| 【発明の名称】 |
ポリエステル樹脂用可塑剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】武中 晃 【住所又は居所】和歌山県和歌山市湊1334 花王株式会社研究所内
【氏名】土橋 正明 【住所又は居所】和歌山県和歌山市湊1334 花王株式会社研究所内
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| 【要約】 |
【課題】非晶性ポリエステル樹脂の透明性を阻害させずに柔軟性を付与することができる非晶性ポリエステル樹脂用可塑剤の提供。
【解決手段】芳香族モノカルボン酸(I)、C1-22の脂肪族モノカルボン酸、縮合多環式芳香族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸等から選ばれる(a)成分と、脂肪族2価アルコール(II)、1分子中に3個以上の水酸基を有するC3-30の多価アルコール、又は1分子中に2個の水酸基あるいはメチロール基を有する脂環族ジオールのアルキレンオキサイド付加物から選ばれる(b)成分とのエステルからなる非晶性ポリエステル樹脂用可塑剤、及びこの可塑剤と、非晶性ポリエステル樹脂とを含有する非晶性ポリエステル樹脂組成物。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記(a)成分と(b)成分とのエステルからなる非晶性ポリエステル樹脂用可塑剤。 (a) 一般式(I) 【化1】
(式中、Xは水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、アルケニル基又はアルコキシ基、あるいはハロゲン原子、mは1〜5の整数を示し、m個のXは同一でも異なっていてもよい。)で表される芳香族モノカルボン酸、炭素数1〜22の直鎖又は分岐鎖脂肪族モノカルボン酸、縮合多環式芳香族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸あるいはこれらモノカルボン酸の低級アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜3)から選ばれる少なくとも1種。 (b)一般式(II)【化2】
(式中、Y及びZは炭素数1〜8のアルキル基又はアルケニル基を示し、同一でも異なっていてもよい。)で表される脂肪族2価アルコール、1分子中に3個以上の水酸基を有する炭素数3〜30の多価アルコール、1分子中に2個の水酸基あるいはメチロール基を有する脂環族ジオールから選択されるヒドロキシ化合物のアルキレンオキサイド付加物(アルキレン基の炭素数2〜4、水酸基1個当たりのアルキレンオキサイド平均付加モル数0より大きく10以下)から選ばれる少なくとも1種。 【請求項2】 (a)成分が、置換基として炭素数1〜6のアルキル基又はハロゲン原子を有していても良い安息香酸あるいはその低級アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜3)である請求項1記載の可塑剤。 【請求項3】 (b)成分が、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、炭素数3〜30のグリセリン又はポリグリセリン、ソルビトール、ソルビタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールから選ばれるヒドロキシ化合物のアルキレンオキサイド付加物(アルキレン基の炭素数2〜4、水酸基1個当たりのアルキレンオキサイド平均付加モル数0より大きく10以下)である請求項1又は2記載の可塑剤。 【請求項4】 非晶性ポリエステル樹脂と、請求項1〜3のいずれかに記載の可塑剤とを含有する非晶性ポリエステル樹脂組成物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、非晶性ポリエステル樹脂用可塑剤、並びに柔軟性、透明性及び耐熱性に優れた非晶性ポリエステル樹脂組成物に関する。 【0002】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】明確な融点を持たない非晶性ポリエステル樹脂が、各種フィルム、シートの材料として用いられている。この非晶性ポリエステル樹脂は、通常のポリエステル樹脂に比べ加工性が良好で、カレンダー加工が可能であるが、折り曲げた時などに白化し易いという欠点を有し、透明性と柔軟性が共に満足できるものは得られていない。 【0003】一方、非晶性ポリエステル樹脂を軟質化する技術として、脂肪族ジカルボン酸アルキルエーテルエステルやポリエチレングリコール脂肪酸エステル等の可塑剤を添加する技術が提案されている(特開2000−290415参照)。しかし、これらの可塑剤を添加しても、透明性は満足のいくものではなく、また、夏場を想定した高温保存を行うと、透明性及び柔軟性が著しく低下し、シート表面に可塑剤がブリードアウトする等の問題がある。 【0004】本発明の課題は、非晶性ポリエステル樹脂の透明性を阻害させずに柔軟性を付与することができる非晶性ポリエステル樹脂用可塑剤、並びに柔軟性、透明性及び耐熱性に優れた非晶性ポリエステル樹脂組成物を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、下記(a)成分と(b)成分とのエステルからなる非晶性ポリエステル樹脂用可塑剤、及びこの可塑剤と、非晶性ポリエステル樹脂とを含有する非晶性ポリエステル樹脂組成物を提供する。 (a) 一般式(I) 【0006】 【化3】
【0007】(式中、Xは水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、アルケニル基又はアルコキシ基、あるいはハロゲン原子、mは1〜5の整数を示し、m個のXは同一でも異なっていてもよい。)で表される芳香族モノカルボン酸、炭素数1〜22の直鎖又は分岐鎖脂肪族モノカルボン酸、縮合多環式芳香族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸あるいはこれらモノカルボン酸の低級アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜3)から選ばれる少なくとも1種。 (b)一般式(II)【0008】 【化4】
【0009】(式中、Y及びZは炭素数1〜8のアルキル基又はアルケニル基を示し、同一でも異なっていてもよい。)で表される脂肪族2価アルコール、1分子中に3個以上の水酸基を有する炭素数3〜30の多価アルコール、1分子中に2個の水酸基あるいはメチロール基を有する脂環族ジオールから選択されるヒドロキシ化合物のアルキレンオキサイド付加物(アルキレン基の炭素数2〜4、水酸基1個当たりのアルキレンオキサイド平均付加モル数0より大きく10以下)から選ばれる少なくとも1種。 【0010】 【発明の実施の形態】[可塑剤]本発明の可塑剤を構成する(a)成分において、樹脂との相溶性が良好で、本発明の樹脂組成物が優れた透明性、柔軟性及び耐熱性を示す観点から、以下に示す化合物が好ましい。 【0011】即ち、一般式(I)で表される芳香族モノカルボン酸としては、安息香酸、置換基として炭素数1〜22、好ましくは1〜12のアルキル基、アルケニル基又はアルコキシ基、あるいは塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子を1〜5個、好ましくは1〜2個有する安息香酸が挙げられる。炭素数1〜22の直鎖又は分岐鎖脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、ブタン酸、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸等が挙げられ、炭素数1〜12のものが好ましい。縮合多環式芳香族モノカルボン酸としては、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸等が挙げられる。脂環族モノカルボン酸としては、シクロヘキサンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘプタンカルボン酸等が挙げられる。 【0012】これら(a)成分の中では、置換基として炭素数1〜6のアルキル基又はハロゲン原子を有していても良い安息香酸あるいはその低級アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜3)が好ましい。 【0013】本発明の可塑剤を構成する(b)成分において、樹脂との相溶性が良好で、本発明の樹脂組成物が優れた透明性、柔軟性及び耐熱性を示す観点から、以下に示す化合物が好ましい。 【0014】即ち、一般式(II)で表される脂肪族2価アルコールとしては、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。1分子中に3個以上の水酸基を有する炭素数3〜30の多価アルコールとしては、炭素数3〜30、好ましくは3〜12のグリセリン又はポリグリセリン、ソルビトール、ソルビタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。また、1分子中に2個の水酸基あるいはメチロール基を有する脂環族ジオールとしては、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、シクロペンタンジオール、シクロペンタンジメタノール、シクロヘプタンジオール、シクロヘプタンジメタノール等が挙げられ、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールが好ましい。 【0015】またアルキレンオキサイド付加物としては、エチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物が好ましく、エチレンオキサイド付加物が特に好ましい。水酸基1個当たりのアルキレンオキサイドの平均付加モル数は、0より大きく10以下であり、1〜8が好ましく、1〜6が特に好ましい。 【0016】(a)成分と(b)成分とのエステルを得るには、(a)成分がモノカルボン酸の場合は、通常のエステル化反応を行えばよく、また、(a)成分がモノカルボン酸の低級アルキルエステルの場合には、酸化ジブチルスズ等の触媒下で、(b)成分とエステル交換反応を行えばよい。本発明の可塑剤は上記のような(a)成分と(b)成分とのエステルからなるが、エステルは全エステルが好ましく、部分エステルの場合は、下記式で表される平均エステル化度が0.5以上であることが好ましい。 【0017】 【数1】
【0018】[非晶性ポリエステル樹脂]本発明に係わる非晶性ポリエステル樹脂とは、明確な融点を持たないポリエステル樹脂であり、通常のポリエステル樹脂の加工温度が270〜280℃であるのに比べて加工温度が低く、200℃以下、好ましくは160〜190℃の条件でも加工できるため、加工性が良好で、カレンダー加工が可能である。 【0019】非晶性ポリエステル樹脂の具体例としては、(A)テレフタル酸又はその低級アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜3で、例えばテレフタル酸ジメチル等)(以下(A)成分という)、(B)エチレングリコール(以下(B)成分という)、及び(C)テレフタル酸又はその低級アルキルエステル以外のジカルボン酸又はその低級アルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜3)(以下(C)成分という)を共重合してなるポリエステル樹脂;(A)成分、(B)成分、及び(D)エチレングリコール以外のグリコール成分(以下(D)成分という)を共重合してなるポリエステル樹脂;(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分を共重合してなるポリエステル樹脂等が挙げられる。 【0020】上記(C)成分としては、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸及びこれらの低級アルキルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられ、芳香族ジカルボン酸としては、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ビス(4,4’−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸等が挙げられる。脂環族ジカルボン酸としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4’−ジシクロヘキシルジカルボン酸等が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ダイマー酸等が挙げられる。これらの(C)成分の中では、イソフタル酸及びその低級アルキルエステルが好ましい。 【0021】上記(D)成分としては、1,4−シクロヘキサンジメタノール、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール、4,4’−ジシクロヘキシルヒドロキシメタン、4,4’−ジシクロヘキシルヒドロキシプロパン、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加ジオール、ポリエチレンオキサイドグリコール、ポリプロピレンオキサイドグリコール等から選ばれる1種以上が挙げられる。 【0022】本発明に係わる非晶性ポリエステル樹脂におけるジカルボン酸成分は、好ましくは芳香族ジカルボン酸成分が60モル%以上であり、更に好ましくは上記(A)成分が60モル%以上である。また、グリコール成分は、好ましくは上記(B)成分が60モル%以上である。 【0023】本発明に係わる非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度は50〜85℃が好ましく、60〜85℃が更に好ましい。 【0024】本発明に係わる非晶性ポリエステル樹脂として、イーストマンケミカル社製のTSUNAMI GS1,GS2,GS3,GS4等を用いることができる。 【0025】[非晶性ポリエステル樹脂組成物]本発明の非晶性ポリエステル樹脂組成物は、上記のようなエステルからなる本発明の可塑剤と非晶性ポリエステル樹脂とを含有する。本発明の可塑剤の含有量は、非晶性ポリエステル樹脂100重量部に対し、柔軟性、耐ブリード性及び経済性の観点から、好ましくは1〜70重量部、更に好ましくは3〜50重量部、特に好ましくは5〜30重量部である。 【0026】本発明の組成物は、上記可塑剤以外に、滑剤等の他の成分を含有することができる。滑剤としては、エチレンビス(ステアロアミド)等のアミド類、ポリエチレンワックス等の炭化水素系ワックス類、ステアリン酸等の脂肪酸類、グリセロールエステル等の脂肪酸エステル類、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸類、モンタン酸ワックス等のエステルワックス類等が挙げられる。滑剤の含有量は、非晶性ポリエステル樹脂100重量部に対し、0.05〜3重量部が好ましく、0.1〜1.5重量部が更に好ましい。 【0027】本発明の組成物は、滑剤以外の他の成分として、帯電防止剤、防曇剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、無機充填剤、防カビ剤、抗菌剤、発泡剤、難燃剤、上記本発明の可塑剤以外の可塑剤等を、本発明の目的達成を妨げない範囲で含有することができる。 【0028】本発明の組成物は、加工性が良好で、例えば160〜190℃等の低温で加工することができるため、カレンダー加工も可能であり、また可塑剤の分解も起こりにくい。本発明の組成物は、フィルムやシートに成形して、各種用途に用いることができる。 【0029】 【実施例】実施例1〜14及び比較例1〜4非晶性ポリエステル樹脂(TSUNAMI GS2:イーストマンケミカル社製、ガラス転移温度81℃)100重量部、モンタン酸ワックス0.8重量部、表1及び表2に示す種類と量の可塑剤からなる組成物を165℃の6インチロールにて15分間混練し、190℃のプレス成形機にて厚さ1mmのテストピースを作成した。 【0030】得られたテストピースについて下記方法で柔軟性、透明性及び表面状態を評価した。また、このテストピースを手で180°折り曲げ、白化の有無を肉眼で観察した。更に、耐熱性を評価するために、50℃に管理したオーブンにテストピースを入れ、1週間処理し、室温で放冷した後に、同様に柔軟性、透明性及び表面状態を評価した。これらの結果を表1及び表2に示す。 【0031】<柔軟性の評価法>テストピースを3号ダンベルで打ち抜き、引張速度200mm/minで引張試験を行い、100%モジュラスで示した。 【0032】<透明性の評価法>ヘイズメーターにてテストピースのヘイズ値を測定した。数字の小さい方が透明性が良好であることを示す。 【0033】<表面状態(ブリードの有無)>熱処理前のテストピース(縦100mm×横100mm×厚さ1mm)については、40℃の恒温室に1週間放置し、その表面における可塑剤のブリードの有無を肉眼で観察した。また、50℃1週間の熱処理を行ったものについては、室温で放冷した後に、表面における可塑剤のブリードの有無を肉眼で観察した。 【0034】 【表1】
【0035】 【表2】
【0036】*1:POE(n)はポリオキシエチレンnモル付加物を示す。 *2:水酸基1個当たりのエチレンオキサイド平均付加モル数*3:ネッキング現象のために測定不可【0037】 【発明の効果】本発明の可塑剤は、非晶性ポリエステル樹脂の透明性を阻害させずに柔軟性を付与することができ、かつ高温で保存した時も柔軟性と透明性の変化はなく、耐熱性が良好である。また、本発明の非晶性ポリエステル樹脂組成物からなるシートやフィルムを折り曲げた時の白化を防止することもできる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000918 【氏名又は名称】花王株式会社 【住所又は居所】東京都中央区日本橋茅場町1丁目14番10号
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| 【出願日】 |
平成13年11月28日(2001.11.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100063897 【弁理士】 【氏名又は名称】古谷 馨 (外4名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−160719(P2003−160719A) |
| 【公開日】 |
平成15年6月6日(2003.6.6) |
| 【出願番号】 |
特願2001−362133(P2001−362133) |
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