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【発明の名称】 (メタ)アクリル酸エステル製造装置の洗浄方法
【発明者】 【氏名】大塚 修平
【住所又は居所】広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨン株式会社大竹事業所内

【氏名】小川 朗
【住所又は居所】広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨン株式会社大竹事業所内

【氏名】佐藤 義彦
【住所又は居所】広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨン株式会社大竹事業所内

【要約】 【課題】装置内にチタン含有触媒由来の析出物の付着が少ない(メタ)アクリル酸エステル製造装置の洗浄方法を提供する。

【解決手段】本発明の(メタ)アクリル酸エステル製造装置の洗浄方法は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとアルコールとをチタン含有触媒の存在下でエステル交換反応させることにより、(メタ)アクリル酸エステルを製造する(メタ)アクリル酸エステル製造装置の洗浄方法において、少なくとも前記装置のチタン含有触媒を含む反応液に接触した部分を、水分含有率が5%以下の洗浄溶剤を用いて洗浄する工程を有することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (メタ)アクリル酸アルキルエステルとアルコールとをチタン含有触媒の存在下でエステル交換反応させることにより、(メタ)アクリル酸エステルを製造する(メタ)アクリル酸エステル製造装置の洗浄方法において、少なくとも前記装置のチタン含有触媒を含む反応液に接触した部分を、水分含有率が5%以下の洗浄溶剤を用いて洗浄する工程を有することを特徴とする(メタ)アクリル酸エステル製造装置の洗浄方法。
【請求項2】 前記洗浄溶剤が、非水溶性溶剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の(メタ)アクリル酸エステル製造装置の洗浄方法。
【請求項3】 前記洗浄溶剤が、非水溶性溶剤と水溶性溶剤の双方を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の(メタ)アクリル酸エステル製造装置の洗浄方法。
【請求項4】 前記装置が、下記式(1)で表されるアルコールを用い、下記式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステルを製造する装置であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の(メタ)アクリル酸エステル製造装置の洗浄方法。
1 OH (1)
CH2 =CR2 COOR1 (2)
(但し、式(1)、(2)中、R1 は、炭素数3〜24のアルキル基、アルコキシアルキル基、シクロアルキル基、アミノアルキル基のうちいずれかを示し、R2 は、水素原子又はメチル基を示す。)
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとアルコールとをチタン含有触媒の存在下でエステル交換反応させることにより、(メタ)アクリル酸エステルを製造する(メタ)アクリル酸エステル製造装置の洗浄方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】(メタ)アクリル酸エステルは、過酸化物、過硫酸塩又はアゾビス化合物等のラジカル重合開始剤の存在下で、容易に単独重合又は他の重合性モノマーと共重合し、機械的特性、耐熱性、耐候性、耐酸性等に優れたポリマーを生成する。従来、(メタ)アクリル酸エステルの製造方法として、チタン含有触媒(チタン系触媒)を用いたエステル交換法が知られている(例えば、特開平1−258642号公報、特開平4−66555号公報、特開平11−222461号公報、特公平8−9582号公報等)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】同一の装置で製造する(メタ)アクリル酸エステルの種類を変更したり、装置内部に汚れが付着した際には、装置を洗浄する必要があるが、チタン含有触媒を用いて(メタ)アクリル酸エステルを製造する装置では、洗浄中にチタン含有触媒由来の析出物が装置内に付着し、その除去に長時間を要することから生産性が低下するという問題があった。そこで、本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、装置内にチタン含有触媒由来の析出物の付着が少ない(メタ)アクリル酸エステル製造装置の洗浄方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の(メタ)アクリル酸エステル製造装置の洗浄方法は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとアルコールとをチタン含有触媒の存在下でエステル交換反応させることにより、(メタ)アクリル酸エステルを製造する(メタ)アクリル酸エステル製造装置の洗浄方法において、少なくとも前記装置のチタン含有触媒を含む反応液に接触した部分を、水分含有率が5%以下の洗浄溶剤を用いて洗浄する工程を有することを特徴とする。また、前記洗浄溶剤としては、非水溶性溶剤を含むものが好適であり、非水溶性溶剤と水溶性溶剤の双方を含むものがより好適である。
【0005】また、原料のアルコールとしては、下記式(1)で表されるものが好適であり、製造する(メタ)アクリル酸エステルとしては、下記式(2)で表されるものが好適である。
1 OH (1)
CH2 =CR2 COOR1 (2)
(但し、式(1)、(2)中、R1 は、炭素数3〜24のアルキル基、アルコキシアルキル基、シクロアルキル基、アミノアルキル基のうちいずれかを示し、R2 は、水素原子又はメチル基を示す。)
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明する。
[(メタ)アクリル酸エステルの製造方法]はじめに、チタン含有触媒(チタン系触媒)を用いたエステル交換法による(メタ)アクリル酸エステルの製造方法について説明する。この方法では、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとアルコールとをチタン含有触媒の存在下でエステル交換反応させることにより、(メタ)アクリル酸エステルを製造する。
【0007】ここで、原料として用いる(メタ)アクリル酸アルキスエステルとしては、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリル酸メチル又は(メタ)アクリル酸エチルを用いることが好ましく、中でも(メタ)アクリル酸メチルを用いることがより好ましい。
【0008】また、原料として用いるアルコールとしては、特に限定されるものではないが、下記式(1)で表されるものが好適である。
1 OH (1)
(但し、式(1)中、R1 は、炭素数3〜24のアルキル基、アルコキシアルキル基、シクロアルキル基、アミノアルキル基のうちいずれかを示す。)
ここで、式(1)で表されるアルコールとしては、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、ターシャリーブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、ラウリルアルコ−ル、ステアリルアルコール等のアルコール類、メトキシエタノール、エトキシエタノール、ブトキシエタノール等のアルコキシアルコール類、シクロヘキサノール等のシクロアルコール類、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール等のアミノアルコール類等を挙げることができる。
【0009】(メタ)アクリル酸アルキスエステルとして、(メタ)アクリル酸メチル又は(メタ)アクリル酸エチルを用い、アルコールとして、上記式(1)で表されるものを用いた場合、下記式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステルが製造される。
CH2 =CR2 COOR1 (2)
(但し、式(2)中、R2 は、水素原子又はメチル基を示す。)
【0010】また、用いて好適なチタン含有触媒としては、テトラメチルチタネート、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラブトキシチタネート等が挙げられる。チタン含有触媒の使用量は、原料アルコール1モルに対して、0.0001〜0.1モル、好ましくは0.0003〜0.03モルとする。触媒の使用量が0.0001モル未満では反応時間が長くなることがあり、また、0.1モル超では釜残が増加したり、触媒コストが高くなるという問題が生じる。
【0011】なお、原料として、(メタ)アクリル酸メチル又は(メタ)アクリル酸エチルを用いた場合、エステル交換反応の進行とともにメタノール又はエタノールが副成するが、これら副生アルコールは、未反応の(メタ)アクリル酸メチルや(メタ)アクリル酸エチルとの共沸混合物として反応系外に容易に取り出すことができる。また、n−ヘキサンなどの溶媒を用い、その共沸混合物として反応系外に取り出すこともできる。
【0012】また、エステル交換反応に際しては、原料の(メタ)アクリル酸アルキルエステルあるいは生成する(メタ)アクリル酸エステルの重合を抑制するために、あらかじめ重合防止剤を添加しておくことが好ましい。重合防止剤としては特に限定されるものではないが、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン(以下、「NF」と略す。)等を例示することができる。重合防止剤の添加量は、反応液の質量に対して0.001〜2%とすることが好ましい。重合防止剤の添加量が0.001%未満では、重合抑制の効果が十分でなく、2%超では、重合防止剤を目的生成物である(メタ)アクリル酸エステルから十分に分離することができず、得られた(メタ)アクリル酸エステルを重合させる際に、反応が阻害される恐れがある。また、エステル交換反応中に、酸素又は酸素と不活性気体との混合物、例えば、空気や、酸素とアルゴンとの混合気体等を、反応液及び/又は反応液面上に導入すると、原料や生成物の重合抑制効果がさらに向上するため、好適である。
【0013】[(メタ)アクリル酸エステル製造装置の洗浄方法]次に、以上のようにして(メタ)アクリル酸エステルを製造した製造装置の洗浄方法について説明する。本発明では、少なくとも装置のチタン含有触媒を含む反応液に接触した部分を、所定の水分含有率の洗浄溶剤を用いて洗浄する。ここで、洗浄溶剤としては、非水溶性溶剤を含むものが好適である。また、非水溶性の汚れと水溶性の汚れを同時に落とし、より高い洗浄効率が得られることから、非水溶性溶剤と水溶性溶剤の双方を含むものがより好適である。
【0014】非水溶性溶剤としては、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン等を例示することができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用することができる。また、水溶性溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸メチル、(メタ)アクリル酸エステル等を例示することができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用することができる。
【0015】また、洗浄溶剤の水分含有率は5%以下、好ましくは3%以下、より好ましくは1.5%以下とする。本発明者は、このように洗浄溶剤の水分含有率を5%以下とすることにより、装置内にチタン含有触媒由来の析出物の付着が少なくなることを見出した。なお、洗浄溶剤の水分含有率が5%超では、洗浄溶剤中の水分とチタン含有触媒とが反応して、析出物(スケール)を生成しやすくなり、その除去に長時間を要することから生産性が低下する。
【0016】洗浄方法としては特に限定されるものではないが、装置内に洗浄溶剤を充填する、洗浄溶剤を充填した装置を加熱する、洗浄溶剤を装置内に噴霧するなどが挙げられる。洗浄時の洗浄溶剤の温度や洗浄時間は、汚れ具合、洗浄溶剤の種類等の条件によって異なるため一概には言えないが、例えば、洗浄溶剤の温度は10〜200℃、洗浄時間は0.1〜50時間に設定すれば良い。また、洗浄に使用した洗浄溶剤は、回収して再利用しても良い。但し、この場合、蒸留や抽出などの方法により、洗浄溶剤中に含まれる汚れ成分を除去してから再利用することが好ましい。
【0017】以上のようにしてチタン含有触媒を含む反応液を洗浄した後は、装置内にチタン含有触媒は存在しないか、存在しても極めて微量であるため、チタン含有触媒と水との反応による析出物の生成は起こらない。したがって、さらに水を5%以上含む洗浄溶剤を用いて装置を洗浄しても良い。
【0018】本発明の洗浄方法によれば、チタン含有触媒と高濃度の水とを装置内で共存させないので、チタン含有触媒由来の析出物の生成を防止し、安定して洗浄作業を行うことができる。
【0019】
【実施例】次に、本発明に係る実施例及び比較例について説明する。
(実施例1)攪拌翼、温度計を備えたガラス製3Lフラスコ内に、原料としてイソブチルアルコール370.6g及びメタクリル酸メチル1001.2gを仕込み、触媒としてテトラメトキシチタン0.86g、重合防止剤としてNF0.071gを添加した。次いで、フラスコに、蒸留塔、冷却装置、液分配器を備えた蒸留装置を取り付けた。蒸留塔としては、内径35mmのガラス製20段オールダーショウ蒸留塔を用いた。オイルバスによりフラスコを加熱し反応を開始した。反応開始後2時間でイソブチルアルコールの転化率が97%となった。なお、反応で副生したメタノールは、蒸留装置によりメタクリル酸メチルとの共沸物として系外へ抜き出した。反応終了後、反応液をフラスコから抜き出した。以上のようにしてメタクリル酸エステルを製造した後、反応液を抜き出したフラスコを、洗浄溶剤として水分含有率80ppmのメタクリル酸メチル100gを用いて洗浄したところ、フラスコは綺麗に洗浄され、フラスコ内に析出物は確認されなかった。
【0020】(比較例1)実施例1と同様にしてメタクリル酸エステルを製造した後、反応液を抜き出したフラスコを純水で洗浄したところ、フラスコ内壁に白色の析出物が確認された。
【0021】(実施例2)原料アルコールとしてイソブチルアルコールの代わりに2−エチルヘキシルアルコール650gを用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。反応開始後2時間30分後には2−エチルヘキシルアルコールの転化率が98%となった。反応終了後、反応液をフラスコから抜き出し、洗浄することなく、同じ操作を10バッチ繰り返した。その後、フラスコ内壁には重合物と思われる白色の付着物が確認された。以上のようにしてメタクリル酸エステルを10バッチ製造した後、反応液を抜き出したフラスコ内に、トルエン及びアセトンを質量比で1対1に混合した、水分含有率1.3%の洗浄溶剤を投入し、攪拌しつつ60℃で1時間加熱した。次いで加熱を停止し、洗浄溶剤を抜き出したところ、フラスコ内壁は綺麗に洗浄されており、析出物は確認されなかった。
【0022】(比較例2)実施例2と同様にしてメタクリル酸エステルを10バッチ製造した後、白色の重合物が付着したフラスコ内に、アセトン及び純水を質量比で1対1に混合した洗浄溶剤を投入し、攪拌しつつ60℃で1時間加熱した。次いで加熱を停止し、洗浄溶剤を抜き出したところ、フラスコ内壁には白色のチタン含有触媒由来の析出物が新たに観察された。
【0023】実施例1、2、比較例1、2の結果から、水分含有率の低い洗浄溶剤を用いることにより、チタン含有触媒由来の析出物が生成することを防止できることが判明した。
【0024】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の(メタ)アクリル酸エステル製造装置の洗浄方法によれば、装置内にチタン含有触媒由来の析出物が付着することを防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱レイヨン株式会社
【住所又は居所】東京都港区港南一丁目6番41号
【出願日】 平成14年3月6日(2002.3.6)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外6名)
【公開番号】 特開2003−261505(P2003−261505A)
【公開日】 平成15年9月19日(2003.9.19)
【出願番号】 特願2002−61114(P2002−61114)