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【発明の名称】 スクライブ溝形成装置、スクライブ溝形成方法、ガラス基板の切断方法、電気光学装置の製造方法、電気光学装置、及び、電子機器
【発明者】 【氏名】犬飼 輝幸
【住所又は居所】長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコーエプソン株式会社内

【要約】 【課題】ガラス基板の強度を低下させることなく、かつ、ガラス基板の端部に損傷を生じることなく、電気光学装置に使用されるガラス基板にスクライブ溝を良好に形成することを可能とする。

【解決手段】スクライブ溝形成装置500は、互いに直交するX方向とY方向により形成されるXY平面上にスクライブ対象物を保持するステージ510と、前記スクライブ対象物にスクライブ溝を形成するためのカッタ520と、前記カッタを一体的に保持するヘッド530と、前記XY平面に垂直なZ方向における前記ヘッドの位置を移動させることにより、前記カッタと前記スクライブ対象物との相対位置を調整するZ方向位置調整手段570と、前記スクライブ対象物に対する前記カッタの押し付け圧を検出し、圧力検出信号を出力する圧力センサ583と、前記圧力検出信号に基づいて、前記Z方向位置調整手段を制御する制御手段590と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 互いに直交するX方向とY方向によって規定されるXY平面を有し、前記XY平面上にスクライブ対象物が保持されるステージと、前記スクライブ対象物にスクライブ溝を形成するためのカッタと、前記カッタを保持するヘッドと、前記ヘッドを前記XY平面に対して垂直なZ方向に移動させるZ方向位置調整手段と、前記スクライブ対象物に対する前記カッタの押し付け圧を検出し、圧力検出信号を出力する圧力センサと、前記圧力検出信号に基づいて前記Z方向位置調整手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とするスクライブ溝形成装置。
【請求項2】 前記制御手段は、前記カッタにより前記スクライブ対象物にスクライブ溝を形成している間に、前記スクライブ対象物に対する前記カッタの押し付け圧が常に一定の圧力値となるように前記Z方向位置調整手段を制御することを特徴とする請求項1に記載のスクライブ溝形成装置。
【請求項3】 前記ヘッドは、シリンダと、前記シリンダ内に配置されたプランジャと、を備え、前記カッタは前記プランジャの下端部に取り付けられ、前記圧力センサは前記シリンダ内の最上部と前記プランジャの上端面との間に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載のスクライブ溝形成装置。
【請求項4】 前記プランジャの上端面は前記圧力センサに常に接触し、かつ、前記プランジャはZ方向に移動可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のスクライブ溝形成装置。
【請求項5】 前記X方向及び前記Y方向の少なくとも一方に前記ヘッドを移動させるヘッド駆動手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のスクライブ溝形成装置。
【請求項6】 前記制御手段は、前記ステージの前記Z方向の位置及び前記スクライブ対象物の前記Z方向の厚さに基づいて、前記ステージ上に載置された前記スクライブ対象物に所定の深さのスクライブ溝を形成するためのZ方向基準位置を計算し、前記カッタが前記スクライブ対象物に接触する前に前記Z方向基準位置に前記カッタが位置するように前記Z方向調整機構を制御した後、前記ヘッド駆動手段により前記カッタを前記X方向又は前記Y方向に移動して前記スクライブ対象物にスクライブ溝を形成することを特徴とする請求項5に記載のスクライブ溝形成装置。
【請求項7】 前記制御手段は、前記ヘッド駆動手段による前記カッタの移動により、前記カッタが前記スクライブ対象物から離隔したときに、前記カッタが前記Z方向基準位置に位置するように前記X方向調整手段を制御することを特徴とする請求項6に記載のスクライブ溝形成装置。
【請求項8】 カッタを利用して、スクライブ対象物にスクライブ溝を形成するスクライブ溝形成方法において、前記スクライブ対象物に対する前記カッタの押し付け圧が一定値となるように、前記スクライブ対象物に対する前記カッタの相対位置を調整しつつ、前記カッタを前記スクライブ対象物のスクライブ面に沿って移動させる工程を含むことを特徴とするスクライブ溝形成方法。
【請求項9】 互いに直交するX方向とY方向により規定されるXY平面上に保持されたスクライブ対象物に、カッタを使用してスクライブ溝を形成するスクライブ溝形成方法において、前記スクライブ対象物を載置するステージの前記XY平面に対して垂直なZ方向の位置、及び、前記スクライブ対象物の前記Z方向の厚さに基づいて、前記スクライブ対象物に所定の深さのスクライブ溝を形成するために前記カッタのZ方向基準位置を決定する第1の工程と、前記カッタが前記スクライブ対象物に接触する前に、前記カッタを前記Z方向基準位置に配置する第2の工程と、前記カッタを前記X方向又は前記Y方向に移動させる第3の工程と、を有し、前記第3の工程は、前記カッタが前記スクライブ対象物に接触するまで、前記カッタを前記Z方向基準位置に保持しつつ前記X方向又は前記Y方向に移動させる工程と、前記カッタが前記スクライブ対象物に接触している間は、前記スクライブ対象物に対する前記カッタの押し付け圧が一定値となるように、前記スクライブ対象物に対する前記カッタの相対位置を調整しつつ、前記カッタを前記スクライブ対象物のスクライブ面に沿って移動させる工程と、前記カッタが前記スクライブ対象物から離隔した後は、前記カッタを前記Z方向基準位置に保持しつつ前記X方向又は前記Y方向に移動させる工程と、を有することを特徴とするスクライブ溝形成方法。
【請求項10】 前記スクライブ対象物はガラス基板であり、請求項8又は9に記載のスクライブ溝形成方法によりスクライブ溝を形成する工程と、形成されたスクライブ溝に沿って前記ガラス基板を切断する工程と、を有することを特徴とするガラス基板の切断方法。
【請求項11】 請求項10に記載のガラス基板の切断方法を利用して、電気光学物質を保持するためのガラス基板を切断することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項12】 請求項11に記載する方法により製造されたことを特徴とする電気光学装置。
【請求項13】 請求項12に記載する電気光学装置を表示部として備えることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラス基板の切断方法の技術分野に属し、特に電気光学装置を構成するガラス基板に対するスクライブ溝形成装置および方法、並びにガラス基板の切断装置および切断方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話、携帯型コンピュータ、ビデオカメラなどといった電子機器の表示部として、液晶装置などといった電気光学装置が広く用いられている。液晶装置では、2枚のガラス基板をシール材によって重ねて貼り合わせて空セルと称せられる空のパネルを構成した後、シール材で区画された領域内に電気光学物質としての液晶が封入される。
【0003】このような液晶装置を製造するにあたっては、個々のパネルに対応した大きさに切断した2枚の基板を重ねて貼り合わせる場合もあるが、小型の液晶装置を製造する場合には特に複数のパネルを形成できるマザー基板(大型のガラス基板)に対して複数の液晶装置分の配線パターンを形成するなど、製造工程の途中までは、大型のマザー基板のままで処理を行い、その後、マザー基板を個々のガラス基板に切断、分割することが多い。
【0004】これらいずれの製造方法においても、従来はダイヤモンドチップなどのカッタがヘッドに上下動可能に支持されたスクライブ溝形成装置において、ガラス基板に対するヘッドの位置、およびヘッドでのカッタに対する押し付け圧を固定した状態で、ガラス基板の表面にカッタを当接させたまま、カッタをガラス基板の切断予定線に沿って相対移動させることにより、ガラス基板にスクライブ溝を形成し、しかる後に、ガラス基板をブレーク用の治具(例えば、ゴムローラ)などで裏面側から押圧して曲げ応力を加え、この応力によってガラス基板を切断する。この方法は、スクライブ・ブレイク法と呼ばれる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この切断方法では、ガラス基板の表面にうねりやガラスの厚みのばらつきがある場合には、それに起因してスクライブ溝が深すぎる、または浅すぎるという不具合が発生しやすい。その結果、スクライブ溝が深すぎた場合にはガラス基板を扱っているうちに不用意に割れてしまう一方、スクライブ溝が浅すぎた場合には、スクライブ溝に沿ってガラス基板を良好に切断できないという問題点がある。
【0006】また、上記のようなカッタを装備したスクライブ溝形成装置装置においては、カッタを所定の押し込み量および押し込み圧で下方へ押し付ける構造を採用しており、このカッタを基台上に固定されたガラス基板の表面に押し付けながら直線的に移動させることによって、上記スクライブ溝を形成していく。
【0007】しかし、このようなスクライブ方法においては、カッタがガラス基板の端部表面上に乗り上げるとき、および、ガラス基板の表面上を移動してきたカッタがガラス基板の端部から離れるときに、上記の押し込み量および押し込み圧によってガラス基板の端部が損傷を受け、ガラス基板の端部に欠けや割れが生じる場合がある。このようなガラス基板端部の損傷は分割後のガラス基板の角部に残存するので、この損傷に伴って生じたマイクロクラック等によって分割後のガラス基板の耐衝撃性が低下するという問題がある。この問題は、近年の電子機器の薄型化および軽量化の要請に応じて薄いガラス基板を使用する電気光学装置においては特に顕著となる。
【0008】本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、その課題は、ガラス基板の強度を低下させることなく、かつ、ガラス基板の端部に損傷を生じることなく、電気光学装置に使用されるガラス基板にスクライブ溝を良好に形成することを可能とすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明のスクライブ溝形成装置は、互いに直交するX方向とY方向によって規定されるXY平面を有し、前記XY平面上にスクライブ対象物が保持されるステージと、前記スクライブ対象物にスクライブ溝を形成するためのカッタと、前記カッタを保持するヘッドと、前記ヘッドを前記XY平面に対して垂直なZ方向に移動させるZ方向位置調整手段と、前記スクライブ対象物に対する前記カッタの押し付け圧を検出し、圧力検出信号を出力する圧力センサと、前記圧力検出信号に基づいて前記Z方向位置調整手段を制御する制御手段と、を備える。
【0010】上記のように構成されたスクライブ溝形成装置によれば、例えばガラス基板やパネルなどのスクライブ対象物がステージ上に保持される。Z方向位置調整手段は、カッタを保持するヘッドのZ方向位置を移動させることにより、カッタとスクライブ対象物との相対位置を調整し、カッタがスクライブ対象物に接触するようにする。スクライブ対象物に対するカッタの押し付け圧は圧力センサにより検出され、これに基づいてZ方向位置調整手段により、カッタのZ方向位置が制御され、適切なスクライブ溝が形成される。
【0011】上記スクライブ溝形成装置の一態様では、前記制御手段は、前記カッタにより前記スクライブ対象物にスクライブ溝を形成している間に、前記スクライブ対象物に対する前記カッタの押し付け圧が常に一定の圧力値となるように前記Z方向位置調整手段を制御する。
【0012】この態様によれば、スクライブ対象物に対するカッタの押し付け圧が一定に保たれるので、スクライブ対象物の表面に凹凸などがある場合でも、一定の深さのスクライブ溝を形成することができる。
【0013】上記スクライブ溝形成装置の他の一態様では、前記ヘッドは、シリンダと、前記シリンダ内に配置されたプランジャと、を備え、前記圧力センサは前記シリンダ内の最上部と前記プランジャの上端面との間に配置される。
【0014】この態様によれば、スクライブ対象物に対するカッタの押し付け圧がプランジャを介して圧力センサに伝えられるので、押し付け圧を容易に検出することができる。
【0015】上記スクライブ溝形成装置のさらに他の一態様では、前記プランジャの上端面は前記圧力センサに常に接触し、かつ、前記プランジャはZ方向に移動可能である。
【0016】この態様によれば、プランジャの上端面が圧力センサに常に接触し続けるので、カッタの押し付け圧を正確に検出することができる。
【0017】上記スクライブ溝形成装置のさらに他の一態様は、前記X方向及び前記Y方向の少なくとも一方に前記ヘッドを移動させるヘッド駆動手段をさらに備える。
【0018】この形態によれば、カッタがスクライブ対象物に接触した状態でヘッドがX方向又はY方向に移動することにより、スクライブ対象物にスクライブ溝が形成される。
【0019】上記スクライブ溝形成装置のさらに他の一態様では、前記制御手段は、前記ステージの前記Z方向の位置及び前記スクライブ対象物の前記Z方向の厚さに基づいて、前記ステージ上に載置された前記スクライブ対象物に所定の深さのスクライブ溝を形成するためのZ方向基準位置を計算し、前記カッタが前記スクライブ対象物に接触する前に前記Z方向基準位置に前記カッタが位置するように前記Z方向調整機構を制御した後、前記ヘッド駆動手段により前記カッタを前記X方向又は前記Y方向に移動して前記スクライブ対象物にスクライブ溝を形成する。
【0020】この態様によれば、ステージのZ方向の位置とスクライブ対象物のZ方向の厚さに基づいて、所定の深さの溝を形成するためのカッタのZ方向基準位置が計算される。カッタがスクライブ対象物に接触する前の段階では、カッタはZ方向基準位置に位置する。そして、ヘッド駆動手段がヘッドをX方向又はY方向へ移動させることにより、スクライブ対象物にカッタが接触し、スクライブ溝が形成されていく。
【0021】上記スクライブ溝形成装置のさらに他の一態様では、前記制御手段は、前記ヘッド駆動手段による前記カッタの移動により、前記カッタが前記スクライブ対象物から離隔したときに、前記カッタが前記Z方向基準位置に位置するように前記X方向調整手段を制御する。
【0022】この態様によれば、カッタがスクライブ対象物から離隔したときにカッタがZ方向基準位置に位置するので、スクライブ対象物の端部に欠けなどを生じることがない。
【0023】本発明による、カッタを利用して、スクライブ対象物にスクライブ溝を形成するスクライブ溝形成方法は、前記スクライブ対象物に対する前記カッタの押し付け圧が一定値となるように、前記スクライブ対象物に対する前記カッタの相対位置を調整しつつ、前記カッタを前記スクライブ対象物のスクライブ面に沿って移動させる工程を含む。
【0024】上記のスクライブ溝形成方法によれば、スクライブ対象物に対するカッタの押し付け圧が一定値となるようにカッタの位置が調整されるので、常に一定のスクライブ溝を形成することができる。
【0025】本発明による、互いに直交するX方向とY方向により規定されるXY平面上に保持されたスクライブ対象物にカッタを使用してスクライブ溝を形成するスクライブ溝形成方法は、前記スクライブ対象物を載置するステージの前記XY平面に対して垂直なZ方向の位置、及び、前記スクライブ対象物の前記Z方向の厚さに基づいて、前記スクライブ対象物に所定の深さのスクライブ溝を形成するために前記カッタのZ方向基準位置を決定する第1の工程と、前記カッタが前記スクライブ対象物に接触する前に、前記カッタを前記Z方向基準位置に配置する第2の工程と、前記カッタを前記X方向又は前記Y方向に移動させる第3の工程と、を有し、前記第3の工程は、前記カッタが前記スクライブ対象物に接触するまで、前記カッタを前記Z方向基準位置に保持しつつ前記X方向又は前記Y方向に移動させる工程と、前記カッタが前記スクライブ対象物に接触している間は、前記スクライブ対象物に対する前記カッタの押し付け圧が一定値となるように、前記スクライブ対象物に対する前記カッタの相対位置を調整しつつ、前記カッタを前記スクライブ対象物のスクライブ面に沿って移動させる工程と、前記カッタが前記スクライブ対象物から離隔した後は、前記カッタを前記Z方向基準位置に保持しつつ前記X方向又はY方向に移動させる工程と、を有する。
【0026】上記のスクライブ溝形成方法によれば、まず、スクライブ対象物を載置するステージのZ方向の位置、及び、スクライブ対象物のZ方向の厚さに基づいて、前記スクライブ対象物に所定の深さのスクライブ溝を形成するためにカッタのZ方向基準位置が決定される。次に、カッタがZ方向基準位置に配置され、X方向又はY方向へカッタが移動される。カッタは、スクライブ対象物に接触するまでZ方向基準位置にあり、スクライブ対象物に接触している間はスクライブ対象物に対するカッタの押し付け圧が一定となるようにカッタのZ方向位置が調整され、その後カッタがスクライブ対象物から離隔するとカッタは再びZ方向基準位置へ戻る。これにより、スクライブ対象物には一定の深さのスクライブ溝が形成されるとともに、スクライブ対象物の端部において欠けやクラックが生じることが防止される。
【0027】本発明のガラス基板切断方法では、前記スクライブ対象物はガラス基板であり、上述のスクライブ溝形成方法によりスクライブ溝を形成する工程と、形成されたスクライブ溝に沿って前記ガラス基板を切断する工程と、を有する。
【0028】この態様によれば、一定の深さのスクライブ溝が形成されたガラス基板は、スクライブ溝に沿って容易に切断することができる。
【0029】本発明の電気光学装置の製造方法は、上記のガラス基板の切断方法を利用して、電気光学物質を保持するためのガラス基板を切断する。
【0030】また、本発明の電気光学装置は、上記の方法により製造することができる。また、上記電気光学装置を表示部として備える電子機器が提供される。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。以下の説明では、本発明をパッシブマトリクス型の電気光学装置の製造方法に適用した例を説明する。
【0032】[1]電気光学装置の構成図1および図2は、それぞれ本発明を適用した電気光学装置の斜視図および分解斜視図である。また、図3は、本発明を適用した電気光学装置を図1のI−I’線で切断したときのI側の端部の断面図である。なお、図1および図2には、電極パターンおよび端子などを模式的に示してあるだけであり、実際の電気光学装置では、より多数の電極パターンや端子が形成されている。
【0033】図1および図2において、本実施形態の電気光学装置1は、携帯電話などの電子機器に搭載されているパッシブマトリクスタイプの液晶表示装置であり、所定の間隔を介してシール材30によって貼り合わされたガラス基板からなる一対の透明基板10、20間にシール材30によって液晶封入領域35が区画されているとともに、この液晶封入領域35内に電気光学物質としての液晶が封入されている。
【0034】ここに示す電気光学装置1は透過型の例であり、第2の透明基板20の外側表面に偏光板61が貼られ、第1の透明基板10の外側表面にも偏光板62が貼られている。また、第2の透明基板20の外側には、バックライト装置9が配置されている。
【0035】第1の透明基板10には、図3に示すように、第1の電極パターン40と第2の電極パターン50との交点に相当する領域に赤(R)、緑(G)および青(B)のカラーフィルタ7R、7Gおよび7Bが形成され、これらのカラーフィルタ7R、7Gおよび7Bの表面側に絶縁性の平坦化膜13、第1の電極パターン40および配向膜22がこの順に形成されている。これに対して、第2の透明基板20には、第2の電極パターン50、オーバーコート膜29および配向膜22がこの順に形成されている。
【0036】本実施形態の電気光学装置1において、第1の電極パターン40および第2の電極パターン50はいずれも、ITO膜(Indium Tin Oxide)に代表される透明導電膜によって形成されている。なお、第2の電極パターン50の下に絶縁膜を介してパターニングされたアルミニウム等の膜を薄く形成すれば、半透過・半反射型の電気光学装置1を構成できる。また、偏光板61に半透過反射板をラミネートすることでも半透過・半反射型の電気光学装置1を構成できる。また、第2の電極パターン50の下に反射性の膜を配置すれば、反射型の電気光学装置1を構成でき、この場合には第2の透明基板20の裏面側からバックライト装置9を省略すればよい。
【0037】[2]電極パターンおよび端子の構成再び図1および図2において、本実施形態の電気光学装置1では、外部からの信号入力および基板間の導通のいずれを行うにも、第1の透明基板10および第2の透明基板20の同一方向に位置する各基板辺101、201付近において第1の透明基板10および第2の透明基板20のそれぞれに形成されている第1の端子形成領域11および第2の端子形成領域21が用いられる。従って、第2の透明基板20としては、第1の透明基板10よりも大きな基板が用いられ、第1の透明基板10と第2の透明基板20とを貼り合わせたときに第1の透明基板10の基板辺101から第2の透明基板20が張り出す部分25を利用して、駆動用IC7をCOF実装したフレキシブル基板90の接続などが行われる。
【0038】このため、第2の透明基板20において、第2の端子形成領域21は、基板辺201に近い部分が第1の透明基板10から張り出した部分25に形成され、この基板辺201に近い端子形成領域部分の表面は開放状態にある。これに対して、第2の透明基板20において、第2の端子形成領域21の液晶封入領域35の側に位置する部分は、第1の透明基板10の側と基板間導通用に用いられるので、この第2の端子形成領域21のうち、液晶封入領域35の側に位置する部分は、第1の透明基板10との重なり部分に形成されている。
【0039】また、第1の透明基板10において、第1の端子形成領域11は、第2の透明基板20の側との基板間導通に用いられるので、第2の透明基板20との重なり部分に形成されている。
【0040】このような接続構造を構成するにあたって、本実施形態では、第1の透明基板10において、第1の端子形成領域11は第1の透明基板10の基板辺101の中央部分に沿って形成され、この第1の端子形成領域11では基板辺101に沿って複数の第1の基板間導通用端子60が所定の間隔をもって並んでいる。また、第1の透明基板10では、第1の基板間導通用端子60から対向する基板辺102に向かって複数列の液晶駆動用の第1の電極パターン40が両側に斜めに延びた後、液晶封入領域35内で基板辺101、102に直交する方向に延びている。
【0041】第2の透明基板20において、第2の端子形成領域21も基板辺201に沿って形成されているが、この第2の端子形成領域21は、基板辺201の両端を除く比較的広い範囲にわたって形成されている。第2の端子形成領域21には、その中央領域で基板辺201に沿って所定の間隔をもって並ぶ複数の第1の外部入力用端子81、およびこれらの第1の外部入力用端子81が形成されている領域の両側2箇所で基板辺201に沿って所定の間隔をもって並ぶ複数の第2の外部入力用端子82が形成されている。
【0042】また、第1の外部入力用端子81からは、第1の透明基板10と第2の透明基板20とを貼り合わせたときに第1の基板間導通用端子60と重なる複数の第2の基板間導通用端子70が基板辺202に向かって直線的に延びている。
【0043】さらに、第2の透明基板20において、第2の外部入力用端子82からは、第1の透明基板10と第2の透明基板20とを貼り合わせたときに第1の電極パターン40の形成領域の両側に相当する領域を回り込むように複数列の液晶駆動用の第2の電極パターン50が形成され、これらの第2の電極パターン50は、液晶封入領域35内において第1の電極パターン40と交差するように延びている。
【0044】このように構成した第1の透明基板10および第2の透明基板20を用いて電気光学装置1を構成するにあたって、本実施形態では、第1の透明基板10と第2の透明基板20とをシール材30を介して貼り合わせる際に、シール材30にギャップ材および導通材を配合しておくとともに、シール材30を第1の基板間導通用端子60および第2の基板間導通用端子70が重なる領域に形成する。ここで、シール材30に含まれる導通材は、例えば弾性変形可能なプラスチックビーズの表面にめっきを施した粒子であり、その粒径は、シール材30に含まれるギャップ材の粒径よりわずかに大きい。それゆえ、第1の透明基板10と第2の透明基板20とを重ねた状態でその間隙を狭めるような力を加えながらシール材30を溶融、硬化させると、導電材は第1の透明基板10と第2の透明基板20との間で押し潰された状態で第1の基板間導通用端子60と第2の基板間導通用端子70とを導通させる。
【0045】また、第1の透明基板10と第2の透明基板20とをシール材30を介して貼り合わせると、第1の電極パターン40と第2の電極パターン50との交差部分によって画素がマトリクス状に形成される。このため、第2の透明基板20の第2の端子形成領域21の基板辺201側の端部に対してフレキシブル基板90を異方性導電材などを用いて実装した後、このフレキシブル基板90を介して第2の透明基板20の第1の外部入力用端子81および第2の外部入力用端子82に信号入力すると、第2の透明基板20に形成されている第2の電極パターン50には第2の外部入力用端子82を介して走査信号を直接印加することができ、かつ、第2の透明基板10に形成されている第1の電極パターン40には、第1の外部入力用端子81、第2の基板間導通用端子70、導通材および第1の基板間導通用端子60を介して画像データを信号入力することができる。よって、これらの画像データおよび走査信号によって、各画素において第1の電極パターン40と第2の電極パターン50との間に位置する液晶の配向状態を制御することができるので、所定の画像を表示することができる。
[3]電気光学装置の製造方法図4および図5は、それぞれ電気光学装置1の製造方法を示す工程図および説明図である。
【0046】本実施形態の電気光学装置1を製造するにあたって、第1の透明基板10および第2の透明基板20はいずれも、図4および図5に示す工程(A)において、これらの基板10、20を各々、多数枚分含んだ大型基板100、200の状態で電極パターン40、50などの形成工程が行われる。
【0047】そして、各大型基板100、200の各々に対して、図4および図5に示す工程(B)において、配向膜12、22の形成およびラビング工程を行った後、例えば図4および図5に示す工程(C)において、第1の大型基板100にシール材30を塗布する一方、第2の大型基板200にギャップ材28を散布する。
【0048】次に、図4および図5に示す工程(D)において、大型基板100、200を所定の位置関係をもって貼り合わせて、図6(A)、(B)に示す大型パネル300を形成する。
【0049】このように構成した大型パネル300から図1および図2を参照して説明した単品の電気光学装置1を得るには、図6(A)、(B)において破線で示す切断予定線301’、301’’、一点鎖線で示す切断予定線401’、401’’、および二点鎖線で示す切断予定線403に沿って大型基板100、200を切断していく。
【0050】それには、まず、図4および図5に示す工程(E)において、大型パネル300に対する切断工程(1次ブレイク工程)として、大型基板100、200に対して、大型パネル300を短冊状パネルに切断するためのスクライブ溝302’、302’’をそれぞれ切断予定線301’、301’’の全体、あるいはその両端部に形成した後、各大型基板100、200に対して切断予定線301’、301’’に沿って、所定の押圧治具を裏面側から押し当てて機械的応力を加える、あるいはレーザ光を照射して、大型パネル300を構成する大型基板100、200を各々切断し、短冊パネル400を得る。
【0051】この状態において、短冊状パネル400の切断部分には、液晶注入口31(図2参照)が開口しているので、図4および図5に示す工程(F)において、液晶注入口31から液晶を注入した後、液晶注入口31を封止材32(図2を参照)で封止する。
【0052】次に、図4および図5に示す工程(G)において、短冊状パネル400に対する切断工程(2次ブレイク工程)として、短冊状パネル400を構成する大型基板100、200に対して、短冊状パネル400を単品のパネル1’に切断するための切断予定線401’、401’’の全体、あるいはその両端部にスクライブ溝402’、402’’を形成した後、各大型基板100、200に対して切断予定線401、401’’に沿って所定の押圧治具を裏面側から押し当てて機械的応力を加える、あるいはレーザ光を照射して、短冊状パネル400を構成する大型基板100、200を各々切断し、単品のパネル1’を得る。
【0053】なお、単品のパネル1’については、図1および図2に示すように、第1の透明基板10を第2の透明基板より小さめに仕上げて、各端子領域を露出させる必要があるので、この場合には、単品のパネル1’を構成する第1の透明基板10および第2の透明基板20のうち、第1の透明基板10の切断予定線403の全体、あるいはその両端部にスクライブ溝404を形成した後、切断予定線403に沿って、所定の押圧治具を裏面側から押し当てて機械的応力を加える、あるいはレーザ光を照射して、第1の透明基板10から不要な部分を除去して、第2の透明基板20から端子領域を露出させる(短冊からの除去工程)。
【0054】しかる後は、図4および図5に示す工程(H)において、フレキシブル基板90などの実装を行う。
【0055】[4]スクライブ溝形成装置の構成このような電気光学装置1の製造方法において、本発明では各スクライブ工程で図7および図8に示すスクライブ溝形成装置を用いる。
【0056】図7および図8はそれぞれ、本発明を適用したスクライブ溝形成装置の説明図およびその要部を示す説明図である。
【0057】図7において、本実施形態のスクライブ溝形成装置500は、互いに直交する方向をそれぞれX方向、Y方向およびZ方向としたとき、XY平面上に大型パネル300や短冊状パネル400を吸着する手段などによって保持するステージ510と、この大型パネル300や短冊状パネル400を構成する大型基板100、200などにスクライブ溝を形成するためのカッタ520と、このカッタ520をZ方向に可動に支持するヘッド530と、を有している。
【0058】また、スクライブ溝形成装置500には、X方向にヘッド530を移動させるX方向駆動機構540と、Y方向にヘッド530を移動させるY方向駆動機構550と、XY平面内でステージ510を回転させる回転駆動装置(図示せず)とが構成されている。
【0059】本実施形態では、X方向駆動機構540として、X方向に延びたボールねじ541、およびボールねじ541を回転駆動するモータ(図示せず)が配置されている一方、ヘッド530が搭載されたベース560には、ボールねじに噛み合うねじ(図示せず)が形成されている。このため、ボールねじ541を矢印+X0で示す方向に回転させれば、ベース560に搭載されたヘッド530とともにカッタ520が+X方向に移動する。また、本実施形態では、Y方向駆動機構550として、Y方向に延びたボールねじ551、およびボールねじ551を回転駆動するモータ(図示せず)が配置されている一方、ボールねじ551上に支持されたスライダ552には、ボールねじ551に噛み合うねじ(図示せず)が形成されている。このため、ボールねじ551を矢印+Y0で示す方向に回転させれば、スライダ552が+Y方向に移動するので、ベース560に搭載されたヘッド530とともにカッタ520が+Y方向に移動する。
【0060】さらに、スクライブ溝形成装置500には、図8に示すように、ステージ510上の大型パネル300や短冊状パネル400に対するヘッド530のZ方向における相対位置を調整するZ方向位置調整機構570と、大型パネル300や短冊状パネル400に対するカッタ520の押し付け圧を検出するセンサ部530と、スクライブ溝を形成する途中で、センサ部530からの圧力検出信号584に基づいて、大型パネル300や短冊状パネル400に対するカッタ520のZ方向への押し付け圧が一定の圧力となるようにZ方向位置調節機構570を制御する制御部590と、が構成されている。
【0061】Z方向駆動機構570としては、ベース560上にZ方向に延びたボールねじ571、およびこのボールねじ571を回転駆動するパルスモータ572が配置されている一方、ベース560には、ボールねじ571に噛み合うねじ573が形成されている。このため、ボールねじ571を矢印−Z0で示す方向で回転させれば、ベース560およびヘッド530とともにカッタ520が−Z方向に移動して大型パネル300や短冊状パネル400に接近する一方、ボールねじ571を矢印+Zで示す方向に回転させれば、ベース560およびヘッド530とともにカッタ520が+Z方向に移動して大型パネル300や短冊状パネル400から離間する。
【0062】センサ部530には、ヘッド560と一体的にシリンダ581が形成され、そのシリンダ581内部にはプランジャ582が+Z方向に僅かに移動可能に配置され、プランジャ582の下端部にはカッタ520が支持されている。また、シリンダ581内の最上部には圧力センサ583が取り付けられている。プランジャ582の上端面はシリンダ581内部で圧力センサ583と常に接触するように設けられ、シリンダ581内で圧力センサ583の弾性の分だけ上下方向にわずかに移動可能に配置される。大型パネル300や短冊状パネル400に対するカッタ520の押し付け圧はプランジャ582を通じて圧力センサ583に伝えられる。圧力センサ583は大型パネル300や短冊状パネル400に対するカッタ520の押し付け圧を検出し、圧力検出信号584を制御部590へ供給する。
【0063】制御部590はマイクロコンピュータやメモリなどを含んで構成され、圧力センサ583からの圧力検出信号584に基づいて、大型パネル300や短冊状パネル400に対するカッタ520の押し付け圧が常に一定圧力値を維持するようにZ方向駆動機能570をフィードバック制御する。
【0064】このように構成したスクライブ溝形成装置500において、ステージ510上においてXY平面上に配置された大型パネル300や短冊状パネル400に対して、Y方向駆動機構550によってヘッド530のY方向の位置を調整してカッタ520を大型パネル300や短冊状パネル400の切断予定線上に位置合わせした後、制御部590の制御下でZ方向駆動機構570によりヘッド530を加工させてカッタ520を大型パネル300や短冊状パネル400に接触させ、この状態でカッタ520をX方向に移動させれば、スクライブ溝を形成することができる。ヘッド530に支持されているカッタ520を接触させながら、X方向駆動機構540によってヘッド530をX方向に相対移動させれば、カッタ520によって大型パネル300や短冊状パネル400にX方向に延びるスクライブ溝を形成することができる。
【0065】また、スクライブ溝を形成している途中、制御部590は、大型パネル300や短冊状パネル400に対するカッタ520の押し付け圧が一定値を維持するようにZ方向駆動機構570を制御する。よって、大型パネル300や短冊状パネル400に対して、その厚さむらや表面の凹凸などにかかわらず、常に一定の深さのスクライブ溝を形成することができる。
【0066】図9は、上述のスクライブ溝形成装置により基板を切断する状態を示す説明図である。図示のように、基板表面に凹凸がある場合でも、本発明のスクライブ溝形成装置500によれば、圧力センサ583からの圧力検出信号584に基づく制御部590のフィードバック制御により、カッタ520が常に基板表面に対して一定の押し付け圧となるようにベース560が上下移動する。
【0067】図10(A)は、上述のスクライブ溝形成装置により基板を切断する状態を示す他の説明図であり、カッタ520により、基板の端部512からスクライブ溝の形成が始まる状態を示す。また、図10(B)は、比較例として、エアーシリンダ型のヘッドを採用するスクライブ溝形成装置の場合の、スクライブ溝形成開始時の状態を模式的に示す図である。
【0068】図10(A)の場合、スクライブ溝形装置500のステージ510のZ方向高さ、および、スクライブ形成の対象となる基板の厚さが既知であるので、制御部590は予め決められたZ方向位置にカッタ520が位置するようにヘッド530(ベース560と一体である)を制御し、それからXまたはY方向へヘッド530を移動させる。カッタ520は基板の端部512に対して適切なZ方向位置で当たり、ベースのXまたはY方向移動により基板表面にスクライブ溝592を形成していく。よって、カッタ520が必要以上の衝撃で基板の端部512に当たったり、ヘッド530が基板の端部512に当たったりすることがない。
【0069】これに対し、図10(B)に示すエアーシリンダ型ヘッドを採用するスクライブ溝形成装置の場合は、カッタ520’に何も接触していない場合にはカッタ520’がZ方向の移動可能範囲の最下点まで下降してしまうので、ヘッド530’をXまたはY方向に移動させて基板にスクライブ溝を形成する際に、ヘッド530’が基板の側面に当たってしまう場合がある。また、基板の端部512に対してカッタ520’が当たる際に、カッタ520’のZ方向位置が不適切であるため、カッタ520’が必要以上の衝撃で基板の端部512に当たって、基板端部に欠けやクラックを生じさせる場合がある。
【0070】また、基板の逆側の端部(図示せず)においても、エアーシリンダ型ヘッドを採用するスクライブ溝形成装置の場合は、カッタ520’が基板の端部に至ると、負荷が急になくなるために、カッタ520’はその移動可能範囲の最下点まで急激に下降する。これにより、基板端部に必要以上の衝撃や力がかかり、やはり基板端部に欠けやクラックが生じることがある。
【0071】この点、本発明のスクライブ溝形成装置500によれば、カッタ520が基板の端部512に当たる際に、制御部590がカッタ520をZ方向における適切な位置に配置するので、上述のような不適切な衝撃や力が基板端部にかかることがなく、基板端部に欠けやクラックを生じさせることがない。
【0072】[4]スクライブ溝の形成本実施形態では、上述のように構成したスクライブ溝形成装置500を用いて、前述の1次ブレイク工程(E)および/または2次ブレイク工程(G)で大型パネル300および/または短冊状パネル400を構成する大型基板100、200にスクライブ溝を形成する。なお、これらの工程は基本的には同じ工程であるため、ここでは大型パネル300を構成する大型基板100に対してスクライブ溝302’を形成する例を説明する。
【0073】まず、制御部590は、スクライブ溝形成装置500のステージ510と、XおよびY方向駆動機構550および570との相対位置関係、並びにステージ510上に載置される基板の厚さに基づき、図10(A)に示すように、カッタ520の下端部が基板表面よりわずかに下方に位置するようにヘッド530のZ方向位置を調整する。なお、具体的には、ヘッド520のZ方向位置は、予め決められたスクライブ深さD(図10(A)参照)だけ基板表面から下方とされる。
【0074】こうして、ヘッド530の初期位置が決定すると、次にXまたはY方向駆動機構540又は550により、ベース560をXまたはY方向へ移動し、基板表面にスクライブ溝を形成する。このとき、基板表面に凹凸がある場合には、ヘッド530からプランジャ582を介して圧力センサ583に伝えられる圧力が変化するので、制御部590は圧力検出信号584に基づいてZ方向駆動機構570を制御し、カッタ520が常に一定の押し付け圧で基板に押し付けられるようにする。これにより、図9に示すように、基板表面の凹凸などにかかわらず、基板表面には所定の深さのスクライブ溝が形成される。
【0075】なお、前述のように、本実施形態のスクライブ溝形成装置500では、カッタ520が基板へ進入するとき、および、基板から離れるときでも、カッタ520と一体化されたベース560のZ方向位置を制御部590が制御しているので、基板端部に欠けやクラックが生じることがない。
【0076】[5]基板の切断方法次に、上述のスクライブ溝形成方法を利用した基板の切断方法について説明する。図11は、ガラス基板(パネル)の切断方法を示す工程図であり、図4および図5を参照して説明した工程(E)、(F)を詳細に示してある。
【0077】図11に示すように、本実施形態では、まず、1次ブレイク工程(E)として、工程(E11)で、大型パネル300の大型基板100上にスクライブ溝形成装置500のカッタ520でスクライブ溝302’を形成した後、大型パネル300を表裏反転させて、工程(E12)で、大型基板200の方からスクライブ溝302’を押圧治具600で押圧して大型基板100を切断する。次に、工程(E13)で、大型パネル300の大型基板200に対してスクライブ溝形成装置500のカッタ520でスクライブ溝302’’を形成した後、大型パネル300を表裏反転させて、工程(E14)で、大型基板100の方からスクライブ溝302’’を押圧治具600で押圧して大型基板200を切断する。その結果、大型パネル300は短冊状パネル400に切断される。
【0078】一方、第2次ブレイク工程(G)では、工程(G11)で、短冊状パネル400の大型基板100上にスクライブ溝形成装置500のカッタ520でスクライブ溝402’を形成した後、短冊状パネル400を表裏反転させて、工程(G12)で、短冊状パネル400の大型基板200の方からスクライブ溝402’を押圧治具600で押圧して大型基板100を切断する。次に、工程(G13)で、短冊状パネル400の大型基板200に対してスクライブ溝形成装置500のカッタ520でスクライブ溝402’’を形成した後、短冊状パネル400を表裏反転させて、工程(G14)で、大型基板100の方からスクライブ溝402’’を押圧治具600で押圧して大型基板100を切断する。その結果、短冊状パネル400は、単品のパネル1’に切断される。
【0079】続いて、工程(G15)では、単品のパネル1’の第1の透明基板10を上向きにしてスクライブ溝形成装置500のカッタ520でスクライブ溝404を形成した後、単品のパネル1’を表裏反転させて、工程(G16)で単品のパネル1’の第2の透明基板20の方からスクライブ溝404を押圧治具600で押圧して、第1の透明基板10から不要な部分を除去して、第1の透明基板10の基板辺から第2の透明基板20の一部を露出させる。
【0080】このようにして、スクライブ溝302’、302’’、402’、402’’、404を利用して大型パネル300から短冊状パネル400を経て単品のパネル1’を製造するにあたって、本実施形態では、上述のスクライブ溝形成装置500を使用し、スクライブ溝の形成途中で、各パネル300、400、1’に対するヘッド520の押し付け圧が常に一定となるように制御部590がZ方向駆動機構を制御する。よって、パネルの表面に存在する凹凸にかかわらず、常に一定の深さのスクライブ溝を形成し、正しい位置でパネルをブレイクすることができる。
【0081】なお、図11に示す例では、押圧治具600で大型基板100、200などの裏面側を押圧して大型基板100、200を切断している。その代わりに、本発明のスクライブ溝形成装置500によりスクライブ溝を形成した後、切断予定線に沿ってレーザ光を照射して大型基板100、200を切断してもよい。この方法によれば、レーザ照射による熱応力によって大型基板100、200に垂直クラックが発生して、大型基板100、200を切断することができる。
【0082】また、上記の例では、2枚のガラス基板を貼り合わせたパネルを切断する場合に本発明を適用したが、1枚のガラス基板を切断する場合に本発明を適用してもよい。この場合、ガラス基板を複数箇所で切断する際に、複数本の切断予定線毎にスクライブ溝の形成と、当該切断予定線に沿っての切断とを繰り返しても良いが、1枚のガラス基板に複数本の切断予定線の各々に対してスクライブ溝を形成した後、これらの切断予定先の各々に沿ってガラス基板を順次切断する方法を採用すれば、工程の簡略化を図ることができる。
【0083】さらに、上記実施形態では、パッシブマトリクス型の電気光学装置1の製造に本発明を適用した例を示したが、能動素子としてTFD素子を用いたアクティブマトリクス方式の液晶装置、あるいは能動素子として薄膜トランジスタを用いたアクティブマトリクス方式の液晶装置など、各種の電気光学装置の製造に本発明を適用することができる。
【0084】[6]電子機器の実施形態図12は、本発明に係る電気光学装置(液晶装置)を各種の電子機器の表示装置として用いる場合の一実施形態を示している。ここに示す電子機器は、表示情報出力源70、表示情報処理回路71、電源回路72、タイミングジェネレータ73、および液晶装置74を有する。また、液晶装置74は、液晶表示パネル75および駆動回路76を有する。液晶装置74および液晶パネル75としては、上述した電気光学装置1および単品のパネル1’を用いることができる。
【0085】表示情報出力源70は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などのメモリ、各種ディスクなどのストレージユニット、デジタル画像信号を同調出力する同調回路などを備え、タイミングジェネレータ73によって生成された各種のクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号などといった表示情報を表示情報処理回路71に供給する。
【0086】表示情報処理回路71は、シリアル−パラレル変換回路や、増幅・反転回路、ローテーョン回路、ガンマ補正回路、クランプ回路といった周知の各種回路を備え、入力した表示情報の処理を実行して、その画像信号をクロック信号CLKとともに駆動回路76へ供給する。電源回路72は、各構成要素に所定の電圧を供給する。
【0087】図13は、本発明に係る電子機器の一実施形態であるモバイル型のパーソナルコンピュータを示している。ここに示すパーソナルコンピュータ80は、キーボード86を備えた本体部87と、液晶表示ユニット88とを有する。液晶表示ユニット88は、前述した電気光学装置1を含んで構成される。
【0088】図14は、本発明に係る電子機器の他の実施形態である携帯電話機を示している。ここに示す携帯電話機90は、複数の操作ボタン91と、液晶装置からなる電気光学装置1を有している。
【0089】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、基板(パネル)にスクライブ溝を形成する際に、基板に対するヘッドの押し付け圧を圧力センサで検出してヘッドの上下方向位置をフィードバック制御することにより、常に一定の押し付け圧でヘッドを基板に押し付けながらスクライブ溝を形成することができる。よって、基板面上の凹凸などの形状にかかわらず、常に一定の深さのスクライブ溝を形成することができる。
【0090】また、カッタと一体化されたヘッドを上下方向に駆動することにより、制御部がカッタの上下方向位置を厳密に調整できるので、スクライブ溝の形成対象となる基板の端部において欠けやクラックが発生することを防止できる。
【出願人】 【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区西新宿2丁目4番1号
【出願日】 平成13年7月18日(2001.7.18)
【代理人】 【識別番号】100095728
【弁理士】
【氏名又は名称】上柳 雅誉 (外2名)
【公開番号】 特開2003−34543(P2003−34543A)
【公開日】 平成15年2月7日(2003.2.7)
【出願番号】 特願2001−218789(P2001−218789)