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【発明の名称】 超速硬水中不分離性セメント組成物およびこれを用いた水中コンクリートの製造方法
【発明者】 【氏名】岡田 光芳
【住所又は居所】東京都台東区柳橋2丁目17番4号 小野田ケミコ株式会社内

【氏名】大西 達人
【住所又は居所】東京都台東区柳橋2丁目17番4号 小野田ケミコ株式会社内

【氏名】久我 比呂氏
【住所又は居所】東京都台東区柳橋2丁目17番4号 小野田ケミコ株式会社内

【要約】 【課題】この発明は、超速硬セメントに、フライアッシュとセルロース系水中分離性混和剤と減水剤を添加することによって、水中打設を行なっても水の汚濁が少なく、不分離性およびセルフレベリング性がありしかも短期材齢強度の得られる超速硬水中不分離性およびセルフレベリング性セメント組成物で、これを移動式バッチャミキサで練り混ぜ水中に打設できるようにするものである。

【解決手段】超速硬セメント質量に対する置換率で流動化助剤の混和材としてのフライアッシュを20〜30重量%、水中不分離性混和剤としてセルロース系水中分離性混和剤を0.5〜0.7重量%、減水剤としてメラミン系高性能減水剤を2.0〜3.5重量%添加した超速硬水中不分離性セメント組成物である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 超速硬セメントに、セメント質量に対する置換率で流動化助材の混和材としてのフライアッシュを20〜30重量%、水中不分離性混和剤としてセルロース系水中不分離性混和剤を0.5〜0.7重量%、減水剤としてメラミン系高性能減水剤を2.0〜3.5重量%添加した超速硬水中不分離性セメント組成物。
【請求項2】 請求項1記載の超速硬水中不分離性セメント組成物を用いてコンクリートを水中打設するにおいて、移動式バッチャミキサを用いることを特徴とする水中コンクリートの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、超速硬水中不分離性セメント組成物およびこれを用いた水中コンクリートの製造方法に関する。特に、水中コンクリートの打設において水の汚濁が少なく、不分離性およびセルフレベリング性があって、しかも初期材齢強度の高い水中コンクリートの得られる超速硬水中不分離性セメント組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】水中でコンクリートを打設する場合、これに用いるコンクリートやその打設方法にはこれまで各種の制限がなされていた。例えば、セメント配合では水/セメント比は50%以下、単位セメント量は370kg/m以上とされ、一般的な打設方法としてはトレミー管もしくはコンクリートポンプを用い、打設環境も流速が5cm/s以下の静水中とされていた。しかし、このようにしても材料分離による水質汚濁は激しく、またコンクリートの充填性やセルフレベリング性が小さいといった問題があった。
【0003】そこで従来の水中コンクリートの施工にあっては、水中不分離性混和剤を混和して材料の分離抵抗を高めて水質汚濁を少なくし、また充填性やセルフレベリング性を向上することが行われてきた。しかしながら、この場合にあっても一般的な打設環境として流速が5cm/s以下の静水中とされることや、打設方法としてトレミー管もしくはコンクリートポンプを用いる点は変わることがなく、凝結時間が通常のコンクリートと比較して5〜10時間程度遅延するなど問題を生じていた。
【0004】こうした問題を解決するためにセメントに超速硬セメントを用いることが考えられるが、超速硬セメントは凝結時間が非常に短く、凝結遅延剤を使用したとしても可使時間は30〜40分程度であるから、これを生コンクリートプラントから出荷して使用することは現実問題として出来ず、超速硬セメントを水中コンクリートとして使用することは今まではできなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、超速硬セメントに、フライアッシュとセルロース系水中不分離性混和剤と高性能減水剤を添加することによって、水中打設を行なっても水の汚濁が少なく、水中不分離性およびセルフレベリング性があり、しかも短期材齢強度の高いコンクリートの得られる超速硬水中不分離性セメント組成物を得ようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は、超速硬セメントに、セメント質量に対する置換率で流動化助材の混和材としてのフライアッシュを20〜30重量%、水中不分離性混和剤としてセルロース系水中不分離性混和剤を0.5〜0.7重量%、減水剤としてメラミン系高性能減水剤を2.0〜3.5重量%添加した超速硬水中不分離性セメント組成物(請求項1)および請求項1記載の超速硬水中不分離性セメント組成物を用いてコンクリートを水中打設するにおいて、移動式バッチャミキサを用いることを特徴とする水中コンクリートの製造方法(請求項2)である。
【0007】
【発明の実施の形態】この発明の超速硬水中不分離性セメント組成物は、超速硬セメントと、混和材としてのフライアッシュと、水中不分離性混和剤としてセルロース系水中不分離性混和剤と、高性能減水剤としてメラミン系高性能減水剤とからなるものである。
【0008】フライアッシュは流動化助材の混和材として用いるものであるが、これを超速硬セメント質量に対し20〜30重量%混合する。後記試験例が示すように、これが20重量%未満或いは30重量%超であると超速硬セメントを用いたコンクリートの流動化およびセルフレベリング性が十分でない。
【0009】フライアッシュは超速硬セメントと比較して粒度が大きいので、超速硬セメントにフライアッシュを混合するとその混合物は粒度範囲が拡大され、単位当たりの混練水で混練した場合の流動化を促進させてセルフレベリング性を向上させることになる。その結果として、混練水を減少させることができるようになって水中の不分離性を低減させるものと考えられる。また、フライアッシュの混合はセメントの発熱温度を低下させ打設したコンクリートのひび割れの発生を防止するうえでも有効である。
【0010】セルロース系水中不分離性混和剤は水中でセメント組成物と骨材との分離を抑制するのに用いるものであるが、その添加量はモルタルについて行った後記試験例が示すように0.5〜0.7重量%とする。これが0.5重量%未満であると水中打設で実用上必要とされている濁度500ppmを超えて効果なく、また0.7重量%を超えると部分的にフロー値が150mmより小さくなる傾向が表れるとともに、硬化強度が低下する。高性能減水剤は、後記実験例が示すようにメラミン系高性能減水剤が好ましく、またその添加量はコンクリートについて行った実験から分かるように2.0〜3.5重量%である。これが2.0重量%未満或いは3.5重量%超であると、スランプフロー値が50cm未満となってセルフレベリング性の点で好ましくない。この発明の超速硬水中不分離性セメント組成物を用いてコンクリートを水中打設するには、後記試験例が示すように、移動式バッチャミキサを用いて練り混ぜることが十分に可能である。
【0011】試験例1表1に示す使用材料を用い、表2に示す水中不分離性混和剤と高性能減水剤を添加してモルタルを調製した。これについて、フロー値、濁度、pH、凝結時間、材齢3時間強度を測定した。なお、フロー値については、水中不分離剤および高性能減水剤を添加した直接の影響を調べるために、 JIS R 5201 に基づいてモルタルについて行った。また濁度については、「コンクリート用水中不分離性混和剤品質規格」(JSCE 1991)(コンクリートライブラリー67,社団法人土木学会)付属書2[水中不分離性コンクリートの水中分離度試験方法(案)]に準じて測定した。
【0012】この実験において、フロー値は150mm以上、濁度は500ppm以下、pHは10.5以下のものを良好とした。また、凝結は始発が18分以上のもの、終結が26分以上のものを良好とした。圧縮強度は24N/mm以上を良好とした。その結果を、上記の基準に基づいて○、×で表3に示した。
【0013】
【表1】

【0014】
【表2】

【0015】
【表3】

【0016】その結果、表3のNo.9および10に示すように、水中不分離性混和剤としてセルロース系水中不分離性混和剤を0.5〜0.7重量%用いた場合で、しかもメラミン系高性能減水剤を用いた場合に、目標値であるフロー値が150mm以上、材齢3時間強度が24N/mm以上、その他、pH、凝結の条件を満足することがわかる。また、濁度についても500ppm以下の目標が達成されていることがわかる。
【0017】水中不分離性混和剤としてセルロース系水中不分離性混和剤を用い、しかも高性能減水剤としてメラミン系高性能減水剤を用いても、表3のNo.7およびNo.8に示すように、セルロース系水中不分離混和材の添加量が本発明の範囲から外れた場合は濁度は目標値を満足しない。
【0018】さらに、表3のNo.3ないしNo.6に示すように、セルロース系水中不分離性混和剤を用いても、高性能減水剤をメラミン系でなくナフタリンスルホン酸系の高性能減水剤を用いた場合は、フロー値または濁度のいずれか或いはその双方が目標値を達成することができないものとなっている。また、No.15 〜No.18 およびNo.24 〜No.27 に示すように逆に高性能減水剤にメラミン系を使用しても、水中不分離性混和剤をアルカリ系または多糖類ポリマー系とすると、これまたフロー値または濁度のいずれかが目標値を達成することができないものとなっている。
【0019】さらに、No.19 〜No.22 に示すように高性能減水剤をナフタリンスルホン酸系とし、水中不分離性混和剤を多糖類ポリマー系としたものは、フロー値または濁度のいずれかが目標値を達成していないが、特に濁度の目標達成が難しくなっている。また、これらの中には材齢3時間強度が24N/mmを達成していないものもある。
【0020】メラミン系高性能減水剤に添加量については、表3の No. 9組成を用いたコンクリートについてその添加量を変化させて試験をした。なお、試験は JSCE 1991(土木学会)で行った。その結果は図1の通りであった。図1に示すように、メラミン系高性能減水剤は、2.0〜3.5重量%添加した場合でスランプフローの条件を満足することが分かる。なお、この場合のスランプフローはコンクリートで50cm以上が好ましい範囲である。
【0021】結局、水中不分離性混和剤としてセルロース系水中不分離性混和剤を用いまたメラミン系高性能減水剤を用いた場合で、しかもセルロース系水中不分離性混和剤を0.5〜0.7重量%、メラミン系高性能減水剤を2.0〜3.5重量%の範囲で用いた場合に、フロー値、濁度その他の条件もすべて達成することが可能である。
【0022】試験例2表4に示す超速硬性水中不分離性セメント組成物を用いて各種コンクリートを調製した。このコンクリートの温度、スランプ、スランプフロー、濁度、空気量、圧縮強度、懸濁物質量を測定した。その結果を表5に示した。この表5の中から混和剤の種類ごとに混和材置換率とスランプフローの関係を抽出し図2に示した。また、混和材の種類ごとに混和材置換率と懸濁物質量の関係を抽出し図3に示した。
【0023】
【表4】

【0024】
【表5】

【0025】図2に示すように、目標値のスランプフロー50cm以上を得るためには、フライアッシュの置換率は20〜30重量%が好ましい。また、図3からは懸濁物質量が30mg/l以下とするためには、フライアッシュ20〜30重量%の範囲が好ましいことがわかる。
【0026】試験例3本発明の超速硬性水中不分離性セメント組成物を用いたコンクリートの練り混ぜ性能テストを、移動式バッチャミキサとモービルミキサを用いて行なった。試験方法は、「ミキサで練り混ぜたコンクリート中のモルタル差及び粗骨材量の差の試験方法(JISA 1119)」に準じて行なった。その結果は表6に示す通りであった。
【0027】
【表6】

【0028】表6に示すように、本発明の超速硬水中不分離性セメント組成物を用いたコンクリートは、コンクリート中のモルタルの単位容積質量の差、コンクリート中の単位粗骨材量の差のいずれの項においても移動式バッチャミキサを用いた方が優れており、移動式バッチャミキサによって超速硬水中不分離コンクリートの練り混ぜが十分に可能であることが分かる。
【0029】[実施例1]表7の超速硬水中不分離性セメント組成物を用いて、河川の護岸補強に類して、水深1.5mで水中コンクリート基礎を構築する工事をおこなった。基礎幅は1.8m×40.0m、高さ1.5mの基礎構造物を高さ方向に4分割し、下部から午前、午後、翌日午前、午後の4回に分けて2日間で超速硬水中不分離コンクリートを順次打設して完成した。
【0030】施工は、各材料を質量で計量し2軸ミキサを有する小野田バッチャミキサ車(商品名)を現場に2台設置し、練り混ぜた超速硬水中不分離性コンクリートをホッパで受け、クレーン車を用いて現場まで移動させて打設した。打設現場では濁りもなく、材齢3時間で20N/mm以上の圧縮強度が得られ短い工期で施工が可能となった。
【0031】
【表7】

【0032】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば超速硬水中不分離性セメント組成物の施工が、水中汚濁もなく高セルフレベリングのもとで効率よく行われ、しかも強度もこの種の施工での目標値である材齢3時間で24N/mm以上の圧縮強度が得られ短い工期で施工が可能となったものである。
【出願人】 【識別番号】000185972
【氏名又は名称】小野田ケミコ株式会社
【住所又は居所】東京都荒川区東日暮里三丁目11番17号
【出願日】 平成13年6月29日(2001.6.29)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外5名)
【公開番号】 特開2003−12362(P2003−12362A)
【公開日】 平成15年1月15日(2003.1.15)
【出願番号】 特願2001−199951(P2001−199951)