| 【発明の名称】 |
逆オパール構造フォトニクス結晶の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】佐藤 治
【氏名】顧 忠沢
【氏名】孟 慶波
【氏名】藤嶋 昭
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| 【要約】 |
【課題】結晶化に際しての収縮率が小さく欠陥の少ない大面積の逆オパール構造を形成することができ、また、バンドギャップ(発色波長)の制御を容易とすることもできる、逆オパール構造フォトニクス結晶の製造方法を提供する。
【解決手段】周期的ポーラス構造のナノサイズ粒子膜を有する逆オパール構造フォトニクス結晶の製造方法であって、焼成時に消去される微粒子とこの微粒子よりも粒径の小さいナノサイズ粒子との懸濁溶液に基板を垂直に、もしくは傾斜させて浸漬して基板上に前記微粒子を整列させるとともに微粒子間の隙間にナノサイズ粒子を充填させて基板上に前記微粒子とナノサイズ粒子との粒子膜を形成し、次いでこの粒子膜を焼成することにより前記微粒子を消去して周期的ポーラス構造のナノサイズ粒子膜を生成させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 周期的ポーラス構造のナノサイズ粒子膜を有する逆オパール構造フォトニクス結晶の製造方法であって、焼成時に消去される微粒子とこの微粒子よりも粒径の小さいナノサイズ粒子との懸濁溶液に基板を垂直に、もしくは傾斜させて浸漬して基板上に前記微粒子を整列させるとともに微粒子間の隙間にナノサイズ粒子を充填させて基板上に前記微粒子とナノサイズ粒子との粒子膜を形成し、次いでこの粒子膜を焼成することにより前記微粒子を消去して周期的ポーラス構造のナノサイズ粒子膜を生成させることを特徴とする逆オパール構造フォトニクス結晶の製造方法。 【請求項2】 基板を浸漬した状態で懸濁溶液の溶媒を蒸発させることで粒子膜を形成することを特徴とする請求項1の逆オパール構造フォトニクス結晶の製造方法。 【請求項3】 基板を浸漬した後に懸濁溶液より基板を徐々に引き上げることで粒子膜を形成することを特徴とする請求項1または2の逆オパール構造フォトニクス結晶の製造方法。 【請求項4】 周期的ポーラス構造のナノサイズ粒子膜を有する逆オパール構造フォトニクス結晶の製造方法であって、焼成時に消去される微粒子の膜を有する基板を作用極とし、この微粒子よりも粒径の小さいナノサイズ粒子を懸濁させた電解液中において電気泳動させて前記微粒子の膜の微粒子間隙間にナノサイズ粒子を充填させて前記微粒子とナノサイズ粒子との粒子膜を形成し、次いでこの粒子膜を焼成することにより前記微粒子を消去して周期的ポーラス構造のナノサイズ粒子膜を生成させることを特徴とする逆オパール構造フォトニクス結晶の製造方法。 【請求項5】 ナノサイズ粒子の粒径は50nm以下であって、微粒子の粒径の1/20以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかの逆オパール構造フォトニクス結晶の製造方法。 【請求項6】 ナノサイズ粒子は2種以上のものの混合であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかの逆オパール構造フォトニクス結晶の製造方法。 【請求項7】 ナノサイズ粒子は同種または異種のものからなり、粒径の異なるものの混合であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかの逆オパール構造フォトニクス結晶の製造方法。 【請求項8】 ナノサイズ粒子は無機質粒子であって、微粒子は有機ポリマー粒子であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかの逆オパール構造フォトニクス結晶の製造方法。 【請求項9】 ナノサイズ粒子は光機能性粒子であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかの逆オパール構造フォトニクス結晶の製造方法。 【請求項10】 基板は透明性の無機質板であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかの逆オパール構造フォトニクス結晶の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この出願の発明は、フォトニクス結晶の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、結晶化に際しての収縮率が小さく欠陥の少ない大面積の逆オパール構造を形成することができ、バンドギャップ(発色波長)の制御を容易とすることもできる、新しいフォトニクス結晶の製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術と発明の課題】21世紀は光の時代と言われている。大量の情報をより高密度に記録し、より高速に伝送するためには、光をベースにした新規デバイスの開発が不可欠である。一方、21世紀は生物の時代であるとも言われている。生物に由来する生命の神秘を探究することにより、生物からヒントを得た新規な概念、新規な材料を創製できる可能性がある。21世紀の研究のこの2本柱には、非常に緊密な関係がある。生物の多彩な色は、情報伝達などの重要な役割を果たしており、生物の世界は色の世界であるとも言えるからである。特に最近、生物体表面の微細かつ特殊な構造による発色が“構造性発色”(フォトニクス結晶)との関連から注目を集めている。 【0003】一般に、誘電率の異なる2種類以上の媒質が周期的に配列した構造中では光の回折作用により光の伝播が禁止される波長領域(フォトニックバンドギャップ)が現れ発色する(構造性発色)。このような構造性発色は自然界で広く観察されている。たとえば、珊瑚礁に生息するルリスズメダイの体表がコバルト色に見えるのは、体表に形成された周期的多層薄膜構造によって380nmの光が選択的に反射されるためである。 【0004】フォトニックバンドギャップを精密に決定するためにはMaxswell式を解かなければならないが、定性的に概算するときはBragg式が有効である。典型的な周期構造を有するフォトニクス結晶のバンドギャップの位置(λ)は次の(1)式で表される。 【0005】 【数1】
【0006】ここで、naは次の(2)式で表わされる。 【0007】 【数2】
【0008】また、dは粒子間距離、θは光の入射確度、naは平均屈折率、Vfは粒子の体積比、nvoidとnsphereはそれぞれ隙間と粒子の屈折率である。 【0009】以上のような構造性発色を可能とする材料は、無閾値レーザ、直角曲がり光ファイバ、波長選択デバイス、表示材料、分離材料、吸着材、触媒の担持材料等への応用が期待されている。しかしながら、欠陥の少ない規則正しいドメインを有する大面積のフォトニック結晶を作製する技術が確立していないため、その応用は進んでいないのが実情である。 【0010】このような状況を踏まえて、この出願の発明者らは、欠陥の少ない大面積の周期的ポーラス構造(逆オパール構造)に注目し、欠陥の少ない大面積の逆オパール構造を作製する手法を開発することを目指してきた。 【0011】この逆オパール構造は、通常、まずコロイド結晶を作製し、次にそれをテンプーレト(鋳型)として複製することにより作成される。そして、鋳型を複製するための方法としては、ゾル・ゲル法、CVD法、沈殿法などの各種の方法が検討され、一般的にはゾル・ゲル法が採用されている。 【0012】たとえば、TiO2の逆オパール構造膜のゾル・ゲル法による作成について説明すると、図1のように、沈殿法により作成したポリスチレン等の粒子のテンプレート(鋳型)を用いて、その粒子の隙間にチタンアルコキシドを充填してゾル・ゲル反応によってアモルファスTiO2に変換し、その後温度を500℃程度まで上昇させて焼成し、ポリスチレン粒子を消去するとともに隙間のTiO2を結晶化させる。 【0013】そして、このような従来の方法においては、バンドギャップ(発色波長)の制御は、主としてポリスチレン粒子等の粒径を変化させることによって行っている。 【0014】しかしながら、以上のとおりの従来の方法では、テンプレート(鋳型)を複製するのにゾル・ゲル法を利用することから、収縮率が極めて大きく均一な膜を得ることができないという問題があった。また、従来では、粒径を変化させることによってバンドギャップ(発色波長)を連続的に制御するためには粒径を精密に制御しなければならず、このことは実際的に極めて困難であった。 【0015】そこで、この出願の発明は、従来の周期的ポーラス構造のナノサイズ粒子膜、すなわち逆オパール構造を有するフォトニクス結晶(構造性発色材料)の製造方法の問題点を解消し、結晶化に際しての収縮率が小さく欠陥の少ない大面積の逆オパール構造を形成することができ、また、バンドギャップ(発色波長)の制御を容易とすることもできる、逆オパール構造フォトニクス結晶の新しい製造方法を提供することを課題としている。 【0016】 【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には、周期的ポーラス構造のナノサイズ粒子膜を有する逆オパール構造フォトニクス結晶の製造方法であって、焼成時に消去される微粒子とこの微粒子よりも粒径の小さいナノサイズ粒子との懸濁溶液に基板を垂直に、もしくは傾斜させて浸漬して基板上に前記微粒子を整列させるとともに微粒子間の隙間にナノサイズ粒子を充填させて基板上に前記微粒子とナノサイズ粒子との粒子膜を形成し、次いでこの粒子膜を焼成することにより前記微粒子を消去して周期的ポーラス構造のナノサイズ粒子膜を生成させることを特徴とする逆オパール構造フォトニクス結晶の製造方法を提供し、第2には、基板を浸漬した状態で懸濁溶液の溶媒を蒸発させることで粒子膜を形成することを特徴とする逆オパール構造フォトニクス結晶の製造方法を、第3には、基板を浸漬した後に懸濁溶液より基板を徐々に引き上げることで粒子膜を形成することを特徴とする逆オパール構造フォトニクス結晶の製造方法を提供する。 【0017】また、この出願の第4の発明は、周期的ポーラス構造のナノサイズ粒子膜を有する逆オパール構造フォトニクス結晶の製造方法であって、焼成時に消去される微粒子の膜を有する基板を作用極とし、この微粒子よりも粒径の小さいナノサイズ粒子を懸濁させた電解液中において電気泳動させて前記微粒子の膜の微粒子間隙間にナノサイズ粒子を充填させて前記微粒子とナノサイズ粒子との粒子膜を形成し、次いでこの粒子膜を焼成することにより前記微粒子を消去して周期的ポーラス構造のナノサイズ粒子膜を生成させることを特徴とする逆オパール構造フォトニクス結晶の製造方法を提供する。 【0018】そしてこの出願の発明は、第5には、前記のいずれかの方法について、ナノサイズ粒子の粒径は50nm以下であって、微粒子の粒径の1/20以下であることを特徴とする逆オパール構造フォトニクス結晶の製造方法を提供し、第6には、ナノサイズ粒子は2種以上のものの混合であることを特徴とする逆オパール構造フォトニクス結晶の製造方法を、第7には、ナノサイズ粒子は同種または異種のものからなり、粒径の異なるものの混合であることを特徴とする逆オパール構造フォトニクス結晶の製造方法を、第8には、ナノサイズ粒子は無機質粒子であって、微粒子は有機ポリマー粒子であることを特徴とする逆オパール構造フォトニクス結晶の製造方法を、第9には、ナノサイズ粒子は光機能性粒子であることを特徴とする逆オパール構造フォトニクス結晶の製造方法を提供する。 【0019】さらにこの出願の発明は、第10には、基板は透明性の無機質板であることを特徴とする逆オパール構造フォトニクス結晶の製造方法を提供する。 【0020】 【発明の実施の形態】この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。 【0021】この出願の第1ないし第3の発明を基本とする逆オパール構造フォトニクス結晶の製造方法について説明すると、この方法では、まず、図2に例示したように、焼成時において燃焼等によって消去されるポリスチレン等の微粒子(1)と、この微粒子(1)よりも粒径の小さいシリカやTiO2等のナノサイズ粒子(2)との懸濁液(3)に対し基板(4)が垂直に、もしくは傾斜して浸漬される。 【0022】基板(4)が浸漬された状態で、温度、湿度を調節して、たとえば恒温恒湿条件下に静置するか、あるいは基板(4)を徐々に引き上げる。このとき、メニスカスは上に凸の形をしている。従って、図3にも例示したように、ポリスチレン等の微粒子(1)は毛管力によってメニスカス部位に集まり懸濁液(3)の溶媒の蒸発とともにその基板(4)表面に整列する。また、ナノサイズ粒子(2)は整列したポリスチレン等の微粒子(1)の隙間に同様に毛管力によって充填される。 【0023】このような基板(4)の浸漬によって、基板(4)上には、微粒子(1)を整列させるとともに微粒子(1)間の隙間にナノサイズ粒子(2)が充填された粒子膜を形成する。 【0024】基板(4)を懸濁液(3)に対して傾斜させて浸漬する場合には、前記の毛管力の作用によって、微粒子(1)の整列とナノサイズ粒子(2)の充填が所要の密度で充分に密になるように許容された範囲の傾斜角であるようにする。より好ましくは、基板(4)は、懸濁液(3)に対して垂直に浸漬することである。 【0025】懸濁液に浸漬した状態で基板(4)を静置して粒子膜を形成する場合には、懸濁液を構成する溶媒の蒸発とこれにともなう毛管力の作用、さらには微粒子(1)とナノサイズ粒子(2)の種類と大きさ等を考慮して、温度や湿度条件の最適化を図ることができる。また、基板(4)を徐々に引き上げる場合にも同様のことを考慮して、引き上げの速度を設定することができる。 【0026】以上のような粒子膜の形成については、計測手段によって粒子膜形成をモニターすることのできる自動成膜装置を効果的に用いることもできる。 【0027】図3にも例示したように、基板上に形成された前記の粒子膜については、次いで、加熱焼成することによってポリスチレン等の微粒子(1)を消失させ、空隙を生じさせて周期的なポーラス(多孔)構造を持つナノサイズ粒子の膜に変換する。これによって、この出願の発明の逆オパール構造を有するフォトニクス結晶が得られる。 【0028】その膜厚については、前記の微粒子やナノサイズ粒子の濃度によっても調節でき、また、以上の操作を繰り返すことによって膜厚の増大も可能となる。 【0029】焼成の際の温度や時間等の条件は、燃焼等によって消失させる微粒子の種類、その割合、大きさ等を考慮して設定することができる。 【0030】ポリスチレン等の微粒子や、シリカ、TiO2等のナノサイズ粒子の大きさ等については、前記の毛管力や目的とする逆オパール構造のフォトニクス結晶の機能、用途等を考慮することで適宜に定めることができるが、通常は、微粒子については、200nm〜1000nm程度の範囲のものが、またナノサイズ粒子については50nm以下のものが考慮される。より実際的には、ナノサイズ粒子については、均一充填や、充填密度等の観点からは、その粒径が、微粒子の1/20以下、さらには1/50以下のものが好適なものとして考慮される。 【0031】ナノサイズ粒子は、たとえばシリカ、TiO2をはじめとする各種の無機質粒子とすることができる。そして、ナノサイズ粒子は、2種以上の混合であってもよいし、同種または異種のものからなり、粒径の異なるものの混合であってもよい。 【0032】異種のものの混合とする場合には、生成された逆オパール構造のフォトニクス結晶のバンドギャップ(発色波長)を連続的に制御することができる。 【0033】このことは、物質の種類によって物質固有の屈折率が異なるからであり、異なる種類のナノサイズ粒子の混合比の調節によって逆オパール構造フォトニクス結晶の屈折率を連続的に変化させることができるからである。たとえば屈折率2.5のTiO2粒子と屈折率1.5のSiO2粒子とを用い、両者の混合比(TiO2/SiO2)を変化させると、逆オパール構造フォトニクス結晶の屈折率は次の表1のように調節することができる。このことで屈折率によるバンドギャップ(発色波長)の制御が可能となる。 【0034】 【表1】
【0035】焼成時に消去される前記微粒子については、通常は有機ポリマー粒子、たとえば入手や取扱いの容易なポリスチレン粒子等が好適に用いられることになる。焼成前の基板浸漬による粒子膜の形成のための懸濁液については、その溶媒は、水あるいは有機溶媒の各種のもの、もしくはその混合であってよい。 【0036】また、基板も各種のものであってよく、無機質板、金属もしくは合金板、さらには焼成温度での耐熱性を有する有機ポリマーの板状体とすることができる。そして、このような基板は単一層のものでもよいし、多層板でもよく、さらには平板状のものに限定されることなしに、ブロック状や異形形状のもの、さらには許容される範囲での曲面を持つものであってもよい。 【0037】以上のとおりの基板浸漬と焼成によるこの出願の発明方法は次のような作用効果上の特徴を有している。 (1)テンプレート(鋳型)の製作と隙間への充填を一度に行うOne-step法であり簡単である。 (2)ナノサイズの超微粒子を用いているためこれと微粒子の隙間に充填した後の収縮が極めて少なく、大面積で均一の膜の形成が可能である。従来のゾルゲル法でたとえばTiO2逆オパールを製作するためには、チタンアルコキシドを隙間に充填しその後、温度を500℃程度まで上げて隙間に酸化物を合成するが、この時、ゾル状態から溶媒が抜けるので収縮率がきわめて大きく、均一な膜が形成できない。 (3)ナノサイズの超微粒子がたとえばポリスチレン微粒子配列の欠陥を埋め合わせるので、粒子配列がポリスチレンオパール膜より均一である。従来のテンプレートを用いる方法では逆オパール薄膜の質はテンプレートより必ず劣る。これに対し、この発明ではナノサイズ超微粒子がポリスチレン微粒子配列の欠陥を埋め合わせるため、欠陥から生じるポリスチレン粒子配列の乱れが抑えられる。驚くべきことに、膜の品質はポリスチレンオパール膜より高いことが確認されている。 (4)表面がフラットである。すなわち、ナノサイズ超微粒子が毛管力によって隙間を充填するので、極めてフラットな表面仕上げとなる。 (5)多層膜を容易に製作することが可能である。また、異種の超微粒子材料を積層する多層膜を製作することもできる。 【0038】また、この出願の発明は、逆オパール構造フォトニクス結晶の製造に際して、前記のものとは異なる電気泳動法による方法も提供する。この方法では、焼成時に消去される微粒子とナノサイズ粒子とからなる粒子膜の形成を電気泳動により行うことを特徴としている。すなわち、焼成時に消去される微粒子の膜を有する基板を作用極とし、この微粒子よりも粒径の小さいナノサイズ粒子を懸濁させた電解液中において電気泳動させて前記微粒子の膜の微粒子間隙間にナノサイズ粒子を充填させて前記微粒子とナノサイズ粒子との粒子膜を形成することである。 【0039】この方法においても、前記の浸漬法による場合と同様に微粒子やナノサイズ粒子の大きさやその種類等について考慮することができるが、特徴的な電気泳動法のための電解溶液の構成、印加電圧等の条件についても適宜に設定することができる。電気泳動のためのナノサイズ粒子のチャージは電解質溶液のpH値によって制御可能である。 【0040】電気泳動の方法によって、均一な膜面でひび割れのない大面積膜の形成が可能とされ、ナノサイズ粒子を利用していることによって従来のような化学反応による収縮がなく、ナノサイズ粒子が電場の力によって詰め込まれているので焼成時にナノサイズ粒子相互の凝集による収縮が小さく、結晶成長がない等の理由によって、その組織が均一で所定の充填密度を持つ高品質な逆オパール構造フォトニクス結晶の大面積での製造が可能となる。 【0041】そこで以下に実施例を示し、さらに詳しく発明の実施の形態について説明する。もちろん以下の例によって発明が限定されることはない。 【0042】 【実施例】<実施例1>図2および図3にその概要を例示した方法によって逆オパール構造フォトニクス結晶を作成した。 【0043】微粒子としては、単分散ポリスチレン粒子(Duke Scientific Corporation 製造)の、粒径が281、388、406、564nmの各々のものを用いた。またナノサイズ粒子としては、粒径7nmのシリカと粒径13nmのTiO2の分散液(Catalysts and Chemical Ind.Co.Ltd.製)の各々を用いた。基板としては、石英基板とITO/ガラス板を各々用いた。 【0044】まず、微粒子とナノサイズ粒子の懸濁液を調製し、ここに基板を垂直浸漬した。そして浸漬した状態で、温度50℃、湿度30%の恒温恒湿チャンバー内に静置した。これによって膜厚3〜6μmの粒子膜を形成した。 【0045】次いで、基板上の粒子膜を450℃の温度で7時間焼成した。この焼成後に、周期的ポーラス構造の逆オパール構造フォトニクス結晶を得た。 【0046】図4および図5は、粒径406nmのポリスチレン微粒子の場合の、ITO/ガラス基板、そして石英基板上のシリカ逆オパール構造フォトニクス結晶を例示したSEM観察像である。 【0047】ナノサイズ粒子は6角形状に配列しており、FCC構造の(111)面が観測されているのがわかる。また、それぞれの穴の下に三角形のパターンが観測され、膜厚方向にも粒子がきれいに配列していることがわかる。ITO/ガラス上(図4)では0.01mm2をこえる大きさのドメインが形成されているのが観測された。一方、より平らな平面を持つ石英基板上(図5)ではドメインサイズは0.1mm2を越えていた。また、透過スペクトルを図6に例示した。シリカ逆オパール構造フォトニクス結晶について、一次の回折ピークがはっきりと確認できる。粒径281、388、564nmのポリスチレンに対し回折波長は488、689、985nmにあらわれた。これらの結果は、逆オパール薄膜の品質が高いことを示している。現在のところ、これまで報告されたもののなかで最高である。 <実施例2>まず、垂直沈殿法によりITOガラス基板上にテンプレートとなるポリスチレンのオパール膜を作製した。次に、その概要を例示した図7のように、ITO基板を作用極、白金板を対電極として2cmの距離に平行に固定した。そして、電解液としてSiO2(粒径6nm)、TiO2(粒径15nm)のコロイド溶液を用い、10〜20Vの電圧を8分間加えた。SiO2、TiO2粒子の表面は負に帯電しているため、これら微粒子は作用極であるテンプレートに移動し、テンプレートの隙間を充填する。この後、450℃で燃焼し、ポリスチレンを除去することによって、SiO2またはTiO2の逆オパール構造体を得た。作製した逆オパール構造膜は、SEMによる観察、UV−Visによる光学特性の評価を行った。 【0048】図8は、SEMによるシリカナノサイズ粒子の場合の観察像を例示したものである。 【0049】SEMによる観察から、三次元の逆オパール構造が得られていることが分かった。また、10000μm2以上にわたって割れ目のないドメインをもち、膜の厚さは10μm以上となっている。図9はポリスチレン微粒子の粒径に対応する透過率を例示したものである。UV−Visによる反射率・透過率の結果得られるピークの位置は、粒径から計算される理論値とよく一致し、完全に近い構造が得られていることが確認された。 <実施例3>実施例1において、懸濁液中にTiO2とSiO2とを混合分散させて逆オパール構造フォトニクス結晶を作成した。図10は、懸濁液中のTiO2の仕込み比と、生成されたフォトニクス結晶中のTiO2の割合との関係を例示したものである。この場合のポリスチレン粒子の粒径は395nmとしている。 【0050】図11は、生成された逆オパール構造フォトニクス結晶中のTiO2の割合に対応した光透過率を例示した図である。この図11から、ナノサイズ粒子の混合による屈折率の調節によって、発色波長の制御が可能となることがわかる。 【0051】 【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、従来の周期的ポーラス構造のナノサイズ粒子膜、すなわち逆オパール構造を有するフォトニクス結晶(構造性発色材料)の製造方法の問題点を解消し、結晶化に際しての収縮率が小さく欠陥の少ない大面積の逆オパール構造を形成することができ、また、バンドギャップ(発色波長)の制御を容易とすることもできる、逆オパール構造フォトニクス結晶の新しい製造方法を提供することができる。 【0052】21世紀は光の時代と言われており、大量の情報をより高密度に記録し、より高速に伝送するためには、光をベースにした新規デバイスの開発が不可欠であることから、この出願の発明による構造性発色材料は、無閾値レーザ、直角曲がり光ファイバ、自然放出発光素子、波長選択デバイス、表示材料、分離材料、吸着材、触媒の担持材料など新規光デバイス開発への応用が期待できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】591243103 【氏名又は名称】財団法人神奈川科学技術アカデミー 【識別番号】396020800 【氏名又は名称】科学技術振興事業団
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| 【出願日】 |
平成13年6月14日(2001.6.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100093230 【弁理士】 【氏名又は名称】西澤 利夫
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| 【公開番号】 |
特開2003−2687(P2003−2687A) |
| 【公開日】 |
平成15年1月8日(2003.1.8) |
| 【出願番号】 |
特願2001−180892(P2001−180892) |
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