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【発明の名称】 液状の封止用樹脂組成物
【発明者】 【氏名】鈴木 理
【住所又は居所】新潟県新潟市濁川3993番地 ナミックス株式会社内

【要約】 【課題】低誘電率であり、高周波領域でも誘電損失が小さく、かつフリップチップ封止に適した液状の封止用樹脂組成物を提供することである。

【解決手段】(A)シアネートエステル樹脂、(B)オキセタン含有化合物、及び(C)カチオン硬化触媒を含む封止用樹脂組成物である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)シアネートエステル樹脂、(B)オキセタン含有化合物、及び(C)カチオン硬化触媒を含む封止用樹脂組成物。
【請求項2】 (A)シアネートエステル樹脂100重量部に対して、(B)オキセタン含有化合物が40〜120重量部であり、かつ(C)カチオン硬化触媒が2〜8重量部である、請求項1項記載の封止用樹脂組成物。
【請求項3】 (D)シリカをさらに含む、請求項1又は2記載の封止用樹脂組成物。
【請求項4】 前記(D)シリカが、封止用樹脂組成物の総重量に対して、30〜70重量%である、請求項3記載の封止用樹脂組成物。
【請求項5】 前記(A)シアネートエステル樹脂が、式(1):N≡C−O−R2−R1−R3−O−C≡N (1)
(式中、R1は、非置換又はフッ素置換の二価の炭化水素基であり、R2及びR3は、それぞれ独立して、非置換又は2〜4個のメチル基で置換されているフェニレン基である)で示される化合物及び式(2):【化1】

で示される化合物、並びにそれらのプレポリマーからなる群より選ばれる1種以上である、請求項1〜4のいずれか1項記載の封止用樹脂組成物。
【請求項6】 前記(A)シアネートエステル樹脂が、式(3):【化2】

(式中、R4は、基:【化3】

(ここで、R9、R10は、それぞれ独立して、水素原子又は非置換若しくはフッ素置換のメチル基である)又は基:【化4】

であり、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、水素又はメチル基である)で示される化合物及びそれらのプレポリマーからなる群より選ばれる1種以上である、請求項1〜5のいずれか1項記載の封止用樹脂組成物。
【請求項7】 前記(B)オキセタン含有化合物がジオキセタン化合物である、請求項1〜6のいずれか1項記載の封止用樹脂組成物。
【請求項8】 前記(C)カチオン硬化触媒が、式(4):【化5】

及び/又は式(5):【化6】

(式中、R11は、非置換又は置換の一価の炭化水素基を表し、a又はbが2以上の場合、分子中のR11はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく;E1は、ヨウ素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、ジアゾ基又は非置換若しくは環置換のピリジニオ基を表し;E2は、硫黄原子又は窒素原子を表し;Zは、BF4、PF4、AsF6、SbF6又は(C654Bである対イオンを表し;aは、E1がヨウ素原子のとき2、硫黄原子のとき3、窒素原子又はリン原子のとき4、ジアゾ基又は非置換若しくは環置換のピリジニオ基のとき1であり;bは、E2が硫黄原子のとき1、窒素原子のとき2であり;cは、4又は5の整数である)で示されるオニウム塩である、請求項1〜7のいずれか1項記載の封止用樹脂組成物。
【請求項9】 請求項1〜8記載のいずれか1項記載の封止用樹脂組成物を用いて封止された半導体デバイス。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘電率の低い、フリップチップ封止に適する液状の封止用樹脂組成物に関し、特に1GHz以上の高周波領域でも誘電損失が小さい液状の封止用樹脂組成物に関する。さらに、本発明は、該樹脂組成物によって封止された半導体デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器のさらなる軽薄短小化及び高周波化を背景に、集積回路(IC)について、小型化、高密度化及び高速化が必要とされている。そのため、ICの封止も、半導体チップを回路基板に直接封止するフリップチップ封止等、小型化、軽量化に対応できるものが要求されている。
【0003】フリップチップ封止では、接続された半導体チップと基板の隙間にディスペンサー等を用いて、封止用樹脂組成物を横から注入するが、この隙間が一般に30〜100μmと狭いため、隙間に流し込むことのできる流動性のある液状の封止用樹脂組成物が必要である。このような液状の封止用樹脂組成物として、従来はエポキシ樹脂と硬化剤としてカルボン酸無水物等を含む樹脂組成物が使用されてきた。
【0004】しかし、このようなエポキシ樹脂を含む封止用樹脂組成物は、特に高周波領域において、該樹脂組成物の誘電損失が増加し、波形を鈍らせるといった問題があり、ICの高速化には、さらに低い誘電率を有する封止用樹脂組成物が求められている。
【0005】上記の問題を解決する技術が、過去に提案されている。例えば、特開平5−9270号公報では、エポキシ樹脂を含む封止用樹脂組成物に、中空の無機充填剤を配合して、該樹脂組成物の誘電率を低下させる技術が開示されている。しかし、この技術は、該充填剤の比重が小さく、また、中空とするために該充填剤が一定以上の大きさを有するので、液状の封止用樹脂組成物への応用が困難であり、また、液状の封止用樹脂組成物に該充填剤を配合した場合、加熱による硬化の段階で、充填剤が分離してしまうという問題がある。
【0006】さらに、特開2001−89654号公報では、誘電率の低いシアネートエステル樹脂に、フェノール樹脂を組み合わせて、誘電率を低下させる技術が記載されている。しかし、シアネートエステル樹脂が固形又は半固形であるため、これらの組合せによる封止用樹脂組成物は作業性に劣り、さらにこれらを液状化することも困難であるという問題がある。
【0007】また、特開平11−17074号公報では、オキセタン化合物を含有する封止用樹脂組成物により、樹脂組成物の流動性を確保する技術が記載されている。しかし、これらに記載されているような、オキセタン化合物のみを樹脂形成成分として使用した樹脂組成物は、硬化した場合、機械的強度が弱いといった問題がある。また、オキセタン化合物と、極性の大きい硬化剤の併用は誘電損失が大きいという問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、誘電率の低い、フリップチップ封止に適する液状の封止用樹脂組成物を提供することであり、特に1GHz以上の高周波領域でも誘電損失が小さい液状封止用の樹脂組成物を提供することである。さらに、本発明の目的は、該樹脂組成物によって封止された、小型・高密度・高速度化に対応できる半導体デバイスに関する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、シアネートエステル樹脂とオキセタン含有化合物とを併用することで、誘電率の低い、液状の封止樹脂組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成するに到った。なお、本明細書で液状とは、25〜40℃で流動性を有することをいう。
【0010】本発明は、(A)シアネートエステル樹脂、(B)オキセタン含有化合物、及び(C)カチオン硬化触媒を含む封止用樹脂組成物であり、さらに(D)シリカを含む封止用樹脂組成物である。また、本発明は、前記封止用樹脂組成物を用いて封止された半導体デバイスである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、本発明をより詳細に説明するが、これらは本発明をいかなる意味においても限定するものではない。
【0012】本発明の封止用樹脂組成物は、(A)シアネートエステル樹脂と(B)オキセタン含有化合物を含有する。オキセタン含有化合物自体は液状であるが、これを固体又は半固体のシアネートエステル樹脂と配合した場合にも、液状部分と固体部分とが分離せず、液状の樹脂組成物が得られることが見出された。
【0013】本発明の封止用樹脂組成物に含まれる(A)シアネートエステル樹脂は、特に限定されないが、例えば、式(1):N≡C−O−R2−R1−R3−O−C≡N (1)
(式中、R1は、非置換又はフッ素置換の二価の炭化水素基であり、R2及びR3は、それぞれ独立して、非置換又は2〜4個のメチル基で置換されているフェニレン基である)で示される化合物が挙げられる。また、式(1)の化合物のシアナト基の一部がトリアジン環を形成したプレポリマーも(A)シアネートエステル樹脂として使用することができる。プレポリマーには例えば、式(1)の化合物の全部又は一部が3量体化したものが挙げられる。
【0014】より好ましいのは、式(3):【0015】
【化7】

【0016】(式中、R4は、基:【0017】
【化8】

【0018】(ここで、R9、R10は、それぞれ独立して、水素原子又は非置換若しくはフッ素置換のメチル基である)又は基:【0019】
【化9】

【0020】であり、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、水素又はメチル基である)で示される化合物及びそれらのプレポリマーであり、特に、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)エタン及び2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパンが好ましい。
【0021】本発明の(A)シアネートエステル樹脂には、式(2):【0022】
【化10】

【0023】で示される化合物及び式(2)の化合物のシアナト基の一部がトリアジン環を形成したプレポリマーも使用することができる。
【0024】これらのシアネートエステル樹脂は、単独でも、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0025】本発明の封止用樹脂組成物は、(B)オキセタン含有化合物を含む。オキセタン含有化合物は、モノオキセタン化合物、例えば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−ヘキシルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−アリルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−ベンジルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−メタクリルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−カルボキシオキセタン;ジオキセタン化合物、例えば、ビス{〔エチル(3−オキセタニル)〕メチル}エーテル、1,4−ビス〔エチル(3−オキセタニル)メトキシメチル〕ベンゼン、炭酸ビス{〔エチル(3−オキセタニル)〕メチル}、アジピン酸ビス{〔エチル(3−オキセタニル)〕エチル}、テレフタル酸ビス{〔エチル(3−オキセタニル)〕メチル}、1,4−シクロヘキサンカルボン酸ビス{〔エチル(3−オキセタニル)〕メチル}、ビス{4−〔エチル(3−オキセタニル)メトキシカルボニルアミノ〕フェニル}メタン、α,ω−ビス−{3−〔1−エチル(3−オキセタニル)メトキシ〕プロピル(ポリジメチルシロキサン);及び多オキセタン化合物、例えばオリゴ(グリシジルオキセタン−co−フェニルグリシジルエーテル)が挙げられる。これらはいずれも、衛生面及び安全性に優れた液状の化合物であるが、特に、粘度が低くて取扱いやすく、かつ高い反応性を示すことから、1,4−ビス〔エチル(3−オキセタニル)メトキシメチル〕ベンゼン、キシリレンビスオキセタン及びビス{〔エチル(3−オキセタニル)〕メチル}エーテルが好ましい。これらは、単独でも、2種以上組み合わせて使用することもできる。
【0026】本発明の封止用樹脂組成物は、(A)シアネートエステル樹脂100重量部に対して、(B)オキセタン含有化合物を40〜120重量部の割合で含むことが好ましい。配合割合がこの範囲にあると、好ましい流動性の樹脂組成物が得られ、加熱等により、好ましい機械的強度の硬化物が得られる。(B)オキセタン含有化合物のより好ましい配合量は、60〜100重量部、特に好ましくは70〜90重量部である。
【0027】本発明の封止用樹脂組成物は、(C)カチオン硬化触媒を含むが、カチオン重合の触媒として機能し、樹脂組成物を網状構造化するものであれば、特に限定はされない。例えば、ルイス酸塩、オニウム塩、脂肪酸金属等が挙げられるが、特に、潜在性触媒として組成物中に配合して用いることができ、加熱により短時間で樹脂組成物を硬化させることができるため、オニウム塩が好ましい。
【0028】オニウム塩は、例えば式(4):【0029】
【化11】

【0030】及び/又は式(5):【0031】
【化12】

【0032】(式中、R11は、非置換又は置換の一価の炭化水素基を表し、a又はbが2以上の場合、分子中のR11はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく;E1は、ヨウ素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、ジアゾ基又は非置換若しくは環置換のピリジニオ基を表し;E2は、硫黄原子又は窒素原子を表し;Zは、BF4、PF4、AsF6、SbF6又は(C654Bである対イオンを表し;aは、E1がヨウ素原子のとき2、硫黄原子のとき3、窒素原子又はリン原子のとき4、ジアゾ基又は非置換若しくは環置換のピリジニオ基のとき1であり;bは、E2が硫黄原子のとき1、窒素原子のとき2であり;cは、4又は5の整数である)で示されるヨードニウム塩、スルホニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩又はピリジニウム塩が挙げられる。これらは単独でも、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0033】式(4)及び(5)において、R11は、具体的には、メチル、エチル等の炭素数1〜15であるアルキル基;シクロヘキシル等の炭素数3〜10であるシクロアルキル基;フェニル、4−トリル、2,4−キシリル、1−ナフチル等のアリール基;ベンジル、2−若しくは4−メチルベンジル、2−フェニルエチル等のアラルキル基;ビニル、アリル等の炭素数2〜10のアルケニル基;並びに4−ヒドロキシフェニル、4−メトキシフェニル、4−シアノフェニル、4−クロロフェニル、4−アセトキシフェニル、4−プロパノイルフェニル、4−メトキシカルボニルフェニル、4−エトキシカルボニルフェニル、4−メトキシベンジル、4−エトキシベンジル、4−t−ブトキシベンジル、4−ニトロベンジル、4−シアノベンジル等の上記の炭化水素基から誘導される一価の置換炭化水素基が挙げられる。なかでも、優れた硬化性を示すことから、分子中少なくとも1個のR11がアリール基又はアラルキル基であることが好ましく、すべてのR11がそのような基であることがさらに好ましい。
【0034】E1又はE2としては、優れた硬化速度が得られることから、ヨウ素原子又は硫黄原子が好ましい。
【0035】E1の非置換又は環置換のピリジニオ基としては、具体的には、ピリジニオ、2−若しくは4−メチルピリジニオ、2,4−ジメチルピリジニオ、2−若しくは4−シアノピリジニオ、2−若しくは4−メトキシカルボニルピリジニオ、2−若しくは4−エトキシカルボニルピリジニオのような環置換ピリジニウム基が例示される。
【0036】Zは、短時間の加熱又は光照射によって優れた硬化性を示すことから、SbF6又はB(C65)4が好ましく、毒性を示さず、衛生上及び環境への影響を考慮する必要がないことから、B(C654が特に好ましい。
【0037】このような好ましいオニウム塩としては、ジフェニルヨードニウム等のジアリールヨードニウム;フェニル(4−メトキシフェニル)ヨードニウム等の置換アリール基含有ヨードニウム;フェニルベンジルヨードニウム等のアラルキル基含有ヨードニウム;トリフェニルスルホニウム、ジフェニル(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム等のトリアリールスルホニウム;トリス(4−ヒドロキシフェニル)スルホニウム、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム、トリス(アセトキシフェニル)スルホニウム等の置換アリール基含有スルホニウム;メチル(4−ヒドロキシフェニル)ベンジルスルホニウム、メチル(4−メトキシフェニル)−1−ナフチルメチルスルホニウム等のベンジル構造含有スルホニウムといった、ヘキサフルオロアンチモン酸塩及びテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボロン塩が挙げられる。衛生及び環境保全的な見地からテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボロン塩が好ましく、適度の硬化速度が得られ、特に4−トリル(4−クミル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボロン塩のようなジアリールヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボロン塩が特に好ましい。
【0038】脂肪酸金属も(C)カチオン硬化触媒として好ましく用いることができる。具体的には、オクタン酸金属塩及びナフテン酸金属塩が挙げられ、具体的には、オクタン酸第二鉄、オクタン酸コバルト、オクタン酸スズ、オクタン酸カルシウム、オクタン酸亜鉛、オクタン酸銅、オクタン酸ジルコニウム、オクタン酸マグネシウム、及びそれらに対応するナフテン酸塩等が挙げられる。
【0039】(C)カチオン硬化触媒は、(A)シアネートエステル樹脂100重量部に基づいて、2〜8重量部で含むことが好ましい。配合割合がこの範囲にあると、反応性及び硬化性が適正である。
【0040】本発明の封止用樹脂組成物は、樹脂組成物の線膨張係数を調整し、基板の線膨張係数に近くするために、充填剤として(D)シリカを含むことが好ましい。シリカは、溶融シリカ、結晶性シリカ、粉砕シリカ等、当技術分野で使用されるいずれのシリカも使用することができるが、誘電率低下の観点から溶融シリカが好ましい。シリカは、本発明の封止用樹脂組成物の総重量に対して、30〜70重量%で含有することが好ましく、より好ましくは、40〜60重量%である。本発明の封止用樹脂組成物には、アルミナ、チッ化シリコン等のシリカ以外の充填剤を含有させてもよい。
【0041】本発明の封止用樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲内で、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を含有させてもよい。
【0042】本発明の封止用樹脂組成物には、必要に応じて、カーボンブラック等の着色剤、無機繊維、難燃剤、イオントラップ剤、内部離型剤、増感剤を含有させてもよい。また、基板への接着性を向上させるために、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させてもよい。
【0043】本発明の封止用樹脂組成物の製造方法は、特に限定されず、例えば原料を、所定の配合で、ライカイ機、ポットミル、三本ロールミル、回転式混合機、二軸ミキサー等の混合機に投入し、混合して、製造することができる。
【0044】本発明の封止用樹脂組成物は、半導体の封止材料として用いることができる。例えば、フリップチップ方式で、接続された半導体チップと基板の隙間にディスペンサー等を用いて、本発明の封止用樹脂組成物を横から注入し、硬化させることができる。また、基板にディスペンサー等を用いて、半導体チップの大きさに合わせて、本発明の封止用樹脂組成物を塗布し、チップボンダー等を用いて、加熱、はんだ接続をした後、硬化させることもできる。
【0045】本発明は、IC、LSI、VLSI等の半導体や、それらを含むデバイスの封止等に広く適用できる。
【0046】
【実施例】以下、本発明を、実施例によってさらに詳細に説明する。本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例中、配合量の単位は、特に断らない限り、重量部である。
【0047】実施例において、封止用樹脂組成物の成分としては以下を用いた。
(A)シアネートエステル樹脂A−1:2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパンA−2:1,1−ビス(4−シアナトフェニル)エタン(B)オキセタン含有化合物B−1:キシリレンビスオキセタンB−2:ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル(C)カチオン硬化触媒C−1:オクタン酸第二鉄C−2:4−トリル(4−クミル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボロン塩【0048】実施例1〜4、比較例1表1に示す配合で、ロールミルで、成分を混練して、封止用樹脂組成物を調製した。
【0049】
【表1】

【0050】実施例1〜4、比較例1〜3の封止用樹脂組成物について、粘度、誘電率、誘電損失を測定した。結果を表1に示す。なお、測定方法は、以下のとおりである。
粘度:ブルックフィールド回転粘度計を用いて、10rpmで、25℃における粘度を測定した。
誘電率、誘電損失:試料を150℃で30分硬化させたものを、5GHz、室温の条件下で、マイクロスプリットライン、スペクトルアナライザーを使用して、測定した。
【0051】さらに実施例1〜4、比較例1、3の封止用樹脂組成物を用いて半導体の封止を行い、ハンダリフロー、ヒートサイクル、耐湿性についてそれぞれ評価を行った。結果を表1に示す。なお、比較例2の封止用樹脂組成物は、流動性に劣り、半導体の封止を行うことができなかったため、ハンダリフロー等の評価を行わなかった。また、比較例3の封止用樹脂組成物ではハンダリフローでデラミネーションが発生したため、ヒートサイクル、耐湿試験の評価を行わなかった。
【0052】なお、評価は以下のようにして行った。基板(FR4基板、0.8mm厚)に、フリップチップボンダーを用いて、半導体(10mm各共晶ハンダバンプ、エリアアレイ625バンプ)を10個搭載し、純水で洗浄した後、150℃で1時間乾燥した。次に、封止用樹脂組成物を80℃でディスペンサーを用いて、基板と半導体の隙間に注入した。その後、半導体を搭載した基板を、湿度60%、30℃の条件下で192時間、放置した。その後、230℃のハンダリフロー炉に3回通し、封止を行い半導体デバイスを得た。
ハンダリフローの評価:得られた封止体について、デラミネーションを超音波探傷機(SAT)で観察し、デラミネーションの発生の有無を観察した。○はデラミネーションの発生無し、×はデラミネーションの発生有りを示す。
ヒートサイクルの評価:得られた封止体について、45℃30分、125℃30分を1サイクルとして実施し、クラックの発生時間を測定した。>500とは、500時間経過しても異常が発生しなかったことを示す。
耐湿試験:得られた封止体について、85℃、相対湿度(RH)85%の条件下で、500時間、3V印加し、断線時間を測定した。>500とは、500時間経過しても異常が発生しなかったことを示す。
【0053】表1に示されるように、本発明による封止用樹脂組成物は、いずれも誘電率が3以下と低く、誘電損失も5GHzの高周波領域で0.02と小さかった。また、いずれも液状であることが粘度からも確認された。また、本発明の封止用樹脂組成物で封止した半導体デバイスは、ハンダリフロー、ヒートサイクル、耐湿性の面から問題がないことが確認された。
【0054】一方、従来のエポキシ樹脂と酸無水物等の硬化剤を組み合わせた封止樹脂組成物に相当する比較例1は、誘電率が4.2と高く、誘電損失も0.05と大きかった。オキセタン含有化合物を含有しない封止樹脂組成物に相当する比較例2は、流動性に劣り、粘度が測定不能であり、半導体封止に用いることができなかった。シアネート樹脂を含有しない封止樹脂組成物に相当する比較例3は、封止した半導体デバイスについて、ハンダリフローの面で問題があった。
【0055】
【発明の効果】本発明によって、低誘電率であり、高周波領域でも誘電損失が小さく、かつフリップチップ封止に適した液状の封止用樹脂組成物が得られる。本発明の封止用樹脂組成物は、そのような利点を生かして、IC、LSI、VLSI等の半導体を含むデバイスの封止等に広く適用することができる。
【出願人】 【識別番号】591252862
【氏名又は名称】ナミックス株式会社
【住所又は居所】新潟県新潟市濁川3993番地
【出願日】 平成13年11月27日(2001.11.27)
【代理人】 【識別番号】100078662
【弁理士】
【氏名又は名称】津国 肇 (外1名)
【公開番号】 特開2003−160729(P2003−160729A)
【公開日】 平成15年6月6日(2003.6.6)
【出願番号】 特願2001−360209(P2001−360209)