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【発明の名称】 6−(1’Z)−ブテニル−1,4−シクロヘプタジエンの両鏡像体の製造方法およびそれらを含有する香料組成物
【発明者】 【氏名】梶原 忠彦

【氏名】松井 健二

【氏名】赤壁 善彦

【氏名】川合 哲夫

【氏名】石原 正和

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】式(1)で表される(1S,2R)−(−)−ジクチオプテレンB、或いは式(1')で表される(1R,2S)−(+)−ジクチオプテレンB【化1】

を非極性溶媒中で熱異性化させて式(2)で表される(6S)−(+)−6−(1'Z)−ブテニル−1,4−シクロヘプタジエン{(6S)−(+)−ジクチオプテレンD'ともいう}、或いは式(2') で表される(6R)−(−)−6−(1'Z)−ブテニル−1,4−シクロヘプタジエン{(6R)−(−)−ジクチオプテレンD'ともいう}の製造方法。
【化2】

【請求項2】請求項1記載の(6S)−(+)−ジクチオプテレンD'または(6R)−(−)−ジクチオプテレンD'を含有することを特徴とする香料組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、褐藻シオミドロ(Ectocarpus siliculosus)の性フェロモンであり、海藻様の香気を有する香粧品、飲食品等への賦香用組成物の香料原料として有用なジクチオプテレンD'の両鏡像体の製造方法およびそれを配合した香料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ジクチオプテレンD'は、R. E. Moore等によってハワイ産の海藻Dictyopteris plagiogramma(スジヤハズ)とD. australisの生鮮藻体から単離・同定された既知化合物で、その絶対構造は、彼らによって(6S)−(+)−6−(1'Z)−ブテニル−1,4−シクロヘプタジエンと報告された [R. E. Moore, J. A. Pettus, Jr., and J. Mistysyn, J. Org. Chem., 39, 2201-2207 (1974)]。
【0003】ところで、Boland等は非天然型のシス−ジクチオプテレンBを8℃で1時間静置しておくとCope転位が起こってジクチオプテレンD'に変換してしまうことから、生体内では、脂肪酸から生合成されたシス−ジクチオプテレンBが自動的にジクチオプテレンD'に変換する生合成経路を提唱している[G. Pohnert and W. Boland, Tetrahedron, 52, 10073-10082 (1996)]。実際、彼らは(1S,2R)−1−アセトキシメチル−2−ヨードビニルシクロプロパンから4工程で合成した不安定な(1R,2R)−シス−ジクチオプテレンBを室温で静置して、92% e.e.の(6S)−ジクチオプテレンD'を得ている[G. Pohnert and W. Boland, Tetrahedron, 53, 13681-13694 (1997)]。
【0004】一方、天然型のトランス−ジクチオプテレンBは室温下では安定に存在するが、100℃以上に加熱すると、シス体と同様にCope転位が起こり、ジクチオプテレンD'に変換されることが明らかにされた。すなわち、Moore等は上記の文献で天然から単離した(−)−ジクチオプテレンBのペンタン溶液を、封管中で103−108℃で40時間加熱することによって(6R)−(−)−ジクチオプテレンD'を97%の収率で合成している。しかしながら、得られた(6R)−(−)−ジクチオプテレンD'の比旋光度は、[α]D23 −24°で、彼らが単離して報告している(6S)−(+)−ジクチオプテレンD'の比旋光度[α]D23 +75°に比べると光学純度は低い。また、Cohen等は、(±)−ジクチオプテレンBを封管中、100〜120℃で12〜18時間加熱させて(±)−ジクチオプテレンD'に変換している[W. D. Abraham and T. Cohen, J. Am. Chem. Soc., 113, 2313-2314 (1991)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の方法の内、シス−ジクチオプテレンBを経由する方法は、ジクチオプテレンD'を合成する方法としては優れているが、そのためにわざわざ不安定なシス−ジクチオプテレンBを合成する必要がある。一方、上述のトランス−ジクチオプテレンBを経由する方法においては、原料のジクチオプテレンBの光学純度が不明、或いはラセミ体であり、得られたジクチオプテレンD'の光学純度も低いか、もしくはラセミ体であり、熱的Cope転位反応がエナンチオ選択的に進行しているのか否かの判定が難しかった。
【0006】従って、本発明の目的は、海藻様、コケ様の香気を有するジクチオプテレンD'の両鏡像体を、高い化学および光学純度で合成し、香料工業に有用な香料原料として、各種食品や香粧品に配合することができる香料組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、式(1)で表される(1S,2R)−(−)−ジクチオプテレンB、或いは式(1')で表される(1R,2S)−(+)−ジクチオプテレンB【0008】
【化3】

を非極性溶媒中で熱異性化させて、式(2)で表される(6S)−(+)−ジクチオプテレンD'、或いは式(2')で表される(6R)−(−)−ジクチオプテレンD'の製造方法である。
【0009】
【化4】

また本発明は、前記(6S)−(+)−ジクチオプテレンD'、または(6R)−(−)−ジクチオプテレンD'を含有することを特徴とする香料組成物である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の式(2)化合物は、式(1)で表される(1S,2R)−(−)−ジクチオプテレンBを出発原料として、例えば下記のような反応工程で合成することができる。
【0011】
【化5】

【0012】得られた(6S)−(+)−ジクチオプテレンD'(式2の化合物)は、ややスパイシー感を伴った強い海藻様の香りを有する。
【0013】また、式(2')の化合物の場合も式(1')で表される(1R,2S)−(+)−ジクチオプテレンBを出発原料として全く同様に合成することができる。
【0014】
【化6】

【0015】得られた(6R)−(−)−ジクチオプテレンD'(式2'の化合物)は、海藻様、グリーン感のあるコケ様の香りを有している。
【0016】本発明で使用することができる式(1)及び式(1')で表される出発原料の(1S,2R)−(−)−ジクチオプテレンB及び(1R,2S)−(+)−ジクチオプテレンBは、例えば、本発明者らが開発した方法{梶原、松井、赤壁、山本、第45回香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会要旨集、2II-15, 333-335 (2001)}で合成できる。
【0017】上記の式(1)或いは式(1')で表される化合物は、高光学純度のものであることが望ましい。
【0018】上記反応工程で式(2)或いは式(2')の化合物を得るために使用される非極性溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、およびこれらの混合溶媒などを挙げることができるが、反応や後処理の操作性、安全性などを勘案するとヘキサンが望ましい。その使用量としては、式(1)或いは式(1')の化合物に対して2〜100部、好ましくは5〜50部である。また、Cope転位反応を起こすための反応条件としては、一般的に100〜150℃の温度範囲で5〜24時間の範囲が挙げられる。
【0019】上記の反応で得られたジクチオプテレンD'の精製法としては、一般的に減圧蒸留法、シリカゲルクロマトグラフィー法などが好ましく採用される。シリカゲルカラムクロマトで精製する場合の展開溶媒としてはペンタン、ヘキサンなどの低沸点炭化水素溶媒が好ましい。
【0020】上記で得られる本発明化合物の(6S)−(+)−ジクチオプテレンD'(式2の化合物)は、ややスパイシー感を伴った強い海藻様の香りを、(6R)−(−)−ジクチオプテレンD'(式2'の化合物)は、海藻様、グリーン感のあるコケ様の香りを有している。本発明化合物は上記のようにそれ自体で特有の香気を有するものであるが、公知の香料組成物に本発明化合物の1種または2種を含有させることにより、該香料組成物は夫々の化合物の香気特性を生じながら、該香料組成物自身の香気ときわめて効果的な調和を示し、各香料組成物の香気の改善および増強に優れた効果を示す。例えば、(6S)−(+)−体をフル−ツ系調合香料に添加・使用することにより、ややアルベド的なスパイシー感が賦与され、ビターな果汁感がエンハンスされる。また、例えば(6R)−(−)−体をフロ−ラル系調合香料に添加・使用することにより、拡散性のあるグリーン感を伴ったトップノ−トが賦与される。
【0021】即ち本発明の香料組成物は、本発明化合物の(6S)−(+)−体または(6R)−(−)−体を含有することを特徴とする香料組成物である。その含有量は、一般に香料組成物全重量の約0.0001〜20重量%、好ましくは約0.0005〜10重量%の範囲が挙げられるが、これによって限定されるものではなく、対象となる香料組成物の種類によって、その含量は適宜調整できる。
【0022】本発明化合物を用いて香料組成物を調製する場合、他に使用される香料化合物としては、例えばリモネン、カリオフィレン、ピネンなどの各種炭化水素類;アセトアルデヒド、α−ヘキシルシンナムアルデヒド、シトラ−ルなどの各種アルデヒド類;マルト−ル、ベンジルアセトン、ダマセノンなどの各種ケトン類;ブタノ−ル、ベンジルアルコ−ル、リナロ−ルなどの各種アルコ−ル類;ゲラニル エチル エ−テル、ロ−ズオキサイド、フルフラ−ルなどの各種エ−テル・オキサイド類;エチル アセテ−ト、ベンジル アセテ−ト、リナリル アセテ−トなどの各種エステル類;γ−デカラクトン、クマリン、スクラレオライドなどの各種ラクトン類;インド−ル、2−イソプロピル−4−メチルチアゾ−ル、フェニルアセトニトリルなどの各種ヘテロ化合物類;オレンジオイル、ジャスミンアブソリュ−ト、シダ−ウッドオイル、オリスコンクリ−トなどの各種天然素材類が挙げられる。使用する溶剤としては、例えばエタノ−ル、ジプロピレングリコ−ル、ベンジル ベンゾエ−ト、水、トリアセチン、トリエチル シトレ−トなどが挙げられる。
【0023】本発明の香料組成物は、下記の飲食品類および香粧品類に用いることによって、その特徴的な香気または香気香味特性を商品に賦与し、消費者のニ−ズにあった、かつユニ−クな商品を提供できる。飲食品類としては、例えば、酒類、柑橘飲料類、フル−ツ飲料類、乳飲料類、炭酸飲料類、茶飲料などの各種飲料類;アイスクリ−ム、アイスシャ−ベット、アイスキャンディなどの各種冷菓類;タバコ、チュ−インガム、キャンディ、プリン、ゼリ−などの各種嗜好品類;和風ス−プ、洋風ス−プなどの各種ス−プ類;カマボコなどのネリ製品、インスタント食品類、スナック食品類、動植物エキス類などが挙げられる。香粧品類としては、例えばパルファム、オ−ドパルファム、オ−ドトワレなどの香水類;シャンプ−類、リンス類、トリ−トメント類、石鹸類、ボディシャンプ−類などの各種トイレタリ−製品類;線香、ろうそく、練り香などの各種香類;染毛剤類、ブリ−チ剤類、ヘアトニック類などの各種毛髪料類;ファンデ−ション、化粧水、口紅などの各種化粧品類;室内芳香剤類、車内芳香剤類などの各種芳香剤類;食器洗剤類、洗濯洗剤類、柔軟剤類などの各種洗剤類などが挙げられる。
【0024】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによってなんら限定されるものではなく、本反応の範囲を逸脱しない範囲で変更することは可能である。なお、各実施例および参考例において物性の測定に用いた装置は次の通りである。
【0025】キラルガスクロマトグラフィー:島津GLC−6A;カラム:Lipodex E(Macherey Nagel社製);検出器:FIDプロトンおよび13C核磁気共鳴スペクトル(1 H−および13C−NMR):JMN−LA400(400および100MHz)(日本電子社製);内部標準物質:テトラメチルシラン(重クロロホルム中)
赤外吸収スペクトル(IR):IR−260−10型(日立製作所社製)
旋光度:DIP−370(日本分光社製)
質量分析スペクトル:M−80B(日立製作所社製)
【0026】(6S)−(+)−ジクチオプテレンD'(式2の化合物)と(6R)−ジクチオプテレンD'(式2'の化合物)の光学純度の決定方法(6S)−(+)−ジクチオプテレンD'(式2の化合物)と(6R)−ジクチオプテレンD'(式2'の化合物)の光学純度は、それぞれの比旋光度の値から概算できるが、より正確を期するためにはキラルカラムを充填したGCで決定できる。しかしながら、用いたキラルカラム{Lipodex E (Macherey Nagel社製)}では式(2)と式(2')の化合物の分離は不可能であった。そこで、それぞれのZ−ブテニル基を公知の方法で水素添加し、式(2)の化合物からは式(3)で表される(6R)−(−)−6−ブチル−1,4−シクロヘプタジエン{(6R)−(−)−ジクチオプテレンC'ともいう}に、式(2')の化合物からは式(3')で表される(6S)−(+)−6−ブチル−1,4−シクロヘプタジエン{(6S)−(+)−ジクチオプテレンC'ともいう}に変換して、これらを上記のキラルカラムを充填したGCで分析することで光学純度を決定した。
【0027】
【化7】

【0028】
【化8】

【0029】参考例1(1S,2R)−(−)−ジクチオプテレンB(式1の化合物)の合成(3S,5Z,8Z)−1,5,8−ウンデカトリエン−3−オール(166 mg,1.0 mmol, e.e.>99%)のヘキサン溶液(10 mL)を激しく撹拌しながらリチウムジイソプロピルアミド(LDA)のヘキサン溶液(1.5 mmol)をアルゴン置換下、−75℃で加えた。1時間後、ピロリン酸エチルエステル(378 mg, 1.6 mmol)を−76℃で加え、反応温度を徐々に0℃まで上げた。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で反応を中止し、混合物を室温まで温めた。反応混合物をエーテルで抽出し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下溶媒を留去し、濃縮物をシリカゲルカラムクロマト(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製して(3S,5Z,8Z)−1,5,8−ウンデカトリエン−3−イル ジエチルホスフェート(216mg, 収率:74%)を得た。上記の(3S,5Z,8Z)−1,5,8−ウンデカトリエン−3−イル ジエチルホスフェート(100 mg, 0.35 mmol)のヘキサン(30 mL)溶液を激しく撹拌しながら、カリウムビストリメチルシリルアミドの0.5 M THF溶液(12.5 mL,0.7 mmol)を−76℃で加えた。反応混合物を−76℃で30分間撹拌した後、0℃まで昇温した。水を加えて反応を中止し、反応混合物をペンタンで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で1回、飽和食塩水で1回洗浄した後、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下溶媒を留去し、濃縮物をシリカゲルカラムクロマト(展開溶媒:ペンタン)で精製して(1S,2R)−(−)−ジクチオプテレンBを無色透明な液体として得た。(43 mg, 収率:84%);光学純度(Lipodex E):99% e.e.以上;[α]D25 = - 50.3°(c = 5.11, CHCl3).【0030】参考例2(1R,2S)−(+)−ジクチオプテレンB(式1'の化合物)の合成(3R,5Z,8Z)−1,5,8−ウンデカトリエン−3−オールから参考例1と全く同様にして(1R,2S)−(+)−ジクチオプテレンBが58%の収率で得られた。光学純度(Lipodex E):99% e.e.以上;[α]D25 = + 50.4 (c = 5.11, CHCl3);【0031】実施例1(6S)−(+)−ジクチオプテレンD'(式2の化合物)の合成(1S,2R)−(−)−ジクチオプテレンB(式1の化合物、120 mg, 0.81 mmol)とヘキサン(1 mL)をガラス製の封管に量りとり、120℃で10時間加熱した。反応混合物を冷やし、減圧下ヘキサンを留去して(S)−(+)−ジクチオプテレンD'(111 mg, 収率:92%)を得た。
【0032】式(2)の化合物の分析値:[α] D25 = +79.8°(c = 5.08, CHCl3); IR νmax (film) cm-1: 3040, 3000, 2960, 2900, 1670, 1480, 920, 750; 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 0.97 (3H, t, J = 7.6 Hz), 2.05 (2H, quintet,J = 7.6 Hz), 2.23 (2H, m), 2.80 (1H, dt, J = 5.2 and 19.8 Hz), 2.92 (1H,dt, J = 2.1 and 20.0 Hz), 3.44 (1H, m), 5.35 (2H, m), 5.54 (1H, m), 5.60 (1H, m), 5.70 (1H, m), 5.71 (1H, m); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3)δ: 14.45, 20.70, 28.36, 33.54, 36.00, 127.20, 128.80, 129.64, 130.67, 132.98, 135.40; GC-MS m/z (rel. intensity): 148 (M+, 5), 133 (6), 119 (31), 117 (8), 105 (35), 91 (97), 79 (100), 77 (43), 67 (31), 66 (30), 55 (18), 41 (65), 39 (44), 27 (23).【0033】実施例2(6R)−(−)−ジクチオプテレンD'(式2'の化合物)の合成(1R,2S)−(+)−ジクチオプテレンB(式1'の化合物)から上記と全く同様にして(6R)−(−)−ジクチオプテレンD'(式2'の化合物)が93%の収率で得られた。式(2')の化合物の分析値:[α]D25 = -79.3°(c = 5.10, CHCl3); IRと 1H-NMRのスペクトルデータは、式(2)の化合物のデータと一致した。
【0034】参考例3(6R)−(−)−ジクチオプテレンC'の合成ヒドラジン1水和物(31 mg, 0.6 mmol)のメタノール(2.5 mL)溶液中に、実施例1で得た(6S)−(+)−ジクチオプテレンD'(70 mg, 0.47 mmol)を0℃で加え、そのまま15分間撹拌した。反応混合物に水、続いて2規定塩酸を加えて反応を中止し、ペンタンで抽出した。有機層を水で1回、飽和食塩水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下溶媒を留去して(6R)−(−)−ジクチオプテレンC'を無色透明な液体として得た。(53 mg, 収率:75%)
【0035】(6R)−(−)−ジクチオプテレンC'の分析値:光学純度(Lipodex E):97% e.e.; [α]D25 = -14.9°(c = 2.70, CHCl3); IR ν max (film) cm-1: 3010, 2960, 2920, 2850, 1660, 1350, 1200; 1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 0.88 (3H, t, J = 6.5 Hz), 1.28 (6H, m), 2.11 (2H, m), 2.42 (1H, m), 2.59 (1H, m), 2.82 (1H, m), 5.53 (4H, m); 13C-NMR (100 MHz, CDCl3) δ:14.18, 23.23, 18.69, 29.76, 33.26, 36.53, 37.65, 127.36, 128.43, 129.78, 136.75; GC-MS m/z (rel. intensity): 150 (M+, 10), 135 (1), 121 (3), 107 (10), 93 (53), 91 (45), 79 (100), 67 (15), 41 (43), 39 (20).【0036】参考例4(6S)−(+)−ジクチオプテレンC'の合成実施例2で得た(6R)−(−)−ジクチオプテレンD'から参考例3と全く同様にして(6S)−(+)−ジクチオプテレンC'が85%の収率で得られた。(6S)−(+)−ジクチオプテレンC'の分析値:光学純度(Lipodex E):99% e.e.以上;[α]D25 = +15.3°(c = 2.60, CHCl3); IR, 1H-および13C-NMR, GC-MSのスペクトルデータは、(6R)−(−)−ジクチオプテレンC'のデータと一致した。
【0037】比較例1、実施例3および実施例4グレープフルーツタイプの調合香料として下記の成分(重量部)を混合した。
【表1】

【0038】上記香料組成物について、よく訓練された専門パネラー10人で比較した。実施例3の香料組成物は、比較例1のものに比べてアルベド的なスパイシー感が付与され、ビターな果汁感がエンハンスされたと全員が評価した。また、実施例4の香料組成物は、比較例1のものに比べて華やかなグリーン感が出ており、グレープフルーツのピール感が付与されて優れていると全員が評価した。
【0039】比較例2および実施例5フローラルタイプの調合ベースとして下記の成分(重量部)を混合した。
【表2】

【0040】上記香料組成物について、よく訓練された専門パネラー10人で比較した。実施例5の香料組成物は、比較例2のものに比べて拡散性のあるフローラル及びグリーン感を伴ったトップノ−トが付与されて優れていると全員が評価した。
【0041】
【発明の効果】比較的容易に調製できる光学活性なジクチオプテレンBを原料にして、簡単な熱転位反応でジクチオプテレンD'の両鏡像体を高収率および高純度で得ることができる。また、得られた高純度の両鏡像体が配合された香料組成物は、香気の改善および増強に優れた効果を示す。
【出願人】 【識別番号】000121512
【氏名又は名称】塩野香料株式会社
【出願日】 平成13年12月5日(2001.12.5)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−171320(P2003−171320A)
【公開日】 平成15年6月20日(2003.6.20)
【出願番号】 特願2001−370820(P2001−370820)