| 【発明の名称】 |
パーフルオロアルキルアクリル酸の取扱方法および精製方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】徳久 賢治
【氏名】三村 英之
【氏名】河田 恒佐
【氏名】荒井 昭治
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| 【要約】 |
【課題】α位がパーフルオロアルキル化されたアクリル酸の精製法を、工業的な利用を満足させる方法で提供する。
【解決手段】一般式[I] |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一般式[I] 【化1】
(式中、Rfは炭素数1〜10個のパーフルオロアルキル基)で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸を、70℃以下で取り扱うことを特徴とするパーフルオロアルキルアクリル酸の取扱方法。 【請求項2】 一般式[I] 【化2】
(式中、Rfは炭素数1〜10個のパーフルオロアルキル基)で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸を含む未精製物を、70℃以下で濃縮し、得られるパーフルオロアルキルアクリル酸を含む混合物を、前記一般式[I]のパーフルオロアルキルアクリル酸の融点以下に冷却し、前記一般式[I]のパーフルオロアルキルアクリル酸を固体として析出させ分離することを特徴とするパーフルオロアルキルアクリル酸の精製方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、パーフルオロアルキルアクリル酸の取扱方法および工業的に有利な精製方法に関する。 【0002】 【従来の技術】α位がパーフルオロアルキル化されたアクリル酸の合成法はこれまでにいくつか報告されている。例として、1−パーフルオロアルキル−1−ハロゲノエチレンを塩基およびパラジウム触媒存在下カルボニル化する合成法(特開昭58−154529号公報)、1−パーフルオロアルキル−1−ハロゲノエチレンをn−ブチルリチウムでリチオ化し二酸化炭素と反応させる合成法(J.Org.Chem.,Vol.33,No.1,p.280(1968年))、1−パーフルオロアルキル−1−ハロゲノエチレンからグリニア試薬を合成し二酸化炭素と反応させる合成法(J.Fluorine.Chem.,Vol.29,p.431(1985年))、亜鉛と1−パーフルオロアルキル−1−ハロゲノエチレンと二酸化炭素を反応させる合成法(特開昭62−129242号公報、特開2001−288138号公報)をあげることができる。 【0003】α位がパーフルオロアルキル化されたアクリル酸の精製法もこれまでにいくつか報告されている。例としてGLPCによる分取(J.Org.Chem.,Vol.33,No.1,p.280(1968年))、抽出と逆抽出を繰り返す方法(特開2001−288138公報)をあげることができる。これらのうち、GLPCによる分取が、工業的な大量生産に適さないことは明らかである。また、抽出と逆抽出を繰り返す方法では、反応溶媒が水溶性であるため、最初の二層分離に水や溶媒を大量に使用する必要があり、さらに、引き続く逆抽出と抽出工程においても水や溶媒を大量に使用する必要があり、操作性ならびに廃棄物の点で不利である。 【0004】本発明者らも、工業的に有利な、パーフルオロアルキル化されたアクリル酸の精製方法を確立すべく、種々検討を重ねてきたが、パーフルオロアルキル化されたアクリル酸を含有する溶液を加熱する工程において、当該アクリル酸含有量が減少することを発見した。この発見をもとに、アクリル酸誘導体の構造に注目すると、分子内に反応性の高い二重結合を有しており、何らかの因子によって、当該アクリル酸が未知の有機反応を起こし、複雑な混合物を生成していることが懸念された。すなわち、当該アクリル酸を収率良く精製するには、当該アクリル酸の減少を抑制する対策の考案が必要であることは明らかであった。 【0005】一方、α位がパーフルオロアルキル化されたアクリル酸のエステルがアニオン重合して高分子を生成することは、α−トリフルオロメチルアクリル酸エチルが重合すること(Makromol.Chem.,Rapid Commun.,Vol.6,p.301(1985年))などで知られている。しかし、重合以外で、α位がパーフルオロアルキル化されたアクリル酸が相互あるいは単独で反応して別の化合物を生成することに関する知見は知られていない。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の技術上の問題点に鑑みてなされたものである。その課題は、α位がパーフルオロアルキル化されたアクリル酸の精製法を、工業的な利用を満足させる方法で提供することである。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、先の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、高温条件を避けて取り扱うことで、α位がパーフルオロアルキル化されたアクリル酸を高収率で製造できることを見出し、本発明を完成した。 【0008】すなわち、本発明は、一般式[I] 【0009】 【化3】
【0010】(式中、Rfは炭素数1〜10個のパーフルオロアルキル基)で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸を、70℃以下で取り扱うことを特徴とするパーフルオロアルキルアクリル酸の取扱方法に関するものである。 【0011】さらに本発明は、一般式[I] 【0012】 【化4】
【0013】(式中、Rfは炭素数1〜10個のパーフルオロアルキル基)で示される未精製パーフルオロアルキルアクリル酸を、70℃以下で濃縮し、得られるパーフルオロアルキルアクリル酸を含む混合物を、前記一般式[I]のパーフルオロアルキルアクリル酸の融点以下に冷却し、前記一般式[I]のパーフルオロアルキルアクリル酸を固体として析出させ分離することを特徴とするパーフルオロアルキルアクリル酸の精製方法に関するものである。 【0014】 【発明実施の形態】以下に、さらに詳細に本発明を説明する。 【0015】前記一般式[I]において炭素数1〜10個のパーフルオロアルキル基として、例えばトリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロイソプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロ−sec−ブチル基、パーフルオロ−tert−ブチル基、パーフルオロイソペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロデシル基などを挙げることができ、好ましくは、炭素数1〜4個のパーフルオロアルキル基であり、さらに好ましくは、トリフルオロメチル基である。 【0016】本発明の取扱温度は70℃以下であるが、好ましくは50℃以下であり、さらに好ましくは30℃以下である。本発明の取扱方法によれば、一般式[I]のパーフルオロアクリル酸を相互にあるいは他の化合物と反応させる場合などのパーフルオロアクリル酸が本質的に減少する工程以外の操作において、一般式[I]のパーフルオロアクリル酸が減少することを抑制できる。70℃を超えて取り扱った場合よりも、一般式[I]のパーフルオロアクリル酸の減少割合が少なく、その操作の目的を満足するものであれば、許容される減少割合は限定されないが、パーフルオロアクリル酸の過度な減少を避ける観点から見て、減少率10%以下が好ましい。さらに好ましくは5%以下であり、最も好ましくは0%である。 【0017】本発明における取扱方法とは、パーフルオロアクリル酸が本質的に減少する工程以外の操作をいい、このような操作としては、一般式[I]のパーフルオロアクリル酸が目的とする反応に関与しない加熱や攪拌を伴う操作全てをあげることができる。具体的には、抽出、濃縮、蒸留、昇華、再結晶、溶融などをあげることができる。 【0018】前記一般式[I]のパーフルオロアクリル酸が減少する原因としては、アクリル酸の二重結合へのマイケル付加反応による他の化合物の生成などをあげることができる。具体的には、一般式[II] 【0019】 【化5】
【0020】(式中Rfは前記同様、nは1以上の整数)で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸多量体の生成をあげることができる。 【0021】本発明の精製方法における、未精製物とは、公知の製造方法により製造した前記一般式[I]のパーフルオロアルキルアクリル酸を含む反応混合物であって、精製処理を施していないものをいうが、精製操作が不十分な粗精製物であってもよい。 【0022】本発明の精製方法における濃縮手段および濃縮条件としては、70℃以下を保って濃縮できる方法であれば特に限定しないが、具体的には、減圧下、濃縮する混合物中の低沸点成分を揮発させる方法、濃縮する混合物中へ気体を吹き込むか広い面積で気体との接触を行う等して低沸点成分を揮発させる方法、凍結乾燥法等を挙げることができる。濃縮に用いる気体は特に限定しないが、乾燥空気、窒素、ヘリウム、アルゴンなどを挙げることができる。 【0023】本発明において、未精製のパーフオロアルキルアクリル酸を70℃以下で濃縮し、パーフルオロアルキルアクリル酸を固体として析出させ分離する精製方法は、無溶媒もしくは溶媒存在下に実施する。使用する溶媒としては、例えば水を挙げることができ、さらに有機溶媒として、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等のエステル類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、ピリジン、トリエチルアミン等のアミン類、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、リン酸ヘキサメチルトリアミド等の極性溶媒等を挙げることができる。 【0024】本発明の一般式[I]の化合物を含む未精製物において、その由来によっては、前記溶媒が複数存在しても良い。単独で用いる場合の溶媒および複数用いる場合に最も多く含まれる溶媒としては、パーフルオロアクリル酸の低温での溶解度の点で、脂肪族炭化水素や芳香族炭化水素が好ましく、さらに好ましくは、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素である。 【0025】本発明の精製方法において、濃縮後の一般式[I](式中、Rfは前記同様)で示されるパーフルオロアルキルアクリル酸を含む混合物中のパーフルオロアルキルアクリル酸濃度は特に限定するものではないが、例えば90重量%以下で十分である。 【0026】固体を析出させる温度はパーフルオロアルキルアクリル酸の融点以下であれば特に限定されないが、好ましくは、融点を40℃以上下回る温度である。 【0027】以下に、代表的なパーフルオロアルキルアクリル酸の融点を示す。 【0028】 α−トリフルオロメチルアクリル酸:52〜53℃α−ノナフルオロブチルアクリル酸:82〜84℃【0029】パーフルオロアルキルアクリル酸の融点以下の温度に冷却して、固体として析出したパーフルオロアルキルアクリル酸を分離する手段は特に限定されないが、例えば、濾過により固体と溶液を分離する方法を挙げることができる。 【0030】さらに、本発明の精製方法により製造されたパーフルオロアルキルアクリル酸の純度は、特に限定されるものではなく、その使用目的を満足するもので有れば良いが、90重量%を超えることが好ましい。 【0031】 【実施例】次に本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。 【0032】実施例1無色の結晶でガスクロマトグラフィー分析による純度99%である2−トリフルオロメチルプロペン酸5gを65℃で溶融し、同温度で12時間加熱した。加熱後冷却すると加熱前同様の無色結晶5gが得られた。ガスクロマトグラフィーにより分析すると、純度99%の2−トリフルオロメチルプロペン酸であった。すなわち、70℃以下で取り扱うことにより、パーフルオロアルキルアクリル酸の減少を防止できた。 【0033】比較例12−トリフルオロメチルプロペン酸3.29gを110℃で1日加熱した。加熱後冷却すると反応混合物には固体と粘稠な液体が存在していた。混合物のNMRスペクトルおよびIRスペクトルを測定した結果、2−トリフルオロメチルプロペン酸(回収率:50.1%)、3−(2−トリフルオロメチルプロペノイルオキシ)−2−トリフルオロメチルプロパン酸(収率:20.1%)、3−[3−(2−トリフルオロメチルプロペノイルオキシ)−2−トリフルオロメチルプロペノイルオキシ]−2−トリフルオロメチルプロパン酸(収率:20.7%)の存在を確認した。すなわち、70℃を超えて取り扱うことにより、パーフルオロアルキルアクリル酸多量体が生成しパーフルオロアルキルアクリル酸が50%減少した。 【0034】比較例22−トリフルオロメチルプロペン酸5gを85℃で12時間加熱した。加熱後冷却すると反応混合物には固体と粘稠な液体が存在していた。混合物をガスクロマトグラフィーにより分析すると、2−トリフルオロメチルプロペン酸含有率は88%であった。すなわち、70℃を超えて取り扱うことにより、11%のパーフルオロアルキルアクリル酸が減少した。 【0035】参考例12−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペン(281g)、トリエチルアミン(321g)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(5.5g)、ヨウ化カリウム(5.3g)、水(41g)、テトラヒドロフラン(800g)を加圧容器に仕込み、反応温度65℃、一酸化炭素圧最大0.7MPaで4時間攪拌した。一酸化炭素は反応による降圧分を追加して添加する方法で、断続的に添加した。冷却後、常圧に戻し、3N塩酸(800mL)を添加して攪拌後二層分離し、有機層844gを得た。この有機層をn−ヘキシルベンゼンを内部標準として用いたガスクロマトグラフィー分析により定量すると、2−トリフルオロメチルプロペン酸166gを含み、2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペン基準の収率73.7%であった。 【0036】実施例2参考例1で得られた2−トリフルオロメチルプロペン酸を含む有機層105gを20℃で減圧濃縮し、固体と粘稠な液体の混合物27gを得た。2−トリフルオロメチルプロペン酸が定量的に回収された場合の2−トリフルオロメチルプロペン酸含有率76.5重量%であるのに対し、ガスクロマトグラフィーで分析すると、2−トリフルオロメチルプロペン酸の含有率73.1重量%であった。すなわち、減圧濃縮操作中、低温に保って取り扱うことにより、パーフルオロアルキルアクリル酸の減少率を4.4%に抑制することが出来た。 【0037】比較例3参考例1で得られた2−トリフルオロメチルプロペン酸を含む有機層105gを80℃で減圧濃縮し、粘稠な液体の混合物26gを得た。NMRならびにガスクロマトグラフィーで分析すると、2−トリフルオロメチルプロペン酸(含有率19.0重量%)と先に示した一般式[II]でRfがトリフルオロメチル基である多量体の混合物(含有率61.0重量%)を含んでいた。すなわち、70℃を超えて取り扱うことにより、パーフルオロアルキルアクリル酸多量体が生成しパーフルオロアルキルアクリル酸が減少した。 【0038】実施例3実施例2で得られた混合物(2−トリフルオロメチルプロペン酸含有率73.1重量%)(20.0g)、n−ヘキサン(20.0g)を混合し、30℃で攪拌して均一な溶液を得た。この溶液を、攪拌しながら5℃まで冷却した。析出した無色固体を吸引ろ過により分取し、α−トリフルオロメチルプロペン酸 11.7g(前記混合物からの回収率80.1%)を得た。ガスクロマトグラフィーによりこの固体を分析したところ純度は99%であった。すなわち、本発明の方法により高収率でパーフルオロアルキルアクリル酸を精製した。 【0039】 【発明の効果】本発明の方法によれば、α位がパーフルオロアルキル化されたアクリル酸を精製する際に、α位がパーフルオロアルキル化されたアクリル酸の減少を抑制し、α位がパーフルオロアルキル化されたアクリル酸の工業的に有利な製造方法を提供できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】591180358 【氏名又は名称】東ソ−・エフテック株式会社
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| 【出願日】 |
平成14年3月7日(2002.3.7) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100067541 【弁理士】 【氏名又は名称】岸田 正行 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−261503(P2003−261503A) |
| 【公開日】 |
平成15年9月19日(2003.9.19) |
| 【出願番号】 |
特願2002−61932(P2002−61932) |
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