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【発明の名称】 無機質繊維積層体及びその製造方法並びに無機質繊維積層体用の結合剤
【発明者】 【氏名】山田 吉親
【住所又は居所】東京都世田谷区松原1−36−8 株式会社日本インサルテック内

【氏名】鈴木 洋二
【住所又は居所】東京都世田谷区松原1−36−8 株式会社日本インサルテック内

【氏名】堀崎 繁之
【住所又は居所】東京都世田谷区松原1−36−8 株式会社日本インサルテック内

【要約】 【課題】耐熱性、耐水性、可撓性及び耐久性を著しく改善した水ガラス系結合剤によって結合された無機質繊維積層体とその製造方法を提供する。

【解決手段】また、本発明の無機質繊維積層体は、無機質繊維積層体の内部側の無機質繊維が主に無機質繊維の交点を中心に水ガラス系結合剤により結合され、前記無機質繊維積層体の表面に前記水ガラス系結合剤の被膜が形成されていることを特徴とする。本発明の無機質繊維積層体の製造方法は、積層された無機質繊維を固形分濃度1〜15重量%の水ガラス系結合剤に浸漬してから乾燥することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 積層された無機質繊維を固形分濃度1〜15重量%の水ガラス系結合剤に浸漬してから乾燥することを特徴とする無機質繊維積層体の製造方法。
【請求項2】 前記水ガラス系結合剤の成分は、M2O・nSiO2(n=2〜30、Mはアルカリ金属で、Na、K、Liの単独もしくはそれらの混合系)であることを特徴とする請求項1に記載の無機質繊維積層体の製造方法。
【請求項3】 前記乾燥は、風乾、熱風乾燥または高周波加熱乾燥、或いは、これらの併用により行うことを特徴とする請求項1または2に記載の無機質繊維積層体の製造方法。
【請求項4】 前記乾燥は、湿度65%以下の雰囲気下で、毎秒0.2m以上での風乾または熱風乾燥とすることを特徴とする請求項3に記載の無機質繊維積層体の製造方法。
【請求項5】 無機質繊維積層体の内部側の無機質繊維が主に無機質繊維の交点を中心に水ガラス系結合剤により結合され、前記無機質繊維積層体の表面に前記水ガラス系結合剤の被膜が形成されていることを特徴とする無機質繊維積層体。
【請求項6】 前記無機質繊維積層体の裏面にも前記水ガラス系結合剤の被膜が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の無機質繊維積層体。
【請求項7】 前記被膜は、針状結晶を含むことを特徴とする請求項5または6に記載の無機質繊維積層体。
【請求項8】 前記水ガラス系結合剤の成分は、M2O・nSiO2(n=2〜30、Mはアルカリ金属で、Na、K、Liの単独もしくはそれらの混合系)であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の無機質繊維積層体。
【請求項9】 前記無機質繊維は、直径7μm以下の極細繊維としたことを特徴とする請求項5乃至8のいずれかに記載の無機質繊維積層体。
【請求項10】 前記無機質繊維積層体は、真空断熱用芯材又はフィルタ用ろ材であることを特徴とする請求項5乃至9のいずれかに記載の無機質繊維積層体。
【請求項11】 無機質繊維積層体の無機質繊維同士を結合させるための水ガラス系結合剤であって、前記水ガラス系結合剤の固形分濃度が1〜15重量%であることを特徴とする無機質繊維積層体用の結合剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無機質繊維を水ガラス系結合剤で結合した無機質繊維積層体及びその製造方法並びに無機質繊維積層体用の結合剤に関する。
【0002】
【従来の技術】ガラス繊維をはじめセラミック繊維等の無機質繊維からフェルト状、ボード状またはその他の任意のモールド品等の積層体を形成する場合には、できるだけアスペクト比(長さ/太さ)を大きくした無機質繊維を使用する。その理由は、無機質繊維を溶融して引き延ばして形成する際に、無機質繊維の断面形状が円形かつ表面が平滑となり繊維同士を絡み合わせるのが難しいからである。このような無機質繊維同士を結合させるため、或いは、布状に形成する場合には目止をするために有機結合剤を使用している。一方、無機質短繊維同士を結合させる場合でも、繊維のアスペクト比(長さ/太さ)に関係なく有機結合剤を使用しているのが現状である。
【0003】(従来技術の問題点)しかしながら、このような有機結合剤を使用した無機質繊維積層体には、次のような問題点がある。耐熱性を要求される場合に、無機質繊維の耐熱温度よりも大幅に低い有機結合剤の耐熱温度が、無機質繊維積層体の安全使用温度とされていた。具体的には、グラスウールで無機質繊維積層体を形成した場合、グラスウール自体は600℃の耐熱性があるにもかかわらずJISでは、安全使用温度をフェノール樹脂の耐熱性に合わせて300℃とされていた。また、無機質繊維積層体を真空断熱用芯材に使用しようとしても、有機結合剤から発生するガスによって真空度が低下するために使用することができない。また、有機結合剤として安価な水溶性フェノール樹脂が一般的に広く使われているが、石炭酸とホルマリンを原料にしているため、無機質繊維積層体を製造する過程で、未反応のフェノールやホルマリン樹脂が大気や排水に放出されることになるが、それを除去するために大がかりな除去装置が必要であった。特に、ラインの金網等の装置を洗浄した廃水はBOD、CODの増加を高め、廃水を浄化する爆気槽を使用する場合には大量の水で希釈しなければならなかった。また、オーブンレンジ等の食品関係の家電用断熱材は300℃の高温になるため有機結合剤が熱分解し遊離ホルマリンが発生してしまう。また、一般住宅用断熱材は、未反応のフェノール遊離ホルマリンが、シックネス症候群の一因と考えられていることから、フェノール以外の人体に安全な結合剤が求められている。また、積層した無機質繊維に有機結合剤を噴霧して塗布するようにしていたため、繊維1本1本はもちろん積層体全体にも均一に付着させることができなかった。その結果、無機質繊維積層体は層間剥離を起こしたり、表面や断面から繊維や特に不完全な繊維(ショット)が遊離してチクチクしたりして取り扱い性に問題があった。また、特に、無機質繊維積層体を断熱或いは吸音材として使用する場合は、遊離繊維が問題で、表面や断面において繊維が飛散しないように処理する必要があった。このため、ガラスクロスやガラスマット等の無機質繊維系のシート状のもの、アルミ箔やアルミ箔を裏打ち補強した金属系のシート状のもの、ポリエチレンフィルムやアルミ蒸着樹脂系フィルムなどの有機質及び有機質複合材等を断面や表面に有機系接着剤で張り付けたり、前記積層体を袋に入れたり、クロロプレン等の樹脂で積層体に直接コーティング処理を施すようにしていた。尚、前記接着剤等も有機系の材料であるため、無機質繊維の耐熱温度よりも大幅に低い有機系材料に合わせて安全温度を設定する必要があり、また、真空中でガスを発生させたり、或いは、熱分解によって人体に悪影響を及ぼすと思われるガスを発生させるおそれがあった。
【0004】以上の理由から、水溶性フェノール樹脂に代わる無機質繊維の結合剤として水ガラス系の結合剤が検討されてきた。しかしながら、この水ガラス系結合剤を無機質繊維積層体に付着させた場合に以下の問題点があった。即ち、水ガラス系結合剤は元来、水溶性で湿気に対しても抵抗性がないなど耐水性に問題があった。また、水ガラスの接着強度を低下させないようにする為、従来は高濃度で付着させていた結果、乾燥過程において、水ガラス系結合剤の固形成分が、水分と一緒に無機質繊維積層体の表面側に移行するまでに、積層された無機質繊維の内部において水ガラス系結合剤が収縮するとともに硬化する。この結果、内部応力を残した状態で水ガラス形成分の固形成分と無機質繊維が広い範囲にわたり固定されるので、無機質繊維積層体は可撓性がなくて脆く、わずかな変形にも耐えることができなかった。更に、無機質繊維積層体内部で広い範囲で無機質繊維と結合した水ガラス系の結合剤の固形成分は強アルカリ性であるため、無機質繊維を劣化させてしまい無機質繊維積層体の耐久性に問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本願発明では上記問題を解決し、耐熱性、耐水性、可撓性及び耐久性を著しく改善した水ガラス系結合剤によって結合された無機質繊維積層体とその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく、本発明の無機質繊維積層体の製造方法は、請求項1に記載の通り、積層された無機質繊維を固形分濃度1〜15重量%の水ガラス系結合剤に浸漬してから乾燥することを特徴とする。また、請求項2に記載の無機質繊維積層体の製造方法は、請求項1に記載の無機質繊維積層体の製造方法において、前記水ガラス系結合剤の成分は、M2O・nSiO2(n=2〜30、Mはアルカリ金属で、Na、K、Liの単独もしくはそれらの混合系)であることを特徴とする。また、請求項3に記載の無機質繊維積層体の製造方法は、請求項1または2に記載の無機質繊維積層体の製造方法において、前記乾燥は、風乾、熱風乾燥または高周波加熱乾燥、或いは、これらの併用により行うことを特徴とする。また、請求項4に記載の無機質繊維積層体の製造方法は、請求項3に記載の無機質繊維積層体の製造方法において、前記乾燥は、湿度65%以下の雰囲気下で、毎秒0.2m以上での風乾または熱風乾燥とすることを特徴とする。また、請求項5に記載の無機質繊維積層体は、無機質繊維積層体の内部側の無機質繊維が主に無機質繊維の交点を中心に水ガラス系結合剤により結合され、前記無機質繊維積層体の表面に前記水ガラス系結合剤の被膜が形成されていることを特徴とする。また、請求項6に記載の無機質繊維積層体は、請求項5に記載の無機質繊維積層体において、前記無機質繊維積層体の裏面にも前記水ガラス系結合剤の被膜が形成されていることを特徴とする。また、請求項7に記載の無機質繊維積層体は、請求項5または6に記載の無機質繊維積層体において、前記被膜は、針状結晶を含むことを特徴とする。また、請求項8に記載の無機質繊維積層体は、請求項5乃至7のいずれかに記載の無機質繊維積層体において、前記水ガラス系結合剤の成分は、M2O・nSiO2(n=2〜30、Mはアルカリ金属で、Na、K、Liの単独もしくはそれらの混合系)であることを特徴とする。また、請求項9に記載の無機質繊維積層体は、請求項5乃至8のいずれかに記載の無機質繊維積層体において、前記無機質繊維は、直径7μm以下の極細繊維としたことを特徴とする。また、請求項10に記載の無機質繊維積層体は、請求項5乃至9のいずれかに記載の無機質繊維積層体において、前記無機質繊維積層体は、真空断熱用芯材またはフィルタ用ろ材であることを特徴とする。また、請求項11に記載の無機質繊維積層体用の結合剤は、無機質繊維積層体の無機質繊維同士を結合させるための水ガラス系結合剤であって、前記水ガラス系結合剤の固形分濃度が1〜15重量%であることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の無機質繊維積層体は、積層された無機質繊維を水ガラス系結合剤に浸漬して付着させ、その後乾燥して無機質繊維同士を結合させて作製される。無機質繊維としては、ガラス繊維、ロックウールやセラミック繊維等を使用することができる。その繊維径としては、7μ以下とする必要がある。7μmを超えると無機質繊維間に形成される単位体積当たりの空隙が広くなり、真空断熱性が低くなることやフィルタ用ろ材として捕集効率が悪くからである。水ガラス系結合剤の成分としては、M2O・nSiO2(n=2〜30、Mはアルカリ金属で、Na、K、Liの単独もしくはそれらの混合系)、M2O・nSiO2のアルカリ分を浸透膜でろ過したものや、M2O・nSiO2のアルカリ分を酸で中和したものや、M2O・nSiO2のMのうちの1つをアルカリ土類金属で置き換えたもの等が挙げられる。前記水ガラス系結合剤の固形分濃度は、1〜15重量%とする。これは、1重量%未満であると無機質繊維同士の結合が弱く無機質繊維の積層体の形状を維持することが困難であるためである。また、15重量%を越えると乾燥して得られた無機質繊維積層体において水ガラス系の固形成分が内部に多く残存するため、強アルカリを示す固形成分によって無機質繊維が劣化しやすくなるからである。また、無機質繊維の交点以外においても無機質繊維を固定することになり、得られた無機質繊維積層体は可撓性を失ってしまうためである。また、水ガラス系結合剤が付着したガラス繊維を乾燥させるために、風乾や熱風乾燥または電気炉、ガス炉若しくは高周波加熱炉による加熱乾燥のいずれも利用できる。尚、加熱乾燥による場合は、130℃以上の高温で乾燥させると水ガラスが発泡してしまうため、130℃未満で乾燥させることが好ましい。また、上記乾燥の際に、急速に乾燥させてしまうと無機質繊維積層体の表面には、セスキ炭酸ナトリウム(Na2CO3・NaHCO3・2H2O)等の針状の結晶が生成が促進されず、結果として得られた無機質繊維積層体の表面は滑らかさに欠けるこのため、水ガラス系結合剤が付着した無機質繊維を乾燥させる際には、無機質繊維積層体の表面側から水分がゆっくりまたは徐々に蒸発できるようにするとよい。例えば、風乾や熱風乾燥による場合は、好ましくは、湿度65%以下の雰囲気下で秒速0.2m以上の風速、より好ましくは、湿度40%以下の雰囲気下で秒速1.0mの風速で乾燥させることが好ましい。
【0008】
【実施例】次に本発明の実施例につき説明する。
(実施例1)本実施例では、水ガラス結合剤として、酸化ナトリウム9.3重量%及び二酸化珪素28.4重量%含有の水ガラス原液(二酸化珪素と酸化ナトリウムのモル比nは3.2(n=二酸化珪素のモル数/酸化ナトリウムのモル数 以下同じ。))を固形分濃度3.6重量%に調整した耐熱性及び耐水性の良いものを使用した。無機質繊維として直径2μmのガラス短繊維の層を12mm×190mm×250mm角に裁断し、単位面積当たりの重量を760g/m2としたものを、水ガラス結合剤に浸漬してから取り出し、パンチングメタル板間に厚さ5.5mmのスペーサとともに挟み込み、シャコマンで加圧脱水してから取り出し、出力600Wの高周波加熱炉で25分間加熱乾燥することによってガラス短繊維積層体を作製した。尚、乾燥中の加熱温度の上限を125℃とし、この温度を超えた場合には電子レンジの出力を200Wに下げ、温度が120℃まで低下したら出力を600Wに切り替えるようにして温度を制御した。また、本実施例においては、高周波加熱炉によって乾燥することにしたが、風乾又は風乾と高周波加熱炉の併用等によって乾燥してもよい。
【0009】得られたガラス短繊維積層体の表面、中間及び裏面の電子顕微鏡による観察したところ、図1からガラス短繊維積層体の表面に水ガラス結合剤の被膜が形成され、図2からガラス短繊維積層体の内部側では、ガラス短繊維同士が、それらの交点を中心に水ガラス結合剤によって結合されていることが分かった。これは、水ガラス結合剤の固形成分が、乾燥の過程において内部側においてガラス短繊維の交点またはガラス短繊維の間の狭い空隙で固化するとともにガラス短繊維同士を結合し、残りは水分とともにガラス短繊維積層体の表面側に移行して固化して被膜を形成したことによるものと考えられる。尚、本実施例のガラス短繊維積層体の裏面には図3に示すように、水ガラスを浸漬し脱水したガラス短繊維積層体をガラス板の上に直に置いたため水分の蒸発が裏面で起こらなかったため、水ガラス結合剤の固形成分による被膜は形成されていないことが分かった。
【0010】この構造により、ガラス短繊維積層体の内部側では、ナトリウム分が比較的少ないので耐水性に優れ、ガラス短繊維の劣化の少ない優れた耐久性を有するものとなった。また、前記ガラス短繊維の交点またはガラス短繊維の間の狭い隙以外においてガラス短繊維同士が結合している部分の割合が低いので、固化した後でもガラス短繊維の弾性が保たれ優れた可撓性を有するものとなった。また、ガラス短繊維積層体の表面側には、水ガラス結合剤の固形成分により被膜が形成されているのでガラス短繊維積層体の表面強度は高いものとなった。また、耐熱性についても、650℃で30分加熱しても変化は見られず、優れた耐熱性を有するものとなった。
【0011】(実施例2)次に、本発明の他の実施例である無機質繊維積層体からなるフィルタ用ろ材について説明する。本実施例ではフィルタ用ろ材を作製するのに、実施例1の高周波加熱炉の乾燥に代えてを風乾により作製した。即ち、無機質繊維として直径2μmのガラス短繊維を積層して12mm×190mm×250mm角に裁断し、単位面積当たりの重量を190g/m2とし、水ガラス結合剤に浸漬してから取り出し、パンチングメタル板間に厚さ5.5mmのスペーサとともに挟み込み、シャコマンで加圧脱水してから取り出し、温度20℃、湿度40%以下の雰囲気下で表面と裏面に秒速0.7mの風流が平行になるようにつり下げて配置して、重量が一定になるまで乾燥させフィルタ用ろ材を作製した。尚、本実施例においては、風乾によって乾燥することにしたが、高周波加熱炉等による熱乾燥又は風乾と熱乾燥の併用等によって乾燥してもよいことは前記実施例1と同様である。
【0012】得られたフィルタ用ろ材の表面、中間及び裏面の電子顕微鏡による拡大写真を図4乃至図6示す。図4及び図6からフィルタ用ろ材の表面及び裏面には水ガラス結合剤の固形成分による被膜が形成されていることが分かった。更に、表面及び裏面ともに、針状のセスキ炭酸ナトリウム(Na2CO3・NaHCO3・2H2O)の結晶が形成されていることが分かった。また、図5からフィルタ用ろ材の内部側においてガラス短繊維同士は、それらの交点を中心に水ガラス結合剤の固形成分によって結合されていることが分かった。
【0013】この構造により、フィルタ用ろ材の内部側では、ナトリウム分が比較的少ないので耐水性に優れ、ガラス短繊維の劣化の少ない優れた耐久性を有するものとなった。また、前記ガラス短繊維の交点またはガラス短繊維の間の狭い隙以外においてガラス短繊維同士が結合している部分の割合が低いので、固化した後でもガラス短繊維の弾性が保たれ優れた可撓性を有するものとなった。また、フィルタ用ろ材の表面と裏面側には、水ガラス結合剤の固形成分により被膜が形成されたのでガラス短繊維積層体の表面強度は高いものとなった。また、耐熱性についても、650℃で30分加熱しても変化は見られず、優れた耐熱性を有するものとなった。更に、本実施例のフィルタ用ろ材は、その表面及び裏面の皮膜が、セスキ炭酸ナトリウム(Na2CO3・NaHCO3・2H2O)の針状結晶を含むように形成されているので表面積を大きくすることができ集塵効果に非常に優れるものであることが分かった。
【0014】(実施例3)次に、本発明の他の実施例である無機質繊維積層体からなる真空断熱用芯材について説明する。本実施例では、水ガラス結合剤として、酸化ナトリウム1.1重量%及び二酸化珪素23.5重量%含有の水ガラス原液(二酸化珪素と酸化ナトリウムのモル比nは22)を固形分濃度3.6重量%になるように水で希釈したものを使用した。無機質繊維として直径5μmのガラス短繊維を使用し、前記ガラス短繊維を積層して12mm×190mm×250mm角に裁断し、単位面積当たりの重量を760g/m2とし、水ガラス結合剤に浸漬してから取り出し、パンチングメタル板間に厚さ5.5mmのスペーサとともに挟み込み、シャコマンで加圧脱水してから取り出し、高周波加熱機で15分加熱し、更に、温度20℃、湿度40%以下、秒速0.7mの風速の雰囲気下で、風流と平行につり下げて配置して、重量が一定になるまで乾燥させて真空断熱用芯材を作製した。
【0015】この真空断熱用芯材についても、前記実施例2と同様の構造をしており、内部側では、ナトリウム分が比較的少ないので耐水性に優れ、ガラス短繊維の劣化の少ない優れた耐久性を有するものとなった。また、前記ガラス短繊維の交点またはガラス短繊維の間の狭い隙以外においてガラス短繊維同士が結合している部分の割合が低いので、固化した後でもガラス短繊維の弾性が保たれ優れた可撓性を有するものとなった。また、真空用断熱芯材の表面側には、水ガラス結合剤の固形成分により被膜が形成されているのでガラス短繊維積層体の表面強度は高いものとなった。また、耐熱性についても、650℃で30分加熱しても変化は見られず、優れた耐水性を有するものとなった。また、この真空断熱用芯材は強度、感触とも良好で作業性が極めて優れるものであった。尚、本実施例においてガラス短繊維の繊維径3μmとしたが、例えば、繊維径を1μmというように細くすれば、ガラス短繊維間の空隙を更に多くして断熱性を向上させることができる。また、本実施例のガラス短繊維は、一般に製造する繊維の方向が水平方向に積層されたフェルトを使用したが、あらかじめ繊維方向がランダムになるように、例えば、フロック状の繊維束を作って、積層させたフェルトを使用すれば、特に真空下における耐圧縮(変形)強度を向上させることができる。
【0016】上記した各実施例においては、無機質繊維としてガラス短繊維を使用したが、必ずしもこれに限定されるものでなく、セラミック繊維やロックウール等を使用することもできる。
【0017】
【発明の効果】上記の通り、本発明の製造方法によれば、積層された無機質繊維を結合するのに、固形成分の濃度が1〜15重量%と極めて低い本発明の水ガラス系結合剤を使用することによって、優れた耐熱性、耐水性、耐久性、可撓性及び表面強度を有するとともに表面が極めて滑らかで取り扱い性のよい無機質繊維積層体を得ることができる。また、本発明の無機質繊維積層体によれば、耐熱性に優れ、電子ジャーや冷蔵庫等の家電製品、パッキング材、アスベスト製スポンジ代替品や建築材等として使用しても有機系結合剤を使用していないため安全性に優れた断熱材として利用することができる。また、無機質繊維積層体の表面に形成されたサブミクロンの針状結晶を利用して高い捕集効率を有するフィルタ等のろ過材としても利用することができる。更に、表面強度及び通気性に優れたものであるため高い真空状態においても断熱材としての機能を損なうことがない。
【出願人】 【識別番号】596174950
【氏名又は名称】株式会社日本インサルテック
【住所又は居所】東京都世田谷区松原1−36−8
【出願日】 平成14年3月29日(2002.3.29)
【代理人】 【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善▲廣▼ (外2名)
【公開番号】 特開2003−292347(P2003−292347A)
【公開日】 平成15年10月15日(2003.10.15)
【出願番号】 特願2002−94523(P2002−94523)