| 【発明の名称】 |
レーザーマーキング用樹脂組成物およびマーキング方法ならびに成形品 |
| 【発明者】 |
【氏名】三井 聡 【住所又は居所】千葉県市原市千種海岸2番1 東レ株式会社千葉工場内
【氏名】田中 秀典 【住所又は居所】千葉県市原市千種海岸2番1 東レ株式会社千葉工場内
【氏名】栗木 伸男 【住所又は居所】千葉県市原市千種海岸2番1 東レ株式会社千葉工場内
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| 【要約】 |
【課題】様々な地色に様々なマーキングが可能な樹脂組成物およびマーキング方法を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂に対し、500〜550nmに吸収極大を有する着色剤を含有してなり、500〜550nmの分光反射率が50%以下であるレーザーマーキング用樹脂組成物を用いる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】熱可塑性樹脂(I)100重量部に対し、500〜550nmに吸収極大を有する着色剤(II)を0.002〜10重量部含有してなり、500〜550nmの分光反射率が50%以下であるレーザーマーキング用樹脂組成物。 【請求項2】500〜550nmに吸収極大を有しない着色剤(III)を少なくとも1種含有する請求項1記載のレーザーマーキング用樹脂組成物。 【請求項3】熱可塑性樹脂(I)がゴム質重合体(a)の存在下にシアン化ビニル系単量体(b)、芳香族ビニル系単量体(c)及びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体(d)から選ばれる少なくとも1種以上の単量体をグラフトしてなるゴム含有グラフト共重合体(IV)10〜50重量部、シアン化ビニル系単量体(b)0〜45重量%、芳香族ビニル系単量体(c)20〜90重量%、これらと共重合可能な他のビニル系単量体(d)0〜80重量%及びマレイミド系単量体(e)5〜55重量%を共重合して得られるマレイミド系共重合体(V)0〜50重量部、およびシアン化ビニル系単量体(b)3〜45重量%、芳香族ビニル系単量体(c)90〜20重量%及びこれらと共重合可能な他のビニル系共重合体(e)0〜80重量%を共重合して得られるシアン化ビニル系共重合重合体(VI)5〜90重量部からなる請求項1または2記載のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物。 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載のレーザーマーキング樹脂組成物を成形してなる成形品に波長が500〜550nmのレーザー光を照射するマーキング方法。 【請求項5】請求項1〜3のいずれかに記載のレーザーマーキング樹脂組成物を成形してなる成形品に請求項4記載のマーキング方法でマーキングした成形品。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、レーザー光照射によって鮮明なマーキングを呈することができる、樹脂組成物およびマーキング方法ならびに成形品に関する。 【0002】 【従来の技術】アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)は、成形性、耐衝撃性のバランスに優れ、OA機器や家電製品向けの用途に幅広く利用されている。このような成形品は文字等による表示がされることが多く、従来はシルク印刷やタンポ印刷等のインキなどを用いた印刷またはシールによる表示が行われてきた。 【0003】ところが、近年になって、レーザー光線によるマーキング手法が簡便かつ効率的に行えるため、注目を集めている。これはレーザー光線の照射時に樹脂が発泡・分解または樹脂表面が炭化することにより、マーキングが可能となる技術である。 【0004】これらの技術的方法として、カーボンブラックまたはグラファイトを材料にブレンドする方法(特開昭57−116620号公報)、(メタ)アクリル酸エステル系単量体とビニル系単量体からなる共重合体をゴム含有スチレン系樹脂にブレンドする方法(特開平8−112968号公報)およびゴム含有スチレン系樹脂に他の熱可塑性樹脂をブレンドする方法(特開平9−100390号公報)などが提案されている。 【0005】しかしながら、その多くはマーキング部分が白もしくは黒であり、その他の色になるものは少ない。 【0006】白もしくは黒以外の色を発色させる技術としては、黄色酸化鉄を配合することによって赤色のマーキングを施す方法などが知られている(特開昭60−155493号公報)。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の黄色酸化鉄を配合することによって赤色のマーキングを施す方法では、黄色地に赤色のマーキングのみしかできない問題があった。 【0008】本発明は、様々な地色に様々なマーキングが可能な樹脂組成物およびマーキング方法ならびに成形品を提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明者のレーザーマーキング用樹脂組成物は、上記問題を解決するために主として次の構成を有する。 【0010】すなわち、熱可塑性樹脂(I)100重量部に対し、500〜550nmに吸収極大を有する着色剤(II)を0.002〜10重量部含有してなり、500〜550nmの分光反射率が50%以下であるレーザーマーキング用樹脂組成物。また、本発明のマーキング方法は主として次の構成を有する。すなわち、熱可塑性樹脂(I)100重量部に対し、500〜550nmに吸収極大を有する着色剤(II)を0.002〜10重量部含有してなり、500〜550nmの分光反射率が50%以下であるレーザーマーキング用樹脂組成物を成形してなる成形品に波長が500〜550nmのレーザー光を照射するマーキング方法。本発明の成型品は、主として次の構成を有する。すなわち、熱可塑性樹脂(I)100重量部に対し、500〜550nmに吸収極大を有する着色剤(II)を0.002〜10重量部含有してなり、500〜550nmの分光反射率が50%以下であるレーザーマーキング用樹脂組成物を成形してなる成形品に波長が500〜550nmのレーザー光を照射するマーキング方法マーキングされた成形品。 【0011】 【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態について説明する。 【0012】本発明に用いる熱可塑性樹脂(I)は特に規定はなく、ABS樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ナイロン6系樹脂、ナイロン66系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂(HIPS樹脂)などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂(I)は単独で用いてもよいし、あるいは2種類以上をブレンドして用いることも可能である。 【0013】この熱可塑性樹脂(I)としては、好ましくは、ゴム質重合体(a)の存在下にシアン化ビニル系単量体(b)、芳香族ビニル系単量体(c)及びこれらと共重合可能な他のビニル系単量体(d)から選ばれる少なくとも1種以上の単量体をグラフトしてなるゴム含有グラフト共重合体(IV)10〜50重量部、シアン化ビニル系単量体(b)5〜45重量%、芳香族ビニル系単量体(c)40〜90重量%及びマレイミド系単量体(e)5〜55重量%を共重合して得られるマレイミド系共重合体(V)0〜50重量部、およびシアン化ビニル系単量体(b)3〜45重量%、芳香族ビニル系単量体(c)90〜20重量%及びこれらと共重合可能な他のビニル系共重合体(e)0〜80重量%を共重合して得られるシアン化ビニル系共重合重合体(VI)5〜90重量部からなる熱可塑性樹脂である。 【0014】ゴム含有グラフト共重合体(IV)に用いるゴム質重合体(a)としては,ジエン系ゴム、アクリル系ゴム、エチレン系ゴムなどであり、具体例としては、ポリブタジエン、ポリ(ブタジエン−スチレン)、ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)、ポリイソプレン、ポリ(ブタジエン−アクリル酸ブチル)、ポリ(ブタジエン−アクリル酸メチル)、ポリ(ブタジエン−メタクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸ブチル−メタクリル酸メチル)、ポリ(ブタジエン−アクリル酸エチル)、エチレン−プロピレンラバー、エチレン−プロピレン−ジエンラバー、ポリ(エチレン−イソブチレン)、ポリ(エチレン−アクリル酸メチル)などが挙げられる。これらのゴム質重合体は、1種または2種以上の混合物で使用される。これらのゴム質重合体のうち、ポリブタジエン、ポリ(ブタジエン−スチレン)、ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)、エチレン−プロピレンラバーが耐衝撃性の点で特に好ましく用いられる。 【0015】本発明に用いうるゴム含有グラフト共重合体(IV)、マレイミド系共重合体(V)およびシアン化ビニル系共重合体(VI)の単量体として用いるシアン化ビニル系単量体(b)の具体例としてはアクリロニトリルおよびメタクリロニトリルなどが挙げられ、1種または2種以上用いることができる。中でもアクリロニトリルが耐薬品性の面で特に好ましい。 【0016】本発明におけるゴム含有グラフト共重合体(IV)、マレイミド系共重合体(V)およびシアン化ビニル系共重合体(VI)の単量体として用いる芳香族ビニル系単量体(c)の具体例としては、スチレン,α−メチルスチレン,オルソメチルスチレン,パラメチルスチレン,パラ−t−ブチルスチレンおよびハロゲン化スチレンなどが挙げられ、1種または2種以上用いることができる。なかでもスチレン,α−メチルスチレンが成形加工性の面で特に好ましく、さらにスチレンが好ましい。 【0017】本発明におけるゴム含有グラフト共重合体(IV)、マレイミド系共重合体(V)及びシアン化ビニル系共重合体(VI)に用いる共重合可能な他のビニル系単量体(d)の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類、マレイミド、N−メチルマレイミドなどのマレイミド類、および無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水アコニット酸などの不飽和カルボン酸無水物などを挙げることができ、なかでもメタクリル酸メチル、N−フェニルマレイミドが成形加工性の面で好ましい。 【0018】本発明におけるマレイミド系共重合体(V)の単量体として用いるマレイミド系単量体(e)の具体例としては、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−メチルマレイミド、マレイミドなどがあり、中でもN−フェニルマレイミドが成形加工性の面で特に好ましく用いられる。 【0019】本発明におけるゴム含有グラフト共重合体(IV)におけるゴム質重合体(a)の含有率は、耐衝撃性の点で10〜80重量%が好ましく、40〜70重量%がさらに好ましい。また、ゴム含有グラフト共重合体(IV)におけるシアン化ビニル系単量体(b)の含有率は、3〜70重量%が色調安定性の点で好ましく、さらには3〜40重量%が好ましい。さらに、ゴム含有グラフト共重合体(IV)における芳香族ビニル系単量体(c)の含有率は、10〜80重量%が色調安定性の点で好ましく、さらには20〜50重量%が好ましい。 【0020】またグラフト率は10〜80%が、グラフト成分の共重合体の還元粘度は、0.2〜0.8dl/gが耐衝撃性の点で好ましい。 【0021】本発明におけるマレイミド系共重合体(V)の単量体成分の構成単位は、シアン化ビニル系単量体(b)3〜45重量%,芳香族ビニル系単量体(c)20〜90重量%、これらと共重合可能な他のビニル系単量体(d)0〜80重量%およびマレイミド系単量体(e)5〜55重量%であることが好ましい。 【0022】その中で、シアン化ビニル系単量体(b)3〜40重量%、芳香族ビニル系単量体(c)20〜55重量%、これらと共重合可能な他のビニル系単量体(d)0〜75重量%およびマレイミド系単量体(e)30〜55重量%の範囲のものが耐衝撃性、耐熱性のバランスの点で好ましい。 【0023】シアン化ビニル系単量体が3重量%未満では耐薬品性が劣り、また、45重量%を越えると色調安定性が低下するので好ましくない。また、芳香族ビニル系単量体(c)が20%未満であると、シート成形用熱可塑性樹脂組成物の溶融時の色調安定性が著しく低下し、90重量%を越えると耐薬品性が劣るので好ましくない。またマレイミド系単量体(e)が30重量%未満であると耐熱性が十分でなく、55重量%を越えると耐衝撃性が劣るので好ましくない。また本発明におけるマレイミド系共重合体(V)のガラス転移温度は、耐熱性の観点から、120℃以上が好ましく、耐衝撃性の観点から210℃以下が好ましい。より好ましくは135〜200℃である。 【0024】また、本発明におけるシアン化ビニル系共重合体(VI)の単量体成分の構成単位は、シアン化ビニル系単量体(b)3〜45重量%、芳香族ビニル系単量体(c)90〜20重量%である。好ましくは、シアン化ビニル系単量体(b)3〜40重量%、芳香族ビニル系単量体(c)80〜20重量%である。 【0025】シアン化ビニル系単量体(b)が10重量%未満であり、芳香族ビニル系単量体(c)が90重量%を越えると耐薬品性が十分でないので好ましくない。また、シアン化ビニル系単量体(b)が45重量%を越え、芳香族ビニル系単量体(c)が55重量%未満であると色調安定性が低下するので好ましくない。 【0026】また、ビニル系共重合体(VI)の分子量としては特に制限がないが、還元粘度が0.30〜0.90dl/g、特に0.35〜0.85dl/gの範囲のものが、耐衝撃性、流動性の点から好ましく用いられる。本発明の樹脂組成物において、ゴム含有グラフト共重合体(IV)、マレイミド系共重合体(V)およびシアン化ビニル系共重合体(VI)の配合割合は、ゴム含有グラフト共重合体(IV)10〜50重量部、マレイミド系共重合体(V)0〜50重量部、シアン化ビニル系共重合体(VI)5〜80重量部であることが好ましい。ゴム含有グラフト共重合体(IV)が10重量部未満だと衝撃強度が十分ではなく、50重量部を越えるとレーザーマーキング性が劣るので好ましくない。マレイミド系共重合体(V)が50重量部を越えると耐衝撃性が劣るので好ましくない。シアン化ビニル系共重合体(VI)が5重量部未満だと耐薬品性が十分ではなく、80重量部を越えると色調安定性が劣るので好ましくない。 【0027】本発明におけるレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物は500〜550nmに吸収極大を有する着色剤(II)を0.002〜10重量部含有し、500〜550nmの分光反射率が50%以下である。 【0028】500〜550nmに吸収極大を有する着色剤(II)とは、500〜550nmに吸収極大を有するものであれば、特に制限はない。具体例としては、モノアゾ系、ジスアゾ系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ピロロピロール系などの赤有機染顔料、ベンガラ、鉛丹、銀朱カ、ドミウムレッド等の無機顔料が挙げられ、2種以上を混合して用いることもできる。 【0029】本発明の500〜550nmに吸収極大を有する着色剤(II)は0.002〜10重量部含有することが必要であり、好ましくは0.01〜5重量部である。0.002重量部未満では、500〜550nmの分光反射率が50%未満になるためベース色とマーキング部分のコントラストが低く、10重量部を越えると成形時の金型汚れが著しくなる。 【0030】本発明におけるレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物には500〜550nmに吸収極大を有しない着色剤(III)を含有することで、マーキング部分を任意の色に着色することもできる。500〜550nmに吸収極大を有しない着色剤(III)とは、上記500〜550nmに吸収極大を有する着色剤(II)以外の染顔料で、特に制限はない。具体的にはフタロシアシニン系の青〜緑有機染顔料、アゾ系、ジスアゾ系、アントラキノン系、イソインドリノン系等の橙〜黄色有機染顔料などの有機系染顔料、酸化クロム、ピリジアン等の緑無機顔料、群青、セルリアンブルー等の青無機顔料、黄鉛、チタンイエロー、黄色酸化鉄等の黄色無機顔料、カドミウムオレンジ、モリブデートオレンジ等の橙色無機顔料、鉛白、二酸化チタン、タルク、シリカ等の白系無機顔料が挙げられる。 【0031】本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物は500〜550nmの分光反射率が50%以下であり、好ましくは40%以下である。分光反射率が50%を越えると鮮明なマーキングが得られない。 【0032】本発明においては、さらに必要に応じて2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4、4´−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)などのフェノール系酸化防止剤、トリス(ミックスド、モノおよびジノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニル・イソデシルホスファイトなどのリン系酸化防止剤、ジラウリルチオジプロピネート、ジミリスチルチオジプロピネートジアステリアルチオジプロピネートなどのイオウ系酸化防止剤、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどの紫外線吸収剤、ビス(2、2、6、6、−テトラメチル−4−ピペリジニル)などの光安定剤、ヒドロキシルアルキルアミン、スルホン酸塩などの帯電防止剤、エチレンビスステアリルアミド、金属石鹸などの滑剤、ポリブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノール−A、臭素化エポキシオリゴマー、臭素化ポリカーボネートオリゴマー等の含ハロゲン系化合物、りん系化合物、三酸化アンチモン等の難燃剤・難燃助剤、ガラス繊維、カーボン繊維などの無機充填材なども添加することも可能である。 【0033】以下、本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物の製造方法の例について述べる。 【0034】本発明におけるゴム含有グラフト共重合体(IV)、マレイミド系共重合体(V)、ビニル系共重合体(VI)の製造方法については特に制限はなく、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法、溶液重合法ならびにそれらの組み合わせによる重合法により製造することができる。ゴム質重合体による変性手段としては、主としてゴム質の存在下で樹脂相を形成する単量体を乳化重合法、乳化−懸濁重合法、塊状重合法などでグラフト重合する方法が採用される。この際、機械的特性の観点からグラフト率は15〜100%であることが好ましく、より好ましくは20〜70%である。 【0035】本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物の製造方法に関しては、バンバリーミキサー、ロールおよび単軸または多軸押出機で熱可塑性樹脂(I)、着色剤(II)および/または着色剤(III)を溶融混練するなど種々の方法を採用することができる。 【0036】本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形、圧縮成形、ガスアシスト成形等の現在熱可塑性樹脂の成形に用いられる公知の方法によって成形することができ、特に制限されるものではない。 【0037】これらの成形品の用途については、電気、電子、自動車、機械、雑貨など特に制限はないが、本発明の成形品の特徴から、文字や記号等が印字・表示される用途に有効である。なかでもOA機器・電気・電子製品のハウジングおよび冷蔵庫の構造体部品、パチンコの受け皿等の雑貨用途、トイレ・台所等のサニタリー用途、自動車用内外装材の文字や記号等を印字・表示される部位に適用することができる。 【0038】得られた成形品にレーザーマーキングする際のレーザーマーカーとしては、YAGレーザー、炭酸ガスレーザー、エキシマレーザーなどが挙げられ制限はないが、好ましくはYAG倍波レーザーマーカー(波長532nm)である。YAG倍波レーザーマーカーを用いると、選択的に500〜550nmに吸収極大を有する着色剤(II)が分解され、樹脂の熱劣化を誘発せずにマーキングできる。 【0039】 【物性の測定法】本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物に関する特性の測定方法を下記する。レーザーマーキング性、耐衝撃性等の一般的な特性については、射出成形によりテストピースを成形し、下記試験法に準拠し測定した。 (1)グラフト率グラフト共重合体所定量(m)にアセトンを加え、3時間還流し、この溶液を8800r.p.m.(10000G)で40分間遠心分離後、不溶分を濾過し、この不溶分を60℃で5時間減圧乾燥し、重量(n)を測定した。グラフト率は、下記式より算出した。ここで、Lはグラフト共重合体のゴム含有量である。 グラフト率(%)={[(n)−(m)×L]/[(m)×L]}×100(2)還元粘度ウベローデ粘度計を使用し、測定温度30℃、試料濃度0.4g/dlのメチルエチルケトン溶液より測定した。 (3)ガラス転移温度東洋ボールドウィン社製の自動動的粘弾性測定器(バイブロン:DDV−II−EA)を用いて測定した。 (4)レーザーマーキング性測定サンプルをNd:YAG(倍波)レーザーにより、波長532nmでマーキングを行い測定した。 鮮明度:レーザーによりマーキングした部分を目視により判定し、細い線がはっきりとマーキングされ、ベース色とマーキング文字色のコントラストが良好なものを(○)、やや良好なものを(△)、不良なものを(×)とした。 (5)分光反射率実施例の樹脂組成物と同一な比較用組成物とを射出成形して評価用角板を作成した。大日精化工業社製カラーコンピューター(カラコムシステム)を用いて当該角板の380〜700nmの分光反射率を10nmごとに測定した。このうち500〜550nmの分光反射率の算術平均を求め、500〜550nmの分光反射率とした。 (6)耐衝撃性(Izod衝撃) ASTM D256(12.7mmノッチ付き、23℃)。 (7)耐熱性(6.4mmDTL) 6.4mm荷重撓み温度(DTL)は、熱可塑性樹脂組成物の射出成形品について、ASTM D648(1.82MPa/cm2)に準じて測定した。 (8)金型汚れ上記テストピースを50ショット成形後の金型汚れを目視で判定し、著しいものを×、金型汚れのないものを○とした。 【0040】 【実施例】以下、実施例及び比較例を示す。 [参考例1]ゴム含有グラフト共重合体(IV)の製造窒素置換した反応器に純水120部、ブドウ糖0.5部、ピロリン酸ナトリウム0.5部、硫酸第一鉄0.005部およびポリブタジエンラテックス(ゴム粒子径0.3μm,ゲル含有率85%)50部(固形分換算)を仕込み、撹拌しながら反応器内の温度を65℃に昇温した。内温が65℃に達した時点を重合開始としてモノマ(スチレン35部,アクリロニトリル15部)およびt−ドデシルメルカプタン0.3部からなる混合物を5時間かけて連続滴下した。同時に並行してクメンハイドロパーオキサイド0.25部,オレイン酸カリウム2.5部および純水25部からなる水溶液を7時間かけて連続滴下し、反応を完結させた。得られたグラフト共重合体ラテックスを硫酸で凝固し、苛性ソ−ダで中和後、洗浄、濾過、乾燥してゴム含有グラフト共重合体(IV)を得た。このグラフト共重合体(IV)のグラフト率は45%、樹脂成分のηsp/cは0.68dl/gであった。 [参考例2]マレイミド系共重合体(V)の製造容量が20Lで、バッフルおよびファウドラ型攪拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、メタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体(特公昭45−24151号公報記載)0.05部をイオン交換水165部に溶解した溶液を400rpmで攪拌し、系内を窒素ガスで置換した。次にアクリロニトリル10部スチレン50部、N−フェニルマレイミド40部、t−ドデシルメルカプタン0.46部、および2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.15部の混合溶液を反応系を攪拌しながら添加し、60℃に昇温し110分重合を行った。この後、100℃まで50分かけて昇温し重合を完結させた。その後、反応系の冷却、ポリマーの分離、洗浄、乾燥を行ない、アクリロニトリル10重量%、スチレン50重量%、N−フェニルマレイミド40重量%のマレイミド系共重合体(V)を得た。このマレイミド系共重合体(V)のガラス転移温度は167℃、重量平均分子量/数平均分子量の比は2.4であった。 [参考例3]シアン化ビニル系共重合体(VI)の製造容量が20Lで、バッフルおよびファウドラ型攪拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、メタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体(特公昭45−24151号公報記載)0.05部をイオン交換水165部に溶解した溶液を400rpmで攪拌し、系内を窒素ガスで置換した。次にアクリロニトリル32部、スチレン4.0部、t−ドデシルメルカプタン0.46部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.39部,2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.05部の混合溶液を反応系を攪拌しながら添加し、58℃に昇温し重合を開始した。重合開始から15分が経過した後オートクレーブ上部に備え付けた供給ポンプからのスチレン64部を110分かけて添加した。この間、反応温度を65℃まで昇温した。スチレンの反応系への添加終了後、50分かけて100℃まで昇温した。以降は、通常の方法に従って、反応系の冷却、ポリマーの分離、洗浄、乾燥を行ない、アクリロニトリル10重量%、スチレン50重量%のシアン化ビニル系共重合体(VI)を得た。このシアン化ビニル系共重合体(VI)のηsp/cは0.55dl/gであった。 [参考例4]着色剤(II) A:有本化学工業社製 Plast Red 8370 (アンスラキノン有機染料) B:Pigment Red 170 (モノアゾ有機顔料) [参考例5]その他着色剤(III) A:有本化学工業社製 Plast Yellow 8000 (アンスラキノン有機染料) B:有本化学工業社製 Plast Blue 8520 (アンスラキノン有機染料) C:Pigment Yellow 183 (モノアゾ有機顔料) D:Pigment Blue 15;3 (フタロシアニン有機顔料) E:川村化学社製 YW505 (黄色無機顔料) F:川村化学社製 MD100 (緑色無機顔料) G:酸化チタン実施例1〜18、比較例1〜7参考例記載の(IV)ゴム含有グラフト共重合体、(V)マレイミド系共重合体、(VI)シアン化ビニル系共重合体、500〜550nmに吸収極大を有する着色剤(II)および500〜550nmに吸収極大を有しない着色剤(III)を表1および2に記載の量及び粒子径のものを加え、ヘンシェルミキサーで均一に混合したのち小型押出機を用いてペレット化して組成物を得た。その評価結果は表1および2に示すとおりである。 【0041】 【表1】
【0042】 【表2】
表1および2から、本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物は、比較例の樹脂組成物と比較して、レーザーマーキング性、成形品外観性および耐衝撃性のバランスに優れていることがわかる。 【0043】 【発明の効果】本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物または成形品は、様々な地色に鮮明なマーキングを呈することができるため、文字・記号等を表示する部品に好適である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003159 【氏名又は名称】東レ株式会社 【住所又は居所】東京都中央区日本橋室町2丁目2番1号
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| 【出願日】 |
平成13年11月21日(2001.11.21) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−155414(P2003−155414A) |
| 【公開日】 |
平成15年5月30日(2003.5.30) |
| 【出願番号】 |
特願2001−355892(P2001−355892) |
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