トップ :: C 化学 冶金 :: C08 有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物




【発明の名称】 樹脂成形物およびその製造方法
【発明者】 【氏名】大西 章
【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内

【要約】 【課題】特に再生樹脂において、異物粒子の混入による物性の低下を防止し、樹脂の品質を向上させ得る樹脂成形物およびその製造方法を提供する。

【解決手段】本発明にかかる樹脂成形物10は、樹脂層11中に形成される異物内封気泡12中に、異物粒子20を完全封入してなっている。これによって、樹脂層11中の樹脂の欠損個所に対する応力集中を抑制することができるので、異物粒子20が混入し易い樹脂のリサイクル用途に本発明を好適に用いることができる。また、上記樹脂として、熱可塑性樹脂を用いると、異物内封気泡12の形成やリサイクルが容易となるため好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】樹脂層中に形成される独立気泡中に、異物粒子を完全封入してなることを特徴とする樹脂成形物。
【請求項2】上記樹脂層を形成するための原料として、少なくとも、再生樹脂が用いられることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形物。
【請求項3】上記樹脂層を形成する樹脂として、熱可塑性樹脂が用いられることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂成形物。
【請求項4】異物粒子を含む樹脂材料に発泡剤を加える発泡剤添加工程と、樹脂材料を溶融させた上で、上記発泡剤および異物粒子を溶融した樹脂材料中に分散させるとともに、発泡剤を発泡させて、異物粒子を核として気泡を形成する樹脂材料溶融発泡工程と、異物粒子を完全に包含するまで気泡を成長させる気泡成長工程とを有することを特徴とする樹脂成形物の製造方法。
【請求項5】上記樹脂材料として、少なくとも、再生樹脂を用いることを特徴とする請求項4に記載の樹脂成形物の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂成形物およびその製造方法に関するものであり、特に、樹脂を再利用する際に混入する異物粒子による影響を有効に回避し、再生樹脂の品質を向上させ得る樹脂成形物およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、排出されるゴミの増大に対応すべく、循環型社会の実現を目指して、使用済みの工業製品に用いられている各種材料を再利用するマテリアルリサイクル技術の開発が進められている。特に、工業製品として非常に大きな比率を占める電子機器・電器製品においては、ケーシングや各種部品の材料として合成樹脂(プラスチックス)が広く用いられている。そのため、この合成樹脂(以下、単に樹脂とする)を再利用する技術の開発が進められている。
【0003】特に、上記樹脂は、自然に分解されることはほとんどなく、それゆえ廃棄されて放置された場合には、自然環境に継続的に大きな悪影響を及ぼすことが指摘されている。また、上記樹脂を焼却処分しようとすると、通常の可燃性廃棄物に比べて高温で燃焼するため、焼却炉を損傷することになるという問題点を生じる。さらに、上記樹脂を比較的低温で焼却した場合、ダイオキシンに代表される極めて毒性の高い化合物を副生することが、非常に大きな社会問題となっている。それゆえ、上記樹脂を有効に再利用する技術が広く期待されている。
【0004】ここで、樹脂の再利用においては、通常、一度使用された工業製品を回収して解体し、同じ種類の樹脂からなる部品等を収集してこれを原料とし、これを再加工することで再生樹脂を得るようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記再生樹脂は、同一の種類であっても、未だ再利用されていない新樹脂に比べるとその物性が低下する傾向にあるという問題点を生じる。中でも、特に引張り伸びの低下が著しい。
【0006】再生樹脂において引張り伸びが著しく低下する原因は、樹脂内部に異物粒子が混入するためである。すなわち、再生樹脂からなる樹脂成形物に外部から引張り応力を加えると、該樹脂成形物の内部に含まれている上記異物粒子が内部ノッチとなって応力集中を引き起こす。その結果、異物粒子を起点として樹脂成形物が破断する。
【0007】上記再生樹脂の原料は、使用済みの工業製品から回収される部品等であるため、同じ種類の樹脂からなる部品等を回収したとしても、他種類の樹脂や金属、ガラスなどの他の材質が混入してしまう。また、工業製品を廃棄する過程では、土や砂などの混入も避けられない。
【0008】ここで、大きな異物については分別することで容易に除去可能であり、比較的小さな異物についても、再生樹脂の原料となる回収部品等を水などの溶媒で洗浄することで除去可能となる。しかしながら、小さな異物の中でも、特に小さな異物、具体的には、最大径が約1mm未満となる異物粒子については、洗浄では容易に除去することができない。
【0009】つまり、小さな異物のうち、最大径が約1mm以上となるものについては、簡単な洗浄で容易に除去できるが、約1mm未満となる異物粒子を除去するためには、より厳密な洗浄が必要となる。そのため、異物粒子を確実に除去しようとすると、樹脂を再利用するための前段階で、より多量の溶媒や労力を要することになる。その結果、樹脂のリサイクルコストを増加させることになるとともに、水などの溶媒を大量に使用するので環境に対する負荷も大きくなる。
【0010】したがって、樹脂の再利用において、異物粒子を洗浄により完全に除去することは、現状では事実上不可能となっており、それゆえ、再生樹脂の品質が大幅に低下するという問題点を防止することも困難となっていた。
【0011】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、異物粒子の混入による樹脂の物性の低下を防止し、樹脂の品質を向上させ得る樹脂成形物およびその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる樹脂成形物は、上記の課題を解決するために、樹脂層中に形成される独立気泡中に、異物粒子を完全封入してなることを特徴としている。
【0013】上記構成によれば、樹脂層中で樹脂の欠損個所となる異物粒子を、略球状の気泡で完全に封入することになる。そのため、異物粒子がいびつな外形を有していても、該異物粒子を封入している気泡が略球状であるため、樹脂の欠損個所での応力集中を大幅に抑制することができる。それゆえ、樹脂成形物に外力を加えて変形させても、破断に至るまでの亀裂発生を回避することが可能となる。特に、樹脂成形物における引張り破断伸びの低下を確実に抑制することができる。
【0014】その結果、製造過程で異物粒子が混入しても、その影響を大幅に低減することができるとともに、異物粒子の混入を回避し得ない樹脂材料を成形用の原料として有効に再利用することもできる。
【0015】本発明にかかる樹脂成形物は、上記構成に加えて、上記樹脂層を形成するための原料として、少なくとも、再生樹脂が用いられることを特徴としている。
【0016】上記構成によれば、異物粒子の混入し易い樹脂を原料として利用する用途に本発明を好適に利用することができるので、特に、異物粒子が混入し易い再生樹脂を原料として樹脂成形物を製造する用途、すなわち樹脂をリサイクルする用途に、本発明を好適に用いることができる。
【0017】本発明にかかる樹脂成形物は、上記構成に加えて、上記樹脂層を形成する樹脂として、熱可塑性樹脂が用いられることを特徴としている。
【0018】上記構成によれば、樹脂材料が熱可塑性を有していると、加熱処理による溶融が容易となるので、発泡剤の添加によって上記独立気泡を形成し易くすることができる。また、熱可塑性樹脂は単に加熱処理するのみで溶融できるので、熱硬化性樹脂に比べて樹脂の再利用がより一層容易となる。
【0019】本発明にかかる樹脂成形物の製造方法は、上記の課題を解決するために、異物粒子を含む樹脂材料に発泡剤を加える発泡剤添加工程と、樹脂材料を溶融させた上で、上記発泡剤および異物粒子を溶融した樹脂材料中に分散させるとともに、発泡剤を発泡させて、異物粒子を核として気泡を形成する樹脂材料溶融発泡工程と、異物粒子を完全に包含するまで気泡を成長させる気泡成長工程とを有することを特徴としている。
【0020】上記方法によれば、原料となる樹脂材料に発泡剤を添加するので、異物粒子を発泡核として気泡が発生し易くなる上に、緩やかな発泡によって、気泡を成長させるので、異物粒子を球状の気泡で完全に包含することができる。そのため、異物粒子の存在により、樹脂層中に樹脂の欠損個所が生じても、応力集中を回避することが可能となり、得られる樹脂成形物の物性の低下を有効に回避することができる。その結果、製造過程で異物粒子が混入しても、その影響を大幅に低減することができるとともに、異物粒子の混入を回避し得ない樹脂材料を成形用の原料として有効に再利用することもできる。
【0021】本発明にかかる樹脂成形物の製造方法は、上記方法において、上記樹脂材料として、少なくとも、再生樹脂を用いることを特徴としている。
【0022】上記方法によれば、異物粒子の混入し易い樹脂を原料として利用する用途に本発明を好適に利用することができるので、特に、異物粒子が混入し易い再生樹脂を原料として樹脂成形物を製造する用途、すなわち樹脂をリサイクルする用途に、本発明を好適に用いることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態について図1ないし図4に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
【0024】本発明は、樹脂材料に混入する微細で不規則な形状を有する異物(異物粒子)を、略球状の空洞(気泡)に包含することで、樹脂成形物、特に、再生樹脂を用いて成形される樹脂成形物において、異物に応力が集中することを緩和し、異物の混入による引張り破断伸び(引張り試験を行って、破断に至るまでに伸びる割合)の低下を防止して、該樹脂成形物の品質の低下を低減するものである。
【0025】具体的には、本発明にかかる樹脂成形物10は、図1の模式図に示すように、樹脂層11と、樹脂層11中に形成され、内部に異物粒子20を完全封入してなる異物内封気泡(独立気泡)12とを有している。つまり、上記樹脂成形物10は、樹脂層11の内部に異物内封気泡12を含んでおり、さらにこの異物内封気泡12の内部には、異物粒子20が包含されている構成を有している。
【0026】上記樹脂層11となる樹脂材料、すなわち樹脂層11を形成するための原料としては特に限定されるものではないが、本発明においては、少なくとも、再生樹脂が用いられることが非常に好ましい。
【0027】上記再生樹脂とは、本発明においては、少なくとも一度成形された樹脂材料を指すものとする。具体的には、たとえば、一度成形されて使用された樹脂成形物の廃棄物、成形時に生じる不良成形物だけでなく、成形時に生ずる「成形物」以外のスプル・ランナ・ゲート部他の余分な部分といった樹脂屑なども含むものとする。
【0028】さらに、上記樹脂材料(好ましくは再生樹脂)として用いられる具体的な樹脂は、熱可塑性樹脂を非常に好ましく用いることができる。これは、本発明では、樹脂層11中で上記異物内封気泡12を発生させる必要があるが、上記再生樹脂として熱可塑性樹脂を用いる場合、後述する発泡剤を樹脂材料に添加して溶融混合するのみで、容易に上記異物内封気泡12を形成できるためである。
【0029】上記熱可塑性樹脂としては、加熱により溶融することが可能な樹脂であれば特に限定されるものではない。具体的には、たとえば、ポリエチレン(PE)、塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、メタクリル樹脂(PMMA)、AS樹脂(AS)、ABS樹脂(ABS)、塩化ビニリデン樹脂(PVdC)、酢酸ビニル樹脂(PVAc)、ポリビニルアルコール(PVA)等の汎用性プラスチック;ポリアミド(PA・ナイロン)、ポリカーボネート(PA)、ポリアセタール(POM)、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂、ポリスルホン(PSF)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、フッ素樹脂等のエンジニアリングプラスチック;などの各種プラスチックを挙げることができる。
【0030】なお、上記の例では、たとえばPEのような単一重合体の樹脂名を挙げているが、このPEには、もちろん、エチレンモノマーを主体として、他の種類のモノマーを共重合してなるエチレン共重合体が含まれるものとする。つまり、上記の例では、説明の便宜上、単一重合体名を挙げているものの、本実施の形態では、これに共重合体も含まれているものとする。
【0031】上記樹脂成形物10における樹脂層11内には、少なくとも異物内封気泡12が形成されているが、この異物内封気泡12内に封入されている異物粒子20は、本発明にかかる樹脂成形物10の原料に含まれ、分離・除去することが困難または煩雑な粒子状の異物を指すものとする。
【0032】上記異物とは、樹脂層を構成する特定の種類の樹脂以外の他の材質を指し、たとえばポリプロピレン(PP)から樹脂成形物を成形した場合には、PP以外の材質からなるものは全て異物となる。より具体的には、たとえば使用済みの工業製品から同じ種類の樹脂からなる部品等を回収して樹脂材料とする場合には、他種類の樹脂や金属、ガラス等が混入する可能性を回避することはできない。また、工業製品を廃棄する過程で土や砂なども混入する。したがって、これら他種類の樹脂、金属、ガラス、土砂などが異物となる。
【0033】ここで、樹脂のリサイクルにおいては、部品等の回収の過程で、大きな異物については分別されて除去される。また、他種類の樹脂や金属の破片、小石程度の大きさの土砂等、比較的小さな異物は、上記部品等を水などの溶媒で洗浄することで除去できる。しかしながら、上記小さな異物の中でも、特に、最大径が約1mm未満となる異物粒子については、洗浄では容易に除去できない。そのため異物粒子を確実に除去しようとすると、樹脂を再利用するための前段階で、より多量の溶媒や労力を要することになる。その結果、樹脂のリサイクルコストを増加させることになるとともに、水などの溶媒を大量に使用するので環境に対する負荷も大きくなる。
【0034】つまり、再生樹脂を回収する過程では、他種類の樹脂、金属、ガラス、土砂などの異物が混入するが、これら異物をその大きさで分類すると、容易に分別可能な大きな異物である「大異物」と、水洗などの洗浄で容易に除去可能な小さな異物である「小異物」と、上記洗浄でも容易に除去できない非常に小さな異物である「異物粒子」とに分けることができる。上記小異物と異物粒子との間に、大きさについての明確な境界を設けることは困難であるが、水洗の結果を基準にした場合、通常、最大径が約1mm以上の異物は容易に除去できるが、約1mm未満の異物の除去は困難となる傾向にある。
【0035】そこで、本発明においては、最大径が約1mm未満となる異物を上記異物粒子20と規定し、これを、従来のようにより厳密な洗浄によって除去するのではなく、逆に混入することが当然であると見なし、異物内封気泡12で完全に封入することで、樹脂成形物10の物性の低下を回避する。
【0036】上記異物内封気泡12は、異物粒子20を完全に封入するような略球状の独立した気泡(独立気泡)となっていれば、その他の具体的な構成は特に限定されるものではない。後述するように、本発明では、樹脂材料に発泡剤を添加して、樹脂材料を溶融させた上で発泡剤の発泡により異物内封気泡12を形成するので、該異物内封気泡12は、必然的に略球状となる。
【0037】本発明にかかる樹脂成形物10の製造方法としては、上記異物粒子20を完全に封入する上記異物内封気泡12を形成できるような方法であれば特に限定されるものではないが、好ましくは、次に示すように、発泡剤添加工程、樹脂材料溶融発泡工程、および気泡成長工程の3工程を少なくとも含む方法を挙げることができる。
【0038】具体的には、本発明では、樹脂材料として、上述したように、再生樹脂を使うことが非常に好ましいため、原料となる樹脂材料に異物粒子20が必ず含まれていることになる。そこで、この異物粒子20を封入する異物内封気泡12を形成するために、発泡剤添加工程として、異物粒子20を含む樹脂材料に発泡剤を加える工程を実施する。
【0039】上記発泡剤としては特に限定されるものではないが、具体的には、分解性発泡剤を好ましく用いることができる。この分解性発泡剤としては、たとえば、炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウムなどの無機化合物系;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、アゾヘキサヒドロベンゾニトリル、アゾジカルボンアミド、ジアゾアミノベンゼンなどのアゾ化合物;ベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド、ジフェニルオキシド−4,4’−ジスルホニルヒドラジドなどのスルホニルヒドラジド化合物;N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジニトロソ−N,N’−ジメチルテレフタルアミドなどのニトロソ化合物;テレフタルアジド、p−tert−ブチルベンズアジドなどのアジド化合物;等を挙げることができる。
【0040】上記発泡剤の添加量としては、特に限定されるものではない。すなわち、上記発泡剤の添加量は、上記異物内封気泡12を確実に形成できる程度の量であればよく、少なくとも、樹脂材料中に混入している異物粒子20の量に基づいて適宜設定されるものである。その他、樹脂材料の種類や成形条件等も添加量を設定するための要因として用いることもできる。
【0041】上記発泡剤の添加量が少な過ぎると、発生した気泡が異物粒子20を包含しきれなくなり、部分的に異物粒子20を覆うような「中途半端な」異物内封気泡12しか形成し得ないため好ましくない。
【0042】一方、上記発泡剤の添加量が多過ぎると、急激な発泡を招くため、気泡が大きく成長し過ぎてしまい、一般的な「発泡成形物」と同じレベルまで発泡してしまうので好ましくない。また、上記発泡剤としては揮発性発泡剤を用いることも可能であるが、この揮発性発泡剤は発泡効率がよいために、やはり急激な発泡を招くため好ましくない。
【0043】なお、本発明にかかる製造方法においては、上記発泡剤以外に、その他の添加剤が加えられていてもよい。具体的には、たとえば、着色剤、難燃剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、帯電防止剤等の樹脂成形物10に各種特性を付与する添加剤や、離型剤、増粘剤、可塑剤、チクソ付与剤等の溶融した樹脂材料に各種特性を付与する添加剤を挙げることができる。これら添加剤は、上記発泡剤による異物内封気泡12の形成に悪影響を及ぼさなければ、その添加量等については特に限定されるものではない。また、添加のタイミングも特に限定されるものではないが、通常は、発泡剤添加工程で発泡剤と同時に添加すればよい。
【0044】次に、樹脂材料溶融発泡工程として、少なくとも上記発泡剤が加えられた樹脂材料を溶融させた上で、上記発泡剤および異物粒子20を溶融した樹脂材料中に分散させるとともに、発泡剤を発泡させて、上記異物粒子20を核として気泡を形成する工程を実施する。
【0045】上記樹脂材料中には、樹脂材料以外に、異物粒子20と発泡剤とが含まれていると見なすことができる。ここで、本発明では、異物粒子20を核として気泡を形成させる必要があるので、異物粒子20と発泡剤とは、溶融した樹脂材料中で十分均一に混合されている必要がある。すなわち、異物粒子20または発泡剤が樹脂材料中に偏在していると、異物粒子20を核として気泡を形成させることができなくなる。それゆえ、上記樹脂材料溶融発泡工程では、十分な混合がなされることが非常に好ましいとともに、上記発泡剤としては、樹脂材料の種類に応じて、容易に分散または溶解するものを適宜選択することが非常に好ましい。
【0046】上記樹脂材料の混合条件としては、特に限定されるものではなく、樹脂成形用の従来公知の溶融混練機を用いれば、発泡剤および異物粒子20を十分に分散させることができる。また、上記発泡剤の発泡条件についても、発泡剤の種類に応じて適宜設定されるものであって、特に限定されるものではない。分解性発泡剤は、加熱により分解するものがほとんどであるので、発泡条件についても、上記分解温度に合わせた温度となるように加熱処理する条件を設定すればよい。
【0047】その後、気泡成長工程として、発生した気泡を、異物粒子20を完全に包含するまで成長させる工程を実施する。換言すれば、気泡の成長とは、発泡剤による発泡をある程度継続させることになるので、通常、上記発泡条件(加熱処理)を所定時間維持すればよい。
【0048】上記気泡成長工程について、より具体的に説明する。すなわち、まず、前段の樹脂材料溶融発泡工程では、樹脂材料が溶融されるため、原料に異物粒子20が混入していると、図2(a)に示すように、溶融した樹脂材料(以下、溶融樹脂とする)13は異物粒子20を取り囲むように充填される。その後、加熱等による発泡剤の分解によって溶融樹脂13内でガス(たとえば窒素)が発生することになる。
【0049】ここで、上記ガスの発生によって、充填されている溶融樹脂13の分子同士の結びつきが一部切り離されるため、結果として溶融樹脂13が押し退けられて気泡が生じることになる。したがって、溶融樹脂13が均質なものであれば、気泡は溶融樹脂13内で一様に分布するように発生するが、溶融樹脂13が均質でなければ、溶融樹脂13の結びつきの弱い部分、すなわち分子間結合が弱くなる個所に発生し易くなる。
【0050】本発明では、溶融樹脂13中に異物粒子20が含まれているため、この異物粒子20の存在個所は分子間結合の欠損した個所となる。それゆえ、異物粒子20がない他の個所に比べると、溶融樹脂13の結びつきが弱く溶融樹脂13を押し退け易い。それゆえ、図2(b)に示すように、異物粒子20が気泡発生の起点(発泡核)となり、異物粒子20と溶融樹脂13との界面周辺に、複数の微小気泡14が発生する。
【0051】いったん微小気泡14が発生し始めると、各微小気泡14の発生個所は、溶融樹脂13中に生じる空隙となるため、その他の個所に比べると、溶融樹脂13の結びつきがより一層弱くなる。それゆえ、微小気泡14の周囲近傍に存在する、気泡を形成する直前の状態のガスが、該微小気泡14に集合し易くなり、その結果、図2(c)に示すように、微小気泡14は徐々に大きく成長する。その後、隣接する微小気泡14同士は、成長に伴って接触して一つにまとまり、最終的には、溶融樹脂13の粘性と表面張力の影響とにより、球形の異物内封気泡12(図1参照)となる。
【0052】特に、上記異物粒子20が金属、ガラス、あるいは土砂などの無機化合物であると、これら異物粒子20は、溶融樹脂13との相溶性がほとんどない非相溶性を有していることになる。そのため、異物粒子20と溶融樹脂13との界面で、溶融樹脂13の結びつきが非常に弱くなるので、微小気泡14を発生させるための発泡核となり易くなる。そのため異物粒子20近傍で微小気泡14の発生が促進され、最終的に異物粒子20が異物内封気泡12で完全に封入される。
【0053】また、異物粒子20が熱硬化性樹脂の粒子である場合には、同じ有機高分子化合物であるものの、加熱によりほとんど溶融しないと見なせるため、熱可塑性樹脂である溶融樹脂13との相溶性が非常に低くなり、実質的に、非相溶性であると見なせる。それゆえ、上記無機化合物と同様に、発泡核となり易くなり、最終的に異物粒子20が異物内封気泡12で完全に封入される。
【0054】樹脂層11中に上記異物粒子20が存在すると、後述するように、樹脂層11中に樹脂が存在しない「樹脂の欠損個所」が生じることになる。そのため、この樹脂の欠損個所に応力が集中し易くなって、樹脂成形物10の物性が劣化する。これに対して、本発明では、上記のように、異物粒子20を発泡核として用いるため、該異物粒子20を選択的に異物内封気泡12内に閉じ込めることができる。その結果、特に樹脂成形物10に大きな影響を及ぼす非相溶性の異物による影響を有効に回避することができる。
【0055】一方、異物粒子20が熱可塑性樹脂である場合、溶融樹脂13との相溶性が高いものが多いため、溶融樹脂13中に容易に溶解してしまう可能性は高い。ところが、分別や洗浄で大異物や小異物はすでに除去されている上に、微小粒子20が溶解してしまえば、樹脂層11中に上記樹脂の欠損個所が生じないことにもなる。そのため、この程度の「異物」の溶解は、物性にほとんど影響を与えない誤差範囲と見なすことができる。
【0056】もちろん、熱可塑性樹脂の種類によっては溶融樹脂13との相溶性が低いものもあるが、この場合は、上記無機化合物や熱硬化性樹脂の異物粒子20と同様、発泡核となり易くなり、異物内封気泡12で完全封入されることになる。それゆえ、本発明では、樹脂層11となる樹脂以外の異種材料からなる異物粒子20による影響を確実に抑制することができる。
【0057】その後、所定形状の成形型内で上記異物内封気泡12を含む溶融樹脂13を冷却することで、溶融樹脂13が固化して樹脂層11となる。そのため、上記異物内封気泡12は球状のまま樹脂層11中に固定される。その結果、本発明にかかる樹脂成形物10(図1参照)が得られる。
【0058】ここで、本発明では、異物内封気泡12が異物粒子20を完全に包含するものであるため、発泡は急激になされないことが好ましい。発泡が急激になされるということは、急激に多量のガスが発生するため、必ずしも異物粒子20を核として微小気泡14が発生しない可能性がある。また、本発明にかかる樹脂成形物10は、異物粒子20を完全に封入する異物内封気泡12が必要最低限の数量形成されていればよいので、急激かつ過剰に発泡すると、通常の発泡成形物と同様の構成となり、物性の向上を期待できない可能性もある。
【0059】それゆえ、本発明にかかる製造方法では、上記樹脂材料溶融発泡工程および上記気泡成長工程においては、発泡が緩やかになされるように発泡条件を設定することが好ましい。
【0060】たとえば、本発明では、発泡剤として分解性発泡剤が好ましく用いられるが、この分解性発泡剤は、揮発性発泡剤に比べると比較的発泡効率が低い。そのため、急激な発泡を回避することができるという利点がある。また、揮発性発泡剤は単なる揮発で発泡するが、分解性発泡剤は分解という化学反応により発泡するので、分解温度に合わせて加熱等の発泡条件を調整することで、緩やかな発泡を比較的制御し易くなる。その結果、必要最低限な数量の異物内封気泡12を確実に形成することが可能になる。
【0061】また、本発明では、異物内封気泡12で異物粒子20を完全に包含しなければならないため、気泡成長工程では、発泡剤による発泡を十分継続させるように発泡条件を設定しておくことが非常に好ましい。異物粒子20が完全に包含されておらず、一部が樹脂層11と直接接すると、上記樹脂の欠損個所がいびつな形状となって応力が集中し易くなるので好ましくない。
【0062】もちろん、上述した詳細な発泡条件は、分解性発泡剤の種類等、種々の条件によって適宜設定されるものであり、特に具体的に限定されない。
【0063】本発明にかかる樹脂成形物10の製造方法においては、上記成形方法の具体的な手法は特に限定されるものではない。しかしながら、上述したように、樹脂材料溶融発泡工程を実施する必要があるために、成形時には、一度樹脂を溶融させなければならない。そこで、本発明で非常に好適に用いられる成形方法としては、溶融−固化成形法を挙げることができる。
【0064】上記溶融−固化成形法としては、より具体的には、ロール成形法、圧縮成形法、射出成形法、押出成形法、焼成加工法、粉末加工法等が挙げられるが、中でも、射出成形法が特に好ましい。射出成形法は、熱可塑性樹脂における二大成形方法の一つとして挙げられる成形方法であり、生産性に極めて優れ、大量生産・自動生産に非常に適したものとなっている。
【0065】上記射出成形法について詳細に説明すると、図3に示すように、スクリュー式射出成形機30を用いる構成が一般的である。このスクリュー式射出成形機30は、成形型40に溶融樹脂13を射出するシリンダー31、該シリンダー31内に原料を投入するホッパー32、シリンダー31内に設けられ、原料を混合するスクリュー33、シリンダー31の先端に設けられ、成形型40内のキャビティ41に接続される排出ノズル34、およびシリンダー31周囲に設けられ、シリンダー31内を加熱するヒーター35を備えている。
【0066】まず、原料としての樹脂材料15を発泡剤16とともにホッパー32に投入する。本発明では、この工程が上記発泡剤添加工程となる。上記樹脂材料15および発泡剤16はホッパー32からシリンダー31内へ送られる。その後、シリンダー31内でのスクリュー33の回転と、ヒーター35によるシリンダー31周囲からの加熱とによって、樹脂材料15が溶融混練される。これによって溶融樹脂13が生じ、さらに発泡剤16が溶融樹脂13中に分散または溶解される。この工程では、加熱によって発泡剤16が発泡するため、上記樹脂材料溶融発泡工程となる。
【0067】その後、溶融樹脂13は、排出ノズル34を介して成形型40内のキャビティ41に射出され、一定時間保圧・冷却することで、樹脂成形物10が得られる。ただし、本発明においては、上記気泡成長工程を実施する必要があるため、成形型40内の溶融樹脂13に対しては、保圧とともに加熱または保温が一定時間実施された後に冷却が実施されることが非常に好ましい。
【0068】なお、上記スクリュー式射出成形機30の詳細な構成については特に限定されるものではなく、従来公知の構成のものを好適に用いることができる。また、上記成形型40としても、従来公知の一般的な金型を好適に用いることができるが、より好ましくは、上述したように、気泡成長工程を実施するために、内部の溶融樹脂13に対して、保圧とともに加熱または保温を一定時間実施し得るような構成となっていると好ましい。
【0069】さらに、本発明にかかる製造方法においては、得られる樹脂成形物10に対して各種二次加工を施してもよいし、他に、樹脂成形物10を積層体としたりする工程が含まれていたりしてもよい。
【0070】上記成形方法を含む、本発明にかかる製造方法をより具体的な例を挙げて説明する。まず、上記樹脂材料15として、廃棄された電子機器から回収した再生ポリプロピレン(PP)材を用いるとする。この再生PP材には、分別と簡単な水洗とで除去できなかった異物粒子20(最大径約1mm未満)が含まれている。また、発泡剤16としてアゾジカルボンアミド(分解温度190〜230℃、ガス発生量190cm3 /g)またはN,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DNPT、分解温度160〜200℃、ガス発生量240cm3 /g)を用いるとする。
【0071】上記スクリュー式射出成形機30を用い、たとえば、上記再生PP材(樹脂材料15)に対して発泡剤16を一定の比率となるように添加して、ホッパー32に投入する(発泡剤添加工程)。その後、シリンダー31内で、再生PP材および発泡剤16をヒーター35により200℃以上に加熱しながらスクリュー33により混練することで、再生PP材を可塑化(溶融)するとともに、発泡剤16を再生PP材中に溶解する。この段階で、再生PP材中では、発泡剤16の発泡が開始される(樹脂材料溶融発泡工程)。
【0072】その後、排出ノズル34から成形型40内に対して、再生PP材を数秒間射出することで成形型40内に該再生PP材を充填し、一定時間約200℃に保温・保圧する(気泡成長工程)。その後、保圧を維持しながら冷却することによって、本発明にかかる樹脂成形物10を得ることができる。
【0073】このように、本発明にかかる樹脂成形物10では、異物粒子20を核とする緩やかな発泡現象の発生により、樹脂層11内に、ほぼ必要最低限の数量だけ異物内封気泡12を生じさせることができる。換言すれば、樹脂層11内では、混入した異物粒子20はほぼ完全に異物内封気泡12によって包含されている。
【0074】原料に異物粒子20が混入した場合、従来の製造方法では、上記緩やかな発泡現象が生じないため、図2(a)に示すように、溶融樹脂13が異物粒子20を取り囲むように充填された状態のままで、冷却されて固化する。そのため、従来の樹脂成形物100では、図4に示すように、樹脂層11内において、樹脂が存在しない「樹脂の欠損個所」が、上記異物粒子20の形状にほぼ一致することになる。通常、異物粒子20は、いびつな外形を有しているため、上記樹脂の欠損個所も鋭角部を有している。その結果、従来の樹脂成形物100に外力を加えて変形させると、上記樹脂の欠損個所の鋭角部に極端な応力集中が生じて、異物粒子20起点として亀裂が発生し、樹脂成形物100が非常に破断し易くなる。
【0075】これに対して本発明では、図1に示すように、樹脂層11内の樹脂の欠損個所(異物内封気泡12)が球状であるため、上記従来の技術に比べて、樹脂の欠損個所での応力集中を大幅に抑制することができる。そのため、樹脂成形物10に外力を加えて変形させても、破断に至るまでの亀裂発生を回避することが可能となる。それゆえ、本発明は、異物粒子20が混入し易い再生樹脂を原料として樹脂成形物10を製造する用途、すなわち樹脂をリサイクルする用途に、好適に用いることができる。
【0076】なお、上記異物内封気泡12による応力集中の抑制作用は、最大径が約1mm未満の異物粒子20が混入する場合に、特に確実に発揮することができるが、これに限定されるものではなく、最大径が約1mm以上の小異物についても同様の抑制作用が期待できる。ただし、上記抑制作用による効果をより確実なものとするためには、樹脂の種類や成形条件、発泡剤16の種類等の要因に応じて、発泡剤16の添加量や発泡条件等をより厳密に制御することが非常に好ましい。
【0077】また、本発明にかかる樹脂成形物10、あるいは本発明にかかる製造方法においては、樹脂層11中に異物内封気泡12以外の気泡(通常気泡とする)が含まれていてもよい。ただし、この通常気泡が過剰に含まれていると、一般的な「発泡成形物」と同じ程度の発泡率で発泡することになる。本発明では、異物粒子20を異物内封気泡12で選択的に取り巻くように低レベルで発泡させているため、過剰に発泡すると、上記低レベルの発泡による本発明の作用・効果が有効に発揮し得なくなるため好ましくない。
【0078】
【実施例】次に、本発明にかかる樹脂成形物10およびその製造方法について、実施例および比較例、並びに図5および図6に基づいてより詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されるものではない。
【0079】〔実施例〕略正方形状の樹脂成形物10において、樹脂層11の中心部分に、0.8mmの最大径を有する異物粒子20が存在するとし、さらにこの異物粒子20を完全封入した直径1mmの異物内封気泡12が形成されているとしたモデルを想定した(図1参照)。さらに、このモデルにおいて、樹脂材料15としてポリプロピレン(PP)を想定するとともに、縦弾性係数9.8×108 Pa(100kgf/mm2 )、ポアソン比0.36、板厚2mmの成形物条件を想定した。
【0080】上記モデルおよび成形物条件にて、上記樹脂成形物10に対して縦引張り方向に10%の歪みを与えた場合の応力集中の状態をシミュレーションし、有限要素法を用いて線型定常解析した。その結果を図5に示す。
【0081】〔比較例〕前記実施例のモデルにおいて、異物内封気泡12を形成しない比較モデル(図4参照)とした以外は、前記実施例と同じ成形物条件にて、縦引張り方向に10%の歪みを与えた場合の応力集中の状態をシミュレーションし、有限要素法を用いて線型定常解析した。その結果を図6に示す。
【0082】なお、図5および図6のシミュレーション結果では、応力の大きさをラインコンターにて等高線状に表示している。
【0083】図5の結果から明らかなように、比較例では、異物粒子20における図中左右の突出した角部分近傍の個所に等高線が集中しており、ここに応力が集中していることが分かる。
【0084】これに対して、実施例では、球状の異物内封気泡12が異物粒子20を十分包含しているため、歪みによって変形しても内部の異物粒子20と樹脂層11とが直接接触することを防止できる。そのため、図6に示すように、比較例のような等高線の集中個所がほとんど見られず、応力集中が大幅に緩和されていることが分かる。
【0085】それゆえ本発明では、樹脂成形物10に外力を加えて変形させても、樹脂の欠損個所での応力集中を大幅に抑制して、破断に至るまでの亀裂発生を回避できることが分かる。
【0086】
【発明の効果】以上のように、本発明にかかる樹脂成形物は、樹脂層中に形成される独立気泡中に、異物粒子を完全封入してなる構成である。
【0087】上記構成によれば、樹脂層中で樹脂の欠損個所となる異物粒子を、略球状の独立気泡で完全に封入することになる。そのため、樹脂の欠損個所が球状となり、応力集中を大幅に抑制することができる。その結果、製造過程で異物粒子が混入しても、その影響を大幅に低減することができるとともに、異物粒子の混入を回避し得ない樹脂材料を成形用の原料として有効に再利用することもできるという効果を奏する。
【0088】本発明にかかる樹脂成形物は、上記構成に加えて、上記樹脂層を形成するための原料として、少なくとも、再生樹脂が用いられることが好ましい。これによって、異物粒子の混入し易い樹脂を原料として利用する用途に本発明を好適に利用することができるので、特に、樹脂をリサイクルする用途に、本発明を好適に用いることができるという効果を奏する。
【0089】本発明にかかる樹脂成形物は、上記構成に加えて、上記樹脂層を形成する樹脂として、熱可塑性樹脂が用いられることが好ましい。これによって、加熱処理による溶融が容易となるので、発泡剤の添加によって上記独立気泡を形成し易くすることができるとともに、熱硬化性樹脂に比べて樹脂の再利用がより一層容易となるという効果を奏する。
【0090】本発明にかかる樹脂成形物の製造方法は、以上のように、異物粒子を含む樹脂材料に発泡剤を加える発泡剤添加工程と、樹脂材料を溶融させた上で、上記発泡剤および異物粒子を溶融した樹脂材料中に分散させるとともに、発泡剤を発泡させて、異物粒子を核として気泡を形成する樹脂材料溶融発泡工程と、異物粒子を完全に包含するまで気泡を成長させる気泡成長工程とを有する方法である。
【0091】上記方法によれば、原料となる樹脂材料に発泡剤を添加するので、異物粒子を発泡核として気泡が発生し易くなる上に、緩やかな発泡によって、気泡を成長させるので、異物粒子を球状の気泡で完全に包含することができる。そのため、異物粒子の存在による応力集中を回避して、樹脂成形物の物性の低下を有効に回避することができる。その結果、製造過程で異物粒子が混入しても、その影響を大幅に低減することができるとともに、異物粒子の混入を回避し得ない樹脂材料を成形用の原料として有効に再利用することもできるという効果を奏する。
【0092】本発明にかかる樹脂成形物の製造方法は、上記方法において、上記樹脂材料として、少なくとも、再生樹脂を用いることが好ましい。これによって、異物粒子の混入し易い樹脂を原料として利用する用途に本発明を好適に利用することができるので、特に、樹脂をリサイクルする用途に、本発明を好適に用いることができるという効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号
【出願日】 平成13年7月5日(2001.7.5)
【代理人】 【識別番号】100080034
【弁理士】
【氏名又は名称】原 謙三
【公開番号】 特開2003−20354(P2003−20354A)
【公開日】 平成15年1月24日(2003.1.24)
【出願番号】 特願2001−205107(P2001−205107)