| 【発明の名称】 |
芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液および、その輸送方法並びに貯蔵方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】植田 義弘 【住所又は居所】兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の1 株式会社日本触媒内
【氏名】守屋 篤 【住所又は居所】兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の1 株式会社日本触媒内
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| 【要約】 |
【課題】融点が50℃を越える芳香族マレイミドの溶液にあって、アクリロニトリルよりも遙かに低毒性、高沸点であり、しかも水分含有率の小さい有機溶媒の溶液を開発し、安定に輸送方法あるいは貯蔵する方法を提供する。
【解決手段】芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液として、重合禁止剤に、一次酸化防止剤及び二次酸化防止剤を併用する。さらには、(1)融点が50℃を越える芳香族マレイミド、(2)重合禁止剤を含有する芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液であって、60℃における耐熱変色経時変化テスト前の溶液の色を基準にして測定した、60℃×3ヶ月保存後の該(メタ)アクリルエステル溶液の色の色差が、7以下である事を特徴とする芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】(1)融点が50℃を越える芳香族マレイミド、(2)重合禁止剤を含有する芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液であって、60℃における耐熱変色経時変化テスト前の溶液の色を基準にして測定した、60℃×3ヶ月保存後の該(メタ)アクリルエステル溶液の色の色差が、7以下である事を特徴とする芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液。 【請求項2】(1)融点が50℃を越える芳香族マレイミド、(2)重合禁止剤として一次酸化防止剤及び二次酸化防止剤を含有する芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液。 【請求項3】上記、芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液を基準にした、(1)融点が50℃を超える芳香族マレイミドの含有量が10〜70重量%であり、(2)重合禁止剤の総含有量が0.0001〜5重量%である、請求項1または2記載の芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液。 【請求項4】一次酸化防止剤が、下記一般式(1)で表される化合物であり、二次酸化防止剤が燐系の二次酸化防止剤である請求項2または3記載の芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液。 一般式(1): 【請求項5】(1)融点が50℃を越える芳香族マレイミド、(2)重合禁止剤として一次酸化防止剤及び二次酸化防止剤を含有する芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液を、20〜75℃の範囲の温度に調整しながら輸送する方法。 【請求項6】(1)融点が50℃を越える芳香族マレイミド、(2)重合禁止剤として一次酸化防止剤及び二次酸化防止剤を含有する芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液を、20〜75℃の範囲の温度に調整しながら貯蔵する方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液に関してであり、耐熱変色経時変化させても変色が少ない当該(メタ)アクリル酸エステル溶液に関してである。合わせて、当該(メタ)アクリル酸エステル溶液を使用して行う輸送方法ないし、当該(メタ)アクリル酸エステル溶液貯蔵方法に関するものである。芳香族マレイミドは樹脂、医療、農薬などの原料として有用な化合物であるが、本発明は取り扱いが容易で安全かつ簡単な芳香族マレイミドの輸送方法ならびに貯蔵方法を提供するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、常温で固体の芳香族マレイミドは粉体、フレーク、タブレットなどの形状で取り扱われているのが一般的である。しかしながら、このような形態の芳香族マレイミド中には芳香族マレイミドの微粉末が含まれている。特にこのような固体状の芳香族マレイミドの輸送中、芳香族マレイミドの粉化が進み、芳香族マレイミドの微粉末が多量に発生する。芳香族マレイミドそのものは人体に対して刺激性があり、特に微粉末を吸入すると鼻腔、咽喉を刺激し、咳、くしゃみが出、また皮膚に付着したまま放置すると炎症を起こすなど好ましくない性質を有している。それゆえ、このような微粉末を含有している芳香族マレイミドを取り扱う場合には、できる限り皮膚への接触を避けるよう厳重な注意を払う必要がある。従って、芳香族マレイミドの輸送に際してできるだけ微粉末を発生しないようにしたり、また輸送後の芳香族マレイミドから微粉末を除去するために多大の労力を要している。さらに、固体物質の輸送は多くの場合、紙袋、ドラム缶、コンテナなどに固体物質を充填し輸送されるが、これらの場合どうしても芳香族マレイミドと人体との接触が避けられず、人体に芳香族マレイミドの微粉末が付着することは不可避である。加えて、人体と接触しないようにするために固体物質の配管による輸送を行おうとしても、配管による輸送は基本的に困難であり、配管輸送中に管内を閉塞したりする問題がある。これら固体物質を安定に輸送するためには固体の形、大きさ、比重などに厳しい制約が課せられる。このように、常温で固体の芳香族マレイミドの輸送方法には数々の困難な問題があると言わざるを得ない。同様のことが、その貯蔵方法についても言える。一方、芳香族マレイミドをアクリロニトリルの溶液として輸送あるいは貯蔵する方法が特開昭62−126167号公報に開示されている。この方法は芳香族マレイミドを取り扱う上で上述のような問題点を解決できるという点で優れた方法といえるが、アクリロニトリルの沸点が77.3℃(at1013×102Pa)と低いこと、毒性が強く、きわめて引火性が高いということを考えると、アクリロニトリル溶液を高い温度で保持するということは安全上問題があると言わざるを得ない。また、アクリロニトリル中には重合禁止剤と共に水が0.5wt%程度含まれていることに由来して、芳香族マレイミドがアクリロニトリル中の水分により加水分解を起こし純度の低下を招き、また、加水分解物であるアミン化合物が着色の原因になることから、品質面においても問題点がある。それゆえ、特に融点が50℃を越える芳香族マレイミドの取り扱い方法としては、まだ改良の余地があった。また、特に芳香族マレイミドは融点も高く、マレイミド溶液として例えば濃度を高くすると溶液の粘度が問題になる場合もしばしばあった。また芳香族マレイミド溶液は変色性の点で耐熱変色しやすく、常温の保存であっても、製造時にはなかった着色が起きやすいという問題もあった。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】このように、従来の芳香族マレイミドをアクリロニトリルに溶解して輸送方法ないし貯蔵する方法は、安全性の面及び品質の面でさらに厳しい要求に対しては、十分に完成された方法とは言えなかった。 【0004】本発明の目的は、融点が50℃を越える芳香族マレイミドの溶液にあって、アクリロニトリルよりも遙かに低毒性、高沸点であり、しかも水分含有率の小さい有機溶媒の溶液を開発することであり、具体的には、芳香族マレイミドの重合性単量体溶液を提供することである。さらには、芳香族マレイミドの溶液を安定に輸送方法あるいは貯蔵する方法を提供することである。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、芳香族マレイミドの、種々の重合性単量体溶液に対する溶解性、取扱い性および溶解後の当該溶液の安定性、特に耐熱変色安定性を評価した。そして、上記溶解性と取扱い性、および耐熱変色性を満足させるために、芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液を検討対象とし、それに重合禁止剤の種類、及びその量と、当該芳香族マレイミドの溶液の耐熱変色安定性を詳細に検討した。その結果以下の様に、特定の重合禁止剤を併用、具体的には、一次酸化防止剤と二次酸化防止剤を併用することにより、芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液が、非常に優れた取扱い性と共に、非常に優れた耐熱変色性を保有することを見出した。その結果得られた芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液が種々の問題点を解決できることを見出し本発明を完成した。また、本件で得られた芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液は、従来にはない顕著な物性を示す溶液である事もわかり、その溶液を使用すれば、工業的に優れた芳香族マレイミドの重合性単量体溶液としての輸送方法および貯蔵方法を提案できることもわかった。以下に具体的に本発明の詳細を説明する。 【0006】本発明は、(1)融点が50℃を越える芳香族マレイミド、(2)重合禁止剤を含有する芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液であって、60℃における耐熱変色経時変化テスト前の溶液の色を基準にして測定した、60℃×3ヶ月保存後の該(メタ)アクリルエステル溶液の色の色差が、7以下である事を特徴とする芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液である。 【0007】さらに具体的には、本発明は、(1)融点が50℃を越える芳香族マレイミド、(2)重合禁止剤として一次酸化防止剤及び二次酸化防止剤を含有する芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液であれば上記物性を満たすことができる。 【0008】さらに具体的には、上記、芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液を基準にした、(1)融点が50℃を超える芳香族マレイミドの含有量が10〜70重量%であり、(2)重合禁止剤の総含有量が0.0001〜5重量%である事を特徴とする芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液である。 【0009】上記一次酸化防止剤が、下記一般式(1)で表される化合物であり、二次酸化防止剤が燐系の二次酸化防止剤である請求項2または3記載の芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液。 【0010】一般式(1)
【0011】また本発明の別の形態は、(1)融点が50℃を越える芳香族マレイミド、(2)重合禁止剤として一次酸化防止剤及び二次酸化防止剤を含有する芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液を、20〜75℃の範囲の温度に調整しながら輸送する方法である。上記方法であれば輸送中であっても当該芳香族マレイミド溶液の変質、変色が起きず、また加温しているので取扱い性、例えば輸送用ローリにタンクから搬送するとか、目的地到着後、目的地の貯蔵タンクに移送する時の作業性が非常に良好となる。 【0012】また本発明の別の形態は、(1)融点が50℃を越える芳香族マレイミド、(2)重合禁止剤として一次酸化防止剤及び二次酸化防止剤を含有する芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液を、20〜75℃の範囲の温度に調整しながら貯蔵する方法である。上記方法であれば長期間の貯蔵中であっても当該芳香族マレイミド溶液の変質、変色が起きず、また加温しているので取扱い性、例えば貯蔵タンクから輸送用容器や輸送用ローリ等に移送する時にも作業性が非常に良好となる。 【0013】 【発明の実施の形態】以下詳細に本発明を説明する。一般に20℃未満の温度では芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステルに対する溶解度はアクリロニトリルほど高くなく、芳香族マレイミドの高濃度溶液は得られ難い。しかして、加温が必要になってくるが、加温すると貯蔵安定性(特に変色性)に問題が生じてくる。 【0014】かかる目的を達成するために本発明者は鋭意検討した結果、驚くべきことに、20℃〜75℃の比較的高温下の取扱いや貯蔵においても、特定の重合禁止剤の存在下であれば、高濃度の芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液が全く変質せずに安定に存在し、しかも溶液の着色を殆ど起こさないことを見い出し、本発明を完成するに至った。上記特定の重合禁止剤とは、一次酸化防止剤と二次酸化防止剤を併用する事である。なお上記の、当該溶液の取扱い方法とは具体的には、輸送方法および貯蔵方法である。 【0015】このように、20〜75℃の比較的高温下であっても、特定の重合禁止剤の存在下であれば芳香族マレイミドの高濃度の(メタ)アクリル酸エステル溶液は、安定に存在することが可能となるのである。上記芳香族マレイミドの濃度としては、芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液を100重量%として、10〜70重量%である。さらに好ましくは、20〜60重量%、さらに好ましくは30〜60重量%である。さらに好ましくは35〜60重量%である。 【0016】また別の大きい利点として、(メタ)アクリル酸エステルそのものが、透明耐熱性樹脂の重合用単量体の一つの成分であることから、かかる(メタ)アクリル酸エステルを溶媒として芳香族マレイミドを液体状態で扱えるとなると、その溶液自体は、樹脂製造方法として塊状重合、溶液重合、エマルジョン重合など何れの方法にも採用可能となる。その結果作業性、原料投入性、原料管理、原料受け入れ等が簡便となる。具体的には、貯蔵タンクから配管で直接反応釜に原料として投入ができる。また小規模の反応では、ドラム缶での原料供給、あるいは、さらに小規模では、石油缶での原料供給、プラスチック容器での原料供給が可能となる。 【0017】例えば、芳香族マレイミドは、MMA樹脂の耐熱性向上剤として広く使用されているところから、本発明の芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液をもってすれば当該芳香族マレイミドのメチルメタクリレート溶液を、そのままを耐熱MMA樹脂の注型重合に用いることができるのである。 【0018】また芳香族マレイミド溶液を輸送したり、貯蔵するにあたり、本発明の(メタ)アクリル酸エステルの溶液を使用する方法は、正に理想的な方法である。 【0019】本発明の別の発明は、即ち、本発明は芳香族マレイミドを(メタ)アクリル酸エステル溶液として安定剤の共存下20〜75℃の温度で取り扱うことを特徴とする芳香族マレイミドの輸送ならびに貯蔵方法である。 【0020】特に、(1)融点が50℃を越える芳香族マレイミド、(2)重合禁止剤として一次酸化防止剤及び二次酸化防止剤を含有する、上記の芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液は、非常に耐熱変色安定性が良好である。よって、(1)融点が50℃を越える芳香族マレイミド、(2)重合禁止剤を含有する芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液であって、60℃における耐熱変色経時変化テスト前の溶液の色を基準にして測定した、60℃×3ヶ月保存後の該(メタ)アクリルエステル溶液の色の色差が、7以下である事を特徴とする芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液は本発明における好ましい実施形態である。より好ましくは、上記の色差が、5以下である。さらに好ましくは4以下である。さらに好ましくは3以下である。最も好ましくは2以下である。色差が小さいと耐熱変色性が良好であり、長期間の加温下における貯蔵や輸送であっても変色の少ない芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液とすることができ好ましい形態となる。上記物性は、芳香族マレイミドの重合性単量体溶液が示す物性として非常に顕著な物性である。従来は、芳香族マレイミドのアクリロニトリル溶液が、貯蔵安定性を示すものとして一般的であったが、上記に紹介したように、種々の問題点があったのである。上記の芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液は、耐熱変色性で優れた物性を保有し、かつ取扱い性、安定性も非常に良好であるので種々の形態で、貯蔵方法、あるいは、輸送方法、原料供給方法として応用することができる。 【0021】また、本発明で扱うマレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液中の濃度は、使用される透明耐熱性樹脂や耐熱MMA樹脂やその他の用途において適宜設定する事が可能である。また本発明では、当該溶液中のマレイミドの濃度を比較的高い濃度に調整する場合であっても溶液の安定性は保たれる。当該溶液中のマレイミドの濃度が比較的高い濃度であれば、当該マレイミドの対象が、融点が50度以上の芳香族マレイミドであるので、(メタ)アクリル酸エステル溶液中の溶解度は、低くなり、貯蔵時や輸送時に均一な液相状態を維持する上で、ある程度温度をかける必要が出てくる。本発明はそのような状況であっても,着色性等の安定性を保持することができるのである。具体的には、上記芳香族マレイミドが10〜70重量%の濃度が用いられる。より好ましい濃度は、20〜60重量%である。なお上記濃度は芳香族マレイミドのメタクリル酸エステル溶液を基準とし、具体的には、芳香族マレイミドのメタクリル酸エステル溶液を100重量%とした濃度である。本発明によって得られる芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液は色相に優れ、また着色の少ないものである。具体的には、R.S.HunterのL.a.b.値で表示した場合、本発明の方法によって調整した芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液の下記の方法によって測定したL.a.b.値はそれぞれL=90〜100、a=−15〜−25、b=47〜50の範囲にある。 【0022】(測定試料調整)試験前の芳香族マレイミドを、(メタ)アクリル酸エステルとしてMMAを使用し、このMMAに投入し、加温して均一溶解し、芳香族マレイミドが50wt%の溶液を作成する。これを試験前の試料とする。試験後の試料としては、試験後の芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液をそのまま試料に用いた。色差の測定は短時間であったので、マレイミドの析出等の問題はなかった。 【0023】(L.a.b.値測定法)日本電色工業(株)製Σ−80型色差計を用い、試料溶液のL.a.b.値を透過モードにより、JIS−Z−8730に準拠した方法で測定した。なお、対照としては市販のMMAを用いた。使用したセルの厚みは10mmであった。また着色は、取り扱いの前後の色の変化、つまり取り扱いの前後の当該(メタ)アクリル酸溶液の色の、L.a.b.値によって求められる色差、具体的には取り扱う前の当該溶液のL.a.b.値と、取り扱い後の当該溶液のL.a.b.値との差(絶対値)であるΔL、ΔaおよびΔbをもって表すことができる。本発明の着色の評価としては、L.a.b.値それぞれの値の2乗の和の平方根を算出し、比較したが、差が7以下であれば変色は抑制されていて問題のないレベルであり、7より大きい値であれば変色が品質上問題となるレベルである。上記取り扱いの前後とは、耐熱変色経時変化前後のことである。具体的実施形態としては貯蔵前後、あるいは、輸送前後である。より好ましくは、上記、L.a.b.値によって求められる色差が、5以下である。さらに好ましくは4以下である。さらに好ましくは3以下である。もっとも好ましくは2以下である。本発明に使用する芳香族マレイミドとして、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(3−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−メチルフェニル)マレイミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−(2−カルボキシフェニル)マレイミド、N−(3−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−(3−クロロフェニル)マレイミド、N−(4−クロロフェニル)マレイミド、N−(2−メトキシフェニル)マレイミド、N−(3−メトキシフェニル)マレイミド、N−(4−メトキシフェニル)マレイミド、N−(2,4,6−トリブロモフェニル)マレイミド、N−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)マレイミド、N−(4−ドデシルフェニル)マレイミド、N−ジクロロフェニルマレイミド、N−ジメチルフェニルマレイミド等が挙げられる。 【0024】また、溶媒として用いられる(メタ)アクリル酸エステルとしてはメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等が挙げられるが、特にメチルメタクリレート(MMA)が好んで用いられる。また必要に応じてα―ヒドロキシメチルアクリレートを例示化合物とするRHMA化合物を含んでいてもかまわない。 【0025】また、本発明の(メタ)アクリル酸エステルは、アクリロニトリルより高い沸点を有することが好ましい。沸点が高ければ揮発しにくく、取扱い性が向上する。沸点が高い(メタ)アクリル酸エステルを使用する事で、取扱い温度を上げることができ、より芳香族マレイミドの濃度を高くしても溶解性が向上する。また、本発明の特定の重合禁止剤である、一次酸化防止剤と二次酸化防止剤を併用することにより、取扱い温度が高くなっても重合防止、着色抑制効果を発現する。またトータルとして取扱い性と貯蔵安定性に優れた芳香族マレイミドの重合性単量体溶液を得るためには、上記本発明の(メタ)アクリル酸エステルが持つ沸点としては80℃(at1013×102Pa)以上である事が好ましく、85℃(at1013×102Pa)以上がさらに好ましい、より好ましくは90℃(at1013×102Pa)であり、最も好ましくは95℃(at1013×102Pa)以上である。 【0026】また、芳香族マレイミドを(メタ)アクリル酸エステルに溶解させるに際し用いられる重合禁止剤としては一次酸化防止剤と二次酸化防止剤を共用するのが好ましい。その理由は一次酸化防止剤で重合禁止効果をもたらし、溶液の変色の抑制は二次酸化防止剤でその効果をもたらすからである。 【0027】一般に一次酸化防止剤であるフェノール化合物が酸化されるとベンゾキノン型の化合物を生成し、二量化してビスキノンメチド型の赤色物質を生成する。その際、燐系あるいはイオウ系の二次酸化防止剤が共存すると、フェノール化合物がビスキノンメチド型の物質に転化するのを抑制する働きを持つため、二次酸化防止剤の共存が好ましい。従って、本発明に用いる重合禁止剤としてのフェノール化合物は、ラジカルが安定に存在するヒンダードフェノール化合物が好ましい。上記ヒンダードフェノール化合物の中でもビスキノンメチドの共役を阻害するタイプが最適である。 【0028】より具体的には、本発明に記載しているフェノール化合物は、特にその構造上、2量体の二重結合の共役がパラ位で妨害されているため、発色団にはならない。よって、発色の程度は小さい。しかも、2次酸化防止剤 が共存しているため、更に、その発色程度が抑えられ、本発明では好ましい形態と成る。一次酸化防止剤は例えば、メトキシベンゾキノン、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、tert−ブチルカテコール、tert−ブチルハイドロキノン、アルキルフェノール類、アルキルビスフェノール類、アルキル化ジフェニルアミン類、N,N'-ジフェニルパラフェニレンジアミン等が挙げられるが、より好ましくはビスキノンメチドの共役を阻害するタイプであるオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペンタエリスリチル−テトラキス−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕等の(3,5−ジ−アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸エステル類が挙げられ、構造式としては前述した、下記一般式(1)のようになる。一般式1:【0029】 【化1】
【0030】二次酸化防止剤は、ジラウリル−3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス−β−ラウリルチオプロピオネート等の有機イオウ系二次酸化防止剤、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト等の燐系二次酸化防止剤が挙げられるが、燐系二次酸化防止剤がより好ましい。燐系二次酸化防止剤は特に、芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液の耐熱変色を抑える性能が非常に良好であり、かつ芳香族マレイミドや(メタ)アクリル酸エステルの重合性や他の物性に影響しないので、本発明では好ましい形態となる。本発明に使用する重合禁止剤の使用量総量は、芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液を基準にして、具体的には、芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液を100重量%として、0.0001〜5重量%、好ましくは0.001〜1重量%である。 【0031】なお、重合禁止剤の種類については、製造する重合体の種類、重合の方法、使用する重合開始剤などを勘案して選択される。また、上記一次酸化防止剤の含有量は、芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液を基準にして、具体的には、芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液を100重量%として、0.00005〜2.5重量%である。より好ましくは0.0005〜0.5重量%である。 【0032】また、上記二次酸化防止剤の含有量は、芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液を基準にして、具体的には、芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液を100重量%として、0.00005〜2.5重量%である。好ましくは0.0005〜0.5重量%である。 【0033】本発明を実施する際の気相部の分子状酸素濃度は0.01〜10容量%が好ましい。更に好ましくは1〜7容量%である。なお気相部とは、貯蔵時であれば貯蔵タンク内や移送容器内における芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液上部にある気相のことである。また輸送時であれば、タンクローリ内における芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液上部にある気相のことである。また輸送時に、貯蔵タンクや移送容器をそのままトラック等に積載して輸送する場合であってもよい。芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステルへ溶解させる温度は20℃以上が好ましい。なお、溶解方法については基本的に何れの方法も採用できるが、芳香族マレイミドに(メタ)アクリル酸エステルを投入しても良いし、(メタ)アクリル酸エステル中に芳香族マレイミドを投入しても良い。芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液の濃度は、溶液を取り扱う温度によって決められるが、芳香族マレイミドが10〜70重量%の濃度が用いられる。より好ましい濃度は、20〜60重量%である。なお上記濃度は、芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液を基準とした濃度である。 【0034】以下、本発明を実施例によって更に詳しく説明する。 【0035】 【実施例】(実施例1)100ml活栓付サンプル瓶にメチルメタクリレート30gを取り、更に、N−フェニルマレイミド30g、オクタテ゛シル-3-(3,5-シ゛-t-フ゛チル-4-ヒト゛ロキシフェニル)フ゜ロヒ゜オネート及び、シ゛ステアリルヘ゜ンタエリスリトールシ゛ホスファイトを各0.03g加え、60℃に加熱して十分溶解混合した後、SUS304テストピース(1.5×10×40mm)を4枚入れ、5容量%の分子状酸素を有する窒素ガスを吹き込んで十分置換し、さらに気相部にも同じ気体を充填し、この溶液を60℃±0.1℃に調整されたインキュベータ中に3ケ月保持した。保持後、この溶液を取り出し、外観を目視したところ、着色、濁り、ポリマー状異物もなく溶解直後の澄明度を保っていた。また、着色安定性の評価として分光式色差計Σ−80(日本電色工業社製)にて色差測定を行い、保持前後の色差を算出した。(実施例2〜3)実施例1において、重合禁止剤を変えた以外は実施例1と同様の操作を行った。この結果を表1に示す。 【0036】 【表1】
【0037】 【表2】
【0038】 【表3】
【0039】(比較例1〜4)実施例1において重合禁止剤を変えた以外は実施例1と同様に行った。この結果を表2に示す。この様に、重合禁止剤として、一次酸化防止剤や二次酸化防止剤のいずれか単独の使用であれば、当該芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液の変色を防止することができていないことが判る。 【0040】 【表4】
【0041】 【表5】
【0042】 【表6】
【0043】<輸送方法の形態の実施例>また実施例1−3と同様な組成にて、容積20Lの内部をフッ素樹脂コートした石油缶に、同様の条件(60℃の条件下、配管等を加温して)で充填し、同様の温度条件にて、48時間かけてトラック輸送を行った。輸送前後で、マレイミドの析出や溶液の変色等の問題は発生しなかった。また輸送先では、実施例1−3と同じ条件で貯蔵を行った。その結果は、実施例1−3と同様であった。 【0044】以上より、本発明の構成を採用するマレイミドの(メタ)アクリレート溶液は、輸送形態としても良好であり、また貯蔵形態としての良好である事が判明した。また、上記輸送形態としては船舶便や航空便も対象となる。その場合、適宜採用した輸送容器を使用し上記の実施例と同じ条件下で輸送すればよい。具体的には、加温装置のついたタンクローリや加温タンク等を採用する事は好ましい。 【0045】 【発明の効果】以上述べたように、本発明の方法によれば、着色安定性(耐熱変色性)が極めて良い、芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液を得ることができる。上記の芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液は、今までにない非常に良好な耐熱変色性を示す。よって、良好な溶液状態で貯蔵や移送や輸送が実施可能となる。また溶液化することで芳香族マレイミドの微粉末の発生をなくし、かつその重合安定性も良い芳香族マレイミドの(メタ)アクリル酸エステル溶液を得ることができる。その結果、工業的規模で芳香族マレイミドを安全かつ容易に輸送あるいは貯蔵することが可能となる。また、従来のアクリロニトリルに含まれる水(0.5重量%)の影響もなくすことができ、貯蔵中に芳香族マレイミドの加水分解がより発生し難くなる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004628 【氏名又は名称】株式会社日本触媒 【住所又は居所】大阪府大阪市中央区高麗橋4丁目1番1号
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| 【出願日】 |
平成14年3月11日(2002.3.11) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−261531(P2003−261531A) |
| 【公開日】 |
平成15年9月19日(2003.9.19) |
| 【出願番号】 |
特願2002−65362(P2002−65362) |
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