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【発明の名称】 亜硝酸アルキルの製造法
【発明者】 【氏名】田中 秀二
【住所又は居所】山口県宇部市大字小串1978番地の10 宇部興産株式会社宇部ケミカル工場内

【氏名】井伊 宏文
【住所又は居所】山口県宇部市大字小串1978番地の10 宇部興産株式会社宇部ケミカル工場内

【氏名】三井 一昭
【住所又は居所】山口県宇部市大字小串1978番地の10 宇部興産株式会社宇部ケミカル工場内

【要約】 【課題】本発明は、二酸化窒素とアルカノールを反応させて亜硝酸アルキルを生成させる亜硝酸アルキルの製造法において、亜硝酸アルキルの生成割合を高めて効率よく亜硝酸アルキルを製造できる方法を提供することを課題とする。

【解決手段】本発明は、反応塔に、アルカノール及び水を供給して流下させると共に、二酸化窒素を供給しながら、二酸化窒素とアルカノール及び水を向流で接触させて亜硝酸アルキルを生成させる、亜硝酸アルキルの製造法において、(1)反応塔の底部から抜き出した塔底液を反応器に導入し、白金族金属触媒の存在下、一酸化炭素又は水素を供給し、反応器に導入した塔底液中の硝酸及びアルカノールを一酸化炭素又は水素と反応させて、亜硝酸アルキルを生成させ、(2)その亜硝酸アルキルを反応塔のアルカノールが流下している区域に供給することを特徴とする亜硝酸アルキルの製造法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 反応塔に、アルカノール及び水を供給して流下させると共に、二酸化窒素を供給しながら、二酸化窒素とアルカノール及び水を向流で接触させて亜硝酸アルキルを生成させる、亜硝酸アルキルの製造法において、(1)反応塔の底部から抜き出した塔底液を反応器に導入し、白金族金属触媒の存在下、一酸化炭素又は水素を供給し、反応器に導入した塔底液中の硝酸及びアルカノールを一酸化炭素又は水素と反応させて、亜硝酸アルキルを生成させ、(2)その亜硝酸アルキルを反応塔のアルカノールが流下している区域に供給することを特徴とする亜硝酸アルキルの製造法。
【請求項2】 白金族金属触媒が、白金属金属又はその化合物が担体に担持された固体触媒である、請求項1記載の亜硝酸アルキルの製造法。
【請求項3】 白金族金属がパラジウム又は白金である、請求項1又は2記載の亜硝酸アルキルの製造法。
【請求項4】 反応塔の塔底液中の硝酸の濃度が20重量%以下で、アルカノールの濃度が10〜70重量%である、請求項1又は2記載の亜硝酸アルキルの製造法。
【請求項5】 反応器に導入した塔底液中の硝酸の濃度が1重量%以下になるまで、該塔底液中の硝酸及びアルカノールを一酸化炭素又は水素と反応させる、請求項1又は2記載の亜硝酸アルキルの製造法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二酸化窒素とアルカノールを反応させて亜硝酸アルキルを生成させる亜硝酸アルキルの製造法において、亜硝酸アルキルの生成割合を高めて効率よく亜硝酸アルキルを製造する方法に関する。亜硝酸アルキルは各種合成反応(ニトロ化、ジアゾ化など)に有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】二酸化窒素とアルカノールを反応させて亜硝酸アルキルを生成させる亜硝酸アルキルの製造法としては、反応塔にアルカノール及び水を供給すると共に二酸化窒素を供給しながら、二酸化窒素とアルカノール及び水を向流で接触させて亜硝酸アルキルを生成させ、反応塔の頂部から亜硝酸アルキルを抜き出す方法が知られている(特開平6−199741号公報)。しかし、この方法においては、下記のように、2モルの二酸化窒素から亜硝酸アルキルと硝酸が1モルずつ生成し(式1及び2)、更に水との反応によっても硝酸が生成する(式1及び3)ため、亜硝酸アルキルの生成割合が低くなって効率よく亜硝酸アルキルを製造することができないという大きな問題があった。
【0003】
2NO→N (1)
+ROH→RONO+HNO (2)
+HO→HNO+HNO (3)
【0004】一方、一酸化窒素の製法として、濃硝酸を、ビスマス、銅、鉛、水銀などの金属、又は、酸化鉄(II)、三酸化二砒素で還元する方法が知られている(化学大辞典1縮刷版第32刷,665頁)。しかし、これらの方法は量論反応を利用するもので、上記金属や酸化物を大量に必要とすることから、工業的な方法としては好ましくなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、二酸化窒素とアルカノールを反応させて亜硝酸アルキルを生成させる亜硝酸アルキルの製造法において、亜硝酸アルキルの生成割合を高めて効率よく亜硝酸アルキルを製造できる方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、反応塔に、アルカノール及び水を供給して流下させると共に、二酸化窒素を供給しながら、二酸化窒素とアルカノール及び水を向流で接触させて亜硝酸アルキルを生成させる、亜硝酸アルキルの製造法において、(1)反応塔の底部から抜き出した塔底液を反応器に導入し、白金族金属触媒の存在下、一酸化炭素又は水素を供給し、反応器に導入した塔底液中の硝酸及びアルカノールを一酸化炭素又は水素と反応させて、亜硝酸アルキルを生成させ、(2)その亜硝酸アルキルを反応塔のアルカノールが流下している区域に供給することを特徴とする亜硝酸アルキルの製造法に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。本発明は、液状のアルカノール及び水を反応塔(第1の亜硝酸アルキル生成用反応装置)に供給して反応塔の下方域に流下させ、それと共に、二酸化窒素を反応塔の下方域(特にその下方部分)に供給しながら、二酸化窒素とアルカノール及び水を向流で接触(気液接触)させて亜硝酸アルキルを生成させるものである(第1の亜硝酸アルキル生成)。
【0008】そして、本発明は、引き続き、生成した亜硝酸アルキルを反応塔の頂部から抜き出すと共に、塔底液を反応塔の底部から抜き出して、その塔底液(導出塔底液)を反応器(第2の亜硝酸アルキル生成用反応装置)に導入し、導入した塔底液(導入塔底液)中の硝酸(二酸化窒素とアルカノール又は水との反応により反応塔で生成する)を一酸化炭素又は水素と反応させて亜硝酸アルキルに変換し(第2の亜硝酸アルキル生成)、その亜硝酸アルキルを前記反応塔のアルカノールが流下している区域に供給する(硝酸を亜硝酸アルキルに変換して回収する)ものである。
【0009】即ち、本発明は、前記反応塔(第1の亜硝酸アルキル生成用反応装置)での亜硝酸アルキルの生成に引き続いて、導出塔底液を反応器(第2の亜硝酸アルキル生成用反応装置)に導入すると共に、一酸化炭素又は水素を該反応器に供給して、白金族金属触媒の存在下、導入塔底液中の硝酸及びアルカノールを一酸化炭素又は水素と反応させることにより、該硝酸を亜硝酸アルキルに変換し、生成した亜硝酸アルキルを抜き出して、前記反応塔のアルカノールが流下している区域に供給するものである。この亜硝酸アルキルを供給する反応塔のアルカノールが流下している区域としては、反応塔の中間部(後述)又は下方域の上方部分、特に中間部が好ましい。
【0010】以下、本発明の一実施態様を示す概略のプロセス図も参考にしながら、本発明を更に詳しく説明する。本発明で、二酸化窒素はそのままで用いることもできるが、不活性ガス(窒素、二酸化炭素、アルゴン、一酸化炭素等)と混合して用いることが好ましい。二酸化窒素と不活性ガスは予め混合してもよく、また、それぞれ別個に反応塔の下方域に供給してその部分で混合してもよい。不活性ガスの使用量は、二酸化窒素1容量に対して0〜5容量、更には0.1〜3容量、特に0.2〜1容量であることが好ましい。
【0011】本発明で、アルカノールはそのままで用いることができるが、一部を水と混合して用いることもできる。即ち、アルカノールは、その大部分を反応塔の上方域(特にその上方部分)にアルカノール液として供給することが好ましいが、一部は必要に応じて水との混合液として反応塔の中間部又は下方域の上方部分(好ましくは中間部)に供給してもよい。アルカノールの使用量は、二酸化窒素1モルに対して好ましくは0.3〜1モル、更に好ましくは0.4〜0.8モル、特に好ましくは0.5〜0.7モルである。アルカノールとしては、メタノール、エタノール等の炭素数1〜3のアルカノール(特にメタノール)が好ましく挙げられ、このアルカノールに対応して亜硝酸アルキルが生成する。
【0012】本発明で、水はそのままで用いることができるが、前記のようにアルカノールの一部と混合して用いることもできる。即ち、水はそのまま又は必要に応じてアルカノールとの混合液として反応塔の中間部又は下方域の上方部分(好ましくは中央域)に供給される。このような水の供給により、二酸化窒素とアルカノールとの反応により生成する亜硝酸アルキルの塔底液への溶解ロスを低減することができ、また、副生する硝酸とアルカノールの反応による硝酸アルキルの生成を抑制することができる。
【0013】水の使用量は、二酸化窒素1モルに対して好ましくは2モル以下、更に好ましくは0.2〜1.6モル、特に好ましくは0.8〜1モルである。水とアルカノールを混合する場合、アルカノールは水に対して0.2〜2倍モル、更には0.5〜1.5倍モルであることが好ましい。
【0014】本発明で、二酸化窒素とアルカノール及び水を接触させる際の温度は、0〜90℃、更には10〜80℃の範囲であることが好ましい。また、そのときの圧力は0.5〜10バール、更には0.8〜8バール、特に1〜5バールの範囲であることが好ましい。
【0015】本発明で用いる反応塔(第1の亜硝酸アルキル生成用反応装置)は、二酸化窒素とアルカノールの反応で生成する亜硝酸アルキルに同伴する水を除去するためなどの吸収を行うことができる上方域と、二酸化窒素とアルカノール及び水との接触(気液接触)を行うことができる下方域を有しているものであればよいが、この上方域と下方域は適当な間隔(中間部と称する)をおいて設置されていてもよい。
【0016】前記上方域は、アルカノールを流下させることができると共に、そのアルカノールと上昇流を効率的に気液接触させることができる機能を有していれば、どのような形式であってもよい。例えば、シーブトレイ、バルブトレイ等の棚段を複数有する多段蒸留塔形式の構造、或いは、ラシッヒリング、ポールリング等の充填材が充填されている充填塔形式の構造を有していてもよい。また、前記下方域は、二酸化窒素とアルカノール及び水との接触を効果的に行うことができる機能を有していれば、どのような形式であってもよい。例えば、上方域と同様の多段蒸留塔形式或いは充填塔形式の構造を有していてもよいが、充填塔形式の構造を有していることが好ましい。
【0017】即ち、本発明で用いる反応塔としては、例えば、反応塔の上方域が多段蒸留塔形式又は充填塔形式の構造を有し、そして、下方域が充填塔形式の構造を有していて、更に、上方域と下方域が適当な間隔をおいて(即ち、中間部を設けて)一体に連続して接続している構造であるもの(図1の11など)が好ましく挙げられる。
【0018】本発明で用いる反応塔(図1の11など)には、二酸化窒素を供給するための原料ガス供給ライン3が下方域(好ましくはその下方部分)に、アルカノールを供給するためのアルカノール供給ライン1が上方域(好ましくはその上方部分)に、亜硝酸アルキルを抜き出すための反応ガス抜き出しライン4が頂部にそれぞれ連結されていることが好ましい。そして、該反応塔には、水を供給するための水供給ライン2が中間部から下方域の間のいずれかの部位に連結されていることが好ましい。
【0019】また、本発明で用いる反応塔(図1の11など)には、塔底液を抜き出して反応器(第2の亜硝酸アルキル生成用反応装置;図1の12など)に導入するための塔底液抜き出しライン5が底部に連結されていることが好ましく、そして、該反応器から亜硝酸アルキルを反応塔のアルカノールが流下している区域に供給するガス抜き出しライン7が中間部又は下方域の上方部分(特に中間部)であって水供給ライン2及び後述の塔底液循環ライン9よりも上方に連結されていることが好ましい。また、該反応器には、前記ガス抜き出しライン7、一酸化炭素又は水素を供給するガス供給ライン6、廃液抜き出しライン8が連結されていることが好ましい。
【0020】更に、本発明で用いる反応塔(図1の11など)には、必要に応じて、反応熱の除去をより効果的に行うための塔底液循環ライン9(塔底液抜き出しライン5の途中から分岐して塔底液抜き出しライン5と反応塔の下部域の上方部分又は中間部(好ましくは中間部)を連結する)及び冷却器13(塔底液循環ライン9の途中に設置される)が設置されていてもよい。なお、塔底液の循環量や冷却温度は、反応塔の下方域での温度が二酸化窒素とアルカノール及び水を接触させる際の所定の温度範囲になるように制御すればよい。
【0021】本発明では、前記のように、反応塔(第1の亜硝酸アルキル生成用反応装置)から抜き出した塔底液(導出塔底液)を連続的又は間欠的に反応器(第2の亜硝酸アルキル生成用反応装置)に導入して、白金族金属触媒の存在下、その導入塔底液中の硝酸及びアルカノールを一酸化炭素又は水素と反応させることが好ましい。このとき、導出塔底液の反応器への導入量(導入塔底液の量)は、反応塔の塔底液のレベルが一定になるように調節することが好ましい。
【0022】前記導入塔底液において、アルカノールの濃度は、アルカノールを前記のように反応塔に供給することが好ましいことから、10〜70重量%、更には20〜60重量%、特に30〜50重量%であることが好ましい。また、硝酸の濃度は、硝酸及びアルカノールと一酸化炭素又は水素との反応自体からは特に制限されるものではない(例えば、60重量%以下であればよい)が、塔底液循環操作などにより反応塔で効率よく亜硝酸アルキルを生成させることが好ましいため、20重量%以下、更には1〜15重量%、特に5〜10重量%程度であることが好ましい。
【0023】本発明で、前記導入塔底液中の硝酸及びアルカノールと一酸化炭素又は水素との反応は、例えば、塔底液抜き出しラインより反応塔(第1の亜硝酸アルキル生成用反応装置)の塔底液を抜き出して(必要であれば中間タンク(図示せず)に貯蔵して)反応器(第2の亜硝酸アルキル生成用反応装置)に導入し、更に白金族金属触媒も導入して、液中に一酸化炭素又は水素を流通させながらその溶液を攪拌するか、或いは一酸化炭素又は水素加圧下でその溶液を攪拌することにより行うことができる。また、反応器に白金族金属触媒を(固定床として)充填して、反応塔の底部から抜き出した塔底液(導出塔底液)と一酸化炭素又は水素とを向流又は並流で流通させることによっても行うことができる。なお、反応は、液相で、バッチ式でも連続式でも可能である。前記反応器は硝酸及びアルカノールと一酸化炭素又は水素との反応を行うことができるものであれば特に制限されず、例えば、攪拌槽、充填塔、トリクルベッド形式のものが使用でき、複数でもよく、多段式の反応器であってもよい。
【0024】生成した亜硝酸アルキル(一酸化窒素を含む)は、前記のように、反応塔のアルカノールが流下している区域に、ガス抜き出しライン7より一酸化炭素又は水素に同伴させて供給すればよい。このように生成した亜硝酸アルキルを該区域に供給することにより、同伴する水を反応塔の上方域で効率よく除去することができる。また、この亜硝酸アルキルに同伴する一酸化窒素は、公知のように酸素及びアルカノールと接触させることにより更に亜硝酸アルキルに変換できる。
【0025】なお、白金属金属触媒は、アルカノールの溶液又は懸濁液として塔底液抜き出しラインの途中より反応器に供給してもよく、別途(図示せず)、反応器に直接的に供給してもよく、固体触媒(固定床又は懸濁床)として反応器に予め充填しておいてもよい。
【0026】前記白金族金属触媒としては、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、オスミウムが挙げられるが、パラジウム、白金が好ましく、中でもパラジウムが特に好ましい。白金族金属の化合物としては、前記白金族金属の無機酸塩(硝酸塩、塩酸塩、硫酸塩等)や有機酸塩(酢酸塩等)など、例えば、硝酸パラジウム、塩化パラジウム、硫酸パラジウム、酢酸パラジウム等が挙げられる。
【0027】白金族金属触媒は、白金族金属又はその化合物をそのまま溶解又は懸濁させて用いることもできるが、通常は、触媒回収を考慮して、白金族金属又はその化合物を担体に担持して固体触媒として(固定床又は懸濁床で)用いることが好ましい。その場合、白金族金属又はその化合物の担持量は、担体に対して金属換算で0.01〜20重量%、更には0.1〜15重量%であることが好ましい。担体としては、活性炭、アルミナなど挙げられるが、活性炭が好ましい。担体の形状は固定床又は懸濁床に適用できるもの(粉末、粒状、粉砕物等)であればよいが、中でも粉末が好ましい。担体の大きさも固定床又は懸濁床に適用できるものであればよい。
【0028】白金族金属触媒の使用量は、反応器に導入した塔底液(導入塔底液)に対して、金属換算で好ましくは0.0001〜0.2重量%、更に好ましくは0.0005〜0.1重量%、特に好ましくは0.005〜0.05重量%である。具体的には、例えば、パラジウム金属が活性炭に10重量%担持されたもの(10重量%Pd/C)を用いる場合、その使用量は、導入塔底液に対して、金属換算で0.001〜2重量%、更には0.005〜1重量%、特に0.05〜0.5重量%であることが好ましい。
【0029】本発明で用いる一酸化炭素又は水素はそのままでも或いは不活性ガス(窒素等)で希釈したものであってもよく、導入塔底液中の硝酸1モルに対して1〜20モル、更には1.5〜10モル、特に2〜5モル用いることが好ましい。なお、本発明を一酸化炭素及び亜硝酸アルキルを用いる合成反応(シュウ酸ジアルキルの製造、炭酸ジアルキルの製造等)と組合せる場合には、導入塔底液中の硝酸及びアルカノールを一酸化炭素と反応させることが好ましい。
【0030】硝酸及びアルカノールを一酸化炭素又は水素と反応させる際の温度は好ましくは0〜300℃、更に好ましくは20〜100℃である。一酸化炭素又は水素の圧力は好ましくは常圧から200atm、更に好ましくは常圧から30atm、特に好ましくは3〜10atmである。また、このとき、反応は、反応器に導入した塔底液(導入塔底液)の硝酸濃度(残存硝酸濃度)が1重量%以下、更には0.5重量%以下になるまで行うことが、白金族金属又はその化合物の溶出や溶解による白金族金属の回収ロスを抑える上で好ましい。
【0031】即ち、本発明では、硝酸濃度が20重量%以下(更には1〜15重量%、特に5〜10重量%)の塔底液を用いて、白金属金属又はその化合物が担体に担持された固体触媒(好ましくは粉末)の存在下、液中の硝酸濃度(残存硝酸濃度)が1重量%以下(更には0.5重量%以下)になるまで、反応器に導入した塔底液中の硝酸及びアルカノールを一酸化炭素又は水素と反応させることが特に好ましい。その結果、硝酸との接触により液中に溶出又は溶解した白金属金属又はその化合物を担体に再度担持させることができ、白金族金属の回収ロスが極めて少ないプロセスとすることができる。
【0032】
【実施例】次に実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。なお、一酸化窒素と二酸化炭素はガスクロマトグラフィーにより、硝酸はイオンクロマトグラフィーによりそれぞれ分析した。また、Pd/Cはパラジウム金属(Pd)が活性炭(C)に担持された固体触媒、Pt/Cは白金金属(Pt)が活性炭(C)に担持された固体触媒を意味する。
【0033】実施例1〔第1の亜硝酸メチル生成〕内径28mm、高さ1mのジャケット付き反応塔(SUS製充填塔)に5mmラシヒリングを上方域と下方域の二層に間隔(中間部)をおいて充填し(充填高さ各40cm)、下部(下方域の下方部分)から、二酸化窒素20容量%、窒素80容量%の混合ガスを30NL(ノルマルリットル)/hで導入し、塔内圧力が4kg/cmGになるように出ガス流量を調整した。そして、充填塔の上部(上方域の上方部分)からは、メタノール液を40ml/hで導入し、中間部からは水を25g/hで導入した。また、塔の底部からは、塔底液の液面が一定になるように連続で塔底液を抜き出した。充填塔のジャケットには、冷却水を流通させて塔の温度が30〜40℃になるように制御した。
【0034】反応開始から5時間後に、充填塔の頂部からの出ガス(反応ガス)28.8NL/hを分析したところ、亜硝酸メチルが10.4容量%,メタノールが6.3容量%、窒素83.8容量%であった。また、塔の底部から抜き出した塔底液約57g/hを分析したところ、硝酸14.6重量%、メタノール42.1重量%、水43.3重量%であった。
【0035】〔第2の亜硝酸メチル生成〕前記のように亜硝酸メチルを生成させながら、充填塔の底部から抜き出した塔底液を、攪拌機、ガス供給ノズル、液供給ノズル、ガス抜き出しノズル(焼結金属フィルター付き)、液抜き出しノズル(焼結金属フィルター付き)を備えた反応器(500ml容SUS製オートクレーブ)に連続で導入した。導入量が300mlになったところで、1重量%Pd/C0.6gを加えて攪拌と昇温を開始し、更に一酸化炭素を15NL/hで吹き込んだ。反応器の温度は80℃になるように制御した。次いで、導入した塔底液の量が約350mlになったところで、液面を一定に保つように反応器から連続で液を抜き出すと共に、反応器の圧力が4.5kg/cm2Gになるように出ガス量を調整しながら、充填塔の中間部に供給した。
【0036】反応器の温度が80℃に達してから10時間後に、充填塔の頂部からの出ガス(反応ガス)19.4NL/hを分析したところ、亜硝酸メチルが15.4容量%,一酸化炭素が69.0容量%、二酸化炭素が7.7容量%、メタノールが5.7容量%、水2.2容量%であった。また、反応器から抜き出した液45.21g/hを分析したところ、硝酸0.28重量%、メタノール40.47重量%、水59.14重量%、亜硝酸メチル0.12重量%であった。
【0037】比較例1実施例1において、充填塔の底部から抜き出した塔底液中の硝酸及びメタノールを一酸化炭素と反応させる(第2の亜硝酸メチル生成を行う)ことなく、充填塔で亜硝酸メチルを生成させた。その結果、亜硝酸メチルと硝酸の生成は実施例1における第1の亜硝酸メチル生成の場合と同様であった、【0038】即ち、反応開始から5時間後に、充填塔の頂部からの出ガス(反応ガス)28.8NL/hを分析したところ、亜硝酸メチルが10.4容量%,メタノールが6.3容量%、窒素83.8容量%であった。また、塔の底部から抜き出した塔底液約57g/hを分析したところ、硝酸14.6重量%、メタノール42.1重量%、水43.3重量%であった。
【0039】
【発明の効果】本発明により、二酸化窒素とアルカノールを反応させて亜硝酸アルキルを生成させる亜硝酸アルキルの製造法において、亜硝酸アルキルの生成割合を高めて効率よく亜硝酸アルキルを製造することができる。即ち、従来は、2モルの二酸化窒素から亜硝酸アルキルと硝酸が1モルずつ生成し、更に水との反応によっても硝酸が生成するので亜硝酸アルキルの生成割合が低くなっていたが、本発明により、生成した硝酸を亜硝酸アルキルに効率よく変換できる(更にそのとき副生する一酸化窒素も亜硝酸アルキルに変換できる)ため、二酸化窒素とアルカノールから効率よく亜硝酸アルキルを製造することが可能になる。
【出願人】 【識別番号】000000206
【氏名又は名称】宇部興産株式会社
【住所又は居所】山口県宇部市大字小串1978番地の96
【出願日】 平成14年3月6日(2002.3.6)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−261515(P2003−261515A)
【公開日】 平成15年9月19日(2003.9.19)
【出願番号】 特願2002−60376(P2002−60376)