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【発明の名称】 樹脂複合体、その製造方法、調湿材および脱臭材
【発明者】 【氏名】安部 郁夫

【氏名】岩▲崎▼ 訓

【氏名】丸山 純

【氏名】山本 勝志

【要約】 【課題】室内の湿度調節および脱臭を図るとともに携帯に便利な樹脂複合体、その製造方法、調湿材および脱臭材を提供する。

【解決手段】カーボンブラックと樹脂と無機塩または無機金属塩とを含む成形体である樹脂複合体である。ここで、カーボンブラックに無機金属塩を添着させた金属塩添着物を樹脂で連結させた樹脂複合体であることが好ましい。また、樹脂の量αと、金属塩添着物の量βとの比α/βは、5/95≦α/βの関係にあることが好ましく、金属塩添着物中のカーボンブラック質量β1と無機金属塩質量β2との比β1/β2が、1.0<β1/β2の関係にあることが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 カーボンブラックと、無機塩と、樹脂とを含む成形体であることを特徴とする樹脂複合体。
【請求項2】 カーボンブラックと、無機金属塩と、樹脂とを含む成形体であることを特徴とする樹脂複合体。
【請求項3】 カーボンブラックに無機金属塩を添着した金属塩添着物を樹脂で連結して成形したことを特徴とする請求項2に記載の樹脂複合体。
【請求項4】 樹脂の量αと金属塩添着物の量βとの比α/βが、5/95≦α/βの関係にあることを特徴とする請求項2または3に記載の樹脂複合体。
【請求項5】 金属塩添着物中のカーボンブラック質量β1と無機金属塩質量β2との比β1/β2が、1.0<β1/β2の関係にあることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の樹脂複合体。
【請求項6】 カーボンブラックに無機金属塩を添着した後に、樹脂で連結して成形することを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の樹脂複合体の製造方法。
【請求項7】 請求項1から5のいずれかに記載の樹脂複合体が含まれていることを特徴とする調湿材。
【請求項8】 請求項1から5のいずれかに記載の樹脂複合体が含まれていることを特徴とする脱臭材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は調湿効果および脱臭効果を有する調湿材または脱臭材として家屋の壁面、天井、押入れあるいは床下等に使用することができ、さらに梅雨時における、カビあるいはダニの発生を防止し、かつ冷暖房装置による結露の発生を軽減する樹脂複合体に関する。
【0002】
【従来の技術】住宅の室内に湿気が多くなると、住宅木材や畳の腐食が進行し、さらにカビやダニが発生しやすくなり、住宅の耐用年数の低下とともに人体に対するアレルギー問題を生ずる。また住宅建設資材に含まれる各種化学物質、さらに防虫剤、防錆剤に含まれる化学物質は人体に有害な影響を与えている。
【0003】木炭は燃料として古くから使用されているが、最近新しい用途の開発が活発に行なわれるようになり、現在では脱臭および水の浄化に利用されるようになった。木炭が家屋の調湿材として使用され、床下、畳下に敷き詰められることにより腐敗菌、シロアリ、カビ、ダニ等の発生を抑える効果があるのは、木炭がその表面に無数の細孔を有しその細孔が水蒸気を吸ったり吐いたりするためであり、調湿用木炭としてはたとえば、マングローブ炭、広葉樹木炭、針葉樹木炭等がある。これらの木炭の使用方法としては、木炭を粉末状にしてそのまま使用するか、あるいは粉末状の木炭を包装容器に収納した形態で使用するなどの方法がある。
【0004】しかし、木炭を粉末状にしてそのまま使用した場合には、木炭が飛散してしまいその効果が得られないことがあった。また、粉末状の木炭を包装容器に収納した場合であっても、包装容器が倒れまたは壊れたときには木炭がこぼれて飛散してしまうことがあった。
【0005】このような問題を解決するため、たとえば、特開2000−288385公報には、木炭と発泡ウレタンを混合した板状の調湿材を成形する技術が開示されている。
【0006】しかし、この技術では、発泡ウレタンが木炭の細孔を塞いでしまうため、木炭の持つ調湿能力を低下させてしまうことがあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記事情に鑑みて、本発明は、調湿能力を低下させることなく、室内の湿度調節および脱臭を図る調湿材または脱臭材として使用することができ、冷暖房装置における結露や、梅雨時におけるカビあるいはダニの発生を防止し、快適な居住を可能とするとともに携帯に便利な樹脂複合体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、カーボンブラックと無機塩と樹脂とを含む成形体である樹脂複合体である。
【0009】また、本発明は、カーボンブラックと無機金属塩と樹脂とを含む成形体である樹脂複合体である。
【0010】ここで、本発明は、カーボンブラックに無機金属塩を添着した金属塩添着物を樹脂で連結して成形した樹脂複合体であることが好ましい。
【0011】また、樹脂の量αと金属塩添着物の量βとの比α/βが、5/95≦α/βの関係にあることが好ましく、金属塩添着物中のカーボンブラック質量β1と無機金属塩質量β2との比β1/β2が、1.0<β1/β2の関係にあることが好ましい。
【0012】また、本発明はカーボンブラックに無機金属塩を添着した後に、樹脂で連結する樹脂複合体の製造方法に関する。
【0013】また、本発明は、樹脂複合体が含まれている調湿材または脱臭材に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】(樹脂複合体)本発明は、木炭とは異なり、カーボンブラックと無機塩と樹脂とを含む成形体である樹脂複合体、またはカーボンブラックと無機金属塩と樹脂とを含む成形体である樹脂複合体であるので調湿効果を一層高めることができる。この理由は明確ではないが、カーボンブラックと無機塩または無機金属塩とが樹脂により結合されることにより、無機金属塩間に間隙が形成され、その間隙に水蒸気が吸着され、また、無機金属塩は親水性であることから水蒸気がより吸着されやすくなるためと考えられる。
【0015】本発明で用いられるカーボンブラックは特に制限はないが、たとえばSAF、ISAF−LS、ISAF−HM、ISAF−LM、ISAF−HS、CF、SCF、EPC、MPC、HAF−LS−SC、HAF−LS、HAF、HAF−HS、SPF、FF、XCF、FEF−LS、FEF、FEF−HS、HMF、GBF、ABF、SRF−LM、SRF−LM−NS、SRF−HM、SRF−HM−MS、MPF、FT、MT−NS、MT等が使用できる。さらにアセチレンブラック、たとえばデンカブラック粒状、粉末状等が使用できる。さらに上記カーボンブラックが混合された加硫ゴムを熱処理した後残ったカーボンブラックを使用することもできる。またリサイクルの観点からは、廃タイヤを熱処理して、残ったカーボンブラックを使用することが好ましい。
【0016】本発明で用いられる無機塩は、たとえば塩化アンモニウム等が使用される。また、本発明で用いられる無機金属塩は特に制限はなく、たとえば塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウムまたは塩化カルシウム等のアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の塩が好適に用いられる。
【0017】さらに、本発明で用いられる樹脂は、樹脂複合体を形成できる材料であれば特に制限されることがなくいかなる材料でも用いられ得る。たとえば、ウレタン樹脂が好適に用いられる。
【0018】また、本発明では、カーボンブラックに無機金属塩を添着させてから樹脂複合体とすることが好ましい。これは、カーボンブラックに無機金属塩を添着させていない場合には、本発明の樹脂複合体を調湿材または脱臭材として使用する時に無機金属塩が流出してその使用が困難となる場合があるためである。
【0019】ここでカーボンブラックに無機金属塩を添着するとは次の状態を意味する。カーボンブラックは通常カーボンブラック粒子が凝集した構造をとっているが、これを無機金属塩の溶液に混合すると、カーボンブラックの凝集塊の隙間に浸透する。その後、溶媒を除去することによりカーボンブラック凝集塊の内部および表面に無機金属塩が分散された状態となる。
【0020】また、金属塩添着物中のカーボンブラック質量β1と無機金属塩質量β2との比β1/β2は、1.0<β1/β2の関係にあることが好ましく、1.0<β1/β2≦100.0の関係にあることがより好ましく、1.0<β1/β2≦9.0の関係にあることがさらに好ましい。この比β1/β2が1.0以下のときは無機金属塩質量が多くなりすぎて、本発明の樹脂複合体を調湿材または脱臭材として使用する際にこの無機金属塩が流出する傾向にあり、β1/β2が大きくなるにしたがって樹脂複合体の調湿および脱臭等の効果が弱まる傾向にある。
【0021】また、樹脂の量αと、カーボンブラックと無機金属塩との金属塩添着物の量βとの比α/βは、5/95≦α/βの関係を満たしていることが好ましく、5/95≦α/β≦99/1の関係を満たしていることがより好ましく、5/95≦α/β≦50/50の関係を満たしていることがさらに好ましい。このα/βが5/95よりも小さいと本発明の樹脂複合体の耐久性が悪化する傾向にあり、α/βが大きくなるにしたがって樹脂複合体としての効果が弱まる傾向にある。
【0022】(樹脂複合体の製造方法)本発明の樹脂複合体の製造方法としては、たとえば、カーボンブラックと無機金属塩と樹脂および水を混合、攪拌して得られたものを型枠内に所定量充填した後、所定温度にてプレス成形を行なう方法等がある。
【0023】ここでは、カーボンブラックと無機金属塩とを添着させてから、樹脂等を加えて硬化させて成形することが好ましい。本発明の樹脂複合体を調湿材または脱臭材として使用する際に無機金属塩の流出を防止することができるためである。
【0024】カーボンブラックと無機金属塩との添着方法は、一例を示すと次の工程で行なう。なお、カーボンブラック、無機金属塩および溶媒の混合順序は特に制限はない。
(1) カーボンブラックと無機金属塩を所定割合で混合する。
(2) 上記混合物に溶媒たとえば水を加えて攪拌することによって全体を均一相とする。
(3) 上記混合溶液の溶媒を、除去することによりカーボンブラックに無機金属塩を添着させる。
【0025】ここで使用される溶媒は水、メチルアルコール、エチルアルコールまたはこれらの混合物が使用でき、特に無機金属塩を溶解するものであれば特に制限はない。そして溶媒の量は無機金属塩を溶解するに十分な量が用いられる。
【0026】またカーボンブラックと無機金属塩の混合溶液の溶媒を除去するには、減圧または加熱、さらに両者を併用することによって行なうことができる。
【0027】また、結合するための樹脂には発泡剤、発泡促進剤またはこれらの混合物が添加される場合もある。
【0028】以下、図を用いて本発明をより詳細に説明する。図1は本発明一例である樹脂複合体1の概念図である。樹脂複合体1はカーボンブラック2と塩化ナトリウム3とが添着された金属塩添着物4がウレタン樹脂5によって連結されることにより形成されている。
【0029】また、図2は金属塩添着物4の概念図である。金属塩添着物4はカーボンブラック2に塩化ナトリウム3が添着されることによって構成されている。ただし、金属塩添着物4の構造はこれに限られない。
【0030】
【実施例】以下、実施例を用いて、本発明をさらに詳細に説明する。
【0031】(1)樹脂複合体の作製実施例1〜5の樹脂複合体および比較例1の調湿材は、まず、下記の表1に記載された配合に基づいて、使用する材料の計量をし、計量した材料を混合することによって混合物を作製し、この混合物の所定量をモールド内に敷き詰めた後、80℃で20分間プレスすることにより所定の空隙率を有する成形体として得た。得られた成形体の大きさは300mm×50mm×10mmであって、そのうちの約1.5gを切り取って、それぞれ実施例1〜5および比較例1の試験片とした。また、比較例2の脱臭材は、他社製品を使用した。なお、表1中の各成分の混合量は質量比で表わされている。
【0032】また、空隙率とは、物体の見かけの体積中に何%の空気が含まれているかを表わす指標のことで、以下の式で算出した。
空隙率=[1−(樹脂複合体の見かけ密度)/(樹脂複合体配合材料の最大理論密度)]×100(%)
(2)評価方法上記のようにして得られた実施例1〜5の樹脂複合体および比較例1の調湿材の調湿能力、調湿能力の低減率および塩化ナトリウムの流出状況を下記の方法で評価した。
【0033】また、実施例1〜5の樹脂複合体および比較例2の脱臭材の脱臭効果を下記の方法で評価した。
【0034】(i)調湿能力調湿能力は、温度25℃において、湿度90%での水蒸気吸着率と湿度55%での水蒸気吸着率との差で評価した。すなわち調湿能力は以下の式で評価した。
調湿能力=[(温度25℃、湿度90%での水蒸気吸着率)−(温度25℃、湿度55%での水蒸気吸着率)](%)
ここで、水蒸気吸着率は、吸着した水蒸気量の水蒸気未吸着時の試料質量に対する率である。水蒸気未吸着時の試料質量は115℃にて乾燥した直後の質量とした。
【0035】(ii)調湿能力の低減率調湿能力の低減率は、ウレタン樹脂を混合することにより、調湿機能を有するカーボンブラックと塩化ナトリウムとを添着させた金属塩添着物単体および木炭単体の調湿能力からどれだけ能力が落ちたかを評価したものであり、以下の式で評価した。
調湿能力の低減率=[1−(実施例1〜4の樹脂複合体または比較例1の調湿材の調湿能力)/(金属塩添着物単体または木炭単体の調湿能力)]×100(%)
ここで、金属塩添着物単体の調湿能力は106.4%であり、木炭単体の調湿能力は12.9%である。なお、カーボンブラックと塩化ナトリウムとを単に混合しただけのものの調湿能力は測定することができなかったため、実施例5の樹脂複合体の調湿能力の低減率を評価することはできなかった。
【0036】(iii)塩化ナトリウムの流出状況塩化ナトリウムの流出状況は、実施例1〜5の樹脂複合体をシャーレに載せ、温度25℃、湿度90%の環境下に24時間放置後、さらに温度25℃、湿度55%の環境下に24時間放置した後、以下の評価基準により評価した。
評価基準○…塩化ナトリウムがシャーレ上に流出しているのが肉眼で確認できなかった。
△…塩化ナトリウムがシャーレ上に流出しているのが肉眼で確認できた。
【0037】(iv)脱臭効果脱臭効果は、底部に攪拌装置を設けた内容積11.4リットルのガラス製の容器を用いて評価した。まず、この容器内部を清浄にした後、この容器内に実施例1〜5の樹脂複合体および比較例2の脱臭材を入れ、ガスの初濃度が所定濃度になるようにガスを適量注入した。ここで、ホルムアルデヒドの初濃度は10ppmである。その後、攪拌しながら所定の時間毎に容器内部の残留ガス濃度を測定した。ここで、ガス濃度の測定はガステック社製ガス検知管を用いて行なった。また、1回当たりの測定には約5gの試料を用い、いずれの試料も115℃で2時間以上乾燥させ、デシケータ中で放冷した後、測定に使用した。尚、脱臭効果は以下の評価基準により評価した。
評価基準◎…試験開始から60分後のホルムアルデヒド残留濃度が6ppm以下であった。
○…試験開始から60分後のホルムアルデヒド残留濃度が6ppmを超え、8ppm以下であった。
△…試験開始から60分後のホルムアルデヒド残留濃度が8ppmを超えていた。
【0038】(3)評価結果実施例1〜5の樹脂複合体、比較例1の調湿材および比較例2の脱臭材の評価結果を以下の表1に示す。
【0039】
【表1】

【0040】(注1)HAF。
(注2)(注1)のカーボンブラックに塩化ナトリウムを質量比(β1/β2)で80/20の割合で添着させたもの。
(注3)比表面積640m2/g、細孔容積0.12ml/gで、粒子径が1〜2.5mmになるように粉砕したもの。
(注4)NCO%が16%のポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート系プレポリマー。
【0041】実施例1〜5の樹脂複合体は、調湿能力が45〜101%の範囲にあり、木炭にウレタン樹脂を混合して成形した比較例1の調湿材の調湿能力1.8%よりも優れた結果となった。
【0042】また、実施例1〜5の樹脂複合体の調湿能力の低減率も5〜58%であり、比較例1の調湿材の調湿能力の低減率の86%よりも優れた結果となった。この中でも、実施例1〜4の樹脂複合体は塩化ナトリウムの流出もなく耐久性に優れる傾向にあった。
【0043】また、実施例4の樹脂複合体は、ウレタン樹脂とカーボンブラックに塩化ナトリウムを添着させたものとの混合量比が5/95であるので、調湿能力をほとんど低下させることがなかった。
【0044】また、実施例1〜5の樹脂複合体は、比較例2の脱臭材よりも脱臭効果が優れており、カーボンブラックと塩化ナトリウムとが添着していない実施例5の樹脂複合体ではさらに脱臭効果に優れる傾向にあった。
【0045】今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0046】
【発明の効果】上述したように、本発明によれば、調湿能力を低下させることなく、携帯に便利で各種用途に採用しうる樹脂複合体を提供することができる。たとえば、本発明の樹脂複合体は調湿材または脱臭材として、住宅家屋の壁面、天井、押入れ、床面あるいは床下等に使用することができる。さらに本発明の樹脂複合体は防虫、防錆効果とともに人体へのアレルギーの問題も生ずることなく、快適な居住を可能とする。
【出願人】 【識別番号】000103518
【氏名又は名称】オーツタイヤ株式会社
【識別番号】599084773
【氏名又は名称】安部 郁夫
【識別番号】501453754
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 訓
【識別番号】501400932
【氏名又は名称】丸山 純
【出願日】 平成13年11月22日(2001.11.22)
【代理人】 【識別番号】100064746
【弁理士】
【氏名又は名称】深見 久郎 (外2名)
【公開番号】 特開2003−155417(P2003−155417A)
【公開日】 平成15年5月30日(2003.5.30)
【出願番号】 特願2001−357652(P2001−357652)