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【発明の名称】 ポリアセタール、その製造方法及び分解方法
【発明者】 【氏名】橋本 保
【氏名】梅原 章弘
【氏名】石塚 耕治
【氏名】小平 俊之
【課題】従来の技術の問題点を解決して、塗料やコーティング剤等に使用されるポリエステル、ポリウレタンの原料(プレポリマー)、様々の材料の製造工程におけるマスキング剤、又は、光酸発生剤等と共に用いられるレジスト材料として好適に使用できる、両末端に水酸基を有するポリアセタールを提供する。

【解決手段】本発明のポリアセタールは、式1【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 式1【化1】

(式中のnは28以下の整数を表す)で表されることを特徴とするポリアセタール。
【請求項2】 式2【化2】

で表されるヒドロキシビニルエーテルと、式3【化3】

で表されるジオールとを重合して得られる、請求項1に記載のポリアセタール。
【請求項3】 式2【化4】

で表されるヒドロキシビニルエーテルと、式3【化5】

で表されるジオールとを重合することを特徴とする、式1【化6】

(式中のnは28以下の整数を表す)で表されるポリアセタール製造方法。
【請求項4】 式1【化7】

(式中のnは28以下の整数を表す)で表されるポリアセタールを酸により処理し、式2【化8】

で表されるヒドロキシビニルエーテルと、式3【化9】

で表されるジオールとすることを特徴とするポリアセタールの分解方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は特に、両末端に水酸基を有するポリアセタールに関し、更に詳しくは、塗料やコーティング剤等に使用されるポリエステル、ポリウレタンの原料(プレポリマー)、様々の材料の製造工程におけるマスキング剤、又は、光酸発生剤等と共に用いられるレジスト材料として好適に使用できる、両末端に水酸基を有するポリアセタール、その製造方法及び分解方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、ポリアセタールの製造方法としては、アセチレンとジオール(Carothers,J.Am.Chem.Soc.51,2548(1929))、アセトアルデヒドとジオール、及び、アセタールとジオール等を重合することが提案されている。又、ビニルエーテルとアルコールからアセタールが得られることも知られている(Hill,J.Am.Chem.Soc.50,2727(1928))が、これはポリアセタールの製造には適用されていない。
【0003】更には、ヒドロキシアルキルビニルエーテルを重合させてポリアセタールを得る方法も知られている(Robert L. Adelman,US Patent No.2,682,532)が、この方法で得られるポリアセタールはその両末端を水酸基で封止したものではないため、ハンドリングが容易でなく、ポリエステルやポリウレタンの原料への展開ができないという難点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従って主に、上記のような従来の技術の問題点を解決して、塗料やコーティング剤等に使用されるポリエステル、ポリウレタンの原料(プレポリマー)、様々の材料の製造工程におけるマスキング剤、又は、光酸発生剤等と共に用いられるレジスト材料として好適に使用できる、両末端に水酸基を有するポリアセタールを提供することにある。
【0005】
【発明を解決するための手段】本発明の発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討した結果、特定のヒドロキシビニルエーテルとジオールを重合させることにより、上記のような各種の用途に好適に使用可能な、両末端に水酸基を有するポリアセタールを得ること、及び、そのポリアセタールが廃棄時に容易に処理することが可能なものであることを見い出し、更に研究を続けて本発明を完成させた。
【0006】すなわち、本発明の要旨は、(1)式1【化10】

(式中のnは28以下の整数を表す)で表されることを特徴とするポリアセタール。
(2)式2【化11】

で表されるヒドロキシビニルエーテルと、式3【化12】

で表されるジオールとを重合することを特徴とする、上記式1【化13】

(式中のnは28以下の整数を表す)で表されるポリアセタール製造方法。
(3)式1【化14】

(式中のnは28以下の整数を表す)で表されるポリアセタールを酸により処理し、式2【化15】

で表されるヒドロキシビニルエーテルと、式3【化16】

で表されるジオールとすることを特徴とするポリアセタールの分解方法。に存する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のポリアセタール、その製造方法及び分解方法について、更に詳細に説明する。
【0008】本発明のポリアセタールの製造方法は、上記のように式2で表されるヒドロキシビニルエーテルと、式3で表されるジオールとを重合するものであるが、ここで使用する式2で表されるヒドロキシビニルエーテル(HVEとする)と、式3で示されるジオール(DOLとする)との反応における仕込み比(HVE/DOL)は、例えば5〜1000であり、特に10〜500であることが好ましい。
【0009】この重合反応に用いる溶媒は、原料であるヒドロキシビニルエーテル及びジオールと反応しないものならばいずれでも良いが、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等のエーテル類が好ましい。
【0010】上記の重合反応は触媒の存在下に進行するのであり、この触媒としては、例えばp−トルエンスルホン酸、陽イオン交換樹脂、ゼオライト、活性白土等の酸及び固体酸が挙げられるが、特にp−トルエンスルホン酸が好ましく、この触媒の使用量は、通常の重合等の反応で用いられている触媒量と同等でよい。
【0011】上記の重合反応の反応温度は0〜50℃であり、特に0〜20℃が好ましく、反応時間は0.5〜100時間であり、特に1〜24時間が好ましい。
【0012】上記本発明の製造方法により得られるポリアセタールは、式1で示されるように両末端に水酸基を有するものであり、実施例に詳述するように、その構造は機器分析により確認された。
【0013】上記仕込み比(HVE/DOL)によれば、得られるポリアセタールの数平均分子量(Mn)は最大で約3300であり、重合度(n)は約28である。又、HVEは重合反応開始後、約1時間で消費され、この際のMnは約1200、nは約10である。
【0014】このような両末端に水酸基有するポリアセタールは、従来の両末端を水酸基で封止していないものと比べて、例えば、塗料、コーティング剤、フィルム、或いは、成形体や断熱材に使用されるポリエステル、ポリウレタンの原料(プレポリマー)として使用することが可能となる。
【0015】又、本発明のポリアセタールは、様々な材料の製造工程において、酸洗浄で剥離可能なマスキング剤として、或いは、光酸発生剤等と共に用いられるレジスト材料としても利用可能である。
【0016】一方、本発明のポリアセタールは、酸による分解性を備えており、即ち、酸により処理することにより式2で表されるヒドロキシビニルエーテルと、式3で表されるジオールとに容易に分解することができる。
【0017】ここで上記分解に使用する酸としては、例えば、塩酸、硫酸等の水溶液や、固体酸である酸性イオン交換樹脂、ゼオライト、活性白土等が挙げられる。
【0018】従って本発明のポリアセタールは、その廃棄処理が容易であると共に、分解物としてのジオールを回収することも可能となるものである。
【0019】以下に本発明を実施例により更に詳細に説明する。
【0020】実施例1式2で表されるヒドロキシブチルビニルエーテル3.47M、式3で表される1,4−ブタンジオール0.144M、p−トルエンスルホン酸5.0mMのTHF溶液を、ガラス製の反応容器中で乾燥窒素雰囲気下、0℃にて4時間反応させた。反応後溶媒を除去し、THFから冷水浴を用いて再凝結した後、更にGPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフィー)にてオリゴマーを除去して目的物であるポリアセタールを精製した。
【0021】得られた目的物は、GPCでは、Mn=3290(ポリスチレン換算)、重量平均分子量(Mw)との比率であるMw/Mn=2.20であることを、示差熱分析(DSC)測定ではガラス転移点Tg=−72℃であることを示した。
【0022】目的物であるポリアセタールの1H及び13Cの核磁気共鳴吸収(NMR)スペクトルを図1に示す。1H NMRスペクトルは得られた目的物がポリアセタール構造を有していることを良く支持し、13C NMRスペクトルでは末端のヒドロキシブチル基におけるメチレン基の炭素が観測され(ピークe及びf)、こちらも目的物がポリアセタール構造を有していることを良く支持している。
【0023】又、蒸気圧浸透法で測定した目的物であるポリアセタールのMnは3150、図1の1H NMRスペクトルにおけるピークbとfとの強度比から算出したMnは3030と良く一致し、目的物であるポリアセタールが両末端に水酸基を有しているものであることが確認された。
【0024】実施例2実施例1で得られたポリアセタール(0.6g)をTHF(30ml)に溶解し、1M−HCl水溶液(30ml)を加え、室温で24時間撹拝したのち、GPCで分析したところ、1,4−ブタンジオールのピークのみが観測され、ポリアセタールが完全に分解されたことを確認した。
【0025】実施例3実施例1で得られたポリアセタール(0.5g)、水(10g)及び活性白土(水澤化学製ガレオナイト251、0.1g)を、80℃で24時間撹拌したのち、GPCで分析したところ、1,4−ブタンジオールのピークのみが観測され、目的物が完全に分解されたことを確認した。
【0026】
【発明の効果】本発明方法により得られた両末端に水酸基を有するポリアセタールは、塗料、コーティング剤、フィルム、或いは、成形体、断熱材等に使用されるポリエステル、ポリウレタンの原料(プレポリマー)として用いることができ、又、酸による分解性を付与して樹脂の廃棄時に処理を容易にしたり、分解物としてのジオールを回収することも可能となる。
【出願人】 【識別番号】000157603
【氏名又は名称】丸善石油化学株式会社
【出願日】 平成13年10月15日(2001.10.15)
【代理人】 【識別番号】100091247
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 雅人 (外1名)
【公開番号】 特開2003−119281(P2003−119281A)
【公開日】 平成15年4月23日(2003.4.23)
【出願番号】 特願2001−316218(P2001−316218)