| 【発明の名称】 |
水系樹脂組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】金井田 健太 【住所又は居所】大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社日本触媒内
【氏名】水島 真 【住所又は居所】大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社日本触媒内
【氏名】佐伯 康一郎 【住所又は居所】大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社日本触媒内
【氏名】宮井 孝 【住所又は居所】大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社日本触媒内
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| 【要約】 |
【課題】良好な乾燥性を有し、かつ、密着性および各種耐性とりわけ耐水・耐溶剤性に優れた水系樹脂組成物を提供する。
【解決手段】水系樹脂組成物は、アニオン性樹脂および/または両イオン性樹脂と、多価オキサゾリン化合物と、多価金属化合物とが組み合わされてなる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】アニオン性樹脂および/または両イオン性樹脂と、多価オキサゾリン化合物と、多価金属化合物とが組み合わされてなる、水系樹脂組成物。 【請求項2】前記多価金属化合物がジルコニウム化合物である、請求項1に記載の水系樹脂組成物。 【請求項3】揮発性塩基性化合物がさらに組み合わされてなる、請求項1または2に記載の水系樹脂組成物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、乾燥性、密着性および各種耐性に優れた水系樹脂組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、大気汚染等の環境問題から、各種印刷インク、塗料、接着剤等の分野において、従来汎用されてきた溶剤系組成物を水系組成物へと転換する試みが検討されている。しかし、従来の水系組成物では、優れた乾燥性を期待することはできず、例えば、包装材用途を中心としたプラスチックフィルムを基材とする印刷分野においては、乾燥性や基材への濡れ性といった点で問題があり、一部の用途を除いてほとんど実用化に至っていない。水系組成物において乾燥性を向上させるには、その総固形分量を高くし、界面活性剤や増粘剤等の水溶性成分を極力少なくしたり、あるいは、メタノールのような低沸点アルコール類を多量に含有させて、乾燥を促進させることが考えられるが、いずれの方法においても乾燥性を十分に満足させることはできなかった。しかも、総固形分量を高くすると、塗工もしくは含浸時および印刷時の作業性を損ないやすいという問題を招き、他方、多量の低沸点アルコール類を用いると、大気汚染、作業環境の低下、溶剤処理装置の設置が必要になるという問題があった。 【0003】また、従来の水系組成物は、耐水性、耐溶剤性等の各種耐性や密着性についても、溶剤系組成物に比べて劣っているため、例えば、インクとして用いた場合には、インクの脱落(色移り)が起こったり、水や溶剤によって印刷が滲むといった問題が生じることがあった。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の課題は、良好な乾燥性を有し、かつ、密着性および各種耐性とりわけ耐水・耐溶剤性に優れた水系樹脂組成物を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、アニオン性樹脂および/または両イオン性樹脂、多価オキサゾリン化合物、および多価金属化合物の3成分を共存させると、アニオン性樹脂および/または両イオン性樹脂と多価オキサゾリン化合物との凝集によって、優れた乾燥性を発現させうること、および、アニオン性樹脂もしくは両イオン性樹脂と多価金属化合物との組み合わせ、あるいはアニオン性樹脂もしくは両イオン性樹脂と多価オキサゾリン化合物との組み合わせによる安定な共有結合により複雑な高分子マトリックスが形成され、さらに該高分子マトリックス中の多価金属と、アニオン性樹脂もしくは両イオン性樹脂のアニオン性官能基およびオキサゾリン環とがキレーションを形成してより強固に固定されることにより、密着性および耐性とりわけ耐水・耐溶剤性の向上を図りうること、を見いだし、本発明を完成した。 【0006】すなわち、本発明の水系樹脂組成物は、アニオン性樹脂および/または両イオン性樹脂と、多価オキサゾリン化合物と、多価金属化合物とが組み合わされてなる。 【0007】 【発明の実施の形態】本発明の水系樹脂組成物は、アニオン性樹脂および/または両イオン性樹脂が必須成分として組み合わされてなるものである。前記アニオン性樹脂としては、アニオン性の官能基を有する樹脂であれば特に限定されるものではなく、合成樹脂や天然樹脂が使用できる。例えば、アニオン性の官能基としてカルボキシル基を有する樹脂である、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂、カルボキシル基含有ウレタン樹脂、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂、カルボキシル基含有アルキド樹脂、カルボキシル基含有ポリビニルアルコール系樹脂等の合成樹脂や、カルボキシメチルセルロース等の天然樹脂等が挙げられる。また、アクリル変性ポリエステル、アクリル変性ポリウレタン、アクリル変性エポキシ樹脂等のカルボキシル基含有複合系樹脂も使用可能である。これらアニオン性樹脂は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。 【0008】なお、前記アニオン性樹脂の形態は、水溶性であってもよいし、コロイダルディスパージョンやエマルション形態の水分散性であってもよい。また、水溶性アニオン性樹脂と水分散性アニオン性樹脂とが併用されていてもよい。特に、本発明においては、多価オキサゾリン化合物を必須成分とすることにより、水分散性アニオン性樹脂のみであっても優れた性能を発揮することができるのである。前記アニオン性の官能基としてカルボキシル基を有するアニオン性樹脂の好ましい例としては、少なくとも1種の不飽和カルボン酸を含む単量体成分を重合して得られる重合体樹脂が挙げられる。 【0009】前記不飽和カルボン酸としては、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、ケイ皮酸、クロトン酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸やそのモノエステル類;等が挙げられ、これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これらの不飽和カルボン酸のほかに、該不飽和カルボン酸と共重合可能な不飽和単量体を前記単量体成分として使用することもできる。不飽和カルボン酸と共重合可能な不飽和単量体としては、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等のハロゲン化α,β−不飽和単量体類;スチレン、α−メチルスチレン等のα,β−不飽和芳香族単量体類;が挙げられ、これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。 【0010】前記不飽和カルボン酸を含む単量体成分の重合方法としては、特に限定されず、公知の重合方法を採用することができる。例えば、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法等により行えばよく、具体的には、水溶性アニオン性樹脂は溶液重合法等で、水分散性アニオン性樹脂は乳化重合法や懸濁重合法等で得ることができる。また、単量体成分は、例えば、反応器に一括して添加してもよく、滴下等の方法によって連続的あるいは逐次的に添加してもよい。さらに、重合の際には、必要に応じて、ジビニルベンゼン等の1分子中に2個以上の共重合可能な不飽和基を有する単量体を用いて、重合体樹脂の一部を架橋してもよく、また、t−ドデシルメルカプタン等の連鎖移動剤を用いて、重合度を制御することもできる。なお、重合は、窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気下で行うことがより好ましい。 【0011】前記アニオン性の官能基としてカルボキシル基を有するアニオン性樹脂の好ましい例としては、前述した不飽和カルボン酸を含む単量体成分を重合して得られる重合体樹脂のほかに、カルボキシル基を分子内に有するウレタン系樹脂が挙げられる。カルボキシル基を分子内に含有するウレタン系樹脂としては、特に限定されず、活性水素含有化合物と有機ポリイソシアネートとから得られ、実質的に遊離イソシアネート基を有しないものが挙げられる。前記分子内にカルボキシル基を含有するウレタン系樹脂は、一般的に、低分子ポリオール、高分子ポリオール、ヒドロキシカルボン酸、ポリアミン等のうちの1種以上からなる活性水素含有化合物と、有機ポリイソシアネートとから得ることができる。このとき、活性水素含有化合物としては、少なくとも高分子ポリオールを必須としていることが好ましい。具体的には、例えば、有機ポリイソシアネートと、活性水素含有化合物として高分子ポリオールおよびヒドロキシカルボン酸等とを重合して、両末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを調製し、さらに該プレポリマーのカルボキシル基部分をトリエチルアミン等の3級アミンや苛性ソーダ等の塩基性化合物で中和することにより、分子鎖中に親水性基を持たせて水中に分散した後、得られたプレポリマーに、ポリアミンや低分子ポリオール等の活性水素基含有化合物を反応させる自己乳化法等により製造することができるが、勿論該方法に限定されず、公知の重合方法によっても製造することができる。なお、ポリウレタン重合反応の際の温度は、特に制限されないが、通常、40〜140℃、好ましくは60〜120℃(但し、ポリアミンを反応させる場合は、通常、80℃以下、好ましくは0〜70℃)で行われる。また、ポリウレタン重合反応は、例えば、ジメチルホルムアミド、ジオキサン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等の溶剤中で行ってもよく、該溶剤は反応途中または反応後に加えてもよい。 【0012】前記活性水素含有化合物である低分子ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−または1,4−ブタンジオール、3−メチルペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキシレングリコール等の二官能ポリオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、シュークローズ等の三官能以上のポリオール;乳酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸、ジメチロールプロピオン酸等のヒドロキシカルボン酸;等が挙げられ、これらの中でも、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジメチロールプロピオン酸が好ましい。また、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のモノアルコールを一部併用してもよい。 【0013】前記活性水素含有化合物である高分子ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、アクリルポリオール、ポリマーポリオール、およびこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。これらの中でも特に、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールが好ましい。さらに具体的には、前記ポリエーテルポリオールとしては、前記低分子ポリオール、多価フェノール類(例えば、ビスフェノールA等のビスフェノール類)、アミン類(例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン;エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジエチレントリアミン等の脂肪族ポリアミン;トリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン等の芳香族ジアミン;等。)等から選ばれる1種以上のアルキレンオキシド付加物やアルキレンオキシドの開環重合物等が挙げられる。アルキレンオキシド付加物におけるアルキレンオキシドとしては、炭素数2〜4のアルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等。)の1種または2種以上が挙げられ、ランダム付加物であってもブロック付加物であってもよい。アルキレンオキシドの開環重合物としては、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。また、前記ポリエステルポリオールとしては、ポリカルボン酸(例えば、アジピン酸、コハク酸、セバチン酸、アゼライン酸、フマル酸、マレイン酸、二量化リノレイン酸等の脂肪族ポリカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ポリカルボン酸;等。)と前記低分子ポリオールまたは前記ポリエーテルポリオール(例えば、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等。)との末端がヒドロキシル基であるポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンジオール等のラクトンポリエステル、ポリカーボネートジオール等が挙げられる。また、前記ポリマーポリオールとしては、ポリオール(前記ポリエーテルポリオール、前記ポリエステルポリオール等。)中で、アクリロニトリル、スチレン等のビニルモノマーを重合させたポリオール等が挙げられる。 【0014】前記活性水素含有化合物であるヒドロキシカルボン酸としては、例えば、前記低分子ポリオールの例として前述したものが挙げられる。前記活性水素含有化合物であるポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン等の脂肪族ポリアミン;4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン(水添MBA)、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−ジアミノメチルジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン等の脂環族ポリアミン;キシリレンジアミン、テトラメチルキシリレンジアミン等の芳香環を有する脂肪族ジアミン;ジフェニルメタンジアミン、ジクロロジフェニルメタンジアミン、トリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、ベンジジン、フェニレンジアミン等の芳香族ポリアミン;モノ−またはジ−エタノールアミン、プロパノールアミン、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン等のアルカノールアミン;高分子ポリオールの例として前述したポリエーテルポリオールの末端OH基がアミノ基によって置換された化合物(例えば、ポリオキシエチレンエーテルジアミン、ポリオキシプロピレンエーテルジアミン等。)等のポリアルキレンオキシドポリアミン;およびこれらアミンの2種以上の混合物;等が挙げられる。これらの中でも特に、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンが好ましい。 【0015】前記有機ポリイソシアネートとしては、具体的には、例えば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、ビス(2−イソシアネートエチル)カーボネート、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート等の炭素数(イソシアネート(NCO)基中の炭素を除く)2〜12の脂肪族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアネートエチル)4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート等の炭素数(イソシアネート(NCO)基中の炭素を除く)4〜15の脂環族ポリイソシアネート;キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジエチルベンゼンジイソシアネート等の炭素数(イソシアネート(NCO)基中の炭素を除く)8〜12の芳香脂肪族ポリイソシアネート;HDIの水変性物、IPDIまたはHDIの三量化物;トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリフェニルメタンポリイソシアネート(PAPIすなわち粗製MDI)、ナフチレンジイソシアネート等の炭素数(イソシアネート(NCO)基中の炭素を除く)6〜20の芳香族ポリイソシアネート;および前記ポリイソシアネートの変性物(カーボジイミド基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、ビュウレット基、イソシアヌレート基のうちの1種以上を含有する変性物など);等が挙げられる。これらの中でも特に、HDI、IPDI、水添MDI、テトラメチルキシリレンジイソシアネートが好ましい。 【0016】前記アニオン性樹脂のガラス転移点(Tg)は、−50〜130℃であることが好ましく、さらに好ましくは−10〜100℃である。アニオン性樹脂のガラス転移点(Tg)が−50℃未満であると、マトリックスが過度に軟化するため、形成された樹脂組成物層の耐性が低下する傾向があり、一方、130℃を越えると、マトリックスが過度に硬くなるため、形成された樹脂組成物層が脆くなる傾向がある。前記アニオン性樹脂の酸価は、1〜800mgKOH/g−solidであることが好ましく、さらに好ましくは3〜240mgKOH/g−solidである。アニオン性樹脂の酸価が1mgKOH/g−solid未満であると、マトリックス形成が不十分となり、形成された樹脂組成物層の耐性が低下しやすくなり、一方、800mgKOH/g−solidを越えると、特に耐水性が低下する傾向がある。 【0017】前記アニオン性樹脂の重量平均分子量は、1,000以上であることが好ましい。より好ましくは3,000以上、さらに好ましくは5,000以上であるのがよい。アニオン性樹脂の重量平均分子量が1,000未満であると、マトリックス形成時の分子量アップが不十分となり、形成された樹脂組成物層の耐性が低下する傾向がある。前記アニオン性樹脂の固形分(不揮発分)は、特に限定されるものではないが、1〜70重量%の範囲内であることが好ましく、10〜50重量%の範囲内であることがより好ましい。 【0018】前記両イオン性樹脂としては、アニオン性の官能基とカチオン性の官能基とを併せ持つ樹脂であれば特に限定されるものではなく、例えば、以下の1)〜5)に例示のものが挙げられる。両イオン性樹脂は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、両イオン性樹脂も、前記アニオン性樹脂と同様、水溶性であってもよいし、水分散性であってもよい。 1)ポリエチレンイミンやポリプロピレンイミン等のポリアルキレンイミン類、ポリビニルアミン類、ポリアリルアミン類、ポリアミドアミン類等のカチオン性樹脂にクロロ酢酸等を用いてアニオン性基としてカルボキシル基を導入した両イオン性樹脂。 【0019】2)(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキッド樹脂、マレイン化ポリブタジエン等のカルボキシル基を有するアニオン性樹脂のカルボキシル基の一部を、エチレンイミン、プロピレンイミン、ヒドロキシエチルエチレンイミン、ヘキサメチレンジエチレンウレア等のアジリジン化合物、グリシジルアミンおよびこれらの塩等に代表されるカチオン性窒素原子を有するアルキル化剤のうち少なくとも1種と反応させることによって得られる両イオン性樹脂。 3)(メタ)アクリル系樹脂等のカルボキシル基およびグリシジル基を有する樹脂のグリシジル基を、アンモニアまたはアミン化合物と反応させることによって得られる両イオン性樹脂。 【0020】4)(メタ)アクリル酸グリシジル等のグリシジル基を有する化合物のグリシジル基をアンモニアまたはアミン化合物と反応させた化合物と、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸等のカルボキシル基を有する化合物とを少なくとも含む単量体成分から得られる重合体または共重合体からなる両イオン性樹脂。 5)ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等のアミノエステル基を有するビニル化合物、ビニルピリジンやビニルイミダゾールおよびこれらの塩類、アリルアミンやジアリルアミンおよびこれらの塩類、(メタ)アクリル酸グリシジル等のグリシジル基を有する化合物のグリシジル基をアンモニアまたはアミン化合物と反応させてなる化合物等のカチオン性窒素原子を有する化合物(前記例示のほか、主鎖および側鎖の両方にカチオン性窒素原子を有する樹脂であっても勿論よい。)のうちの少なくとも1種と、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸等のカルボキシル基を有する化合物のうちの少なくとも1種とを少なくとも含む単量体成分から得られる共重合体からなる両イオン性樹脂。 【0021】上記1)〜5)に例示の両イオン性樹脂はいずれも、通常の方法によって合成することができる。前記両イオン性樹脂におけるカチオン性官能基およびアニオン性官能基の存在量としては特に限定されないが、両イオン性樹脂1g当たりそれぞれ0.01〜20ミリモルであることが好ましい。カチオン性官能基やアニオン性官能基の存在量が前記範囲を外れると、各種基材に対する密着性が低下する恐れがある。なお、前記両イオン性樹脂は、そのカチオン性官能基の一部または全部が、塩酸、硝酸、ギ酸、酢酸等の有機酸や無機酸により中和されていてもよく、そのアニオン性基の一部または全部が、アンモニア、アミン化合物、苛性ソーダ等の有機もしくは無機塩基性化合物により中和されていてもよい。 【0022】前記両イオン性樹脂のガラス転移点(Tg)は、−50〜130℃であることが好ましく、さらに好ましくは−10〜100℃である。両イオン性樹脂のガラス転移点(Tg)が−50℃未満であると、マトリックスが過度に軟化するため、形成された樹脂組成物層の耐性が低下する傾向があり、一方、130℃を越えると、マトリックスが過度に硬くなるため、形成された樹脂組成物層が脆くなる傾向がある。前記両イオン性樹脂の重量平均分子量は、1,000以上であることが好ましい。より好ましくは3,000以上、さらに好ましくは5,000以上であるのがよい。両イオン性樹脂の重量平均分子量が1,000未満であると、マトリックス形成時の分子量アップが不十分となり、形成された樹脂組成物層の耐性が低下する傾向がある。 【0023】前記両イオン性樹脂の固形分(不揮発分)は、特に限定されるものではないが、1〜70重量%の範囲内であることが好ましく、10〜50重量%の範囲内であることがより好ましい。本発明の水系樹脂組成物は、多価オキサゾリン化合物が必須成分として組み合わされてなるものである。前記多価オキサゾリン化合物としては、分子中に2個以上のオキサゾリン環を有するものであれば特に限定されるものではなく、低分子化合物であってもよいし、重合体であってもよい。具体的には、例えば、2,2’−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−メチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−トリメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−ヘキサメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス−(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、ビス−(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィド、ビス−(2−オキサゾリニルノルボルナン)スルフィド等の低分子化合物;オキサゾリン環含有重合体;が挙げられる。これら多価オキサゾリン化合物は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。 【0024】前記オキサゾリン環含有重合体は、付加重合性オキサゾリンを必須とし必要に応じて該付加重合性オキサゾリンと共重合可能な単量体をも含む単量体成分を重合させることにより、容易に得られる。前記付加重合性オキサゾリンとしては、具体的には、例えば、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等が挙げられる。これら付加重合性オキサゾリンの中でも、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが、工業的に入手しやすい点からより好ましい。これら付加重合性オキサゾリンは、1種類のみを用いてもよく、また、2種類以上を併用してもよい。前記付加重合性オキサゾリンの使用量は、特に限定されるものではないが、単量体成分中5重量%以上とすることが好ましく、より好ましくは5〜90重量%、さらに好ましくは10〜60重量%、特に好ましくは30〜60重量%とするのがよい。付加重合性オキサゾリンが5重量%未満であると、得られたオキサゾリン環含有重合体を前記アニオン性樹脂および/または両イオン性樹脂と組み合わせて樹脂組成物としたときに、該樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物の耐久性、耐水性、耐溶剤性等の各種耐性が低下する恐れがある。 【0025】前記付加重合性オキサゾリンと共重合可能な単量体としては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコールとのモノエステル化物、(メタ)アクリル酸−2−アミノエチルおよびその塩、(メタ)アクリル酸のカプロラクトン変性物、(メタ)アクリル酸−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、(メタ)アクリル酸−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸アンモニウム等の(メタ)アクリル酸塩;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等のハロゲン含有・α,β−不飽和脂肪族炭化水素;スチレン、α−メチルスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム等のα,β−不飽和芳香族炭化水素;等が挙げられる。これら単量体は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。 【0026】前記オキサゾリン環含有重合体は、水溶性、水希釈性、または水分散性であることが好ましく、とりわけ水溶性であることがより好ましい。水溶性オキサゾリン環含有重合体を得るには、重合に供する単量体成分中の親水性単量体の割合を50重量%以上とすることが好ましく、さらに好ましくは、水溶性および硬化性の観点から60〜90重量%とするのがよい。親水性単量体しては、前記付加重合性オキサゾリン、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコールのモノエステル化物、(メタ)アクリル酸2−アミノエチルおよびその塩、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸アンモニウム、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコールとのモノエステル化物等のポリエチレングリコール鎖を有する単量体が、水への溶解性の高いことから好ましい。 【0027】前記オキサゾリン環含有重合体を得る際の重合方法は、特に限定されず、公知の種々の重合方法を採用することができる。例えば、水性媒体中で、溶液重合、乳化重合、懸濁重合または塊状重合させる方法が挙げられる。反応条件は、単量体成分の組成等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、反応温度は20〜150℃程度が好適であり、反応時間は1〜24時間程度が好適である。また、単量体成分は、例えば、反応器に一括して添加してもよく、滴下等の方法によって連続的あるいは逐次的に添加してもよい。なお、重合は、窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気下で行うことがより好ましい。 【0028】前記オキサゾリン環含有重合体を得る際の重合で用いることのできる水性媒体としては、例えば、水;水と均一に混合する溶剤と水との混合溶剤;等が挙げられるが、とりわけ水が好ましい。水と均一に混合する溶剤としては、具体的には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、等の低級アルコール;エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、等のグリコール;アセトン、メチルエチルケトン、等のケトン;等が挙げられる。これらの水と均一に混合する溶剤は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。なお、前記オキサゾリン環含有重合体を得る際の重合で用いる水性媒体の使用量は特に限定されない。 【0029】前記オキサゾリン環含有重合体は、重合体の後変性でオキサゾリン環を導入することによっても得ることができる。具体的には、ニトリル基を有する重合体とモノアミノアルコールとを反応させる方法(特開平9−235320号公報)、ポリメタクリル酸エステルのエステル部分にモノエタノールアミンを反応させ、さらに脱水環化させてオキサゾリン環を導入する方法(米国特許第5705573号)等の方法により得ることができる。前記多価オキサゾリン化合物の固形分(不揮発分)は、特に限定されるものではないが、1〜70重量%の範囲内であることが好ましく、10〜50重量%の範囲内であることがより好ましい。 【0030】前記多価オキサゾリン化合物のオキサゾリン価は、50〜3,000g−solid/eq.であることが好ましく、より好ましくは100〜2,000g−solid/eq.、さらに好ましくは200〜1,500g−solid/eq.であるのがよい。前記多価オキサゾリン化合物の配合量は、前記アニオン性樹脂および/または両イオン性樹脂の総和に対して0.1〜99.9重量%であることが好ましく、より好ましくは0.2〜80重量%、さらに好ましくは0.5〜50重量%であるのがよい。多価オキサゾリン化合物の配合量が0.1重量%未満であると、形成された樹脂組成物層の基材への密着性が低下しやすくなり、一方、99.9重量%を越えると、形成された樹脂組成物層の耐性が低下しやすくなる。 【0031】本発明の水系樹脂組成物は、多価金属化合物が必須成分として組み合わされてなるものである。前記多価金属化合物としては、前記アニオン性樹脂もしくは両イオン性樹脂が有するアニオン性官能基またはオキサゾリン環と共有結合可能なものであれば特に制限はなく、例えば、その金属種としては、ジルコニウム、亜鉛、ホウ素、チタン等が挙げられ、その配位子としては、アンモニウムヒドロキシド、炭酸アンモニウム、カルボン酸アンモニウム、カルボン酸類、ハロゲン化物等が挙げられる。具体的には、これらの金属種と配位子からなる化合物として、例えば、炭酸アンモニウムジルコニウム、乳酸アンモニウムジルコニウム、酢酸アンモニウムジルコニウム、酢酸ジルコニウム、プロピオン酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、リン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、フッ化ジルコニウムアンモニウム、炭酸アンモニウム亜鉛、ボレート、シュウ酸チタンアンモニウム、炭酸チタンアンモニウム等が挙げられる。また、これらを、例えば酒石酸、グルコン酸等で安定化したものであってもよい。本発明においては、これらの中でも特に、金属種がジルコニウム、亜鉛、ホウ素またはチタンである化合物が好ましく、とりわけジルコニウム化合物が好ましい。これら多価金属化合物は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。 【0032】前記多価金属化合物の配合量は、前記アニオン性樹脂および/または両イオン性樹脂と多価オキサゾリン化合物の総和に対して0.1〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは0.2〜40重量%、さらに好ましくは0.5〜35重量%であるのがよい。多価金属化合物の配合量が0.1重量%未満であると、マトリックスの架橋密度が不十分となり、形成された樹脂組成物層の耐水性および耐溶剤性が低下することとなり、一方、50重量%を越えると、マトリックスの架橋密度が過分となり、形成された樹脂組成物層が脆くなる傾向がある。本発明の水系樹脂組成物においては、さらに、揮発性塩基性化合物が組み合わされてなることが好ましい。揮発性塩基性化合物を存在させておくことにより、使用されるまでの間、アニオン性樹脂もしくは両イオン性樹脂のアニオン性官能基を保護し、貯蔵安定性を向上させることができる。そして、この揮発性塩基性化合物は、使用時には容易に揮発するので、保護されていたアニオン性官能基は速やかにマトリックス形成に寄与し、乾燥を促進するとともに耐性を付与することになるのである。 【0033】前記揮発性塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、モルホリン、アルキルアミン、2−ジメチルアミノエタノール、N−メチルモルホリン、エチレンジアミン等が挙げられる。これらは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。前記揮発性塩基性化合物の配合量は、揮発性塩基性化合物により調整された樹脂組成物のpHが7以上となるように前記揮発性塩基性化合物を用いることが好ましい。前記揮発性塩基性化合物により調整された樹脂組成物のpHが7未満であると、樹脂組成物の貯蔵安定性を充分に向上させることができないと同時に、形成される樹脂組成物層の密着性や耐性が低下しやすくなる。 【0034】本発明の水系樹脂組成物は、さらに、カチオン性樹脂を含有していてもよい。カチオン性樹脂をも存在させることにより、該カチオン性樹脂のカチオン性基が、多価オキサゾリン化合物のオキサゾリン環とともに、アニオン性樹脂および/または両イオン性樹脂との凝集および多価金属化合物とのキレーションに寄与し、さらに各種性能の向上を図ることが可能となる。前記カチオン性樹脂としては、カチオン性の官能基を有する樹脂であれば特に限定されるものではなく、例えば、カチオン性の官能基としてアミノ基を有する、ポリアルキレンイミン類、ポリアミド類、アミノスルホポリエステル類、ポリアリルアミン類、ポリビニルアミン類、およびこれらの変性ポリマー等の塩基性含窒素樹脂が挙げられる。これらカチオン性樹脂は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これらカチオン性樹脂の形態は、特に限定されるものではないが、水溶液が好ましい。 【0035】ポリアルキレンイミン類は、一般に、エチレンイミン、1,2−プロピレンイミン、1,2−ドデシレンイミン、1,1−ジメチルエチレンイミン、フェニルエチレンイミン、ベンジルエチレンイミン、ヒドロキシエチルエチレンイミン、アミノエチルエチレンイミン、2−メチルプロピレンイミン、3−クロロプロピルエチレンイミン、メトキシエチルエチレンイミン、ドデシルアジリジニルフォルメート、N−エチルエチレンイミン、N−(2−アミノエチル)エチレンイミン、N−フェネチルエチレンイミン、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンイミン、N−(シアノエチル)エチレンイミン、N−(p−クロロフェニル)エチレンイミン等のアルキレンイミンをイオン重合させる方法、あるいは、アルキルオキサゾリンを重合させた後、該重合体を部分加水分解または完全加水分解させる方法等で製造することができるが、特に限定はされない。 【0036】ポリビニルアミン類は、例えば、N−ビニルホルムアミドを重合させてポリ(N−ビニルホルムアミド)とした後、これを塩酸等の酸や塩基性物質により部分加水分解または完全加水分解する方法、あるいは、ポリニトロエチレンやその誘導体を還元する方法、あるいは、ポリアクリルアミドをホフマン分解する方法、あるいは、N−ビニルフタルイミド樹脂をアルカリ還元する方法等によって得ることができるが、特に限定はされない。例えば、ポリビニルアミン、ポリメタビニルアミン、ポリビニルアミン塩酸塩、ポリビニルエチルアミン塩酸塩、ポリメタビニルメチルアミン塩酸塩、ポリビニル−N−トリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。 【0037】ポリアリルアミン類は、一般に、アリルアミンモノマーの塩酸塩を重合させた後、塩酸を除去することにより得られるが、特に限定はされない。例えば、ポリアリルアミン、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアリルエチルアミン塩酸塩、ポリアリルジメチルエチルアンモニウム塩酸塩、ジアリルアミン塩酸塩重合体、ジアリルメチルアミン塩酸塩重合体、ジアリルジメチルアンモニウム塩酸塩重合体、これらの二酸化硫黄共重合体、アクリルアミド共重合体、ジアリルアミン塩酸塩誘導体共重合体、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート共重合体等が挙げられる。 【0038】ポリアミド類は、一般に、ヘキサメチレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、ジプロピレンペンタアミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラアミン、ジヘキサメチレントリアミン等のポリアルキレンポリアミンと、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、琥珀酸、マレイン酸、グルタル酸、コルク酸、セバシン酸等のジカルボン酸またはこれらの酸塩化物等の誘導体とを加熱し、生成する水を減圧下除去する、重縮合、界面重縮合、低温溶液重縮合、ポリリン酸溶液重縮合、固相重縮合等により得られる重縮合物;ジイソシアネートとジカルボン酸との重付加物;ラクタムの開環重合物;等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。 【0039】アミノスルホポリエステル類は、例えば、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のポリアルカノールアミン類と、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のジオール類と、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、琥珀酸、マレイン酸、グルタル酸、コルク酸、セバシン酸等のジカルボン酸と、および5−ソジオスルホイソフタル酸とを加熱し、生成する水を減圧下除去し、脱水縮合することにより得られるが、これらに限定はされない。さらに、前述の2種以上のカチオン性樹脂同士を架橋剤により架橋したものを用いることもできる。例えば、ポリアルキレンイミンとポリアミドとをエピクロルヒドリン等で架橋したものが挙げられるが、これに限定されるものではない。 【0040】また、カチオン性樹脂が変性ポリマーである場合、例えば、変性率0〜100%のエチレンオキシド変性、プロピレンオキシド変性、スチレンオキシド変性、α,β−不飽和エステル変性等が挙げられる。前記カチオン性樹脂の数平均分子量は、特に制限されないが、300〜5,000,000であることが好ましい。より好ましくは600〜2,700,000、さらに好ましくは600〜150,000、最も好ましくは1,000〜120, 000であるのがよい。カチオン性樹脂の数平均分子量が300未満であると、マトリックス形成時の分子量アップが不十分となり、形成された樹脂組成物層の耐性が低下する傾向があり、一方、5,000,000を越えると、マトリックス形成時の反応が不十分となり、形成された樹脂組成物層の耐水性を損なう恐れがある。 【0041】前記カチオン性樹脂をも含有させる場合、その配合量は、特に制限されないが、前記アニオン性樹脂および/または両イオン性樹脂の総和に対して、10重量%以下であることが好ましい。カチオン性樹脂が10重量%を超えると、形成された樹脂組成物層の耐性が低下する傾向がある。本発明の水系樹脂組成物は、さらに、前記アニオン性樹脂、両イオン性樹脂およびカチオン性樹脂以外の他の樹脂を、本発明の効果を損なわない範囲で含有していてもよい。他の樹脂としては、特に制限されず、合成樹脂や天然樹脂を使用することができる。例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−ブテン共重合体等のポリオレフィン系樹脂およびジエン系樹脂;ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体等のポリスチレン系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;(メタ)アクリル酸エステル系樹脂;アクリロニトリル系樹脂;ポリオキシメチレン、ポリフェニレンエーテル系樹脂等のポリエーテル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリエステル系樹脂;不飽和ポリエステル系樹脂;ポリウレタン系樹脂;エポキシ系樹脂;ポリイミド系樹脂;等の合成樹脂と、カゼイン等の天然樹脂が挙げられる。 【0042】本発明の水系樹脂組成物は、通常、必須成分である、前記アニオン性樹脂および/または両イオン性樹脂、多価オキサゾリン化合物および前記多価金属化合物のほかに、水系媒体を含むものである。水系媒体としては、特に限定されるものではないが、最も好ましくは水単独溶媒が挙げられる。また、例えばメタノールやエタノール等の低沸点水溶性有機溶媒の1種または2種以上、あるいはこれらと水との混合溶媒を用いることもできる。本発明の水系樹脂組成物は、その全固形分が1重量%以上であることが好ましい。樹脂組成物中の全固形分が1重量%未満であると、乾燥性が不十分となる傾向がある。したがって、前記水系溶媒の配合量は、樹脂組成物中の全固形分が1重量%以上となるように調整することが好ましい。 【0043】本発明の水系樹脂組成物は、必要に応じて、各種添加剤を含有するものであってもよい。添加剤としては、例えば、各種有機あるいは無機顔料;酸性染料、直接染料、反応性染料、分散染料、食品用色素等の各種染料;可塑剤、ワックス、保湿剤、消泡剤界面活性剤、湿潤剤、レベリング剤、増粘剤、レオロジー改良剤、金属イオン封鎖剤、殺生剤、分散剤;炭酸カルシウム、タルク、クレー、シリカ、シリケート等の増量剤;フィラー、凍結防止剤、凍結および解凍安定剤、保存料、腐食防止剤、カラー保水性向上剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、蛍光増白剤等が挙げられる。これら添加剤の配合量は、本発明の効果を損なわない範囲内で適宜設定すればよい。 【0044】本発明の水系樹脂組成物は、前記アニオン性樹脂および/または両イオン性樹脂、多価オキサゾリン化合物および前記多価金属化合物を必須成分として組み合わせることにより得ることができ、その製造方法は特に限定されるものではない。詳しくは、前記必須3成分と必要に応じて用いるその他の成分とをどのような順序でどのようにして混合してもよい。例えば、貯蔵安定性を考慮して、前記必須3成分のうちの2成分を先に混合しておき、使用直前に残りの1成分を添加するようにしてもよい。本発明の水系樹脂組成物の好ましい形態としては、前記アニオン性樹脂および/または両イオン性樹脂、多価オキサゾリン化合物、および前記多価金属化合物を同時に含んでなる形態、すなわち初期に必須3成分を混合しておくことが望ましい。具体的には、本発明の水系樹脂組成物は、バドル翼等の攪拌機、高速攪拌分散機、高圧ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、アトライター、バスケットミル、ロールミル、振動式分散機等の公知の攪拌、分散、破砕装置により製造することができる。また、必要に応じて、ストレーナー等を通して粗大粒子等を除去することもできる。 【0045】本発明の水系樹脂組成物は、基材へ塗工もしくは含浸した後、乾燥によって前記水系媒体を除去するようにして用いるものである。例えば、本発明の水系樹脂組成物を基材へ付着させると直ちに、前記アニオン性樹脂および/または両イオン性樹脂と前記多価オキサゾリン化合物との凝集が起こり、水系媒体を系外へ押し出す効果により、優れた乾燥性を発揮する。そして、水系媒体が除去された後の樹脂組成物においては、前記アニオン性樹脂および/または両イオン性樹脂と前記多価金属化合物との組み合わせ、あるいは前記アニオン性樹脂および/または両イオン性樹脂と前記多価オキサゾリン化合物との組み合わせによる安定的な共有結合により複雑な高分子マトリックスが形成され、さらに該高分子マトリックス中の多価金属と、アニオン性官能基およびオキサゾリン環とがキレーションを形成してより強固に固定されるので、極めて優れた密着性および耐性を示す皮膜を形成することができるのである。すなわち、本発明の水系樹脂組成物は、アニオン性樹脂および/または両イオン性樹脂、多価オキサゾリン化合物および多価金属化合物の3成分が共存することによって、優れた乾燥性を発揮するとともに、3成分の相乗作用による極めて優れた密着性および耐性を発現させることができるのである。 【0046】本発明の水系樹脂組成物を塗工・含浸することのできる基材は、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ナイロン、PET等のポリエステル系樹脂、セロファン、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂等の有機基材;上質紙、クラフト紙、クレープ紙、グラシン紙、プラスチックコート紙等の紙基材;金属(例えば、鉄、アルミニウム、銅)、ガラス、コンクリート、セメント、煉瓦、石膏板等の無機基材;ビチューメン;シンダーブロック;パーチクルポード;木材;麻、綿、レーヨン、キュプラ等のセルロース系繊維;羊毛、獣毛、絹等のタンパク繊維;アセテート等の半合成繊維;ナイロン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ビニロン等の合成繊維;ロックウール、ガラスファイバー等の無機繊維;皮革;等が挙げられる。これら基材の形態としては、特に限定されないが、フィルム、シート、成形物、発泡体、コード、不織布や布等の繊維加工品等が挙げられる。また、本発明の水系樹脂組成物を塗工・含浸する際の方法についても、特に限定されず、例えば、ナイフコート、コンマコート、スロットダイコート、スライドダイコート、エアナイフコート、プレードコート、バーコート、キスコート、スプレーコート、エアスプレーコート、ロールコート、ブラシコート、カーテンコート、フラッドコート、ディッピングコート等の公知の方法や装置を採用することができる。 【0047】本発明の水系樹脂組成物は、室温から80℃という緩やかな乾燥条件においても良好な乾燥性を示すとともに、得られた塗膜は、プラスチック等の各種基材への密着性、耐水性、耐溶剤性、強度に優れている。このため、本発明の水系樹脂組成物は、例えば、フレキソ印刷用インク、インクジェットプリンター用インク等の各種インク;OPニス、フィルムコート等の各種クリアーコーティング剤;インクジェットプリンター用受容紙の受容層;路面表示用塗料、導電性塗料、プラスチック用塗料、無機建材用塗料、金属用塗料、皮革塗料、補修用塗料等の各種塗料;有機基材、無機基材、難接着性基材へのプライマー;不織布バインダー、顔料捺染用バインダー、撥水加工や仕上げ加工用バインダー、織布コーティングや含浸処理加工用バインダー等の各種繊維処理剤;ドライラミネートや押し出しラミネート等の各種ラミネート用接着剤、木材用接着剤、構造用接着剤等の各種接着剤;帯電防止剤;プライマー;トップコート;粘着剤;マニキュアやヘアセット剤等の各種化粧品;等の幅広い用途において、耐摩擦性、耐ブロッキング性、耐洗濯性、耐水強度、耐水接着性、耐薬品性等の実用的な耐性および良好な作業性を発揮し、好適に用いることができる。 【0048】 【実施例】以下に、実施例および比較例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、実施例および比較例に記載の「部」および「%」はそれぞれ「重量部」および「重量%」を示している。 (実施例1)水分散性アニオン性樹脂A(スチレン−アクリル系樹脂:酸価55mgKOH/g−solid、Tg37℃、固形分46%)34.0部、水溶性オキサゾリン化合物A(オキサゾリン価220g−solid/eq.、固形分25%)1.6部、炭酸アンモニウムジルコニウム(固形分46%(酸化ジルコニウム換算で固形分20%))3.3部、および水19.1部を、分散機に秤取り、分散機にて2000回転/分にて5分間攪拌し、全固形分30%の樹脂組成物を得た。 【0049】得られた樹脂組成物を用いて、以下の方法で各種評価を行った。結果を表1に示す。 (塗膜外観) 得られた樹脂組成物を、コロナ放電処理のOPPフィルムに固形分として膜厚が約1μmとなるようにバーコーターを用いて塗布した後、30℃、60%RHで24時間養生して、試験フィルムを得た。そして、該試験フィルムの塗膜の外観を目視にて観察し、次のように評価した。 ○;外観不良なし、×;外観不良あり(指触乾燥性) 得られた樹脂組成物を、ガラス板に固形分として膜厚が約1μmとなるようにバーコーターを用いて塗布した後、塗布直後の塗布面を指で押さえ、指紋が付かなくなるまでの時間を測定し、次のように評価した。 ○;30秒未満、△;1分未満、×;1分以上(密着性) 塗膜外観の評価で得られた試験フィルムの塗膜面に12mm幅の粘着テープを貼り付けた後、強制剥離し、OPPフィルムからの塗膜の剥がれの有無を目視にて観察し、次のように評価した。 ○;剥離なし、×;剥離あり(耐水ラビング性) 塗膜外観の評価で得られた試験フィルムの塗膜上で、学振型摩擦堅牢度試験機を用いて水に浸した脱脂綿を200回往復させ、塗膜変化が現れたときの往復回数を測定し、次のように評価した。 ○;200回まで変化なし、△;100回以上200回未満、×;100回未満(耐アルコールラビング性) 塗膜外観の評価で得られた試験フィルムの塗膜上で、80%エタノールに浸した綿棒を30回往復させた後、塗膜の外観を目視にて観察し、次のように評価した。 ○;変化なし、△;若干傷あり、×;完全剥離(実施例2)実施例1で用いた配合成分をそれぞれ表1に示す配合比で用いたこと以外は実施例1と同様にして、全固形分30%の樹脂組成物を得た。 【0050】得られた樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして、各種試験を行った。結果を表1に示す。 (実施例3)水溶性アニオン性樹脂A(スチレン−アクリル系樹脂:重量平均分子量12,000、酸価195mgKOH/g−solid、Tg70℃、固形分30%)および実施例1で用いた配合成分をそれぞれ表1に示す配合比で用いたこと以外は実施例1と同様にして、全固形分30%の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして、各種試験を行った。結果を表1に示す。 【0051】(実施例4)水溶性アニオン性樹脂A(スチレン−アクリル系樹脂:重量平均分子量12,000、酸価195mgKOH/g−solid、Tg70℃、固形分30%)、プロピレンオキシドで変性したポリエチレンイミンA(変性前の数平均分子量600、100モル%変性、固形分50%)および実施例1で用いた配合成分をそれぞれ表1に示す配合比で用いたこと以外は実施例1と同様にして、全固形分30%の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして、各種試験を行った。結果を表1に示す。 【0052】(比較例1〜3)実施例1〜4で用いた配合成分のうちから選択される成分を表1に示す配合比で用いたこと以外は実施例1と同様にして、それぞれ、全固形分30%の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして、各種試験を行った。結果を表1に示す。 【0053】 【表1】
【0054】(実施例5)水分散性アニオン性樹脂B(スチレン−アクリル系樹脂:酸価31mgKOH/g−solid、Tg−5℃、固形分40%)100.0部、水溶性オキサゾリン化合物A(オキサゾリン価220g−solid/eq.、固形分40%)5.0部、および炭酸アンモニウムジルコニウム(固形分46%(酸化ジルコニウム換算で固形分20%))2.0部を、分散機に秤取り、分散機にて2000回転/分にて5分間攪拌し、全固形分40%の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を用いて、以下の方法で各種評価を行った。結果を表2に示す。 【0055】(耐水性1) 得られた樹脂組成物を、ガラス板に固形分として膜厚が約10μmとなるようにバーコーターを用いて塗布した後、23℃、65%RHで24時間養生して、試験板を得た。そして、該試験板の塗膜面上に、直径3cm、高さ3cmのガラス製円筒をワセリンを用いて固定し、該円筒中にイオン交換水を充填して、24時間放置後の塗膜の外観を目視にて観察し、次のように評価した。 ○;変化なし、△;若干白化、×;白化(耐水性2) 耐水性1の評価で得られた試験板を、さらに80℃で30分間加熱した後、耐水性1と同様に、試験板の塗膜面上に円筒を固定し、該円筒中にイオン交換水を充填して、24時間放置後の塗膜の外観を目視にて観察し、次のように評価した。 ○;変化なし、△;若干白化、×;白化(耐溶剤性1) 得られた樹脂組成物を、四フッ化エチレン樹脂板に固形分として膜厚が約300μmとなるように塗布した後、23℃、65%RHで24時間養生し、試験フィルムを得た。得られた試験フィルムを、キシレン中に(実施例9、比較例7については、メチルエチルケトン中に)24時間浸漬した後、140℃で2時間乾燥し、浸漬前後の試験フィルムの重量および浸漬して乾燥した後の試験フィルムの重量から、下式に従って重量膨潤率を算出した。 重量膨潤率(%)=[(浸漬後の重量−浸漬前の重量)/浸漬して乾燥した後の重量]×100(耐溶剤性2) 耐溶剤性1の評価で得られた試験フィルムを、さらに80℃で30分加熱した後、耐溶剤性1と同様に、キシレン中に(実施例9、比較例7については、メチルエチルケトン中に)浸漬後、乾燥し、浸漬前後の試験フィルムの重量および浸漬して乾燥した後の試験フィルムの重量から、重量膨潤率を算出した。 【0056】(耐アルコールラビング性)耐水性1の評価で得られた試験板を、さらに80℃で30分間加熱した後、試験板の塗膜上でエタノールに浸した綿棒を50回往復させ、塗膜の外観を目視にて観察し、次のように評価した。 ○;変化なし、△;若干傷あり、×;完全溶出(耐メチルエチルケトンラビング性) 耐水性1の評価で得られた試験板を、さらに80℃で30分間加熱した後、試験板の塗膜上でメチルエチルケトンに浸した綿棒を50回往復させ、塗膜の外観を目視にて観察し、次のように評価した。 ○;変化なし、△;若干傷あり、×;完全溶出(密着性) 得られた樹脂組成物を、各種プラスチック基材(PET、ABS、ポリカーボネート(PC))に固形分として膜厚が約5μmとなるようにバーコーターを用いて塗布した後、23℃、65%RHで24時間養生して、試験板を得た。得られた試験板の塗膜をクロスカットゲージを使用して碁盤目にカットし、カットした面に12mm幅の粘着テープを貼り付けた後、強制剥離し、基材からの塗膜の剥がれの有無を目視にて観察し、次のように評価した。 ○;剥離なし、×;剥離あり(フィルム破断強度測定) 得られた樹脂組成物を、四フッ化エチレン樹脂板に固形分として膜厚が約300μmとなるように塗布した後、23℃、65%RHで24時間養生し、さらに80℃で30分加熱して、試験フィルムを得た。得られた試験フィルムを1cm×4cmの短冊状に切断し、インストロン万能試験機(インストロン社製)にて引っ張り速度5cm/分で破断強度を測定した。 【0057】(乾燥性) 得られた樹脂組成物を、ガラス板に固形分として膜厚が約5μmとなるようにバーコーターを用いて塗布した。そして、塗布面に水滴を落としていき、塗布直後から、塗布面に水滴を落として塗膜が白化しなくなるまでの時間を測定し、次のように評価した。 ○;10分以内、△;10分を超え30分未満、×;30分以上(実施例6)水溶性アニオン性樹脂A(スチレン−アクリル系樹脂:重量平均分子量12,000、酸価195mgKOH/g−solid、Tg70℃、固形分30%)および実施例5で用いた配合成分を、それぞれ表2に示す配合比で用いたこと以外は実施例5と同様にして、全固形分39%の樹脂組成物を得た。 【0058】得られた樹脂組成物を用い、実施例5と同様にして各種試験を行った。結果を表2に示す。 (実施例7)水分散性オキサゾリン化合物A(オキサゾリン価550g−solid/eq.、固形分40%)および実施例5で用いた配合成分のうちから選択される成分を、それぞれ表2に示す配合比で用いたこと以外は実施例5と同様にして、全固形分40%の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を用い、実施例5と同様にして各種試験を行った。結果を表2に示す。 【0059】(実施例8)実施例7で用いた配合成分を表2に示す配合比で用いたこと以外は実施例7と同様にして、全固形分40%の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を用い、実施例5と同様にして、各種試験を行った。結果を表2に示す。 (実施例9)水分散性アニオン性樹脂C(ウレタン系樹脂:酸価26mgKOH/g−solid、固形分38%)および実施例5で用いた配合成分のうちから選択される成分を、それぞれ表2に示す配合比で用いたこと以外は実施例5と同様にして、全固形分38%の樹脂組成物を得た。 【0060】得られた樹脂組成物を用い、実施例5と同様にして各種試験を行った。結果を表2に示す。 (比較例4〜6)プロピレンオキシドで変性したポリエチレンイミンA(変性前の数平均分子量600、100モル%変性、固形分50%)および実施例5で用いた配合成分のうちから選択される成分を、それぞれ表3に示す配合比で用いたこと以外は実施例5と同様にして、全固形分40%の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を用い、実施例5と同様にして、各種試験を行った。結果を表3に示す。 【0061】(比較例7〜8)実施例5および実施例9で用いた配合成分のうちから選択される成分を、それぞれ表3に示す配合比で用いたこと以外は実施例5と同様にして、全固形分38%の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を用い、実施例5と同様にして、各種試験を行った。結果を表3に示す。 (比較例9)実施例5で用いた配合成分のうちから選択される成分を、それぞれ表3に示す配合比で用いたこと以外は実施例5と同様にして、全固形分40%の樹脂組成物を得た。 【0062】得られた樹脂組成物を用い、実施例5と同様にして、各種試験を行った。結果を表3に示す。 【0063】 【表2】
【0064】 【表3】
【0065】(実施例10)水分散性両イオン性樹脂A(酸価47mgKOH/g−solid、アミン水素当量650g−solid/eq.、固形分38%)34.0部、水溶性オキサゾリン化合物A(オキサゾリン価220g−solid/eq.、固形分25%)1.6部、炭酸アンモニウムジルコニウム(固形分46%(酸化ジルコニウム換算で固形分20%))6.6部、および水12.8部を、分散機に秤取り、分散機にて2000回転/分にて5分間攪拌し、全固形分30%の樹脂組成物を得た。 【0066】得られた樹脂組成物を用いて、以下の方法で各種評価を行った。結果を表4に示す。 (塗膜外観) 得られた樹脂組成物を、コロナ放電処理のOPPフィルムに固形分として膜厚が約1μmとなるようにバーコーターを用いて塗布した後、80℃で1分間加熱して、試験フィルムを得た。そして、該試験フィルムの塗膜の外観を目視にて観察し、次のように評価した。 ○;外観不良なし、×;外観不良あり(密着性) 塗膜外観の評価で得られた試験フィルムの塗膜面に12mm幅の粘着テープを貼り付けた後、強制剥離し、OPPフィルムからの塗膜の剥がれの有無を目視にて観察し、次のように評価した。 ○;剥離なし、×;剥離あり(耐水ラビング性) 塗膜外観の評価で得られた試験フィルムの塗膜上で、学振型摩擦堅牢度試験機を用いて水に浸した脱脂綿を200回往復させ、塗膜変化が現れたときの往復回数を測定し、次のように評価した。 ○;200回まで変化なし、△;100回以上200回未満、×;100回未満(耐アルコール性) 塗膜外観の評価で得られた試験フィルムを80%エタノール中に5分間浸漬した後、塗膜の外観を目視にて観察し、次のように評価した。 ○;変化なし、×;白化または溶出が認められる(実施例11)水分散性オキサゾリン化合物A(オキサゾリン価550g−solid/eq.、固形分40%)および実施例10で用いた配合成分のうちから選択される成分を、それぞれ表4に示す配合比で用いたこと以外は実施例10と同様にして、全固形分30%の樹脂組成物を得た。 【0067】得られた樹脂組成物を用い、実施例10と同様にして各種試験を行った。結果を表4に示す。 (実施例12)水分散性アニオン性樹脂A(スチレン−アクリル系樹脂:酸価55mgKOH/g−solid、Tg37℃、固形分46%)および実施例10で用いた配合成分のうちから選択される成分を、それぞれ表4に示す配合比で用いたこと以外は実施例10と同様にして、全固形分30%の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を用い、実施例10と同様にして各種試験を行った。結果を表4に示す。 【0068】(比較例10)実施例10で用いた配合成分のうちから選択される成分を、表4に示す配合比で用いたこと以外は実施例10と同様にして、全固形分30%の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして、各種試験を行った。結果を表4に示す。 【0069】 【表4】
【0070】 【発明の効果】本発明によれば、良好な乾燥性を有し、かつ、密着性および各種耐性とりわけ耐水・耐溶剤性に優れた水系樹脂組成物を提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004628 【氏名又は名称】株式会社日本触媒 【住所又は居所】大阪府大阪市中央区高麗橋4丁目1番1号
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| 【出願日】 |
平成13年11月22日(2001.11.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100073461 【弁理士】 【氏名又は名称】松本 武彦
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| 【公開番号】 |
特開2003−155420(P2003−155420A) |
| 【公開日】 |
平成15年5月30日(2003.5.30) |
| 【出願番号】 |
特願2001−357811(P2001−357811) |
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