| 【発明の名称】 |
農業用無滴性樹脂フィルム |
| 【発明者】 |
【氏名】杉井 一郎 【住所又は居所】千葉県袖ヶ浦市北袖10 東邦化学工業株式会社内
【氏名】五位野 昌也 【住所又は居所】千葉県袖ヶ浦市北袖10 東邦化学工業株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】農業用樹脂フィルムに、高温での無滴持続性にも優れ且つ低温時の無滴性を付与し、更にフィルムの噴出し性を防止する。
【解決手段】ソルビタン中の1,4ソルビタン量が60重量%以上であるソルビタン1モルに対し、炭素数16〜18の飽和脂肪酸1〜3モルを反応させたソルビタン脂肪酸エステル1モルに、プロピレンオキサイドを0.1〜1.0モル付加させて得られる化合物を合成樹脂100重量部あたり0.2〜5.0重量部配合する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ソルビタン中の1,4ソルビタン量が60重量%以上であるソルビタン1モルに対し、炭素数16〜18の飽和脂肪酸1〜3モルを反応させたソルビタン脂肪酸エステル1モルに、プロピレンオキサイドを0.1〜1.0モル付加させて得られる樹脂フィルム用無滴性付与組成物。 【請求項2】 請求項1に記載の無滴性付与組成物を樹脂100重量部あたり0.2〜5.0重量部含有することを特徴とする無滴性と噴き出し性に優れた農業用樹脂フィルム。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は新規無滴性付与組成物及び無滴性樹脂フィルム、更に詳しくは低温時の無滴性に優れ、高温での無滴持続性にも優れ、且つフィルム保管時の噴き出し防止性に優れた無滴性付与組成物及び無滴性塩化ビニル樹脂フィルムに関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来野菜類を栽培するに当たりポリエチレンや塩化ビニルといった樹脂フィルムを被覆材として使用することによって気温の低い時期でも栽培を可能にする方法が採られている。この場合使用する樹脂フィルムは太陽光線を常時透過させる必要があることから樹脂フィルム表面に水分による曇りの発生を防止するためにあらかじめ無滴性付与剤を練り込む方法が採られている。この無滴性付与剤としては、ポリエチレングリコール、グリセリン、ソルビタン、ソルビトール等の高級脂肪酸エステル、及びこれらの高級脂肪酸エステルにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドを付加した非イオン界面活性剤が用いられてきた。例えば、特開昭57−3847号公報には、無滴性付与剤としてソルビタン脂肪酸エステルに、0.1〜5.0モルのエチレンオキサイド及び0.1〜5.0モルのプロピレンオキサイドを付加させた化合物が提案されている。又、特公昭55−9431号公報には、ソルビトールのエチレンオキサイド1〜20モル付加物を炭素原子10〜22個の脂肪酸でエステル化した化合物を、無滴性付与剤として塩化ビニル樹脂に配合することが開示されている。又、特公昭48−31748号公報には、塩化ビニル系合成樹脂フィルムの無滴改質剤として、ソルビタン脂肪酸エステルのプロピレンオキサイドまたはブチレンオキサイドまたはフェニレンオキサイド0.1〜3.0モル付加物が提案されている。しかしながら、何れの化合物も本発明が解決しようとしている課題をすべで満足させるものは見いだせなかった。又、前述の特公昭48−31748号公報化合物は、ソルビトールと脂肪酸を反応させたソルビタン脂肪酸エステルに、プロピレンオキサイドまたはブチレンオキサイドまたはフェニレンオキサイドを付加したものであり、本発明品とは異なる。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】前述の農業用無滴性樹脂フィルムに要求される性能として(1)冬期の低温時の無滴性(低温無滴性)が良いこと。 (2)フィルム展張直後から優れた無滴性を発揮すること。 (3)特に、近年経済性の観点からかかる塩化ビニルフィルムが従来の1年未満より1年以上の長期間使用されるケースが増加して来るに従い、特に夏場の高温にさらされても無滴性が長期に渡り持続すること。(高温持続性) (4)フィルムが透明性に優れていること。(噴き出し防止性) 以上が挙げられるが、従来提案された技術では前記(1)(2)(3)(4)共に満足する農業用樹脂フィルムはまだ発見されていないのが現状である。本発明者らは、上記(1)(2)(3)(4)の性能を併せ持つ農業用無滴性樹脂フィルムに関し、鋭意努力した結果、本発明に到達したものである。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者等は、かかる農業用樹脂フィルムの問題点を解決すべく研究の結果、1,4ソルビタン量が60重量%以上であるソルビタン(以下1,4ソルビタンと記載)に、特定の高級脂肪酸でエステル化させて得られる化合物1モルに対し、1モル以下の特定の範囲のプロピレンオキサイドを付加させた化合物が、前述の優れた無滴性を発揮することを見出した。即ち本発明は、ソルビタン中の1,4ソルビタン量が60重量%以上であるソルビタン1モルに対し、炭素数16〜18の飽和脂肪酸1〜3モルを反応させた1,4ソルビタン脂肪酸エステルに、プロピレンオキサイドを0.1〜1.0モル付加させて得られる化合物を、無滴性付与剤として樹脂100重量部あたり0.2〜5.0重量部配合しフィルムを作ることによって、従来の農業用樹脂フィルムの高温持続性の問題点を解決し、かつ低温時の無滴性に優れ、更にはフィルム展張直後の無滴性にも優れた農業用無滴性樹脂フィルムに関するものである。以下本発明を詳細に説明する。 【0005】本発明に用いる樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン等のオレフィン単独重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体等のオレフィンの共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等のオレフィンと極性ビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、アイオノマー樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂等を例示することが出来るが、特にポリ塩化ビニル系樹脂に有用である。ポリ塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル単独重合体の他、塩化ビニルと酢酸ビニル及びそのエステル、アクリル酸及びそのエステル、メタアクリル酸及びそのエステル、エチレン、プロピレン、塩化ビニリデン、マレイン酸、フマル酸等の共重合体が含まれる。 【0006】本発明の無滴性付与剤(以下無滴剤と称する)は、ソルビタン中の1,4ソルビタン量が60重量%以上であるソルビタン1モルに、炭素数16〜18の飽和脂肪酸1〜3モルをアルカリ触媒の存在下、脱水反応を行って得られた1,4ソルビタン脂肪酸エステル1モルに対し、アルカリ触媒存在下加圧条件でプロピレンオキサイドを0.1〜1.0モル付加して得られるものである。 【0007】ソルビタン脂肪酸エステルの原料として使用するソルビタン中の1,4ソルビタン含有量と、ソルビタン脂肪酸エステル1モルに対するプロピレンオキサイドの付加モル数は本発明の根幹を成すものであり、そのソルビタン中の1,4ソルビタン含有量は60重量%以上であり、且つプロピレンオキサイドの付加モル数範囲は0.1〜1.0モルである。1,4ソルビタン含有量が60重量%未満であると、高温持続性は優れるが低温無滴性においてやや劣り、又フィルムの噴出し性も劣る。POの付加モル数が1.0モルを越えると、高温持続性が特に劣り好ましくない。又炭素数16〜18の飽和脂肪酸としては、パルミチン酸、ステアリン酸等を挙げることができる。炭素数16未満の高級脂肪酸から誘導される本発明に係わる化合物は、低温無滴性は優れるが高温持続性においてやや劣る。炭素数20以上の高級脂肪酸から誘導される本発明に係わる化合物は、高温持続性に優れるものの噴出し性が著しく劣る。又、本発明に係わる1,4ソルビタン1モルに対する炭素数16〜18の飽和脂肪酸の反応モル数は、1〜3モルの範囲であるが、1.5〜2.5モルが特に好ましい。3モルを越えると低温無滴性が不良となり好ましくなく、1モルより少ないと高温持続性が著しく劣り好ましくない。 【0008】かくして得られた本発明の無滴剤は、樹脂100重量部に対し通常0.2〜5.0重量部、好ましくは1〜2.5重量部配合される。本発明の無滴剤は樹脂フィルムを製造する際、従来使用されていた無滴剤や公知の安定剤や可塑剤と併用でき、又無滴防霧性を得るため公知のフッソ系、シリコーン系防霧剤と併用することも可能である。公知のフッソ系防霧剤としては、従来から使用されているフッソ系界面活性剤あるいは共重合オリゴマーを使用することができ、単独或いは2種又はそれ以上組み合わせて用いてもよい。 【0009】 【実施例】次に本発明を実施例により説明するが、本発明はその趣旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。 【0010】A.本発明の無滴剤(1)の合成ガラス製オートクレーブに工業用ソルビトールを仕込み、酸性触媒下140℃、4時間を要して減圧脱水を行い中和脱塩処理後1,4ソルビタン含有量が75重量%である1,4ソルビタンを得た。得られた1,4ソルビタン1.0モルに工業用ステアリン酸(パルミチン酸35% ステアリン酸65%)を1.5モル仕込み、N2ガスを導入しつつ塩基性触媒下190〜200℃に昇温し5時間エステル化を行ない1,4ソルビタンステアリン酸エステルを合成した。この後、N2置換を行いプロピレンオキサイド0.5モルを145℃、3時間を要して付加し、リン酸にて触媒を中和後脱塩処理し黄褐色ワックス状[ポリオキシプロピレン(0.5モル)ソルビタンステアリン酸エステル]を得た。本発明の無滴剤(1)を後記のテストに供する。 【0011】B.本発明の無滴剤(2)〜(7)の合成Aと同様に本発明の無滴剤(2)〜(7)の合成を表1の如く行った。本発明の無滴剤(2)〜(7)についても、後記のテストに供する。 【0012】 【表1】
【0013】C.比較無滴剤(1)〜(6)の合成比較用無滴剤を下記記載の如く合成し、後記のテストに供した。その組成は表2の如くであった。 【0014】 【表2】
【0015】i)比較無滴剤(1)の合成ガラス製オートクレーブに工業用ソルビトール1.0モルを仕込み、工業用パルミチン酸(パルミチン酸65% ステアリン酸35%)を1.5モル仕込み、N2ガスを導入しつつ塩基性触媒下220〜250℃に昇温し5時間エステル化を行ないソルビタンパルミチン酸エステルを合成した。得られたソルビタンパルミチン酸エステルを少量サンプリングし、加水分解後親水基組成をガスクロ分析し、1,4ソルビタン含有量が42重量%である事を確認した。この後、N2置換を行いプロピレンオキサイド0.3モルを145℃、3時間を要して付加し、リン酸にて触媒を中和後脱塩処理し黄褐色ワックス状[ポリオキシプロピレン(0.3モル)ソルビタンパルミチン酸エステル]を得た。 【0016】ii)比較無滴剤(2)の合成ガラス製オートクレーブに工業用ソルビトール1.0モルを仕込み、工業用ステアリン酸(パルミチン酸35% ステアリン酸65%)を1.5モル仕込み、N2ガスを導入しつつ塩基性触媒下220〜250℃に昇温し5時間エステル化を行ないソルビタンステアリン酸エステルを合成した。得られたソルビタンステアリン酸エステルを少量サンプリングし、加水分解後親水基組成をガスクロ分析し、1,4ソルビタン含有量が45重量%である事を確認した。この後、N2置換を行いプロピレンオキサイド0.5モルを145℃、3時間を要して付加し、リン酸にて触媒を中和後脱塩処理し黄褐色ワックス状[ポリオキシプロピレン(0.3モル)ソルビタンステアリン酸エステル]を得た。 【0017】iii)比較無滴剤(3)の合成ガラス製オートクレーブに工業用ソルビトールを仕込み、酸性触媒下140℃、4時間を要して減圧脱水を行い中和脱塩処理後1,4ソルビタン含有量が70重量%である1,4ソルビタンを得た。得られた1,4ソルビタン1.0モルに工業用パルミチン酸(パルミチン酸65% ステアリン酸35%)を1.3モル仕込み、N2ガスを導入しつつ塩基性触媒下190〜200℃に昇温し5時間エステル化を行ない1,4ソルビタンパルミチン酸エステルを合成した。この後、リン酸にて触媒を中和後脱塩処理し黄褐色ワックス状[ソルビタンパルミチン酸エステル]を得た。 【0018】iv)比較無滴剤(4)の合成ガラス製オートクレーブに工業用ソルビトールを仕込み、酸性触媒下140℃、4時間を要して減圧脱水を行い中和脱塩処理後1,4ソルビタン含有量が75重量%である1,4ソルビタンを得た。得られた1,4ソルビタン1.0モルに工業用ミリスチン酸(ミリスチン酸95% パルミチン酸5%)を1.5モル仕込み、N2ガスを導入しつつ塩基性触媒下190〜200℃に昇温し5時間エステル化を行ない1,4ソルビタンミリスチン酸エステルを合成した。この後、N2置換を行いプロピレンオキサイド0.3モルを145℃、3時間を要して付加し、リン酸にて触媒を中和後脱塩処理し黄褐色ワックス状[ポリオキシプロピレン(0.3モル)ソルビタンミリスチン酸エステル]を得た。 【0019】v)比較無滴剤(5)の合成ガラス製オートクレーブに工業用ソルビトールを仕込み、酸性触媒下140℃、4時間を要して減圧脱水を行い中和脱塩処理後1,4ソルビタン含有量が73重量%である1,4ソルビタンを得た。得られた1,4ソルビタン1.0モルに工業用ステアリン酸(パルミチン酸35% ステアリン酸65%)を1.5モル仕込み、N2ガスを導入しつつ塩基性触媒下190〜200℃に昇温し5時間エステル化を行ない1,4ソルビタンステアリン酸エステルを合成した。この後、N2置換を行いエチレンオキサイド2.0モルを160℃、3時間を要して付加し、リン酸にて触媒を中和後脱塩処理し黄褐色ワックス状[ポリオキシエチレン(2.0モル)ソルビタンステアリン酸エステル]を得た。 【0020】vi)比較無滴剤(6)の合成ガラス製オートクレーブに工業用ソルビトール1.0モルを仕込み、工業用ステアリン酸(パルミチン酸35% ステアリン酸65%)を1.5モル仕込み、N2ガスを導入しつつ塩基性触媒下220〜250℃に昇温し5時間エステル化を行ないソルビタンステアリン酸エステルを合成した。得られたソルビタンステアリン酸エステルを少量サンプリングし、加水分解後親水基組成をガスクロ分析し、1,4ソルビタン含有量が55重量%である事を確認した。この後、N2置換を行いエチレンオキサイド2.0モルを145℃、3時間を要して付加し、リン酸にて触媒を中和後脱塩処理し黄褐色ワックス状[ポリオキシエチレン(2.0モル)ソルビタンステアリン酸エステル]を得た。 【0021】D.フィルムの作製ポリ塩化ビニル樹脂100重量部、ジオクチルフタレート30重量部、ジオクチルアジペート10重量部、トリクレジルフォスフェート5重量部、エポキシ樹脂4重量部、カルシウム−亜鉛系液状安定剤3重量部、カルシウム−亜鉛系粉末安定剤2重量部、無滴剤2.5重量部を混合し熱ロールで180℃にて混練りし厚さ0.1mmのフィルムを作製し無滴性を評価した。 【0022】E.無滴性の評価各フィルムの無滴性を評価し、表3の結果を得た。 評価基準◎ :一面に均一に濡れ透明○ :ほぼ一面に均一に濡れ透明× :一部透明部分もあるが全体に不透明××:完全に不透明低温初期:上部傾斜箱にフィルムを張り、外気温:5℃、水温:15℃、傾斜角10度で12時間後のフィルムの濡れ状態を評価。 高温持続:上部傾斜箱にフィルムを張り、外気温:20℃、水温:50℃、傾斜角10度で5日後のフィルムの濡れ状態を評価。 屋外初期:ハウス展張後5時間後の濡れ状態を評価。 屋外持続:平成12年11月1日展張、平成13年2月1日の濡れ状態を評価。 【0023】F.噴出し性の評価各フィルムの噴出し性を肉眼判定し、表3の結果を得た。 評価基準5 :無添加のフィルムと同様で、表面が透明で白色粉状が認められない状態4 :縞状に白色粉状が析出している状態3 :白色の薄膜がほぼ全面に覆っている状態2 :白色の薄膜が全面に覆っている状態1 :粘稠油状物が表面一面に噴き出している状態【0024】 【表3】
【0025】 【発明の効果】表3に示すように、本発明による合成例1〜合成例7の化合物は、低温無滴性、高温持続性及びフィルム展張直後の無滴性、更に噴出し性防止において非常に優れた性能を発揮することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000221797 【氏名又は名称】東邦化学工業株式会社 【住所又は居所】東京都中央区明石町6番4号
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| 【出願日】 |
平成13年11月20日(2001.11.20) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−155418(P2003−155418A) |
| 【公開日】 |
平成15年5月30日(2003.5.30) |
| 【出願番号】 |
特願2001−392813(P2001−392813) |
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