属塩であり、該組成物がはんだ付けされる基体の表面温度が240℃以上となる条件下で、該基体にはんだ付けされたことを特徴とする熱可塑性樹脂成形物品。 【請求項3】 少なくとも成分(A)と成分(B)からなる組成物を用いてなる熱可塑性樹脂成形物品であり、成分(A)が融点又はガラス転移点が220℃以上である少なくとも1種の熱可塑性樹脂であり、成分(B)がホウ酸金属塩であり、該組成物がはんだ付けされる基体の表面温度が260℃以上となる条件下で、該基体にはんだ付けされたことを特徴とする熱可塑性樹脂成形物品。 【請求項4】 少なくとも成分(A)と成分(B)からなる組成物を用いてなる熱可塑性樹脂成形物品であり、成分(A)が融点又はガラス転移点が220℃以上である少なくとも1種の熱可塑性樹脂であり、成分(B)がホウ酸金属塩であり、該組成物がはんだ付けされる基体の表面温度が280℃以上となる条件下で、該基体にはんだ付けされたことを特徴とする熱可塑性樹脂成形物品。 【請求項5】 熱可塑性樹脂(A)が、ポリアリーレンサルファイド樹脂、サーモトロピック液晶ポリエステル樹脂、ポリアルキレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、芳香族ポリサルホン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4の何れか一項に記載の熱可塑性樹脂成形物品。 【請求項6】 熱可塑性樹脂(A)が、ポリフェニレンサルファイド樹脂である請求項1〜4の何れか一項に記載の熱可塑性樹脂成形物品。 【請求項7】 ホウ酸金属塩(B)に含まれる金属元素の価数が1〜3価の何れかである請求項1〜6の何れか一項に記載の熱可塑性樹脂成形物品。 【請求項8】 ホウ酸金属塩(B)が、ホウ酸アルミニウムである請求項1〜6の何れか一項に記載の熱可塑性樹脂成形物品。 【請求項9】 少なくとも成分(A)と成分(B)を含有する組成物に、更に繊維状強化材(C−1)及び/又は無機質フィラー(C−2)を含んでなる請求項1〜8の何れか一項に記載の熱可塑性樹脂成形物品。 【請求項10】 少なくとも成分(A)と成分(B)を含有する組成物に、更にシラン化合物(D)を含んでなる請求項1〜9の何れか一項に記載の熱可塑性樹脂成形物品。 【請求項11】 はんだ付け工程での加熱方式が、赤外線方式、熱風方式、熱伝導方式、ベーパーフェイズソルダリング(VPS)方式からなる群より選ばれる少なくとも1種による加熱方式を用いる請求項1〜10の何れか一項に記載の熱可塑性樹脂成形物品。 【請求項12】 はんだ付け工程で、加熱方式として赤外線方式を用いる請求項1〜10の何れか一項に記載の熱可塑性樹脂成形物品。 【請求項13】 ポリフェニレンエーテルを含んでなる請求項1〜12の何れか一項に記載の熱可塑性樹脂成形物品。 【請求項14】 ポリフェニレンエーテルが、全炭素数3〜10(全炭素数とはカルボン酸由来の炭素数を含める)の不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸無水物で変性されたポリフェニレンエーテルである請求項13記載の熱可塑性樹脂成形物品。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂の融点或いはガラス転移点以上という高温条件下において、はんだ付けされた優れた耐熱性を有する熱可塑性樹脂成形物品に関する。更に詳しくは、コネクター、スイッチ、コンデンサー、集積回路(IC)、リレー、抵抗器、発光ダイオード(LED)などの電気・電子部品、自動車エンジン回りのアンダーフード部品、自動車用コネクターなどの各種自動車部品、精密機械部品、ポンプ部品などの熱可塑性樹脂成形物品に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、電気・電子工業の分野では、製品の小型化や生産性の向上に伴い、コネクター、スイッチ、リレー、コイルボビン等の樹脂系電子部品を、表面実装方式(サーフェスマウント方式或いはSMT方式と云う)により、プリント基板上にはんだ付けする方法が採用されるようになっている。ここで、表面実装方式とは、一般にはプリント印刷された配線基板上に、クリーム状のはんだを介して電子部品を載せた後、配線基板を加熱炉(リフロー炉)内に通過させることによって、はんだを溶かして、電子部品を配線基板上に固定する方法をいう。この表面実装方式は、配線基板上のスルーホールから電子部品のリード線を通し、電子部品を装着した面とは反対側の面に直接はんだ付け(フリーソルダリングまたはウェーブソルダリング)を行なう従来の挿入実装方式(リードスルー方式)とは異なる。 【0003】表面実装方式は、■実装密度を大きくすることができること、■表裏両面の実装が可能であること、■効率化によって製造コストを低減させることができること、等の利点があり、はんだ付け方式の主流となりつつある。この表面実装技術において使用されるはんだは、従来錫−鉛共晶はんだ(融点184℃)が一般的であったが、近年では環境汚染の問題から鉛の使用量の削減、更には全廃が推進されている。その代替材料として、錫をベースに数種類の金属を添加した所謂鉛フリーはんだが提案されているが、何れも錫−鉛共晶はんだよりも融点が高いため(例えば錫−銀共晶はんだの場合は融点220℃)、表面実装時には加熱炉(リフロー炉)の温度を更に上昇させなければならない。この結果、表面実装方式を用いてはんだ付けを行なう場合、コネクター等の熱可塑性樹脂成形物品をはんだ付け加熱炉(リフロー炉)内に通過させる際に、当該成形物品が融解または変形を生じる可能性があり、更に耐熱性の高い熱可塑性樹脂成形物品がこの分野において強く求められている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、表面実装時の加熱炉(リフロー炉)内の高温条件下で、優れた耐熱性を有する熱可塑性樹脂成形物品を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、融点又はガラス転移点が220℃以上からなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂とホウ酸金属塩からなる組成物であり、該組成物を用いてはんだ付けされる基体の表面温度が220℃以上となる高温条件下においてはんだ付けされた熱可塑性樹脂成形物品が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。 【0006】即ち、本発明は、少なくとも成分(A)と成分(B)からなる組成物を用いてなる熱可塑性樹脂成形物品であり、成分(A)が融点又はガラス転移点が220℃以上である少なくとも1種の熱可塑性樹脂であり、成分(B)がホウ酸金属塩であり、該組成物がはんだ付けされる基体の表面温度が220℃以上となる条件下で、該基体にはんだ付けされたことを特徴とする熱可塑性樹脂成形物品である。また、本発明は、少なくとも成分(A)と成分(B)からなる組成物を用いてなる熱可塑性樹脂成形物品であり、成分(A)が融点又はガラス転移点が220℃以上である少なくとも1種の熱可塑性樹脂であり、成分(B)がホウ酸金属塩であり、該組成物がはんだ付けされる基体の表面温度が240℃以上となる条件下で、該基体にはんだ付けされたことを特徴とする熱可塑性樹脂成形物品である。また、本発明は、少なくとも成分(A)と成分(B)からなる組成物を用いてなる熱可塑性樹脂成形物品であり、成分(A)が融点又はガラス転移点が220℃以上である少なくとも1種の熱可塑性樹脂であり、成分(B)がホウ酸金属塩であり、該組成物がはんだ付けされる基体の表面温度が260℃以上となる条件下で、該基体にはんだ付けされたことを特徴とする熱可塑性樹脂成形物品である。また、本発明は、少なくとも成分(A)と成分(B)からなる組成物を用いてなる熱可塑性樹脂成形物品であり、成分(A)が融点又はガラス転移点が220℃以上である少なくとも1種の熱可塑性樹脂であり、成分(B)がホウ酸金属塩であり、該組成物がはんだ付けされる基体の表面温度が280℃以上となる条件下で、該基体にはんだ付けされたことを特徴とする熱可塑性樹脂成形物品である。 【0007】 【発明の実施の形態】次いで、本発明を実施するにあたり、必要な事項を具体的に以下に述べる。 【0008】本発明の熱可塑性樹脂成形物品は、少なくとも成分(A)と成分(B)からなる組成物を用いてなる熱可塑性樹脂成形物品であり、成分(A)が融点又はガラス転移点が220℃以上である少なくとも1種の熱可塑性樹脂であり、成分(B)がホウ酸金属塩であり、該組成物がはんだ付けされる基体の表面温度が220℃以上となる条件下で、該基体にはんだ付けされたものである。 【0009】本発明で使用する熱可塑性樹脂(A)は、融点又はガラス転移点が220℃以上の熱可塑性樹脂である。熱可塑性樹脂(A)の融点又はガラス転移点が220℃以上であれば、はんだ付け工程における高温条件下でも融解又は変形を生じることなく、熱可塑性樹脂成形物品を得ることができ、好ましい。 【0010】該熱可塑性樹脂(A)としては、例えば、ポリアリーレンサルファイド樹脂、サーモトロピック液晶ポリエステル樹脂、ポリアルキレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、芳香族ポリサルホン樹脂などが好ましく、より好ましくは、ポリアリーレンサルファイド樹脂である。これらの樹脂は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。 【0011】本発明で使用する熱可塑性樹脂(A)の一つであるポリアリーレンサルファイド(以下、PASと記す)樹脂とは、一般式−Ar−S−(Arはアリーレン基)で表されるPAS系樹脂である。ここでアリーレン基のArは、p−フェニレン基、m−フェニレン基、o−フェニレン基、及び以下に示す構造式〔1〕〜〔4〕からなる群から選ばれる2価の芳香族残基であり、更に各芳香族環にはF、Cl、Br等のハロゲン、CH3基等の置換基を有すか有さないアルキル基(直鎖でも分岐でもよい)などの置換基が導入されていてもよい。これはホモポリマーであっても、ランダム共重合体、ブロック共重合体であってもよく、線状、分岐状、あるいは架橋型及びこれらの混合物が用いられる。 【0012】 【化1】
【0013】 【化2】
【0014】 【化3】
【0015】 【化4】
【0016】本発明で使用するPAS樹脂は、ポリフェニレンサルファイド(以後、PPSと記す)系樹脂であることが好ましい。 【0017】本発明で用いるPPS系樹脂は、下記一般式〔5〕で示される構造単位を70モル%以上含むものが優れた特性の成形物品をもたらすので好ましい。 【0018】 【化5】
【0019】PPS樹脂の重合方法としては、例えば、■p−ジクロルベンゼンを硫黄と炭酸ソーダの存在下で重合させる方法、■極性溶媒中で硫化ナトリウムあるいは水硫化ナトリウムと水酸化ナトリウム又は硫化水素と水酸化ナトリウムの存在下で重合させる方法、■p−クロルチオフェノールの自己縮合などが挙げられるが、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤やスルホラン等のスルホン系溶媒中で硫化ナトリウムとp−ジクロルベンゼンを反応させる方法が適当である。この際に重合度を調節するためにカルボン酸のアルカリ金属塩やスルホン酸のアルカリ金属塩を添加したり、水酸化アルカリを添加したりすることは好ましい方法である。 【0020】共重合成分として30モル%未満であれば以下に示すメタ結合構造単位〔6〕、エーテル結合構造単位〔7〕、スルホン結合構造単位〔8〕、ケトン結合構造単位〔9〕、ビフェニル結合構造単位〔10〕、置換フェニルスルフィド結合構造単位〔11〕、3官能フェニルスルフィド結合構造単位〔12〕、ナフチル結合構造単位〔13〕などを含有していてもポリマーの結晶性に大きく影響しない範囲で構わないが、共重合成分は、好ましくは10モル%以下がよい。特に3官能基以上のフェニル、ビフェニル、ナフチルスルフィド結合などを共重合に選ぶ場合は、好ましくは3モル%以下、より好ましくは1モル%以下である。 【0021】 【化6】
【0022】 【化7】
【0023】 【化8】
【0024】 【化9】
【0025】 【化10】
【0026】 【化11】
【0027】式中、Rはアルキル基、ニトロ基、フェニル基又はアルコキシ基を示す。 【0028】 【化12】
【0029】 【化13】
【0030】かかるPPS系樹脂は一般的な製造法、例えば(1)ハロゲン置換芳香族化合物と硫化アルカリとの反応(米国特許第2513188号、特公昭44−27671号、特公昭45−3368号)、(2)チオフェノール類のアルカリ触媒又は銅塩などの共存下における縮合反応(米国特許第3274165号、英国特許第1160660号)、(3)芳香族化合物と塩化硫黄とのルイス酸触媒共存下における縮合反応(特公昭46−27255号、ベルギー特許第29437号)等により合成されるものであり、目的に応じて任意に選択し得る。 【0031】本発明の熱可塑性樹脂成形物品に使用するPPS樹脂としては、架橋型のPPS樹脂でもあるいは非架橋型(リニアー型)PPS樹脂でもよい。これらのPPS樹脂の中でも特にASTM D1238−86による316℃/5000g荷重下(オリフィス:0.0825±0.002インチ径×0.315±0.001インチ長さ)でのメルトフローレートが、好ましくは3000g/10分以下、更に好ましくは1500g/10分以下である。更に、使用するPPS樹脂の形態としては特に制限はなく、ペレットのような粒状でもあるいは粉状でもよい。 【0032】熱可塑性樹脂(A)の一つのサーモトロピック液晶ポリエステル樹脂としては、公知のものを使用でき、例えば、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオール及び芳香族ジカルボン酸を主構成単位とするもの、芳香族ヒドロキシカルボン酸、ポリアルキレンジオール及び芳香族ジカルボン酸を主構成単位とするもの、異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を主構成単位とするもの、芳香族ジカルボン酸と核置換芳香族ジオールを主構成単位とするもの、芳香族ヒドロキシカルボン酸とヒドロキシナフトエ酸を主構成単位とするもの、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸およびジヒドロキシビフェニルを主構成単位とするもの、ポリホスファゼンを主鎖としポリアルキレンジオールと芳香族カルボン酸とを側鎖とするもの等を挙げることができる。尚、これらの芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、及び芳香族ヒドロキシカルボン酸の代わりに、それらのエステル形成性誘導体を使用することができる。 【0033】これらの中でも、p−ヒドロキシ安息香酸とポリエチレンテレフタレートを主構成単位とするもの、p−ヒドロキシ安息香酸と2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸を主構成単位とするもの、これらにジヒドロキシ化合物及び/又はジカルボキシ化合物を重縮合させたもの等が好ましい。ジヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、ハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノール−A等を挙げることができる。これらの中でも、エチレングリコール、ハイドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等が好ましく、エチレングリコール、ハイドロキノン等がより好ましい。ジカルボキシ化合物の例としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ジカルボキシナフタレン等を挙げることができる。これらの中でも、テレフタル酸及びイソフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。ジヒドロキシ化合物及びジカルボキシ化合物は、それぞれ1種を単独で使用でき、または2種以上を併用できる。 【0034】また、本発明で使用する熱可塑性樹脂(A)の一つのポリアルキレンテレフタレート樹脂としては、芳香環を連鎖単位に有するポリエステル樹脂で芳香族ジカルボン酸あるいはそのエステル誘導体とジオ−ルあるいはそのエステル誘導体とを主成分とする縮合反応により得られる重合体ないしは共重合体である。 【0035】前記芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、1,2−ビス(p−カルボキシフェノキシ)エタンあるいはこれらのエステル誘導体等が挙げられる。尚、酸成分として30モル%以下であれば、例えば、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸及びそれらのエステル誘導体等の芳香族ジカルボン酸以外のジカルボン酸で置換してもよい。 【0036】また、ジオ−ル成分としては、炭素数2〜10の脂肪族ジオ−ルが好ましく、例えば、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、3−メチル−1,3−プロパンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、デカメチレングリコ−ル、シクロヘキサンジオ−ル、シクロヘキサンジメタノ−ル等が挙げられ、少量であれば分子量400〜6000の長鎖グリコ−ル、即ち、ポリエチレングリコ−ル、ポリ−1,3−プロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル等を共重合してもよい。 【0037】本発明で使用するポリアルキレンテレフタレート樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリヘキサメチレンテレフタレ−ト、ポリシクロヘキシンジメチレンテレフタレ−ト、ポリエチレン−2,6−ナフタレ−ト 、ポリブチレン−2,6−ナフタレ−ト等が挙げられ、中でもポリブチレンテレフタレ−トが好ましい。 【0038】また、本発明で使用する熱可塑性樹脂(A)の一つのポリアミド樹脂は、アミド結合(−NHCO−)を有するポリマーであって、例えば、■ジアミンとジカルボン酸の重縮合から得られるポリマー、■アミノカルボン酸の重縮合から得られるポリマー、■ラクタム類の開環重合から得られるポリマー等が挙げられる。ポリアミド樹脂は、単独使用でも2種以上を併用してもよい。 【0039】ここで、ジアミンの例としては、脂肪族系ジアミン類、芳香族系ジアミン類、脂環族系ジアミン類が挙げられる。脂肪族系ジアミン類としては、好ましくは、炭素数3〜18の直鎖状又は側鎖を有するジアミンが挙げられ、例えば、1,3−トリメチレンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、1,5−ペンタメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,7−ヘプタメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナメチレンジアミン、1,10−デカメチレンジアミン、1,11−ウンデカンメチレンジアミン、1,12−ドデカメチレンジアミン、1,13−トリデカメチレンジアミン、1,14−テトラデカメチレンジアミン、1,15−ペンタデカメチレンジアミン、1,16−ヘキサデカメチレンジアミン、1,17−ヘプタデカメチレンジアミン、1,18−オクタデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等が挙げられ、これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。 【0040】芳香族系ジアミン類としては、好ましくは、分子中に少なくとも1つのフェニレン基を有する炭素数6〜27のジアミンが挙げられ、例えば、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、3,4−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4'−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'−ジ(m−アミノフェノキシ)ジフェニルスルフォン、4,4'−ジ(p−アミノフェノキシ)ジフェニルスルフォン、ベンジジン、3,3'−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジエチル−5,5'−ジメチルジフェニルメタン、4,4'−ジアミノ−3,3',5,5'−テトラメチルジフェニルメタン、2,4−ジアミノトルエン、2,2'−ジメチルベンジジン等が挙げられ、これらは単独使用でも2種以上を併用してもよい。 【0041】脂環族系ジアミン類としては、好ましくは、分子中に少なくとも1つのシクロヘキシレン基を有する炭素数4〜15のジアミンが挙げられ、例えば、4,4'−ジアミノ−ジシクロヘキシレンメタン、4,4'−ジアミノ−ジシクロヘキシレンプロパン、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチル−ジシクロヘキシレンメタン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ピペラジン等が挙げられ、これらは単独使用でも2種以上を併用してもよい。 【0042】ジカルボン酸としては、脂肪族系ジカルボン酸類、芳香族系ジカルボン酸類、脂環族系ジカルボン酸類を挙げることができる。 【0043】脂肪族系ジカルボン酸類としては、好ましくは、炭素数2〜18の飽和又は不飽和のジカルボン酸が挙げられ、例えば、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、プラシリン酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられ、これらは単独使用でも2種以上を併用してもよい。 【0044】芳香族系ジカルボン酸類としては、好ましくは、分子中に少なくとも1つのフェニレン基を有する炭素数8〜15のジカルボン酸が挙げられ、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、メチルテレフタル酸、ビフェニル−2,2'−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4'−ジカルボン酸、ジフェニルメタン−4,4'−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸、ジフェニルスルフォン−4,4'−ジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられ、これらは単独使用でも2種以上を併用してもよい。更に、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸を溶融成形可能な範囲内で用いることもできる。 【0045】アミノカルボン酸としては、好ましくは、炭素数4〜18のアミノカルボン酸であり、例えば、4−アミノ酪酸、6−アミノヘキサン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、9−アミノノナン酸、10−アミノデカン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、14−アミノテトラデカン酸、16−アミノヘキサデカン酸、18−アミノオクタデカン酸等が挙げられ、これらは単独使用でも2種以上を併用してもよい。 【0046】ラクタム類としては、例えば、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム、ζ−エナントラクタム、η−カプリルラクタム等が挙げられ、これらは単独使用でも2種以上を併用してもよい。 【0047】好ましいポリアミド樹脂の原料としては、ε−カプロラクタム(ナイロン6)、1,6−ヘキサメチレンジアミン/アジピン酸(ナイロン6,6)、1,4−テトラメチレンジアミン/アジピン酸(ナイロン4,6)、1,6−ヘキサメチレンジアミン/テレフタル酸、1,6−ヘキサメチレンジアミン/テレフタル酸/ε−カプロラクタム、1,6−ヘキサメチレンジアミン/テレフタル酸/アジピン酸、1,9−ノナメチレンジアミン/テレフタル酸、1,9−ノナメチレンジアミン/テレフタル酸/ε−カプロラクタム、1,9−ノナメチレンジアミン/1,6−ヘキサメチレンジアミン/テレフタル酸/アジピン酸、m−キシリレンジアミン/アジピン酸が挙げられ、更に好ましくは、1,4−テトラメチレンジアミン/アジピン酸(ナイロン4,6)、1,6−ヘキサメチレンジアミン/テレフタル酸/ε−カプロラクタム、1,6−ヘキサメチレンジアミン/テレフタル酸/アジピン酸、1,9−ノナメチレンジアミン/テレフタル酸、1,9−ノナメチレンジアミン/テレフタル酸/ε−カプロラクタム、1,9−ノナメチレンジアミン/1,6−ヘキサメチレンジアミン/テレフタル酸/アジピン酸からなるポリアミド樹脂が挙げられる。 【0048】次いで、本発明で使用する熱可塑性樹脂(A)の一つの芳香族ポリサルホン樹脂は、通常、下記構造単位〔14〕を有する。 【0049】 【化14】
【0050】(式〔14〕中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜10のアルケニル基、フェニル基又はハロゲン原子を表し、pはそれぞれ独立に0〜4の数を表す。同一又は異なる核上の各R1は相互に異なっていてもよい。) 【0051】上記構造単位〔14〕の全構造単位に対する割合は、耐熱性、機械物性等の観点から、通常、好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上、特に好ましくは80モル%以上であり、実質的に全構造単位が上記構造単位〔14〕であることが更に好ましい。 【0052】また、上記構造単位〔14〕は、耐熱性、機械物性等の観点から、pが0であること、即ち、下記構造単位〔14a〕が好ましい。 【0053】 【化15】
【0054】本発明で使用する芳香族ポリサルホン樹脂は、下記構造単位〔15〕又は〔16〕を有してもよい。 【0055】 【化16】
【0056】(式〔15〕中R1とpの定義は、式〔14〕における定義と同じであり、Xは炭素数1〜20の有機基、カルボニル基、2価の硫黄原子又は酸素原子を表す) 【0057】 【化17】
【0058】(式〔16〕中、R1とpの定義は、式〔14〕における定義と同じであり、qは1〜3の数を表す。) 【0059】芳香族ポリサルホン樹脂が上記構造単位〔14〕及び〔15〕を有する場合、〔14〕/〔15〕のモル比率は、通常0.5〜50モル%の範囲が好ましい。 【0060】また、上記構造単位〔14〕及び〔16〕を有する場合、〔14〕/〔16〕のモル比率は、通常1.0〜20モル%の範囲が好ましい。 【0061】上記構造単位〔15〕の例としては、下記構造単位〔15a〕〜〔15d〕が挙げられる。 【0062】 【化18】
【0063】上記構造単位〔16〕の例としては、下記構造単位〔16a〕、〔16b〕が挙げられる。 【0064】 【化19】
【0065】本発明で使用する熱可塑性樹脂(A)の一つである芳香族ポリサルホン樹脂の分子末端構造としては、例えば、−Clなどのハロゲンや、−OH、−OM(Mはアルカリ金属等の金属原子)、−OR(Rはアルキル基)等が挙げられる。分子末端構造の種類、比率については、芳香族ポリサルホン樹脂の製造条件等によって適宜調整することができる。 【0066】本発明で使用するホウ酸金属塩(B)としては、金属元素の価数が1〜3価の何れかの価数の塩であり、例えば、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸クロム、ホウ酸マンガン、ホウ酸鉄、ホウ酸コバルト、ホウ酸ニッケル、ホウ酸銅、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸ガリウム、ホウ酸ストロンチウム、ホウ酸イットリウム、ホウ酸ジルコニウム、ホウ酸ニオブ、ホウ酸モリブデン、ホウ酸鉛、ホウ酸バリウム、ホウ酸タングステン、ホウ酸リチウム等が挙げられるが、好ましくはホウ酸アルミニウム、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸ニッケルであり、より好ましくはホウ酸アルミニウムである。 【0067】本発明で使用するホウ酸金属塩(B)の形態は、特に限定せず、ペレットのような粒状でもあるいは粉状でも更には繊維状でも構わない。 【0068】繊維状のホウ酸金属塩(B)としては、例えば、ホウ酸アルミニウム繊維が挙げられ、市販品として例えば「アルボレックス Y」(四国化成工業(株)製)の名称で入手可能である。 【0069】また、本発明で使用するホウ酸金属塩(B)は、シランカップリング剤あるいはチタンカップリング剤等の表面処理剤で表面処理したものを使用することができる。 【0070】本発明でのホウ酸金属塩(B)の配合割合は、本発明の熱可塑性樹脂成形物品の性能を損なわない範囲で使用することができ、熱可塑性樹脂(A)30〜99重量部に対し、上記ホウ酸金属塩(B)を好ましくは70〜1重量部の範囲である。 【0071】更に、本発明の熱可塑性樹脂成形物品は、組成物として繊維状強化材(C−1)及び/又は無機質フィラー(C−2)を含有してもよい。本発明で使用する繊維状強化材(C−1)としては、例えば、ガラス繊維、PAN系又はピッチ系の炭素繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化ケイ素繊維、ホウ素繊維、チタン酸カリウム繊維、更にステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真ちゅう等の金属の繊維状物の無機質繊維状物質、及びアラミド繊維等の有機質繊維状物質等が挙げられ、これらの中でも、ガラス繊維が特に好ましい。また、無機質フィラー(C−2)としては、例えば、マイカ、タルク、ワラステナイト、セリサイト、カオリン、クレー、ベントナイト、アスベスト、アルミナシリケート、ゼオライト、パイロフィライトなどの珪酸塩や炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、アルミナ、酸化マグネシウム、シリカ、ジルコニア、チタニア、酸化鉄などの金属酸化物、ガラスビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、燐酸カルシウムなどが挙げられる。これらの繊維状強化材(C−1)及び/又は無機質フィラー(C−2)は、単独使用でも2種以上を併用してもよい。 【0072】本発明で使用できる繊維状強化材(C−1)及び/又は無機質フィラー(C−2)の配合量は、本発明の熱可塑性樹脂成形物品の性能を損なわない範囲で使用することができ、前記した熱可塑性樹脂(A)とホウ酸金属塩(B)との合計量100重量部に対し、上記繊維状強化材(C−1)及び/又は無機質フィラー(C−2)を好ましくは1〜200重量部の範囲である。また、繊維用強化材(C−1)及び/又は無機質フィラー(C−2)は、本発明の熱可塑性樹脂成形物品の性能を損なわない範囲で、シランカップリング剤あるいはチタンカップリング剤等の表面処理剤で表面処理を施したものであってもよい。 【0073】また、本発明の熱可塑性樹脂成形物品は、組成物としてシラン化合物(D)を含有してもよい。該シラン化合物(D)としては、例えば、アミノアルコキシシラン、エポキシアルコキシシラン、ビニルアルコキシシランなどの1種又は2種以上である。 【0074】上記アミノアルコキシシランとしては、1分子中にアミノ基を1個以上有し、アルコキシ基を2個以上有するシラン化合物であれば何れのものでも有効であり、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、 N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。 【0075】また、エポキシアルコキシシランとしては、1分子中にエポキシ基を1個以上有し、アルコキシ基を2個以上有するシラン化合物であれば何れのものでも有効であり、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。 【0076】更に、ビニルアルコキシシランとしては、1分子中にビニル基を1個以上有し、アルコキシ基を2個以上有するシラン化合物であればいずれのものでも有効であり、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シランなどが挙げられる。 【0077】本発明で使用できるシラン化合物の配合量は、前記した熱可塑性樹脂(A)とホウ酸金属塩(B)との合計量100重量部に対し、好ましくは0.01〜5重量部であり、より好ましくは0.1〜2重量部である。 【0078】また、本発明で云うはんだ付けされる基体の表面温度とは、表面実装方式におけるはんだ付け工程において、実際に測定した基体の表面上の温度を意味する。該基体の具体例としては、表面実装方式におけるプリント印刷された配線基板や回路基板等が挙げられる。 【0079】本発明の熱可塑性樹脂成形物品は、少なくとも成分(A)と成分(B)からなる組成物を用いてなり、成分(A)が融点又はガラス転移点が220℃以上である少なくとも1種の熱可塑性樹脂であり、成分(B)がホウ酸金属塩であり、該組成物がはんだ付けされる基体の表面温度が220℃以上となる条件下で、該基体にはんだ付けされたことを特徴とする。また、本発明の熱可塑性樹脂成形物品は、該組成物がはんだ付けされる基体の表面温度が240℃以上となる条件下で該基体にはんだ付けされた成形物品であってもよい。また、本発明の熱可塑性樹脂成形物品は、該組成物がはんだ付けされる基体の表面温度が260℃以上となる条件下で該基体にはんだ付けされた成形物品であってもよい。また、本発明の熱可塑性樹脂成形物品は、該組成物がはんだ付けされる基体の表面温度が280℃以上となる条件下で該基体にはんだ付けされた成形物品であってもよい。ここで該組成物がはんだ付けされる基体の表面温度が220℃以上となる条件では、該組成物が融解又は変形を生じることなく、該基体にはんだ付けすることができる。一方、該組成物がはんだ付けされる基体の表面温度が240℃以上となる条件でも、また、該組成物がはんだ付けされる基体の表面温度が260℃以上となる条件でも、更には該組成物がはんだ付けされる基体の表面温度が280℃以上となる条件でも、該組成物が融解又は変形を生じることなく、該基体にはんだ付けすることは可能である。 【0080】本発明の熱可塑性樹脂成形物品を得るためのはんだ付け工程としては、例えば、表面実装方式が挙げられ、この表面実装方式での加熱炉(リフロー炉)中での加熱方式には、■ヒーター上を移動する耐熱ベルトの上に基板を載せて加熱する熱伝導方式、■約220℃の沸点を有するフッ素系液体の凝集時の潜熱を利用するベーパーフェイズソルダリング(VPS)方式、■熱風を強制的に循環させているところを通す熱風対流熱伝達方式、■赤外線により基板の上部又は上下両面から加熱する赤外線方式、■熱風による加熱と赤外線による加熱を組み合わせて用いる方式等があり、本発明では何れの加熱方式を用いてもよい。特に好ましくは、はんだ付け工程で赤外線による加熱方式により得られる熱可塑性樹脂成形物品である。はんだ付け工程で赤外線による加熱方式を用いる利点としては、■ランニングコスト、メンテナンス性が優れている、■はんだ付け処理時間が短いことなどが挙げられる。 【0081】また、本発明で使用する熱可塑性樹脂(A)に、ポリフェニレンエーテルを添加することにより成形物品の耐熱性が更に向上し、本発明の熱可塑性樹脂成形物品をより容易にはんだ付け工程によって形成することが可能となる。 【0082】本発明で使用するポリフェニレンエーテル(以後、PPEと記す)は、下記一般式〔17〕で示される単環式フェノールの1種類以上を重縮合して得ることができる。 【0083】 【化20】
【0084】(但し、R1は炭素数1〜3のアルキル基、R2及びR3は水素又は炭素数1〜3のアルキル基である。) 尚、上記PPEは、単独重合体であっても共重合体であっても構わない。 【0085】前記一般式〔17〕で示される単環式フェノールとしては、例えば、2,6−ジメチルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2,6−ジプロピルフェノール、2−メチル−6−エチルフェノール、2−メチル−6−プロピルフェノール、2−エチル−6−プロピルフェノール、m−クレゾール、2,3−ジメチルフェノール、2,3−ジエチルフェノール、2,3−ジプロピルフェノール、2−メチル−3−エチルフェノール、2−メチル−3−プロピルフェノール、2−エチル−3−メチルフェノール、2−エチル−3−プロピルフェノール、2−プロピル−3−メチルフェノール、2−プロピル−3−エチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,3,6−トリエチルフェノール、2,3,6−トリプロピルフェノール、2,6−ジメチル−3−エチルフェノール、2,6−ジメチル−3−プロピルフェノール等が挙げられる。 【0086】本発明で使用するPPEとしては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリエチルフェノール共重合体、2,6−ジエチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体、2,6−ジプロピルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体などや、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルや2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体などにスチレンをグラフト重合した共重合体等が挙げられる。特に好ましいPPEは、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルや2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体である。 【0087】本発明で必要に応じて加えられるPPEの配合量は、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対し、好ましくは0.5〜50重量部であり、より好ましくは1〜30重量部である。 【0088】また、本発明で使用するPPEを変性する不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸無水物としては、全炭素数が3〜10のものが挙げられる。尚、ここで全炭素数とは、カルボン酸由来の炭素も含めて数えたものを云う。かかる化合物としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、クロロマレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等で例示されるα、β−不飽和ジカルボン酸;アクリル酸、クロトン酸、ビニル酢酸、メタクリル酸、ペンテン酸、アンゲリカ酸等で例示される不飽和モノカルボン酸;これらのα、β−不飽和ジカルボン酸及び不飽和モノカルボン酸の無水物等を挙げることができる。これらの中で好ましいものは、マレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸であり、最も好ましいものは無水マレイン酸である。変性したPPEは、例えば、予めPPEに変性剤を添加して溶融混練することによって製造することができる。 【0089】本発明でPPEの変性に使用する不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸無水物の配合量は、PPE100重量部に対し、好ましくは0.01〜5重量部である。 【0090】また、本発明の成形物品に使用する前記組成物には、可塑剤、離型剤、着色剤、滑剤、耐熱安定剤、耐候性安定剤、発泡剤、防錆剤、難燃剤、ワックス等を本発明の目的を阻害しない範囲で適量添加してもよい。 【0091】本発明の成形物品は、電気・電子、車輌、家電、建築、サニタリー、スポーツ、雑貨等の幅広い分野で使用することができる。具体的な用途としては、コネクター、スイッチ、センサー、ソケット、コンデンサー、ジャック、ヒューズホルダー、リレー、コイルボビン、抵抗器、ICやLEDのハウジング、ギア、ベアリングリテーナー、スプリングホルダー、チェインテンショナー、ワッシャー、ウォームホイール、ベルト、フィルター、各種ハウジング、オートテンショナー及びウェイトローラー、ブレーカーパーツ、クラッチパーツ等が挙げられる。これらの中でも、表面実装方式対応用のコネクター、スイッチ、センサー、抵抗器、リレー、コンデンサー、ソケット、ジャック、ヒューズホルダー、コイルボビン、ICやLEDのハウジング等に有用である。 【0092】 【実施例】以下に、本発明を実施例により、一層具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例の範囲に限定されるものではない。 【0093】[参考例1]サーモトロピック液晶ポリエステル樹脂の合成ハイドロキノン55.1g(0.5モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル93.1g(0.5モル)、テレフタル酸116.3g(0.7モル)、2,6−ジカルボキシナフタレン64.9g(0.3モル)、p−ヒドロキシ安息香酸621.5g(4.5モル)、無水酢酸612.5g(6モル)を冷却器及び撹拌機を備えた反応容器中に仕込み窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら昇温し、170℃で60分環流した。次いで、副生成物の酢酸を除去しながら4時間かけて反応容器を370℃に徐々に上昇させ、更に、370℃で反応系を25kPaに減圧した。更にその温度で副生成物の酢酸を除去しながら圧力を2時間にわたって0.5〜1kPaまで減圧し重合を行った。次いで、370℃で1時間重合を行った。この間に副生する酢酸を除去しながら、強力な撹拌下で重合を行い、その後、系を徐々に冷却し、200℃で得られたポリマーを系外へ取出した。示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC7)を用いて融点を測定(JIS K 7121に準拠)した結果、融点は350℃であった。 【0094】[参考例2]無水マレイン酸変性PPEの合成PPE97重量部と無水マレイン酸3重量部をタンブラーで均一に混合し、次いで東芝機械(株)製のベント付き2軸押出機「TEM−35B」を用いて溶融混練し、無水マレイン酸変性PPEのペレットを得た。尚、PPEはポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルを用い、使用したPPEの固有粘度(30℃、クロロホルム中での測定値)は0.45dl/gであった。 【0095】[実施例1]及び[実施例16] PPS(大日本インキ化学工業(株)製、品名:DSP LR−03G)60重量部と、ホウ酸アルミニウム粉末40重量部をタンブラーで均一に混合した。次いで東芝機械(株)製のベント付き2軸押出機「TEM−35B」を用いて溶融混練し、該組成物のペレットを得た。 【0096】[実施例2]及び[実施例17] PPS(大日本インキ化学工業(株)製、品名:DSP LR−03G)60重量部と、ホウ酸マグネシウム粉末40重量部をタンブラーで均一に混合した。次いで東芝機械(株)製のベント付き2軸押出機「TEM−35B」を用いて溶融混練し、該組成物のペレットを得た。 【0097】[実施例3]及び[実施例18] PPS(大日本インキ化学工業(株)製、品名:DSP LR−03G)60重量部と、ホウ酸ニッケル粉末40重量部をタンブラーで均一に混合した。次いで東芝機械(株)製のベント付き2軸押出機「TEM−35B」を用いて溶融混練し、該組成物のペレットを得た。 【0098】[実施例4]及び[実施例19] PPS(大日本インキ化学工業(株)製、品名:DSP LR−03G)60重量部と、ホウ酸アルミニウム繊維40重量部をタンブラーで均一に混合した。次いで東芝機械(株)製のベント付き2軸押出機「TEM−35B」を用いて溶融混練し、該組成物のペレットを得た。 【0099】[実施例5]PPS(大日本インキ化学工業(株)製、品名:DSP LR−03G)60重量部、ホウ酸アルミニウム繊維20重量部をタンブラーで均一に混合した。次いで東芝機械(株)製のベント付き2軸押出機「TEM−35B」を用いて、サイドフィーダーから繊維径10μm、長さ3mmのガラス繊維チョップドストランドを20重量部供給しながら溶融混練し、該組成物のペレットを得た。 【0100】[実施例6]PPS(大日本インキ化学工業(株)製、品名:DSP LR−03G)50重量部、ホウ酸アルミニウム繊維40重量部、及び参考例2で押し出した無水マレイン酸変性PPE10重量部をタンブラーで均一に混合した。次いで東芝機械(株)製のベント付き2軸押出機「TEM−35B」を用いて溶融混練し、該組成物のペレットを得た。 【0101】[実施例7]PPS(大日本インキ化学工業(株)製、品名:DSP LR−03G)50重量部、ホウ酸アルミニウム繊維30重量部、及び参考例2で押し出した無水マレイン酸変性PPE10重量部をタンブラーで均一に混合した。次いで東芝機械(株)製のベント付き2軸押出機「TEM−35B」を用いて、サイドフィーダーから繊維径10μm、長さ3mmのガラス繊維チョップドストランドを10重量部供給しながら溶融混練し、該組成物のペレットを得た。 【0102】[実施例8]PPS(大日本インキ化学工業(株)製、品名:DSP LR−03G)50重量部、ホウ酸アルミニウム繊維20重量部、及び参考例2で押し出した無水マレイン酸変性PPE10重量部をタンブラーで均一に混合した。次いで東芝機械(株)製のベント付き2軸押出機「TEM−35B」を用いて、サイドフィーダーから繊維径10μm、長さ3mmのガラス繊維チョップドストランドを20重量部供給しながら溶融混練し、該組成物のペレットを得た。 【0103】[実施例9]PPS(大日本インキ化学工業(株)製、品名:DSP LR−03G)50重量部、ホウ酸アルミニウム繊維20重量部、及びPPE10重量部をタンブラーで均一に混合した。次いで東芝機械(株)製のベント付き2軸押出機「TEM−35B」を用いて、サイドフィーダーから繊維径10μm、長さ3mmのガラス繊維チョップドストランドを20重量部供給しながら溶融混練し、該組成物のペレットを得た。 【0104】[実施例10]PPS(大日本インキ化学工業(株)製、品名:DSP LR−03G)35重量部、ホウ酸アルミニウム繊維20重量部、参考例2で押し出した無水マレイン酸変性PPE5重量部、及び炭酸カルシウム粉末(丸尾カルシウム(株)製)20重量部をタンブラーで均一に混合した。次いで東芝機械(株)製のベント付き2軸押出機「TEM−35B」を用いて、サイドフィーダーから繊維径10μm、長さ3mmのガラス繊維チョップドストランドを20重量部供給しながら溶融混練し、該組成物のペレットを得た。 【0105】[実施例11]PPS(大日本インキ化学工業(株)製、品名:DSP LR−03G)40重量部、ホウ酸アルミニウム繊維20重量部、参考例2で押し出した無水マレイン酸変性PPE20重量部をタンブラーで均一に混合した。次いで東芝機械(株)製のベント付き2軸押出機「TEM−35B」を用いて、サイドフィーダーから繊維径10μm、長さ3mmのガラス繊維チョップドストランドを20重量部供給しながら溶融混練し、該組成物のペレットを得た。 【0106】[実施例12]及び[実施例20] 参考例1で合成したサーモトロピック液晶ポリエステル樹脂60重量部、ホウ酸アルミニウム繊維40重量部をタンブラーで均一に混合した。次いで東芝機械(株)製のベント付き2軸押出機「TEM−35B」を用いて溶融混練し、該組成物のペレットを得た。 【0107】[実施例13]及び[実施例21] 相対粘度が0.9であるポリブチレンテレフタレート樹脂(合成品)60重量部、ホウ酸アルミニウム繊維40重量部をタンブラーで均一に混合した。次いで東芝機械(株)製のベント付き2軸押出機「TEM−35B」を用いて溶融混練し、該組成物のペレットを得た。 【0108】[実施例14]テレフタル酸、ヘキサメチレンジアミン、及びアジピン酸を重合して得た、相対粘度が2.6(測定溶媒:96%硫酸、試料濃度1g/dl、測定温度25℃)であり、融点が325℃であるポリアミド樹脂(合成品)60重量部、ホウ酸アルミニウム繊維40重量部をタンブラーで均一に混合した。次いで東芝機械(株)製のベント付き2軸押出機「TEM−35B」を用いて溶融混練し、該組成物のペレットを得た。 【0109】[実施例15]芳香族ポリサルホン樹脂(住友化学工業(株)製、品名:スミカエクセルPES4100P)60重量部、ホウ酸アルミニウム繊維40重量部をタンブラーで均一に混合した。次いで東芝機械(株)製のベント付き2軸押出機「TEM−35B」を用いて溶融混練し、該組成物のペレットを得た。 【0110】[比較例1]及び[比較例7] PPS(大日本インキ化学工業(株)製、品名:DSP LR−03G)60重量部をタンブラーで均一に混合した。次いで東芝機械(株)製のベント付き2軸押出機「TEM−35B」を用いて、サイドフィーダーから繊維径10μm、長さ3mmのガラス繊維チョップドストランドを40重量部供給しながら溶融混練し、該組成物のペレットを得た。 【0111】[比較例2]PPS(大日本インキ化学工業(株)製、品名:DSP LR−03G)50重量部、及び参考例2で押し出した無水マレイン酸変性PPE10重量部をタンブラーで均一に混合した。次いで東芝機械(株)製のベント付き2軸押出機「TEM−35B」を用いて、サイドフィーダーから繊維径10μm、長さ3mmのガラス繊維チョップドストランドを40重量部供給しながら溶融混練し、該組成物のペレットを得た。 【0112】[比較例3]及び[比較例8] 参考例1で合成したサーモトロピック液晶ポリエステル樹脂60重量部を東芝機械(株)製のベント付き2軸押出機「TEM−35B」を用いて、サイドフィーダーから繊維径10μm、長さ3mmのガラス繊維チョップドストランドを40重量部供給しながら溶融混練し、該組成物のペレットを得た。 【0113】[比較例4]相対粘度が0.9であるポリブチレンテレフタレート樹脂(合成品)60重量部を東芝機械(株)製のベント付き2軸押出機「TEM−35B」を用いて、サイドフィーダーから繊維径10μm、長さ3mmのガラス繊維チョップドストランドを40重量部供給しながら溶融混練し、該組成物のペレットを得た。 【0114】[比較例5]テレフタル酸、ヘキサメチレンジアミン、及びアジピン酸を重合して得た、相対粘度が2.6(測定溶媒:96%硫酸、試料濃度1g/dl、測定温度25℃)であり、融点が325℃であるポリアミド樹脂(合成品)60重量部を東芝機械(株)製のベント付き2軸押出機「TEM−35B」を用いて、サイドフィーダーから繊維径10μm、長さ3mmのガラス繊維チョップドストランドを40重量部供給しながら溶融混練し、該組成物のペレットを得た。 【0115】[比較例6]芳香族ポリサルホン樹脂(住友化学工業(株)製、品名:スミカエクセル PES4100P)60重量部を東芝機械(株)製のベント付き2軸押出機「TEM−35B」を用いて、サイドフィーダーから繊維径10μm、長さ3mmのガラス繊維チョップドストランドを40重量部供給しながら溶融混練し、該組成物のペレットを得た。 【0116】実施例、比較例中の各種特性の測定は以下の方法により測定した。 (1)〔はんだリフロー加熱後の曲げ強度の測定方法〕 該組成物より得られたペレットを用いて射出成形機により、厚さ1.6mmの試験片を成形し、ASTM D790に準じて加熱後の曲げ強度を測定した。加熱は実施例1〜15及び比較例1〜6については赤外線リフロー装置で行い、実施例16〜21、比較例7及び比較例8については熱風対流熱伝達リフロー装置で行った。加熱条件としては、それぞれ180℃で100秒間予備加熱した後、基体表面が目的温度に到達するまで表1に示す条件で加熱保持を行った。例えば、基体表面を280℃まで到達させるためには、200℃以上の領域で100秒間、220℃以上の領域で90秒間、240℃以上の領域で80秒間、260℃以上の領域で60秒間となるように温度プロファイル(温度曲線)をリフロー装置にて設定を行い、加熱保持を行う。 【0117】(2)〔はんだ付け時の成形物品の外観評価方法〕 該組成物より得られたペレットを用いて射出成形機により、形状が縦70mm×横10mm×高さ8mm、0.8mm厚さの箱形コネクターを成形し、この成形物品を基板の上に載せて、前述の(1)と同条件で加熱した。外観評価は加熱後に箱形コネクターを目視観察し、下記の3段階の基準で評価した。 A;外観に変化は見られない。 B;表面荒れが観測される。 C;融解及び/又は変形が観測される。 【0118】実施例1〜21、比較例1〜8で得た該組成物のペレットを上記の方法により評価した結果を表2に示す。 【0119】実施例1は、赤外線加熱方式により、且つ熱可塑性樹脂(A)としてPPS樹脂を用い、ホウ酸金属塩(B)としてホウ酸アルミニウム粉末を使用した例であるが、基体の表面温度が280℃まで上昇しても曲げ強度の低下はなく、外観上の変化も認められなかった。 【0120】実施例2は、赤外線加熱方式により、且つ熱可塑性樹脂(A)としてPPS樹脂を用い、ホウ酸金属塩(B)としてホウ酸マグネシウム粉末を使用した例であるが、基体の表面温度が280℃まで上昇しても曲げ強度の低下はなく、外観上の変化も認められなかった。 【0121】実施例3は、赤外線加熱方式により、且つ熱可塑性樹脂(A)としてPPS樹脂を用い、ホウ酸金属塩(B)としてホウ酸ニッケル粉末を使用した例であるが、基体の表面温度が280℃まで上昇しても曲げ強度の低下はなく、外観上の変化も認められなかった。 【0122】実施例4〜11は、赤外線加熱方式により、且つ熱可塑性樹脂(A)としてPPS樹脂を用い、ホウ酸金属塩(B)としてホウ酸アルミニウム繊維を使用した例であるが、基体の表面温度が280℃まで上昇しても曲げ強度の低下はなく、外観上の変化も認められなかった。 【0123】実施例12は、赤外線加熱方式により、且つ熱可塑性樹脂(A)としてサーモトロピック液晶ポリエステル樹脂を用い、ホウ酸金属塩(B)としてホウ酸アルミニウム繊維を使用した例であるが、基体の表面温度が280℃まで上昇しても曲げ強度の低下はなく、外観上の変化も認められなかった。 【0124】実施例13は、赤外線加熱方式により、且つ熱可塑性樹脂(A)としてポリブチレンテレフタレート樹脂を用い、ホウ酸金属塩(B)としてホウ酸アルミニウム繊維を使用した例であるが、基体の表面温度が260℃においても溶融しなかった。 【0125】実施例14は、赤外線加熱方式により、且つ熱可塑性樹脂(A)としてポリアミド樹脂を用い、ホウ酸金属塩(B)としてホウ酸アルミニウム繊維を使用した例であるが、基体の表面温度が280℃まで上昇しても曲げ強度の低下はなく、外観上の変化も認められなかった。 【0126】実施例15は、赤外線加熱方式により、且つ熱可塑性樹脂(A)として芳香族ポリサルホン樹脂を用い、ホウ酸金属塩(B)としてホウ酸アルミニウム繊維を使用した例であるが、基体の表面温度が260℃においても軟化する現象は認められなかった。 【0127】実施例16は、熱風対流加熱方式により、且つ熱可塑性樹脂(A)としてPPS樹脂を用い、ホウ酸金属塩(B)としてホウ酸アルミニウム粉末を使用した例であるが、基体の表面温度が280℃まで上昇しても曲げ強度の低下はなく、外観上の変化も認められなかった。 【0128】実施例17は、熱風対流加熱方式により、且つ熱可塑性樹脂(A)としてPPS樹脂を用い、ホウ酸金属塩(B)としてホウ酸マグネシウム粉末を使用した例であるが、基体の表面温度が280℃まで上昇しても曲げ強度の低下はなく、外観上の変化も認められなかった。 【0129】実施例18は、熱風対流加熱方式により、且つ熱可塑性樹脂(A)としてPPS樹脂を用い、ホウ酸金属塩(B)としてホウ酸ニッケル粉末を使用した例であるが、基体の表面温度が280℃まで上昇しても曲げ強度の低下はなく、外観上の変化も認められなかった。 【0130】実施例19は、熱風対流加熱方式により、且つ熱可塑性樹脂(A)としてPPS樹脂を用い、ホウ酸金属塩(B)としてホウ酸アルミニウム繊維を使用した例であるが、基体の表面温度が280℃まで上昇しても曲げ強度の低下はなく、外観上の変化も認められなかった。 【0131】実施例20は、熱風対流加熱方式により、且つ熱可塑性樹脂(A)としてサーモトロピック液晶ポリエステル樹脂を用い、ホウ酸金属塩(B)としてホウ酸アルミニウム繊維を使用した例であるが、基体の表面温度が280℃まで上昇しても曲げ強度の低下はなく、外観上の変化も認められなかった。 【0132】実施例21は、熱風対流加熱方式により、且つ熱可塑性樹脂(A)としてポリブチレンテレフタレート樹脂を用い、ホウ酸金属塩(B)としてホウ酸アルミニウム繊維を使用した例であるが、基体の表面温度が260℃においても溶融しなかった。 【0133】比較例1及び比較例2は、赤外線加熱方式により、且つ熱可塑性樹脂(A)としてPPS樹脂を用い、ホウ酸金属塩(B)を使用しない例であるが、基体の表面温度が特に220℃以上において曲げ強度が低下し、外観でも特に260℃以上において表面荒れが観察された。 【0134】比較例3は、赤外線加熱方式により、且つ熱可塑性樹脂(A)としてサーモトロピック液晶ポリエステル樹脂を用い、ホウ酸金属塩(B)を使用しない例であるが、基体の表面温度が特に220℃以上において曲げ強度が低下し、外観でも特に280℃下において表面荒れが観察された。 【0135】比較例4は、赤外線加熱方式により、且つ熱可塑性樹脂(A)としてポリブチレンテレフタレート樹脂を用い、ホウ酸金属塩(B)を使用しない例であるが、基体の表面温度が220℃下で大幅に曲げ強度が低下し、基体の表面温度が220℃で溶融する現象が見られた。 【0136】比較例5は、赤外線加熱方式により、且つ熱可塑性樹脂(A)としてポリアミド樹脂を用い、ホウ酸金属塩(B)を使用しない例であるが、基体の表面温度が特に220℃以上において曲げ強度が低下し、外観でも特に280℃下において表面荒れが観察された。 【0137】比較例6は、赤外線加熱方式により、且つ熱可塑性樹脂(A)として芳香族ポリサルホン樹脂を用い、ホウ酸金属塩(B)を使用しない例であるが、基体の表面温度が220℃で軟化流動化する現象が認められた。 【0138】比較例7は、熱風対流加熱方式により、且つ熱可塑性樹脂(A)としてPPS樹脂を用い、ホウ酸金属塩(B)を使用しない例であるが、基体の表面温度が特に220℃以上において曲げ強度が低下し、外観でも特に260℃以上で表面荒れが観察された。 【0139】比較例8は、熱風対流加熱方式により、且つ熱可塑性樹脂(A)としてサーモトロピック液晶ポリエステル樹脂を用い、ホウ酸金属塩(B)を使用しない例であるが、基体の表面温度が特に220℃以上において曲げ強度が低下し、外観でも280℃下で表面荒れが観察された。 【0140】 【表1】
【0141】 【表2】
【0142】 【表3】
【0143】 【表4】
【0144】 【表5】
【0145】 【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂成形物品は、優れた耐熱性を有し、はんだ付けされる基体が高温下に曝されても、はんだ付け行程後の基体上の成形物品の強度変化、及び外観変化が非常に小さく、特に電気・電子分野におけるコネクター、スイッチ、リレー、コイルボビン等の電子部品の表面実装方式(サーフェスマウント方式;SMT方式)におけるプリント基板上へのはんだ付け方法に有効である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002886 【氏名又は名称】大日本インキ化学工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成14年1月30日(2002.1.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100088764 【弁理士】 【氏名又は名称】高橋 勝利
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| 【公開番号】 |
特開2003−221511(P2003−221511A) |
| 【公開日】 |
平成15年8月8日(2003.8.8) |
| 【出願番号】 |
特願2002−21569(P2002−21569) |
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