トップ :: C 化学 冶金 :: C08 有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物




【発明の名称】 ケイ素成分およびフッ素成分含有組成物および着雪氷防止部材
【発明者】 【氏名】中井 壮元
【住所又は居所】茨城県猿島郡三和町大和田瀬崎1778 大日本色材工業株式会社三和工場内

【氏名】沢井 毅
【住所又は居所】福岡県北九州市八幡西区黒崎城石1番1号 三菱化学株式会社内

【氏名】田中 誠一朗
【住所又は居所】福岡県北九州市八幡西区黒崎城石1番1号 三菱化学株式会社内

【要約】 【課題】降雪時および低温時の着雪氷防止効果と昇温時の滑雪性能を兼ね備えた組成物を提供する。

【解決手段】少なくとも、特定のケイ素含有化合物とフッ素含有化合物とを含有し、更に、必要に応じ、上記の特定のケイ素含有化合物100重量部(但しSiO2換算)に対して25重量部以下の割合で他のケイ素含有化合物を含有する塗膜またはフィルム用のケイ素成分およびフッ素成分含有組成物であって、塗膜またはフィルムとした際、その表面のXPS定量分析による、ケイ素原子の濃度が2〜20原子%であり、フッ素原子の濃度が1〜60原子%であるケイ素成分およびフッ素成分含有組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも、以下に規定するA成分とB成分とを含有し、更に、必要に応じ、A成分100重量部(但しSiO2換算)に対して25重量部以下の割合でA成分以外のケイ素含有化合物を含有する塗膜またはフィルム用のケイ素成分およびフッ素成分含有組成物であって、塗膜またはフィルムとした際、その表面のXPS定量分析による、ケイ素原子の濃度が2〜20原子%であり、フッ素原子の濃度が1〜60原子%であることを特徴とするケイ素成分およびフッ素成分含有組成物。
<A成分>:テトラアルコキシシラン(a1)、その部分加水分解縮合物(a2)、テトラアルコキシシラン及び/又はその部分加水分解縮合物に理論水量以上の水を加えて得られる加水分解縮合物(a3)の群から選択される1種以上の化合物<B成分>:フッ素含有化合物【請求項2】 ケイ素原子に対するフッ素原子の原子比が0.1〜30である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】 フッ素含有化合物がフッ素含有シランカップリング剤またはフッ素含有界面活性剤である請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】 フッ素含有シランカップリング剤が以下の一般式(I)で表されるパーフルオロアルキル基含有アルコキシシランである請求項3に記載の組成物。
【化1】
−X−Si(OR2m(R13-m (I)
(一般式(I)中、Rはパーフルオロアルキル基を表し、Xは二価の結合基を表し、R1及びR2は各々独立してアルキル基を表す。pは1〜4の整数を表し、mは1〜3の整数を表す。)
【請求項5】 A成分と相溶し得る樹脂成分を更に含有する請求項1〜4の何れかに記載の組成物。
【請求項6】 樹脂成分がシリル基含有アクリル樹脂である請求項5に記載の組成物。
【請求項7】 シリル基がオルガノキシシリル基である請求項6に記載の組成物。
【請求項8】 請求項1〜7の何れかに記載の組成物にて表面が形成されていることを特徴とする着雪氷防止部材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ケイ素成分およびフッ素成分含有組成物および着雪氷防止部材に関する。
【0002】
【従来技術】従来より、船舶、海洋構造物、航空機類、車両、家屋、送電鉄塔などの各種の分野においては、積雪や氷結による被害の防止を目的として、種々の着雪氷防止塗料が研究されている。
【0003】特に、次の理由により着雪氷防止効果を発揮するオルガノポリシロキサンの使用は数多くの提案がある。すなわち、オルガノポリシロキサン場合は、塗膜またはフィルムとした際、表面に炭化水素鎖が配列するため、表面エネルギーの低い撥水性表面を形成し、また、ガラス転移温度が低いため、−30℃以下でもその分子運動が凍結されず、氷結の際に水素結合の形成が困難である。
【0004】そして、特開平2−147688号公報には、特定のアルコキシジメチルシロキサンを使用した組成物が提案され、特開平3−84069号公報には、オルガノポリシロキサンがブリードアウトしたり氷の離脱と共に剥離することによる着雪氷防止効果の持続性の低さを改良するため、加水分解性シリル基を有する特定の有機ケイ素化合物とその他のモノマーから得られる共重合体に水酸基含有樹脂を併用した組成物が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の従来公知の組成物では着雪氷防止効果が十分であるとは言えない。また、着雪氷防止効果は降雪時に要求されるが、降雪後には次の理由により滑雪性が望まれる。すなわち、降雪後、気温が上昇すると、建物の屋根などの構造物表面の積雪は、次第に水分を多く含んだベタ雪状へと変化する。そして、斯かるベタ雪は、構造物表面に付着して剥離し難くなる、つまり滑雪性が低下する。そこで、斯かる状態では滑雪性の向上が望まれる。構造物の勾配が45゜以下の場合は冠雪し易い。従って、滑雪性に優れていることが特に望まれる。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記実情に鑑み、降雪時および低温時の着雪氷防止効果と昇温時の滑雪性能を兼ね備えた組成物を提供すべく鋭意検討を重ねた結果、次の様な知見を得た。すなわち、降雪時の着雪氷防止効果に優れた組成物が必ずしも滑雪性に優れている訳ではない。具体的には、雪と構造物表面との付着力(着氷力)が小さい方が着雪氷防止には有利である。また、雪と構造物との界面に水が存在すると水の粘性(潤滑作用)により滑雪し易くなると考えられるが、従来公知の着雪氷防止剤では表面の親水性が低く滑雪効果は小さい。
【0007】本発明は、上記の知見を基に更に検討を重ねた結果、完成されたものであり、その第1の要旨は、少なくとも、以下に規定するA成分とB成分とを含有し、更に、必要に応じ、A成分100重量部(但しSiO2換算)に対して25重量部以下の割合でA成分以外のケイ素含有化合物を含有する塗膜またはフィルム用のケイ素成分およびフッ素成分含有組成物であって、塗膜またはフィルムとした際、その表面のXPS定量分析による、ケイ素原子の濃度が2〜20原子%であり、フッ素原子の濃度が1〜60原子%であることを特徴とするケイ素成分およびフッ素成分含有組成物に存する。
【0008】<A成分>:テトラアルコキシシラン(a1)、その部分加水分解縮合物(a2)、テトラアルコキシシラン及び/又はその部分加水分解縮合物に理論水量以上の水を加えて得られる加水分解縮合物(a3)の群から選択される1種以上の化合物<B成分>:フッ素含有化合物【0009】そして、本発明の第2の要旨は、上記の組成物にて表面が形成されていることを特徴とする着雪氷防止部材に存する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の組成物は、ケイ素成分として以下に規定するA成分とフッ素成分として以下に規定するB成分とを含有する塗膜またはフィルム用のケイ素成分およびフッ素成分含有組成物である。
【0011】本発明においては、A成分として、テトラアルコキシシラン(a1)、その部分加水分解縮合物(a2)、テトラアルコキシシラン及び/又はその部分加水分解縮合物に理論水量以上の水を加えて得られる加水分解縮合物(a3)の群から選択される1種以上の化合物を使用する。
【0012】上記のテトラアルコキシシラン(a1)は、オルソケイ酸Si(OH)4の有機エステルであり、一般式Si(OR)4(但しRはアルキル基を表す)で表され、テトラアルキルシリケートとも呼ばれる。また、単にアルキルシリケートと呼ばれることもある。
【0013】上記の一般式におけるアルキル基としては、例えば、直鎖状、分岐状または環状のアルキル基、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。また、これらのアルキル基の有する水素原子の一部をフッ素原子で置換したフッ素化アルキル基であってもよい。また、各アルキル基は同一であっても異なっていてもよい。
【0014】特に炭素数1〜4のアルキル基が好適である。滑雪性発現の面からメチル基および/またはエチル基が好ましく、全てのアルキルがメチル基であることが更に好ましい。炭素数が4を超えるアルキル基の場合は、本発明の組成物を均一な塗膜用組成物とするために必要な有機溶剤の量が多くなる場合があり、しかも、加水分解性に乏しく、得られる塗膜の屋外曝露に於けるSiOH基(シラノール基)の生成が著しく緩慢となり、滑雪性能の発現性が小さくなる傾向がある。
【0015】本発明においては、テトラアルコキシシラン(a1)としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラsec−ブトキシシラン又はテトラt−ブトキシシランが好適に使用される。
【0016】テトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物(a2)としては、例えば、テトラメトキシシランの部分加水分解縮合物であるポリメトキシポリシロキサンとして三菱化学(株)製「MKCシリケートMS51」、「MKCシリケートMS56」等が挙げられる。
【0017】テトラアルコキシシラン及び/又はその部分加水分解縮合物に理論水量以上の水を加えて得られる加水分解縮合物(a3)は、上記の各成分の加水分解液として入手することが出来る。ここで、理論水量とは、アルコキシ基に対して0.5倍モルの水量であり、理論水量以上の水の量としては、アルコキシ基に対して0.5〜1倍モルの水量が好ましい。
【0018】前記のA成分の中では、テトラメトキシシラン及び/又はこの部分加水分解縮合物は、加水分解反応性が高くシラノール基を生成し易い。従って、これらは、均一な液状組成物を調製するのに使用する後述の溶媒の量が少なくて済み、危険物に該当せず、滑雪性効果が高い組成物を容易に得ることができるため、特に好適である。
【0019】本発明の組成物は、上記のA成分(Si(OR)4等)以外のケイ素含有化合物として、例えば、ケイ素を介して直接結合した有機基を有するケイ素化合物を含有することが出来る。
【0020】上記のケイ素化合物としては、例えば、各種のシランカップリング剤が挙げられる。具体的には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン化合物が挙げられる。
【0021】更に、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のジアルコキシシラン化合物が挙げられる。
【0022】更に、メチルトリクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、3−クロロプロピルメチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン等のクロロシラン化合物が挙げられる。
【0023】更に、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−3−トリメトキシシリルプロピル−m−フェニレンジアミン、,N,N−ビス〔3−(メチルジメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N−ビス〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、P−〔N−(2−アミノエチル)アミノメチル〕フェネチルトリメトキシシラン等が挙げられる。また、上記の各化合物の部分加水分解縮合物が挙げられる。
【0024】A成分(Si(OR)4等)以外のケイ素含有化合物は、A成分に比し、加水分解可能な官能基量が少なく、滑雪性発現に寄与する度合いが著しく低い。従って、斯かるケイ素化合物を使用する場合、その使用割合は、A成分(Si(OR)4等)100重量部(但しSiO2換算)に対し、25重量部以下(好ましくは10重量部以下)に制限される。
【0025】本発明においては、B成分としてフッ素含有化合物を使用する。フッ素含有化合物としては、フッ素含有シランカップリング剤、フッ素含有界面活性剤、フッ素樹脂粉末が好適に使用される。これらの中では、フッ素含有シランカップリング剤が好ましく、更に、フッ素含有シランカップリング剤としては、以下の一般式(I)で表されるパーフルオロアルキル基含有アルコキシシランが好ましい。
【0026】
【化2】
−X−Si(OR2m(R13-m (I)
【0027】上記の一般式(I)中、Rはパーフルオロアルキル基を表し、Xは二価の結合基を表し、R1及びR2は各々独立してアルキル基を表す。pは1〜4の整数を表し、mは1〜3の整数を表す。
【0028】上記のパーフルオロアルキル基(R)において、炭素数は、通常3〜9、好ましくは5〜9、更に好ましくは6〜8である。斯かるパーフルオロアルキル基としては、例えば、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロノニル基などが挙げられる。
【0029】上記の二価の結合基(X)としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などのアルキレン基;フェニレン基、ナフチレン基などのアリーレン基;−O−C(O)−NH−、−O−R3−又は−S−R3−で表される基(但しR3はアルキレン基を示す)、更に、これらが結合した基などが挙げられる。これらの中では、アルキレン基、−O−C(O)−NH−、−O−R3−又は−S−R3−で表される基が好ましく、特にアルキレン基が好ましい。そして、アルキレン基の中では、炭素数2〜4のアルキレン基が好ましく、特にエチレン基またはプロピレン基が好ましい。
【0030】上記のアルキル基のR1及びR2としては、炭素数1〜6のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。斯かるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基などが挙げられる。これらの中では、特にメチル基が好ましい。
【0031】上記の整数pは、好ましくは2又は3であり、更に好ましくは2である。また、整数mは、好ましくは2又は3であり、更に好ましくは3である。
【0032】一般式(I)で表されるフッ素含有シランカップリング剤(パーフルオロアルキル基含有アルコキシシラン)の具体例としては、1H,1H,2H,2H−パーフロロヘキシルトリメトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフロロヘキシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H,3H,3H−パーフロロヘキシルトリメトキシシラン、1H,1H,2H,2H,3H,3H−パーフロロヘキシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフロロオクチルトリメトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフロロオクチルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H,3H,3H−パーフロロオクチルトリメトキシシラン、1H,1H,2H,2H,3H,3H−パーフロロオクチルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフロロデシルトリメトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフロロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H,3H,3H−パーフロロデシルトリメトキシシラン、1H,1H,2H,2H,3H,3H−パーフロロデシルトリエトキシシラン1H,1H,2H,2H−パーフロロヘキシルジメトキシモノメチルシラン、1H,1H,2H,2H−パーフロロヘキシルジエトキシモノエチルシラン、1H,1H,2H,2H,3H,3H−パーフロロヘキシルジメトキシモノメチルシラン、1H,1H,2H,2H,3H,3H−パーフロロヘキシルジエトキシモノエチルシラン、1H,1H,2H,2H−パーフロロオクチルジメトキシモノメチルシラン、1H,1H,2H,2H−パーフロロオクチルジエトキシモノエチルシラン、1H,1H,2H,2H,3H,3H−パーフロロオクチルジメトキシモノメチルシラン、1H,1H,2H,2H,3H,3H−パーフロロオクチルジエトキシモノエチルシラン、1H,1H,2H,2H−パーフロロデシルジメトキシモノメチルシラン、1H,1H,2H,2H−パーフロロデシルジエトキシモノエチルシラン、1H,1H,2H,2H,3H,3H−パーフロロデシルジメトキシモノメチルシラン、1H,1H,2H,2H,3H,3H−パーフロロデシルジエトキシモノエチルシラン等が挙げられる。
【0033】前記の一般式(I)で表されるフッ素含有シランカップリング剤は、例えば、フッ素基含有化合物とアルコキシシリル基含有化合物(シランカップリッング剤)とを反応させて得ることが出来る。
【0034】フッ素基含有化合物としては、例えば、ヘキサフルオロイソプロパノール、2(パーフルオロ−n−ブチル)エタノール、4,4,4トリフルオロ3,3ジメトキシブタノール、ジメチル2,2,2トリフルオロプロピオニルカルビノール、2(パーフルオロ−n−ヘキシル)エタノール、3,3,4,4,5,5,6,6オクタフルオロオクタン1,8ジオール、3(パーフルオロ−n−ヘキシル)の他、一方の末端が上記と同様のパーフルオロアルキル基であり、他方の末端がイソシアネート基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、反応性二重結合を有する化合物などが挙げられる。
【0035】一方、シランカップリング剤としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランの他、イソシアネート基を含有し、末端がトリアルコキシシランである化合物などが挙げられる。
【0036】フッ素基含有化合物とシランカップリッング剤とを反応させる方法としては、例えば、二重結合を有する各化合物についてはラジカル重合開始剤を使用して共重合させる方法の他、エポキシ基とアミノ基またはカルボキシル基との反応、イソシアネート基と水酸基、アミノ基またはカルボキシル基との反応などを利用した公知の方法を採用することが出来る。
【0037】前記のフッ素含有界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルアンモニウム塩等の、パーフルオロアルキル基を有するパーフルオロアルキルオリゴマー、パーフルオルエチレンオキサイド付加物、パーフルオルカルボン酸塩などが挙げられる。例えば、旭硝子(株)製の「SC−101」や「SC−105」は、フッ素含有界面活性剤として好適に使用することが出来る。
【0038】前記のフッ素樹脂粉末としては、例えば四フッ化エチレン重合体が好適に使用され、その平均分子量は、通常1,500〜20,000、好ましくは500〜15,000であり、その平均粒子径は、通常0.1〜20μm、好ましくは0.1〜1μmである。
【0039】本発明の組成物は、前記のB成分(フッ素含有化合物)以外に他の疎水性化合物を含有することが出来る。他の疎水性化合物としては、シリコン樹脂粉末、シリコーン系界面活性剤などが挙げられる。シリコン樹脂粉末平均粒子径は、通常0.1〜20μm、好ましくは0.1〜1μmとされる。また、シリコーン系界面活性剤としては、例えば、疎水基としてメチルポリシロキサン、親水基としてポリアルキレンオキサイドを有するものが挙げられる。具体的には、日本ユニカー(株)社製の「SILWET L−7001」が好適に使用される。
【0040】本発明の組成物は、A成分と相溶し得る樹脂成分を更に含有することが好ましい。斯かる樹脂成分は、ケイ素成分およびフッ素成分に対してマトリックスとして機能する。A成分と相溶し得る樹脂成分としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、飽和または不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂などの一般的な樹脂から選択される1種以上が挙げられるが、以下に説明する各種のアクリル樹脂が好適に使用される。
【0041】本発明におけるアクリル樹脂は、ヒドロキシル基またはシリル基のうち1種類以上を含有していることが好ましい。更に、アクリル樹脂は、適宜、イソシアナート基、エポキシ基、カルボキシル基、ジアルキルアミノエチル基、N−メチロール(メタ)アクリルアミド基、リン酸エステル基、亜リン酸エステル基などの置換基を一種以上を含有させることが出来る。
【0042】上記のヒドロキシル基またはシリル基は、テトラメトキシシランの部分加水分解物との縮合反応に利用することが出来、上記のエポキシ基、カルボキシル基、ジアルキルアミノエチル基などは、基材との密着性や架橋反応を進める効果がある。
【0043】アクリル樹脂は、各種のアクリル化合物(単量体)の単独重合体または共重合体として得ることが出来る。そして、斯かる単量体としては、メタクリル酸、アクリル酸またはこれらの混合物の他、次の様な各種のアクリル化合物が挙げられる。
【0044】例えば、アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基(特に炭素数1〜6のアルキル基)にエポキシ基が置換された化合物(例えば、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート等)、メタクリル酸アルキルエステル(例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ラウリル等)、アクリル酸アルキルエステル(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ラウリル等)、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル(例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート等)、2−(メタ)アクリロイルオキシアルキルジカルボン酸エステル類(例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸モノエステル、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸モノエステル、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタル酸ジエステル等)、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート類(例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等)、各種のアリルグリシジルエーテル類、モノ(2−メタクリロイルオキシ)アシッドホスフェート、モノ(2−アクリロイルオキシ)アシッドホスフェート等が挙げられる。
【0045】本発明においては、特にシリル基含有アクリル樹脂(共重合体)が好ましく、特にシリル基がオルガノキシシリル基である共重合体が好ましい。
【0046】上記の様なシリル基含有アクリル樹脂は、次の(1)〜(4)の単量体を共重合させることによって製造することが出来る。
【0047】(1)ビニル基含有アルコキシシラン(2)ビニル基含有ポリシロキサン(3)水酸基を有するメタクリル酸エステル及び/又はアクリル酸エステル(4)メタクリル酸エステル及び/又はアクリル酸エステル【0048】特に、本発明の組成物に最善のコーティング物性を付与するために、上記(1)〜(4)の化合物の共重合体製造時の使用割合は、ビニル基含有アルコキシシラン0.1〜20重量%、ビニル基含有ポリシロキサン0.1〜20重量%、水酸基を有するメタクリル酸エステル及び/又はアクリル酸エステル10〜30重量%、メタクリル酸エステル及び/又はアクリル酸エステル40〜80重量%であることが好ましい。
【0049】上記の(3)の具体例としては、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシブチル、アクリル酸ポリエチレングリコール、アクリル酸ポリプロピレングリコール、アクリル酸グリセロール、アクリル酸2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシペンチル、メタクリル酸ポリエチレングリコール、メタクリル酸ポリプロピレングリコール、メタクリル酸グリセロール等が挙げられる。
【0050】上記の(4)においてエステル基の炭素数は1〜12が好ましい。そして、これらの具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アリル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ビニル、メタクリル酸アリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベンジル等が挙げられる。
【0051】上記(1)〜(4)の単量体の共重合に際し、炭素数3以上の有機酸を単量体に混合して使用するのが好ましく、その使用割合は、単量体および有機酸の合計量に対する割合として0.1〜5重量%である。また、重合触媒には過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル等のラジカル開始剤が使用され、その使用割合は、全単量体の合計量に対する割合として、通常0.1〜3重量%、好ましくは0.2〜2重量%である。
【0052】共重合は、バルク重合、溶液重合の何れでもよいが、溶液重合が塗装のための配合工程に最も好ましい。溶液重合に使用する有機溶媒としてはアルコール類が挙げられ、その具体例として、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソアミルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。その他、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類を使用してもよい。アクリル樹脂の製造(共重合)は、通常、60〜150℃、2〜10時間の条件下で行われ、アクリル樹脂の分子量は3,000〜300,000であることが好ましい。
【0053】本発明の組成物には、現場塗装(常温)で速やかに硬化する造膜性を付与するため、通常、溶媒(又は分散媒)が配合される。斯かる溶媒としては、アルコール類、グリコール誘導体、炭化水素類、エステル類、ケトン類、エーテル類などが挙げられる。
【0054】アルコール類としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、nブタノール、イソブタノール、オクタノール等が挙げられ、グリコール誘導体としては、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−プロピルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル等が挙げられる。
【0055】炭化水素類としては、ベンゼン、ケロシン、トルエン、キシレン等が挙げられ、エステル類として、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等が挙げられ、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン等が挙げられ、エーテル類としては、エチルエーテル、ブチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジオキサン、フラン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0056】本発明においては、例えば、水−界面活性剤系の分散媒を使用することも出来る。界面活性剤としては、アニオン、カチオン又はノニオン性の界面活性剤が一般的である。
【0057】アニオン性界面活性剤としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩などが挙げられ、カチオン性界面活性剤としては、1〜3級アミンの有機酸または無機酸の塩、四級アンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩などが挙げられ、ノニオン性界面活性剤としては、ソルビタンジアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステルのエチレングリコール縮合物、脂肪族アルコールポリエチレングリコール縮合物、アルキルフェノールポリエチレングリコール縮合物、ポリプロピレングリコールポリエチレングリコール縮合物などが挙げられる。これらの界面活性剤は、水−界面活性剤系の分散媒中の割合として、通常0.1〜5重量%である。分散(乳化)は、適当量の水を使用し、ホモミキサー、コロイドミル、超音波などの公知の方法で行なうことが出来る。
【0058】本発明のケイ素成分およびフッ素成分含有組成物の最大の特徴は、塗膜またはフィルムとした際、その表面のXPS定量分析によるケイ素原子の濃度が2〜20原子%であり、フッ素原子の濃度が1〜60原子%である点にある。なお、塗膜またはフィルムの表面に現れる原子種としては、フッ素およびケイ素の他、炭素、酸素などが挙げられる。
【0059】XPS(XPS:X−ray Photoelectron Spectroscopy:エックス線光電子分光法)分析は、例えば、次の(1)及び(2)に示す様な装置および条件で行なうことが出来る。
【0060】(1)装置としてPHI社製「model5800」を使用し、その条件として入射X線に単色化AlKα線(150W、照射ビーム径:800μm)と電子中和銃を併用して測定する方法。
【0061】(2)装置としてPHI社製の「Quantum2000」を使用し、その条件として入射X線に単色化AlKα線(30.2W、照射ビーム径:150μm)と電子中和銃を併用して測定する方法。
【0062】本発明の組成物は、上記の条件を満足することにより、特に、−10℃〜−0.1℃の様な広範囲の温度領域における着雪氷防止効果を発揮する。斯かる効果は、従来の組成物では得られなかった驚くべき効果である。
【0063】すなわち、ケイ素原子の濃度が5原子%未満の場合は、撥水性が向上して水膜形成が困難となり滑雪性能が低下し、20原子%を超える場合は、水膜が形成し易くなり着雪し易くなり、しかも、膜が堅くなり割れ易くなる。フッ素原子の濃度が1原子%未満の場合は、水膜が成形し易くなって着雪し易くなり、60原子%を超える場合は、雪の融点(−3〜0℃)で超撥水性となって水膜形成が不十分となり、着雪し易く且つ滑雪し難くなる。
【0064】ケイ素原子の濃度は、好ましくは5〜20原子%であり、更に好ましくは10〜20原子%であり、特に好ましくは10〜15原子%である。フッ素原子のモル濃度は、好ましくは5〜40原子%、更に好ましくは10〜30原子%、特に好ましくは20〜30原子%である。
【0065】本発明の組成物においては、ケイ素原子に対するフッ素原子の原子比が0.1〜30であることが好ましい。斯かる原子比は、好ましくは0.5〜10、更に好ましくは1〜5である。上記の原子比が0.1未満の場合は、着雪氷防止能低下の傾向が強まり、30を超える場合は、水膜形成が困難となり、滑雪性が低下する傾向が強まる。
【0066】塗膜またはフィルムの表面が前記の条件を満足する本発明の組成物は、前記のA成分とB成分とを均一に混合することにより調製される。この際、前記のA成分100重量部(但しSiO2換算)に対し、前記のB成分は、通常0.1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部の割合で配合される。B成分の割合が0.1重量部未満での場合は、着雪氷防止効果が低く、100重量部を超える場合は、塗膜の強度、基材に対する付着性が低下する。
【0067】前記のアクリル樹脂を使用する場合、その使用割合は、ケイ素原子100重量部(但しSiO2換算)に対する割合として、通常20〜2,000重量部、好ましくは30〜1,000重量部、更に好ましくは50〜400重量部である。アクリル樹脂の配合量が少ない場合は、造膜後の塗膜にクラック発生する危険性があり、逆に多すぎる場合は、耐擦傷性、耐酸性雨性、耐汚染性が劣る。
【0068】また、前記の溶媒または分散媒を使用する場合、その使用割合は、全組成物中のケイ素原子(但しSiO2換算)の濃度を考慮して決定される。すなわち、全組成物中のケイ素原子(但しSiO2換算)の濃度は、通常0.05重量%以上、好ましくは0.1重量%以上とされる。ケイ素原子の濃度が0.05重量%未満の場合は、滑雪性および着雪氷防止効果の発現性が乏しくなる。通常、ケイ素原試qの濃度の上限は20重量%である。
【0069】本発明においては、水とアルコール等の溶媒を配合した組成物が推奨される。水の配合は、前記のA成分(Si(OR)4等)を加水分解してシラノール基を形成させ、親水性効果を増進させる効果がある。各成分の配合割合は次の通りである。すなわち、前記のA成分100重量部に対し、水は、通常1〜100重量部、好ましくは10〜50重量部、アルコール等の溶媒は、通常100〜5,000重量部、好ましくは500〜2,000重量部とされる。
【0070】本発明の組成物は、塗膜またはフィルムとした際、前記のA成分とB成分とが表面において相溶し、均一に分散している。従って、本発明の組成物は、屋外に暴露して雪氷との接触および摩擦を繰り返し受けた場合、上記の各成分の脱落、摩耗、減少などが起らず、効果の持続性が高い。
【0071】本発明の組成物は、各種の基材に塗布され着雪氷防止部材として使用される。基材としては、例えば、屋根、電線、電線用鉄塔、道路標識、船舶、航空機の機体、翼等、自動車や列車の車両、ガラス、ソーラーパネル、樹脂塗膜を有する屋外品などが挙げられる。また、本発明の組成物は、金属、ガラス、有機塗膜、樹脂成型品、各種の積層体(複合体)など任意の素材に適用することが出来、特に、積層体としては、合成樹脂シートの両面に金属シートを積層した複合体(例えば三菱化学産資株式会社の商品名「アルポリック」等)が好適に使用される。
【0072】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明すいるが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の例において、使用した試薬は次の通りである。
【0073】(1)A成分:テトラメトキシシランの部分加水分解縮合物であるポリメトキシポリシロキサン(三菱化学(株)製「MKCシリケートMS51」)
【0074】(2)B成分:フッ素含有シランカップリング剤(信越化学工業(株)製「KBM7803」:ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン)又はフッ素含有界面活性剤(旭硝子(株)製「サーフロンSC−101」)
【0075】(3)アクリル樹脂:メタクリル酸エステル共重合体(昭和高分子(株)製「A−52−40」)アクリル共重合体(日本合成化学工業(株)製「C−6880」)シリコーン変成アクリル樹脂(チッソ(株)製「SCT−8101」)
【0076】(4)混合溶剤(A):工業用エタノール33.2重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート34.0重量部、キシレン13.3重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル13.3重量部、イソプロピルアルコール6.2重量部(合計100.0重量部)から成る混合溶剤【0077】(5)混合溶剤(B):工業用メタノール33.0重量部、アセト酢酸メチル34.0重量部、メチルイソブチルケトン13.0重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル13.0重量部、イソプロピルアルコール7.0重量部(合計100.0重量部)から成る混合溶剤【0078】(6)有機金属触媒:アセチルアセトンアルミニウム【0079】また、以下の例で採用したXPS定量分析法および実暴露試験方法は次の通りである。
【0080】<XPS定量分析法>実施例1及び比較例1については、明細書の本文に記載した(1)の方法を採用し、実施例2〜12については、明細書の本文に記載した(2)の方法を採用した。
【0081】<天然雪に対する暴露試験方法>北海道工業試験所内にある暴露台に試験塗膜を水平から45゜の角度をつけて設置し、試験塗膜上における冠雪量の程度(冠雪の面積割合)を目視観察し、雪無しの場合を「0」、全面冠雪の場合を「10」とする11段階で評価した。
【0082】<人工雪に対する暴露試験方法>人工降雪室内にある暴露台に試験塗膜を水平から45゜の角度をつけて設置し、人工降雪機により、気温−10℃(塗膜表面温度)、降雪速度2.5cm/hrの条件で新雪相当(密度0.15g/ml)の雪を降らせ、試験塗膜上における冠雪量の程度(冠雪の面積割合)を目視観察し、雪無しの場合を「0」、全面冠雪の場合を「10」とする11段階で評価した。
【0083】実施例1混合溶剤(A)45.2重量部、ポリメトキシポリシロキサン3.4重量部、イオン交換水1.0重量部、有機金属触媒0.3重量部を室温にて撹拌して十分に混合し、65℃にて2時間熟成した。その後、40℃まで冷却した後、混合溶剤(A)45.2重量部、フッ素含有シランカップリング剤0.5重量部、メタクリル酸エステル共重合体3.6重量部を逐次添加して塗布液(1)を得た。次いで、アルミ板に塗布液(1)を乾燥厚さが2μmとなる様に均一に塗布し、室温で7日間乾燥させて硬化させた。そして、2001年2月24日から3月8日までの間、天然雪に対する暴露試験を行った。表1及び表2に塗膜のXPS定量分析の結果および天然雪に対する暴露試験の結果を示す。
【0084】比較例1実施例1において、フッ素含有シランカップリング剤0.5重量部の代わりに、フッ素含有界面活性剤1.67重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして塗布液(2)を得た。そして、実施例1と同様に天然雪に対する暴露試験を行なった。表1及び表2に塗膜のXPS定量分析の結果および天然雪に対する暴露試験の結果を示す。
【0085】
【表1】

【0086】
【表2】

【0087】天然雪に対する暴露試験の結果から次のことが考察された。すなわち、−7℃付近での着氷雪防止効果は明らかに実施例1が優れており、試験板には降雪時にも積雪せず、着雪氷防止効果が優れていた。一方、−3℃付近での滑雪性能は実施例と比較例で顕著な差は見られなかった。以上のことから、本発明の組成物を使用した場合、滑雪性も有し、降雪時の着雪氷も防止でき、滑雪性と着雪氷防止性を両立できることが分かる。
【0088】実施例2〜7混合溶剤(B)56.68重量部、ポリメトキシポリシロキサン30.77重量部、有機金属触媒のメタノール溶液(濃度5重量%)6.15重量部を室温にて撹拌して十分に混合した。次いで、イオン交換水6.5重量部を添加して5分撹拌した後、60℃で2時間撹拌を続行した。その後、表3に記載のアクリル樹脂を同表に示す量添加し、60℃で2時間撹拌を続行した。次いで、表3に記載のフッ素含有化合物を同表に示す量添加し、60℃で2時間撹拌を続行した。次いで、室温まで冷却した後、表3に示す量の混合溶剤(B)(希釈用)を添加して塗布液を得た。次いで、アルミ板に塗布液を乾燥厚さが2μmとなる様に均一に塗布し、室温で7日間乾燥させて硬化させた。そして、人工雪に対する暴露試験を行った。表3に暴露試験前の塗膜のXPS定量分析の結果および人工雪に対する暴露試験の結果を示す。
【0089】実施例8実施例2において、表4に記載の試薬を同表に示す量で使用したこと以外は、実施例2と同様にして塗布液を得、人工雪に対する暴露試験を行った。表4に暴露試験前の塗膜のXPS定量分析の結果および人工雪に対する暴露試験の結果を示す。
【0090】実施例9実施例2において、アクリル樹脂とフッ素含有化合物の添加順序を逆にしたこと以外は、実施例2と同様にして塗布液を得、人工雪に対する暴露試験を行った。表4に暴露試験前の塗膜のXPS定量分析の結果および人工雪に対する暴露試験の結果を示す。
【0091】実施例10〜12実施例2において、希釈用混合溶剤(B)の添加後に表4に示す量のフッ素含有界面活性剤を添加して室温で1時間撹拌したこと以外は、実施例2と同様にして塗布液を得、人工雪に対する暴露試験を行った。表4に暴露試験前の塗膜のXPS定量分析の結果および人工雪に対する暴露試験の結果を示す。ただし、実施例11及び12においては、フッ素含有シランカプリング剤および希釈用混合溶剤(B)の使用量を表4に示す様に変更した。
【0092】
【表3】

【0093】
【表4】

【0094】
【発明の効果】本発明により、降雪時および低温時の着雪氷防止効果と昇温時の滑雪性能を兼ね備えた組成物が提供され、本発明の工業的価値は顕著である。
【出願人】 【識別番号】592179849
【氏名又は名称】大日本色材工業株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区神田神保町3丁目7番地1号 ニュー九段ビル
【識別番号】000005968
【氏名又は名称】三菱化学株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目5番2号
【出願日】 平成14年8月12日(2002.8.12)
【代理人】 【識別番号】100097928
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 数彦
【公開番号】 特開2003−155410(P2003−155410A)
【公開日】 平成15年5月30日(2003.5.30)
【出願番号】 特願2002−234704(P2002−234704)