| 【発明の名称】 |
コンクリート組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】盛岡 実 【住所又は居所】新潟県西頚城郡青海町大字青海2209番地 電気化学工業株式会社青海工場内
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| 【要約】 |
【課題】流動性の保持性能に優れ、スランプロスが小さいコンクリートとすることができ、骨材の枯渇問題の抜本的対策となり得るマサ土の有効利用と、産業副産物である高炉徐冷スラグの有効利用にもなるなどの効果を奏する、主に、土木建築業界において使用されるコンクリート組成物を提供すること。
【解決手段】水硬性材料、高炉徐冷スラグ粉末、及び細骨材を含有してなり、細骨材の少なくとも一部がマサ土であるコンクリート組成物、高炉徐冷スラグ粉末が非硫酸態イオウとして存在するイオウを0.5%以上含有してなる、ガラス化率が30%以下である、及び/又はブレーン比表面積が4,000cm2/g以上である該コンクリート組成物を構成とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水硬性材料、高炉徐冷スラグ粉末、及び細骨材を含有してなり、細骨材の少なくとも一部がマサ土であることを特徴とするコンクリート組成物。 【請求項2】 高炉徐冷スラグ粉末が非硫酸態イオウとして存在するイオウを0.5%以上含有してなることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート組成物。 【請求項3】 高炉徐冷スラグ粉末のガラス化率が30%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンクリート組成物。 【請求項4】 高炉徐冷スラグ粉末のブレーン比表面積が4,000cm2/g以上であることを特徴とする請求項1〜3のうちの一項に記載のコンクリート組成物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、主に、土木建築業界において使用されるコンクリート組成物に関する。なお、本発明のコンクリートはセメントモルタルも含有するものである。また、本発明における部や%は特に規定しない限り質量基準で示す。 【0002】 【従来の技術とその課題】近年、コンクリート用骨材の枯渇が問題視されている。特に、西日本では、海砂が細骨材の主流であるが、コンクリートの耐久性に悪影響を与えるなどの課題があった。しかも、平成10年から、広島県の瀬戸内海における海砂の採取が全面的に禁止され、これにより、細骨材の供給不足が懸念されており、新たなコンクリート用細骨材の検討が急務となっている。 【0003】最近では、風化花崗岩である、いわゆるマサ土の細骨材としての利用が検討されている。しかしながら、マサ土は一部粘土化した鉱物を含有するため、骨材として用いると、スランプロスが大きくなるという課題があった。 【0004】マサ土を骨材として利用しつつ、流動性の保持性能に優れるコンクリート組成物を得る方法として、ポリカルボン酸系高性能減水剤を必須成分としたコンクリート組成物が提案されている(特開2001-048607号公報)。しかしながら、このコンクリート組成物は、分散能力やその保持能力が大きいポリカルボン酸系高性能減水剤を多量に併用するものであり、砂の表面水の変動や、洗い水の混入などの影響を敏感に受け、スランプ値がバラツキやすいという課題があった。また、ポリカルボン酸系高性能減水剤はコンクリート添加剤として高価なものであり、これを多量に添加することは不経済であるという課題もあった。 【0005】今日では、骨材の枯渇問題の改善策として有用なマサ土の利用を可能としながらも、ポリカルボン酸系高性能減水剤を必須としなくても、通常の減水剤やAE減水剤の使用で、あるいは、減水剤等の添加なしでも流動性の保持が容易となるコンクリートの開発が強く待たれているのが実状である。 【0006】一方、高炉徐冷スラグは、別名結晶化スラグ又はバラスとも呼ばれ、水硬性を示さない。そのため、主に路盤材として利用されてきたが、最近では再生骨材が路盤材へ優先的に利用されるようになり、従来の用途を失いつつあり、その有効利用方法については未だに模索状態にある。 【0007】本発明者は鋭意努力を重ね、高炉徐冷スラグ粉末とマサ土を使用することにより、ポリカルボン酸系高性能減水剤を併用せずにコンクリートを調製しても、流動性の保持性能が良好なばかりでなく、多機能なコンクリートが得られ、しかも、これら産業副産物の有効利用にも繋がることを知見し、本発明を完成するに至った。 【0008】 【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、水硬性材料、高炉徐冷スラグ粉末、及び細骨材を含有してなり、細骨材の少なくとも一部がマサ土であるコンクリート組成物であり、高炉徐冷スラグ粉末が非硫酸態イオウとして存在するイオウを0.5%以上含有してなる該コンクリート組成物であり、高炉徐冷スラグ粉末のガラス化率が30%以下及び/又はブレーン比表面積が4,000cm2/g以上である該コンクリート組成物である。 【0009】 【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 【0010】本発明で使用する水硬性材料とは特に限定されるものではなく、水と水和反応して硬化する性質を有する物質を総称するものであり、通常、セメントや潜在水硬性物質が使用可能である。セメントとしては、普通、早強、超早強、低熱、及び中庸熱等の各種ポルトランドセメント、これらポルトランドセメントに、高炉スラグ、フライアッシュ、又はシリカを混合した各種混合セメント、また、石灰石粉末等を混合したフィラーセメント、並びに、産業廃棄物利用型セメント、いわゆるエコセメントなどが挙げられ、これらのうちの一種又は二種以上が使用可能である。また、潜在水硬性物質とは、アルカリ性雰囲気で水硬性を呈するものや、アルカリ性物質と反応して水和物を生成する物質を総称するものであり、その具体例として、高炉水砕スラグ、フライアッシュ、シリカフューム、珪藻土、シリカダスト、及び籾殻灰等が挙げられる。 【0011】本発明で使用する高炉徐冷スラグ粉末(以下、徐冷スラグ粉という)は徐冷されて結晶化した高炉スラグの粉末である。徐冷スラグ粉の成分は、高炉水砕スラグと同様の組成を有しており、具体的にはSiO2、CaO、Al2O3、及びMgOなどを主要な化学成分とし、その他の成分として、TiO2、MnO、Na2O、S、P2O5、及びFe2O3などの微量成分が挙げられる。化学成分の割合は特に限定されるものではないが、通常、主成分である、SiO2は25〜45%、CaOは30〜50%、Al2O3は10〜20%、及びMgOは3〜10%程度であり、微量成分はそれぞれ2%以下である。また、化合物としては、ゲーレナイト2CaO・Al2O3・SiO2とアケルマナイト2CaO・MgO・2SiO2の混晶である、いわゆるメリライトを主成分とし、その他、ダイカルシウムシリケート2CaO・SiO2、ランキナイト3CaO・2SiO2、及びワラストナイトCaO・SiO2などのカルシウムシリケート、メルビナイト3CaO・MgO・2SiO2やモンチセライトCaO・MgO・SiO2などのカルシウムマグネシウムシリケート、アノーサイトCaO・Al2O3・2SiO2、リューサイト(K2O、Na2O)・Al2O3・SiO2、スピネルMgO・Al2O3、マグネタイトFe3O4、並びに、硫化カルシウムCaSや硫化鉄FeSなどの硫化物等を含む場合がある。 【0012】本発明では、徐冷スラグ粉のうち、例えば、硫化物、多硫化物、イオウ、チオ硫酸、及び亜硫酸等のように非硫酸態イオウとして存在するイオウ(以下、単に非硫酸態イオウという)を0.5%以上含むものを粉末化した徐冷スラグ粉が好ましい。非硫酸態イオウが0.5%未満では、本発明の効果、即ち、流動性の保持性能が充分に得られない場合がある。非硫酸態イオウは、0.5%以上が好ましく、0.7%以上がより好ましく、0.9%以上が最も好ましい。非硫酸態イオウ量は、全イオウ量、単体イオウ量、硫化物態イオウ量、チオ硫酸態イオウ量、及び硫酸態イオウ(三酸化イオウ)量を山口と小野の方法により定量することによって、また、硫酸態イオウ量(三酸化イオウ)と硫化物態イオウ量については、JIS R 5202に定められた方法により定量することによっても求めることができる(「高炉スラグ中硫黄の状態分析」、山口直治、小野昭紘:製鉄研究、第301号、pp.37-40、1980参照)。 【0013】徐冷スラグ粉のガラス化率は、30%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。ガラス化率が30%を越えると、本発明の効果、すなわち、流動性の保持性能が充分に得られない場合がある。本発明でいうガラス化率(X)は、X(%)=(1−S/S0)×100として求められる。ここで、Sは粉末X線回折法により求められる徐冷スラグ粉中の主要な結晶性化合物であるメリライト(ゲーレナイト2CaO・Al2O3・SiO2とアケルマナイト2CaO・MgO・2SiO2の混晶)のメインピークの面積であり、S0は徐冷スラグ粉を1,000℃で3時間加熱し、その後、5℃/分の冷却速度で冷却したもののメリライトのメインピークの面積を表す。 【0014】徐冷スラグ粉の粉末度は特に規定されるものではないが、ブレーン比表面積(以下、ブレーン値という)で、4,000cm2/g以上が好ましく、4,500cm2/g以上がより好ましく、5,000cm2/g以上が最も好ましい。4,000cm2/g未満では、本発明の効果、即ち、流動性の保持性能が充分に得られない場合がある。 【0015】徐冷スラグ粉の使用量は特に限定されるものではないが、通常、水硬性材料と徐冷スラグ粉からなる混合物100部中、3〜60部が好ましく、5〜50部がより好ましい。3部未満では本発明の効果が充分に得られない場合があり、60部を超えて使用すると強度発現性が悪くなる場合がある。 【0016】本発明でいうマサ土とは特に限定されるものではなく、いわゆる風化花崗岩を総称するものである。マサ土とは、花崗岩質岩石の結晶性深成岩又はこれと同質の片麻岩が風化してその場に残留した残積土、さらに、これらからもたらされる崩積土等である。花崗岩類は、主に、石英や長石などのFeやMgを含まない無色鉱物や、カンラン石、輝石、角セン石、及び黒雲母等のFeやMgを含む有色鉱物からなり、風化に伴って長石と有色鉱物が粘土化したもので、通常、骨材としては使用されてにくいものである。また、マサ土の鉱物組成は地域や採取場所によって異なる。マサ土は、洗浄して微粒分を除去して使用することが考えられるが、本発明では、水で洗浄したもの、あるいは洗浄していないもののいずれも使用可能であるが、洗浄していないものが経済性の面から好ましく、洗浄していない、流動性の低下が顕著であるマサ土を使用しても、流動性の保持性能に優れるコンクリート組成物が得られる点が大きな特徴である。マサ土は細骨材に置換して使用できる。マサ土の使用量は特に限定されるものではなく、細骨材の一部あるいは全部を置換して用いることができるが、通常、細骨材への置換率は5〜50%が好ましく、10〜30%がより好ましい。5%未満ではマサ土の利用率の観点から充分でなく、50%を超えると強度発現性が極端に悪くなる場合がある。 【0017】本発明では、水硬性材料、徐冷スラグ粉、及びマサ土の他に、天然に産出するマサ土以外の骨材、再生骨材、及び各種のスラグ骨材等の骨材、減水剤、高性能減水剤、AE減水剤、高性能AE減水剤、消泡剤、増粘剤、防錆剤、防凍剤、収縮低減剤、ポリマー系材料、凝結調整剤、膨張材、急硬材、ベントナイト等の粘土鉱物、並びに、ハイドロタルサイト等のアニオン交換体等のうちの一種又は二種以上を、本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で使用することが可能である。 【0018】本発明において、各材料の混合方法は特に限定されるものではなく、それぞれの材料を施工時に混合しても良いし、あらかじめ一部を、あるいは全部を混合しておいても差し支えない。混合装置としては、既存のいかなる装置も使用可能であり、例えば、傾胴ミキサ、オムニミキサ、ヘンシェルミキサ、V型ミキサ、及びナウタミキサなどの使用が可能である。 【0019】 【実施例】以下、本発明の実験例に基づいてさらに説明する。 【0020】実験例1非硫酸態イオウ含有量の異なる徐冷スラグ粉(スラグ粉)とマサ土を表1に示す量使用し、単位セメント量350kg/m3、単位水量175kg/m3、s/a=46%、及び空気量4.5±1.5%のコンクリートを調製し、スランプの経時変化の測定を行った。ただし、マサ土は細骨材に置換して配合した。結果を表1に併記する。なお、コンクリートのスランプ値が18±1.5cmとなるようにAE減水剤を使用した。また、比較のため、スラグ粉として高炉水砕スラグを使用して同様に実験を行った。結果を表1に併記する。 【0021】<使用材料>セメント :普通ポルトランドセメント、電気化学工業社製、比重3.15スラグ粉a:徐冷スラグ粉、ブレーン値4,000cm2/g、ガラス化率5%、比重3.00、非硫酸態イオウ0.9%スラグ粉b:徐冷スラグ粉、ブレーン値4,500cm2/g、ガラス化率5%、比重3.00、非硫酸態イオウ0.9%スラグ粉c:徐冷スラグ粉、ブレーン値5,000cm2/g、ガラス化率5%、比重3.00、非硫酸態イオウ0.9%スラグ粉d:徐冷スラグ粉、ブレーン値6,000cm2/g、ガラス化率5%、比重3.00、非硫酸態イオウ0.9%スラグ粉e:徐冷スラグ粉、ブレーン値8,000cm2/g、ガラス化率5%、比重3.00、非硫酸態イオウ0.9%スラグ粉f:徐冷スラグ粉、スラグ粉dを水に浸漬してエイジングし、非硫酸態イオウを0.7%にしたもの、ブレーン値6,000cm2/g、ガラス化率5%、比重3.00スラグ粉g:徐冷スラグ粉、スラグ粉dを水に浸漬してエイジングし、非硫酸態イオウを0.5%にしたもの、ブレーン値6,000cm2/g、ガラス化率5%、比重3.00スラグ粉h:徐冷スラグ粉、ブレーン値6,000cm2/g、ガラス化率10%、比重2.97、非硫酸態イオウ0.7%スラグ粉i:徐冷スラグ粉、ブレーン値6,000cm2/g、ガラス化率30%、比重2.94、非硫酸態イオウ0.5%スラグ粉j:高炉水砕スラグ、ブレーン値6,000cm2/g、ガラス化率95%、比重2.90、非硫酸態イオウ0.6%マサ土 :鳥取県産、比重2.43細骨材 :新潟県姫川産砂、比重2.62粗骨材 :新潟県姫川産砕石、比重2.64AE減水剤:リグニン系、市販品水 :水道水【0022】<測定方法>スランプロス:JIS A 1101に準じてスランプ値を測定し、練り上がりのスランプ値から60分経過後のスランプ値を差し引いて、スランプロス値とした。 【0023】 【表1】
【0024】実験例2スラグ粉dを使用し、表2に示す置換率のマサ土を使用したこと以外は実験例1と同様に行った。比較のために、スラグdを使用しない場合についても同様の実験を行った。結果を表2に併記する。 【0025】 【表2】
【0026】 【発明の効果】本発明のコンクリート組成物は、マサ土を配合しているにもかかわらず、高性能減水剤を用いなくても流動性の保持性能に優れ、スランプロスが小さいコンクリートとすることができる。また、骨材の枯渇問題の抜本的対策となり得るマサ土の有効利用と、産業副産物である高炉徐冷スラグの有効利用にもなるなどの効果を奏する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003296 【氏名又は名称】電気化学工業株式会社 【住所又は居所】東京都千代田区有楽町1丁目4番1号
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| 【出願日】 |
平成13年12月21日(2001.12.21) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−192418(P2003−192418A) |
| 【公開日】 |
平成15年7月9日(2003.7.9) |
| 【出願番号】 |
特願2001−389078(P2001−389078) |
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