| 【発明の名称】 |
(メタ)アクリル酸エステルの製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】小泉 淳史 【住所又は居所】広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨン株式会社大竹事業所内
【氏名】村田 直志 【住所又は居所】広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨン株式会社中央技術研究所内
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| 【要約】 |
【課題】本発明は、エステル交換反応後、有機錫化合物を反応生成物から除去し、実質的に有機錫化合物の混入がほとんどない高純度の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】有機錫化合物の存在下に原料(メタ)アクリル酸エステルとアルコールとをエステル交換反応させて目的の(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法において、前記エステル交換反応の反応液から未反応の原料(メタ)アクリル酸エステルを分離した後、目的(メタ)アクリル酸エステルを含む液を水と低級アルコールの存在下にイオン交換樹脂と接触させることを特徴とする(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 有機錫化合物の存在下に原料(メタ)アクリル酸エステルとアルコールとをエステル交換反応させて目的の(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法において、前記エステル交換反応の反応液から未反応の原料(メタ)アクリル酸エステルを分離した後、目的(メタ)アクリル酸エステルを含む液を水と低級アルコールの存在下にイオン交換樹脂と接触させること(以下、イオン交換樹脂処理という。)を特徴とする(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。 【請求項2】 イオン交換樹脂と接触させる目的(メタ)アクリル酸エステルを含む液が、前記エステル交換反応の反応液から未反応の原料(メタ)アクリル酸エステルを分離した後、蒸留していない反応液であることを特徴とする請求項1記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。 【請求項3】 イオン交換樹脂と接触させる目的(メタ)アクリル酸エステルを含む液が、前記エステル交換反応の反応液から未反応の原料(メタ)アクリル酸エステルを分離した後の反応液を蒸留して得られた留出液であることを特徴とする請求項1記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。 【請求項4】 前記イオン交換樹脂処理の後に、さらに不溶物をろ過して除去することを特徴とする請求項1または2記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。 【請求項5】 前記低級アルコールがメチルアルコールであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。 【請求項6】 前記イオン交換樹脂処理の際に、水と低級アルコールの比率が、水1部に対し、低級アルコール0.01〜100部であり、水と低級アルコールの合計量が、目的(メタ)アクリル酸エステル1重量部に対して、0.01〜10重量部であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。 【請求項7】 前記イオン交換樹脂が強酸性陽イオン交換樹脂であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。 【請求項8】 前記イオン交換樹脂の量が、(メタ)アクリル酸エステル1重量部に対して0.001〜3重量部であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。 【請求項9】 前記目的(メタ)アクリル酸エステルを含む液と前記イオン交換樹脂との接触時間が0.1時間以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。 【請求項10】 イオン交換樹脂の固定床に目的(メタ)アクリル酸エステルを含む液を空間速度0.1〜20hr-1で流通させてイオン交換樹脂処理を行うことを特徴とする請求項1〜7記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。 【請求項11】 前記イオン交換樹脂処理を2回以上繰返して行うことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、(メタ)アクリル酸エステルの製造方法に関し、詳しくは(メタ)アクリル酸エステル製造時の触媒に由来する有機錫化合物の含有量を大幅に低減させ、純度の高い(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法に関する。 【0002】 【従来の技術】(メタ)アクリル酸エステルは、重合性のビニル基を有する化合物で重合または共重合して、接着剤、繊維処理剤、紙加工剤、塗料、潤滑油添加剤、可塑剤、レジストポリマーなどの幅広い分野に使用される有用な化合物である。 【0003】有機錫化合物を用いて、アクリル酸またはメタクリル酸エステル(以下、併せて(メタ)アクリル酸エステルという)とアルコールとのエステル交換反応による(メタ)アクリル酸エステルの製造方法は既に公知であり、例えば、特公昭57−42060号公報、特公昭60−23667号公報、特公平02−22064等に記載されている。通常、このようにして得られた反応液から目的とする(メタ)アクリル酸エステルを取得するには蒸留法が用いられるが、有機錫化合物は揮発性があり、最終製品と共に留出するので、製品中に錫が混入するという問題がある。 【0004】ところで、有機錫化合物は、通常、水に不溶または難溶であるため、有機錫化合物の大部分は有機層に留まってしまい、水洗浄により除去することは不可能である。特開平9−183751号公報にはエステル交換反応後の反応液をアルカリ水溶液で洗浄して、有機錫化合物を溶媒に不溶な水酸化物に変えた後、これをろ過により除去する方法が記載されているが、生成する水酸化物がろ過性の悪い微細粒子であり、ろ過に長時間を要することから工業上問題がある。また、実施例によれば25〜1160ppmの錫が残留している。 【0005】特公平7−8878号公報には、エステル交換反応液にカルボン酸化合物水溶液を加え、生成する不溶性の有機錫化合物を除去する方法が記載されているが、添加したカルボン酸を製品中から除くのに中和、洗浄、蒸留、カラムクロマトグラフィーなどの分離・精製操作が必要であり、工程が煩雑である。また、この方法では錫を十分除去できない。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】製品(メタ)アクリル酸エステル中に有機錫化合物が残留すると製品の重合挙動に異常を引き起こしたり、場合によっては濁りの原因になることがある。また、半導体製造に用いられるレジスト用ポリマーの原料モノマーとして(メタ)アクリル酸エステルを使用する場合、原料モノマー中の有機錫化合物がレジスト用ポリマーの性能に影響を与え、レジストの解像度および感度の低下を引き起こす原因となることがある。更に、エステル交換反応後の反応液から(メタ)アクリル酸エステルを留去する場合に有機錫化合物が大量に残存していると重合を促進したり、着色を引き起こしたりすることがあり、反応後に反応液から有機錫化合物を速やかに除去したいという要請が強かった。 【0007】従って本発明は、エステル交換反応後の反応液から有機錫化合物を除去し、有機錫化合物を実質的に含まない高純度の(メタ)アクリル酸エステルの製造方法を提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明は、有機錫化合物の存在下に原料(メタ)アクリル酸エステルとアルコールとをエステル交換反応させて目的の(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法において、前記エステル交換反応の反応液から未反応の原料(メタ)アクリル酸エステルを分離した後、目的(メタ)アクリル酸エステルを含む液を水と低級アルコールの存在下にイオン交換樹脂と接触させること(以下適宜、イオン交換樹脂処理ともいう。)を特徴とする(メタ)アクリル酸エステルの製造方法に関する。 【0009】本発明では、以下に詳述するように、目的(メタ)アクリル酸エステルを含む液を水と低級アルコールの存在下にイオン交換樹脂と接触させると、錫化合物を含む不溶物が生じるので、これを除くことで錫化合物を実質的に含まない高純度の目的の(メタ)アクリル酸エステルを得ることができる。 【0010】 【発明の実施の形態】まずエステル交換反応により原料(メタ)アクリル酸エステルとアルコールから目的の(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法を説明する。 【0011】エステル交換反応において用いられる有機錫化合物としては、例えば、ジアルキル錫オキサイドやジアルキル錫ジアルコキシド、トリアルキル錫アルコキシドなどを挙げることができる。 【0012】ジアルキル錫オキサイドとしては、アルキル基が各々独立に炭素数4〜8であるものが好ましく、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイドをその具体例として挙げることができる。 【0013】ジアルキル錫ジアルコキシドとしては、アルキル基の炭素数が1〜4個、アルコキシ基の炭素数が4〜8個のものが好ましく、アルキル基もアルコキシ基も互いに異なっていてもよく同じであってもよい。また、2つのアルコキシ基が互いに結合して炭素数2〜8の環を構成しているものでもよい。ジアルキル錫ジアルコキシドの具体例としては、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫ジエトキシド、ジブチル錫ジイソプロポキシド、ジブチル錫ジ−t−ブトキシド、ジオクチル錫ジメトキシド、ジオクチル錫ジエトキシドなどを挙げることができる。 【0014】トリアルキル錫アルコキシドとしては、アルキル基の炭素数が4〜8個、アルコキシ基の炭素数が1〜4個のものが好ましく、アルキル基は互いに独立である。に炭素数4〜8であり、トリアルキル錫アルコキシドの具体例としては、トリブチル錫メトキシド、トリブチル錫エトキシド、トリブチル錫イソプロポキシド、トリブチル錫t−ブトキシド、トリエチル錫メトキシド、トリメチル錫メトキシドなどを挙げることができる。 【0015】エステル交換反応で用いられる原料(メタ)アクリル酸エステルとしては、エステルのアルコール由来部分の炭素数が1〜4のアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルが好ましく、具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどが挙げられるが、特にアクリル酸メチル、メタクリル酸メチルを用いることが好ましい。 【0016】反応原料として用いられるアルコールとしては、脂肪族アルコール、脂環式アルコール、ラクトンアルコール、芳香族アルコールおよびアルキルアミノアルコールが挙げられる。 【0017】脂肪族アルコールとしては、炭素数が3〜30の直鎖または分岐鎖構造を有する飽和または不飽和の脂肪族アルコールが好ましい。また、アルコールの価数は一価が好ましい。脂肪族アルコールの具体例としては、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、ノナデシルアルコール、エイコシルアルコール、ヘンエイコシルアルコール、ドコシルアルコール、トリコシルアルコール、テトラコシルアルコール、ペンタコシルアルコール、ヘキサコシルアルコール、ヘプタコシルアルコール、オクタコシルアルコール、ノナコシルアルコール、トリアコンシルアルコール、プロペニルアルコール、ブテニルアルコール、ペンテニルアルコール、ヘキセニルアルコール、ヘプテニルアルコール、オクテニルアルコール、ノネニルアルコール、デセニルアルコール、ウンデセニルアルコール、ドデセニルアルコール、トリデセニルアルコール、テトラデセニルアルコール、ペンタデセニルアルコール、ヘキサデセニルアルコール、ヘプタデセニルアルコール、オクタデセニルアルコール、ノナデセニルアルコール、エイコセニルアルコール、ドコセニルアルコール、テトラコセニルアルコール、ヘキサコセニルアルコール、オクタコセニルアルコール、トリアコセニルアルコール、リノレイルアルコールなどを挙げることができる。 【0018】脂環式アルコールとしては、炭素数が5〜30の5員環以上の環を少なくとも1個有する飽和または不飽和の環状脂肪族アルコールが好ましい。環は炭素数1〜20の飽和または不飽和のアルキル基またはアルケニル基が1個以上置換されていてもよい。また、アルコールの価数は一価が好ましい。脂環式アルコールの具体例としては、シクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、シクロヘプチルアルコール、シクロオクチルアルコール、シクロノニルアルコール、シクロデシルアルコール、シクロウンデシルアルコール、シクロドデシルアルコール、シクロトリデシルアルコール、シクロテトラデシルアルコール、シクロヘキサデシルアルコール、シクロオクタデシルアルコール、ジシクロデシルアルコール、ジシクロウンデシルアルコール、ジシクロドデシルアルコール、トリシクロデシルアルコール、トリシクロウンデシルアルコール、トリシクロドデシルアルコール、アダマンタノール、2−メチル−2−アダマンタノール、2−エチル−2−アダマンタノール、イソボルニルアルコール、メチルシクロペンチルアルコール、エチルシクロペンチルアルコール、プロピルシクロペンチルアルコール、ブチルシクロペンチルアルコール、メチルシクロヘキシルアルコール、エチルシクロヘキシルアルコール、プロピルシクロヘキシルアルコール、ブチルシクロヘキシルアルコール、ヘキシルシクロヘキシルアルコール、オクチルシクロヘキシルアルコール、ノニルシクロヘキシルアルコール、デシルシクロヘキシルアルコール、ドデシルシクロヘキシルアルコール、ペンタデシルシクロヘキシルアルコール、オクタデシルシクロヘキシルアルコール、エイコシルシクロヘキシルアルコール、ジメチルシクロヘキシルアルコール、メチルプロピルシクロヘキシルアルコール、シクロペンテニルアルコール、シクロヘキセニルアルコール、シクロオクテニルアルコール、シクロデセニルアルコール、ジシクロデセニルアルコール、プロペニルシクロヘキシルアルコール、ヘキセニルシクロヘキシルアルコール、オクテニルシクロヘキシルアルコール、デセニルシクロヘキシルアルコール、ドデセニルシクロヘキシルアルコールなどが挙げられる。 【0019】ラクトンアルコールは、置換基を有していてもよい4員環以上のラクトンで、ラクトン上または置換基上にアルコール性水酸基を有するものである。ラクトンアルコールとしては、5または6員環ラクトン構造を有するものが好ましく、アルコール性水酸基はラクトン上にあることが好ましい。また、アルコールの価数は一価が好ましい。ラクトンアルコールの具体例としては、メバロラクトン、β−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトン、β−ヒドロキシ−β−メチル−γ−ブチロラクトン、α−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。 【0020】芳香族アルコールとしては、炭素数が7〜30の芳香環を少なくとも1個有する芳香族アルコールが好ましい。芳香環は炭素数1〜20の飽和または不飽和のアルキル基またはアルケニル基が1個以上置換されていてもよい。また、アルコールの価数は一価が好ましい。芳香族アルコールの具体例としては、ベンジルアルコール、メチルベンジルアルコール、プロピルベンジルアルコール、ブチルベンジルアルコール、ヘキシルベンジルアルコール、オクチルベンジルアルコール、ノニルベンジルアルコール、デシルベンジルアルコール、ドデシルベンジルアルコール、ペンタデシルベンジルアルコール、オクタデシルベンジルアルコール、エイコシルベンジルアルコール、ジメチルベンジルアルコール、トリメチルベンジルアルコール、ジブチルベンジルアルコール、ジオクチルベンジルアルコール、メチルエチルベンジルアルコール、メチルプロピルベンジルアルコール、メチルブチルベンジルアルコール、ジメチルブチルベンジルアルコール、メチルフェニルベンジルアルコール、オクテニルベンジルアルコール、ドデセニルベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、フェニルプロピルアルコール、フェニルブチルアルコールなどを挙げることができる。 【0021】アルキルアミノアルコールとしては、一般式R1R2N−R’−OH(ただし、R1およびR2は、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基であり、R’は炭素数1〜4のアルキレン基である。脂肪族炭化水素の炭素数は1〜8が好ましく、1〜4が特に好ましい。)で表されるようなものが好ましい。 【0022】このようなアルキルアミノアルコールとしては、例えば、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、ジn−プロピルアミノエタノール、ジn−ブチルアミノエタノール、ジエチルアミノn−プロパノール、ジベンジルアミノエタノール、メチルエチルアミノエタノールなどが挙げられる。 【0023】有機錫化合物の存在下での(メタ)アクリル酸エステルとアルコールのエステル交換反応は常法により実施することができる。通常、エステル交換反応は液相で行われ、その際、アルコールが副生するのでこれを反応系から除去しながら行うのがよい。反応時に副生するアルコールは、蒸留により、原料エステルとの共沸混合物として、適当な還流比で系外に留去する。必要に応じてアルコールと最低共沸混合物を形成する共沸剤を常法に従って存在させることができる。このような共沸剤としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、2,5−ジメチルヘキサン、2,2,4−トリメチルペンタン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタンなどが挙げられる。 【0024】反応に用いる原料(メタ)アクリル酸エステルと原料アルコールの割合は、原料アルコール1モルに対し、原料(メタ)アクリル酸エステル1モル以上、好ましくは1.5〜20モルである。有機錫化合物の使用量は、原料アルコール1モルに対し、0.0005〜0.5モルであり、より好ましくは、0.005〜0.2モルである。反応温度は、通常−30〜150℃であるが、副生するアルコールを除き、有意な反応速度を得るためには60〜150℃が好ましい。また、高温による重合を防止するために、重合防止剤を使用し、エアーバブリングを行うことが好ましい。この際、使用できる重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール等のフェノール系化合物、N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン等のアミン系化合物、フェノチアジン、3,7−ジオクチルフェノチアジン等のフェノチアジン系化合物、4−アセチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−[H−(OCH2CH2)n−O]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(ただし、n=1〜18)等のN−オキシル系化合物が挙げられる。 【0025】反応圧力は、加圧、常圧、減圧のいずれの条件も採用することができる。 【0026】エステル交換反応の終了後、反応系に残った未反応の原料(メタ)アクリル酸エステルは系外に留去する。留去は減圧で行うことが好ましい。未反応エステルを除いた反応液にはエステル交換反応生成物である目的の(メタ)アクリル酸エステルと、未反応原料アルコールと、有機錫化合物、重合防止剤が含まれている。 【0027】次に、本発明の特徴部分であるイオン交換処理について説明する。 【0028】本発明では、前述のように、エステル交換反応の反応液から未反応の原料(メタ)アクリル酸エステルを分離した後、目的(メタ)アクリル酸エステルを含む液を水と低級アルコールの存在下にイオン交換樹脂と接触させる。 【0029】本発明では、エステル交換反応の反応液から未反応の原料(メタ)アクリル酸エステルを分離した後の反応液をそのままイオン交換樹脂処理を行うことができる。あるいは、エステル交換反応の反応液から未反応の原料(メタ)アクリル酸エステルを分離した後の反応液を蒸留し、目的(メタ)アクリル酸エステルを回収した留出液をイオン交換樹脂処理してもよい。どちらの場合も、有機錫化合物が不溶化して析出してくるので、ろ過などの固液分離手段により除去することができる。 【0030】反応液から目的(メタ)アクリル酸エステルを回収する蒸留方法は、どのような方式でもよく、単純な蒸発操作でもよい。この蒸発操作で用いられる蒸発器は特に限定されず、例えば、ジャケット式蒸発器、ケトル式蒸発器、強制撹拌式薄膜蒸発器、流下膜式蒸発器、強制循環式蒸発器、コイル式蒸発器、プレート式蒸発器などが挙げられる。さらに蒸発操作で発生した蒸気を棚段塔、充填塔などの蒸留塔に導き精留することも可能である。 【0031】イオン交換樹脂処理の際に存在させる低級アルコールは、炭素数1〜4の1価アルコールが好ましく、具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールであり、この中でもメチルアルコールが特に好ましい。 【0032】イオン交換樹脂処理の際に存在させる水と低級アルコールの比率は、水1重量部に対して、通常は低級アルコール0.01〜100重量部であり、好ましくは0.1〜10重量部である。水と低級アルコールの合計量は、原料(メタ)アクリル酸エステル1重量部に対して、通常0.01〜10重量部であり、好ましくは0.1〜3重量部である。 【0033】イオン交換樹脂処理の際の温度は通常0〜80℃であり、10〜65℃が好ましい。温度の調整は、例えば、水および/または低級アルコールを予め温度調節するなどの方法で行うことができる。 【0034】イオン交換樹脂処理の際に、水および低級アルコールを共存させる方法としては、例えば、予め水と低級アルコールの混合物を調製しておき、これと目的(メタ)アクリル酸エステルを含む液とを混合する方法、目的(メタ)アクリル酸エステルを含む液にアルコール、水または水、アルコールの順にそれぞれを添加して混合する方法などが挙げられる。 【0035】使用できるイオン交換樹脂としては、交換基にスルホン酸基を有する強酸性陽イオン交換樹脂またはカルボキシル基、ホスホン酸基、フェノール基を有する弱酸性陽イオン交換樹脂が好ましく、この中でも特に、スルホン酸基を交換基とする強酸性陽イオン交換樹脂が好ましい。 【0036】イオン交換樹脂処理の方法は特に制限されないが、例えば、撹拌機を有する槽内でイオン交換樹脂と目的(メタ)アクリル酸エステルを含む液、水および低級アルコールを混合して接触する方法(攪拌接触)、イオン交換樹脂を固定床として充填した塔(カラム)に目的(メタ)アクリル酸エステルを含む液、水および低級アルコールの混合溶液を通液する方法(流通接触)などが挙げられる。 【0037】攪拌接触の場合は、使用するイオン交換樹脂量は、(メタ)アクリル酸エステル1重量部に対し、通常0.001〜3重量部であり、好ましくは0.01〜1重量部である。水と低級アルコール存在下に前記反応液とイオン交換樹脂を接触させると速やかに不溶化した有機錫化合物を生じるが、この接触させる時間は、通常0.1時間以上であり、0.5時間以上が好ましい。処理温度は、通常0〜80℃であり、10〜65℃の範囲が好ましい。所定時間接触させた後、不溶化した有機錫化合物およびイオン交換樹脂をろ過などの固液分離手段により分離する。ろ過する場合、必要により、ケイソウ土、パーライト、セルロース、プラスチック粒、のこくず、マグネシア、ベントナイト、石膏、活性炭、酸性白土、磁性鉄粉などのろ過助剤を用いることができる。 【0038】こうして得られた液から水と低級アルコールを留去して目的の(メタ)アクリル酸エステルを得る。留去後に精製のために更に蒸留してもよい。このとき不溶化した有機錫化合物が残っていたとしても、一旦不溶化した有機錫化合物は揮発することがないため製品に混入することはない。このようにして得られた(メタ)アクリル酸エステルは実質的に有機錫化合物を含有しない。なお、蒸留回収した水と低級アルコールはリサイクル使用することができる。 【0039】流通接触の場合は、目的(メタ)アクリル酸エステルを含む液、水および低級アルコールの混合溶液の通液にあたり、イオン交換樹脂の充填容積と通液速度の比で表される空間速度(SV)は0.1〜20hr-1が好ましく、特に0.5〜5hr-1が好ましい。処理温度は、通常0〜80℃であり、10〜65℃の範囲が好ましい。こうして得られたカラム出口液から水と低級アルコールを留去して目的の(メタ)アクリル酸エステルを得る。留去後に精製のために更に蒸留してもよい。このようにして得られた(メタ)アクリル酸エステルは実質的に有機錫化合物を含有しない。 【0040】本発明では、イオン交換樹脂処理を2回以上繰り返して行ってもよい。そうすることで、有機錫化合物の含有量をさらに低減することができる。このとき、イオン交換樹脂処理の方法が同じである必要はなく、例えば第1回目のイオン交換樹脂処理を攪拌接触で行って、第2回目のイオン交換樹脂処理を流通接触で行ってもよい。また、各イオン交換樹脂処理の間に蒸留操作を加えてもよい。 【0041】 【実施例】以下に、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例において、液中の錫濃度は、フレームレス原子吸光光度法により測定した。また、濃度の単位の%およびppmは、それぞれ重量%、重量ppmを表す。 【0042】<実施例1>内径30mm、段数20段のオールダショー型蒸留塔、撹拌機、温度計を備えた内容積1Lの丸底フラスコに、原料アルコールとしてβ−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトン(以下、HGBという。)102.09g(1.00モル)、原料エステルとしてメタクリル酸メチル(以下、MMAという。)700.82g(7.00モル)および重合防止剤としてp−メトキシフェノール0.35g、4−アセチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル0.35gを仕込み、反応器内圧力を常圧で、反応器内温を100〜104℃で0.5時間加熱撹拌し、系内含まれる水分を除いた。 【0043】冷却後、ジブチル錫オキサイド24.69g(0.10モル)を投入し、反応器内温を104〜108℃で8時間加熱撹拌した。反応の進行に伴い発生する副生メタノールはMMAとの共沸混合物として、還流比0.5〜5で系外に除いた。塔内の重合を防ぐため、p−メトキシフェノールの0.5重量%MMA溶液を1cc/hrの割合で塔頂より供給した。また、反応器内液相部をエアーバブリングした。反応終了後、反応器内の圧力を減圧にしMMAを十分に留去した。 【0044】この時の反応液(以下、MMA留去後の反応液という)の重量は175.4gであった。これをガスクロマトグラフィーにより分析した結果、目的物質γ−ブチロラクトン−3−イルメタクリレート(以下、HGBMAという。)89.4g(0.525モル)、HGB21.8g(0.214モル)であり、錫濃度は錫元素として6.8%であった。 【0045】次に、MMA留去後の反応液にメタノール138.7gと水175.4gを加え均一にした後、強酸性イオン交換樹脂(オルガノ社製アンバーリスト15)2.10gを投入した。イオン交換樹脂を投入後、10分以内に不溶化した有機錫化合物の沈殿が生じた。20℃で1時間撹拌を続けた後、ろ過により沈殿物とイオン交換樹脂を分離した。この時、ろ過性は良好であった。 【0046】ろ液から水とメタノールを減圧下で充分留去し、5Torr(667Pa)、40℃で1時間保持して、錫原子としての錫濃度が0.75%の第1回イオン交換樹脂処理液を得た。 【0047】以下、第1回目のイオン交換樹脂処理と同様に、水、メタノールおよびイオン交換樹脂を加え第2回目以降のイオン交換樹脂処理を行い、有機錫化合物の除去を繰返し行った。その結果、錫濃度は、2回処理で330ppm、3回処理で3.9ppm、4回処理で0.2ppmであった。4回処理した液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、HGBMAは88.5g(0.520モル)であり、重量の減少はハンドリング時のロス以外認められなかった。 【0048】<実施例2>実施例1と同様にして反応、MMA留去、イオン交換樹脂処理を行い、第1回イオン交換樹脂処理液を得た。この内20.7g(錫濃度は錫原子として0.75%、HGBMA11.2g(0.0658モル))にメタノール15.7g、水20.0gを加え撹拌して液を均一としカラム供給液を調製した。50mlガラス製クロマトカラムに強酸性イオン交換樹脂(オルガノ社製アンバーリスト15)50mlを充填した後、水:メタノール=1:1(体積比)の移動相をポンプにより通液し、カラム内を移動相に置換した。空間速度が1.0hr-1になるよう流量をコントロールし、カラム供給液を通液した。終了後、カラム内の滞在物を追い出すため、同じ流量で移動相を更に40分通液を続けた。カラム出口液を全て集めた後、水とメタノールを減圧下で充分留去し、5Torr(667Pa)、40℃で1時間保持した後、錫濃度を分析した結果、錫濃度は錫原子として0.3ppmであった。 【0049】<実施例3>内径35mm、段数20段のオールタショー型蒸留塔、撹拌機、温度計を備えた内容積3Lの丸底フラスコに、原料アルコールとして炭素数12と13のアルコールの混合物(三菱化学社製ドバノール23、以下SLOHという。)1093.0g(5.653モル)、原料エステルとしてMMA1018.7g(10.18モル)および重合防止剤として、4−アセチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル0.297gを仕込み、反応器内圧力を常圧で、反応器内温を114〜116℃で0.5時間加熱撹拌し、系内含まれる水分を除いた。 【0050】冷却後、ジブチル錫オキサイド13.96g(0.0565モル)を投入し、反応器内温を105〜130℃で4時間加熱撹拌した。副生メタノールはMMAとの共沸混合物として、還流比0.5〜5で系外に除いた。塔内の重合を防ぐため、p−メトキシフェノールの0.5重量%MMA溶液を1cc/hrの割合で塔頂より供給した。また、反応器内液相部をエアーバブリングした。反応終了後、反応器内の圧力を減圧にしMMAを十分に留去した。 【0051】MMA留去後の反応液の重量は1493.6gであった。これをガスクロマトグラフィーにより分析した結果、炭素数12と13のアルコールのメタクリレート(以下SLMAという)1485.2g(5.647モル)、未反応SLOH1.1g(0.01モル)、錫濃度は錫元素として0.45%であった。こうして得られたMMA留去後の反応液をガラス製強制撹拌式薄膜蒸発器(伝熱面積0.03m2)を用いて2Torr(267Pa)、142℃で蒸発させ、留出液1412.3gを取得した(以下、留出液Aという。)。留出液中の錫濃度は錫原子として220ppmであった。 【0052】この留出液A200gを分取し、これにメタノール:水=4:1(体積比)の混合液200ccを加えた後、強酸性イオン交換樹脂(オルガノ社製アンバーリスト15)を20g添加し、20℃で2時間撹拌後、不溶化した有機錫化合物およびイオン交換樹脂をろ過により分離した。得られたろ液からメタノールと水を充分に留去したのち、錫濃度を測定した結果、錫濃度は錫原子として0.4ppmであった。 【0053】<実施例4>実施例3で得た留出液A200gに、メタノール:水=4:1(体積比)の混合液200ccを加えた後、強酸性イオン交換樹脂(三菱化学社製ダイヤイオンRCP160H)を20g添加し、以下、実施例3と同様にして、得られた液の錫濃度を測定した結果、錫濃度は錫原子として0.6ppmであった。 【0054】<実施例5>ジメチル錫オキサイドの代わりに同モル量のジブチル錫メトキシドを用いた以外は実施例3と同様にして反応、MMA留去を行った。MMA留去後の反応液中の錫濃度は錫元素として0.4%であった。実施例3と同様に以降の操作を行い、得られた液の錫濃度を測定した結果、錫濃度は錫原子として0.4ppmであった。 【0055】<実施例6>実施例3の装置でさらに、デカンタ、水供給ポンプを備えた内容積3Lの丸底フラスコにジメチルアミノエタノール445.7g(5.00モル)、アクリル酸メチル951.3g(11.05モル)、ジブチル錫オキサイド17.7g(0.072モル)、共沸剤としてn−ヘキサン14.1g、重合防止剤としてフェノチアジン1.4gを仕込み、反応器内圧力を常圧として、反応器内温86〜97℃で、蒸留塔の塔頂を49〜51℃に維持し、メタノール/n−ヘキサン共沸物を留出させながら6時間反応させた。なお、メタノール/n−ヘキサン共沸物は水を仕込んだデカンタに導入し、メタノールを水層に除き、n−ヘキサンは還流液とし塔内に還流させた。デカンタにはポンプにより水を連続的に供給した。また、塔内の重合を防ぐため、p−メトキシフェノールの4.0重量%n−ヘキサン溶液を1cc/hrの割合で塔頂に供給した。反応終了後、反応器内の圧力を減圧にしアクリル酸メチルを充分に留去した。 【0056】アクリル酸メチル留去後の反応液の重量は、745.7gであり、ガスクロマトグラフィーで分析した結果、ジメチルアミノエチルアクリレート680.2g(4.75モル)、ジメチルアミノエタノール4.4g(0.049モル)、錫濃度は錫原子として1.1%であり、この他アクリル酸メチルのマイケル付加物、ジメチルアミノエチルアクリレートのマイケル付加物およびアクリル酸メチルが存在していた。 【0057】このアクリル酸メチル留去後の反応液を、引き続き、同じ上述のオールダショー型蒸留塔を用いて、還流比3〜5、塔頂圧力5〜10Torr(667〜1333Pa)、塔頂温度80〜85℃の条件で、原料アルコールを除いた後、還流比0.1〜0.5でジメチルアミノエチルアクリレートを留出させた。588.8gの留出液が得られ、錫濃度は錫原子として18ppmであった。この留出液200gを分取し、これにメタノール:水=1:1(体積比)の混合液300ccを加えた後、強酸性イオン交換樹脂(オルガノ社製アンバーリスト15)を15g添加し、室温において2時間撹拌後、不溶化した有機錫化合物およびイオン交換樹脂をろ過により分離した。得られたろ液からメタノールと水を充分に留去したのち、錫濃度を測定した結果、錫濃度は錫原子として0.2ppmであった。 【0058】 【発明の効果】本発明の方法によれば、非常に簡単なプロセスで、実質的に錫を含まない高純度の(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法を提供することができる。 【0059】本発明で得られた製品は異常な重合挙動を示すことなく、濁りが出ない。特に、半導体製造に用いられるレジスト用ポリマーの原料として用する場合、レジストの解像度および感度の優れたレジスト用ポリマーを製造することができる。更に、製品取得にあたって副反応や重合が生じることもなく、高品質の製品が高収率で得られる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006035 【氏名又は名称】三菱レイヨン株式会社 【住所又は居所】東京都港区港南一丁目6番41号
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| 【出願日】 |
平成14年3月7日(2002.3.7) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100088328 【弁理士】 【氏名又は名称】金田 暢之 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−261509(P2003−261509A) |
| 【公開日】 |
平成15年9月19日(2003.9.19) |
| 【出願番号】 |
特願2002−61731(P2002−61731) |
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