トップ :: C 化学 冶金 :: C08 有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物




【発明の名称】 室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物
【発明者】 【氏名】三宅 容慈
【住所又は居所】千葉県市原市千種海岸2番2 東レ・ダウコ−ニング・シリコ−ン株式会社研究開発本部内

【氏名】堀 誠司
【住所又は居所】千葉県市原市千種海岸2番2 東レ・ダウコ−ニング・シリコ−ン株式会社研究開発本部内

【氏名】深山 美代治
【住所又は居所】千葉県市原市千種海岸2番2 東レ・ダウコ−ニング・シリコ−ン株式会社生産本部千葉工場内

【要約】 【課題】硬化に時に臭気等によって作業環境を悪化させることがなく、ガラス、プラスチック、金属等の各種基材に対して良好な接着性を示し、硬化後は、接着耐久性に優れ、温水浸漬等の苛酷な環境下においてさえその接着力を保持し、ゴム物性も殆んど低下しないシリコーンゴムとなり得る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供する。

【解決手段】(A)(A−1)分子鎖両末端がシラノール基またはアルコキシ基で封鎖されているジオルガノポリシロキサンと(A−2)分子鎖片末端がシラノール基またはアルコキシ基で封鎖され、もう一方の分子鎖片末端がアルキル基またはアルケニル基で封鎖されたジオルガノポリシロキサンとからなる単一物または混合物、(B)ジシラアルカン化合物、(C)アミノアルキルアルコキシシランとエポキシアルキルアルコキシシランとの反応混合物、(D)硬化触媒からなることを特徴とする組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)(A−1)一般式(1):【化1】

{式中、R1は水素原子またはアルキル基またはアルコキシアルキル基であり、R2はアルキル基またはアルコキシアルキル基であり、R3は一価炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基およびシアノアルキル基から選ばれる基であり、R1がアルキル基またはアルコキシアルキル基である場合は、aは0、1または2であり、R1が水素原子である場合は、aは2である。Yは酸素原子、二価炭化水素基、または一般式(2):【化2】

(式中、R3は前記と同じであり、Zは二価炭化水素基である。)で示される基であり、nは25℃における粘度が20〜1,000,000 mPa・sとなるような数を表わす。}で示されるジオルガノポリシロキサン(20〜100重量部)と(A−2)一般式(3):【化3】

(式中、R1、R2、R3、Y、aは前記と同じであり、R4はアルキル基またはアルケニル基であり、mは25℃における粘度が20〜1,000,000mPa・sとなるような数を表す。)で示されるジオルガノポリシロキサン(0〜80重量部)とからなるジオルガノポリシロキサン(100重量部)、(B)一般式(4):【化4】

(式中、R5およびR9はアルキル基またはアルコキシアルキル基であり、R6およびR8は一価炭化水素基であり、R7は置換または非置換のアルキレン基であり、アルキレン基の炭素原子数は4〜10であり、b、cは0または1である。)で示されるジシラアルカン化合物 (0.5〜15重量部)、および(C)(C−1)一般式(5):【化5】

(式中、Xは水素原子またはアミノアルキル基であり、R10は置換または非置換の二価炭化水素基であり、R5およびR6は前記のとおりであり、eは0または1である。)で示されるアミノアルキルアルコキシシランと(C−2)一般式(6):【化6】

(式中、Qはグリシドキシ基またはエポキシシクロヘキシル基であり、R5、R6、R10およびeは前記のとおりである。)で示されるエポキシアルキルアルコキシシランとの反応混合物(0.1〜10重量部)および(D)硬化触媒(0.001〜20重量部)からなることを特徴とする、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項2】 請求項1記載の組成物にさらに(E)一般式(7):【化7】

(式中、R5およびR6は前記のとおりであり、fは0または1である。)で示されるアルコキシシラン(0.5〜15重量部)を含むことを特徴とする、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項3】 (B)成分が1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサンである請求項1または請求項2記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項4】 (D)成分が有機スズ化合物である請求項1または請求項2に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項5】 (D)成分が有機チタン化合物である請求項1または請求項2に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項6】 建築用シーリング材である請求項1〜9のいずれか1項に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項7】 ガラスの接着用シーリング材である請求項1〜9のいずれか1項に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物に関するものであり、詳しくは、硬化途上で接触している各種基材に対する接着性に優れ、硬化後は、接着耐久性に優れたシリコーンゴムとなり得る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物に関する。
【0002】
【従来の技術とその解決すべき問題点】従来、分子鎖末端にシラノール基を有するジオルガノポリシロキサン、アルコキシシランおよびアミノアルキルアルコキシシランおよび硬化触媒からなる、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は知られている。しかしながら、この組成物を硬化させてなるシリコーンゴムは、耐水性に劣るという欠点を有しており、特に温水浸漬等の苛酷な環境下では接着力およびゴム物性が低下するという欠点があった。この欠点を解消するため、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物に1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタンなどのジシラアルカン化合物を添加した室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物が提案されている(特開昭64−60656号公報参照)。しかしながら、具体的に使用されたり、例示されているジシラアルカン化合物は、分子量が小さく、揮発性が高く、特異な臭気を発するため、組成物の調製時、特には混合物の脱泡時に揮発するために接着性等の特性が低下するという問題点、さらには組成物の調製時や硬化時に作業環境を悪化させるなどの問題点があった。
【0003】本発明者らは、これらの欠点、問題点を解消するために鋭意検討した結果本発明に到達した。すなわち、本発明者の目的は、上記のような問題点がなく、硬化に際しては臭気等によって作業環境を悪化させることがなく、ガラス、プラスチック、金属等の各種基材に対して良好な接着性を示し、硬化後は、接着耐久性に優れ、温水浸漬等の苛酷な環境下においてさえその接着力を保持し、ゴム物性も殆んど低下しないシリコーンゴムとなり得る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、「(A)(A−1)一般式(1):【化8】

{式中、R1は水素原子またはアルキル基またはアルコキシアルキル基であり、R2はアルキル基またはアルコキシアルキル基であり、R3は一価炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基およびシアノアルキル基から選ばれる基であり、R1がアルキル基またはアルコキシアルキル基である場合は、aは0、1または2であり、R1が水素原子である場合は、aは2である。Yは酸素原子、二価炭化水素基、または一般式(2):【化9】

(式中、R3は前記と同じであり、Zは二価炭化水素基である。)で示される基であり、nは25℃における粘度が20〜1,000,000 mPa・sとなるような数を表わす。}で示されるジオルガノポリシロキサン(20〜100重量部)と(A−2)一般式(3):【化10】

(式中、R1、R2、R3、Y、aは前記と同じであり、R4はアルキル基またはアルケニル基であり、mは25℃における粘度が20〜1,000,000mPa・sとなるような数を表す。)で示されるジオルガノポリシロキサン(0〜80重量部)とからなるジオルガノポリシロキサン(100重量部)、(B)一般式(4):【化11】

(式中、R5およびR9はアルキル基またはアルコキシアルキル基であり、R6およびR8は一価炭化水素基であり、R7は置換または非置換のアルキレン基であり、アルキレン基の炭素原子数は4〜10であり、b、cは0または1である。)で示されるジシラアルカン化合物 (0.5〜15重量部)、および(C)(C−1)一般式(5):【化12】

(式中、Xは水素原子またはアミノアルキル基であり、R10は置換または非置換の二価炭化水素基であり、R5およびR6は前記のとおりであり、eは0または1である。)で示されるアミノアルキルアルコキシシランと(C−2)一般式(6):【化13】

(式中、Qはグリシドキシ基またはエポキシシクロヘキシル基、R5、R6、R10およびeは前記のとおりである。)で示されるエポキシアルキルアルコキシシランとの反応混合物(0.1〜10重量部)および(D)硬化触媒(0.001〜20重量部)からなることを特徴とする、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物、および該組成物にさらに(E)一般式(7):【化14】

【0005】これを説明するに、(A)成分は本発明組成物の主剤となるものであり、これは(A−1)分子鎖両末端がシラノール基またはアルコキシ基で封鎖されているジオルガノポリシロキサン(20〜100重量部)と(A−2)分子鎖片末端がシラノール基またはアルコキシ基で封鎖され、もう一方の分子鎖片末端がアルキル基またはアルケニル基で封鎖されたジオルガノポリシロキサン(0〜80重量部)とからなる単一物または混合物である。本成分は、(A−2)成分が多すぎると硬化後のシリコーンゴムの強度が低下する傾向があるので、その混合比は、重量比で(A−1):(A−2)=(100:0)〜(20:80)の範囲にあることが好ましい。また、その粘度は低すぎると硬化後のシリコーンゴムの強度が低くなり、高すぎると製造時および使用時の作業性が低下するので、25℃における粘度が20〜1,000,000 mPa・sの範囲内にあることが必要であり、100〜100,000 mPa・sの範囲内にあることが好ましい。
【0006】(A−1)成分は、分子鎖両末端にシラノール基またはアルコキシ基またはアルコキシアルコキシ基を有するジオルガノポリシロキサンである。このようなジオルガノポリシロキサンは、上記一般式(1)中、R1は水素原子またはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基等のアルキル基;メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基等のアルコキシアルキル基であり、R2がメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基等のアルキル基;メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基等のアルコキシアルキル基である。R3はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルフロピル基等のアラルキル基;トリフルオロプロピル基、クロロプロピル基等のハロゲン化炭化水素基;β−シアノエチル基、γ−シアノプロピル基、γ―シアノプロピル基等のシアノアルキル基である。これらの中でも、メチル基が好ましい。YおよびZは二価炭化水素基であり、アルキレン基が好ましく、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が例示される。(A−1)成分は周知の方法はより合成することができる(例えば、特公平3−4566号公報、特開昭63−270762公報参照)。
【0007】(A−2)成分は分子鎖片末端のみにシラノール基またはアルコキシ基またはアルコキシアルコキシ基を有するジオルガノポリシロキサンである。この(A−2)成分は本発明組成物の硬化物であるシリコーンゴムのモジュラスを低くする働きをする。このような(A−2)成分は、上記一般式(3)中、R1、R2、R3、a、n、Zは上記(A−1)成分で説明したものと同じである。R4はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基である。このような(A−2)成分は、その25℃における粘度が20〜1,000,000 mPa・sであるが、100〜100,000 mPa・sが好ましい。このようなジオルガノポリシロキサンは周知の方法により合成することができる(特開平4−13767号公報、特開昭63−270762号公報参照)。
【0008】(B)成分は(A)成分の架橋剤としての働きをし、また、後述する(C)成分と併用することにより本発明組成物の各種基材に対する接着性を向上し、特に、硬化後のシリコーンゴムに耐水性を付与する働きをする。上記(B)成分を示す一般式(4)中、R6およびR8はメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基等のアリール基で例示される一価炭化水素基であり、低級アルキル基が好ましい。R5およびR9はメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;メトキシエチル基等のアルコキシアルキル基であり、その炭素原子数が4以下のものが好ましい。R7は置換または非置換のアルキレン基であり、炭素数は4〜10であり、5〜7が好ましい。非置換アルキレン基はブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基であり、その水素原子がメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビニル基、アリル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、3-クロロプロピル基によって置換されていても構わない。(B)成分はジェンとトリアルコキシシランまたはオルガノジアルコキシシランとをヒドロシリル化反応させるという周知の方法により合成することができる。
【0009】(B)成分の具体例としては、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ブタン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ブタン、1−メチルジメトキシシリル−4−トリメトキシシリルブタン、1−メチルジエトキシシリル−4−トリエトキシシリルブタン、1,4−ビス(メチルジメトキシシリル)ブタン、1,4−ビス(メチルジエトキシシリル)ブタン、1,5−ビス(トリメトキシシリル)ペンタン、1,5−ビス(トリエトキシシリル)ペンタン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ペンタン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ペンタン、1−メチルジメトキシシリル−5−トリメトキシシリルペンタン、1−メチルジエトキシシリル−5−トリエトキシシリルペンタン、1,5−ビス(メチルジメトキシシリル)ペンタン、1,5−ビス(メチルジエトキシシリル)ペンタン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、1,6−ビス(トリエトキシシリル)ヘキサン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、1,5−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、2,5−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、1−メチルジメトキシシリル−6−トリメトキシシリルヘキサン、1−フェニルジエトキシシリル−6−トリエトキシシリルヘキサン、1,6−ビス(メチルジメトキシシリル)ヘキサン、1,7−ビス(トリメトキシシリル)ヘプタン、2,5−ビス(トリメトキシシリル)ヘプタン、2,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘプタン、1,8−ビス(トリメトキシシリル)オクタン、2,5−ビス(トリメトキシシリル)オクタン、2,7−ビス(トリメトキシシリル)オクタン、1,9−ビス(トリメトキシシリル)ノナン、2,7−ビス(トリメトキシシリル)ノナン、1,10−ビス(トリメトキシシリル)デカン、3,8−ビス(トリメトキシシリル)デカンが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、また2種以上を混合しても良い。
【0010】(B)成分の配合量は、(A)成分100重量部に対して0.5〜15重量部であるが、(A)成分を示す一般式(1)中、R1が水素原子である場合は、(B)成分中のアルコキシ基のモル数が(A)成分中のシラノール基のモル数を上回るような量とすることが好ましい。また(A)成分を示す一般式(1)中、R1がアルキル基またはアルコキシアルキル基である場合は、(B)成分の配合量は(A)成分100重量部に対して2〜15重量部であることが好ましい。
【0011】(C)成分は本発明組成物に接着性を付与剤する働きをし、かつ、水もしくは温水浸漬後の接着力低下を防止するという働きをする。(C)成分のうち、(C−1)成分を示す一般式(5)中、アミノアルキル基としては、γ−アミノプロピル基が例示され、R10はアルキレン基が好ましくR7と同様なものが例示され、R5とR6は、前記したものと同様なものが例示される。(C−2)成分を示す一般式(6)中、R5、R6、R10およびeは前記のとおりである。ここで、(C−1)成分の具体例としては、α―アミノメチルトリエトキシシラン、γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、γ―アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノメチルトリブトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ―アニリノプロピルトリエトキシシランが挙げられる。(C−2)成分の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルメチルジメトキシシランが挙げられる。
【0012】(C)成分は、上記した(C−1)成分所定量と(C−2)成分所定量を反応容器に仕込み、常温もしくは加熱下に混合し反応させることによって容易に得られる。この反応に際しては、(C−1)成分と(C−2)成分の比率はモル比で1:1〜1:5が好ましくは、1:1〜1:4がより好ましい。反応温度は20〜50℃が好ましく、15〜40℃がより好ましい。モル比が上記範囲から外れると温水浸漬下での接着力が低下する傾向があり、また、反応温度が50℃以上になると、反応混合物がゲル化したり、良好なゴム物性が得られなくなる傾向にある。
【0013】(C)成分の配合量は、(A)成分100重量部に対して0.1〜10重量部であり、好ましくは0.5〜5重量部である。これは(C)成分の配合量が0.1重量部未満になると十分な接着性を有さず、また10重量部を越えると硬化速度が遅くなったり、硬化後のシリコーンゴムが固くなりすぎたりするためである。
【0014】(D)硬化触媒としては、スズ、チタン、ジルコニウム、鉄、アンチモン、ビスマス、マンガン等の金属の有機酸塩、有機チタン酸エステル、有機チタンキレート化合物が挙げられる。このような硬化触媒の具体例としては、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオクトエート、スタナスオクトエートなどの有機スズ化合物、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトン)チタン、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタンなどの有機チタン化合物が例示される。その添加量は、(A)成分100重量部に対して0.001〜20重量部であるが、0.01〜5重量部の範囲が好ましい。
【0015】本発明組成物はその接着性をさらに向上させるために(A)成分〜(D)成分に加えて、さらに(E)一般式(7):【化15】

(式中、R5およびR6は前記のとおりであり、fは0または1である。)で示されるアルコキシシラン(0.001〜20重量部)を配合することができる。このようなアルコキシシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルセロソルブオルソシリケート、n−プロピルオルソシリケートなどのテトラアルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシランなどのトリアルコキシシラン類およびその部分加水分解縮合物などが挙げられる。
【0016】本発明組成物には、前記した(A)成分〜(D)成分あるいは(A)成分〜(E)成分に加えて、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物に添加配合することが公知とされる各種添加剤を配合することは本発明の目的を損なわない限り差支えない。このような添加剤としては、乾式法シリカ、湿式法シリカ、石英微粉末、炭酸カルシウム粉末、二酸化チタン粉末、けいそう土粉末、水酸化アルミニウム粉末、微粒子状アルミナ、マグネシア粉末、酸化亜鉛粉末、およびこれらをシラン類、シラザン類、低重合度ポリシロキサン類などで表面処理した微粉末状の無機質充填剤が挙げられる。このような無機質充填剤の添加量は(A)成分100重量部に対して1〜200重量部であり、好ましくは5〜100重量部である。また、その他の添加剤としては、硬化後のシリコーンゴムを低モジュラスにするための成分である、ジフェニルジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン等のジアルコキシシラン類、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン;白金化合物、炭酸亜鉛粉末のような難燃剤、可塑剤、チクソ性付与剤、防カビ剤、顔料、有機溶剤などがある。
【0017】本発明の組成物は上記のような(A)成分〜(D)成分、あるいは(A)成分、〜(E)成分を湿気遮断下で均一に混合することにより、容易に製造できる。その際、(A)成分〜(C)成分を予め混合してから他成分と混合したり、(B)成分〜(D)成分を予め混合してから(A)成分と混合したり、(B)成分〜(E)成分を予め混合してから(A)成分を混合してもよい。そして、(A)成分と、(B)成分〜(D)成分の混合物からなる2包装タイプや(A)成分、(B)成分と(C)成分の混合物、(D)成分からなる3包装タイプにしてもよい。
【0018】以上のような本発明の組成物は、ガラス、陶磁器、モルタル、コンクリート、木、アルミニウム、銅、ステンレススチール、鉄、トタン、ブリキ、黄銅、亜鉛、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、ナイロン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などに接着するが、より強固な接着性が要求される場合は、これら基材表面に適当なプライマーを塗布し、そのプライマー塗布面に本発明の組成物を接着させてもよい。2包装タイプや3包装タイプのときは、混合物を脱泡しても接着性が低下しない。混合時や硬化に際しては、臭気等によって作業環境を悪化させることがなく、ガラス、プラスチック、金属等の各種基材に対して良好な接着性を示し、硬化後は、接着耐久性に優れ、温水浸漬等の苛酷な環境下においてさえその接着力を保持し、ゴム物性も殆んど低下しないシリコーンゴムとなり得るので、このような特性を生かして、建築用部材のシーリング材として好適であり、特にガラスの接着用シーリンク゛剤として好適である。また、電気・電子部品のシーリング材、コーティング材、接着剤として有用である。
【0019】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。実施例において、部はいずれも重量部を意味し、粘度は25℃における値である。なお、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の接着耐久性の評価は次に示す方法にしたがって行なった。
<室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の接着耐久性の評価方法>JIS K5758 建築用シーリング材に規定する方法に準じて接着耐久性試験体を作成した。即ち、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を2枚のフロートガラス板(JIS R3202に規定されたフロート板ガラス)の間に充填して、後記する図1に示した接着耐久性試験体(通称、H形試験体)を作成した。この接着耐久性試験体を温度23℃、湿度50%の条件下で7日間放置して組成物を硬化させた。得られた接着耐久性試験体について引張接着強さを測定し、合わせてシリコーンゴムの破断状態を観察した。また、この接着耐久性試験体を80℃の温水中に7日間浸漬した後、取り出し、引張接着強さを測定し、合わせてシリコーンゴムの破断状態を観察した。これらの測定結果、観察結果はつぎのように表した。
M50 : 50%引張応力、Tmax: 最大引張応力Emax: 最大荷重時の伸びCF : 凝集破壊(シリコーンゴム層で破壊した)
AF : 接着破壊(ガラス板とシリコーンゴムの界面で剥離した)
【0020】
【参考例1】γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(I)220gとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(II)500 g(Iに対するIIのモル比は2.2)とを均一に混合し、密閉下に室温で7日間放置し、γ−アミノプロピルトリエトキシシランとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの反応混合物を調製した。この反応混合物は、粘度が170 mPa・sであった。(以下、接着付与剤Aという)。
【0021】
【参考例2】N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(III)222gとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(II)708 g(III)に対するIIのモル比は3.0)とを均一に混合して、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの反応混合物を調製した。この反応混合物は、その粘度が210mPa・sであった(以下、接着付与剤Bという)。
【0022】
【参考例3】γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(I)220 gとγ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(IV)278 g(Iに対するIVのモル比は1.0)とを均一に混合し、密閉下に室温で14日間放置して、γ−アミノプロピルトリエトキシシランとγ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランとの反応混合物を調製した。この反応混合物は、粘度が36mPa・sであった(以下、接着付与剤Cという)。
【0023】
【実施例1】粘度12,000mPa・sの分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100部と脂肪酸処理された炭酸カルシウム粉末(白石工業株式会社製、商品名白艶華CCR、平均粒子径0.08μm)100部とを均一になるまで混合した(以下、得られた混合物をベース1という)。一方、n−プロピルオルソシリケート、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、参考例1で得られた接着付与剤Aおよびジブチルスズジラウレートとを表1に示すとおりの割合で混合してキャタリスト組成物を得た。次いで、ベース1とキャタリスト組成物とを100:5(重量比)の比率で混合し減圧下で脱泡して室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を得た。次いで、この組成物について、接着耐久性を測定した。これらの測定結果を表2に示した。比較のため、上記において表1に示す通りのキャタリスト組成物を使用した以外は上記と同様にして得た室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を製造し、その特性を上記と同様にして測定した。これらの結果を表2に併記した。
【0024】
【表1】

【0025】
【表2】

【0026】
【実施例2】1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン70部、接着付与剤A30部およびジブチルスズジラウレート1部を均一に混合し、キャタリスト組成物を得た。次いで、実施例1で得られたベース1とこのキャタリスト組成物を100:5(重量比)の割合で混合し、減圧下で脱泡して室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を得た。この組成物の特性を実施例1と同様にして測定した。これらの結果を表3に示した。
【0027】
【表3】

【0028】
【実施例3】粘度13,000 mPa・sの分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたジメチルポリシロキサン70部、分子鎖片末端がシラノール基で封鎖され、もう一方の分子鎖片末端がメチル基で封鎖された粘度13,000mPa・sのジメチルポリシロキサン30部、脂肪酸処理された炭酸カルシウム粉末(白石工業株式会社、商品名 白艶華CCR 平均粒子径0.08μm)100部を均一になるまで混合し、減圧下で脱泡して、ベース2を得た。一方、n−プロピルオルソシリケート40部、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン15部、参考例1で得られた接着付与剤A15部およびジブチルスズジラウレート1部を均一に混合しキャタリスト組成物とした。次いでベース2とこのキャタリスト組成物を100:5(重量比)の割合で混合し、減圧下で脱泡し室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を製造した。この組成物の特性を実施例1と同様に測定した。これらの結果を表4に示した。
【0029】
【表4】

【0030】
【実施例4】分子鎖両末端がシラノール基で封鎖された粘度13,000mPa・sのジメチルポリシロキサン40部、分子鎖片末端がシラノール基で封鎖され、もう一方の分子鎖片末端がメチル基で封鎖された粘度13,000mPa・sのジメチルポリシロキサン60部、脂肪酸処理された炭酸カルシウム粉末(白石工業株式会社製、商品名 白艶華CCR、平均粒子径0.08μm)100部を均一になるまで混合し脱泡して、ベース3を得た。一方、n−プロピルオルソシリケート40部、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン15部、参考例1で得られた接着付与剤A15部およびジブチルスズジラウレート1部を均一に混合してキャタリスト組成物とした。次いでベース3とこのキャタリスト組成物を100:5(重量比)の割合で混合し減圧下で脱泡して室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を製造した。この組成物の特性を実施例1と同様に測定した。これらの結果を表5に示した。
【0031】
【表5】

【0032】
【実施例5】分子鎖両末端がシラノール基で封鎖された粘度13,000mPa・sのジメチルポリシロキサン40部、分子鎖片末端がシラノール基で封鎖され、もう一方の分子鎖片末端がメチル基で封鎖された粘度13,000mPa・sのジメチルポリシロキサン20部、粘度4,000mPa・sの両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン40部および脂肪酸処理された炭酸カルシウム粉末(白石工業株式会社製、商品名 白艶華CCR、平均粒子径0.08μm)100部を均一になるまで混合し、ベース4を得た。一方、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン40部、参考例3で得られた接着付与剤C50部およびジブチルスズジラウレート0.5部を均一に混合しキャタリスト組成物とした。次いでベース4とこのキャタリスト組成物を100:4.5(重量比)の割合で混合し減圧下で脱泡して室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を製造した。この組成物の特性を実施例1と同様に測定した。これらの結果を表6に示した。
【0033】
【表6】

【0034】
【実施例6】粘度50,000mPa・sの分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100部、脂肪酸処理された炭酸カルシウム粉末(白石工業株式会社製、商品名 白艶華CCR、平均粒子径0.08μm)60部、ヘキサメチルジシラザンで表面処理された乾式法シリカ(比表面積200 m2/g)10部および粘度40mMPa・sの両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン2部を均一になるまで混合し、ベース5を得た。一方、n−プロピルオルソシリケート60部、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン10部、参考例2で得られた接着付与剤B30部およびジブチルスズジラウレート1部を均一に混合してキャタリスト組成物とし、次いでベース5とこのキャタリスト組成物を100:5(重量比)の割合で混合し減圧下で脱泡して室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を製造した。この組成物の特性を実施例1と同様に測定した。これらの結果を表7に示した。
【0035】
【表7】

【0036】
【実施例7】粘度12,000mPa・Sの分子鎖両末端がメチルジメトキシリル基で封鎖されたジオルガノポリシロキサン100部と脂肪酸処理された炭酸カルシウム粉末(白石工業株式会社製、商品名 白艶華CCR、平均粒子径0.08μm)の100部とを均一になるまで混合した。この組成物にメチルトリメトキシシラン2部、1,6−ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン2部、参考例1で得られた接着付与剤A1部およびジイソプロポキシビス(アセト酢酸エチル)チタン1部を添加し、湿気遮断下で均一になるまで混合した。次いで、この組成物について、前記JIS A 5758に準じた接着耐久性を測定した。なお、本実施例では、作成した接着耐久試験体を温度23℃、湿度50%の条件下で14日間放置して室温硬化性シリコーンゴム組成物を硬化させた。得られた接着耐久試験体について引張接着強さを測定し、合わせてシリコーンゴムの破断状態を観察した。また、この接着耐久試験体を80℃の温水中に14日間浸漬した後、取り出し、この接着耐久試験体について引張接着強さを測定し、合わせてシリコーンゴムの破断状態を観察した。これらの結果を表8に示した。
【0037】
【表8】

【0038】
【発明の効果】本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、(A)〜(D)成分または(A)〜(E)成分から成り、特に(B)成分のジシラアルカン化合物を含有しているので、組成物調整時に脱泡にも接着性が低下せず、組成物調整時および硬化に際しては臭気等によって作業環境を悪化させることがなく、ガラス、プラスチック、金属等の各種基材に対して良好な接着性を示し、硬化後は、温水浸漬等の苛酷な環境下においてさえその接着力を保持し、ゴム物性も殆んど低下しないシリコーンゴムとなり得るという特徴を有する。
【出願人】 【識別番号】000110077
【氏名又は名称】東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内一丁目1番3号
【出願日】 平成14年1月31日(2002.1.31)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−221506(P2003−221506A)
【公開日】 平成15年8月8日(2003.8.8)
【出願番号】 特願2002−24546(P2002−24546)