トップ :: C 化学 冶金 :: C07 有機化学




【発明の名称】 2−ヒドロキシ−5−メチルピリジンの製造方法
【発明者】 【氏名】詫摩 勇樹
【住所又は居所】神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社内

【氏名】松本 陽一
【住所又は居所】神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社内

【要約】 【課題】医薬および農薬の中間体として有用な2−ヒドロキシ−5−メチルピリジンを製造するにあたり、3−シアノ−6−ヒドロキシピリジンから効率よく簡便に製造する方法を提供する。

【解決手段】3−シアノ−6−ヒドロキシピリジンを、酸とアニオン性界面活性剤の存在下、還元触媒を用いて接触水素還元することを特徴とする2−ヒドロキシ−5−メチルピリジンの製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 3−シアノ−6−ヒドロキシピリジンを、酸とアニオン性界面活性剤の存在下、還元触媒を用いて接触水素還元することを特徴とする2−ヒドロキシ−5−メチルピリジンの製造方法。
【請求項2】 用いる還元触媒がPd/C、Pt/C、Pd/アルミナ又はPt/アルミナであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】 PKaが3以下である酸を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】 アニオン性界面活性剤がスルホン酸塩であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬および農薬の中間体として有用な2−ヒドロキシ−5−メチルピリジンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来ヒドロキシメチルピリジン誘導体の製造方法としては、モルホリンからシクロブチルモルホリン誘導体を経て2−ヒドロキシ−5−メチルピリジンを合成する方法(欧州公開特許EP162464,EP108483)が知られているが中間体の2−ブタナール誘導体のアルデヒド基の保護にモルホリンの脱着を必要として多工程になり低収率になるため工業的方法として難点がある。また、β−アミノ−アクリロニトリルとピロールと反応させ開鎖中間体を経てプロトン酸を用いて閉環反応させる方法(ドイツ特許公開DE4223013)が知られているが、低温反応を使用したり転嫁率が低いなど工業的に課題がある。また、アミノメチレン化2−ペンテン酸誘導体とアミンとの反応による方法(欧州公開特許EP592896)が知られているが43%と低収率で工業的に満足のいくものではない。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の方法よりも収率に優れ、短工程である新規2−ヒドロキシ−5−メチルピリジンの製造法を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、3−シアノ−6−ヒドロキシピリジンを接触水素還元するにあたり、ラウリル硫酸ナトリウムのようなアニオン性界面活性剤の共存下で、目的化合物が効率よくできることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち本発明の要旨は3−シアノ−6−ヒドロキシピリジンを、酸とアニオン性界面活性剤の存在下、還元触媒を用いて接触水素還元することを特徴とする2−ヒドロキシ−5−メチルピリジンの製造方法に存する。以下、本発明について詳細に説明する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明は、3−シアノ−6−ヒドロキシピリジンを、酸とアニオン性界面活性剤の存在下、還元触媒を用いて接触水素還元をすることを特徴とする。
(反応原料)原料である3−シアノ−6−ヒドロキシピリジンは、3−シアノピリジンを特開平6−197781号公報に記載の方法で合成することが出来る。
【0007】(還元触媒)本発明で使用する還元触媒は、シアノ基の接触水素還元に通常用いられる固体触媒であれば特に限定されないが、具体的にはPd/C、Pt/C、Pd/アルミナ、Pt/アルミナ等のパラジウム又は白金の担持触媒が挙げられる。ここで、担体としては、カーボン、アルミナ等の通常の担体を用いることができるが、このうち好ましくは、Pd/C又はPd/アルミナである。また、金属原子の担持比率は、通常、担体に対して0.5%以上、好ましくは1%以上であり、また10%以下、中でも8%以下程度である。
【0008】(水素)水素圧は高すぎると、副生成物が大量に生成される場合があるため、通常、2kg/cm2未満が好ましく、より好ましくは0.8〜1.2kg/cm2といった1kg/cm2近辺の圧力の場合良好な結果を得る。
(酸)用いる酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸などのC1〜C8のカルボン酸;クロロ酢酸などのC1〜C8のハロゲン置換カルボン酸;およびメタンスルホン酸、トリフルオロ硫酸、パラトルエンスルホン酸などのC1〜C8の有機スルホン酸;塩酸、硫酸などの硬酸などが挙げられるが、このうち、pKaが3以下であるものが好ましく、特に好ましくは2以下である。又、その使用量としては、基質1モルに対して通常等モル以上、好ましくは1.5モル以上用いられるが多すぎると後処理の観点から好ましくは10モル以下、より好ましくは8モル以下である。酸は一度に添加しても構わないが、系内を酸性状態に維持できる範囲で分割添加してもよい。
【0009】(アニオン性界面活性剤)アニオン性界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリン硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩が挙げられ、好ましくはC4〜C20のアルキル硫酸塩、好ましくはC8〜C20のアルキル硫酸塩が挙げられる。また、塩の種類としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等が挙げられるが、このうち、アルカリ金属塩が好ましく、特にはナトリウム塩が好ましい。
【0010】上記界面活性剤の使用量は、基質1モルに対して0.01〜10モル、好ましくは0.05〜5モルである。
(溶媒)使用する溶媒は、水;アセトニトリル、プロピオンニトリルなどのニトリル系溶媒;メタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒で、好ましくは、水、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、アセトニトリルである。これらを単独で用いてもよいが、釜効率の点からは混合溶媒を用いるのが好ましく、特に好ましくは、水とn−ブタノールの混合溶媒である。
【0011】溶媒量は、基質に対して0.5〜50体積等量で、好ましくは1〜20体積等量である。
(反応温度)反応温度としては、通常5℃以上、好ましくは10℃以上であって、溶媒の還流温度以下の範囲であれば任意の温度が設定できる。ここで、温度が高い場合には、液中の溶存水素量が減る方向にあるので、簡便な反応装置で反応効率を上げるには反応温度は低めの設定の方がより好ましいが、反応温度が低すぎると基質が溶解しにくいため、予め25℃以上、好ましくは40℃以上といった高めの温度で基質を溶解させた後で、任意の温度で反応を行うのが好ましい。
【0012】反応終了後は、定法に従って、触媒をろ過して除去し、残った反応液をアルカリ溶液で中和してから、2−ヒドロキシ−5−メチルピリジンをクロロホルム、n−ブタノールなどの有機溶媒で水層より抽出し、さらに減圧下でこれらの有機溶媒を留去して粗2−ヒドロキシ−5−メチルピリジンを得ることができ、これをさらにカラムクロマトグラフィーや晶析等の通常行われる精製方法を用いて精製することができる。
【0013】得られる2−ヒドロキシ−5−メチルピリジンは、例えば、臭素で臭素化する事により農薬中間体として有用な2−ブロモ−5−メチルピリジンに変換できる。以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はそれらの例に限定されるものではない。
【0014】
【実施例】実施例13−シアノ−6−ヒドロキシピリジン1.0gとラウリル硫酸ナトリウム0.24gをn−ブタノール8mlと水1mlの混合溶媒に添加した。続いて50℃に昇温して、98%硫酸(pKa=1.99)1.67gを水1mlに溶かした硫酸水を当該温度で滴下した。20分ほど攪拌した後に、室温まで冷却して5%Pd/C(エヌ.イーケムキャット製)0.354gを添加して、系内を水素置換して常圧で6時間水素化を行った。反応終了後、触媒をろ過して除去し、10%水酸化ナトリウム水溶液でpH=5に部分中和した後、n−ブタノールで抽出して、粗3−メチル−6−ヒドロキシピリジンのブタノール溶液を得た。この溶液を液体クロマトグラフィーで定量すると、転嫁率99.2%、2−ヒドロキシ−5−メチルピリジンの収率が83%であった。
【0015】比較例13−シアノ−6−ヒドロキシピリジン1.0gと5%Pd/C0.177gと98%硫酸1.67gとを水10.4mlに混合してサスペンションとした。室温で系内を水素置換して常圧、室温で10時間水素化を行った。反応終了後、触媒をろ過して除去し、47%水酸化ナトリウム水溶液で中和して、クロロホルムで抽出して、粗3−メチル−6−ヒドロキシピリジンの溶液を得た。この溶液を液体クロマトグラフィーで定量すると、転嫁率99.6%と実施例1と同等であったが、2−ヒドロキシ−5−メチルピリジンの収率が65%であった。
【0016】
【発明の効果】本発明によれば、3−シアノ−6−ヒドロキシピリジンのシアノ基を接触水素還元にて効率よくメチル基に変換することができる。
【出願人】 【識別番号】000005968
【氏名又は名称】三菱化学株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目5番2号
【出願日】 平成14年3月8日(2002.3.8)
【代理人】 【識別番号】100103997
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 曉司
【公開番号】 特開2003−261535(P2003−261535A)
【公開日】 平成15年9月19日(2003.9.19)
【出願番号】 特願2002−63548(P2002−63548)