| 【発明の名称】 |
光学分割法及び光学活性化合物の製造法 |
| 【発明者】 |
【氏名】小城 勝相
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| 【要約】 |
【課題】エナンチオマー混合物から一方のエナンチオマーを簡易に効率よく分離できる光学分割法を提供する。
【解決手段】本発明の光学分割法は、自然に優先晶出可能なキラリティーを有する化合物(A)と、分割対象化合物(B)のエナンチオマー混合物とを含む溶液を晶析操作に付し、前記化合物(A)の晶出に随伴して、前記分割対象化合物(B)の一方のエナンチオマーを優先的に晶出させることを特徴とする。化合物(A)には、例えばアスパラギンなどのアミノ酸などが含まれる。分割対象化合物(B)として、例えば、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボニル基及びチオカルボニル基から選択された少なくとも1つの基を有する化合物が挙げられる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 自然に優先晶出可能なキラリティーを有する化合物(A)と、分割対象化合物(B)のエナンチオマー混合物とを含む溶液を晶析操作に付し、前記化合物(A)の晶出に随伴して、前記分割対象化合物(B)の一方のエナンチオマーを優先的に晶出させることを特徴とする光学分割法。 【請求項2】 化合物(A)がアミノ酸である請求項1記載の光学分割法。 【請求項3】 化合物(A)がアスパラギンである請求項1記載の光学分割法。 【請求項4】 分割対象化合物(B)が、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボニル基及びチオカルボニル基から選択された少なくとも1つの基を有する化合物である請求項1記載の光学分割法。 【請求項5】 自然に優先晶出可能なキラリティーを有する化合物(A)と、分割対象化合物(B)のエナンチオマー混合物とを含む溶液を晶析操作に付し、前記化合物(A)の晶出に随伴して、前記分割対象化合物(B)の一方のエナンチオマーを優先的に晶出させる工程を含む光学活性化合物の製造法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、医薬、農薬などの精密化学品又はその合成中間体として有用な光学活性化合物を得るために利用できる光学分割法、並びに光学活性化合物の製造法に関する。 【0002】 【従来の技術】ラセミ体をその成分エナンチオマー(鏡像体)に分離するいわゆる光学分割法として、(i)自然分晶を利用し、ラセミ体の溶液中に一方のエナンチオマーの種結晶を接種して該エナンチオマーを優先的に晶出させる優先晶出法、(ii)ラセミ体を光学活性な化合物と反応させてジアステレオマーに誘導し、再結晶等により分離した後、もとの化合物に再変換するジアステレオマー法、(iii)吸着剤にキラルな物質を用いたクロマトグラフィーによる分割法などが知られている。しかし、(i)の優先晶出法は、自然分晶する化合物が極めて限られていることに加え、逆の対掌体が起晶しにくい過飽和安定性を必要とするので、適用範囲が非常に狭いという欠点を有する。(ii)のジアステレオマー法は、ラセミ体をジアステレオマーに誘導する際に用いる光学活性な化合物に高い光学純度が要求されるとともに、分離したジアステレオマーを元の化合物に再変換する必要があるので、工程が煩雑になるという欠点を有する。また、(iii)のクロマトグラフィーによる分割法は、コストがかかると共に、大量処理が困難であることから工業的に不利である。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的は、エナンチオマー混合物から一方のエナンチオマーを簡易に効率よく分離できる光学分割法及び光学活性化合物の製造法を提供することにある。本発明の他の目的は、汎用性に優れた光学分割法及び光学活性化合物の製造法を提供することにある。本発明のさらに他の目的は、工業的に大量処理可能な光学分割法及び光学活性化合物の製造法を提供することにある。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者は、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、アスパラギンなどの自然に優先晶出可能なキラリティーを有する化合物と、分割の対象とするエナンチオマー混合物とを含む溶液を晶析操作に付すと、前記自然に優先晶出可能なキラリティーを有する化合物の晶出に随伴して、前記分割対象化合物の一方のエナンチオマーが優先的に晶出することを見出し、本発明を完成した。 【0005】すなわち、本発明は、自然に優先晶出可能なキラリティーを有する化合物(A)と、分割対象化合物(B)のエナンチオマー混合物とを含む溶液を晶析操作に付し、前記化合物(A)の晶出に随伴して、前記分割対象化合物(B)の一方のエナンチオマーを優先的に晶出させることを特徴とする光学分割法を提供する。 【0006】化合物(A)には、例えばアスパラギンなどのアミノ酸などが含まれる。分割対象化合物(B)として、例えば、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボニル基及びチオカルボニル基から選択された少なくとも1つの基を有する化合物などが挙げられる。 【0007】本発明は、また、自然に優先晶出可能なキラリティーを有する化合物(A)と、分割対象化合物(B)のエナンチオマー混合物とを含む溶液を晶析操作に付し、前記化合物(A)の晶出に随伴して、前記分割対象化合物(B)の一方のエナンチオマーを優先的に晶出させる工程を含む光学活性化合物の製造法を提供する。 【0008】 【発明の実施の形態】本発明の方法では、自然に優先晶出可能なキラリティーを有する化合物(A)と、分割対象化合物(B)のエナンチオマー混合物とを含む溶液を晶析操作に付す。 【0009】自然に優先晶出可能なキラリティーを有する化合物(A)としては、中心性キラリティー(不斉炭素原子に由来するキラリティーなど)、軸性キラリティー、面性キラリティーなどのキラリティー(掌性)を有しており、且つ該化合物の溶液を晶析操作に付した場合に、自然に(人為的に不斉源を加えることなく)一方のエナンチオマーの結晶が優先して晶出するものであれば特に限定されない。ある化合物が自然に優先晶出するかどうかは、該化合物の溶液を自然晶出に付し、析出した結晶の旋光度を測定するか、又は析出した結晶を光学異性体分析用カラムを用いた高速液体クロマトグラフィーに付す等の方法により判定できる。 【0010】前記化合物(A)としては、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボニル基及びチオカルボニル基から選択された少なくとも1つの基を有する化合物が好ましく、特にアミノ基及びカルボキシル基から選択された少なくとも1つの基を有する化合物が好ましい。なかでも、α−アミノ酸などのアミノ酸が最も好ましい。自然に優先晶出可能なアミノ酸の代表的な例としてアスパラギンなどが挙げられる(Chem. Rev. 1980, 80, 215; Science 1990, 250, 975; Science 1971, 174, 1018参照)。 【0011】化合物(A)としては、ラセミ体等のエナンチオマー混合物を用いてもよく、一方のエナンチオマーのみを用いてもよい。化合物(A)としてラセミ体を用いた場合であっても、化合物(A)の一方のエナンチオマーの晶出が分割対象化合物(B)に対して不斉誘導を引き起こし、該分割対象化合物(B)の2つのエナンチオマーのうち一方のエナンチオマーが優先的に晶出する。 【0012】分割対象化合物(B)としては、キラリティー[中心性キラリティー(不斉炭素原子に由来するキラリティーなど)、軸性キラリティー、面性キラリティーなど]を有する化合物であればよく、例えば、アミン、カルボン酸、アミノ酸、アルコール、ヒドロキシカルボン酸、アミノアルコール、ケトン、ケト酸、アルデヒド、アミド、ラクタム、エステル、ラクトン、酸無水物、イミド、ニトリル、尿素化合物、カーボネート、カーバメート、エーテル、ハロゲン化合物など広範な化合物を使用できる。これらの中でも、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボニル基及びチオカルボニル基から選択された少なくとも1つの基を有する化合物が好ましく、特に、アミン、カルボン酸、アミノ酸、ヒドロキシカルボン酸、アミノアルコール、ケト酸などの、アミノ基及びカルボキシル基から選択された少なくとも1つの基を有する化合物が好ましい。 【0013】分割対象化合物(B)のエナンチオマー混合物としては、通常ラセミ体を用いるが、一方のエナンチオマーが過剰に存在しているエナンチオマー混合物を用いてもよい。 【0014】晶析溶媒としては、化合物(A)及び分割対象化合物(B)の種類等に応じて適宜選択でき、例えば、水、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコールなど)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エーテル(ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、エステル(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、アミド(ジメチルホルムアミドなど)、ラクトン(γ−ブチロラクトンなど)、ラクタム(N−メチルピロリドンなど)、ニトリル(アセトニトリル、ベンゾニトリルなど)、ハロゲン化合物(塩化メチレン、クロロホルムなど)、イオウ原子含有化合物(ジメチルスルホキシド、スルホランなど)、炭化水素類、これらの混合溶媒などが挙げられる。晶析溶媒としては、水、又は水と水混和性溶媒との混合溶媒を用いる場合が多い。 【0015】化合物(A)の使用量は、化合物(A)及び分割対象化合物(B)の種類等に応じ、晶析効率等を考慮して適宜選択できるが、一般には、分割対象化合物(B)1重量部に対して0.5〜200重量部、好ましくは1〜100重量部、さらに好ましくは2〜50重量部程度程度である。晶析溶媒の使用量も、結晶が晶出可能な量であればよく、化合物(A)及び分割対象化合物(B)の種類等に応じて適宜設定できる。 【0016】晶析操作は慣用の方法、例えば、化合物(A)と分割対象化合物(B)のエナンチオマー混合物とを含む溶液を冷却したり、濃縮することにより行うことができる。なお、晶出の際、目的の符号(旋光性;「+」又は「−」)を有するエナンチオマーを確実に析出させるため、必要に応じて、化合物(A)の一方のエナンチオマーの種晶及び/又は分割対象化合物(B)の一方のエナンチオマーの種晶を前記溶液中に接種することもできる。 【0017】上記晶析操作により、化合物(A)の一方のエナンチオマーが晶出すると共に、これに随伴して、分割対象化合物(B)の一方のエナンチオマーが優先的に晶出する。すなわち、化合物(A)の自然不斉分割により、溶液中に共存する分割対象化合物(B)の不斉結晶化が誘起される。なお、化合物(A)と分割対象化合物(B)の何れもがラセミ体である場合には、分割対象化合物(B)の2つのエナンチオマーのうち何れのエナンチオマーが優先して晶出するかは偶然に左右されるが、一旦選択がなされると、化合物(A)の一方のエナンチオマーの晶出に伴って、分割対象化合物(B)のうち一方の(特定の)エナンチオマーが優先的に晶出する。この場合、晶出した結晶が目的の符号のエナンチオマーでない場合には、結晶を再度溶解させて目的の符号を有するエナンチオマーが晶出するまで上記晶析操作を繰り返したり、或いは結晶を濾去した濾液に対して同様の晶析操作を施すことにより、目的の符号を有するエナンチオマーを晶出させることができる。 【0018】また、化合物(A)が一方のエナンチオマーのみである場合や一方のエナンチオマーを過剰に含む場合には、通常、該エナンチオマーが晶出するとともに、それに伴って、分割対象化合物(B)のうち一方の(特定の)エナンチオマーが優先して晶出する。 【0019】こうして晶出した化合物(A)の一方のエナンチオマーの結晶と分割対象化合物(B)の一方のエナンチオマーの結晶との混合物は、必要に応じて再結晶を繰り返した後、例えば、濾過、再結晶、抽出、カラムクロマトグラフィーなどの分離精製手段に付すことにより、化合物(A)の一方のエナンチオマーの結晶と、分割対象化合物(B)の一方のエナンチオマー(目的の光学活性化合物)の結晶とに分離できる。例えば、化合物(A)の一方のエナンチオマーの結晶と分割対象化合物(B)の一方のエナンチオマーの結晶との混合物を水と有機溶媒とを用いた抽出に付し、化合物(A)の一方のエナンチオマーを水層側(又は有機層側)に、目的の光学活性化合物を有機層側(又は水層側)に分配した後、有機層(又は水層)から目的の光学活性化合物を、濃縮、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの慣用の分離精製手段を用いることにより単離できる。 【0020】このようにして得られた光学活性化合物は、医薬、農薬などの精密化学品又はその合成中間体などとして有用である。 【0021】 【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、対掌体(鏡像体)過剰値(ee値)は、汎用されている方法、すなわち、D−およびL−アミノ酸を完全に分離できるカラム[ダイセル化学工業(株)製、Crownpak CR(+)]を用いた高速液体クロマトグラフ(HPLC)によって決定した。溶媒は過塩素酸水溶液を用い、検出は200nmの吸収で行った。以下の実施例において出発原料として用いたDL−フェニルアラニン(以下、「DL−Phe」と略称する)、DL−トリプトファン(以下、「DL−Trp」と略称する)を本法で分析すると、ee値は2.5%を超えることがなかった。通常、クロマトグラフによる分析の誤差は2〜3%である。そこで、ee値が2.5%以下の場合はラセミ体と判定することにした。 【0022】実施例1DL−アスパラギン(以下、「DL−Asn」と略称する)一水和物(2g)を水(10ml)に沸騰水浴中で溶解した。ガラスフィルターで濾過後、濾液をネジ栓付きのガラス容器に移し、測定可能な量の結晶が生成するまで室温に放置した。この操作を独立に計11回行った。それぞれの再結晶操作ごとに、結晶の析出した液をガラスフィルターで濾過して、170〜652mgの結晶を得た。これを適当な量の水に溶解し、直接HPLC分析に供した。L−Asn(L−アスパラギン)のee値は、4.8,11.2,11.5,11.7,15.5,26.7,26.8,27.1,64.7,88.9及び−59.7%であった。すなわち、11回の独立した再結晶操作で、L体過剰の結晶が得られたのが10回、D体過剰の結晶が得られたのが1回であった。この結果は、DL−Asnの再結晶で得られる結晶が全体として対掌体過剰を示すことを示している。この分割の機構を明らかにするため、再結晶で得られた1つ1つの結晶を無作為に取り出して、それぞれのee値を測定した。35個の結晶を調べた結果、3個はどちらかの対掌体のee値が約70%、残りの32個では90%以上であった。この結果は、それぞれの結晶はほとんど純粋の対掌体から構成され、結晶全体のee値は一方が優勢な結晶の重量%で決まっていることを示している。 【0023】実施例2DL−Phe(180mg)を水(10ml)に沸騰水浴中で溶解した。濾過後、実施例1と同様の再結晶操作を独立に11回行った。17〜41mgの結晶を集め、水に溶解し、HPLCで分析した。11回の独立した再結晶操作で得られた結晶はすべてラセミ体であった。次に、DL−Phe(300mg)とDL−Asn一水和物(2.1g)を同様に10mlの水に100℃で溶解した。上記と同様の再結晶操作を独立に13回行い、得られた62〜240mgの結晶を水に溶解し、HPLCで分析した。13回の独立した実験を行った。それぞれの結晶の水溶液のL−Asnのee値(横軸:x軸)とL−Phe(L−フェニルアラニン)のee値(縦軸:y軸)をプロットしたグラフを図1に示した。L−体のee値の最大値は、PheとAsnでそれぞれ、22.3%と41.1%であった。D−体の最大ee値は、PheとAsnでそれぞれ、35.6%と89.8%であった(図1)。これらの結果は、DL−AsnがPheの不斉誘導をかなりな程度引き起こすことを示している。また、Pheのee値はAsnのee値とほぼ比例関係にあった(図1)。なお、これらの結晶中のPheの含量はAsnの約0.8%であった。1つ1つの結晶のee値の測定から、Asnのどちらかの対掌体のee値は100%近くであり、Pheの対応する対掌体のee値は60〜93%であった。これらの結果は、L−AsnはL−Pheを優先的にまきこみながら結晶化し、D−AsnはD−Pheを優先的にまきこみながら結晶化することを示唆しており、同時に、不斉選択はAsnのどちらかの対掌体を含む結晶のもう一方に対する相対比で決定されることを示唆している。 【0024】実施例3DL−Trp(133mg)を10mlの熱水に溶解した。濾過後、再結晶操作を実施例1と同様にして独立に11回行った。10〜43mgの結晶を得、水に溶解し、HPLC分析に供した。11回の独立した再結晶操作で得られた結晶はすべてラセミ体であった。次に、DL−Trp(125mg)とDL−Asn一水和物(2.5g)を同様に10mlの熱水に溶解した。上記と同様の再結晶操作を独立に12回行い、得られた20〜250mgの結晶を水に溶解してHPLC分析を行った。12回の独立した操作において、得られた結晶中のL−Asnのee値(横軸:x軸)とL−Trp(L−トリプトファン)のee値(縦軸:y軸)をプロットしたグラフを図2に示した。L−体のee値の最大値は、TrpとAsnでそれぞれ、30.2%と48.7%であった。D−体の最大ee値は、TrpとAsnでそれぞれ、62.1%と83.8%であった(図2)。これらの結果は、DL−AsnがTrpの不斉誘導もかなりな程度引き起こすことを示している。また、Trpの光学分割の量はAsnのそれとほとんど比例関係にあった(図2)。なお、これらの結晶中のTrpの含量はAsnの約4%であった。DL−TrpのDL−Asn存在下での再結晶では粉末が生成し、ピンセットで分離できる大きさの結晶は得られなかったが、Trpの光学分割においてもPheの場合と同様の機構が示唆される。 【0025】 【発明の効果】以上より明らかなように、本発明は、自然に優先晶出するキラリティーを有する化合物の特性を利用し、該化合物の晶出に随伴して、溶液中に共存する他のキラリティーを有する化合物の不斉誘導(一方のエナンチオマーの優先的晶出)を引き起こすという、従来の優先晶出法やジアステレオマー法などの光学分割法とは全く異なった概念に基づく光学分割法、並びに光学活性化合物の製造法を提供するものである。 【0026】本発明の方法によれば、分割対象化合物が自然分晶する化合物に限定されないので、適用範囲が広く汎用性に優れる。また、分割対象化合物をジアステレオマーに誘導する必要がないので、工程を簡略化でき、簡易な操作で効率よく光学分割できる。さらに、クロマトグラフィーによる分割法と比較して、大量処理が可能であり、目的の光学活性化合物を安価に製造できる。 【0027】なお、本発明の方法は、このように医薬品の合成中間体等として用いられる光学活性化合物の簡易な製造法として工業的に極めて有用であるだけでなく、下記に示すごとく、学術的にも極めて重要な示唆を与える。 【0028】すなわち、地球生命においてなぜ、どのようにL−アミノ酸が選択されたのかということについては多くの努力がなされてきたが、現在でもL−アミノ酸特異性の起源を説明することは困難であり、さらに、α−炭素の立体配置以外は明らかに異なった構造をもつ20種類のL−アミノ酸の選択における相互関係を推論することも困難である。ところが、本発明によれば、キラリティー(不斉炭素原子)を有し且つ自然に優先晶出可能なラセミ体のアミノ酸(例えば、アスパラギンなど)(以下、単に「アミノ酸A」と称する)によって、共存する他のラセミ体のアミノ酸(以下、単に「アミノ酸B」と称する)に自然に対掌体過剰が誘導されることが判明した。この場合、アミノ酸Aとして完全なラセミ体を用いれば、共存するアミノ酸BのうちL−体及びD−体のどちらが優先されるかは偶然に決定されるが、一度選択がなされると、アミノ酸Aの一方のエナンチオマーの晶出に随伴して、共存するアミノ酸Bのうち一方のエナンチオマー(α−炭素の立体配置が同じアミノ酸)が優先的に晶出する。この時、晶出したアミノ酸Aの対掌体過剰と晶出したアミノ酸Bの対掌体過剰はほとんど比例関係にある。これらの結果は、DL−アスパラギンのようなラセミ体の分子による、自然のしかも偶然によるラセミ体のアミノ酸の対掌体過剰が地球生命のL−アミノ酸選択性に寄与したことを示唆している。
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| 【出願人】 |
【識別番号】502084399 【氏名又は名称】小城 勝相 【識別番号】100101362 【氏名又は名称】後藤 幸久
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| 【出願日】 |
平成14年3月8日(2002.3.8) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100101362 【弁理士】 【氏名又は名称】後藤 幸久
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| 【公開番号】 |
特開2003−261520(P2003−261520A) |
| 【公開日】 |
平成15年9月19日(2003.9.19) |
| 【出願番号】 |
特願2002−62860(P2002−62860) |
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