| 【発明の名称】 |
アクリル系ポリマーエマルションの製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】前田 和久 【住所又は居所】大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東電工株式会社内
【氏名】梅田 道夫 【住所又は居所】大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東電工株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】固形分濃度を高めても、低粘度で凝集物の少ないアクリル系ポリマーエマルションを得ることのできる、アクリル系ポリマーエマルションの製造方法を提供すること。
【解決手段】(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする反応性モノマーを乳化させることより滴下乳化液を調製し、この滴下乳化液を、最終的に得られるアクリル系ポリマーエマルションの固形分に対して0.0001〜0.01重量%の割合でシードポリマーが含有されている水性媒体中に滴下して、反応性モノマーを重合させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (メタ)アクリル酸エステルを主成分とする反応性モノマーを乳化させることより滴下乳化液を調製し、この滴下乳化液を、最終的に得られるアクリル系ポリマーエマルションの固形分に対して0.0001〜0.01重量%の割合でシードポリマーが含有されている水性媒体中に滴下して、反応性モノマーを重合させることを特徴とする、アクリル系ポリマーエマルションの製造方法。 【請求項2】 シードポリマーが、アクリル系ポリマーであることを特徴とする、請求項1に記載のアクリル系ポリマーエマルションの製造方法。 【請求項3】 シードポリマーを含むシードポリマーエマルションを水性媒体中に添加した後に、滴下乳化液を滴下することを特徴とする、請求項1または2に記載のアクリル系ポリマーエマルションの製造方法。 【請求項4】 シードモノマーを含むシードモノマーエマルションを水性媒体中に添加して、シードモノマーを重合させることによりシードポリマーを生成させた後に、滴下乳化液を滴下することを特徴とする、請求項1または2に記載のアクリル系ポリマーエマルションの製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、アクリル系ポリマーエマルションの製造方法、詳しくは、塗料、接着剤、粘着剤などの分野において用いられるアクリル系ポリマーエマルションの製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、アクリル系ポリマーエマルションは、塗料、接着剤、粘着剤など種々の分野において広く用いられている。このようなアクリル系ポリマーエマルションは、種々の特性の1つとして、固形分濃度を高くすることが要望されている。すなわち、例えば、粘着剤の分野では、粘着ラベル、粘着テープなどの製造に用いられるアクリル系ポリマーエマルションの固形分濃度を高くすることが、塗工時の乾燥時間の短縮、ひいては、生産効率の向上を図る観点より、強く望まれている。 【0003】しかし、単純に固形分濃度を高めても、エマルションの粘度の上昇につながり、その製造工程において、却って、重合反応器の除熱や、凝集物の付着を発生させるという不具合を生じる。 【0004】しかるに、エマルションの粒径が小さくなると粘度が上昇することから、このような不具合を解消するためには、エマルション中の粒子の粒径を大きくし、かつ、粒度分布の幅を広げればよいことが知られており、そのための手法が種々提案されている。 【0005】例えば、米国特許第4130523号公報には、重合途中で重合反応器からエマルションの一部を取り出し、これを最終段階で再び連続的に投入して重合する方法が提案されている。また、特開昭56−157401号公報には、多量の重合禁止剤の存在下において乳化重合する方法が提案されている。さらに、特開平7−233208号公報には、乳化剤の量を増加させながら、連続あるいは断続的に添加して乳化重合する方法が提案されている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかし、米国特許第4130523号公報に記載される方法では、設備が複雑となり、また、重合途中のエマルションを取り出すという危険性を伴なう操作が必要となり、さらには、機械的安定性に欠けるエマルションでは、取り出し時にグリッド(塊状物)を生成するという不具合がある。 【0007】また、特開昭56−157401号公報に記載される方法では、エマルション中に多量の未反応モノマーを存在させることになり、エマルションの品質低下を招くという不具合がある。 【0008】さらに、特開平7−233208号公報に記載される方法では、粒径を大きくするには、重合初期に添加する乳化剤量を、この方法の性質上少なくせざるを得ないが、重合初期の乳化剤量が少なくなり過ぎると、凝集物が発生するという不具合を生じ、一方、凝集物の発生を抑制する程度の乳化剤量で添加すると、所望する大きな粒径の粒子を得ることができないという不具合がある。 【0009】本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、固形分濃度を高めても、低粘度で凝集物の少ないアクリル系ポリマーエマルションを得ることのできる、アクリル系ポリマーエマルションの製造方法を提供することにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明のアクリル系ポリマーエマルションの製造方法は、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする反応性モノマーを乳化させることより滴下乳化液を調製し、この滴下乳化液を、最終的に得られるアクリル系ポリマーエマルションの固形分に対して0.0001〜0.01重量%の割合でシードポリマーが含有されている水性媒体中に滴下して、反応性モノマーを重合させることを特徴としている。 【0011】本発明の製造方法において、シードポリマーは、アクリル系ポリマーであることが好ましい。 【0012】また、本発明の製造方法では、シードポリマーを含むシードポリマーエマルションを水性媒体中に添加した後に、滴下乳化液を滴下してもよく、また、シードモノマーを含むシードモノマーエマルションを水性媒体中に添加して、シードモノマーを重合させることによりシードポリマーを生成させた後に、滴下乳化液を滴下してもよい。 【0013】 【発明の実施の形態】本発明の製造方法では、まず、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする反応性モノマーを乳化させることより滴下乳化液を調製する。 【0014】(メタ)アクリル酸エステルは、メタクリル酸エステルおよび/またはアクリル酸エステルであって、例えば、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。 【0015】 CH2=CR1COOR2 (1) (式中、R1は水素またはメチル基を、R2は炭素数1〜17の直鎖または分岐のアルキル基を示す。)R2としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルへキシル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ラウリル基、ボルニル基、イソボルニル基、ミリスチル基、ペンタデシル基、ステアリル基などが挙げられる。 【0016】より具体的には、例えば、粘着剤の用途としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸へプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。 【0017】これら(メタ)アクリル酸エステルは、適宜、単独または併用して用いられる。また、これら(メタ)アクリル酸エステルは、最終的に得られるアクリル系ポリマーエマルションの固形分(反応性モノマーの添加量の全量に相当する。)100重量部に対して、50重量部以上の割合で用いることが好ましい。50重量部より少ないと、アクリル系ポリマーエマルションとしての特性が発現しにくくなる場合がある。 【0018】また、反応性モノマーとして、上記した(メタ)アクリル酸エステル以外に、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なモノマーを併用してもよい。そのような共重合可能なモノマーとして、例えば、官能基を含有する官能基含有モノマーなどが挙げられる。 【0019】官能基含有モノマーとしては、例えば、粘着剤の用途として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシブチルなどの水酸基含有モノマー、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸ジアミノエチルなどのアミノ基含有モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルなどのグリシジル基含有モノマー、その他、(メタ)アクリロニトリル、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニル−2−ピロドリンなどが挙げられる。 【0020】これら官能基含有モノマーは、適宜、単独または併用して用いられる。また、これら官能基含有モノマーは、最終的に得られるアクリル系ポリマーエマルションの固形分100重量部に対して、10重量部以下の割合で用いることが好ましい。10重量部を超えると、アクリル系ポリマーエマルションとしての特性が発現しにくくなる場合がある。 【0021】また、共重合可能なモノマーとして、架橋を目的として、例えば、シラン系モノマーを少量併用してもよい。そのようなシラン系モノマーとしては、例えば、粘着剤の用途として、例えば、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。 【0022】これらシラン系モノマーは、適宜、単独または併用して用いられる。また、これらシラン系モノマーは、最終的に得られるアクリル系ポリマーエマルションの固形分100重量部に対して、0.005〜0.5重量部、さらには、0.01〜0.1重量部の割合で用いることが好ましい。0.005重量部より少ないと、シラン系モノマーの添加の効果が発現しにくくなる場合があり、また、0.5重量部を超えると、得られるアクリル系ポリマーの硬度が高くなり過ぎて、アクリル系ポリマーエマルションとしての特性が発現しにくくなる場合がある。 【0023】そして、滴下乳化液は、このような反応性モノマーとともに、乳化剤、必要に応じて連鎖移動剤や公知の添加剤などを水中に添加し、撹拌混合して、乳化させることより、調製することができる。 【0024】乳化液としては、乳化重合の乳化剤として通常使用される公知の乳化剤が用いられ、例えば、粘着剤の用途としては、アニオン系乳化剤やノニオン系乳化剤などが用いられる。 【0025】アニオン系乳化剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどが挙げられる。 【0026】ノニオン系乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーなどが挙げられる。これらの乳化剤は、適宜、単独または併用して用いられる。なお、例えば、プロペニル基などを導入したラジカル重合性の乳化剤を用いてもよい。 【0027】これらの乳化剤は、適宜、単独または併用して用いられる。乳化剤の添加量は、最終的に得られるアクリル系ポリマーエマルションの固形分100重量部に対して、通常、0.3〜10重量部、好ましくは、0.5〜5重量部である。乳化剤の添加量が、0.3重量部より少ないと、重合安定性が保持できずに、凝集物を生成する場合がある。一方、10重量部を超えると、アクリル系ポリマーエマルションとしての特性が発現しにくくなる場合がある。 【0028】連鎖移動剤は、必要により、ポリマーの分子量を調節するために用いられ、そのような連鎖移動剤としては、乳化重合の連鎖移動剤として通常使用される公知のものが用いられる。より具体的には、例えば、粘着剤の用途として、例えば、1−ドデカンチオール、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸2−エチルへキシル、2,3−ジメチルカプト−1−プロパノ−ルなどが挙げられる。 【0029】これらの連鎖移動剤は、適宜、単独または併用して用いられる。連鎖移動剤の添加量は、最終的に得られるアクリル系ポリマーエマルションの固形分100重量部に対して、通常、0〜5重量部、好ましくは、0〜1重量部である。 【0030】また、その他の添加剤としては、例えば、pH緩衝剤、中和剤、発泡防止剤、安定剤など、乳化重合の添加剤として通常使用される公知のものが用いられる。 【0031】そして、本発明の製造方法では、このように調製された滴下乳化液を、シードポリマーが含有されている水性媒体中に滴下して、反応性モノマーを重合させる。水性媒体としては、水や、必要に応じて水にアルコール類などの水溶性溶媒が少量添加されているものが適宜用いられる。なお、水性媒体の量は、滴下乳化液との割合などから適宜決定すればよいが、例えば、最終的に得られるアクリル系ポリマーエマルションの固形分100重量部に対して、通常、30〜200重量部、好ましくは、40〜100重量部である。 【0032】また、シードポリマーは、滴下乳化液が滴下されたときに、反応性モノマーに反応場を提供するためのシード粒子であって、水性媒体中に、最終的に得られるアクリル系ポリマーエマルションの固形分に対して0.0001〜0.01重量%、好ましくは、0.001〜0.01重量%の割合で、滴下乳化液が滴下される前に、予め含有させておく。 【0033】このようなシードポリマーを、水性媒体中に予め少量含有させておくことで、低粘度のアクリル系ポリマーエマルションを得ることができる。最終的に得られるアクリル系ポリマーエマルションの粘度を低減できる原因は、明確ではないが、シードポリマー内部において、反応性モノマーの反応が優先的に起こるので、少量のシードポリマーの存在によって、重合できる粒子数が少なく限定され、そのために、最終的に得られるアクリル系ポリマーエマルションの粒子数の減少および粒径の増大がもたらされ、その結果、粘度低下が引き起こされると推測される。 【0034】しかるに、水性媒体中にシードポリマーが存在しない場合には、滴下乳化液中の乳化剤量によって粒径が決定されるため、粒径を大きくするためには乳化剤量を低減する必要がある。しかし、乳化剤量を低減すると、重合安定性が保持できずに、凝集物を生成して、重合反応器の壁面に汚れを生じるなどの不具合を生じる。一方、本発明の製造方法では、シードポリマーによって重合できる粒子数を予め規定できるため、乳化剤量が多くても、大きな粒径の粒子を得ることができ、かつ、良好な重合安定性を保持することができる。 【0035】また、シードポリマーの含有割合が、0.0001重量%より少ないと、最終的に得られるアクリル系ポリマーエマルションの粘度を低減させることができず、一方、0.01重量%を超えると、凝集物を生成させる場合がある。 【0036】シードポリマーを、水性媒体中に予め含有させるには、シードポリマーを形成するためのシードモノマーを含むシードモノマーエマルションを水性媒体中に添加して、シードモノマーを重合させることによりシードポリマーを生成させるか、あるいは、予め形成されたシードポリマーを含むシードポリマーエマルションを水性媒体中に添加すればよい。 【0037】シードモノマーエマルションは、シードポリマーを形成するためのシードモノマーを含むエマルションであって、例えば、シードモノマーとして上記した反応性モノマーを用いて、そのシードモノマー、上記した乳化剤、および、必要に応じて上記した連鎖移動剤や公知の添加剤などを水中に添加し、上記と同様の方法によって、乳化させることより得ることができる。 【0038】そして、シードモノマーエマルションを水性媒体中に添加して、シードモノマーを重合させることによりシードポリマーを生成させるには、まず、シードモノマーエマルションを、生成されるシードポリマーの量(すなわち、シードモノマーエマルションの固形分量)が、上記した割合となるような所定の量で水性媒体中に添加し、次いで、そのシードモノマーエマルション中のシードモノマーを、後述するように、重合開始剤を添加して、乳化重合させることによって、シードポリマーを生成させればよい。 【0039】また、シードポリマーエマルションは、予め形成されたシードポリマーを含むエマルションであって、例えば、上記したシードモノマーエマルションを調製した後、そのシードモノマーエマルション中のシードモノマーを、後述する方法などのように、重合開始剤を添加して、公知の方法によって乳化重合させることによって、シードポリマーを予め形成させればよい。 【0040】そして、シードポリマーエマルションを水性媒体中に添加するには、シードポリマーエマルションを、そのシードポリマーエマルション中に形成されているシードポリマーの量(すなわち、シードポリマーエマルションの固形分量)が上記した割合となるような所定の量で水性媒体中に添加すればよい。 【0041】また、シードポリマーの組成は、シードモノマーの種類を、上記した反応性モノマーの中から適宜選択して決定すればよく、例えば、最終的に得られるアクリル系ポリマーエマルションと同一組成(すなわち、この場合には、滴下乳化液とシードモノマーエマルションが同一組成となる。)となるように調製してもよく、また、異なる組成となるように調製してもよい。 【0042】そして、本発明の製造方法では、滴下乳化液を、このようにしてシードポリマーが含有されている水性媒体中に滴下して、反応性モノマーを重合させる。 【0043】このような反応性モノマーの重合では、まず、水性媒体中に、重合開始剤を添加する。重合開始剤としては、乳化重合の重合開始剤として通常使用される公知のものが用いられる。そのような重合開始剤としては、特に制限されず、公知のラジカル重合開始剤でよく、例えば、粘着剤の用途としては、アゾ系、過硫酸塩、過酸化物系、過硫酸塩、過酸化物と還元剤を組み合わせたレドックス開始剤などが挙げられる。より具体的には、例えば、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、過硫酸カリウム、過流酸アンモニウム、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素、硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムの組み合わせや過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムなどの組み合わせなどが挙げられる。 【0044】これらの重合開始剤は、適宜、単独または併用して用いられる。重合開始剤の添加量は、最終的に得られるアクリル系ポリマーエマルションの固形分100重量部に対して、通常、0.01〜1重量部、好ましくは、0.02〜0.5重量部である。 【0045】重合開始剤の添加は、滴下乳化液を滴下する前であって、シードモノマーエマルションまたはシードポリマーエマルションの添加の前後でよく、好ましくは、シードモノマーエマルションまたはシードポリマーエマルションを添加した後、水性媒体を所定の重合温度まで昇温させた後であることが好ましい。 【0046】また、滴下乳化液の滴下は、その全量を連続して滴下してもよく、あるいは、断続的に分割して滴下してもよい。 【0047】そして、本発明の製造方法では、より具体的には、シードモノマーエマルションを添加する場合には、まず、水性媒体に、シードモノマーエマルションを添加して、例えば、40〜80℃に昇温した後、次いで、重合開始剤を添加して、シードモノマーを乳化重合させることによって、シードポリマーを形成させ、その後、滴下乳化液を滴下すればよい。 【0048】また、シードポリマーエマルションを添加する場合には、まず、水性媒体に、シードポリマーエマルションを添加して、例えば、40〜80℃に昇温した後、次いで、重合開始剤を添加して、滴下乳化液を滴下すればよい。 【0049】滴下乳化液が滴下されると、水性媒体中において、滴下乳化液中のミセルに重合開始剤が浸透し、シードポリマーが反応場となって、反応性モノマーの乳化重合が開始される。 【0050】そして、滴下乳化液を全量滴下し、反応温度40〜80℃、反応時間0.5〜50時間において、乳化重合する。その後、反応終了後において、必要により、中和などの後処理をすることによって、アクリル系ポリマーエマルションを得ることができる。 【0051】そして、本発明の製造方法では、このようにして得られるアクリル系ポリマーエマルションにおいて、凝集物が少なく、そのメジアン粒子径を、例えば、0.5〜0.7μm程度に大きくすることができ、しかも、その固形分濃度が、例えば、50〜60重量%の高濃度であっても、その粘度を、2.0〜5.0Pa・s程度の低粘度にすることができる。 【0052】 【実施例】以下に実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例および比較例に何ら限定されるものではない。 【0053】実施例11)モノマーエマルションの調製アクリル酸ブチル86.5重量部、アクリル酸2−エチルヘキシル9.6重量部、アクリル酸3.8重量部、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム25重量%水溶液8.0重量部を、水37.6重量部に添加して、乳化することにより、モノマーエマルションを調製した。 【0054】2)アクリル系ポリマーエマルションの製造水40重量部、シードモノマーエマルションとして上記で調製したモノマーエマルション0.007重量部(最終的に得られるアクリル系ポリマーエマルションの固形分に対してシードポリマーが0.005重量%に相当する量)を重合反応釜に添加し、60℃まで昇温した。その後、60℃に制御しながら、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩を0.1重量部添加し、シードポリマーを形成させた。その後、滴下乳化液として上記で調製したモノマーエマルション全量(シードモノマーエマルションとして添加した残量)を、4時間にわたって一定速度で添加した。反応終了後、10重量%アンモニア水溶液にて、pH8となるように中和して、アクリル系ポリマーエマルションを得た。得られたアクリル系ポリマーエマルションは、メジアン粒子径が0.65μm、固形分濃度が54重量%、粘度が3.1Pa・sであった。 【0055】なお、メジアン粒子径の測定には、HORIBA製レーザー散乱式粒度分布計LA−90を用いた。また、粘度は、B型粘度計を用いて回転数20min−1における値を測定した。これらの測定方法は、以下の実施例および比較例についても同様である。 【0056】比較例1シードモノマーエマルションとしてモノマーエマルション0.007重量部を添加せず、モノマーエマルション全量を、4時間にわたって一定速度で添加した以外は、実施例1と同一の操作によって、アクリル系ポリマーエマルションを得た。得られたアクリル系ポリマーエマルションは、メジアン粒子径が0.40μm、固形分濃度が54重量%、粘度が15Pa・sであった。 【0057】実施例2シードポリマーエマルションとして、比較例1で得られたアクリル系ポリマーエマルション0.09重量部(最終的に得られるアクリル系ポリマーエマルションの固形分に対してシードポリマーが0.005重量%に相当する量)を添加した以外は、実施例1と同一の操作によって、アクリル系ポリマーエマルションを得た。得られたアクリル系ポリマーエマルションは、メジアン粒子径が0.55μm、固形分濃度が54重量%、粘度が3.8Pa・sであった。 【0058】比較例2シードモノマーエマルションとして、実施例1のモノマーエマルション0.14重量部(最終的に得られるアクリル系ポリマーエマルションの固形分に対してシードポリマーが約0.1重量%に相当する量)を添加した以外は、実施例1と同一の操作によって、アクリル系ポリマーエマルションを得た。得られたアクリル系ポリマーエマルションは、メジアン粒子径が0.38μm、固形分濃度が54重量%、粘度が13Pa・sであった。 【0059】なお、比較例2では、重合反応釜の下部に、実施例1、2や比較例1では見られなかった凝集物の汚れが見られた。 【0060】比較例3シードポリマーエマルションとして、比較例1で得られたアクリル系ポリマーエマルション0.19重量部(最終的に得られるアクリル系ポリマーエマルションの固形分に対してシードポリマーが約0.1重量%に相当する量)を添加した以外は、実施例1と同一の操作によって、アクリル系ポリマーエマルションを得た。得られたアクリル系ポリマーエマルションは、メジアン粒子径が0.41μm、固形分濃度が54重量%、粘度が11Pa・sであった。 【0061】 【発明の効果】以上述べたように、本発明のアクリル系ポリマーエマルションの製造方法では、得られるアクリル系ポリマーエマルションにおいて、凝集物が少なく、粒径を大きくでき、しかも、固形分濃度が高濃度であっても、低粘度にすることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003964 【氏名又は名称】日東電工株式会社 【住所又は居所】大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号
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| 【出願日】 |
平成14年4月15日(2002.4.15) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100103517 【弁理士】 【氏名又は名称】岡本 寛之
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| 【公開番号】 |
特開2003−306501(P2003−306501A) |
| 【公開日】 |
平成15年10月31日(2003.10.31) |
| 【出願番号】 |
特願2002−111807(P2002−111807) |
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