| 【発明の名称】 |
パーフルオロアルキルアクリル酸多量体および多量体組成物ならびにそれらの製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】徳久 賢治
【氏名】三村 英之
【氏名】河田 恒佐
【氏名】荒井 昭治
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| 【要約】 |
【課題】α位がパーフルオロアルキル化されたアクリル酸の精製法を、工業的な利用を満足させる方法で提供する。
【解決手段】下記一般式[II](式中、Rfは炭素数1〜10個のパーフルオロアルキル基)で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸を含む混合物を反応させて、下記一般式[I]で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸多量体もしくはパーフルオロアルキルアクリル酸多量体組成物を製造し、該パーフルオロアルキルアクリル酸多量体もしくは該パーフルオロアルキルアクリル酸多量体組成物を加熱しつつ、パーフルオロアルキルアクリル酸を系外に取り出すことによって、パーフルオロアルキルアクリル酸多量体を分解することを特徴とするパーフルオロアルキルアクリル酸の精製方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一般式[I] 【化1】
(式中、Rfは炭素数1〜10個のパーフルオロアルキル基、nは1以上の整数)で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸多量体。 【請求項2】 前記一般式[I]で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸多量体および一般式[II] 【化2】
(式中、Rfは炭素数1〜10個のパーフルオロアルキル基)で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸を含むことを特徴とするパーフルオロアルキルアクリル酸多量体組成物。 【請求項3】 前記一般式[I]においてnが1もしくは2のパーフルオロアルキルアクリル酸多量体であることを特徴とする請求項2記載のパーフルオロアルキルアクリル酸多量体組成物。 【請求項4】 前記一般式[II]で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸を、無触媒で50℃以上に加熱することを特徴とする前記一般式[I]で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸多量体の製造方法。 【請求項5】 前記一般式[II]で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸を、無触媒下50℃以上に加熱することを特徴とする請求項2または請求項3に記載のパーフルオロアルキルアクリル酸多量体組成物の製造方法。 【請求項6】 前記一般式[II]で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸を、触媒の存在下、0℃以上で反応することを特徴とする前記一般式[I]で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸多量体の製造方法。 【請求項7】 前記一般式[II]で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸を、触媒の存在下、0℃以上で反応することを特徴とする請求項2または請求項3に記載のパーフルオロアルキルアクリル酸多量体組成物の製造方法。 【請求項8】 前記一般式[I]で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸多量体もしくは、請求項2または請求項3に記載のパーフルオロアルキルアクリル酸多量体組成物を加熱しつつ、前記一般式[II]で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸を系外に取り出すことによって、前記一般式[I]で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸多量体を分解することを特徴とする前記一般式[II]で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸の製造方法。 【請求項9】 前記一般式[II]で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸を含む混合物を反応させて、前記一般式[I]で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸多量体もしくは、請求項2または請求項3に記載のパーフルオロアルキルアクリル酸多量体組成物を製造し、該パーフルオロアルキルアクリル酸多量体もしくは該パーフルオロアルキルアクリル酸多量体組成物を加熱しつつ、前記一般式[II]で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸を系外に取り出すことによって、前記一般式[I]で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸多量体を分解することを特徴とするパーフルオロアルキルアクリル酸の精製方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、医農薬中間体ならびに機能性高分子材料として有用なパーフルオロアルキルアクリル酸に関してなされたものであり、第1に、パーフルオロアルキルアクリル酸多量体およびパーフルオロアルキルアクリル酸多量体組成物ならびにそれらの製造方法に関し、第2にパーフルオロアルキルアクリル酸多量体およびパーフルオロアルキルアクリル酸多量体組成物を利用する高純度パーフルオロアルキルアクリル酸の工業的に有利な製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】α位がパーフルオロアルキル化されたアクリル酸の合成法はこれまでにいくつか報告されている。例として、1−パーフルオロアルキル−1−ハロゲノエチレンを塩基およびパラジウム触媒存在下カルボニル化する合成法(特開昭58−154529号公報)、1−パーフルオロアルキル−1−ハロゲノエチレンをn−ブチルリチウムでリチオ化し二酸化炭素と反応させる合成法(J.Org.Chem.,Vol.33,No.1,p.280(1968年))、1−パーフルオロアルキル−1−ハロゲノエチレンからグリニア試薬を合成し二酸化炭素と反応させる合成法(J.Fluorine.Chem.,Vol.29,p.431(1985年))、亜鉛と1−パーフルオロアルキル−1−ハロゲノエチレンと二酸化炭素を反応させる合成法(特開昭62−129242号公報、特開2001−288138公報)をあげる事ができる。 【0003】α位がパーフルオロアルキル化されたアクリル酸の精製法もこれまでにいくつか報告されている。例としてGLPCによる分取(J.Org.Chem.,Vol.33,No.1,p.280(1968年))、抽出と逆抽出を繰り返す方法(特開2001−288138公報)をあげる事ができる。これらのうち、GLPCによる分取が、工業的な大量生産に適さない事は明らかである。また、抽出と逆抽出を繰り返す方法では、反応溶媒が水溶性であるため、最初の二層分離に水や溶媒を大量に使用する必要があり、さらに、引き続く逆抽出と抽出工程においても水や溶媒を大量に使用する必要があり、操作性ならびに廃棄物の点で不利である。 【0004】本発明者らも、工業的に有利な、パーフルオロアルキル化されたアクリル酸の精製方法を確立すべく、種々検討を重ねてきたが、パーフルオロアルキル化されたアクリル酸を含有する溶液を加熱する工程において、当該アクリル酸含有量が減少する事を発見した。この発見をもとに、アクリル酸の構造に注目すると、分子内に反応性の高い二重結合を有しており、何らかの因子によって、当該アクリル酸が未知の有機反応を起こし、複雑な混合物を生成している事が懸念された。すなわち、当該アクリル酸を収率良く精製するには、当該アクリル酸が減少する原因の解明および含有量減少対策の考案が必要である事は明らかであった。 【0005】一方、α位がパーフルオロアルキル化されたアクリル酸のエステルがアニオン重合して高分子を生成することは、α−トリフルオロメチルアクリル酸エチルが重合する事(Makromol.Chem.,Rapid Commun.,Vol.6,p.301(1985年))などで知られている。しかし、α位がパーフルオロアルキル化されたアクリル酸が相互にマイケル付加反応して二量体や三量体などの多量体を生成する事や、それら多量体からなる組成物を生成する事は、組成物の存在も含めて知られていなかった。さらに、多量体もしくはそれら多量体からなる組成物からα位がパーフルオロアルキル化されたアクリル酸を製造できる事も知られていなかった。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の技術上の問題点に鑑みてなされたものである。その課題は、α位がパーフルオロアルキル化されたアクリル酸の精製法を、工業的な利用を満足させる方法で提供する事である。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、先の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、α位がパーフルオロアルキル化されたアクリル酸が相互にマイケル付加反応した二量体や三量体などの多量体およびそれら多量体からなる組成物を見出し、さらに、α位がパーフルオロアルキル化されたアクリル酸単量体と、二量体や三量体などの多量体が、平衡関係にある事を見出した。加えて、α位がパーフルオロアルキル化されたアクリル酸を前記多量体を経由して精製する事で、工業的に有利にα位がパーフルオロアルキル化されたアクリル酸を製造できる事を見出して、本発明を完成した。 【0008】すなわち、本発明は、以下の化合物、組成物、製造方法を提供する。 (1)下記一般式[I] 【0009】 【化3】
【0010】(式中、Rfは炭素数1〜10個のパーフルオロアルキル基、nは1以上の整数)で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸多量体。 (2)下記一般式[II] 【0011】 【化4】
【0012】(式中、Rfは炭素数1〜10個のパーフルオロアルキル基)で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸および前記の一般式[I](式中、Rf、nは前記同様)で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸多量体を含むパーフルオロアルキルアクリル酸多量体組成物。 (3)前記一般式[II]で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸を、無触媒下50℃以上に加熱する事を特徴とするパーフルオロアルキルアクリル酸多量体ならびにパーフルオロアルキルアクリル酸多量体組成物の製造方法。 (4)前記一般式[II]で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸を、触媒成分の存在下、0℃以上で反応する事を特徴とする本発明のパーフルオロアルキルアクリル酸多量体またはパーフルオロアルキルアクリル酸多量体組成物の製造方法。 (5)前記一般式[II]で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸多量体もしくは、前記(2)のパーフルオロアルキルアクリル酸多量体組成物を、加熱しつつ、前記一般式[II]で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸を系外に取り出す事によって、本発明のパーフルオロアルキルアクリル酸多量体を分解する事による前記一般式[II]で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸の製造方法。 (6)前記一般式[II]で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸を含む混合物を反応させて、前記一般式[I]で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸多量体もしくは、前記(2)に記載のパーフルオロアルキルアクリル酸多量体組成物を製造し、該パーフルオロアルキルアクリル酸多量体もしくは該パーフルオロアルキルアクリル酸多量体組成物を加熱しつつ、前記一般式[II]で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸を系外に取り出すことによって、前記一般式[I]で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸多量体を分解することを特徴とするパーフルオロアルキルアクリル酸の精製方法。 【0013】 【発明の実施の形態】以下に、さらに詳細に本発明を説明する。 【0014】前記一般式[I]およびに一般式[II]おいて炭素数1〜10個のパーフルオロアルキル基として、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロイソプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロ−sec−ブチル基、パーフルオロ−tert−ブチル基、パーフルオロイソペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロデシル基などを挙げる事ができ、好ましくは、炭素数1〜4個のパーフルオロアルキル基であり、さらに好ましくは、トリフルオロメチル基である。 【0015】前記一般式[I]のパーフルオロアルキルアクリル酸多量体において、nは1以上の整数であるが、好ましくは1〜2である。 【0016】本発明のパーフルオロアルキルアクリル酸多量体組成物とは、前記一般式[I]で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸多量体および前記一般式[II]で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸を含むものである。好ましくは、前記一般式[I]においてnが1および2のパーフルオロアルキルアクリル酸多量体と前記一般式[II]のパーフルオロアルキルアクリル酸の3種類のアクリル酸誘導体のうち、少なくとも2種類以上を任意の割合で含む事ができる。 【0017】本発明のパーフルオロアルキルアクリル酸の製造方法は、前記一般式[I]で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸多量体もしくは、パーフルオロアルキルアクリル酸多量体組成物中のパーフルオロアルキルアクリル酸多量体を分解することを特徴とするものである。 【0018】パーフルオロアルキルアクリル酸多量体もしくは、パーフルオロアルキルアクリル酸多量体組成物中のパーフルオロアルキルアクリル酸多量体の分解は、加熱し、前記一般式[II]のパーフルオロアルキルアクリル酸を系外に取出すことにより行われる。 【0019】本発明のパーフルオロアルキルアクリル酸多量体を分解して前記一般式[II]のパーフルオロアルキルアクリル酸を系外に取出す方法は、連続的であっても不連続的であってもよい。系外に取り出す方法としては、加熱によって蒸発する前記一般式[II]のパーフルオロアルキルアクリル酸を捕集する方法等を挙げる事ができる。さらに具体的には、蒸留や昇華により捕集する方法を挙げる事ができる。系外に取り出す温度範囲は、一般式[II](式中、Rfは前記同様)のパーフルオロアルキルアクリル酸を取り出す事ができれば特に限定しないが、好ましくは、50℃以上であり、効率の面から好ましくは、80℃以上である。 【0020】本発明のパーフルオロアルキルアクリル酸の製造方法は無触媒で行う事も可能であるが、触媒を添加して反応を促進させる事も可能である。例えば、有機溶媒中で反応を実施する場合、水を触媒として使用できる。さらに、一般的には、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、臭化水素酸、過臭素酸、臭素酸、亜臭素酸、次亜臭素酸などの無機酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、陽イオン交換樹脂、硫酸化ジルコニア、ヘテロポリ酸等の固体酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、水素化ナトリウム等のアルカリ金属の水素化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等のアルカリ金属のアルコキシド、トリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、4−ジメチルアミノピリジンなどの有機塩基、陰イオン交換樹脂、酸および塩基の任意の組み合わせからなる塩等を挙げる事ができ、これら触媒は単独でも複数混合して用いても良い。 【0021】触媒の添加量は、前記一般式[I]のパーフルオロアクリル酸多量体もしくはパーフルオロアクリル酸多量体組成物の、0.01〜50重量%であり、好ましくは、0.1〜10重量%であり、効率の観点からさらに好ましくは、1〜10重量%である。 【0022】本発明のパーフルオロアルキルアクリル酸の製造方法は、無溶媒もしくは溶媒存在下に実施する。 【0023】使用する溶媒としては、例えば水を挙げる事ができ、さらに有機溶媒として、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等のエステル類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、ピリジン、トリエチルアミン等のアミン類、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、リン酸ヘキサメチルトリアミド等の極性溶媒等を挙げることができる。 【0024】本発明のパーフルオロアルキルアクリル酸の製造方法において出発原料となるパーフルオロアルキルアクリル酸多量体またはパーフルオロアルキルアクリル酸多量体組成物は、前記一般式[II]で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸を、無触媒下50℃以上に加熱するか、触媒の存在下0℃以上で反応させることにより製造することができる。 【0025】本発明のパーフルオロアルキルアクリル酸多量体およびパーフルオロアルキルアクリル酸多量体組成物の製造は、無溶媒もしくは溶媒存在下に実施する。 【0026】使用する溶媒としては、例えば水を挙げる事ができ、さらに有機溶媒として、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等のエステル類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、ピリジン、トリエチルアミン等のアミン類、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、リン酸ヘキサメチルトリアミド等の極性溶媒等を挙げることができる。 【0027】本発明のパーフルオロアルキルアクリル酸多量体およびパーフルオロアルキルアクリル酸多量体組成物の製造方法は無触媒で行う事も可能であるが、触媒を添加して反応を促進させる事も可能である。例えば、有機溶媒中で反応を実施する場合、水を触媒として使用できる。さらに、一般的には、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、臭化水素酸、過臭素酸、臭素酸、亜臭素酸、次亜臭素酸などの無機酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、陽イオン交換樹脂、硫酸化ジルコニア、ヘテロポリ酸等の固体酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、水素化ナトリウム等のアルカリ金属の水素化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等のアルカリ金属のアルコキシド、トリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、4−ジメチルアミノピリジンなどの有機塩基、陰イオン交換樹脂、酸および塩基の任意の組み合わせからなる塩等を挙げる事ができ、これら触媒は単独でも複数混合して用いても良い。 【0028】触媒の添加量は任意に選択できるが、好ましくは前記一般式[II]のパーフルオロアルキルアクリル酸の0.01%〜50%であり、さらに好ましくは0.1%〜10%である。 【0029】本発明のパーフルオロアルキルアクリル酸多量体およびパーフルオロアルキルアクリル酸多量体組成物の製造方法の温度範囲は無触媒の場合には50℃以上が好ましく、さらに好ましくは、80℃から200℃である。さらに、触媒存在下では0℃以上で実施でき、好ましくは10〜200℃である。 【0030】なお、前記一般式[II]で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸は、公知の方法により製造できる。公知の製造方法としては、例えば前記従来技術の項で例示した方法を挙げることができる。 【0031】本発明のパーフルオロアルキルアクリル酸の精製方法は、パーフルオロアルキルアクリル酸を含む混合物(パーフルオロアルキルアクリル酸粗製物)を、上記パーフルオロアルキルアクリル酸の製造方法に準じて反応させて、前記一般式[I]で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸多量体もしくはパーフルオロアルキルアクリル酸多量体組成物を製造し、このパーフルオロアルキルアクリル酸多量体もしくはパーフルオロアルキルアクリル酸多量体組成物から、上記パーフルオロアルキルアクリル酸の製造方法に準じて、加熱し、系外にパーフルオロアルキルアクリル酸を取出すことにより行われる。 【0032】本発明のパーフルオロアルキルアクリル酸の精製方法において、一般式[II]で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸を含む混合物中のパーフルオロアルキルアクリル酸濃度は特に限定するものではないが、好ましくは90重量%以下である。さらに、この精製方法により製造されたパーフルオロアルキルアクリル酸の純度は、特に限定するものではなく、その使用目的を満足するもので有れば良いが、90重量%を超える事が好ましい。 【0033】 【実施例】次に本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。 【0034】実施例12−トリフルオロメチルプロペン酸3.78gにトリエチルアミン0.18gを添加し、110℃で6時間加熱した。加熱後冷却すると反応混合物は粘稠な液体であった。混合物のNMRスペクトルおよびIRスペクトルを測定した結果、2−トリフルオロメチルプロペン酸、3−(2−トリフルオロメチルプロペノイルオキシ)−2−トリフルオロメチルプロパン酸、3−[3−(2−トリフルオロメチルプロペノイルオキシ)−2−トリフルオロメチルプロペノイルオキシ]−2−トリフルオロメチルプロパン酸の存在を確認した。すなわち、以上に示すパーフルオロアルキルアクリル酸多量体を含む組成物であった。 【0035】反応混合物の分析結果を以下に示す。 2−トリフルオロメチルプロペン酸回収率:26.1%1H−NMR(400MHz,CDCl3,δ,ppm):10.965(1H,m),6.862(1H,q,J=1.71Hz),6.580(1H,q,J=1.47Hz),4.700(2H,d,J=5.86Hz),3.628(1H,tq,J=5.86,8.06Hz) 13C−NMR(100MHz,CDCl3,δ,ppm):166.638,135.23(dt,J=35.86,5.34Hz),130.637(q,J=29.50Hz),120.858(q,J=272.37Hz) IR(KBr,cm-1):1720(C=O) 【0036】3−(2−トリフルオロメチルプロペノイルオキシ)−2−トリフルオロメチルプロパン酸収率:14.0%1H−NMR(400MHz,CDCl3,δ,ppm):10.965(1H,m),6.748(1H,q,J=1.71Hz),6.495(1H,m),4.700(2H,d,J=5.86Hz),3.628(1H,tq,J=5.86,8.06Hz) 13C−NMR(100MHz,CDCl3,δ,ppm):170.356,160.377,135.23(dt,J=35.86,5.34Hz),130.356(q,J=32.04Hz),122.953(q,J=280.00Hz),120.858(q,J=272.37Hz),59.905(q,J=3.05Hz),48.495(q,J=28.99Hz) IR(KBr,cm-1):1750(C=O),1250(C−O−C),1050(C−O−C) 【0037】3−[3−(2−トリフルオロメチルプロペノイルオキシ)−2−トリフルオロメチルプロペノイルオキシ]−2−トリフルオロメチルプロパン酸収率:38.8%1H−NMR(400MHz,CDCl3,δ,ppm):10.965(1H,m),6.748(1H,q,J=1.71Hz),6.495(1H,m),4.700(2H,d,J=5.86Hz),4.659(2H,d,J=5.86Hz),3.628(1H,tq,J=5.86,8.06Hz),3.583(1H,tq,J=5.86,8.06Hz) 13C−NMR(100MHz,CDCl3,δ,ppm):170.075,163.799,160.491,135.23(dt,J=35.86,5.34Hz),130.356(q,J=32.04Hz),122.953(q,J=280.00Hz),122.851(q,J=280.00Hz),120.858(q,J=272.37Hz),61.237(q,J=3.05Hz),59.905(q,J=3.05Hz),49.668(q,J=28.23Hz),48.495(q,J=28.99Hz) IR(KBr,cm-1):1750(C=O),1250(C−O−C),1050(C−O−C) 【0038】参考例12−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペン(281g)、トリエチルアミン(321g)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(5.5g)、ヨウ化カリウム(5.3g)、水(41g)、テトラヒドロフラン(800g)を加圧容器に仕込み、反応温度65℃、一酸化炭素圧最大0.7MPaで4時間攪拌した。一酸化炭素は反応による降圧分を追加して添加する方法で、断続的に添加した。冷却後、常圧に戻し、3N塩酸(800mL)を添加して攪拌後二層分離し、有機層844gを得た。この有機層をn−ヘキシルベンゼンを内部標準として用いたガスクロマトグラフィー分析により定量すると、2−トリフルオロメチルプロペン酸166gを含み、2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペン基準の収率73.7%であった。 【0039】実施例2参考例1で得られた2−トリフルオロメチルプロペン酸を含む有機層105gを20℃で減圧濃縮し、2−トリフルオロメチルプロペン酸含有率73.1重量%の固体と粘稠な液体の混合物27gを得た。混合物中にはトリエチルアミン3重量%を含有していた。この混合物を20℃で3週間攪拌した。攪拌後の混合物は粘稠な液体であり、NMRを測定して分析すると、2−トリフルオロメチルプロペン酸(含有率34.8重量%)を回収しており、3−(2−トリフルオロメチルプロペノイルオキシ)−2−トリフルオロメチルプロパン酸(含有率12.2重量%)、3−[3−(2−トリフルオロメチルプロペノイルオキシ)−2−トリフルオロメチルプロペノイルオキシ]−2−トリフルオロメチルプロパン酸(含有率18.3重量%)を生成していた。すなわち、20℃、触媒存在下で、本発明のパーフルオロアルキルアクリル酸多量体とパーフルオロアルキルアクリル酸を含むパーフルオロアルキルアクリル酸多量体組成物を製造した。さらに、本発明のパーフルオロアルキルアクリル酸多量体組成物は、2−トリフルオロメチルプロペン酸が常温で固体であるのに対し、移送などの取扱が容易な液体であり、この点でも、2−トリフルオロメチルプロペン酸の製造中間組成物として有利である。 【0040】参考例2実施例2で得られた2−トリフルオロメチルプロペン酸を含む粘稠な液体1gを分取し、THF5gを添加して希釈し、20℃で10日間攪拌した。このTHF溶液をn−ヘキシルベンゼンを内部標準として用いたガスクロマトグラフィー分析により定量すると、THF溶液調整直後の2−トリフルオロメチルプロペン酸含有率は5.8重量%であるのに対し、攪拌後の含有率は10.5%であり、実施例2で減少した2−トリフルオロメチルプロペン酸が再び増加した。すなわち、トリフルオロメチルプロペン酸と一般式[I]でRfがトリフルオロメチル基であるパーフルオロアルキルアクリル酸多量体は平衡関係に有る事が明らかになり、温度や濃度などの条件を整える事で、本発明のパーフルオロアルキルアクリル酸多量体を分解して一般式[II](Rfは前記同様)で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸を得る事が可能である事を発見した。 【0041】実施例32−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペン(28.0kg)、トリエチルアミン(32.3kg)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(0.21kg)、ヨウ化カリウム(0.50kg)、水(4.0kg)、テトラヒドロフラン(80kg)を加圧容器に仕込み、反応温度70〜75℃、一酸化炭素圧0.9〜1.0MPaで8時間攪拌した。冷却後、常圧に戻し、3N塩酸(100kg)を添加して攪拌後二層分離し、有機層74.1kgを得た。この有機層をn−ヘキシルベンゼンを内部標準として用いたガスクロマトグラフィー分析により定量すると、2−トリフルオロメチルプロペン酸15.9kgを含み、2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペン基準の収率71.0%であった。得られた有機層を、内温50〜75℃で減圧濃縮すると濃縮液19.9kgが得られた。この濃縮液をNMR測定して分析すると、2−トリフルオロメチルプロペン酸(6.76kg、2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペン基準の収率30.2%、含有率34.0重量%)、3−(2−トリフルオロメチルプロペノイルオキシ)−2−トリフルオロメチルプロパン酸(4.20kg、2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペン基準の収率18.7%)、3−[3−(2−トリフルオロメチルプロペノイルオキシ)−2−トリフルオロメチルプロペノイルオキシ]−2−トリフルオロメチルプロパン酸(4.74kg、2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペン基準の収率21.2%)を含んでいた。濃縮液を減圧蒸留すると、蒸留圧力1〜7kPa、蒸留釜温度90〜120℃、塔頂温度80〜95℃で、純度99%以上の2−トリフルオロメチルプロペン酸11.29kg(2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペン基準の収率50.4%)を得た。すなわち、本発明のパーフルオロアルキルアクリル酸多量体ならびにパーフルオロアルキルアクリル酸多量体組成物を製造中間体として、2−トリフルオロメチルプロペン酸を精製した。 【0042】 【発明の効果】本発明によれば、α位がパーフルオロアルキル化されたアクリル酸の精製品を工業的に製造する中間体として有用なパーフルオロアルキルアクリル酸多量体ならびにパーフルオロアルキルアクリル酸多量体組成物、すなわち、α位がパーフルオロアルキル化されたアクリル酸とそのアクリル酸がマイケル付加した二量体、三量体、それ以上の多量体ならびにそれらを含む組成物を提供できる。さらに、本発明を利用する事によって、α位がパーフルオロアルキル化されたアクリル酸の工業的に有利な精製方法を提供できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】591180358 【氏名又は名称】東ソ−・エフテック株式会社
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| 【出願日】 |
平成14年3月7日(2002.3.7) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100067541 【弁理士】 【氏名又は名称】岸田 正行 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−261512(P2003−261512A) |
| 【公開日】 |
平成15年9月19日(2003.9.19) |
| 【出願番号】 |
特願2002−61933(P2002−61933) |
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