| 【発明の名称】 |
光学活性化合物、及びその製造法、並びに、この光学活性化合物を含有する液晶組成物および液晶素子 |
| 【発明者】 |
【氏名】三上 幸一
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| 【要約】 |
【課題】液晶表示素子に用いる、他の液晶または非液晶との相溶性に優れ,化学的にも安定な光学活性化合物を提供する。
【解決手段】本発明は、下式で表される新規な光学活性化合物を提供する。R1−A1−Y1−A2−Y2−X1−X2−Y3−A3−Y4−A4−R2ここで、R1、R2:相互に独立して水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子またはシアノ基等を示す。A1,A2,A3,A4:相互に独立して、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基等を示す。 Y1,Y2,Y3、Y4:相互に独立して−CH2CH2−、−CH2−、−CH=CH−、−OCH2−、−CH2O−等を示す。X1、X2:相互に独立して、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−2,7−ジイル基等を示す。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】下式1で表される光学活性化合物。 R1−A1−Y1−A2−Y2−X1−X2−Y3−A3−Y4−A4−R2 …式1[式中、 R1及びR2は、相互に独立して水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子またはシアノ基を示し、脂肪族炭化水素基の場合には、この脂肪族炭化水素基中の炭素−炭素結合間あるいはこの脂肪族炭化水素基と環基との間の炭素−炭素結合間に酸素原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基が挿入されてもよく、また、その脂肪族炭化水素基中の水素原子の一部もしくは全てがフッ素原子もしくはシアノ基で置換されていてもよく、また脂肪族炭化水素基の場合は、不斉炭素原子を含有していてもよい。A1,A2,A3,A4は相互に独立して、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基を示し、又は水素原子の1個以上がハロゲン原子、シアノ基もしくはメチル基に置換されていてもよい1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を示し、又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、単結合を示す。Y1,Y2,Y3、Y4は相互に独立して−CH2CH2−、−CH2−、−CH=CH−、−OCH2−、−CH2O−、−O−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、又は単結合を示す。X1、X2は相互に独立して、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−2,7−ジイル基を示し、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基の場合には、X1,X2間の結合位置を1位とした場合に、2位にR3,6位にR4が置換しており、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−2,7−ジイル基の場合には、X1,X2間の結合位置を2位とした場合に、1位にR3,3位にR4が置換している。R3,R4は相互に独立して炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子またはシアノ基を示し、脂肪族炭化水素基の場合には、この脂肪族炭化水素基中の炭素−炭素結合間あるいはこの脂肪族炭化水素基と環基との間の炭素−炭素結合間に酸素原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基が挿入されてもよく、また、その脂肪族炭化水素基中の水素原子の一部もしくは全てがフッ素原子もしくはシアノ基で置換されていてもよい。] 【請求項2】下式2で表される化合物と下式3で表される化合物を触媒の存在下、反応させることを特徴とする請求項1記載の光学活性化合物の製造法。 R1−A1−Y1−A2−Y2−X1−M1 …式2 R2−A4−Y4−A3−Y3−X2−M2 …式3[式中、M1、M2は相互に独立してハロゲン原子等の脱離性基を示す。] 【請求項3】請求項2における触媒がニッケル触媒であるところの請求項1記載の光学活性化合物の製造法。 【請求項4】請求項1記載の光学活性化合物を少なくとも1種類含有する液晶組成物。 【請求項5】請求項4に記載の液晶組成物を用いた液晶素子。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、液晶素子に利用されうる光学活性化合物及びその製造法、並びに、この光学活性化合物を用いた液晶組成物および液晶素子に関する。 【0002】 【従来の技術】ツイストネマティック(TN)型およびスーパーツイストネマティック(STN)型液晶表示素子には、均一なツイスト配向を達成するために、少量の光学活性化合物(カイラル剤)を添加した液晶組成物が用いられている。カイラル剤としては、例えばS−811で表される化合物(メルク社製商品名S−811)のような不斉炭素原子を有する化合物からなるカイラル剤、またはCNで表される化合物(コレステリルノナノエートCN)のようなコレステリック環を有する化合物が知られている。これらのカイラル剤は分子量が大きく、粘度が高いため、ネマティック液晶組成物に添加した場合、少量の添加でもその液晶組成物の粘度が大きく上昇する。このことは、カイラル剤の添加量が比較的多いSTN型液晶素子用液晶組成物の場合や、カイラル剤の添加量が非常に多く、ショートピッチが必要な反射コレステリック液晶素子用組成物の場合に顕著である。また、カイラル剤は、そのヘリカルピッチ長が長い、すなわちカイラルパワーが小さいほど添加量を多くしなければならない。液晶組成物の粘度と液晶素子の応答性には正の相関があるので、STN型や反射コレステリック型などの液晶素子の高速応答化のためには、粘度が低く、ヘリカルピッチ長が短い光学活性化合物が求められていた。また、組成物として用いるためには他の液晶または非液晶との相溶性に優れ,化学的にも安定な化合物を提供することは重要な課題である。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、STN型液晶表示素子や反射コレステリック型液晶素子、あるいは強誘電性液晶素子、反強誘電性液晶素子等に用いる、他の液晶または非液晶との相溶性に優れ,化学的にも安定な光学活性化合物を提供することを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、下式1で表される新規な光学活性化合物、該光学活性化合物を含有する液晶組成物、および該液晶組成物を用いた液晶素子を提供する。 R1−A1−Y1−A2−Y2−X1−X2−Y3−A3−Y4−A4−R2 …式1【0005】ただし、式中の記号は本明細書を通じて下記の意味を示す。R1、R2:相互に独立して水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子またはシアノ基を示し、脂肪族炭化水素基の場合には、この脂肪族炭化水素基中の炭素−炭素結合間あるいはこの脂肪族炭化水素基と環基との間の炭素−炭素結合間に酸素原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基が挿入されてもよく、また、その脂肪族炭化水素基中の水素原子の一部もしくは全てがフッ素原子もしくはシアノ基で置換されていてもよく、また脂肪族炭化水素基の場合は、不斉炭素原子を含有していてもよい。A1,A2,A3,A4:相互に独立して、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基を示し、又は水素原子の1個以上がハロゲン原子、シアノ基もしくはメチル基に置換されていてもよい1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を示し、又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、単結合を示す。Y1,Y2,Y3、Y4:相互に独立して−CH2CH2−、−CH2−、−CH=CH−、−OCH2−、−CH2O−、−O−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、又は単結合を示す。X1、X2:相互に独立して、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−2,7−ジイル基を示し、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基の場合には、X1,X2間の結合位置を1位とした場合に、2位にR3,6位にR4が置換しており、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−2,7−ジイル基の場合には、X1,X2間の結合位置を2位とした場合に、1位にR3,3位にR4が置換している。R3,R4:相互に独立して炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子またはシアノ基を示し、脂肪族炭化水素基の場合には、この脂肪族炭化水素基中の炭素−炭素結合間あるいはこの脂肪族炭化水素基と環基との間の炭素−炭素結合間に酸素原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基が挿入されてもよく、また、その脂肪族炭化水素基中の水素原子の一部もしくは全てがフッ素原子もしくはシアノ基で置換されていてもよい。 【0006】また、本発明は下式2で表される化合物と下式3で表される化合物を触媒の存在下、反応させることを特徴とする、式1で表される光学活性化合物の製造法を提供する。 R1−A1−Y1−A2−Y2−X1−M1 …式2 R2−A4−Y4−A3−Y3−X2−M2 …式3ただし、式中の記号は本明細書を通じて下記の意味を示す。M1、M2:相互に独立してハロゲン原子等の脱離性基を示す。また、本発明は、式2で表される化合物と式3で表される化合物の反応において、触媒がニッケル触媒であることを特徴とする、式1で表される光学活性化合物の製造法を提供する。 【0007】 【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明する。本発明は、下式1で表される新規な光学活性化合物、該光学活性化合物を含有する液晶組成物、および該液晶組成物を用いた液晶素子を提供する。 R1−A1−Y1−A2−Y2−X1−X2−Y3−A3−Y4−A4−R2 …式1【0008】ただし、式中の記号は本明細書を通じて下記の意味を示す。R1、R2:相互に独立して水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子またはシアノ基を示し、脂肪族炭化水素基の場合には、この脂肪族炭化水素基中の炭素−炭素結合間あるいはこの脂肪族炭化水素基と環基との間の炭素−炭素結合間に酸素原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基が挿入されてもよく、また、その脂肪族炭化水素基中の水素原子の一部もしくは全てがフッ素原子もしくはシアノ基で置換されていてもよく、また脂肪族炭化水素基の場合は、不斉炭素原子を含有していてもよい。A1,A2,A3,A4:相互に独立して、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキセニレン基を示し、又は水素原子の1個以上がハロゲン原子、シアノ基もしくはメチル基に置換されていてもよい1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を示し、又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、単結合を示す。Y1,Y2,Y3、Y4:相互に独立して−CH2CH2−、−CH2−、−CH=CH−、−OCH2−、−CH2O−、−O−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、又は単結合を示す。X1、X2:相互に独立して、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−2,7−ジイル基を示し、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基の場合には、X1,X2間の結合位置を1位とした場合に、2位にR3,6位にR4が置換しており、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−2,7−ジイル基の場合には、X1,X2間の結合位置を2位とした場合に、1位にR3,3位にR4が置換している。R3,R4:相互に独立して炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子またはシアノ基を示し、脂肪族炭化水素基の場合には、この脂肪族炭化水素基中の炭素−炭素結合間あるいはこの脂肪族炭化水素基と環基との間の炭素−炭素結合間に酸素原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基が挿入されてもよく、また、その脂肪族炭化水素基中の水素原子の一部もしくは全てがフッ素原子もしくはシアノ基で置換されていてもよい。 【0009】また、本発明は下式2で表される化合物と下式3で表される化合物を触媒の存在下、反応させることを特徴とする、式1で表される光学活性化合物の製造法を提供する。 R1−A1−Y1−A2−Y2−X1−M1 …式2 R2−A4−Y4−A3−Y3−X2−M2 …式3ただし、式中の記号は本明細書を通じて下記の意味を示す。M1、M2:相互に独立してハロゲン原子等の脱離性基を示す。また、本発明は、式2で表される化合物と式3で表される化合物の反応において、触媒がニッケル触媒であることを特徴とする、式1で表される光学活性化合物の製造法を提供する。 【0010】化合物(式1)は、その少なくとも1種類を他の液晶材料、または、他の液晶材料および非液晶材料(以下、他の液晶材料と非液晶材料とを総称して「他の材料」と記す。)に含ませて液晶組成物とする。他の材料中に化合物(式1)を含ませて液晶組成物とする場合には、化合物(式1)の量は、液晶組成物100質量部中に0.1〜40質量部(化合物(式1)を2種以上含ませる場合はその合量で)含ませるのが好ましく、1〜20質量部含ませるのが特に好ましい。他の材料中に含ませる化合物(式1)を2種以上用いる場合には、該2種の化合物(式1)の絶対配置は同じでも異なっていてもよい。 【0011】他の材料としては、下記化合物が例示できる。ただし、RCおよびRDは相互に独立して、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子またはシアノ基を示し、RCおよびRD中の水素原子の1個以上がハロゲン原子またはシアノ基等に置換されていてもよい。Z1、Z2、Z3、Z4は、相互に独立して、五員環または、シクロヘキサン環、ベンゼン環、ジオキサン環もしくはピリジン環等の六員環等の環構造を示し、非置換でも置換されていてもよい。また、環と環の間の結合基が他の結合基であってもよい。これらは、所望の性能に合わせて適宜変更されうる。RC−Z1−Z2−RD、RC−Z1−COO−Z2−RD、RC−Z1−C≡C−Z2−RD、RC−Z1−CH2CH2−Z2−RD、RC−Z1−Z2−Z3−RD、RC−Z1−COO−Z2−Z3−RD、RC−Z1−Z2−COO−Z3−RD、RC−Z1−COO−Z2−COO−Z3−RD、RC−Z1−CH2CH2−Z2−C≡C−Z3−RD、RC−Z1−Z2−Z3−Z4−RD。 【0012】本発明の化合物(式1)を含む液晶組成物は、液晶セルに注入する等の方法で、電極付の基板間に挟持して、液晶素子を構成する。上記液晶素子は、TN方式、STN方式、ゲスト・ホスト(GH)方式、動的散乱方式、フェーズチェンジ方式、DAP方式、二周波駆動方式、強誘電性液晶表示方式および反射コレステリック方式等種々の方式で使用できる。特に、本発明の液晶組成物は、STN方式液晶素子、反射コレステリック素子、強誘電性液晶素子、反強誘電性液晶素子に好適に使用できる。 【0013】以下に、液晶素子の構成および製法の具体例を示す。プラスチック、ガラス等の基板上に、必要に応じてSiO2、Al2O3等のアンダーコート層やカラーフィルタ層を形成し、In2O3−SnO2(ITO)、SnO2等の電極を設け、パターニングした後、必要に応じてポリイミド、ポリアミド、SiO2、Al2O3等のオーバーコート層を形成し、配向処理し、これにシール材を印刷し、電極面が相対向するように配して周辺をシールし、シール材を硬化して空セルを形成する。この空セルに、本発明の化合物を含む液晶組成物を注入し、注入口を封止剤で封止して液晶セルを構成する。この液晶セルに必要に応じて偏光板、カラー偏光板、光源、カラーフィルタ、半透過反射板、反射板、導光板、紫外線カットフィルタ等を積層する、文字、図形等を印刷する、ノングレア加工する等して液晶素子とする。なお、上記説明は、液晶素子の基本的な構成および製法を示したにすぎず、例えば2層電極を用いた基板、2層の液晶層を形成した2層液晶セル、TFT、MIM等の能動素子を形成したアクティブマトリクス基板を用いたアクティブマトリクス素子等、種々の構成のものが使用できる。 【0014】化合物(式1)は、従来使われていた不斉炭素を有する光学活性化合物と異なり、化合物を構成する環のオルト位に置換基を導入することによる立体障害により、軸性不斉を発現させることにより光学活性化合物としていることを特徴とする。この化合物(式1)は、他の液晶化合物又は非液晶化合物との相溶性に優れ、化学的にも安定であるため、液晶組成物に添加することにより、TN型およびSTN型または反射コレステリック型液晶素子とした場合に均一なツイスト配向を持つ素子となる液晶組成物が得られる。得られた素子は、近年注目されている高ツイスト角のSTN型液晶素子または反射コレステリック素子として好適である。その他、多色性色素を用いたGH型液晶素子、強誘電性液晶素子、反強誘電性液晶素子等にも使用できる。 【0015】 【実施例】液晶分子の不斉源は、一般に液晶の側鎖にのみ求められてきました。これまで不斉源として扱われることのなかった液晶分子のコア部は、主にビフェニル骨格(基)で構成されています。通常ビフェニル化合物は、自由に回転することができますが、2、2‘、6、6’(オルト)位に適当な大きさの置換基を導入することにより、動的な軸不斉を発現させることができます。すでにわれわれは、そうした動的キラルなビフェニル金属錯体を用いた不斉触媒反応を報告しております。今回、ビフェニルコア部の軸不斉を液晶の不斉源として用いることを考え、動的キラルな新規液晶分子を設計しその合成を行いました。その際、側鎖がm−位に置換したバナナ型分子とp−位に置換したリニア型分子、さらにその組み合わせとしてm、p−置換分子の3種類が考えられます。 【0016】まず、m−位を置換した液晶分子を合成しました。設計した分子はジエン体なので、olefinationで組み立てることができます。その不飽和エステル前駆体は、ハロアルデヒドをKnoevenagel反応とSuzuki−Miyaura反応で合成することができます。また、ジエン体をカップリングで組み立てても、標的化合物になります。以上の合成経路があります。 【0017】実施例13−Bromo benzaldehydeとボロン酸を用いてクロスカップリングを行い、まずビフェニル化合物を75%の収率で得ました。この分子を用いて液晶分子の一般的な側鎖合成を行いました。まず、Knoevenagel反応を行い好収率でE体を生成し、還元しアルコールにして、酸化マンガンを用いてアルデヒドを77%で得ました。これにHorner−Emmons反応でシアノオレフィン基を導入することで、目的の液晶分子を77%の収率で得ることができました。こうして、カップリング、オレフィン化ルートはこれら1連のビフェニル液晶の一般的合成経路となりました。 【0018】ビフェニル化合物の合成法として、ニッケル、パラジウムなどの遷移金属を用いたカップリング反応が考えられます。パラジウム触媒を用いてカップリングを行った場合には、目的のカップリング反応は進行せずに、Heckタイプの反応が進行してしまいました。一方ニッケル触媒を用いて反応を行った場合、文献では、ο−位置換ハロゲン化物は一般に低収率でしかカップリングしないとされていましたが、比較的収率よく反応は進行しカップリング体が得られました。 【0019】実施例2反応は、KI存在下、DMF中で行い、種々のホスフィン配位子を用い、そのニッケル触媒について検討しました。その結果、ο−位置換ハロゲン化物のカップリングにはNiCl2(DPPP)が最もよいとされていましたが、NiCl2(PPh3)2が最も収率がよく、56%でカップリング体が得られました。溶媒としては極性の高いDMFが最も適していることがわかりました。また、添加剤のIodideを検討したところ、KIよりEt4NIを用いることで、収率が向上しました。 【0020】実施例3次にオレフィン化を種々検討しました。まず、Horner−Emmons反応では、E体合成を目的として、n−BuLiを用いてTHF中で反応を行ったところ、収率72%で、E:Z比はおよそ3.5:1でした。一方、Z体合成を目的として、クラウンエーテル存在下、KHMDSを用いて反応を行ったところ、収率74%でオレフィンが得られE:Z比はおよそ1:1で生成物が得られました。そこで次にPeterson反応についても検討しました。塩基としてKHMDSを用いて反応を行ったところ、予期せず、TMS基を保持したオレフィンが得られ、そのオレフィンはE体のみでした。これは立体保持で脱シリル化することにより、シアノ基がZにのみ置換されたオレフィンも生成でき、合成に非常に有用であります。 【0021】先にオレフィンにシアノ基を導入してからカップリングをおこなうと、カップリング反応自体は進行しますが、オレフィンが異性化してしまうという問題点が見つかりました。これに対して、TMS基をE選択的に保持したオレフィンを用いてカップリング反応を行ったところ、オレフィンの異性化を伴わずに、カップリング体が得られました。このカップリング体を、立体特異的に脱シリル化することにより、シアノ基がZ体に規定された液晶分子が合成できます。 【0022】次に、ビピリジン環の合成についてです。まず6−bromo−2−pyridinecarboxaldehydeをKnoevenagel反応を行いE選択的にオレフィンを収率よく得ました。また、そのオレフィン合成にはHeck反応が考えられますが、26%と収率が低いという結果でした。得られたエステルをDIBAL−Hで還元して、TPAPと、NMOで酸化し、アルデヒドを得ました。さらにolefinationとcouplingを行いました。 【0023】次に、側鎖をp−位に有するLinear Typeの液晶分子について検討しました。この分子はラセミ体で存在しますが、不斉金属錯体を配位させることで、分子のキラリティーを1方のエナンチオマー(軸不斉)へとコントロールし、母体液晶に対してこの動的キラルなビフェニル液晶分子がキラルドーパントとして働きます。 【0024】以上、動的キラルな新規ビフェニル液晶分子を設計し、合成しました。コア部の合成はニッケル触媒を用いたカップリングにより行いました。その結果、ο−位置換基を有する基質のカップリング反応としては比較的よい収率でカップリング体を得ました。次に、Horner−Emmons反応を用いて、得られたカップリング体を、シアノ基を有するビフェニル液晶にしました。さらにPeterson反応によるオレフィン化を検討し、TMS基を保持したオレフィンをE選択的に得ました。これを用いてカップリング反応を行い、オレフィンの異性化を伴わずに、カップリング体を得ました。 【0025】 【発明の効果】本発明の化合物(式1)は光学活性を有する新規化合物である。また、この化合物(式1)は本発明の製造法により工業的にも容易に製造することができ、また、この化合物(式1)は他の液晶化合物又は非液晶化合物との相溶性に優れ、化学的にも安定であるため、STN型液晶素子用の液晶組成物、反射コレステリック液晶素子用の液晶組成物、強誘電性液晶素子、反強誘電性液晶素子用液晶組成物として有用である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】502131017 【氏名又は名称】三上 幸一
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| 【出願日】 |
平成14年3月8日(2002.3.8) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−261514(P2003−261514A) |
| 【公開日】 |
平成15年9月19日(2003.9.19) |
| 【出願番号】 |
特願2002−111366(P2002−111366) |
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