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【発明の名称】 多孔質成形物の製造方法
【発明者】 【氏名】正脇 敬三
【住所又は居所】神奈川県平塚市東八幡5丁目3番3号 日本ユピカ株式会社技術研究所内

【要約】 【課題】

【解決手段】有機または/および無機の粉状または粒状物質を、液状のラジカル重合型熱硬化性樹脂と水とを混合してなる熱硬化性樹脂水性分散体中に混合し、常温または加熱下に硬化させることを特徴とする。本発明に係る多孔質成形物は連続気孔を有し、優れた強度を有し通気性、透水性、調湿性能等に優れているので、例えば、壁材や天井材等の建材、透水性レンガや敷き石等として有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】有機または/および無機の粉状または粒状物質を、液状のラジカル重合型熱硬化性樹脂と水とを混合してなる熱硬化性樹脂水性分散体中に混合し、常温下または加熱下に硬化させることを特徴とする通気孔を有する多孔質成形物の製造方法。
【請求項2】液状のラジカル重合型熱硬化性樹脂と水との混合割合が、重量比で、80:20〜30:70で調製された熱硬化性樹脂水性分散体からなることを特徴とする請求項1記載の多孔質成形物の製造方法。
【請求項3】液状のラジカル重合型熱硬化性樹脂が、液状不飽和ポリエステル樹脂、液状エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、液状ウレタン(メタ)アクリレート樹脂および液状(メタ)アクリレート樹脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の多孔質成形物の製造方法。
【請求項4】有機または/および無機の粉状または粒状物質が、樹脂成形品粉砕物、有機繊維質粉体および切削屑、砂利や土砂、コンクリート廃材等の無機質粉粒体の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3に記載の多孔質成形物の製造方法。
【請求項5】有機または/および無機の粉状または粒状物質と熱硬化性樹脂水性分散体との混合割合が重量比で、10:90〜90:10であることを特徴とする請求項1〜4に記載の多孔質成形物の製造方法。
【請求項6】有機または/および無機の粉状または粒状物質と熱硬化性樹脂水性分散体との混合物を強化材の存在下に、常温下または加熱下に硬化させることを特徴とする請求項1〜5に記載の多孔質成形物の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、通気孔を有する多孔質成形物の製造方法に関し、詳しくは、有機または/および無機の粉状または粒状物質を液状熱硬化性樹脂水性分散体に混合し、常温下または加熱下に硬化させて通気孔を有する多孔質成形物の製造方法に関する。 本発明による多孔質成形物は、連続気孔を有し且つ優れた強度を有し、通気性、透水性、調湿性能等に優れた多孔質成形物であり、例えば壁材や天井材等の建材として、また透水性レンガや敷き石等として利用することができる。
【0002】
【従来の技術】近年、産業の発達と共に産業廃棄物も増加の一途にあり、熱硬化性樹脂成型品や、木粉、木の切りくずまたは籾殻粉等有機繊維質粉末の処理は大きな問題になってきている。また、砂や砂利等を固めた透水性素材の開発も盛んに行なわれてきているが、それらの粉状および粒状物を接着する材料、所謂バインダーとしては、高い強度の成型物が得られることや耐久性に優れた成型品が得られることから、熱硬化性樹脂は非常に有用な樹脂である。特に硬化時間の調節や、所望の粘度に調節が可能なラジカル重合型熱硬化性樹脂が広く使用されている。また透水性等の機能を付加する目的でセメントをバインダーとして使用した成型品も製造されているが十分な透水性がある成型品は得られていない。これら従来技術における成型品の目的は、主として産業廃棄物等を増量材的に使用しているのが実情で、有機繊維質の粉末や切削屑が有している通気性や調湿機能を有効に利用した成型品は殆ど製造されていないのが実情である。例えばフェノール樹脂やユリヤ樹脂に有機繊維質の粉末や切削屑を分散させ、高温高圧下で成型した偽木材が広く使用されているが通気性、調湿性等の機能は殆ど生かされていない。また、比較的粒度の粗い砂や砂利を、バインダーとしてラジカル重合型熱硬化性樹脂で固めた透水性のレンガや敷石が製造されているが、その製造においては、樹脂に含まれるスチレン等の臭気が激しく、作業環境が著しく悪くなる等の欠陥がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、産業活動から副生成物として出てくる廃FRP粉砕品や切削屑、建材廃棄物粉砕物および砂利や砂あるいはコンクリート廃材粉砕物等の有機または/および無機粉粒物質あるいは切削屑を、熱硬化樹脂で接着固化した透水性に優れた多孔質成形物を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】従来、上記の如き産業廃棄物等の粉粒状物質を樹脂に混合分散させ硬化させて得られる成形物は、一般に透水性を有しない硬化物であるが、バインダー樹脂として熱硬化性樹脂水性分散体を用い、粉粒状物質を該水性分散体に混合分散して硬化させた硬化物は、粉状物や粒状物等の間隙に水が存在した状態で樹脂粒子が接触して硬化物となり、硬化後に水を除去することにより、連続気孔を有する硬化物が得られるので、有機または/および無機粉粒物質あるいは切削屑を高含有率で含有した通気性、透水性、調湿性能等を有する多孔質成形物が容易に得られることが判明し、本発明を完成した。
【0005】すなわち、本発明は、(1)有機または/および無機の粉状または粒状物質を、液状のラジカル重合型熱硬化性樹脂と水とを混合してなる熱硬化性樹脂水性分散体中に混合し、常温下または加熱下に硬化させることを特徴とする通気孔を有する多孔質成形物の製造方法に関する。
【0006】(2)液状のラジカル重合型熱硬化性樹脂と水との混合割合が、重量比で、80:20〜30:70で調製された熱硬化性樹脂水性分散体からなることを特徴とする上記(1)に記載の多孔質成形物の製造方法に関する。
【0007】(3)液状のラジカル重合型熱硬化性樹脂が、液状不飽和ポリエステル樹脂、液状エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、液状ウレタン(メタ)アクリレート樹脂および液状(メタ)アクリレート樹脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の多孔質成形物の製造方法に関する。
【0008】(4)有機または/および無機の粉状または粒状物質が、樹脂成形品粉砕物、有機繊維質粉体および切削屑、砂利や土砂、コンクリート廃材等の無機質粉粒体の少なくとも1種であることを特徴とする上記(1)〜(3)に記載の多孔質成形物の製造方法に関する。
【0009】(5)有機または/および無機の粉状または粒状物質と熱硬化性樹脂水性分散体との混合割合が重量比で、10:90〜90:10であることを特徴とする上記(1)〜(4)に記載の多孔質成形物の製造方法に関する。
【0010】(6)有機または/および無機の粉状または粒状物質と熱硬化性樹脂水性分散体との混合物を強化材の存在下に、常温下または加熱下に硬化させることを特徴とする上記(1)〜(5)に記載の多孔質成形物の製造方法に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、液状のラジカル重合型熱硬化性樹脂と水とを混合し、均一に分散されてなる熱硬化性樹脂水性分散体(以下、単に「水性分散体」という)に、有機または無機の粉状または粒状物質を混合分散させ、この混合物を、強化材の存在下または不存在下に、常温又は加熱下に硬化して得られる、連続気孔を有し且つ優れた強度を有し、通気性、透水性、調湿性能等に優れた多孔質成形物の製造方法に関する。
【0012】本発明による多孔質成形物は、バインダー樹脂として熱硬化性樹脂水性分散体を用い、粉粒状物質を該水性分散体に混合分散して硬化させた硬化物は、粉状物や粒状物等の間隙に水が存在した状態で樹脂粒子が接触して硬化物となり、硬化後に水を除去することにより、連続気孔を有する硬化物が得られるので、有機または/および無機粉粒物質あるいは切削屑を高含有率で含有した通気性、透水性、調湿性能等を有し且つ優れた強度を有する多孔質成形物であり、例えば壁材や天井材等の建材として、また透水性レンガや敷き石等として利用することができる。
【0013】本発明は、水性分散体をバインダー樹脂として使用することにより、樹脂成形品粉砕物、有機繊維質粉体および切削屑、砂利や土砂、コンクリート廃材等の有機または/および無機質粉状または粒状物質の産業廃棄物等を同量の水性分散体に混合分散させた混合物を硬化させて得られる成形物は、上記の如き産業廃棄物等の粉粒状物質の高充填成形物を得ることが可能になり、産業廃棄物の利用率が高い成形物を得ることができることが認められた。
【0014】本発明で使用される水性分散体は、液状の熱硬化性樹脂を水相中に均一に分散させた水性分散体であり、O/W型あるいはW/O型のいずれの水性分散体も使用される。この水性分散体の内、O/W型水性分散体は、水相中に樹脂が微粒子として分散された形になっており、樹脂粒子そのものは水で覆われた形態である。そのためラジカル重合型熱硬化性樹脂の欠点であるモノマー臭が殆ど無く、成形物の製造工程の作業環境を改善することできスチレン等のモノマー臭が極端に少ない環境での作業が可能である。
【0015】本発明の方法による水性分散体を使用した多孔質成形物は、連続気孔を有する多孔質硬化物からなる成形物で非常に広い表面積を有している。そのため、抗菌性、防黴性、消臭性等の機能性付与剤を添加した樹脂から得られる水性分散体を使用した場合には、抗菌性、防黴性、消臭性等の機能を効率よく利用することができ、低コストでより高付加価値の成形品を得ることができる。
【0016】この様な機能を付与する抗菌剤としては、例えば、東亞合成株式会社から市販されている「ノバロンAGT330」、「ノバロンAG300」などが挙げられ、防黴材としては、例えば、東亞合成株式会社から市販されている「カビノン800」、「カビノン900」などが挙げられ、また消臭剤としては、例えば、同じく東亞合成株式会社から市販されている「ケスモンNS80E」、「ケスモンTNS200」などが挙げられる。
【0017】本発明で使用される有機質粉粒物とは、ガラス繊維強化プラスチックス成型品の破棄物を粉砕して得られる粉状や粒状物(「FRP粉砕物」ということがある)の他、建材廃棄物粉砕物、木の切削屑、籾殻の粉、バガス粉等が例示される。また無機質粉粒物とは、コンクリート廃材の粉砕物や砂利、砂等が例示される。
【0018】本発明における液状のラジカル重合型熱硬化性樹脂は、液状不飽和ポリエステル樹脂、液状エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(ビニルエステル樹脂)、液状ウレタン(メタ)アクリレート樹脂あるいは液状(メタ)アクリル樹脂(いわゆるアクリルシラップ)が使用される。
【0019】本発明における液状不飽和ポリエステル樹脂は、グリコール類を主成分とする多価アルコール類とα,β−不飽和二塩基酸および/またはその無水物、さらに必要に応じて飽和二塩基酸および/またはその無水物とを重縮合させて得られる不飽和ポリエステルをスチレン等のエチレン性不飽和二重結合を有する重合性単量体に溶解した液状樹脂である。
【0020】上記のグリコール類は、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ペンタエリスリトール、ペンタエリスリットジアリエーテルのようなペンタエリスリトール誘導体、アリルグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールA誘導体、等が例示される。
【0021】また上記のα,β−不飽和二塩基酸および/またはその無水物としては、例えば、マレイン酸またはその無水物、フマル酸、イタコン酸などが例示される。これらは単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
【0022】飽和二塩基酸および/またはその無水物としては、例えば、無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、テトラブロム無水フタル酸、ヘット酸、ヘキサハイドロ無水フタル酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4―シクロヘキサンジカルボン酸等が例示される。これらは単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
【0023】また、エチレン性不飽和二重結合を有する重合性単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のビニルモノマー、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルテトラブロムフタレート等のアリルモノマー、フェノキシエチルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート等が例示される。これらは単独でまたは2種以上を混合して使用することができるが、これらのうちスチレン、ビニルトルエンなどのビニル系モノマーが通常一般的に使用される。
【0024】尚、本発明における液状不飽和ポリエステル樹脂は、回収PET、すなわち高分子量ポリエチレンテレフタレート製品の廃棄物、例えば、使用済みペットボトル、シート、フィルム等の廃棄物、成形屑、切断屑等を、原料の一部に使用して製造された不飽和ポリエステル樹脂を上記同様にエチレン性不飽和二重結合を有する重合性単量体に溶解した液状不飽和ポリエステル樹脂も使用することが出来る。
【0025】本発明における液状エポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、1分子中に2個以上のグリシジルエーテル基を有するエポキシ樹脂にアクリル酸またはメタクリル酸を付加反応させて得られる分子末端にアクロイル基を有するエポキシ(メタ)アクリレートを、エチレン性α,β−不飽和二重結合を有する重合性単量体に溶解した液状樹脂である。上記1分子中に2個以上のグリシジルエーテル基を有するエポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等、あるいはこれらの誘導体からのビスフェノール型エポキシ樹脂、ビキシレノールおよびその誘導体からのビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノールおよびその誘導体からのビフェノール型エポキシ樹脂、あるいはナフタレンおよびその誘導体からのナフタレン型エポキシ樹脂、さらにはノボラック型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂が挙げられ、これらは単独で、または2種以上を混合して使用することができる。エチレン性α,β−不飽和二重結合を有する重合性単量体は、上記した不飽和ポリエステル樹脂に使用されると同様の重合性単量体を使用することができる。液状エポキシアクリレート樹脂またはエポキシメタクリレート樹脂は、上記のエポキシアクリレートまたはエポキシメタクリレートを、例えばスチレン、ジエチレングリコールジメタクリレートなどの液状の重合性単量体に溶解した液状樹脂である。
【0026】また本発明における液状ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、ポリアルコールおよび/またはポリエステルポリオールおよび/またはポリエーテルポリオールとジイソシアネートとを反応させて分子末端をイソシアネートとを反応させてイソシアネート化し、これにアルコール性水酸基を有するアクリレートまたはメタクリレートを反応させるか、または先ずアルコール性水酸基を有するアクリレートまたはメタクリレートとイソシアネートとをイソシアネート基を残して反応させた後、ポリアルコールおよび/またはポリエステルポリオールおよび/またはポリエーテルポリオールとを反応させて得られる分子末端にアクリレートまたはメタクリレートの二重結合を有するウレタンアクリレート、またはウレタンメタクリレートを、例えばスチレン、ジエチレングリコールジメタクリレートなどの液状の重合性単量体に溶解した液状樹脂である。これらは単独で、または2種以上の混合物で使用することができる。
【0027】また本発明に使用される液状のアクリル樹脂またはメタクリル樹脂としては、メチルメタクリレートを主成分とし部分的に他の重合性単量体を共重合体させたメチルメタクリレート共重合体、またはこの共重合体をメチルメタクリレートに溶解した液状樹脂であって、通常アクリルシラップと呼ばれるものである。なお、これらの液状樹脂は熱硬化性とするには、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレートのような多官能性メタクリレートまたはアクリレート系の単量体が併用される。
【0028】本発明に使用される熱硬化性樹脂水性分散体は、液状のラジカル重合型熱硬化性樹脂(単に「液状樹脂」ということがある)と水とを界面活性剤存在下で物理的混合手段により混合することで容易に製造することができる。具体的には、界面活性剤、硬化剤、必要に応じて促進剤を添加した液状のラジカル重合型熱硬化性樹脂に、所定量の水を加え、例えば、ディゾルバー(高速回転ミキサー)、ホモミキサーなどの物理的混合手段、あるいは超音波照射により混合することにより安定した水性分散体を得ることができる。使用される水は、イオン交換水、蒸留水および水道水のいずれでも差し支えなく特に限定する物ではない。
【0029】本発明で使用されるラジカル重合型熱硬化性樹脂水性分散体は、水相中に樹脂を分散させたO/W型水性分散体と、樹脂中に水を分散させたW/O型水性分散体の双方が使用可能であるが、製造環境におけるスチレン臭等のモノマー臭を低減するためには、水相中に樹脂を分散させたO/W型水性分散体を使用することが望ましい。
【0030】水性分散体の製造は、主として分散方法によって作り分けが可能である。すなわち撹拌または超音波照射中の水中に樹脂を滴下しながら分散させることによりO/W型水性分散体が得られ、逆に樹脂中に水を滴下しながら分散させることによりW/O型水性分散体が得られる。この際に使用する界面活性剤によっても水性分散体のタイプが変わることもあり、一般的には、O/W型水性分散体を得るためにはHLB10以上の界面活性剤を使用することが好ましく、W/O型水性分散体を得るためにはHLB10以下の界面活性剤を使用することが好ましい。
【0031】液状のラジカル重合型熱硬化性樹脂と水との混合割合は、重量比で80:20〜30:70の範囲で、好ましくは重量比で70:30〜40:60の範囲である。水の混合割合が上記の範囲よりも多い場合は、粉状物または粒状物に対する樹脂量が少なくなり、樹脂との接触面積が少なくなるため高い強度の硬化物が得られ難い。一方、水の混合割合が上記範囲よりも少ない場合は、粉状物または粒状物の混合量を増やすと粘度が高くなるため、高充填の硬化物が得られなくなり、また、水含量が少ないことは気孔率が低くなることになり、通気性、透水性等の機能が低下してしまう。
【0032】本発明に使用される粉状物または粒状物と熱硬化性樹脂水性分散体との混合割合が重量比で、10:90〜90:10の範囲である。粉状体または粒状物と熱硬化性樹脂水性分散体との混合割合は、粒子径、吸油量により異なってくるが、木材の切削屑のように比較的吸油量の多い材料を混合する場合は、切削屑等と熱硬化性樹脂水性分散体との混合割合は、10:90〜40:60程度、廃FRP材の粉砕品では、40:60〜70:30程度、また砂のような吸油量が極めて低い材料を混合する場合は、40:60〜90:10程度が好ましい。粉状物または粒状物の混合割合が上記の範囲よりも多い場合は、粘度が高くなり大きな気泡が抜け難く、また混練りが困難である。成型に多大な圧力が必要になる等の不都合が出てくる。一方、粉状物または粒状物の混合割合が上記範囲よりも少ない場合は、粉状物または粒状物の低充填硬化物になり、通気性は確保出来ても透水性の低い成形物になる。また廃棄物等の有効利用という観点からも十分とは言えないものである。
【0033】本発明に使用される水性分散体には、硬化剤および必要に応じ促進剤を添加して使用されるが、必要に応じ添加される促進剤は予め液状熱硬化性樹脂に添加して水性分散体を調製することが望ましい。硬化剤は、通常は使用するに際して添加される。硬化剤が粉末あるいはペースト状で樹脂への均一溶解に時間がかかる場合は、硬化剤を予め液状熱硬化性樹脂に添加して水性分散体を調製することが望ましい。その場合、必要に応じて添加される促進剤は使用するに際して添加される。
【0034】本発明に使用される硬化剤としては、通常有機過酸化物が使用される。そのような硬化剤として代表的なものは、メチルエチルケトンパーオキサイドで代表されるケトンパーオキサイド類、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサンで代表されるパーオキシケタール類、クメンハイドロパーオキサイドで代表されるハイドロパーオキサイド類、ジクミルパーオキサイドで代表されるジアルキルパーオキサイド類、ベンゾイルパーオキサイドで代表されるジアシルパーオキサイド類、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートで代表されるパーオキシジカーボネート類、t−ブチルパーオキシベンゾエートで代表されるパーオキシベンゾエート類などを挙げられる。このような硬化剤は、通常、液状ラジカル重合型熱硬化性樹脂100重量部に対して0.5〜3.0重量部の範囲で使用され、好ましくは0.5〜2.0重量部が使用される。
【0035】上記の促進剤は、ナフテン酸コバルトで代表される有機酸の金属塩(金属石鹸)類、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルパラトルイジンなどの3級アミン類、フェロセン等、不飽和ポリエステル樹脂の室温硬化に通常使用される促進剤が使用される。これらの促進剤は、例えば、硬化剤としてケトンパーオキサイド、やハイドロパーオキサイドを使用した場合はナフテン酸コバルトのような金属石鹸との組合せが好ましく、硬化剤がジアシルパーオキサイドである場合には3級アミンとの組合せが好ましく、硬化剤がパーオキシカーボネートである場合にはフェロセンとの組合せが好ましい。このような促進剤は、金属石鹸類は液状ラジカル重合型熱硬化性樹脂100重量部に対して金属含有量6%のものに換算して0.5〜3.0重量部の範囲で使用され、好ましくは1.0〜2.0重量部が使用される。3級アミン類は液状ラジカル重合型熱硬化性樹脂100重量部に対して0.05〜1.0重量部の範囲で使用され、好ましくは0.1〜0.5重量部が使用される。
【0036】本発明の水性分散体の調製に際しては、本発明の水性分散体のタイプを選択するためと、安定性を高めるために界面活性剤を添加することが望ましい。
【0037】本発明に使用される界面活性剤としては、非イオン系界面活性剤が望ましい。非イオン系界面活性剤としては、(1)エステル型、(2)エーテル型、(3)アルキルフェノール型、(4)ソルビタンエステル型、(5)ポリオキシエチレンソルビタンエステル型、および(6)特殊非イオン型のいずれのタイプでも使用することができるが、タイプを選択した水性分散体の調整する場合は、必ずしも限定出来ないが、HLB値を参考にし、O/W型水性分散体を得るためにはHLB10以上の界面活性剤を、また、W/O型水性分散体を得るためにはHLB10以下の界面活性剤が使用される。このような界面活性剤の添加量は液状ラジカル硬化型熱硬化性樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部の範囲で使用され、好ましくは1.0〜5.0重量部で使用される。界面活性剤の添加量が0.5重量部よりも少ない場合は添加の効果が発揮されず、10重量部を超える量を添加した場合には耐水性が低下することがあり好ましくない。
【0038】本発明の多孔質成形物にさらに強度、耐久性などを付与するために必要に応じて強化材を併用することができる。このような強化材としては、例えば、チョップドガラス繊維、ガラスクロス、カーボンクロス、ガラスチョップストランドマット、アラミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維のような合成繊維クロス、あるいはこれら合成繊維不織布、レイヨン系不織布等が挙げられる。
【0039】
【実施例】次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0040】実施例1不飽和ポリエステル樹脂(日本ユピカ(株)製、商品名「ユピカ6510」(比重1.10))600gを秤量し、これに硬化剤として市販の50重量%濃度の過酸化ベンゾイル12g(樹脂100gに対して純分1g)、界面活性剤として「ニューコール1120」(ポリオキエチレンエーテル型「HLB16.4」、日本乳化剤(株)製)6gを加えゆっくりと混ぜながらよく混合し樹脂液を調合した。内径15cm、高さ20cmの金属製容器に、水道水400g(樹脂60gに対して40g)を、羽根の外径が4cmのディゾルバーを使用して、回転数3000rpmで撹拌しながら、先に調合した樹脂液を2分間かけて滴下し、滴下終了後3000rpmで5分間撹拌してO/W型水性分散体を得た。得られたO/W型水性分散体に、N,N−ジメチルアニリン1.2gを加え十分に溶解した後、該水性分散体にFRP微粉砕物700gを加え撹拌分散させる。10×400×400mmの型に流し込み振動を与えて脱泡した。室温で20分硬化させた後50℃の硬化炉に入れ30分硬化乾燥して、厚さ10mmの平板状透水性多孔質成形物を得た。この多孔質平板に水を滴下すると、水は直ぐ平板に吸収され2分間継続して水を滴下すると、裏面から水が流出し、透水性を有する連続多孔質成形物であることが認められた。
【0041】実施例2内径15cm、高さ20cmの金属製容器に、液状不飽和ポリエステル樹脂(日本ユピカ(株)製、商品名「ユピカ9090」(比重1.09))240gを秤量し、これに硬化促進剤として市販のN,N−ジメチルアニリン0.5g(樹脂100gに対して0.2g)、界面活性剤として「イオネットT−20C」(ポリオキエチレンソルビタンエステル型「HLB16.7」、三洋化成工業(株)製)5gを加えゆっくりと混ぜながらよく混合し樹脂液を調合した。水道水160g(樹脂60gに対して40g)を、羽根の外径が4cmのディゾルバーを使用して、回転数3000rpmで撹拌しながら、先に調合した樹脂液を1分間かけて滴下し、滴下終了後3000rpmで5分間撹拌してO/W型水性分散体を得た。得られたO/W型水性分散体に、市販50%BPO商品名「ナイパーFF」(日本油脂(株)製)8gを加え十分に溶解した後、該水性分散体に砂1500gを加え撹拌し混合分散させ、30mm×300mm×300mmの型に流し込み振動を与えて脱泡した後、室温で1時間硬化させた後60℃で30分後硬化乾燥させて、厚さ30mmの平板状硬化物を得た。この多孔質平板に水を滴下すると、水は直ぐ板に吸収され20秒後に裏面から水が流出し、透水性を有する連続多孔質成形物であることが認められた。
【0042】実施例3不飽和ポリエステル樹脂(日本ユピカ(株)製、商品名「ユピカ6502」(比重1.10))600gを秤量し、これに硬化促進剤として市販のN,N−ジメチルアニリン1.2g(樹脂100gに対して純分0.2g)を加え十分に溶解した後、界面活性剤として「ノニオンE−230」(ポリオキエチレンエーテル型「HLB16.6」、日本油脂(株)製)6gを加えゆっくりと混ぜながらよく混合し樹脂液を調合した。内径15cm、高さ20cmの金属製容器に、水道水300g(樹脂66gに対して34g)を、羽根の外径が4cmのディゾルバーを使用して、回転数3000rpmで撹拌しながら、先に調合した樹脂液を2分間かけて滴下し、滴下終了後3000rpmで5分間撹拌してO/W型水性分散体を得た。得られたO/W型水性分散体に、市販の硬化剤として50重量%濃度の過酸化ベンゾイル12g(樹脂100gに対して純分1g)を加え良く溶解させた後、該水性分散体に木材の切削屑150gを加え撹拌し混合分散させ、30mm×300mm×300mmの型に流し込み振動を与えて脱泡した後表面をFRP板で覆い、20kgの重りを載せ室温で1時間硬化させた。その後80℃の硬化炉に入れ30分硬化乾燥して、厚さ30mmの板状多孔質硬化物を得た。この多孔質平板に水を滴下すると、水は直ぐ板に吸収され10分間継続して水を滴下すると、裏面から水が流出した。透水性は低いが十分に通気性を有する連続多孔質成形物であることが認められた。
【0043】実施例4内径15cm、高さ20cmの金属製容器に、液状エポキシアクリレート樹脂(日本ユピカ(株)製、商品名「ネオポール8250L」(比重1.08))300gを秤量し、これに硬化促進剤としてN,N−ジメチルアニリン0.6g(樹脂100gに対して0.2g)、界面活性剤として「ノニオンO−2」(ポリオキエチレンエステル型「HLB7.9」、日本油脂(株)製)6gを加えゆっくりと混ぜながらよく混合し、羽根の外径が4cmのディゾルバーを使用して、回転数3000rpmで撹拌しながら、水道水200g(樹脂60gに対して40g)を5分間かけて滴下し、滴下終了後3000rpmで5分間撹拌してW/O型水性分散体を得た。得られたW/O型水性分散体に、市販50%BPO商品名「ナイパーFF」(日本油脂(株)製)6gを加え十分に溶解した後、該水性分散体に砂2000gを加え撹拌し混合分散させ、20mm×400mm×400mmの型に流し込み振動を与えて脱泡した。室温で1時間硬化させた後60℃で1時間後硬化乾燥させて、厚さ20mmの平板状多孔質硬化物を得た。この多孔質平板に水を滴下すると、水は直ぐ板に吸収され2分後に裏面から水が流出し、透水性を有する連続多孔質硬化物であることが認められた。
【0044】比較例1内径15cm、高さ20cmの金属製容器に、液状不飽和ポリエステル樹脂(日本ユピカ(株)製、商品名「ユピカ6510」(比重1.10))500gを秤量し、硬化剤として市販の50重量%濃度の過酸化ベンゾイル10g(樹脂100gに対して純分1g)N,N−ジメチルアニリン1gを加え十分に溶解した後、木粉100gを加え撹拌し混合分散させる。この混合物を50mm×200mm×100mmの型に流し込み振動を与えて脱泡した後、室温で1時間硬化させた後80℃で30分後硬化させた。硬化後型から硬化物を取出し105℃で1時間加熱し、板状硬化物を得た。得られた平板に水を滴下したが水は吸収されず、また、平板を水の中に30分浸漬したが重量増加が認められなかった。この結果、得られた平板硬化物は多孔質体ではないことが認められた。
【0045】
【発明の効果】本発明は、(1)有機または/および無機の粉粒状産業廃棄物等を付加価値の高い素材として再利用することが可能であり、産業廃棄物等を有効利用することができ、産業上極めて意義あるものである。
(2)また、本発明の多孔質成形物を製造するに際して、熱硬化性樹脂水性分散体として、水相中に樹脂粒子を分散させたタイプの水性分散体、すなわちO/W型熱硬化性樹脂水性分散体を使用することにより、成形製造工程における作業環境を改善することができスチレン等のモノマー臭が極めて低い状態で作業することが可能である。
(3)本発明による多孔質成形物は、連続気孔を有し且つ優れた強度を有し、通気性、透水性、調湿性能等に優れた多孔質成形物であり、例えば壁材や天井材等の建材として、また透水性レンガや敷き石等として利用することができる。
【出願人】 【識別番号】000230364
【氏名又は名称】日本ユピカ株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区内幸町2丁目1番1号
【出願日】 平成14年4月16日(2002.4.16)
【代理人】 【識別番号】100077573
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 勇
【公開番号】 特開2003−306507(P2003−306507A)
【公開日】 平成15年10月31日(2003.10.31)
【出願番号】 特願2002−113191(P2002−113191)