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【発明の名称】 エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
【発明者】 【氏名】松尾 誠
【住所又は居所】東京都品川区東品川2丁目5番8号 住友ベークライト株式会社内

【要約】 【課題】流動性に優れ、リーク不良を低減することができ、ファインピッチ化に対応可能な半導体封止用エポキシ樹脂組成物を提供すること。

【解決手段】(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)硬化促進剤、(D)平均粒径5μm以上の無機充填材(D−1)、平均粒径5μm未満の無機充填材(D−2)及び(E)平均粒径1μm以下の複合酸化物系顔料を必須成分とし、前記エポキシ樹脂及び/又はフェノール樹脂の一部或いは全部と前記無機充填材(D−2)と前記複合酸化物系顔料とを予め分散してなる溶融混合物と、残余の成分とを含むことを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)硬化促進剤、(D)平均粒径5μm以上の無機充填材(D−1)、平均粒径5μm未満の無機充填材(D−2)及び(E)平均粒径1μm以下の複合酸化物系顔料を必須成分とし、前記エポキシ樹脂及び/又はフェノール樹脂の一部或いは全部と前記無機充填材(D−2)と前記複合酸化物系顔料とを予め分散してなる溶融混合物と、残余の成分とを含むことを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項2】平均粒径1μm以下の複合酸化物系顔料が、Cu−Fe−Mn又はCu−Cr−Mnを主成分とする請求項1記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項3】平均粒径5μm以上の無機充填材(D−1)が、粒子径54μm以上を0.5重量%以下とする請求項1又は2記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項4】請求項1、2又は3記載のエポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなることを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体装置内部でのリークやショートのない特性を有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物及びこれを用いた半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、半導体装置を封止するためのエポキシ樹脂組成物には、カーボンブラックが使用されてきた。しかしながら、その主たる目的は、硬化後の半導体装置を着色することであり、要求される成形品の色合いによりカーボンブラックの種類と配合量を適宜選択している。着色剤としてのカーボンブラックの平均粒径は、本来一次粒子の平均粒径が10〜100nmと非常に小さいが単体としては存在せず、或る程度の数のカーボンブラックが凝集して存在しており、その凝集物の最大粒径は銘柄によって異なるが、0.1μm程度から最大5mm程度のものまでが混在しており、まちまちである。
【0003】一方、半導体封止用エポキシ樹脂組成物の製造方法としては、通常エポキシ樹脂、フェノール樹脂、硬化促進剤、無機充填材、カーボンブラック、シランカップリング剤、シリコーンオイル等の各成分をミキサー等で乾式混合した後、ミキシングロール、コニーダ等で溶融混練しているが、得られたエポキシ樹脂組成物中には用いたカーボンブラックよりも粒径が大きい二次的に生成したカーボンブラックの凝集物が存在することがあり、近年の半導体装置のファインピッチ化に伴い、インナーリード間やワイヤー間の間隙が加速的に狭くなり、これらの間隙に導電性のカーボンブラックの凝集物が入りこみ、リーク性や導電性に問題が生じており、ファインピッチ化に対応可能なカーボンブラック凝集物に起因する不良の発生しないエポキシ樹脂組成物が要求されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、流動性に優れ、半導体装置内部でのインナーリード間、ワイヤー間のリーク性や導電性を防止し、ファインピッチ化に対応可能なエポキシ樹脂組成物及びこれを用いた半導体装置を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、[1](A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)硬化促進剤、(D)平均粒径5μm以上の無機充填材(D−1)、平均粒径5μm未満の無機充填材(D−2)及び(E)平均粒径1μm以下の複合酸化物系顔料を必須成分とし、前記エポキシ樹脂及び/又はフェノール樹脂の一部或いは全部と前記無機充填材(D−2)と前記複合酸化物系顔料とを予め分散してなる溶融混合物と、残余の成分とを含むことを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物、[2]平均粒径1μm以下の複合酸化物系顔料が、Cu−Fe−Mn又はCu−Cr−Mnを主成分とする第[1]項記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物、[3]平均粒径5μm以上の無機充填材(D−1)が、粒子径54μm以上を0.5重量%以下とする第[1]項又は[2]項記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物、[4]第[1]項、[2]項又は[3]項記載のエポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなることを特徴とする半導体装置、である。
【0006】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。本発明に用いるエポキシ樹脂としては、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を言い、その分子量、分子構造を特に限定するものではないが、例えばビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂(フェニレン骨格、ジフェニレン骨格等を有する)等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いても差し支えない。
【0007】本発明に用いるフェノール樹脂としては、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を言い、その分子量、分子構造を特に限定するものではないが、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、トリフェノールメタン型樹脂、フェノールアラルキル樹脂(フェニレン骨格、ジフェニレン骨格等を有する)等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いても差し支えない。特に、フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、テルペン変性フェノール樹脂等が好ましい。これらの配合量としては、全エポキシ樹脂のエポキシ基数と全フェノール樹脂のフェノール性水酸基数の比が0.8〜1.3が好ましい。
【0008】本発明に用いる硬化促進剤としては、エポキシ基とフェノール性水酸基との硬化反応を促進させるものであればよく、一般に封止材料に用いられているものを使用することができる。例えば1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリフェニルホスフィン、2−メチルイミダゾール、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いても差し支えない。
【0009】本発明に用いる無機充填材(D−1)と(D−2)は、一般に封止材料に使用されているものを用いることができる。例えば溶融シリカ、結晶シリカ、タルク、アルミナ、窒化珪素等が挙げられるが半導体装置の信頼性や膨張係数のバランスから、特に溶融シリカが好ましい。これらは単独でも混合して用いても差し支えない。無機充填材(D−1)は、平均粒径が5μm以上で、好ましくは粒子径54μm以上が0.5重量%以下のものが望ましい。粒子径54μm以上が0.5重量%を越えるとワイヤースイープが生じやすくなりファインピッチ化に対して好ましくない。無機充填材(D−2)は、平均粒径が5μm未満のものであり、これを用いることにより、エポキシ樹脂組成物の流動性を向上させることができる。しかし、無機充填材は平均粒径が小さくなるほど粒子同士が凝集しやすくなる傾向にあり、通常の混合、混練工程を経てエポキシ樹脂組成物を得る方法では、粒子同士の凝集が十分に崩れず、この様な状態でエポキシ樹脂組成物中に存在すると流動性向上の効果が小さくなり好ましくない。本発明では、無機充填材(D−2)をエポキシ樹脂及び/又はフェノール樹脂の一部或いは全部と予め分散し溶融混合物とすることにより、粒子同士の凝集を崩し、エポキシ樹脂組成物中に均一分散させ、流動性を向上させるものである。
【0010】無機充填材(D−1)と(D−2)の配合割合は、10重量%≦(D−2)/[(D−1)+(D−2)]≦40重量%が好ましい。この範囲を外れると、エポキシ樹脂組成物の流動性が低下し、半導体素子のシフト等の半導体装置内部の素子の変形が起こる他、半導体素子を構成する各部材との濡れ性が低下するため、各部材とエポキシ樹脂組成物の硬化物との界面の接着力が著しく低下したり、半導体装置の吸湿率が増大したりして、吸湿後の半田処理で界面剥離や半導体装置のクラックを生じ易くなり好ましくない。
【0011】無機充填材(D−1)と(D−2)の合計の配合量は、成形性と耐半田クラック性のバランスから全エポキシ樹脂組成物中75〜95重量%が好ましい。75重量%未満だと、吸水率の上昇に伴う耐半田クラック性が低下し、95重量%を越えると、ワイヤースィープ及びパッドシフト等の成形性の問題が生じ好ましくない。 本発明での無機充填材の粒子径54μm以上の粒子の測定は、湿式篩法による篩残粒子の重量測定法、平均粒径の測定については、レーザー回折式粒度分布計((株)島津製作所・製、SALD−7000)を用いた。
【0012】本発明に用いる複合酸化物系顔料は、特に限定しないが数種の遷移金属を混合し高温で焼成し固溶化させた有色結晶体であり、平均粒径が1μm以下であれば、いずれの複合酸化物系顔料でも使用可能である。具体的には、例えば微粒子タイプのCu−Fe−Mn系又はCu−Cr−Mn系黒色顔料等が挙げられる。これらの複合酸化物系顔料はカーボンブラックに代わる着色剤である。該複合酸化物系顔料は、カーボンブラックと比べて凝集しにくく樹脂中へ分散されやすい。
【0013】本発明に用いる複合酸化物系顔料は、エポキシ樹脂及び/又はフェノール樹脂の一部或いは全部と予め分散し溶融混合物とすることにより、複合酸化物系顔料の粒子同士の凝集が崩れ、細かな複合酸化物系顔料が樹脂中に均一分散されるため、この溶融混合物を用いたエポキシ樹脂組成物で封止された、配線間、ボンディングワイヤー間やボンディングパッド間が狭ピッチの半導体装置では、ショートやリークの発生を大幅に減少することができ、同時に平均粒径が5μm未満の無機充填材(D−2)も分散し溶融混合物とすることにより、平均粒径が5μm未満の無機充填材(D−2)の凝集を崩し、樹脂中に均一分散させ流動性を向上させることができる。本発明のエポキシ樹脂及び/又はフェノール樹脂の一部或いは全部と平均粒径が5μm未満の無機充填材(D−2)と複合酸化物系顔料とを予め分散してなる溶融混合物及び残余の成分を混合して溶融混練しエポキシ樹脂組成物を得るのに用いる混練機は、混練時に発熱溶融させる機構を有する一般的な混練機であればよいが、例えば一軸式混練機、同方向回転二軸式混練機、異方向回転二軸式混練機等の容器固定型の水平軸形式の混練機等が挙げられる。
【0014】本発明に用いられるエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて臭素化エポキシ樹脂、三酸化アンチモン等の難燃剤、カップリング剤、天然ワックス及び合成ワックス等の離型剤、シリコーンオイル、ゴム等の低応力成分を適宜配合してもよい。本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂及び/又はフェノール樹脂の一部或いは全部と平均粒径が5μm未満の無機充填材と複合酸化物系顔料とを予め分散し溶融混合物とした後、残余の成分と必要により添加する、その他の添加剤等をミキサー等を用いて常温混合した後、二軸式混練機等の混練機で溶融混練し、冷却後粉砕して得られる。本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて半導体素子等の電子部品を封止し、半導体装置を製造するには、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド等の従来からの成形方法で硬化成形すればよい。
【0015】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。配合割合は重量部とする。なお、実施例及び比較例で用いたエポキシ樹脂、フェノール樹脂、複合酸化物系顔料、5μm未満の溶融球状シリカ、カーボンブラック及び溶融混合物の詳細を以下にまとめて示す。
ビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、YX−4000HK、融点105℃、エポキシ当量191)
フェノールアラルキル樹脂(三井化学(株)製、XLC−2L、軟化点79℃、水酸基当量174)
複合酸化物系顔料A:一次粒子の平均粒径が40nmのCu−Fe−Mn系複合酸化物黒色顔料(大日精化工業(株)製、Black#3550)
複合酸化物系顔料B:一次粒子の平均粒径が30nmのCu−Cr−Mn系複合酸化物黒色顔料(大日精化工業(株)製、Black#3510)
溶融球状シリカA:平均粒径1.5μmカーボンブラック:一次粒子の平均粒径50nm【0016】溶融混合物の製造例溶融混合物A:ビフェニル型エポキシ樹脂76重量部とフェノールアラルキル樹脂69重量部と複合酸化物系顔料A3重量部と溶融球状シリカA200重量部を常温でミキサーを用いて攪拌した後、得られた混合物を二軸混練機を用いて溶融混合し、冷却後粉砕して溶融混合物Aとした。
溶融混合物B:ビフェニル型エポキシ樹脂76重量部とフェノールアラルキル樹脂69重量部と複合酸化物系顔料B3重量部と溶融球状シリカA200重量部を常温でミキサーを用いて攪拌した後、得られた混合物を二軸混練機を用いて溶融混合し、冷却後粉砕して溶融混合物Bとした。
溶融混合物C:ビフェニル型エポキシ樹脂76重量部とフェノールアラルキル樹脂69重量部とカーボンブラック3重量部と溶融球状シリカA200重量部を常温でミキサーを用いて攪拌した後、得られた混合物を二軸混練機を用いて溶融混合し、冷却後粉砕して溶融混合物Cとした。
【0017】
溶融混合物A 348重量部 溶融球状シリカB(平均粒径24μm、54μm以上は0.1重量%)
640重量部 1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(以下、DBUという) 2重量部 エポキシシランカップリング剤 5重量部 カルナバワックス 5重量部各成分をミキサーを用いて常温で混合した後、二軸混練機にて溶融混練を行い、冷却後粉砕して、エポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0018】評価方法スパイラルフロー:EMMI−1−66に準じたスパラルフロー測定用金型を用いて、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間120秒で測定した。
リーク不良:45μmピッチでボンディングした160pLQFPを低圧トランスファ−成形機にて金型温度175℃、注入圧力9.3MPa、硬化時間120秒の条件で成形し、パッド間のリークの有無を判定した。n=20中の不良個数で表現する。
【0019】実施例2、比較例1〜4表1の配合に従い、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を作製し、実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
【0020】
【表1】

【0021】
【発明の効果】本発明に従うと、流動性に優れたエポキシ樹脂組成物が得られ、これを用いて半導体素子を封止して得られる半導体装置は、狭ピッチの配線間、ボンディングワイヤー間やボンディングパッド間のショートやリーク不良がなく、産業上有用である。
【出願人】 【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
【住所又は居所】東京都品川区東品川2丁目5番8号
【出願日】 平成13年11月28日(2001.11.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−160713(P2003−160713A)
【公開日】 平成15年6月6日(2003.6.6)
【出願番号】 特願2001−361919(P2001−361919)