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【発明の名称】 黒色ポリイミド組成物及びそれを用いたブラックマトリックス
【発明者】 【氏名】本田 祐樹
【住所又は居所】東京都千代田区大手町一丁目6番1号 日立電線株式会社内

【氏名】細川 勝元
【住所又は居所】東京都千代田区大手町一丁目6番1号 日立電線株式会社内

【氏名】神村 誠二
【住所又は居所】東京都千代田区大手町一丁目6番1号 日立電線株式会社内

【氏名】安藤 好幸
【住所又は居所】東京都千代田区大手町一丁目6番1号 日立電線株式会社内

【氏名】浅野 健次
【住所又は居所】東京都千代田区大手町一丁目6番1号 日立電線株式会社内

【要約】 【課題】黒色組成物の保存安定性に優れ、また、高電気抵抗を有するブラックマトリックスを実現できる黒色ポリイミド組成物の提供。

【解決手段】ジアミンから選ばれる少なくとも1種の化合物と酸二無水物から選ばれる少なくとも1種の化合物を有機溶媒中で反応させることによりイミド化した溶剤可溶性ポリイミドと金属酸化物黒色顔料を含有することを特徴とする黒色ポリイミド組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】ジアミンから選ばれる少なくとも1種の化合物と酸二無水物から選ばれる少なくとも1種の化合物を有機溶媒中で反応させることによりイミド化した溶剤可溶性ポリイミドと金属酸化物黒色顔料を含有することを特徴とする黒色ポリイミド組成物。
【請求項2】前記金属酸化物黒色顔料は、銅、クロム、鉄、マンガン、コバルト、アルミニウム、ニッケル、亜鉛、アンチモン、チタン及びバリウムから選ばれる少なくとも一種の金属を主金属成分とする請求項1記載の黒色ポリイミド組成物。
【請求項3】前記溶剤可溶性ポリイミドと前記金属酸化物黒色顔料の前者/後者の含有重量比は、10/90〜60/40の範囲にある請求項1記載の黒色ポリイミド組成物。
【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載の黒色ポリイミド組成物を基体上に塗布、乾燥してなることを特徴とするブラックマトリックス。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、黒色ポリイミド組成物及びそれを用いたブラックマトリックスに関し、特に、液晶ディスプレイ用カラーフィルターのブラックマトリックスを形成するのに適した黒色ポリイミド組成物、及びこの黒色ポリイミド組成物からなるブラックマトリックスに関する。
【0002】
【従来の技術】液晶ディスプレイにおいては、画素間など光の透過を防止することが望ましい部分には遮光のためブラックマトリックスが形成される。ブラックマトリックスは、画素や保護膜に用いる樹脂よりも高い耐熱性を有することが好ましく、250℃以上の耐熱性を有するポリイミド中にカーボンブラックを分散させたものが知られている。
【0003】ポリイミドブラックマトリックスの製造方法としては、酸ジ無水物と芳香族ジアミンを混合して、有機極性溶媒中、低温で重縮合した高分子量のポリアミド酸(ポリイミド前駆体)にカーボンブラックを分散させた黒色組成物(ペースト)を塗布した後に、加熱又は化学処理して閉環脱水反応をさせてイミド化する方法が一般に知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように、ポリアミド酸を経由して2段階法でポリイミドを合成する方法では、黒色組成物の保存安定性が劣り、保管の際に温度制御が必要であるなど、細心の注意を払う必要があり、温度制御から外れると所望の特性が得られないという問題がある。また、黒色顔料としてカーボンブラックを使用した場合には、カーボンブラックは遮光性は高いものの、電気抵抗が低いため高抵抗化には適していないという問題がある。
【0005】本発明は、黒色組成物の保存安定性に優れ、また、高電気抵抗を有するブラックマトリックスを実現できる黒色ポリイミド組成物及びこの黒色ポリイミド組成物からなるブラックマトリックスの提供を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明は、ジアミンから選ばれる少なくとも1種の化合物と酸二無水物から選ばれる少なくとも1種の化合物を有機溶媒中で反応させることによりイミド化した溶剤可溶性ポリイミドと金属酸化物黒色顔料を含有することを特徴とする黒色ポリイミド組成物を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の溶剤可溶性ポリイミドは、ジアミンと酸二無水物を有機溶媒に溶解させて直接イミド化することによって製造することができ、更にはジアミンと酸二無水物を有機溶媒中で溶解反応させ、続いてジアミン及び酸二無水物の少なくとも一方を添加してイミド化することによっても製造することができる。ジアミンと酸二無水物との混合比は、酸二無水物の合計量1モル%に対して、ジアミンの合計量0.95〜1.05モル%とするのが好ましい。
【0008】ジアミンとしては、3,3′−ジヒロキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、3,5−ジアミノ安息香酸、p−フェニレンジアミン、3,3′−ジメチル−4,4′ジアミノビフェニル、2,2′−ジメチル−4,4′ジアミノビフェニル、2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノビフェニル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス−(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス−(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、ビス{4−(3−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン、4,4′−ジアミノベンズアニリド、ヘキサメチレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ−(5,5)ウンデカン、4,4′−ジアミノ−シクロヘキシルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、アミノプロピル末端ジメチルシリコーン等を挙げることができる。
【0009】酸二無水物としては、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4′−オキシジフタル酸二無水物、4,4′−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、ビシクロ(2,2,2)オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。
【0010】有機溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、スルホラン、アニソール、ジオキソラン、ブチルセルソルブアセテート、ラクトン系等が挙げられ、これら単独で使用することができるが、2種以上を混合して使用してもよい。ラクトン系としては、γ−カプロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−テトロン酸、γ−フタリド、γ−フタリド酸、γ−クマリン等が挙げられ、ラクトン系とピリジン、キノリン、N−メチルモルフォリン等の塩基化合物との混合物も使用可能である。
【0011】本発明で使用する代表的な金属酸化物黒色顔料としては、銅、クロム、鉄、マンガン、コバルト、アルミニウム、ニッケル、亜鉛、アンチモン、チタン、バリウム等からなる群から選ばれた一種以上の金属を主金属成分とする金属酸化物顔料が挙げられる。これらの顔料は、結晶構造としてはスピネル型或いは逆スピネル型を有している。具体的な酸化物黒色顔料としては、チタンの酸窒化物粉末、銅とクロムを主金属成分とした複合酸化物黒色顔料、銅とマンガンを主金属成分とした複合酸化物黒色顔料、銅と鉄とマンガンを主金属成分とした複合酸化物黒色顔料、コバルトとクロムと鉄を主金属成分とした複合酸化物黒色顔料、コバルトとクロムと鉄とマンガンを主金属成分とする複合酸化物黒色顔料、コバルトとニッケルとクロムと鉄を主金属成分とした複合酸化物黒色顔料等が挙げられ、これらの顔料は単独或いは混合物として使用することができる。
【0012】チタンの酸窒化物粉末は、二酸化チタン又は水酸化チタンをアンモニア存在下で高温還元する方法、あるいは、二酸化チタン又は水酸化チタンにバナジウム化合物を付着させた後、アンモニア存在下で高温還元する方法等によって製造することができる。その他の複合酸化物黒色顔料は、湿式酸化法によって得ることが出来る。この合成方法では、銅、クロム、鉄、マンガン、コバルト、アルミニウム、ニッケル、亜鉛、アンチモン、チタン及びバリウム等から選ばれた2種以上の金属塩を同一水性媒体中に溶解し、この溶液にアルカリ剤を添加して混合金属塩を混合水酸化物等として析出させ、該析出と同時に又は析出後に、液相中で析出している金属水酸化物を液相中で酸化処理し、次いで焼成処理、例えば、約400℃〜650℃の温度で焼成処理を行って顔料を得る方法である。この合成方法で得られた顔料のBET比表面積は約40m2/g以上であり、それらの顔料の一次粒子の平均粒子径としては約0.01〜0.1μmである。
【0013】本発明において使用される金属酸化物黒色顔料は、耐薬品性、耐熱性、耐光性、耐水性、耐溶剤性等の諸性質に優れ、着色力、隠蔽力、遮光性等にも優れた特性を有し、又、顔料の分散媒体であるオリイミド中における分散性も良好であり、得られる分散液の保存安定性にも優れており、且つ該分散液を感光性樹脂中に配合しても、カーボンブラック顔料を使用した場合に比べ、分散媒体であるワニスの光硬化性をほとんど阻害しないという特長を有している。特に耐熱性については、他の黒色顔料に比べて優れており、約800℃まで安定に使用することができる。
【0014】本発明において、金属酸化物黒色顔料とポリイミドの含有量は、前者/後者の重量比で90/10〜40/60の範囲が高抵抗、且つ高いOD値を有する上で好ましい。金属酸化物黒色顔料の含有量が90重量%を越えるとブラックマトリックスの電気抵抗が低下し、40重量%に達しないときはOD(光学濃度)値が低くなる。なお、ブラックマトリックスの色度調整等のために、電気抵抗やOD値が大きく低下しない範囲で金属酸化物黒色顔料の一部を他の顔料に代えることも可能である。
【0015】溶剤可溶性ポリイミド及び金属酸化物黒色顔料を含有する黒色ポリイミド組成物(黒色ペースト)はディップ法、ロールコーター法、スピナー法、ダイコーティング法、ワイヤーバー法などによって無アルカリガラス等の基板上に塗布され、この後、オーブンやホットプレートを用いて加熱乾燥及び硬化が行われる。
【0016】このようにして形成された塗布膜は、通常、フォトリソグラフィーなどの方法を用いてパターン加工される。すなわち、ポリイミドが非感光性である場合は、その上にフォトレジストの被膜を形成した後に、ポリイミドが感光性である場合は、そのままかあるいは酸素遮断膜を形成した後に露光現像を行い、所望のパターンのブラックマトリックスとする。
【0017】こうして得られるブラックマトリックスは、波長430〜640nmの可視光域において、OD値が2.5以上であることが好ましい。OD値が2.5を下回ると、液晶駆動時の表示のコントラストが低下し、表示品位が著しく低下する。
【0018】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。
【0019】(実施例1)攪拌器を取りつけた1000mlのセパラブル三つ口フラスコに、シリコンコック付きトラップを備えた玉付冷却管を取り付けた。ビシクロ(2,2,2)オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物(BCD)49.62g、3,3′−ジヒドロキシベンゼン(HOAB)21.62g、3,4,3,4−ビフェニルテトラカルボン三二無水物(BPDA)29.42g、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)ベンゼン}(m−BAPS)21.63g、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)17.43g、γ−カプロラクトン1.2g、ピリジン1.9g、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)558.8g、トルエン66.2gを加え、常温で窒素雰囲気下で10分間攪拌した後、反応槽の内容物を180℃に昇温し、攪拌機の回転数を180rpmに設定して5時間攪拌して反応させ、攪拌終了後真空乾燥を行い反応液(ワニス)を得た。なお、半納入に生成する水分をシリコンコックより適時取り除いた。反応液をメタノール中に投入することによって、生成した沈殿を分離し、粉砕、ろ過、洗浄および減圧乾燥させる工程を経ることによりポリイミド粉末を得た。ポリイミド粉末の赤外吸収スペクトルを測定したところ、1715cm-1及び1785cm-1にイミド環の特性吸収が認められた。
【0020】顔料としてのチタンブラック(三菱マテリアル製12S)11.2gをジルコニアビーズ100gとともにビーズミルを用い、7000rpmで30分間分散処理した後、ガラスビーズを濾過により除去し、顔料濃度14重量%の黒色ポリイミド組成物(ペースト)を得た。このときのチタンブラック/ポリイミドの重量比は80/20であった。
【0021】この黒色ポリイミド組成物を無アルカリガラス基板上に塗布後、約110℃で30分間予備乾燥した後約280℃で30分間乾燥してブラックマトリックス用膜を形成した。ここで使用した黒色ポリイミド組成物を−15℃で30分間保存した後、分散状態を調べたが沈積は認められなかった。得られた樹脂ブラックマトリックス用遮光膜の厚みは1μmであり、ブラックマトリックス用膜のOD値は3.1、電気抵抗は2×1010Ω・cmであった。OD値は、顕微分光器(大塚電子製MCPD2000)を用い、次の関係式より求めた。
OD値=log10(I0/I)
ここで、I0は入射光強度、Iは透過光強度である。
【0022】(実施例2)チタンブラックに代えて複合酸化物系顔料(成分:Cu−Mn−Fe、大日精化#3550)を用いた以外は、実施例1と同様にしてブラックマトリックス用膜を作成した。黒色ポリイミド組成物を−15℃で30分間保存した後、分散状態を調べたが沈積は認められなかった。得られた樹脂ブラックマトリックス用遮光膜の厚みは1μmであり、ブラックマトリックス用膜のOD値は2.8、電気抵抗は3×1010Ω・cmであった。
【0023】(実施例3)チタンブラック(三菱マテリアル製13R)を用いた以外は、実施例1と同様にして厚さ1.5μmのブラックマトリックス用膜を作成した。黒色ポリイミド組成物を−15℃で30分間保存した後、分散状態を調べたが沈積は認められなかった。得られた樹脂ブラックマトリックス用遮光膜の厚みは1.5μmであり、また、ブラックマトリックス用膜のOD値は2.7、電気抵抗は5×1010Ω・cmであった。
【0024】(比較例1)顔料としてカーボンブラック(一次粒子径:23nm)を用い、実施例1と同様にしてブラックマトリックス用膜を作成した。カーボンブラック/ポリイミドの重量比率は52/48であった。得られた樹脂ブラックマトリックス用遮光膜の厚みは1μmであり、ブラックマトリックス用膜のOD値は3.2であったが、電気抵抗は1×103Ω・cmと低かった。
【0025】(比較例2)γ−ブチロラクトン(3825g)溶媒中で、ピロメリット酸二無水物(149.6g)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(225.5g)、3,3′−ジアミノジフェニルスルフォン(69.5g)、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル(210.2g)、ビス−3−(アミノプロピル)テトラメチルシロキサン(17.4g)を60℃で3時間反応させた後、無水マレイン酸(2.25g)を添加し、更に60℃で1時間反応させることによって、前駆体であるポリアミック酸溶液(ポリマー濃度15重量%)を得た。
【0026】顔料としてのチタンブラック(三菱マテリアル製12S)11.2g、前記のポリマー濃度15重量%のポリアミック酸溶液18.7g、N−メチル−2−ピロリドン57.2g、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート12.9gをガラスビーズ100gとともにホモジナイザーを用い、7000rpmで30分間分散処理後、ガラスビーズをろ過により除去し、顔料濃度14重量%の顔料分散液を得た。この時のチタンブラック/ポリイミド樹脂の重量比率は80/20であった。
【0027】顔料分散液27.5gに、前記のポリマー濃度15重量%ポリアミック酸溶液3.7g、γ−ブチロラクトン1g、N−メチル−2−ピロリドン6g、ソルフィットアセテート1.8gを添加混合し、黒色ペーストを作製した。
【0028】本ペーストを無アルカリガラス基板上に塗布後、145℃でプリベークを行い、ポリイミド前駆体黒色着色膜を形成した。次に該ポリイミド前駆体黒色着色膜を290℃に加熱して熱硬化を行い、ポリイミドに転換して樹脂ブラックマトリクスを形成した。ここで使用したペーストを−15℃下で30日間保存した後、分散状態を調べたところ、若干沈積が認められた。得られた樹脂ブラックマトリックス用遮光膜の厚みは1μmであり、OD値は3.0、電気抵抗は2×108Ω・cmであった。
【0029】
【発明の効果】以上説明してきた通り、本発明によれば、黒色組成物の保存安定性に優れ、また、高電気抵抗を有するブラックマトリックスを実現できるようになる。
【出願人】 【識別番号】000005120
【氏名又は名称】日立電線株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区大手町一丁目6番1号
【出願日】 平成14年1月30日(2002.1.30)
【代理人】 【識別番号】100116171
【弁理士】
【氏名又は名称】川澄 茂
【公開番号】 特開2003−221505(P2003−221505A)
【公開日】 平成15年8月8日(2003.8.8)
【出願番号】 特願2002−21092(P2002−21092)