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【発明の名称】 手切れ性に優れたポリエステルフィルム
【発明者】 【氏名】南條 一成
【住所又は居所】京都府宇治市宇治樋ノ尻31−3 ユニチカ株式会社宇治プラスチック工場内

【氏名】松田 常俊
【住所又は居所】京都府宇治市宇治樋ノ尻31−3 ユニチカ株式会社宇治プラスチック工場内

【氏名】岸田 稔
【住所又は居所】京都府宇治市宇治樋ノ尻31−3 ユニチカ株式会社宇治プラスチック工場内

【要約】 【課題】手切れ性に優れたポリエステルフィルムを提供する。

【解決手段】ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)との混合物からなるポリエステルフィルムであって、ポリエステル樹脂(A)の酸成分が主としてテレフタル酸、ジオール成分が主としてエチレングリコールであり、ポリエステル樹脂(B)の酸成分が主としてテレフタル酸であり、ジオール成分としてシクロヘキサンジメタノールを含有し、ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)との質量比A/Bが、95/5〜30/70であるポリエステルフィルム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)との混合物からなるポリエステルフィルムであって、ポリエステル樹脂(A)の酸成分が主としてテレフタル酸、ジオール成分が主としてエチレングリコールであり、ポリエステル樹脂(B)の酸成分が主としてテレフタル酸であり、ジオール成分としてシクロヘキサンジメタノールを含有し、ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)との質量比A/Bが、95/5〜30/70であることを特徴とする手切れ性に優れたポリエステルフィルム。
【請求項2】 ポリエステル樹脂(A)の酸成分が、主としてテレフタル酸とトリメリット酸0.5〜3.0モル%とからなることを特徴とする請求項1記載の手切れ性に優れたポリエステルフィルム。
【請求項3】 端裂抵抗が100N以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の手切れ性に優れたポリエステルフィルム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品をはじめとして、医薬品、日用品、コスメティックスなどの包装材料として有用な、手切れ性に優れたポリエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】二軸延伸ポリエステルフィルムは耐久性、防湿性、力学的強度、耐熱性、耐油性が優れており、チューブラー法、フラット式同時二軸延伸法、フラット式逐次二軸延伸法などを用いて製造した二軸延伸ポリエステルフィルムが、食品包装分野などにおいて幅広く使用されている。しかし、ポリエステルフィルムは、力学的強度が高いため、手で容易に引裂くことはできない。手切れ性に優れたフィルムとしてセロハンが知られているが、セロハンは吸湿性が高く、寸法安定性に欠け、取り扱いが面倒である。
【0003】手で引裂くためにフィルムにノッチを付与する方法があるが、ノッチからの引裂きに失敗した場合には、はさみなどの道具を用いる必要があり、また、ノッチ以外の場所から引裂くことはできず、ノッチを付与して開封する方法は、自由度が低いものであった。
【0004】ポリエステルフィルムの手切れ性を改良する方法として、微細孔を開ける方法(特開平7−165256号公報)、多官能モノマーを共重合し架橋させる方法(特開平2−47038号公報)、低融点層を持つ複層フィルムを用いる方法(特開平5−104618公報)が開示されているが、コストがかかったり、十分な手切れ性ではなかったり、生産性に難があったりするなどの問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記問題を解決し、手切れ性に優れたポリエステルフィルムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究を重ねたところ、ポリエチレンテレフタレート(PET)と特定のポリエステルを混合することにより、これらを解決しうることを見出し本発明に至った。即ち、本発明は、ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)との混合物からなるポリエステルフィルムであって、ポリエステル樹脂(A)の酸成分が主としてテレフタル酸、ジオール成分が主としてエチレングリコールであり、ポリエステル樹脂(B)の酸成分が主としてテレフタル酸であり、ジオール成分としてシクロヘキサンジメタノールを含有し、ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)との質量比A/Bが、95/5〜30/70であることを特徴とする手切れ性に優れたポリエステルフィルムに関するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明する。本発明において、ポリエステル樹脂(A)として、ポリエチレンテレフタレート(PET)が好適に用いられ、通常5モル%以下の割合で他成分を共重合して用いることができる。共重合成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などのジカルボン酸が、また、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトン、乳酸などのオキシカルボン酸が、さらに、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−へキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAやビスフェノールSのエチレンオキシド付加体などのグリコールがあげられる。また、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの多官能化合物を少量共重合してもよく、トリメリット酸を0.5〜3.0モル%共重合して用いることが好ましい。
【0008】本発明において、ポリエステル樹脂(B)は、ジオール成分としてシクロヘキサンジメタノールを含有することが必要で、その含有量は、ジオール成分の5〜100モル%が好ましく、さらに20〜100モル%、特に30〜100モル%が好ましい。シクロヘキサンジメタノールはどのような異性体を用いてもよいが、1,4−置換体が好ましく、なかでもシス体とトランス体の混合物がさらに好ましい。共重合されるジオールは通常エチレングリコールであるが、本発明の効果を損ねない範囲で、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−へキサンジオール、ビスフェノールAやビスフェノールSのエチレンオキシド付加体などのグリコールを用いてもよい。また、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの多官能化合物を少量用いてもよい。
【0009】ポリエステル樹脂(B)の酸成分は通常テレフタル酸であるが、本発明の効果を損ねない範囲で、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などのジカルボン酸や、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトン、乳酸などのオキシカルボン酸を共重合することができる。また、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの多官能化合物を少量共重合してもよい。
【0010】本発明において、ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)は、質量比A/Bを、95/5〜30/70、好ましくは95/5〜50/50、さらに好ましくは90/10〜60/40として混合することが必要である。ポリエステル樹脂(A)の比率が95質量%を超えると、手引裂き性が発現しない。また、ポリエステル樹脂(A)の比率が30質量%未満の場合、手引裂き性の効果が飽和し、コストがあがるため好ましくない。また混合物には、本発明の効果を損なわない範囲で、他のポリエステルやポリアミド、スリップ剤などの各種添加剤を含有してもよい。
【0011】本発明のポリエステルフィルムには、コロナ放電処理、表面効果処理、メッキ処理、着色処理、あるいは各種コーティング処理による表面処理を付与することができる。
【0012】本発明のポリエステルフィルムは端裂抵抗が100N以下であることが好ましい。端裂抵抗が100Nを超えると、手で引裂くことが困難になる。
【0013】次に本発明のフィルムの製造方法の一例を挙げる。ポリエステル樹脂(A)とポリエステル樹脂(B)をチップ状で混合したものを押出機に投入し、加熱溶融した後、Tダイのダイオリフィスからシート状に押出し吐出する。但し、ポリエステル樹脂(B)が非晶性である場合にはあらかじめ二軸押出機にてポリエステル樹脂(A)と溶融混練し、結晶化しておくことが好ましい。
【0014】ダイオリフィスから吐出された軟化状態にあるシートは、冷却ドラムに密着して巻きつけられて冷却される。続いて、得られた未延伸シートを90〜140℃の温度で、通常、縦横それぞれ3.0〜5.0倍の延伸倍率で二軸延伸する。延伸温度が90℃未満であると均質な延伸フィルムを得ることができない場合があり、140℃を超えると、ポリエステル(A)の結晶化が促進されて透明性が悪くなる場合がある。また、延伸倍率が3.0倍未満であると強度が小さく、袋にしたときにピンホールが発生しやすく、5.0倍を超えると延伸が困難になる。
【0015】二軸延伸されたフィルムは、続いて、200〜250℃の温度で熱処理される。熱処理温度が200℃より低いとフィルムの収縮率が大きくなり、袋が変形する原因となる場合があり、また、250℃より高いとフィルムが溶断する場合がある。なお、二軸延伸方法としては、テンター同時二軸延伸法、ロールとテンターによる逐次二軸延伸方法、あるいはチューブラー法のいずれでもよい。
【0016】本発明のフィルムの厚みは6μm以上、50μm以下であることが望ましい。厚みが6μmより小さいと強度が低下し、印刷や製袋の工程でフィルムにシワやタルミが生じたり、切断が発生しやすくなる。厚みが50μmより大きい場合は手切れ性が低下し、また経済的に不利である。
【0017】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。なお、実施例及び比較例の評価に用いた原料及び測定方法は、次の通りである。
〔原料〕
PET:ユニチカ社製 相対粘度1.38。
PETG:イーストマンケミカル社製 EASTAR 6763。
PCTA:イーストマンケミカル社製 EASTAR AN001。
PCTG:1,4−シクロヘキサンジメタノールとエチレングリコール(モル比7:3)およびテレフタル酸をエステル化槽に仕込み、240℃で4時間反応させ、エステル化物を得た。次に、三酸化アンチモン触媒下、1.3hPaの減圧下、300℃で溶融重合し、相対粘度1.4のポリエステル樹脂PCTGを得た。
PCT:1,4−シクロヘキサンジメタノールとテレフタル酸をエステル化槽に仕込み、240℃で4時間反応させ、エステル化物を得た。次に、三酸化アンチモン触媒下、1.3hPaの減圧下、300℃で溶融重合し、相対粘度1.4のポリエステル樹脂PCTを得た。
AP:グリコール成分としてエチレングリコールと、酸成分としてテレフタル酸及び共重合比1モル%のトリメリット酸、共重合比5モル%のイソフタル酸をエステル化槽に仕込み、240℃で4時間反応させ、エステル化物を得た。次に、三酸化アンチモン触媒下、1.3hPaの減圧下、300℃で溶融重合し、相対粘度1.36、融点232℃のポリエステル樹脂APを得た。
【0018】〔端裂抵抗の測定〕端裂抵抗は、JIS C 2318 6.3.4項に準じて測定し、平均値を示した。
【0019】実施例1PETとPETGを、PET/PETG=90/10(質量比)の割合でチップ混合したものを、コートハンガータイプのTダイを具備した50mmφ押出機を使用して、滞留時間5分、樹脂温度270℃で溶融押出し、20℃に温調されたキャストロールにピニングワイヤーに7kVの印加電圧をかけて密着急冷し、厚さ210μmの未延伸シートを得た。得られた未延伸シートをロール縦延伸機で90℃で3.8倍、テンター横延伸機で120℃で4.6倍に延伸した後、横方向の弛緩率を5%として、230℃で熱処理を施し、室温まで徐冷し、厚さ12μmのフィルムを得た。得られたフィルムは手切れ性が見られた。端裂抵抗を測定し結果を表1に示した。
【0020】実施例2〜4ポリエステル樹脂(B)を表1のように変更し、実施例3、4においては樹脂温度を300℃に変更した以外は実施例1と同様に行った。得られたフィルムはいずれも手切れ性が見られた。端裂抵抗を測定し結果を表1に示した。
【0021】実施例5PETとPETGを、PET/PETG=60/40(質量比)の割合でチップ混合したものを二軸押出機で溶融混練した後、チップ化したものを使用した以外は実施例1と同様に行った。得られたフィルムは手切れ性が見られた。端裂抵抗を測定し結果を表1に示した。
【0022】実施例6ポリエステル樹脂(A)を表1のように変更した以外は実施例1と同様に行った。得られたフィルムは手切れ性が見られた。端裂抵抗を測定し結果を表1に示した。
【0023】比較例1PETのみを用いて実施例1と同様にフィルムを製造した。得られたフィルムは手切れ性がなく、手で引裂くことはできなかった。端裂抵抗を測定し結果を表1に示した。
【0024】
【表1】

【0025】
【発明の効果】本発明によれば、食品をはじめとして、医薬品、日用品、コスメティックスなどの包装材料として有用な手切れ性に優れたフィルムを提供できる。
【出願人】 【識別番号】000004503
【氏名又は名称】ユニチカ株式会社
【住所又は居所】兵庫県尼崎市東本町1丁目50番地
【出願日】 平成13年11月22日(2001.11.22)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−155403(P2003−155403A)
【公開日】 平成15年5月30日(2003.5.30)
【出願番号】 特願2001−357817(P2001−357817)